説明

電力変換装置、電力供給システム、および充放電システム

【課題】単独運転が誤って判別されることを抑えることが可能となる電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力系統に連系し、直流電力を交流の出力電力に変換して該電力系統に出力する電力変換装置であって、前記出力電力に能動的変化を付与し、その際の連系点における電力の状態に関するパラメータの値に基づいて、単独運転の発生を判別する単独運転判別部を備え、前記単独運転判別部は、前記パラメータの一種である電圧の周波数の値が予め設定された判別条件を満たし、かつ、別の種類の前記パラメータの値が予め設定された判別条件を満たした場合に、単独運転が発生したと判別する電力変換装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置、ならびにこれを備えた電力供給システムおよび充放電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力系統に連系し、分散電源が発生させた電力を電力系統に供給するパワーコンディショナ(以下「パワコン」と略記することがある)が広く利用されている。パワコンは、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置の一形態である。
【0003】
ところでパワコンの使用にあたっては、単独運転の発生に留意する必要がある。単独運転は、例えば電力系統が停電しているにも関わらず、分散電源が電力供給を継続することである。安全性の観点などから、単独運転は極力回避されるべきであり、また単独運転が発生した場合には、分散電源を電力系統から速やかに切り離すといった措置が必要となる。
【0004】
そのためパワコンには、単独運転を判別する手段(単独運転の発生の有無を判別する手段)が設けられており、単独運転が発生した場合には、分散電源を電力系統から切り離すようになっている。
【0005】
また単独運転を判別する手法としては、受動的手法や能動的手法が挙げられる。能動的手法は、例えば、意図的に正常時の電力系統に整合しないようにした(能動的変化を与えておいた)電力を出力し、連系点の電力状態がこれに追従するかどうかを見ることにより、単独運転を判別する手法である。能動的手法によれば、受動的手法では単独運転が判別されない状態、例えば、分散電源の発電量と電力系統上の負荷電力量が釣り合っている平衡状態であっても、単独運転を判別することが可能となる。
【0006】
能動的手法の一つとしては、パワコンの出力電圧の周波数に能動的変化を与えておき、連系点における電圧の周波数を検出することにより、単独運転を判別する手法が挙げられる。なお能動的変化は、例えば単独運転の発生が疑われるとき(つまり、電力系統に何らかの電気的変動が検出されたとき)に、与えられるようにする。
【0007】
そして連系点の電圧の周波数がこの変化に追従せず、正常な周波数範囲を逸脱しなければ、単独運転は発生していないと判別される。逆に連系点の電圧の周波数がこの変化に追従し、正常な周波数範囲を逸脱すれば、単独運転が発生していると判別される。正常な周波数範囲は、例えば50Hzの電力系統の場合、50±2Hzの範囲(電力系統が正常な状態では、逸脱することが無いと想定される範囲)とされる。
【0008】
単独運転が発生していなければ、パワコンの出力の変化が電力系統に与える影響は微小であるため、連系点の電圧の周波数は正常な周波数範囲を逸脱しないが、そうでなければ、連系点の電圧の周波数は当該変化に追従し、正常な周波数範囲を逸脱することになる。そのため上述した能動的手法により、単独運転を判別することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−35619号公報
【特許文献2】特許第4645735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述したように連系点の電圧の周波数の検出結果に基づいて単独運転を判別する手法によれば、電力系統の電圧の周波数がたまたま一方向へ連続的に変動したような場合に、単独運転が誤って判別されるおそれがある。
【0011】
すなわち、実際には単独運転は発生していないにも関わらず、何らかの原因によって電力系統の電圧の周波数がこのように(あたかも単独運転が発生したように)変動し、単独運転が発生したと誤って判別されるおそれがある。単独運転が誤って判別されることは、分散電源を電力系統から切り離す動作等が不必要に行われる事態を招くため、極力抑えられる必要がある。
【0012】
本発明は上述した問題に鑑み、単独運転が誤って判別されることをより確実に抑えることが可能となる電力変換装置、ならびにこれを用いた電力供給システムおよび充放電システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る電力変換装置は、電力系統に連系し、直流電力を交流の出力電力に変換して該電力系統に出力する電力変換装置であって、前記出力電力に能動的変化を付与したときの、連系点における電力の状態に関するパラメータに基づいて、単独運転の発生を判別する単独運転判別部を備え、前記単独運転判別部は、前記パラメータの一種である電圧の周波数が予め設定された判別条件を満たし、かつ、別の種類の前記パラメータが予め設定された判別条件を満たした場合に、単独運転が発生したと判別する構成とする。
【0014】
本構成によれば、単独運転の発生を判別するにあたり、連系点における電圧の周波数だけではなく、これとは異なる電力の状態に関するパラメータについても、所定の判別条件が満たされたか否かが考慮される。そのため、単独運転が誤って判別されることをより確実に抑えることが可能となる。なお電力の状態に関するパラメータは、具体例として、基本電圧の振幅や高調波電圧の振幅などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
また上記構成としてより具体的には、前記別の種類のパラメータは、基本電圧の振幅または高調波電圧の振幅である構成としてもよい。
【0016】
また上記構成において、前記電力状態の値が変動している方向を検出し、該検出された方向に応じて、前記出力電力の大きさを調節する構成としてもよい。本構成によれば、単独運転の検出の確実性をより一層高めることが可能となる。
【0017】
また上記構成において、前記出力電力と連系点に接続された負荷の電力とのバランスを把握し、前記バランスに基づいて、前記判別条件を決定する構成としてもよい。本構成によれば、当該バランスに応じて判別条件を適切に決定し、単独運転をより精度良く判別することが可能となる。
【0018】
また上記構成において、前記出力電力と連系点に接続された負荷の電力とのバランスを把握し、前記バランスが不均衡となるように、前記出力電力を調節する構成としてもよい。本構成によれば、単独運転をより精度良く判別することが可能となる。
【0019】
また、二次電池に接続され、該二次電池の放電により得られる前記直流電力を交流の出力電力に変換して、前記電力系統に出力する上記構成に係る電力変換装置において、前記電力系統から得られる交流電力を直流に変換して前記二次電池に送出し、該二次電池を充電させる構成としても良い。
【0020】
また本発明に係る電力供給システムは、上記構成に係る電力変換装置と、前記直流電力を該電力変換装置に供給する直流電源と、を備え、前記直流電力を交流電力に変換して、前記電力系統に出力する構成とする。本構成によれば、上記構成に係る電力変換装置の利点を享受することが可能となる。
【0021】
また本発明に係る充放電システムは、上記構成に係る電力変換装置と、前記電力変換装置に接続される二次電池と、を備え、前記二次電池の充放電を行う構成とする。本構成によれば、上記構成に係る電力変換装置の利点を享受することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
上述した通り、本発明に係る電力変換装置によれば、単独運転の発生を判別するにあたり、連系点における電圧の周波数だけではなく、これとは異なる電力の状態に関するパラメータについても、所定の判別条件が満たされたか否かが考慮される。そのため、単独運転が誤って判別されることをより確実に抑えることが可能となる。
【0023】
また本発明に係る電力供給システム、或いは充放電システムによれば、本発明に係る電力変換装置の利点を享受することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係るパワコンの構成図(電力系統に連系した状態)である。
【図2】本発明の実施形態に係るパワコン制御装置の構成図である。
【図3】連系状態制御動作に関するフローチャートである。
【図4】単独運転判別動作に関するフローチャートである。
【図5】単独運転判別動作に関する別のフローチャートである。
【図6】連系点における電力状態に関する説明図である。
【図7】逆潮流電力を検出するセンサを設けた場合のパワコンの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態について、第1実施形態から第4実施形態のパワーコンディショナ(パワコン)を挙げて、以下に説明する。
【0026】
1.第1実施形態
まず第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態のパワコンの構成図(電力系統に連系した状態)を表している。本図に示すように、パワコン1は端子T1およびT2を有しており、端子T1には直流電源2が接続され、端子T2(連系点)には既存の電力系統が接続されている。
【0027】
なお直流電源2は、例えば太陽光発電システムや二次電池であり、直流電力をパワコン1に供給するものである。直流電源2として二次電池が用いられる場合、パワコン1は二次電池を放電させるだけでなく、充電させることも可能となるように構成される。また直流電源2は、電力系統から見れば分散電源の一つに相当する。
【0028】
また電力系統は、電力配線に系統電源3や電力系統の遮断に用いられる系統遮断機4などが接続され形成されている。なお本実施形態での電力系統は、50Hz(正常周波数範囲は50±2Hz)の商用電源を伝送するものとする。連系点には、電力系統などから電力供給を受ける負荷5(各種電気機器など)も接続される。また電力系統については、他の形態(例えば60Hzの商用電源を伝送するもの)であっても同様に考えることができる。
【0029】
[パワコンの構成等について]
次にパワコン1の構成等について説明する。図1に示すようにパワコン1は、コンデンサ12、インバータ回路14、インダクタ15、コンデンサ16、電流検出回路17、電圧検出回路18、連系リレー19、およびパワコン制御装置20などを備えている。
【0030】
直流電源2から送出された電力は、コンデンサ12によって状態が整えられ、インバータ回路14に届けられる。インバータ回路14は、受取った電力を交流に変換し、後段側に送出する。なおインバータ回路14は、パワコン制御装置20から受取ったゲート信号Sgに応じて動作する。
【0031】
インバータ回路14から送出された電力は、インダクタ15やコンデンサ16によって波形が整えられ、連系リレー19を介して、電力系統に出力される。
【0032】
連系リレー19は、パワコン制御装置20から受取ったリレー切替信号Srに応じて、開閉が切替えられる。通常は、連系リレー19は閉じられており、パワコン1および直流電源2が電力系統に連系されるが、連系リレー19が開かれると、当該連系は解除される。
【0033】
また電流検出回路17は、パワコン1と電力系統が連系している連系点の電流(端子T2を流れる電流と同等)の値を、継続的に検出する回路である。電流検出回路17によって検出された電流値の情報は、電流検出信号Idとして、パワコン制御装置20に伝送される。
【0034】
電圧検出回路18は、パワコン1と電力系統が連系している連系点の電圧(端子T2の両極間における電圧と同等)の値を、継続的に検出する回路である。電圧検出回路18によって検出された電圧値の情報は、電圧検出信号Vdとして、パワコン制御装置20に伝送される。
【0035】
パワコン制御装置20は、電流検出信号Idや電圧検出信号Vdを継続的に受取ることにより、連系点における電力、電圧、および電流を継続的に検出することが可能となっている。
【0036】
パワコン制御装置20は、受取った電流検出信号Idおよび電圧検出信号Vdに基づいて、各種の演算処理などを実行し、適切な動作がなされるようにパワコン1を制御する装置である。パワコン制御装置20は、ゲート信号Sgを送出してインバータ回路14を制御するとともに、リレー切替信号Srを送出して連系リレー19を制御する。
【0037】
ここでパワコン1の通常時の出力電力は、所定の連系規定に準拠している必要がある。すなわち、パワコン1の出力に係る電流歪率や力率などが規定の範囲内に収まることや、出力される電流の波形を正弦波とすること等が必要とされる。また電力系統の電力状態を乱さぬように、パワコン1の出力電力が、電力系統に整合することも必要とされる。
【0038】
パワコン制御装置20は、通常時、このような条件が満たされるように、電流検出信号Idおよび電圧検出信号Vdに基づいてゲート信号Sgを生成して送出し、インバータ回路14をPWM[Pulse Width Modulation]方式等によって制御する。
【0039】
[パワコン制御装置の具体的構成について]
パワコン制御装置20は、上述した動作を行うように構成されるが、その具体的形態については特に限定されない。例えば、必要な各処理を主にソフトウェア処理によって実現する構成であっても良く、主にハードウェア処理によって実現する構成であっても良い。本実施形態におけるパワコン制御装置20の構成は、一例として図2に示す構成となっている。当該構成について以下に説明する。
【0040】
図2に示すようにパワコン制御装置20は、主制御部21、制御器22、PWMコンパレータ23、および三角波生成回路24などを備えている。
【0041】
主制御部21は、電圧検出回路18から電圧検出信号Vdが入力されるようになっており、当該信号に応じた各種処理を実行する回路である。主制御部21は、パワコン1の出力(交流の出力電圧)に能動的変化を付与するための変化付与信号を、制御器22に出力することが可能となっている。また主制御部21は、連系リレー19へリレー切替信号Srを出力する機能も有している。
【0042】
制御器22は、電圧検出信号Vdおよび電流検出信号Idが入力されるようになっており、これらの信号に基づいてインバータ操作量(系統電圧の波形とほぼ同等となる、電圧指令波形を表す)の信号を生成して出力する。制御器22は、例えば検出される交流電圧と交流電流との合成和に基づいた信号を、インバータ操作量の信号として生成する。但し制御器22は、主制御部21から変化付与信号が入力されているときは、この信号をも加えてインバータ操作量を生成する。これにより、パワコン1の出力に能動的変化が付与されるように、インバータ操作量の信号が生成される。
【0043】
PWMコンパレータ23は、非反転入力端子に制御器22の出力(インバータ操作量の信号)が入力され、反転入力端子に三角波生成回路24が生成する基準三角波の信号が入力される。PWMコンパレータ28はこれらの比較結果に応じたパルス信号を、ゲート信号Sgとしてインバータ回路14へ出力する。
【0044】
[連系状態制御動作について]
ところで単独運転が発生したときは、パワコン1における電力系統への連系を、速やかに解除させる必要がある。そこでパワコン制御装置20は、上述したようなインバータ回路14の制御に並行して、単独運転が発生したか否かに応じてパワコン1と電力系統との連系状態を適切に制御するための、連系状態制御動作を実行するようになっている。以下、この連系状態制御動作について、図3に示すフローチャートを参照しながら、より詳細に説明する。
【0045】
主制御部21は、通常時、電圧検出信号Vd等に基づいて、電力系統に基準レベルを超える電気的変動が生じたかを、継続的に監視するようになっている(ステップS1)。なおここでの「電気的変動」は、例えば、電圧低下、周波数の変化、位相跳躍、および高調波電圧の変化のうちの、一つまたは複数が該当する。
【0046】
単独運転が発生する原因としては、例えば落雷の影響による電力系統の遮断が考えられる。そしてこのような電力系統の遮断が生じたとき、少なくとも一時的に、上述したような電気的変動が生じる。このことから、当該電気的変動がある程度のレベルを超えたときは、単独運転の発生が疑われることになる。上述した「基準レベル」は、単独運転の発生が疑われる程度のレベルに設定されている。
【0047】
しかしながら、単独運転が発生していなくても、何らかの原因により、電気的変動が基準レベルを超える可能性がある。すなわち、基準レベルを超える電気的変動が検出されたときは、単独運転の発生が疑われるものの、単独運転が発生していないことも考えられる。
【0048】
そこで、基準レベルを超える電気的変動が検出された場合(ステップS1のY)、主制御部21は、予め定められた単独運転判別動作を実行し、単独運転が発生したか否かを判別することとする(ステップS2)。単独運転判別動作は、単独運転の発生の有無をより精度良く判別する動作であり、具体的内容については改めて説明する。
【0049】
単独運転判別動作の実行により、単独運転が発生したと判別された場合(ステップS3のY)、主制御部21は、ゲート信号Sgを停止させ、ほぼ同時に、連系リレー19を開くためのリレー切替信号Srを連系リレー19に送出し、連系リレー19を開いた状態に制御する。これにより、パワコン1の電力系統への連系が解除され、単独運転が停止される(ステップS4)。
【0050】
一方、単独運転判別動作の実行により、単独運転は発生していないと判別された場合(ステップS3のN)、パワコン1の電力系統への連系を解除させる必要は無い。そのため主制御部21は、連系リレー19を開くこととせず、ステップS1の動作に戻る。上述した一連の連系状態制御動作が実行されることにより、パワコン装置20は、単独運転の発生の有無を精度良く判別し、この判別の結果に応じた適切な処置を行うようになっている。
【0051】
[単独運転判別動作について]
次に、単独運転判別動作(ステップS2)の具体的内容について、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0052】
単独運転判別動作の開始に伴い、主制御部21は、パワコン1の出力電力への能動的変化の付与を開始する(ステップS11)。この能動的変化は、単独運転を判別するための意図的な誤差として与えられるものである。
【0053】
より具体的には、主制御部21は所定の変化付与信号を生成し、変化付与信号を制御器22に出力することにより、能動的変化の付与を開始する。この変化付与信号は、電圧の周波数(交流電圧の基本波形の周波数であり、以下、「基本周波数」と称することがある)、基本電圧(交流電圧における基本周波数の成分)の振幅、力率(パワコン1から流れる電流と交流電圧との位相差)、および高調波電圧(基本電圧を基準とした高調波電圧)の振幅の各々について、パワコン1の出力電力に能動的変化が付与されるようにする信号である。
【0054】
なお、基本周波数(電圧の周波数)、基本電圧の振幅、力率、および高調波電圧の振幅は、何れも、電力の状態に関するパラメータの一例である。また高調波電圧としては、例えば、3次高調波電圧、5次高調波電圧、7時高調波電圧などの各種類が挙げられるが、何れを採用するかについては特に限定されない。また何れか一種の高調波電圧のみを採用するのではなく、複数種を総合したものを、高調波電圧として採用しても構わない。
【0055】
なお主制御部21は、所定の周波数−位相特性を有するフィルタを用いて、変化付与信号を生成することが可能である。例えば、電圧検出信号Vdにおける周波数から変動させる分の周波数(変動周波数)を求めた後、この変動周波数と所定の周波数−位相関係に基づいて変動させる分の位相を特定し、この特定された位相に基づいて変化付与信号を生成することが可能である。但し、変化付与信号を生成する手法については、これに限定されるものではない。
【0056】
そして主制御部21は、変化付与信号を出力してパワコン1の出力に能動的変化が付与されるようにしつつ、次の動作を実行する。主制御部21は、電圧検出信号Vdに基づいて連系点における基本周波数を検出し、この基本周波数の変化状況が所定の第1判別条件を満たしたかを判断する(ステップS12)。
【0057】
この第1判別条件は、連系点における基本周波数に基づいて、単独運転の発生の有無を暫定的に判別するための条件である。つまり第1判別条件が満たされた場合、電力系統の電力状態が、パワコン1の出力に付与された能動的変化に追従したとみなされ、単独運転が発生したと暫定的に判別される。
【0058】
第1判別条件の具体的内容については、各種の態様とすることが可能であり、特に限定されない。一例を挙げれば、数百周期前の基本周波数を基準とし、基本周波数が一定以上の変化度合で一定期間以上、継続的に変化した場合に、第1判別条件が満たされたとすることが可能である。
【0059】
なお電力系統の電圧の周波数に関しては、電力系統に何らかの電気的変動が生じたときに、過渡的に急激な位相急変状態となる。そのため、例えばパワコン1の出力に能動的変化の付与が開始された後の最初の1〜2周期の基本周波数は参考値とし、3周期目以降の基本周波数(例えば3〜5周期分)について、基準とする基本周波数から変化しているか否かを、第1判別条件としても良い。
【0060】
また主制御部21は、電圧検出信号Vdに基づいて連系点における基本電圧の振幅を検出し、この基本電圧の振幅が、所定の第2判別条件を満たしたかを判断する(ステップS13)。
【0061】
この第2判別条件は、連系点における基本電圧の振幅の変化状況に基づいて、単独運転の発生の有無を暫定的に判別するための条件である。つまり第2判別条件が満たされた場合、電力系統の電力状態が、パワコン1の出力に付与された能動的変化に追従したとみなされ、単独運転が発生したと暫定的に判別される。
【0062】
第2判別条件の具体的内容については、各種の態様とすることが可能であり、特に限定されない。一例を挙げれば、数周期前の基本電圧の振幅を基準とし、基本電圧の振幅が一定以上の度合で変化した場合に、第2判別条件が満たされたとすることが可能である。なお、能動的変化の付与が開始された後の最初の1周期だけではなく、例えばその後の数周期の期間に亘って基本電圧の振幅が変動し続けたか否かを、第2判別条件としても良い。
【0063】
また主制御部21は、電圧検出信号Vdに基づいて連系点における高調波電圧の振幅を検出し、この高調波電圧の振幅が、所定の第3判別条件を満たしたかを判断する(ステップS14)。
【0064】
この第3判別条件は、連系点における高調波電圧の振幅の変化状況に基づいて、単独運転の発生の有無を暫定的に判別するための条件である。第3判別条件が満たされた場合、電力系統における電力状態が、パワコン1の出力に付与された能動的変化に追従したとみなされ、単独運転が発生したと暫定的に判別される。
【0065】
第3判別条件の具体的内容については、各種の態様とすることが可能であり、特に限定されない。一例を挙げれば、数周期前の高調波電圧の振幅を基準とし、高調波電圧の振幅が一定以上の度合で変化した場合に、第3判別条件が満たされたとすることが可能である。なお、能動的変化の付与が開始された後の最初の1周期だけではなく、例えばその後の数周期の期間に亘って高調波電圧の振幅が変動し続けたか否かを、第3判別条件としても良い。
【0066】
そして主制御部21は、第1判別条件が満たされており(ステップS15のY)、かつ、第2判別条件および第3判別条件の少なくとも一方が満たされている(ステップS16のY)場合には、単独運転が発生したと判別し(ステップS17)、単独運転判別動作を終了させる。
【0067】
一方、主制御部21は、第1判別条件が満たされていないとき(ステップS15のN)や、第2判別条件および第3判別条件の何れも満たされていないとき(ステップS16のN)には、パワコン1の出力への能動的変化の付与を開始してから、判別設定時間が経過したかを判断する(ステップS18)。
【0068】
この判別設定時間は、単独運転の判別に用いられる時間として、予め設定されているものである。主制御部21は、判別設定時間が経過したと判断した場合には(ステップS18のY)、単独運転は発生していないと判別し(ステップS19)、単独運転判別動作を終了させる。一方、主制御部21は、判別設定時間が経過していないと判断した場合には(ステップS18のN)、ステップS12の動作を繰り返す。
【0069】
上述した単独運転判別動作によれば、第1判別条件が満たされただけでは単独運転が発生したとは判別されず、これに加えて、第2判別条件または第3判別条件が満たされたときに、単独運転が発生したと判別される。そのため、第1判別条件が満たされただけで単独運転が発生したと判別される場合に比べ、単独運転が発生したと誤って判別されることが抑えられるようになっている。
【0070】
例えば、電力系統の電圧の周波数がたまたま一方向へ連続的に変動したようなとき、第1判別条件だけが考慮される場合には、単独運転が誤って判別されるおそれがある。しかし本実施形態のパワコン1によれば、第1判別条件に加えて、第2判別条件または第3判別条件が満たされないと単独運転が発生したとは判別されないため、電力系統の電圧の周波数がたまたま一方向へ連続的に変動したときでも、単独運転が誤って判別されることは回避される。
【0071】
[単独運転判別動作の変形例について]
単独運転判別動作の具体的内容は上述した形態には限られず、様々な形態が採用され得る。ここで単独運転判別動作の変形例について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0072】
単独運転判別動作の開始に伴い、主制御部21は、パワコン1の出力電力への能動的変化の付与を開始する(ステップS21)。なおステップS21の動作は、先述したステップS11の動作と同等である。
【0073】
そして主制御部21は、変化付与信号を出力してパワコン1の出力に能動的変化が付与されるようにしつつ、次の動作を実行する。主制御部21は、電圧検出信号Vdに基づいて連系点における基本周波数を検出し、この基本周波数の変化状況が所定の第1判別条件を満たしたかを判断する(ステップS22)。なおステップS22の動作は、先述したステップS12の動作と同等である。
【0074】
そして第1判別条件が満たされている場合には(ステップS23のY)、主制御部21は、電圧検出信号Vdに基づいて連系点における基本電圧の振幅を検出し、この基本電圧の振幅が、所定の第2判別条件を満たしたかを判断する(ステップS24)。なおステップS24の動作は、先述したステップS13の動作と同等である。
【0075】
そして主制御部21は、第2判別条件が満たされている場合には(ステップS25のY)、単独運転が発生したと判別し(ステップS26)、単独運転判別動作を終了させる。一方、第2判別条件が満たされていない場合には(ステップS25のN)、主制御部21は、電圧検出信号Vdに基づいて連系点における高調波電圧の振幅を検出し、この高調波電圧の振幅が、所定の第3判別条件を満たしたかを判断する(ステップS27)。なおステップS27の動作は、先述したステップS14の動作と同等である。
【0076】
そして主制御部21は、第3判別条件が満たされている場合には(ステップS28のY)、単独運転が発生したと判別し(ステップS26)、単独運転判別動作を終了させる。一方、主制御部21は、第1判別条件が満たされていない場合(ステップS23のN)、或いは第3判別条件が満たされていない場合(ステップS28のN)には、パワコン1の出力への能動的変化の付与を開始してから、判別設定時間が経過したかを判断する(ステップS29)。なおステップS29の動作は、先述したステップS18の動作と同等である。
【0077】
主制御部21は、判別設定時間が経過したと判断した場合には(ステップS29のY)、単独運転は発生していないと判別し(ステップS30)、単独運転判別動作を終了させる。一方、主制御部21は、判別設定時間が経過していないと判断した場合には(ステップS29のN)、ステップS22の動作を繰り返す。
【0078】
上述した変形例に係る単独運転判別動作によっても、第1判別条件が満たされただけでは単独運転が発生したとは判別されない。第1判別条件が満たされ、かつ、第2判別条件または第3判別条件が満たされたときに、単独運転が発生したと判別される。そのため、第1判別条件が満たされただけで単独運転が発生したと判別される場合に比べ、単独運転が発生したと誤って判別されることが抑えられるようになっている。
【0079】
また当該変形例に係る単独運転判別動作によれば、第1判別条件および第2判別条件が満たされた場合には(ステップS25のYを参照)、直ちに単独運転が発生したと判別され、第3判別条件が満たされているかの判断動作(ステップS27を参照)の実行を、省略することが可能となっている。なお当該変形例では、第2判別条件が満たされているかの判断動作が、第3判別条件が満たされているかの判断動作より先に行われるようになっているが、何れが先に行われるようにしても構わない。
【0080】
[二次電池を用いる場合について]
先述したように、直流電源2として二次電池が用いられる場合、パワコン1は二次電池を放電させるだけでなく、充電させることも可能となるように構成される。具体的には、パワコン1は、双方向の電力変換装置(二次電池を放電させる方向には電力の直流−交流変換を行い、充電させる方向には電力の交流−直流変換を行う装置)として構成され、二次電池の充放電が行われるように動作する。
【0081】
これによりパワコン1は、二次電池を放電させる場合には、二次電池の放電により得られる直流電力を交流の出力電力に変換し、電力系統に出力するように動作する。なおこの際、これまでに説明した連系状態制御動作(ステップS1〜S4)が実行されることになる。
【0082】
一方、パワコン1は、二次電池を充電させる場合には、電力系統から得られる交流電力を直流に変換して二次電池に送出し、二次電池を充電するように動作する。なおこの際にも、上述の連系状態制御動作に準じた動作が実行されるようにしても良い。
【0083】
2.第2実施形態
次に第2実施形態について説明する。なお第2実施形態は、単独運転判別動作の内容を除き、基本的には第1実施形態と同様である。以下の説明では、第1実施形態と異なる点の説明に重点を置き、第1実施形態と同等の点については説明を省略することがある。
【0084】
本実施形態に係るパワコン1は、単独運転判別動作において、連系点における電力或いは電圧が変化している方向に応じて、パワコン1の出力電力の大きさを変化させるようになっている。すなわちパワコン1は、第1実施形態においてパワコン1の出力に付与していた能動的変化(1次的変化)に加え、更に2次的変化として、上述したような出力電力の大きさの変化を、パワコン1の出力に対して与えるようになっている。
【0085】
この2次的変化は、連系点における電力或いは電圧が増大側の方向に変化しているときは、増大側の方向の変化(パワコン1の出力電力を大きくする変化)として、連系点における電力或いは電圧が減少側の方向に変化しているときは、減少側の方向の変化(パワコン1の出力電力を小さくする変化)として、パワコン1の出力電力に付与されることになる。
【0086】
なお連系点における高調波電圧のみが変化した場合(パワコン1の出力電力と負荷5が消費する電力が、ちょうど釣り合っている場合)には、パワコン1の出力電力を変化させる方向は、増大側と減少側の何れとしても構わない。
【0087】
このような2次的変化を加え、連系点における電力或いは電圧が2次的変化に追従することが確認できれば、単独運転が発生したと判定し、逆に追従しない場合には単独運転は発生していないと判定することが可能である。本実施形態ではこのような2次的変化を与えることによって、単独運転の検出の確実性をより一層高めることが可能となっている。
【0088】
例えば、電力系統の電圧の周波数がたまたま一方向へ連続的に変動し、更に、基本電圧や高調波電圧の振幅についても、あたかも単独運転の発生時のように変化が生じるケースであっても、第2実施形態のパワコン1によれば、単独運転の誤判別を抑えることが可能である。
【0089】
なお、上述したような2次的変化を与えるための手法としては、各種の形態が採用され得る。一例としては次のように、主制御部21が、パワコン1の出力電力に2次的変化を与えるようにすることが可能である。
【0090】
すなわち主制御部21は、単独運転判別動作の実行時において、連系点における基準電圧或いは高調波電圧の振幅がある方向(増大側或いは減少側の方向)に変化したことを検出したとき、パワコン1の出力電力に2次的変化が付与されるように、制御器22に指令を出す。
【0091】
なおこの指令は、連系点における基準電圧或いは高調波電圧の振幅が増大側の方向に変化していたときは、パワコン1の出力電力が所定量だけ増大するようにし、連系点における基準電圧或いは高調波電圧の振幅が減少側の方向に変化していたときは、パワコン1の出力電力が所定量だけ減少するようにする指令である。
【0092】
また制御器22は、この指令を受けたときには、当該指令に従ってパワコン1の出力電力が変化するように、インバータ操作量を決定する。これにより結果として、連系点における電圧が変化している方向に応じて、パワコン1の出力電力の大きさを変化させることが可能である。
【0093】
上述したように、第2実施形態に係るパワコン1は、連系点における電力状態の値が変動している方向を検出し、該検出された方向に応じて、パワコン1の出力電力の大きさを調節するようになっている。そのため、単独運転の検出の確実性をより一層高めることが可能となっている。
【0094】
3.第3実施形態
次に第3実施形態について説明する。なお第3実施形態は、単独運転判別動作の内容を除き、基本的には第1実施形態と同様である。以下の説明では、第1実施形態と異なる点の説明に重点を置き、第1実施形態と同等の点については説明を省略することがある。
【0095】
本実施形態に係るパワコン1は、常時(単独運転が発生する前から)、パワコン1の出力電力と負荷電力(負荷5が消費する電力)とのバランス(以下「電力バランス」と称する)を把握しておく。そしてこの電力バランスに基づいて、単独運転を判別するための条件(例えば、第1実施形態の説明で述べた第1〜第3判別条件)の内容を決定する。
【0096】
なお単独運転の発生時での、連系点における基本周波数や基本電圧等の振幅の変化の傾向は、電力バランスによって異なることが分かっている。図6は、電力バランスによって、これらの傾向がどのようになるかを例示したグラフである。
【0097】
なお図6において、横軸は負荷電力とパワコン1の出力電力との有効電力の差を、縦軸は負荷電力とパワコン1の出力電力との無効電力の差を、それぞれ表している。なお図6に示すP点(5%,5%)は、例えばパワコン1の出力電力が4kWであるのに対し、負荷電力が4.2kW+200Varであることを示している。
【0098】
図6に示すように、有効電力について、負荷電力がパワコン1の出力電力より大きいときには、単独運転発生時での連系点における基本電圧は低下する傾向にある。一方、有効電力について、負荷電力がパワコン1の出力電力より小さいときには、単独運転発生時での連系点における基本電圧は上昇する傾向にある。また有効電力について、負荷電力とパワコン1の出力電力との差が約5%より小さいときには、単独運転発生時での連系点における高調波電圧は上昇する傾向にある。
【0099】
また無効電力について、負荷電力がパワコン1の出力電力より誘導性にある場合には、単独運転発生時での連系点における基本周波数は上昇する傾向にある。一方、無効電力について、負荷電力がパワコン1の出力電力より容量性にある場合には、単独運転発生時での連系点における基本周波数は低下する傾向にある。
【0100】
このように、負荷電力とパワコン1の出力電力について、有効電力に差が有る場合は、単独運転が発生したときに基本電圧の振幅が変化するし、無効電力に差が有る場合は、単独運転が発生したとき基本周波数が変化することになる。
【0101】
上述したことから、予め電力バランスが判れば、単独運転発生時における連系点での基本周波数や基本電圧等の振幅の変化の傾向を、予め想定しておくことができる。そのため本実施形態のパワコン1によれば、現在の電力バランスに応じて単独運転を判別するための条件を適切に決定し、単独運転をより精度良く判別することが可能である。
【0102】
一例を挙げれば、パワコン1は、単独運転の発生時に連系点での基本周波数や基本電圧等の振幅が変化するレベル或いは方向等を、現時点の電力バランスに基づいて予め想定しておく。そして、実際にこの想定通りの変化が生じたら単独運転が発生したと暫定的に判別されるように、第1〜第3判別条件を決定しておく。
【0103】
なお、電力バランスを把握するための手法としては、各種の形態が採用され得る。一例としては図7に示すように、負荷5と系統遮断器4との間に、パワコン1から電力系統側への逆潮流電力を継続的に検出するセンサ30を設けておく。そしてセンサ30の検出結果の情報が、パワコン制御装置20へ伝送されるようにしておく。
【0104】
これによりパワコン制御装置20は、パワコン1の出力電力と負荷電力との釣合バランスが判り、負荷電力がわかることとなる。そのためパワコン制御装置20は、電力バランスを把握し、この電力バランスに基づいて、単独運転を判別するための条件の内容を決定することが可能である。
【0105】
上述したように、第3実施形態に係るパワコン1は、パワコン1の出力電力と連系点に接続された負荷5の電力とのバランスを把握し、このバランスに基づいて、単独運転を判別するための判別条件を決定するようになっている。そのためこのバランスに応じて判別条件を適切に決定し、単独運転をより精度良く判別することが可能となっている。
【0106】
なお第2実施形態では、単独運転の発生時に、連系点における電圧等が変化している方向に応じて、パワコン1の出力電力を変化させるようにするため、この変化している方向を検出するまでにある程度の時間を要することになる。この点、第3実施形態では、単独運転が発生する前から電力バランスを把握しておき、単独運転の発生に備えるようになっているため、より迅速な対応が可能となっている。
【0107】
但し、電力バランスが均衡している状況(つまり、パワコン1の出力電力と負荷電力とがほぼ同等である状況)では、単独運転発生時での連系点における基本周波数や基本電圧等の振幅の変化の傾向を、予め想定しておくことは比較的難しくなる。そこで後述する第4実施形態は、このような問題点を解決するものとなっている。
【0108】
4.第4実施形態
次に第4実施形態について説明する。なお第4実施形態は、単独運転判別動作の内容を除き、基本的には第1実施形態と同様である。以下の説明では、第1実施形態と異なる点の説明に重点を置き、第1実施形態と同等の点については説明を省略することがある。
【0109】
本実施形態に係るパワコン1は、第3実施形態の場合と同様に、常時、パワコン1の出力電力と負荷電力とのバランス(電力バランス)を把握しておく。そしてこの電力バランスを意図的に不均衡とするように(つまり、パワコン1の出力電力と負荷電力とが釣り合わないように)、予めパワコン1の出力電力を調節しておく。
【0110】
なお、電力バランスを意図的に不均衡とするための手法としては、各種の形態が採用され得る。一例としては主制御部21が、電力バランスを意図的に不均衡とするために、パワコン1の出力電力に必要な変化を与えるようにすることが可能である。
【0111】
すなわち主制御部21は、電力バランスを常時把握しておく。そして主制御部21は、電力バランスが均衡している状況では、電力バランスを不均衡とするために必要な変化がパワコン1の出力電力に付与されるように、制御器22に指令を出す。そして制御器22は、この指令を受けたときには、当該指令に従ってパワコン1の出力電力が変化するように、インバータ操作量を決定する。
【0112】
例えば、負荷電力(P1,Q1)が(3.8kW,0.1kVar)の場合には、パワコン1の出力電力(P2,Q2)が(4.0kW,−0.2kVar)となるように、インバータ操作量が決定されるようにする。これにより結果として、電力バランスが不均衡となるように、パワコン1の出力電力を変化させることが可能である。
【0113】
このようにして電力バランスを不均衡に維持しておけば、単独運転発生時での連系点における基本周波数や基本電圧等の振幅の変化等は、容易に推定可能となる。そのため本実施形態のパワコン1によれば、単独運転をより精度良く判別することが可能である。
【0114】
上述したように、第4実施形態に係るパワコン1は、パワコン1の出力電力と連系点に接続された負荷の電力とのバランスを把握し、このバランスが不均衡となるように、パワコン1の出力電力を調節するようになっている。そのため、単独運転をより精度良く判別することが可能となっている。
【0115】
[その他]
以上までに説明した通り、本実施形態に係るパワコン1(電力変換装置)は、電力系統に連系し、直流電力を交流の出力電力に変換して該電力系統に出力するようになっている。そしてパワコン1は、出力電力に能動的変化を付与したときの、連系点における電力の状態に関するパラメータに基づいて、単独運転の発生を判別する機能部(単独運転判別部)を備えている。
【0116】
そして単独運転判別部は、このパラメータの一種である電圧の周波数(基本周波数)が予め設定された判別条件(第1判別条件)を満たし、かつ、別の種類のパラメータ(基本電圧または高調波電圧の振幅)が予め設定された判別条件(第2または第3判別条件)を満たした場合に、単独運転が発生したと判別する。
【0117】
なお本実施形態では、電圧の周波数とは別の種類のパラメータとして、基本電圧または高調波電圧の振幅が採用されている。但しこの形態は一例であって、その他の形態が採用されていても構わない。
【0118】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、電力系統に連系するパワーコンディショナ等に利用することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 パワーコンディショナ(電力変換装置)
2 直流電源(分散電源)
3 系統電源
4 系統遮断機
5 負荷
12 コンデンサ
14 インバータ回路
15 インダクタ
16 コンデンサ
17 電流検出回路
18 電圧検出回路
19 連系リレー
20 パワコン制御装置
21 主制御部
22 制御器
23 PWMコンパレータ
24 三角波生成回路
30 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に連系し、直流電力を交流の出力電力に変換して該電力系統に出力する電力変換装置であって、
前記出力電力に能動的変化を付与したときの、連系点における電力の状態に関するパラメータに基づいて、単独運転の発生を判別する単独運転判別部を備え、
前記単独運転判別部は、
前記パラメータの一種である電圧の周波数が予め設定された判別条件を満たし、かつ、別の種類の前記パラメータが予め設定された判別条件を満たした場合に、単独運転が発生したと判別することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記別の種類のパラメータは、基本電圧の振幅または高調波電圧の振幅であることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記電力状態の値が変動している方向を検出し、
該検出された方向に応じて、前記出力電力の大きさを調節することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記出力電力と連系点に接続された負荷の電力とのバランスを把握し、
前記バランスに基づいて、前記判別条件を決定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記出力電力と連系点に接続された負荷の電力とのバランスを把握し、
前記バランスが不均衡となるように、前記出力電力を調節することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項6】
二次電池に接続され、該二次電池の放電により得られる前記直流電力を交流の出力電力に変換して、前記電力系統に出力する請求項1から請求項5の何れかに記載の電力変換装置であって、
前記電力系統から得られる交流電力を直流に変換して前記二次電池に送出し、該二次電池を充電させることを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5の何れかに記載の電力変換装置と、
前記直流電力を該電力変換装置に供給する直流電源と、を備え、
前記直流電力を交流電力に変換して、前記電力系統に出力することを特徴とする電力供給システム。
【請求項8】
請求項6に記載の電力変換装置と、
前記電力変換装置に接続される二次電池と、を備え、
前記二次電池の充放電を行うことを特徴とする充放電システム

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−231635(P2012−231635A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99441(P2011−99441)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】