説明

電力用開閉装置

【課題】機器本体の小形化と組立性を向上することにより作業時間を短縮して製造コストを低減できるとともに、輸送および据付時の制約低減を達成できる電力用開閉装置を得る。
【解決手段】固定接触子5と接離可能に可動接触子6が取り付けられた遮断部可動側導体4を有する遮断部1、互いに離隔して設置された断路部固定側導体9と断路部可動側導体11および前記断路部固定側導体9と接離可能に前記断路部可動側導体11に取り付けられた可動導体12を有する断路部8を備え、前記遮断部1と断路部8とが支持絶縁物28,29を介して支持部材16上に3相各々の主回路軸線が並行となるように設置され、前記遮断部1の可動接触子6および前記断路部8の可動導体12それぞれが3相分連結されて一式の操作装置21,23で共通に駆動されるように前記支持部材16内に構成した電力用開閉機器において、前記支持部材16が各相毎に分離可能とされた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力用開閉装置、特に、発電プラントにおいて発電機と主変圧器の間に設置されるような主回路開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電プラントにおいては、これまで主流であった高圧同期方式に代わって、低圧同期方式の採用が増加している。この場合、従来技術においても、この発明による実施の形態を示す図4と同様に、発電機Gに主回路開閉装置Aが設置される。
図4において、主回路開閉装置Aには、主回路遮断器B、主回路断路器C、遮断器側接地装置D、断路器側接地装置Eが設けられている。
ここで、主回路遮断器B、主回路断路器C、遮断器側および断路器側接地装置D,Eをそれぞれ個別の単体機器としてこれらを寄せ集めて構成するよりも、これら全てを一体化して構成するほうがトータルの据付面積を小さくでき、また製造コストが安くなるため積極的に採用される傾向にある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、3相分の遮断部1、断路部8、第一および第二の接地導体14,15が一体化され3相共通の支持架台16により支持された主回路開閉装置Aが開示されている。
【特許文献1】特許第3243750号公報(3−5頁、図1−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように構成された従来の一体形主回路開閉装置は、遮断器、断路器、接地装置をそれぞれ単体の機器で構成した場合よりも、据付面積の縮小や製造コストの低減の点で有利であるが、次のような問題がある。
【0005】
遮断部、断路部あるいは接地導体をその上部に支持している支持部材が一体であるため、組立時あるいは輸送・据付時における区分が大きく、特に大容量化を達成する場合には大きな問題であった。特に輸送経路の制約、据付搬入口サイズや使用可能な重機の制約により適用できない場合もある。また、遮断部操作装置、断路部操作装置、および第一、第二の接地部操作装置が高剛性の構造体に取り付けられ、支持部材の外側に取り付けられているため、機器本体が大きくなる問題があった。
【0006】
この発明は、上記のような問題を解消するためになされたもので、機器本体の小形化と組立性を向上することにより作業時間を短縮して製造コストを低減できるとともに、輸送および据付時の制約低減を達成できる電力用開閉装置を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る電力用開閉装置では、固定接触子が固定された遮断部固定側導体、および前記固定接触子と接離可能に可動接触子が取り付けられた遮断部可動側導体を有する遮断部、ならびに、互いに離隔して設置された断路部固定側導体と断路部可動側導体および前記断路部固定側導体と接離可能に前記断路部可動側導体に取り付けられた可動導体を有する断路部を備え、前記遮断部と断路部とが支持絶縁物を介して支持部材上に3相各々の主回路軸線が並行となるように設置され、前記遮断部の可動接触子および前記断路部の可動導体それぞれが3相分連結されて一式の操作装置で共通に駆動されるように前記支持部材内に構成された電力用開閉装置において、前記支持部材が各相毎に分離可能とされたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、機器本体の小形化と組立性を向上することにより作業時間を短縮して製造コストを低減できるとともに、輸送および据付時の制約低減を達成できる電力用開閉装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
この発明による実施の形態を図1から図4までについて説明する。図1は、この発明による実施の形態における一体形の主回路開閉装置の構成を示す側面図で、一部を断面図で示している。図2は、この発明による実施の形態における一体形の主回路開閉装置の構成を示す端面図である。図3は、この発明による実施の形態における一体形の主回路開閉装置の構成を示す平面図である。図4は、この発明による実施の形態における発電プラントの低圧同期方式採用時における主回路開閉装置の単線結線図である。
【0010】
図1において、電流を遮断するための遮断部1には、エポキシ樹脂等で製作された絶縁筒2、絶縁筒2の一端に固定された遮断部固定側導体3、絶縁筒2の他端に固定された遮断部可動側導体4、遮断部固定側導体3に固定された固定接触子5、固定接触子5との接触部を有する可動接触子6が設けられている。可動接触子6は、固定接触子5と接離可能に遮断部可動側導体4に取り付けられている。これら絶縁筒2、遮断部固定側導体3、遮断部可動側導体4、固定接触子5および可動接触子6で遮断部1を構成している。
【0011】
電圧を切るための断路部8に設けられた断路部固定側導体9は、遮断部1に設けられた遮断部可動側導体4と電気的および機械的に一体構成されている。断路部固定側導体9と遮断部可動側導体4との間には隔壁10が設けられ、遮断部1側には六フッ化硫黄などの絶縁ガスが封入されている。断路部可動側導体11は断路部固定側導体9と離隔して設置されている。可動導体12は、移動可能なように断路部可動側導体11に取り付けられている。これら断路部固定側導体9、断路部可動側導体11および可動導体12で断路部8を構成している。
また、遮断部固定側導体3を接地する第一の接地導体14および断路部可動側導体11を接地する第二の接地導体15が設けられ、必要に応じて主回路装置内に配置構成する。
【0012】
そして、例えば通常はボルト等で締結されているが、必要に応じて3相に分割可能な支持フレームからなる支持部材16、ならびに、遮断部1と断路部固定側導体9が一体となった部分を支持部材16の上に支持する第一の支持絶縁物28、および、断路部可動側導体11を支持部材16上に支持する第二の支持絶縁物29が設けられている。
【0013】
遮断部1を操作する遮断部操作装置21は、第一の支持絶縁物28の中空部を通って遮断部可動側導体4中のレバーにつながった第一の絶縁操作ロッド22を動かすことにより可動接触子6を駆動して遮断部1を作動させる。
断路部8を操作する断路部操作装置23は、断路部可動側導体11中のレバーにつながった第二の絶縁操作ロッド24を有し、この第二の絶縁ロッド24を動かすことにより可動導体12を駆動して断路部8を作動させる。
【0014】
第一と第二の接地部操作装置25,26で、それぞれ第一と第二の接地導体14,15を駆動して操作する。遮断部1と断路部8は支持部材16上に配置され、全体が外被32で被われており、支持部材16を締結しているボルトなどの締結部材を外すことにより3相に分割できる。
【0015】
図2において、左端に示した相は外被32を取り除いた内部を示す。また、図3においては、操作装置を配置している側の相の外被32を取り除いた内部を示す。
遮断部1、断路部8、第一と第二の接地導体14,15は各3個設置して3相分としているが、遮断部操作装置21、断路部操作装置23、および、第一と第二の接地部操作装置25,26は3相分共通であり、各操作装置を1台づつ設置している。これらの操作装置は高剛性の構造物、例えば厚板34に取り付けられ、この厚板34は端相の支持部材16の内部において部材の一部として、端相のフレームサイズに収まるように構成されている。連結ロッド35は、各操作装置からの駆動力を遮断部などに伝達する。また、例えば遮断部操作装置21が液圧式である場合などにその駆動源となるアキュムレータ17や油圧ポンプP等の補器が設けられているが、これらの補器類についても、いずれかの端相を支持する支持部材16内に収まるように配置している。
以上により、遮断部1を含む遮断装置,断路部8を含む断路装置,第一と第二の接地導体14,15を含む第一と第二の接地装置が一体化された主回路開閉装置Aが構成されている。
そして、3相分の遮断部1および断路部8をそれぞれ支持絶縁物28,29(図1参照)を介して支持し接地する支持部材16は、図2および図3の分割面SAおよびSBで示す個所で各相毎に分割可能に構成されている。支持部材16は通常状態では分割面SAおよびSBが互いにボルト等からなる締結部材FM(図2参照)によって一体に締結され、分割時には分割面SAおよびSBにおける締結部材FMによる締結が解かれて分割状態となる。
【0016】
前述のような構造とすることにより、遮断部操作装置21、断路部操作装置23、および、第一,第二の接地部操作装置25,26が厚板34からなる高剛性の構造体に取り付けられ、操作装置21,22,25,26を取り付けている厚板34からなる構造体は、いずれか端相の支持部材16内にその部材の一部として構成されているため、機器本体の小形化が可能となるうえ、遮断部1および断路部8あるいは接地導体14,15をその上部に支持している支持部材16を各相毎に分割可能な構造としたことにより、組立時あるいは輸送・据付時における区分を小さくすることができるため、特に大容量化機器を構成する場合には有利となる。
また、いずれか端相の支持部材16内に収まるように全ての操作装置および補器類を配置することにより、各相の分離後の大きさを同一とすることが可能となり、輸送および据付の簡素化・共通化が可能となる。操作装置および補器類を各相毎に分離された支持部材16のいずれかに支持部材16から突出して取り付けられると、操作装置および補器類が取り付けられた支持部材16と他の相の支持部材16とは大きさが異なることになり、各相の分離後の大きさを同一とすることができないのに対し、この実施の形態においては、全ての操作装置および補器類を各相毎に分離されたいずれか端相の支持部材16の内部に収まるように配置されているので、各相の分離後の大きさを同一とすることができる。
主回路開閉装置の端面構成を示す図2において、各相に分割されている支持部材16の端面から見た各相の寸法WとWとは同一であり、全ての操作装置および補器類を内部に配置した図示右端における端相としての支持部材16の端面寸法Wは他の相の端面寸法W,Wと同一であって、支持部材16を含む各相構成体の高さHおよび図示奥行寸法D(図3参照)は同一なので、支持部材16を含む各相構成体の大きさは同一となる。
【0017】
そして、以上に説明した電力用開閉装置としての主回路開閉装置は、これまでの高圧同期方式に代わり採用が増加している図4に示す低圧同期方式において、主回路開閉装置Aとして示されるように発電機Gと主変圧器M.Trとの間に接続されるものである。主回路開閉装置Aには、主回路遮断器B、主回路断路器C、遮断器側接地装置D、断路器側接地装置Eが構成されているものである。
【0018】
この発明による実施の形態によれば、固定接触子5が固定された遮断部固定側導体3、および、前記固定接触子5と接離可能に可動接触子6が取り付けられた遮断部可動側導体4を有する遮断部1、ならびに、互いに離隔して設置された断路部固定側導体9と断路部可動側導体11および前記断路部固定側導体9と接離可能に前記断路部可動側導体11に取り付けられた可動導体12を有する断路部8を備え、前記遮断部1と断路部8とが支持絶縁物28,29を介して支持部材16上に3相各々の主回路軸線が並行となるように設置され、前記遮断部1の可動接触子6および前記断路部8の可動導体12それぞれが3相分連結されて一式の操作装置21,23で共通に駆動されるように前記支持部材16内に構成された電力用開閉機器において、前記支持部材16が各相毎に分離可能とされたので、機器本体の小形化と組立性を向上することにより作業時間を短縮して製造コストを低減できるとともに、輸送および据付時の制約低減を達成できる電力用開閉装置を得ることができる。
【0019】
また、この発明による実施の形態によれば、前項の構成において、前記遮断部操作装置21とその遮断部操作装置21に含まれる補器類、および、前記断路部操作装置23とその断路部操作装置23に含まれる補器類の全てがいずれか端相の主回路開閉部を支持する支持部材16内部に配置され、3相を同一の大きさで分離できるように構成したので、機器本体の小形化と組立性をより向上することにより作業時間を短縮して製造コストを低減できるとともに、輸送および据付時の制約低減を達成できる電力用開閉装置を得ることができる。
【0020】
さらに、この発明による実施の形態によれば、前項の構成において、前記遮断部固定側導体3と断路部可動側導体11をそれぞれ接地する第一と第二の接地導体14,15、前記第一と第二の接地導体14,15をそれぞれ操作するため前記支持部材16内部に配置された第一と第二の接地部操作装置25,26を備え、前記遮断部1を操作する遮断部操作装置21とその遮断部操作装置21に含まれる補器類、前記断路部8を操作する断路部操作装置23とその断路部操作装置23に含まれる補器類、および、第一と第二の接地部操作装置25,26とその接地部操作装置25,26に含まれる補器類の全てがいずれか端相の主回路開閉部を支持する支持部材16内部に設置され、3相を同一の大きさで分離できるように構成されたので、接地装置を含めた機器本体の小形化と組立性をさらに向上することにより作業時間を短縮して製造コストを低減できるとともに、輸送および据付時の制約低減を達成できる電力用開閉装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明による実施の形態における主回路開閉装置の構成を示す側面図である。
【図2】この発明による実施の形態における主回路開閉装置の構成を示す端面図である。
【図3】この発明による実施の形態における主回路開閉装置の構成を示す平面図である。
【図4】発電プラントの低圧同期方式採用時における主回路開閉装置の単線結線図である。
【符号の説明】
【0022】
1 遮断部、2 絶縁筒、3 遮断部固定側導体、4 遮断部可動側導体、5 固定接触子、6 可動接触子、8 断路部、9 断路部固定側導体、10 隔壁、11 断路部可動側導体、12 可動導体、14 第一の接地導体、15 第二の接地導体、16 支持部材、17 アキュムレータ、21 遮断部操作装置、22 第一の絶縁操作ロッド、23 断路部操作装置、24 第二の絶縁ロッド、25 第一の接地部操作装置、26 第二の接地部操作装置、32 外被、34 厚板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接触子が固定された遮断部固定側導体および前記固定接触子と接離可能に可動接触子が取り付けられた遮断部可動側導体を有する遮断部、互いに離隔して設置された断路部固定側導体と断路部可動側導体および前記断路部固定側導体と接離可能に前記断路部可動側導体に取り付けられた可動導体を有する断路部を備え、前記遮断部と断路部とが支持絶縁物を介して支持部材上に3相各々の主回路軸線が並行となるように設置され、前記遮断部の可動接触子および前記断路部の可動導体それぞれが3相分連結されて一式の操作装置で共通に駆動されるように前記支持部材内に構成された電力用開閉装置において、前記支持部材が各相毎に分離可能とされたことを特徴とする電力用開閉装置。
【請求項2】
前記遮断部を操作する遮断部操作装置および前記断路部を操作する断路部操作装置がいずれか端相の前記支持部材内部に配置され、3相を同一の大きさで分離できるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の電力用開閉装置。
【請求項3】
前記遮断部固定側導体と断路部可動側導体をそれぞれ接地する第一と第二の接地導体、前記第一と第二の接地導体をそれぞれ操作するため前記支持部材内部に配置された第一と第二の接地部操作装置を備え、前記遮断部を操作する遮断部操作装置および前記断路部を操作する断路部操作装置ならびに前記第一と第二の接地部操作装置がいずれか端相の前記支持部材内部に設置され、3相を同一の大きさで分離できるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の電力用開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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