説明

電力管理システム

【課題】蓄電池に蓄電される電力を発電元の電源毎に識別して管理できる電力管理システムを提供する。
【解決手段】蓄電池1は複数種類の電力供給源2から供給される電力を蓄電する。入力電力計測部11は、各電力供給源2から蓄電池1に供給する電力供給量をそれぞれ計測する。入力電力管理部41は、入力電力計測部11の計測結果に基づいて電力供給源2毎に蓄電池1への電力供給量を管理する。放出電力計測部12は蓄電池1から放出される電力放出量を計測する。放出電力管理部42は、放出電力計測部12の計測結果に基づいて、電力供給源2毎に蓄電池1から放出された電力放出量を管理する。蓄積電力管理部43は、入力電力管理部41及び放出電力管理部42が管理する電力供給源2毎の電力供給量及び電力放出量をもとに、電力供給源2毎に蓄電池1に蓄積されている蓄積電力量を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自然エネルギーの利用が推奨されており、一般家庭においても太陽光発電装置の普及が進みつつある。ところで、一般家庭においては太陽光発電装置で発電が行われる昼間は夕方や夜間に比べて在宅人数が少ないために電力需要が低下し、夕方や夜間になって家人が帰宅すると電力需要が増加する傾向がある。そこで、太陽光発電装置で昼間に発電された電力の余剰分を蓄電池に貯めておき、蓄電池に貯めておいた電力を、電力需要が増加する夕方から夜間に利用することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−198846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、我が国においても「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(所謂RPS法)が制定され、新エネルギー等から発電される電気を一定割合以上利用することが電気事業者に義務づけられることになった。これによって、一般家庭においても太陽光発電装置で発電された電力を電気事業者に売電することが可能になった。
【0005】
しかしながら、一般家庭に設置された太陽光発電装置では、系統電圧の上昇に伴う電圧抑制の発生によって、発電した電力をすぐに電気事業者に売電できない場合があり、この場合は家庭内で発電電力を消費するか、蓄電池に貯めて後で利用することになる。
【0006】
ここで、複数の発電元で発電された電力が蓄電池に蓄電される場合、蓄電池に貯められた電力の発電元を識別できないと、売電電力に太陽光発電による発電電力以外の電力が含まれる可能性があるため、電気事業者側に売電することができなかった。また電気事業者側に売電できたとしても、太陽光発電による発電電力以外の電力が混ざっている可能性があるため、太陽光発電装置で発電した電力が、太陽光発電の場合の買取価格よりも安い価格でしか売電できなかった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、蓄電池に蓄電される電力を発電元の電源毎に識別して管理できる電力管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の電力管理システムは、蓄電池と入力電力計測部と入力電力管理部と放出電力計測部と放出電力管理部と蓄積電力管理部とを備えることを特徴とする。蓄電池は、複数の電力供給源から供給される電力を蓄電する。入力電力計測部は、電力供給源毎に蓄電池に供給する電力供給量を計測する。入力電力管理部は、入力電力計測部の計測結果に基づいて電力供給源毎に蓄電池への電力供給量を管理する。放出電力計測部は、蓄電池から放出される電力放出量を計測する。放出電力管理部は、放出電力計測部の計測結果に基づいて電力供給源毎に電力放出量を管理する。蓄積電力管理部は、入力電力管理部及び放出電力管理部が管理する電力供給源毎の電力供給量及び電力放出量をもとに1乃至複数の電力供給源の蓄積電力量を管理する。
【0009】
この電力管理システムにおいて、蓄積電力管理部は、蓄電池に蓄電された電力量の合計値に対する電力供給源毎の蓄積電力量の割合を求めることも好ましい。放出電力管理部は、放出電力計測部が計測した電力放出量において、上記割合にて電力供給源毎の電力放出がなされたものとして、電力供給源毎の電力放出量を求める。
【0010】
この電力管理システムにおいて、蓄電池から放電する際に各々の電力供給源による蓄電分を放電させる優先度を記憶する記憶部を備えることも好ましい。放出電力管理部は、放電前の電力供給源毎の蓄積電力量と、放出電力計測部が計測した電力放出量とに基づき、優先度の高い電力供給源の蓄電分から放出されたこととして、電力供給源毎の電力放出量を求める。
【0011】
この電力管理システムにおいて、蓄積電力管理部は、所定の電力供給源から蓄電池に電力が供給された場合、所定の有効期限がくるまでの間、この電力供給源からの電力供給量に相当する蓄積電力をこの電力供給源による蓄電分として管理することも好ましい。
【0012】
上述の電力管理システムにおいて、蓄積電力管理部で管理された電力供給源毎の蓄積電力量の情報を出力する出力手段を備えることも好ましい。
【0013】
上述の電力管理システムにおいて、蓄積電力管理部で管理された電力供給源毎の蓄積電力量の情報を消去するリセット手段を備えることも好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、蓄積電力管理部が1乃至複数の電力供給源の蓄積電力量を管理しているので、発電元の電力供給源を識別して蓄積電力量を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の電力管理システムの要部を示すブロック図である。
【図2】同上のシステム構成図である。
【図3】(a)は蓄電時の動作を示すフローチャート、(b)は放電時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る電力管理システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図2は本実施形態の電力管理システムのシステム構成図である。本システムは、蓄電池1と、電力供給源である太陽光発電装置2a、燃料電池2b及び商用交流電源2cと、電力変換ユニット10と、DC分電盤20と、AC分電盤30と、電力管理装置40と、通信インタフェース50と、表示パネル60とを備えている。
【0018】
AC分電盤30では、商用交流電源2cに接続される主幹ブレーカ31と、主幹ブレーカ31の二次側に接続された複数の分岐ブレーカ32を備え、分岐ブレーカ32を介して制御機器33に交流電源(AC100V)が供給される。また主幹ブレーカ31の二次側には燃料電池2bが接続されており、燃料電池2bで発電された交流電力は主幹ブレーカ31を介して電力変換ユニット10に出力される。
【0019】
DC分電盤20は、電力変換ユニット10から直流電力の供給を受けて、制御機器21に給電する。
【0020】
電力変換ユニット10には、AC分電盤30が交流系電力線L2を介して接続されてお
り、この交流系電力線L2を介して商用交流電源2c及び燃料電池2bに接続されるとともに、直流系電力線L1を介して太陽光発電装置2aに接続されている。電力変換ユニット10は、AC分電盤30から供給される交流電力および太陽光発電装置2aから供給される直流電力を所定の直流電力に変換してDC分電盤20に出力する。ここで、太陽光発電装置2a、燃料電池2bの発電電力が直流系の負荷の電力需要を上回っていれば、発電電力に余剰分が発生するので、電力変換ユニット10は余剰分を蓄電池1に蓄電させる。また、夜間など商用交流電源2cの単価が安い時間帯に交流電力を買電して蓄電池1に蓄電しておき、単価が高い時間帯に使用することも考えられ、電力変換ユニット10では、商用交流電源2cから買電した交流電力を直流電力に変換して蓄電池に蓄電させる。また電力変換ユニット10では、例えば直流系の負荷の電力需要が発電能力を上回ると、蓄電池1に蓄電されている電力を放出させて、直流系の負荷で利用する。また電力変換ユニット10は、蓄電池1に蓄電された蓄電分のうち、太陽光発電装置2aで発電された蓄電分を放出させて交流電力に変換し、交流電源系統に売電する機能も備えている。
【0021】
図2は電力変換ユニット10および電力管理装置40のブロック図であり、電力変換ユニット10は、入力電力計測部11と放出電力計測部12と電力放出制御部13と出力部14を主要な構成として備えている。
【0022】
入力電力計測部11は、各々の電力供給源2について蓄電池1に供給される電力供給量をそれぞれ計測する。本実施形態では電力供給源2として太陽光発電装置2aと燃料電池2bと商用交流電源2cがある。入力電力計測部11は、太陽光発電装置2aからの入力電流および入力電圧を計測することによって、太陽光発電装置2aからの電力供給量を計測する。また入力電力計測部11は、AC分電盤30からの入力電力を計測するとともに、センサー34を用いて燃料電池2bの発電電力を読み込み、燃料電池2bからの電力供給量および商用交流電源2cからの電力供給量(買電電力)を個別に計測する。
【0023】
放出電力計測部12は、蓄電池1から放出される電力量(放出電力量)を計測する。
【0024】
電力放出制御部13は蓄電池1からの放電を制御する。蓄電池1から放電された電力は出力部14からDC分電盤20に出力されて、直流系の制御機器21で利用されるか、或いは、出力部14で交流電力に変換されてAC分電盤30に送られ、交流電源系統に売電される。
【0025】
また電力管理装置40は、通信インタフェース(通信I/F)50を介して電力変換ユニット10との間で情報信号を授受し、蓄電池1の蓄電電力に関わる情報などを表示パネル60に表示させる。この電力管理装置40は、図1に示すように、入力電力管理部41と放出電力管理部42と蓄積電力管理部43と記憶部44とリセット部45を主要な構成として備えている。
【0026】
入力電力管理部41は、通信インタフェース50を介して電力変換ユニット10から入力電力計測部11の計測結果を読み込んでおり、電力供給源2毎に蓄電池1への電力供給量を管理する。
【0027】
放出電力管理部42は、通信インタフェース50を介して電力変換ユニット10から放出電力計測部12の計測結果を読み込み、全体の電力放出量をもとに、電力供給源2毎の電力放出量を管理する。
【0028】
蓄積電力管理部43は、入力電力管理部41及び放出電力管理部42が管理する電力供給源2毎の電力供給量及び電力放出量をもとに、電力供給源2毎の蓄積電力量を管理する。
【0029】
記憶部44は、蓄積電力管理部43が求めた電力供給源2毎の蓄電量を記憶する。
【0030】
リセット部45は、ユーザの操作に応じて記憶部43に記憶された電力供給源2毎の蓄電電力の情報を消去する。
【0031】
以下に、この電力管理システムの動作を図3(a)(b)のフローチャートに基づいて説明する。
【0032】
先ず、図3(a)のフローチャートを参照して蓄電時の動作を説明する。電力変換ユニット10は、電力供給源2である商用交流電源2cから買電された電力や、太陽光発電装置2a又は燃料電池2bで発電された電力の供給を受けると(S1)、これらの電力供給源2から供給された電力を蓄電池1に蓄積させる(S2)。この時、入力電力計測部11では、太陽光発電装置2aによる発電電力であるか、AC分電盤30から給電された電力であるかを判断する。AC分電盤30から給電されている場合、入力電力計測部11はセンサー34の出力をもとに燃料電池2bによる発電電力であるか、商用交流電源2cからの買電であるかを判断する。ここで、電力供給源が商用交流電源2cからの買電ではない場合(S3のNo)、入力電力計測部11は、センサー34の検出結果をもとに電力供給源2が太陽光発電装置2a及び燃料電池2bの何れであるかを特定して、電力供給量を計測する(S4)。また、電力供給源が商用交流電源2cからの買電である場合(S3のYes)、入力電力計測部11は、現在時刻をもとに表1のテーブルを参照して買電の種類を決定し、その電力供給量を計測する(S5)。ここで、商用交流電源2cから買電する場合、時間帯によって買電電力の単価が異なるので、各時間帯で買電量を管理している。下記の表1は時間帯と買電の種別との対応関係を示すテーブルであり、表1の例では1日を4つの時間帯に分け、時間帯毎に買電の種類を規定している。
【0033】
【表1】

【0034】
入力電力計測部11は、上記の処理を行って、蓄電池1に蓄電される電力の供給元を特定するとともに、その供給電力量を計測すると、蓄電電力の電力供給源および供給電力量の計測結果を電力管理装置40の入力電力管理部41へ出力する。
【0035】
電力管理装置40の入力電力管理部41は、入力電力計測部11から蓄積電力の電力供給源及び供給電力量の計測結果が入力されると、記憶部44から電力供給量管理テーブル(表2参照)を読み込む。この電力供給量管理テーブルには、電力供給源毎の蓄積電力量とその合計値、並びに、蓄積電力量の合計値に対する電力供給源毎の蓄積電力量の割合が記憶されている。
【0036】
【表2】

【0037】
入力電力管理部41は、電力供給源毎の蓄積電力量を電力供給量管理テーブルから読み出し、供給元の電力供給源2の蓄積電力量に今回の計測結果を加算して蓄積電力量を更新し、記憶部44に記憶させる(S6)。また電力供給量管理テーブルが更新されると、蓄積電力管理部43は、電力供給量管理テーブルから各電力供給源2の蓄積電力量を読み出して蓄積電力量を合計し、この合計値に対する各電力供給源2の蓄積電力量の割合を求めて、電力供給量管理テーブルに記憶させる(S7)。
【0038】
次に、図3(b)のフローチャートを参照して放電時の動作を説明する。電力変換ユニット10の電力放出制御部13によって蓄電池1に蓄電された電力が放出されると、蓄電池1から放出された電力は、直流系の制御機器21で利用されるか、交流電力に変換されて交流電源系統に売電される(S11)。この時、蓄電池1から放出された電力量は放出電力計測部12によって計測され、放出電力量の計測結果が放出電力計測部12から通信インタフェース50を介して電力管理装置40へ出力される。電力管理装置40では、放出電力管理部42が放出電力量の計測結果を取り込み、この放出電力量(全体)においてS7で求めた割合で電力供給源2毎に電力放出がなされたものとして、電力供給源2毎の放出電力量を求める(S12)。すなわち、全体の放出電力量をA(kWh)、ある電力供給源2の蓄積電力量が全体に占める割合をxとすると、この電力供給源2による蓄電分から放出された電力は、A×x(kWh)として求められる。
【0039】
例えば表3に示すように、4つの電力供給源(太陽光発電P1、買電(昼)P2、買電(夜)P3、燃料電池P4)によって蓄電池1に蓄電されている状態で、時刻T1→T2→T3と電源毎の蓄積電力量が変化したとする。ここで、放電前の時刻T3において、各電源の蓄積電力量P1,P2,P3,P4がそれぞれ18Wh、12Wh、12Wh、18Whであったとすると、電源毎の蓄積電力量の比率はP1:P2:P3:P4=3:2:2:3となる。その後、蓄電池1に蓄電されていた電力が15Wh使用された場合、放出電力管理部42は、放電前に求めた電源毎の比率を用いて、電力供給源毎に放出電力量を配分する。例えば太陽光発電装置2aであれば、太陽光発電装置2aによる蓄電分の全体に対する比率は3/10であるので、太陽光発電装置2aによる蓄電分から放出された電力量は15×3/10=4.5(Wh)と求められる。他の電力供給源2についても同様の計算を行って放出電力量を求めることができ、放電後の時刻T4における蓄積電力量は下表の通りになり、放電前後で電力供給源2毎の蓄積電力量の比率は同じ値となる。
【0040】
【表3】

【0041】
このようにして電力供給源毎に放出電力量が分配されると、蓄積電力管理部43は、記憶部44から電力供給量管理テーブルを読み出し、各電力供給源2の蓄積電力量から放出電力量を減算することによって、蓄積電力量の値を更新する(S13)。また蓄積電力管理部43は、電力供給量管理テーブルから蓄積電力量の合計値を読み出し、この合計値から全放出電力量を減算して、蓄積電力量の値を更新し(S14)、更新後の電力供給量管理テーブルを記憶部44に記憶させる。
【0042】
したがって、記憶部44に記憶された電力供給量管理テーブルには、蓄電池1に蓄電されている蓄積電力量が、電力供給源毎に分類して記憶されるから、各々の電力供給源2による蓄電分を個別に管理することができる。
【0043】
ここで、蓄電池1に蓄電された電力を売電する場合、蓄積電力管理部43は、記憶部44に記憶された電力供給量管理テーブルを参照して、太陽光発電装置2aによる蓄電分を抽出することにより、売電可能な電力量を求めている。そして、蓄積電力管理部43では、電力変換ユニット10の電力放出制御部13に、太陽光発電装置2aによる蓄電分の範囲内で売電を指示すると、蓄電池1に蓄電された電力が出力部14から放出され、電源系統側に売電される。
【0044】
上述のように電力管理装置40は、蓄電池1に蓄電されている電力のうち、太陽光発電装置2aによる発電分がどれだけあるかを把握しているから、蓄電池1に蓄電された電力であっても、太陽光発電装置2aによる発電分として売電することができる。したがって、発電時以外でも所望のタイミングで太陽光発電装置2aによる発電電力を売電することができ、買取価格が高い時間帯を狙って売電できる。また、蓄電池1に蓄電された電力を電力供給源2毎に識別して管理しているので、太陽光発電以外の電源による電力が含まれていない太陽光発電の発電分として売電できるから、他の電源よりも高めに設定された太陽光発電の買取価格で売電することができる。
【0045】
このように本実施形態では電力供給源毎の蓄電分の割合(比率)を求め、この割合にしたがって各電力供給源の蓄電分が放出されたと判断しており、放電前後で電力供給源毎の蓄電分の比率が変化しないものとして、電源毎の放出電力量を求めることができる。
【0046】
ところで本実施形態では放電直前に蓄電池1に蓄積された各電力供給源2による蓄積電力量の割合を求め、この割合にしたがって各電力供給源2の蓄電分が放電したものとみなして、放電後の各電力供給源2による蓄積電力量を求めているが、蓄電池1からの電力放出量を各電力供給源2に配分する方法は上記の方法に限定されるものではない。
【0047】
例えば、上述した電力供給量管理テーブルに電源毎の蓄積電力量の割合を記憶させる代わりに、蓄電池1から放電する際に各電力供給源2による蓄電分を放電させる優先度を記憶させておき、この優先度を用いて電力放出量を各電力供給源2に配分してもよい。
【0048】
ここで、蓄電池1の蓄積電力を負荷で利用するために蓄電池1から放電させた場合、その放出電力量が放出電力計測部12で計測されて、放出電力管理部42に出力される。放出電力管理部42は、記憶部44から電力供給量管理テーブルを読み出し、各電力供給源2に割り当てられた優先度を読み込む。ここで、放出電力管理部42は、蓄電池1が放電する際に、優先度の高い電力供給源2の蓄電分から順番に放出されたものとして、電力供給源毎に蓄電分からの放出電力量を決定する。
【0049】
例えば下記の表4に示すように、4つの電力供給源(太陽光発電P1、買電(昼)P2、買電(夜)P3、燃料電池P4)によって蓄電池1に蓄電されている状態で、時刻T1→T2→T3と電源毎の蓄積電力量が変化したとする。尚、4つの電力供給源P1〜P4の優先度は、太陽光発電装置P1が最も低く、太陽光発電装置P1<買電(昼)P2<買電(夜)P3<燃料電池P4の順番で優先度が高くなっている。ここで、放電前の時刻T3において、各電源の蓄積電力量がそれぞれP1=18Wh、P2=12Wh、P3=12Wh、P4=18Whであり、その後、蓄電池1に蓄電されていた電力が20Wh使用されたとする。放出電力管理部42は、優先度が高い電力供給源2の蓄電分から順番に放出されたものと見なしており、先ず優先度が最も高い燃料電池P4の蓄積電力量(=18Wh)と放出電力量(=20Wh)とを比較する。この場合、燃料電池P4による蓄積電力量よりも放出電力量の方が多いので、放出電力管理部42では、燃料電池P4による蓄電分が全量放出され、且つ、放出電力量から燃料電池P4の蓄電分を差し引いた残りは、次に優先度が高い買電(夜)P3の蓄電分から放電されたと判断する。而して、放出電力管理部42では、燃料電池による蓄電分18Whと、買電(夜)の蓄電分2Whが放電されたと判断する。そして、蓄積電力管理部43では、放電前の電源毎の蓄積電力量と、電源毎の放出電力量とに基づいて、放電後の時刻T4における電源毎の蓄積電力量を、太陽光発電:18Wh、買電(昼):12Wh、買電(夜):10Wh、燃料電池:0Whと
決定する。
【0050】
【表4】

【0051】
このように、電源毎に優先度を予め設定しておけば、優先度が低めに設定された電源の蓄電分を、できるだけ残しておくことができ、例えば売電が可能な太陽光発電装置2aの優先度を低めに設定することで、売電可能な蓄積電力量をより多く残すことができる。
【0052】
なお、本実施形態では全ての電力供給源に優先度を設定しているが、全ての電力供給源に優先度を設定する必要はなく、優先度が高めに設定される1乃至複数の電力供給源のみに優先度を設定してもよい。また優先度が高低2段階に設定される場合は、優先度が高い電力供給源のみに優先度が設定されればよい。
【0053】
また、上述の実施形態では電力供給源毎に蓄電池1への電力供給量と放出電力量を求め、これらの値を用いて電力供給源毎の蓄積電力量を求めているが、蓄積電力管理部43では、ある電力供給源2から蓄電池1に電力が供給された場合に、所定の有効期限が来るまでの間、この電力供給源2からの電力供給量に相当する蓄電電力を、この電力供給源2に
よる蓄電分として管理してもよい。
【0054】
例えば、蓄積電力管理部43では、太陽光発電装置2aによる発電の終了時(例えば18時)から所定の有効期限がくるまでの間、発電終了時までに太陽光発電装置2aから蓄電池1に供給された電力供給量に相当する蓄電電力を、太陽光発電装置2aによる蓄電分とみなして管理する。
【0055】
下記の表5は、4つの電力供給源(太陽光発電P1、買電(昼)P2、買電(夜)P3、燃料電池P4)で蓄電池1に蓄電される場合を示し、太陽光発電装置2aによる発電終了時までに、太陽光発電装置2aによって3Whの電力が発電されたものとする。ここで、蓄積電力管理部43が、太陽光発電装置2aによる蓄電分の有効期限を当日の24時までと設定すると、蓄電池1の蓄電分を売電しない限り、その日の24時が来るまでの間、蓄電池1の蓄積電力量が変動したとしても、太陽光発電装置2aによる蓄電分を3Whとして管理する。よって、当日の24時がくるまでの間は、蓄電池1に蓄電された電力のうち、3Whを太陽光発電装置2aによる発電分として売電することができる。尚、上記の有効期限は一例であって、所定の電力供給源2から蓄電池1に電力が供給された時点より一定期間が経過するまでを有効期限としてもよい。例えば太陽光発電装置2aによる発電終了時から3日間は、その日に太陽光発電装置2aで発電された電力量の1/3に相当する蓄積電力を、太陽光発電装置2aによる蓄電分として管理してもよい。尚、太陽光発電装置2aによる蓄電分を売電した場合は、有効期限内であっても、太陽光発電装置2aの蓄積分から売電電力を差し引いた電力を、太陽光発電装置2aによる蓄電分として管理する。
【0056】
【表5】

【0057】
ところで、上述した電力管理システムでは、電力管理装置40で管理された電力供給源毎の蓄積電力量の情報を表示パネル60に表示させることができ、表示パネル60の表示内容を確認することで、電源毎の蓄積電力量の情報を視覚的に把握することができる。尚、本実施形態では出力手段として例えば液晶ディスプレイからなる表示パネル60を備えているが、音声や紙出力で電力供給源毎の蓄積電力量の情報を出力するものでもよい。
【0058】
また、電力管理装置40はリセット部45を備え、ユーザがリセット部45を操作することによって、記憶部44に記憶された蓄積電力量の情報を消去できるので、蓄電池1の蓄電分を売電できない制度になった場合には、不要な情報を廃棄することができる。尚、リセット手段は、ユーザが操作するようなリセット部45に限定されるものではなく、例えば所定の時刻が来ると記憶部44に記憶された情報を消去するようなタイマでリセット手段を構成してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 蓄電池
2 電力供給源
2a 太陽光発電装置
2b 燃料電池
2c 商用交流電源
10 電力変換ユニット
11 入力電力計測部
12 放出電力計測部
40 電力管理装置
41 入力電力管理部
42 放出電力管理部
43 蓄積電力管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電力供給源から供給される電力を蓄電する蓄電池と、
前記電力供給源毎に前記蓄電池に供給する電力供給量を計測する入力電力計測部と、
前記入力電力計測部の計測結果に基づいて前記電力供給源毎に前記蓄電池への電力供給量を管理する入力電力管理部と、
前記蓄電池から放出される電力放出量を計測する放出電力計測部と、
前記放出電力計測部の計測結果に基づいて前記電力供給源毎に電力放出量を管理する放出電力管理部と、
前記入力電力管理部及び前記放出電力管理部が管理する前記電力供給源毎の電力供給量及び電力放出量をもとに1乃至複数の前記電力供給源の蓄積電力量を管理する蓄積電力管理部とを備えたことを特徴とする電力管理システム。
【請求項2】
前記蓄積電力管理部は、前記蓄電池に蓄電された電力量の合計値に対する前記電力供給源毎の蓄積電力量の割合を求め、
前記放出電力管理部は、前記放出電力計測部が計測した電力放出量において、前記割合にて前記電力供給源毎の電力放出がなされたものとして、前記電力供給源毎の電力放出量を求めることを特徴とする請求項1記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記蓄電池から放電する際に各々の前記電力供給源による蓄電分を放電させる優先度を記憶する記憶部を備え、
前記放出電力管理部は、放電前の前記電力供給源毎の蓄積電力量と、前記放出電力計測部が計測した電力放出量とに基づき、前記優先度の高い前記電力供給源の蓄電分から放出されたこととして、前記電力供給源毎の電力放出量を求めることを特徴とする請求項1記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記蓄積電力管理部は、所定の前記電力供給源から前記蓄電池に電力が供給された場合、所定の有効期限がくるまでの間、この電力供給源からの電力供給量に相当する蓄積電力をこの電力供給源による蓄電分として管理することを特徴とする請求項1記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記蓄積電力管理部で管理された前記電力供給源毎の蓄積電力量の情報を出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記蓄積電力管理部で管理された前記電力供給源毎の蓄積電力量の情報を消去するリセット手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電力管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−95397(P2012−95397A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238874(P2010−238874)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】