電力系統の負荷周波数制御方法及び装置
【課題】LFCに通常LFCと二次電池LFCを併用し、二次電池の負担を軽減する。
【解決手段】 火力発電機及び水力発電機を含む通常可変電源による負荷周波数制御(通常LFC)と、二次電池による負荷周波数制御(二次電池LFC)とを併用して行う電力系統の負荷周波数制御方法において、需用電力Pdemに対して固定電源の出力Pfix、並びに通常可変電源の出力Pvarを減算した値を通常LFCの制御残量εLFCとし、通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常LFCの制御残量εLFCに対して二次電池の出力Pbattを減算した値を連系線潮流出力Ptieにすると共に二次電池LFCの制御残量とし、二次電池LFCの制御残量に基づいて二次電池LFCを行い、通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを行う。
【解決手段】 火力発電機及び水力発電機を含む通常可変電源による負荷周波数制御(通常LFC)と、二次電池による負荷周波数制御(二次電池LFC)とを併用して行う電力系統の負荷周波数制御方法において、需用電力Pdemに対して固定電源の出力Pfix、並びに通常可変電源の出力Pvarを減算した値を通常LFCの制御残量εLFCとし、通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常LFCの制御残量εLFCに対して二次電池の出力Pbattを減算した値を連系線潮流出力Ptieにすると共に二次電池LFCの制御残量とし、二次電池LFCの制御残量に基づいて二次電池LFCを行い、通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池を含む電力系統の負荷周波数制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止を目的としたCO2排出量の抑制が社会全体に求められており、電気事業においては再生可能エネルギー(以下、本明細書において「RE」という。)の電力系統への大量導入が現実に想定されている。REのうち風力発電や太陽光発電(以下、本明細書において「PV」という。)は、出力が気象条件によって変動するため、周波数調整においては負荷周波数制御(以下、本明細書において「LFC」という。)の調整力が不足することが懸念されている。
【0003】
また、CO2排出量を削減するには、火力発電の出力を抑制することが望ましいが、火力発電は電力系統のLFCにおいて重量な役割を担っている。現状の負荷周波数制御方法が図5には示されており、これに基づいて、需要電力Pdem、電力系統の電源出力(固定電源の出力Pfix、可変電源の出力Pvar)、可変電源によるLFCの制御残量εLFC、及び連系線潮流出力Ptieの関係を説明すると、以下の通りである。
Pdemに対してPfixとPvarとの合計値を減算した差分が、εLFC(=Ptie)となる。そして、制御量としてのεLFCに基づいて可変電源によるLFC用の制御部がPvarを決定し、その決定されたPvarを電力系統に出力する処理が繰り返される。
つまり、数式で表せば、Ptie=Pdem−Pfix−Pvarとなる。
なお、固定電源とは、LFC機能のない発電設備と、他系統との電力融通を含むものである。LFC機能のない発電設備とは、主に原子力発電機を意味するが、出力調整機能のない水力発電機(自流式水力)、RE等も含まれる。
また、可変電源とは、LFC機能のある発電設備であり、通常、火力発電機、水力発電機(出力調整機能のある調整池式、貯水池式等)を意味する。本願において、水力発電機という場合には、特に断りがない限り、可変電源を意味する。更に、上述した可変電源を通常可変電源といい、通常可変電源によるLFCを通常LFCという。
【0004】
他方、需給調整においては、軽負荷期のREの余剰電力の発生が懸念されており、対策として蓄電池に代表される二次電池の設置が必要とされている。
【0005】
そこで、二次電池によるLFC(二次電池LFC)を行い、通常LFCと併用することが考えられている。つまり、二次電池と通常可変電源とを合わせたものを、可変電源とすることが考えられている。このような負荷周波数制御方法の一例が図6には示されている。先に述べた現状の負荷周波数制御方法との相違点は、制御量としてのεLFCを通常LFC用の制御部と二次電池LFC用の制御部に割り振り、これらの制御部の制御割合に応じたPvarを電力系統に出力している点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、二次電池LFCは、インバータ制御によって放電時には二次電池に貯蔵した電力を出力し、充電時には二次電池に電力を貯蔵するものであるから、通常LFCに比べてはるかに応答性がよく、高速な出力変化が得られる。従って、通常LFCと二次電池LFCを併用した場合、二次電池LFCがLFCの多くを行うことになる。その結果、二次電池の充放電が頻繁に行われ、二次電池の製品寿命を縮めることになる。
【0007】
本発明は、上記実情を考慮したもので、LFCに通常LFCと二次電池LFCを併用しながらも、二次電池の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、火力発電機及び水力発電機を含む通常可変電源による負荷周波数制御(以下、「通常LFC」という。)と、二次電池による負荷周波数制御(以下、「二次電池LFC」という。)とを併用して行う電力系統の負荷周波数制御方法において、需用電力Pdemに対して、固定電源の出力Pfix、並びに通常可変電源の出力Pvarを減算した値を、通常LFCの制御残量εLFCとし、通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCと二次電池LFCを併用して行うことを特徴とする。
【0009】
上記した請求項1の電力系統の負荷周波数制御方法に対応する装置が、請求項3に記載されている。請求項3の発明は、通常LFCを行う通常可変電源の制御部と、二次電池LFCを行う二次電池の制御部とを備える電力系統の負荷周波数制御装置において、系統内の計測部では、需用電力Pdemに対して、固定電源の出力Pfix、並びに通常可変電源の出力Pvarを減算した値を、通常LFCの制御残量εLFCとして求め、通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常可変電源の制御部が通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常可変電源の制御部による通常LFCと二次電池の制御部による二次電池LFCとが併用して行われることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の電力系統の負荷周波数制御方法の下位概念であって、通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常LFCの制御残量εLFCに対して二次電池出力Pbattを減算した値を連系線潮流出力Ptieにすると共に二次電池LFCの制御残量とし、二次電池LFCの制御残量に基づいて二次電池LFCを行い、二次電池LFCの制御残量と二次電池出力Pbattとの合計値である通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを行うことを特徴とするものである。
【0011】
上記した請求項3の電力系統の負荷周波数制御方法に対応する装置が、請求項4に記載されている。請求項4の発明は、通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常可変電源の制御部が通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常可変電源制御残量計測部が通常LFCの制御残量εLFCに対して二次電池出力Pbattを減算した値を連系線潮流出力Ptieとして求めると共に二次電池LFCの制御残量とし、二次電池LFCの制御残量に基づいて二次電池の制御部が二次電池LFCを行い、二次電池LFCの制御残量と二次電池出力Pbattとの合計値である通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常可変電源の制御部が通常LFCを行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電力不足の初期段階では通常LFCが行われることになり、電力不足が閾値を越えた場合に始めて二次電池LFCが行われる。また、電力余剰の初期段階では通常LFCが行われることになり、電力余剰が閾値を超えた場合に始めて二次電池LFCによる充電が行われる。従った、閾値を設けた分だけ、二次電池の負担が軽減される。
【0013】
また、通常LFCの制御残量が閾値の範囲内であるか否かに関係なく、通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCが行われることから、通常LFCでは対応できなかった速い需要電力の変動を、二次電池LFCによって対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電力系統を簡易化して示すブロック図である。
【図2】電力系統の負荷周波数制御方法を示すブロック図である。
【図3】図2の負荷周波数制御方法を実現するための具体的な一例を示すブロック図である。
【図4】図3の具体的な例をシュミレーションにより検証した結果を示すグラフである。
【図5】現状の負荷周波数制御方法を示すブロック図である。
【図6】現状における二次電池を用いた負荷周波数制御方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、電力系統が簡易化して示されている。電力系統は、固定電源10と可変電源20とによって作られた電力を、変電所50を経て負荷(需要家)60に供給するものである。可変電源20には、通常可変電源30と二次電池(蓄電池)40が用いられている。そして、電力系統で余剰分の電力は他の電力系統70に供給され、不足分の電力は他の電力系統70から供給されるようになっている。
【0016】
また、電力系統には指令所80が設けられている。指令所80には主に経済負荷配分制御用の制御部(図示せず)と、負荷周波数制御用の制御部80cとが設けられている。指令所80に設けられた負荷周波数制御用の制御部80cを主として負荷周波数制御装置が、電力系統内に構築されている。そして、負荷周波数制御装置には通信回線で接続された以下の各種の制御部と計測部が設けられている。
【0017】
制御部としては、上述の指令所80の他、可変電源20(通常可変電源30と二次電池40)に負荷周波数用の制御部が設けられている。制御部の概要をまず述べると、指令所80の制御部80cには、二次電池40からの放電、充電、停止を制御するための閾値が設定されている。また、二次電池40の制御部40c(二次電池LFC用の制御部)は、通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲内であるか否かによって、二次電池本体に対する充電、停止、放電を決定する。通常可変電源30の制御部30cは、閾値に関係なく、通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常可変電源本体を動作させる。
【0018】
計測部は、リアルタイムで電力を計測するものであって、具体的には次の通りである。
系統内の実際の使用電力(需要電力Pdem)を計測する需用電力計測部80aが、指令所80に設けられている。より詳しく言えば、各所の変電所50の計測部で計測される実際の使用電力が需用電力計測部80aに送信され、需用電力計測部80aではそれら使用電力を集計し、需要電力Pdemを算出する。また、固定電源10からの出力電力(固定電源の出力Pfix)を計測する固定電源出力計測部10a、通常可変電源30からの出力電力(通常可変電源の出力Pvar)を計測する通常可変電源出力計測部30a、二次電池40からの出力電力(二次電池の出力Pbatt)を計測する二次電池出力計測部40aが、各電源に設けられている。そして、これら電源10、30、40の出力計測部で計測した出力電力が指令所80の計測部に送信される。
【0019】
その他の計測部については、負荷制御装置による負荷周波数制御方法が示された図2を参照しながら説明する。指令所80には、第1〜第3の制御残量計測部が設けられている。詳しく言えば、以下の通りである。
第1の制御残量計測部81では、PdemからPfixを減算した出力(Pdem−Pfix)が計測される。
第2の制御残量計測部82では、更にPvarを減算した出力=通常可変電源30によるLFCの制御残量εLFC(以下、「通常LFCの制御残量」という。Pdem−Pfix−Pvar=εLFC)が計測される。
第3の制御残量計測部83では、更にPbattを引いた二次電池40の制御残量(εLFC−Pbatt=Ptie)が計測される。
これら第1、第2、第3の制御残量計測部81〜83を合わせたものが、連系線潮流出力Ptieを計測する連系線潮流出力計測部80bである。
また、指令所80には、第4の制御残量計測部84も設けられている。第4の制御残量計測部84では、PtieとPbattとの合計値(通常可変電源30の制御残量、Ptie+Pbatt=εLFC)が計測される。
【0020】
上述した負荷周波数制御装置による負荷周波数制御方法は以下の手順で行われる。
(1)第1の制御残量計測部81では、Pdem−Pfixが計測される。
(2)第2の制御残量計測部82では、Pdem−Pfix−Pvar=εLFCが計測される。
(3)第3の制御残量計測部83では、εLFC−Pbatt=Ptieが計測される。
(4)指令所80の制御部80cでは、εLFCの値が閾値の範囲内であるか否かを判断する。なお、閾値の値は、範囲内に含まれるか、範囲外に含まれるかいずれかであれば良い。
(5)範囲内である場合にはPbatt=0とする信号を二次電池40の制御部40cに出力する。それが入力された二次電池40の制御部40cでは、二次電池本体からの充放電動作を停止し、線路から二次電池本体が切り離された状態を保持する。
(6)また、範囲外である場合には、閾値を+方向に超えたときにはPtieの値、及び二次電池40に蓄えられている電力量等に応じてPbattを決定し、決定したPbattの信号を二次電池40の制御部40cに出力する。それが入力された二次電池40の制御部40cでは、二次電池本体を線路に接続して放電動作させ、インバータを介してPbattを線路に供給する。
(7)一方、閾値を−方向に越えたときには、二次電池40に蓄えられている電力量に応じてPbattを決定し、決定したPbattの信号を二次電池40の制御部40cに出力する。それが入力された二次電池40の制御部40cでは、二次電池本体を線路に接続して充電動作させ、線路からインバータを経てPbattを二次電池本体に充電する。これら(5)〜(7)の手順が二次電池LFCである。
(8)第4の制御残量計測部84では、Ptie+Pbatt=εLFCの値が計測される。なお、εLFC=Pdem−Pfix−Pvarであるので、Pbattの有無に関係なく、εLFCの信号が指令所80の制御部80cから通常可変電源30の制御部30cに出力される。それが入力された通常可変電源30の制御部30c(通常LFC用の制御部)では、εLFCの値に基づいてPvarを決定し、図示しない通常可変電源本体を動作させ、Pvarを線路に供給する。この(8)の手順が通常LFCである。
【0021】
上述した内容を要約して数式で示すと、連系線潮流出力Ptieは、以下の通りとなる。
Ptie=Pdem−Pfix−Pvar−Pbatt
また、上記式のPbattを左辺に移せば、
Ptie+Pbatt=Pdem−Pfix−Pvar
となる。
上記式の右辺Pdem−Pfix−Pvar=εLFCとなる。つまり、通常LFCの制御量は、二次電池40の有無に関係なく、一定である。
【0022】
図2の負荷周波数制御方法を実現するためのより具体的な一例が図3に示されている。(1)第2の制御残量計測部82で計測された制御量εLFCが閾値の範囲内である場合には、指令所80の制御部80c及び二次電池40の制御部40cは、Pbatt=0とする。
(2)一方、閾値の範囲外である場合には、二次電池40の制御部40cは、第3の制御残量計測部83で計測された制御量Ptieから、Kb(二次電池出力Pbattを安定に制御するためのフィードバックゲインを減算し、その減算値を所定時間(1/Tb)積分し、その積分値に基づいて上限リミッタLbと下限リミッタ−Lbの範囲内で、Pbattを供給するか、充電する。つまり、積分値が+の場合には、上限リミッタLbを最大値としてPbattを決定し、積分値が−の場合には下限リミッタ−Lbを最小値としてPbattを決定する。
(3)また、通常可変電源30の制御部30cは、εLFCの値にKc(増幅率)を乗じ、εLFC×Kcの値を上限リミッタLc1と下限リミッタ−Lc1の範囲内で出力する。そして、その出力値を所定時間(1/Tc)積分し、その積分値に基づいて上限リミッタLc2と下限リミッタ−Lc2の範囲内でPbattを決定する。
【0023】
上述した各種のリミッタ及び積分時間は、通常LFCと二次電池LFCを相互補完的に行うように設定することが望ましい。つまり、通常LFCにはゆったりして大きい動作を、二次電池LFCには速くて小さい動作を行わせるようにする。
後述のシミュレーション例では、Lb<Lc1、Lc2としてあるが、これは二次電池LFCのリミッタよりも小さい値に設定することで、二次電池40の出力が通常可変電源30の出力に対して小さな出力ですむようにしている(二次電池本体の充電容量に応じて、可動時の負担を小さくすることができる。)。
また、Tc>Tbとしてあるが、これは二次電池LFCの方の積分動作を速くするため(二次電池40の方が速い動作が期待できるため。)
【0024】
図3に示す具体的な例をシュミレーションにより検証した結果が図4である。ここではTc
= 10 min、 Tb = 0.1min、Kc = 100、Lc1 = 1、Lc2 = 1、Kb = 0.02、Lb = 0.2としている。なお、電力の単位はすべて100MWである。速い変動成分を含む需要波形を評価に用いるが、ここでは図4に示すような連続三角波を需用電力Pdemの変動として与えて、本願発明の二次電池LFCありの場合と、比較例の二次電池LFCなしの場合で、通常LFCによる出力Pvarと連系線潮流出力Ptieを比較している(ここでは簡単のため固定電源10の出力Pfix=0としている)。図4(a)に二次電池LFCなしのケース、図4(b)に二次電池LFCありのケースを示す。通常LFCによる通常可変電源30の出力Pvarは、二次電池LFCの有無にかかわらず変わらないことがわかる。よって、本願発明の負荷周波数制御方法は実現可能であり、また通常LFCと二次電池LFCの効果の識別も可能である。さらに、連系線潮流出力Ptieを二次電池40の有無で比較すると、図4(a)の二次電池LFCなしの場合の連系線潮流出力Ptie(=通常LFCの制御残量)の変動が、図4(b)の二次電池LFCありの場合には二次電池LFCによって吸収されるため、連系線潮流出力Ptieが抑制されていることがわかる。つまり、提案した通常LFCと二次電池LFCの協調動作方式によって、通常LFCでは対応できなかった速い変動が、二次電池LFCによって対応されて吸収されていることがわかる。
【0025】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、各種の計測部は、必要な電力情報が得られるならば、系統内のどこに設置してあっても良い。
【符号の説明】
【0026】
10固定電源
10a固定電源出力計測部
20可変電源
30通常可変電源
30a通常可変電源出力計測部
30c制御部
40二次電池
40a二次電池出力計測部
40c制御部
50変電所
60負荷
70他の電力系統
80指令所
80a需用電力計測部
80b連系線潮流出力計測部
80c制御部
81第1の制御残量計測部
82第2の制御残量計測部
83第3の制御残量計測部
84第4の制御残量計測部
【0027】
Pdem需要電力
εLFC通常LFCの制御残量
Pfix固定電源の出力
Pvar通常可変電源の出力
Pbatt二次電池出力
Ptie連系線潮流出力
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池を含む電力系統の負荷周波数制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止を目的としたCO2排出量の抑制が社会全体に求められており、電気事業においては再生可能エネルギー(以下、本明細書において「RE」という。)の電力系統への大量導入が現実に想定されている。REのうち風力発電や太陽光発電(以下、本明細書において「PV」という。)は、出力が気象条件によって変動するため、周波数調整においては負荷周波数制御(以下、本明細書において「LFC」という。)の調整力が不足することが懸念されている。
【0003】
また、CO2排出量を削減するには、火力発電の出力を抑制することが望ましいが、火力発電は電力系統のLFCにおいて重量な役割を担っている。現状の負荷周波数制御方法が図5には示されており、これに基づいて、需要電力Pdem、電力系統の電源出力(固定電源の出力Pfix、可変電源の出力Pvar)、可変電源によるLFCの制御残量εLFC、及び連系線潮流出力Ptieの関係を説明すると、以下の通りである。
Pdemに対してPfixとPvarとの合計値を減算した差分が、εLFC(=Ptie)となる。そして、制御量としてのεLFCに基づいて可変電源によるLFC用の制御部がPvarを決定し、その決定されたPvarを電力系統に出力する処理が繰り返される。
つまり、数式で表せば、Ptie=Pdem−Pfix−Pvarとなる。
なお、固定電源とは、LFC機能のない発電設備と、他系統との電力融通を含むものである。LFC機能のない発電設備とは、主に原子力発電機を意味するが、出力調整機能のない水力発電機(自流式水力)、RE等も含まれる。
また、可変電源とは、LFC機能のある発電設備であり、通常、火力発電機、水力発電機(出力調整機能のある調整池式、貯水池式等)を意味する。本願において、水力発電機という場合には、特に断りがない限り、可変電源を意味する。更に、上述した可変電源を通常可変電源といい、通常可変電源によるLFCを通常LFCという。
【0004】
他方、需給調整においては、軽負荷期のREの余剰電力の発生が懸念されており、対策として蓄電池に代表される二次電池の設置が必要とされている。
【0005】
そこで、二次電池によるLFC(二次電池LFC)を行い、通常LFCと併用することが考えられている。つまり、二次電池と通常可変電源とを合わせたものを、可変電源とすることが考えられている。このような負荷周波数制御方法の一例が図6には示されている。先に述べた現状の負荷周波数制御方法との相違点は、制御量としてのεLFCを通常LFC用の制御部と二次電池LFC用の制御部に割り振り、これらの制御部の制御割合に応じたPvarを電力系統に出力している点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、二次電池LFCは、インバータ制御によって放電時には二次電池に貯蔵した電力を出力し、充電時には二次電池に電力を貯蔵するものであるから、通常LFCに比べてはるかに応答性がよく、高速な出力変化が得られる。従って、通常LFCと二次電池LFCを併用した場合、二次電池LFCがLFCの多くを行うことになる。その結果、二次電池の充放電が頻繁に行われ、二次電池の製品寿命を縮めることになる。
【0007】
本発明は、上記実情を考慮したもので、LFCに通常LFCと二次電池LFCを併用しながらも、二次電池の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、火力発電機及び水力発電機を含む通常可変電源による負荷周波数制御(以下、「通常LFC」という。)と、二次電池による負荷周波数制御(以下、「二次電池LFC」という。)とを併用して行う電力系統の負荷周波数制御方法において、需用電力Pdemに対して、固定電源の出力Pfix、並びに通常可変電源の出力Pvarを減算した値を、通常LFCの制御残量εLFCとし、通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCと二次電池LFCを併用して行うことを特徴とする。
【0009】
上記した請求項1の電力系統の負荷周波数制御方法に対応する装置が、請求項3に記載されている。請求項3の発明は、通常LFCを行う通常可変電源の制御部と、二次電池LFCを行う二次電池の制御部とを備える電力系統の負荷周波数制御装置において、系統内の計測部では、需用電力Pdemに対して、固定電源の出力Pfix、並びに通常可変電源の出力Pvarを減算した値を、通常LFCの制御残量εLFCとして求め、通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常可変電源の制御部が通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常可変電源の制御部による通常LFCと二次電池の制御部による二次電池LFCとが併用して行われることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の電力系統の負荷周波数制御方法の下位概念であって、通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常LFCの制御残量εLFCに対して二次電池出力Pbattを減算した値を連系線潮流出力Ptieにすると共に二次電池LFCの制御残量とし、二次電池LFCの制御残量に基づいて二次電池LFCを行い、二次電池LFCの制御残量と二次電池出力Pbattとの合計値である通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを行うことを特徴とするものである。
【0011】
上記した請求項3の電力系統の負荷周波数制御方法に対応する装置が、請求項4に記載されている。請求項4の発明は、通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常可変電源の制御部が通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常可変電源制御残量計測部が通常LFCの制御残量εLFCに対して二次電池出力Pbattを減算した値を連系線潮流出力Ptieとして求めると共に二次電池LFCの制御残量とし、二次電池LFCの制御残量に基づいて二次電池の制御部が二次電池LFCを行い、二次電池LFCの制御残量と二次電池出力Pbattとの合計値である通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常可変電源の制御部が通常LFCを行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電力不足の初期段階では通常LFCが行われることになり、電力不足が閾値を越えた場合に始めて二次電池LFCが行われる。また、電力余剰の初期段階では通常LFCが行われることになり、電力余剰が閾値を超えた場合に始めて二次電池LFCによる充電が行われる。従った、閾値を設けた分だけ、二次電池の負担が軽減される。
【0013】
また、通常LFCの制御残量が閾値の範囲内であるか否かに関係なく、通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCが行われることから、通常LFCでは対応できなかった速い需要電力の変動を、二次電池LFCによって対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電力系統を簡易化して示すブロック図である。
【図2】電力系統の負荷周波数制御方法を示すブロック図である。
【図3】図2の負荷周波数制御方法を実現するための具体的な一例を示すブロック図である。
【図4】図3の具体的な例をシュミレーションにより検証した結果を示すグラフである。
【図5】現状の負荷周波数制御方法を示すブロック図である。
【図6】現状における二次電池を用いた負荷周波数制御方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、電力系統が簡易化して示されている。電力系統は、固定電源10と可変電源20とによって作られた電力を、変電所50を経て負荷(需要家)60に供給するものである。可変電源20には、通常可変電源30と二次電池(蓄電池)40が用いられている。そして、電力系統で余剰分の電力は他の電力系統70に供給され、不足分の電力は他の電力系統70から供給されるようになっている。
【0016】
また、電力系統には指令所80が設けられている。指令所80には主に経済負荷配分制御用の制御部(図示せず)と、負荷周波数制御用の制御部80cとが設けられている。指令所80に設けられた負荷周波数制御用の制御部80cを主として負荷周波数制御装置が、電力系統内に構築されている。そして、負荷周波数制御装置には通信回線で接続された以下の各種の制御部と計測部が設けられている。
【0017】
制御部としては、上述の指令所80の他、可変電源20(通常可変電源30と二次電池40)に負荷周波数用の制御部が設けられている。制御部の概要をまず述べると、指令所80の制御部80cには、二次電池40からの放電、充電、停止を制御するための閾値が設定されている。また、二次電池40の制御部40c(二次電池LFC用の制御部)は、通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲内であるか否かによって、二次電池本体に対する充電、停止、放電を決定する。通常可変電源30の制御部30cは、閾値に関係なく、通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常可変電源本体を動作させる。
【0018】
計測部は、リアルタイムで電力を計測するものであって、具体的には次の通りである。
系統内の実際の使用電力(需要電力Pdem)を計測する需用電力計測部80aが、指令所80に設けられている。より詳しく言えば、各所の変電所50の計測部で計測される実際の使用電力が需用電力計測部80aに送信され、需用電力計測部80aではそれら使用電力を集計し、需要電力Pdemを算出する。また、固定電源10からの出力電力(固定電源の出力Pfix)を計測する固定電源出力計測部10a、通常可変電源30からの出力電力(通常可変電源の出力Pvar)を計測する通常可変電源出力計測部30a、二次電池40からの出力電力(二次電池の出力Pbatt)を計測する二次電池出力計測部40aが、各電源に設けられている。そして、これら電源10、30、40の出力計測部で計測した出力電力が指令所80の計測部に送信される。
【0019】
その他の計測部については、負荷制御装置による負荷周波数制御方法が示された図2を参照しながら説明する。指令所80には、第1〜第3の制御残量計測部が設けられている。詳しく言えば、以下の通りである。
第1の制御残量計測部81では、PdemからPfixを減算した出力(Pdem−Pfix)が計測される。
第2の制御残量計測部82では、更にPvarを減算した出力=通常可変電源30によるLFCの制御残量εLFC(以下、「通常LFCの制御残量」という。Pdem−Pfix−Pvar=εLFC)が計測される。
第3の制御残量計測部83では、更にPbattを引いた二次電池40の制御残量(εLFC−Pbatt=Ptie)が計測される。
これら第1、第2、第3の制御残量計測部81〜83を合わせたものが、連系線潮流出力Ptieを計測する連系線潮流出力計測部80bである。
また、指令所80には、第4の制御残量計測部84も設けられている。第4の制御残量計測部84では、PtieとPbattとの合計値(通常可変電源30の制御残量、Ptie+Pbatt=εLFC)が計測される。
【0020】
上述した負荷周波数制御装置による負荷周波数制御方法は以下の手順で行われる。
(1)第1の制御残量計測部81では、Pdem−Pfixが計測される。
(2)第2の制御残量計測部82では、Pdem−Pfix−Pvar=εLFCが計測される。
(3)第3の制御残量計測部83では、εLFC−Pbatt=Ptieが計測される。
(4)指令所80の制御部80cでは、εLFCの値が閾値の範囲内であるか否かを判断する。なお、閾値の値は、範囲内に含まれるか、範囲外に含まれるかいずれかであれば良い。
(5)範囲内である場合にはPbatt=0とする信号を二次電池40の制御部40cに出力する。それが入力された二次電池40の制御部40cでは、二次電池本体からの充放電動作を停止し、線路から二次電池本体が切り離された状態を保持する。
(6)また、範囲外である場合には、閾値を+方向に超えたときにはPtieの値、及び二次電池40に蓄えられている電力量等に応じてPbattを決定し、決定したPbattの信号を二次電池40の制御部40cに出力する。それが入力された二次電池40の制御部40cでは、二次電池本体を線路に接続して放電動作させ、インバータを介してPbattを線路に供給する。
(7)一方、閾値を−方向に越えたときには、二次電池40に蓄えられている電力量に応じてPbattを決定し、決定したPbattの信号を二次電池40の制御部40cに出力する。それが入力された二次電池40の制御部40cでは、二次電池本体を線路に接続して充電動作させ、線路からインバータを経てPbattを二次電池本体に充電する。これら(5)〜(7)の手順が二次電池LFCである。
(8)第4の制御残量計測部84では、Ptie+Pbatt=εLFCの値が計測される。なお、εLFC=Pdem−Pfix−Pvarであるので、Pbattの有無に関係なく、εLFCの信号が指令所80の制御部80cから通常可変電源30の制御部30cに出力される。それが入力された通常可変電源30の制御部30c(通常LFC用の制御部)では、εLFCの値に基づいてPvarを決定し、図示しない通常可変電源本体を動作させ、Pvarを線路に供給する。この(8)の手順が通常LFCである。
【0021】
上述した内容を要約して数式で示すと、連系線潮流出力Ptieは、以下の通りとなる。
Ptie=Pdem−Pfix−Pvar−Pbatt
また、上記式のPbattを左辺に移せば、
Ptie+Pbatt=Pdem−Pfix−Pvar
となる。
上記式の右辺Pdem−Pfix−Pvar=εLFCとなる。つまり、通常LFCの制御量は、二次電池40の有無に関係なく、一定である。
【0022】
図2の負荷周波数制御方法を実現するためのより具体的な一例が図3に示されている。(1)第2の制御残量計測部82で計測された制御量εLFCが閾値の範囲内である場合には、指令所80の制御部80c及び二次電池40の制御部40cは、Pbatt=0とする。
(2)一方、閾値の範囲外である場合には、二次電池40の制御部40cは、第3の制御残量計測部83で計測された制御量Ptieから、Kb(二次電池出力Pbattを安定に制御するためのフィードバックゲインを減算し、その減算値を所定時間(1/Tb)積分し、その積分値に基づいて上限リミッタLbと下限リミッタ−Lbの範囲内で、Pbattを供給するか、充電する。つまり、積分値が+の場合には、上限リミッタLbを最大値としてPbattを決定し、積分値が−の場合には下限リミッタ−Lbを最小値としてPbattを決定する。
(3)また、通常可変電源30の制御部30cは、εLFCの値にKc(増幅率)を乗じ、εLFC×Kcの値を上限リミッタLc1と下限リミッタ−Lc1の範囲内で出力する。そして、その出力値を所定時間(1/Tc)積分し、その積分値に基づいて上限リミッタLc2と下限リミッタ−Lc2の範囲内でPbattを決定する。
【0023】
上述した各種のリミッタ及び積分時間は、通常LFCと二次電池LFCを相互補完的に行うように設定することが望ましい。つまり、通常LFCにはゆったりして大きい動作を、二次電池LFCには速くて小さい動作を行わせるようにする。
後述のシミュレーション例では、Lb<Lc1、Lc2としてあるが、これは二次電池LFCのリミッタよりも小さい値に設定することで、二次電池40の出力が通常可変電源30の出力に対して小さな出力ですむようにしている(二次電池本体の充電容量に応じて、可動時の負担を小さくすることができる。)。
また、Tc>Tbとしてあるが、これは二次電池LFCの方の積分動作を速くするため(二次電池40の方が速い動作が期待できるため。)
【0024】
図3に示す具体的な例をシュミレーションにより検証した結果が図4である。ここではTc
= 10 min、 Tb = 0.1min、Kc = 100、Lc1 = 1、Lc2 = 1、Kb = 0.02、Lb = 0.2としている。なお、電力の単位はすべて100MWである。速い変動成分を含む需要波形を評価に用いるが、ここでは図4に示すような連続三角波を需用電力Pdemの変動として与えて、本願発明の二次電池LFCありの場合と、比較例の二次電池LFCなしの場合で、通常LFCによる出力Pvarと連系線潮流出力Ptieを比較している(ここでは簡単のため固定電源10の出力Pfix=0としている)。図4(a)に二次電池LFCなしのケース、図4(b)に二次電池LFCありのケースを示す。通常LFCによる通常可変電源30の出力Pvarは、二次電池LFCの有無にかかわらず変わらないことがわかる。よって、本願発明の負荷周波数制御方法は実現可能であり、また通常LFCと二次電池LFCの効果の識別も可能である。さらに、連系線潮流出力Ptieを二次電池40の有無で比較すると、図4(a)の二次電池LFCなしの場合の連系線潮流出力Ptie(=通常LFCの制御残量)の変動が、図4(b)の二次電池LFCありの場合には二次電池LFCによって吸収されるため、連系線潮流出力Ptieが抑制されていることがわかる。つまり、提案した通常LFCと二次電池LFCの協調動作方式によって、通常LFCでは対応できなかった速い変動が、二次電池LFCによって対応されて吸収されていることがわかる。
【0025】
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、各種の計測部は、必要な電力情報が得られるならば、系統内のどこに設置してあっても良い。
【符号の説明】
【0026】
10固定電源
10a固定電源出力計測部
20可変電源
30通常可変電源
30a通常可変電源出力計測部
30c制御部
40二次電池
40a二次電池出力計測部
40c制御部
50変電所
60負荷
70他の電力系統
80指令所
80a需用電力計測部
80b連系線潮流出力計測部
80c制御部
81第1の制御残量計測部
82第2の制御残量計測部
83第3の制御残量計測部
84第4の制御残量計測部
【0027】
Pdem需要電力
εLFC通常LFCの制御残量
Pfix固定電源の出力
Pvar通常可変電源の出力
Pbatt二次電池出力
Ptie連系線潮流出力
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火力発電機及び水力発電機を含む通常可変電源による負荷周波数制御(以下、「通常LFC」という。)と、二次電池による負荷周波数制御(以下、「二次電池LFC」という。)とを併用して行う電力系統の負荷周波数制御方法において、
需用電力Pdemに対して、固定電源の出力Pfix、並びに通常可変電源の出力Pvarを減算した値を、通常LFCの制御残量εLFCとし、
通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、
通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCと二次電池LFCを併用して行うことを特徴とする電力系統の負荷周波数制御方法。
【請求項2】
通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、
通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常LFCの制御残量εLFCに対して二次電池の出力Pbattを減算した値を連系線潮流出力Ptieにすると共に二次電池LFCの制御残量とし、二次電池LFCの制御残量に基づいて二次電池LFCを行い、二次電池LFCの制御残量と二次電池出力Pbattとの合計値である通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを行うことを特徴とする請求項1に記載の電力系統の負荷周波数制御方法。
【請求項3】
火力発電機及び水力発電機を含む通常可変電源による負荷周波数制御(以下、「通常LFC」という。)を行う通常可変電源の制御部と、二次電池による負荷周波数制御(以下、「二次電池LFC」という。)を行う二次電池の制御部とを備える電力系統の負荷周波数制御装置において、
系統内の計測部では、需用電力Pdemに対して、固定電源の出力Pfix、並びに通常可変電源の出力Pvarを減算した値を、通常LFCの制御残量εLFCとして求め、
通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常可変電源の制御部が通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、
通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常可変電源の制御部による通常LFCと二次電池の制御部による二次電池LFCとが併用して行われることを特徴とする電力系統の負荷周波数制御装置。
【請求項4】
通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常可変電源の制御部が通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、
通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常可変電源制御残量計測部が通常LFCの制御残量εLFCに対して二次電池出力Pbattを減算した値を連系線潮流出力Ptieとして求めると共に二次電池LFCの制御残量とし、二次電池LFCの制御残量に基づいて二次電池の制御部が二次電池LFCを行い、二次電池LFCの制御残量と二次電池の出力Pbattとの合計値である通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常可変電源の制御部が通常LFCを行うことを特徴とする請求項3に記載の電力系統の負荷周波数制御装置。
【請求項1】
火力発電機及び水力発電機を含む通常可変電源による負荷周波数制御(以下、「通常LFC」という。)と、二次電池による負荷周波数制御(以下、「二次電池LFC」という。)とを併用して行う電力系統の負荷周波数制御方法において、
需用電力Pdemに対して、固定電源の出力Pfix、並びに通常可変電源の出力Pvarを減算した値を、通常LFCの制御残量εLFCとし、
通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、
通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCと二次電池LFCを併用して行うことを特徴とする電力系統の負荷周波数制御方法。
【請求項2】
通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、
通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常LFCの制御残量εLFCに対して二次電池の出力Pbattを減算した値を連系線潮流出力Ptieにすると共に二次電池LFCの制御残量とし、二次電池LFCの制御残量に基づいて二次電池LFCを行い、二次電池LFCの制御残量と二次電池出力Pbattとの合計値である通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを行うことを特徴とする請求項1に記載の電力系統の負荷周波数制御方法。
【請求項3】
火力発電機及び水力発電機を含む通常可変電源による負荷周波数制御(以下、「通常LFC」という。)を行う通常可変電源の制御部と、二次電池による負荷周波数制御(以下、「二次電池LFC」という。)を行う二次電池の制御部とを備える電力系統の負荷周波数制御装置において、
系統内の計測部では、需用電力Pdemに対して、固定電源の出力Pfix、並びに通常可変電源の出力Pvarを減算した値を、通常LFCの制御残量εLFCとして求め、
通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常可変電源の制御部が通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、
通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常可変電源の制御部による通常LFCと二次電池の制御部による二次電池LFCとが併用して行われることを特徴とする電力系統の負荷周波数制御装置。
【請求項4】
通常LFCの制御残量が閾値の範囲内である場合には通常可変電源の制御部が通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常LFCを単独で行い、
通常LFCの制御残量εLFCが閾値の範囲外である場合には、通常可変電源制御残量計測部が通常LFCの制御残量εLFCに対して二次電池出力Pbattを減算した値を連系線潮流出力Ptieとして求めると共に二次電池LFCの制御残量とし、二次電池LFCの制御残量に基づいて二次電池の制御部が二次電池LFCを行い、二次電池LFCの制御残量と二次電池の出力Pbattとの合計値である通常LFCの制御残量εLFCに基づいて通常可変電源の制御部が通常LFCを行うことを特徴とする請求項3に記載の電力系統の負荷周波数制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−222994(P2012−222994A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87654(P2011−87654)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000242644)北陸電力株式会社 (112)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000242644)北陸電力株式会社 (112)
【Fターム(参考)】
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