電力線ケーブルの除氷のためのシステムおよび方法
送電ケーブルを除氷するためのシステムおよび方法は、ケーブルを複数区分に分割する。導体をともに通常モードで並列に、かつ導体のうちの少なくともいくつかを防氷モードで直列に連結するために、区分の各末端にスイッチが提供される。スイッチが導体を直列に連結すると、ケーブル区分の電気抵抗が効果的に増大させられ、電力線電流によるケーブルの自己発熱がケーブルを除氷することを可能にし、スイッチは、通常動作中の少ない損失のために、導体を並列に連結する。代替実施形態では、システムが、各ケーブルの鋼強度コアを通して電流を提供して除氷を提供する一方で、通常動作中に、電流は、低抵抗導体層を通って流れる。ケーブル過熱状態が発生した場合に、システムを低抵抗動作に戻すように、バックアップハードウェアが提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2008年8月18日に出願された共有に係る正規の米国特許出願第12/193,650号および2008年4月2日に出願された米国仮特許出願第61/041,875号の優先権を主張し、その開示が本明細書に参考として援用される。
【0002】
(分野)
本文書は、オーバーヘッド送電線の分野に関する。具体的には、過剰な氷の重量に起因する損傷を防止するために、そのような送電線のケーブル上の過剰な氷の蓄積を防止するか、または除去するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
アイスストームは、米国の一部地域では比較的一般的である。これらのストームは、オーバーヘッド送電線および関連するポールとタワーを含む構造上に氷の蓄積をもたらし、この氷は、数インチの厚さに達し得る。そのようなアイスストームは、幸いにも送電線の総動作時間のほんの数パーセントを占めるにすぎず、任意の送電線は、通常、年に数回だけそのような状況に遭遇する。
【0004】
蓄積した氷の塊は、ケーブルおよび構造を機械的に加圧することによって、重大な問題を引き起こす。例えば、円筒形の2インチの氷は、1インチの導体に5.7トン/マイルの重量を引加する。変化したケーブルの輪郭も、風によるストレスを増加し、さらにそれが破損する可能性を高める。蓄積した氷は、送電線およびポールを破壊し、タワーを崩壊させ、それらのいずれかが送電を妨害して、地上の人間および建物に危害を加える深刻なリスクをもたらし得る。
【0005】
いくつかの送電線は、電動車両に送電するために使用されるトロリーワイヤである。氷は良好な導体でないため、トロリーワイヤ上の氷は、車両への送電を妨げ得る。
【0006】
送電線は、通常、高温での過剰な電力損失およびワイヤの動作を回避するように、一定の低い全体抵抗を有するよう設計される。ワイヤが高温に達すると、電気的自己発熱、高い周囲温度、または双方に起因するか否かにかかわらず、ワイヤは伸長し、脆弱化する傾向がある。この伸長は、ポールまたはタワーの間に線のたるみをもたらし得、地上の人間または建物に危害を及ぼす可能性がある。さらに、通常動作中の低抵抗は、過剰な電力損失を回避するために望ましく、線の過熱に対して失われる全てのキロワットは、生成されなければならないが、顧客に到達しないキロワットである。最後に、高抵抗に起因する送電線内の過剰な電圧降下は、電力網システムの不安定性をもたらし得る。
【0007】
多くの送電線は、数インチ離間し、各相で電気的に並列接続される場合が多い、いくつかの個別の導体を有するケーブルを有する。互いと熱接触にある導体のケーブル上の高い周囲温度での冷却を改善することによって、より高い電流容量を可能にする一方で、この設計は、氷の核生成のために追加の表面を提供することによって蓄積し得る氷の量を増加させる。例えば、各線が3つのケーブルを有し、スペーサで離間したケーブル当たり5つの導体を持つ、2つの並列送電線を有するシステムは、2インチの氷で全て被覆され、マイル当たり172トンを超える超過重量を有し得る。さらに、そのような設計は、活性化した導体、または活性化した導体と熱接触する導体のみが除氷されるため、単一のスイッチボックス除氷設計とは互換性がない。
【0008】
高重量および増加した空気抵抗の氷の張った線は、線の破損およびタワーの崩壊をもたらし得るだけでなく、線の初期破損またはポールあるいはタワーの崩壊から生じる、タワーにかかる力の突然の移行が、追加の隣接するタワーまたはポールをドミノのように倒壊させる可能性があり、修理工は、1つのタワーが倒壊するだけでなく、数十以上の隣接するタワーがたるんだ線に絡まって大破するのを認め得る。送電線の突然の崩壊は、スイッチングデバイスおよびパワープラントに損傷を与える場合もあり、電力網内の不安定性をもたらし得る。最悪の場合、送電線の突然の崩壊は、十分な容量の損失および電力網内の不安定性をもたらす可能性があり、結果として生じる停電は、複数の州にまで拡大し得る。したがって、これらの線上の氷の蓄積を防止、低減、または除去することが望ましい。
【0009】
Coutureに対する特許文献1、および米国特許出願第2003/0006652号および第2008/0061632号は、ロードセルを有するシステム、または送電線上に蓄積した氷を検出するための他の装置を説明する。本システムでは、氷が検出されると、送電線の相の1つ以上の並列導体は、送電線内を流れる電流が迂回され、並列導体のうちの選択した1つまたは数個を除氷するように、並列の機械的および電子スイッチを開放することによって切断される。次いで、開放スイッチのパターンを再配置して、並列導体のうちの異なる1つまたは数個を通して電流を迂回させる。
【0010】
送電線を除氷するための他のシステムは、当該技術分野において知られている。例えば、Shimadaに対する特許文献2は、トロリーシステムの並列線を連結してループにした後、通常、電力がループを通して送信される時にループの周囲の電流を重ね合わせて線を除氷する。一実施形態では、Shimadaは、ジュール加熱を誘導して線を除氷するための、トロリー線のループの周囲に重ね合わされたAC電流を有する、DCトロリー線を開示する。
【0011】
送電線は、常に同一量の電流を搬送するわけではない。線上で送信される電流は、次々と時間および天候によって異なる負荷条件、その時点で動作しているパワープラントの特定の選択、および他の因子を含む多様な因子によって異なる。例えば、風力および太陽光発電所からの電力を電力網の中へ搬送している送電線は、雲、時間、および風の状態によって大きく異なり得る。複数のユニットを有するような従来の発電所であっても、時間とともに変化する送電線電流を提供し得、例えば、2つのユニットプラントのうちの1つのユニットを修理のために閉鎖され得る。同様に、電力網に対する揚水発電所および畜電池発電所を含む、電力貯蔵システムを接続する送電線は、断続的に電流を伝導し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6396132号明細書
【特許文献2】米国特許第4190137号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(概要)
送電線を除氷するためのシステムであって、送電線は、少なくとも3つの相互に絶縁された導体を有するケーブル(それぞれ3相線の各相用、またはDC線の各極性用)を有する。システムは、閉鎖されると、通常の低抵抗動作用に3つの導体全てを並列に配置し、開放されると、3つの導体全てを電気的に直列に配置して、ケーブルを除氷するスイッチを有する。システムは、システムコントローラの制御下で動作する。
【0014】
特定の実施形態では、送電線は、機関車、路面電車、またはトロリーバス等の電動車両に電力を提供する線である。いくつかの導体のうちの1つは、パンタグラフまたはトロリーワイヤ等の摺動機械的連動と直接電気接触状態にある。特定の実施形態では、パンタグラフと接触する導体は、2つの他のワイヤの材料より高い電気抵抗を有するが、機械的強度の高い材料で形成される。例えば、パンタグラフを接触させるための導体は、鋼、ステンレス鋼、青銅、真鍮、または銅被覆あるいはアルミニウム被覆鋼で形成され得るが、2つの並列導体は、アルミニウム、アルミニウム合金、または銅で形成される。
【0015】
特定の実施形態では、各ケーブルは、少なくとも5つの相互に絶縁された導体を有し、5つの導体は全て、通常動作の場合は並列であり、除氷する場合は直列である。3、7、および他の数字の導体を有する他の実施形態が開示される。
【0016】
別の実施形態では、送電線のケーブルを除氷するためのシステムであって、各ケーブルは、少なくとも2つの区分に分割される。各区分は、少なくとも3つの導体を有し、それらは通常動作の場合は並列に配置され、除氷動作の場合は直列に配置される。システムコントローラは、ケーブルの区分を連続的に除氷して、送電線による送電の過度の干渉を防止するために提供される。
【0017】
特定の実施形態では、ケーブルの温度を監視するため、およびケーブルの過熱が検出された場合に導体を並列に戻すための装置が提供される。
【0018】
別の実施形態では、送電線の導体を並列構成と直列構成との間で切り替えるためのスイッチボックスは、充電器を持つ電力貯蔵デバイス、コマンドを受信するための制御信号受信器、およびケーブルの少なくとも1つの導体を通る電流を決定するための制御信号受信器によって制御される少なくとも1つのスイッチボックス、および制御信号受信器を解除し、ケーブルの導体上で高温が検出されると、ケーブル導体を並列構成に配置するための装置を有する。
【0019】
別の実施形態では、ケーブルは、複数の導体を有する必要はないが、鋼ワイヤ等の電気的に抵抗強度コア、および少なくとも1つの導体を有し、本システムは、導体から抵抗強度コアを通る十分な電流を迂回させて、第1の動作モードでケーブルを除氷するためのスイッチボックスを有し、実質的に全ての電流は第2の動作モードで導体を通過する。
【0020】
特定の実施形態では、スイッチボックスは、インダクタンスを導体と直列に配置するか、または増加することによって、強度コアを通して電流を迂回させ、強度コアは、インダクタンスと導体の直列の組み合わせと並列にあり、インダクタンスの誘導リアクタンスのために、増加電流を取る。
【0021】
別の特定の実施形態では、スイッチボックスは、変圧器およびスイッチを有し、該変圧器は、通常動作でバイパスされ、ステップアップ変圧器として動作して、除氷モード中に、電力を強度コアの中へ迂回させる。
【0022】
別の特定の実施形態では、スイッチボックスは、ケーブルの温度を監視するため、および高温に遭遇した場合に通常動作レベルに向けて強度コア内の電流を低減するためのデバイスを組み込む。
【0023】
ケーブルが、第1のスイッチボックスと第2のスイッチボックスとの間にいくつかの導体を持つ区分を有する、送電線のケーブルを除氷するための方法が開示される。ケーブルの区分は、通常動作モードを有し、導体は、電気的に並列接続される。氷が検出され、除氷が望ましい場合、スイッチボックスを再構成して、導体のうちのいくつかを電気的に直接に連結し、それによって、ケーブルの区分を高抵抗除氷モードにする。ケーブルの区分内を流れる電流は、ケーブルの区分を抵抗的に加熱して除氷する。除氷後に、スイッチボックスのスイッチを再構成して、ケーブルの区分を通常動作モードに戻す。
【0024】
該方法の特定の実施形態では、ケーブル内の電流が監視される。本実施形態では、コントローラは、ケーブル内の電流に従って、スイッチのいくつかの除氷構成の中から選択する。さらに、除氷するために電流が低すぎる場合、コントローラは、ケーブル内の電流の増加を要求し得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、送電線の氷の蓄積を防止するか、または送電線から氷の蓄積を除去するためのシステムを示す概略図である。
【図2】図2は、輸送システムにおいて電力を送信するために使用される、トロリーワイヤの氷の蓄積を防止するか、またはそこから氷の蓄積を除去するための実施形態を示す。
【図3】図3は、図2のシステムとともに使用するためのケーブルの代替実施形態を示す。
【図4】図4は、ケーブル当たり5つの導体を有する、氷の蓄積を防止するためのシステムの代替実施形態の1つのケーブルの1つの区分を示す電気回路図である。
【図5】図5は、ケーブル当たり5つの導体を有する、氷の蓄積を防止するためのシステムの代替実施形態のケーブルの1つの区分を動作させる、代替方法の電界回路図である。
【図6】図6は、ケーブル当たり5つの導体を有する、氷の蓄積を防止するためのシステムの代替実施形態のケーブルの1つの区分を動作させる、代替方法の電気回路図である。
【図7】図7は、ケーブル当たり6つの導体を有する、氷の蓄積を防止するためのシステムの代替実施形態のケーブルの1つの区分を示す、代替方法の電気回路図である。
【図8】図8は、ケーブル当たり7つの導体を有する、代替実施形態の1つのケーブルの1つの区分の電気回路図である。
【図9】図9は、互いに熱接触する7つの導体および鋼強度部材を有するケーブルの断面図である。
【図10】図10は、システム内で使用するための太陽電池により電力供給されるスイッチボックスのブロック図である。
【図11】図11は、システム内で使用するための代替スイッチボックスのブロック図である。
【図12】図12は、複数のケーブル区分を有し、各区分は、独立した、または連続する除氷または防氷動作を行うことができるシステムを示す。
【図13】図13は、図1のシステムとともに使用するための第1のケーブルの断面を示す。
【図14】図14は、図4のシステムとともに使用するための第2のケーブルの断面を示す。
【図15】図15は、図1のシステムとともに使用するための第3のケーブルの断面を示す。
【図16】図16は、直列接続されたスイッチを有する代替実施形態を示す。
【図17】図17は、PCT/US2004/27408号に提案されるような電力線の除氷システムを示す。
【図18】図18は、外部導電層から電気的に絶縁される鋼強度コアを有するケーブルの断面を示す。
【図19】図19は、区分当たり2つの導体と単一のスイッチを有する除氷システムを示す。
【図20】図20は、図19の除氷システムとともに使用するために適した誘導スイッチボックスの概略図である。
【図21】図21は、図20の誘導スイッチボックスとともに使用するための代替コアを示す概略図である。
【図22】図22は、ケーブル内の電圧損失を低減するためのステップアップ変圧器を有する、区分当たり単一のスイッチボックスを有する代替除氷システムの概略図である。
【図23】図23は、図1および15のいくつかの特徴を有する、代替実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(本実施形態の詳細な説明)
送電線100上に蓄積した氷を電気的に除去する、または蓄積を防止するためのシステムが、図1に示される。便宜上、3つのケーブル102または通常の三相交流線の相のうちの1つのみが示される。図1の実施形態では、ケーブル102は、3つの並列導体104、106、108で構成される。3つの導体104、106、108は、スペーサ110をケーブル102に沿って絶縁することによって、1つに束ねる。
【0027】
ケーブル102は、絶縁体112によってタワー114から吊設されるか、または代替実施形態では、ポール(図示せず)から吊設される。ケーブル102の区分の末端では、第1のスイッチボックス116および第2のスイッチボックス118は、ケーブル102に沿って絶縁体112から吊設される。各スイッチボックス116、118は、スイッチボックス120およびスイッチボックスアクチュエータコントローラ122を含む。
【0028】
送電線の所定区分の場合、スイッチボックス116、118は、第1のスイッチ閉鎖状態または第2のスイッチ開放状態のいずれかである。通常動作中、スイッチボックスは、電気的に並列接続されたケーブル102の全ての並列導体104、106、108とともに、スイッチ閉鎖状態を維持する。送電線100に沿って氷の蓄積が認められる、または疑われる場合、または氷結気象条件のために、氷の蓄積を防止することが望ましい場合、ボックス116、118のスイッチ120は、スイッチ開放状態に置かれる。これによって、ケーブル102の3つの導体104、106、108は、並列の代わりに直列で電気的に接続され、1つの導体104は逆方向の電力を搬送し、それによってケーブル102の区分の実効抵抗を9倍増加させる。
【0029】
スイッチ120がスイッチ開放状態にあり、ケーブル102の実効抵抗が通常状態の9倍に増加すると、区分に沿った電圧の対応する9倍の増加は、通常のスイッチ閉鎖状態で、ケーブル102の自己発熱の対応する9倍の増加をもたらし、ケーブル102の加熱を提供して、蓄積した氷を溶解し、追加の氷の蓄積を遅延させる。本文書の目的において、防氷動作は、蓄積した氷を溶解するか、または追加の氷の蓄積を遅延させるように、ケーブル102の加熱を提供する様式での、ケーブル区分の動作である。
【0030】
スイッチボックス116、118のスイッチ120は、システムコントローラ124の制御下で動作する。一実施形態では、システムコントローラ124は、ネットワーク運営センタ―に位置する。別の実施形態では、システムコントローラ124は、氷の蓄積を含む、局所気象条件を感知することができる自動装置であり、氷の蓄積の影響を受けるケーブル102の区分の付近にあるタワー114に取り付けられ、スイッチボックス116、118をその制御下に有する。このようにして、スイッチボックス116および118双方のスイッチは、スイッチボックス116および118が1マイル以上離れて位置しているとしても、基本的に同時に開閉することができる。
【0031】
図1の実施形態は、図2に示されるように、ケーブルまたは極性のDC送電線またはトロリー電力線にも適用可能である。図2の実施形態では、2つのスイッチボックス156、158の間に、蛇行形態に連結される3つの並列導体150、152、154がある。3つの導体のうちの1つ、接触導体154は、電動車両162のパンタグラフ160または他のトロリーワイヤ接触装置と接触するためにアクセス可能であるように配置される。
【0032】
車両162は、レール164を通る車両電流の帰還経路を有する、電気機関車または図示されるような路面電車ユニットであり得る。代替実施形態では、2組の並列導体154およびスイッチボックス156、158が、二重トロリーワイヤ接触装置160とともに提供され、1つは、DCまたはACトロリーワイヤシステムの各相または極性用であり、車両162が双方の相または極性に接続するようにする。本代替実施形態では、車両162は、長年サンフランシスコで運航している電動バス等のゴムタイヤ車両であってもよい。
【0033】
図2の実施形態では、スイッチ168、166を開放して除氷モードにし、閉鎖して通常動作モードにすることができる。これらのスイッチ168、166を開放すると、システムの後方区分において車両162によって引き込まれている電流等の、導体154、152、150を流れる電流は、3つの導体154、152、150の全てを同時ではなく連続して通過して、電流密度を増加し、導体を加熱する。
【0034】
図2の実施形態では、接触導体154は、他の接触導体または非接触導体152、150のものとは異なる材料で製造され得るが、必ずしもそうである必要はない。例えば、接触導体は、高強度中抵抗の青銅、真鍮、銅覆鋼、ステンレス鋼、またはアルミニウム覆鋼であってもよく、低抵抗の銅またはアルミニウム製の並列導体150、152を有する。本実施形態は、パンタグラフまたはトロリーワイヤ接触装置160との接触に起因して、高強度接触導体がより良く機械ストレスに抵抗し得るという点で有利である。さらに、非接触導体152、150を除氷して、重量および風に関連する損傷を回避することが望ましいが、接触導体154上の氷は、接触導体154からパンタグラフまたは他のトロリーワイヤ接触装置160への電力伝達を干渉し得る。接触導体154のより高い抵抗は、接触導体154の即時かつ急速な除氷を保証することに役立ち、氷結条件中の車両162の継続運転を保証し得る。本代替実施形態では、スイッチ166、168を短時間開放することで接触導体154を除氷し、継続運転を保証することができるが、スイッチ166、168を繰り返し、または長時間開放すると、氷の蓄積が重量または風に関連する損傷をもたらす恐れがある場合に、非接触導体152、150を除氷することができる。
【0035】
図2のトロリーシステムのいくつかの実施形態では、非接触導体150、152は、接触導体154から個別に吊設されるか、またはスペーサによって分離された導体150、152、154に近接するが、代替実施形態では、図3に示されるように、接触導体154は、絶縁材料および非接触導体150、152を含むシェルを形成し得る。
【0036】
本システム100は、ケーブル102の1つの導体104における電流の方向が逆であるという点、およびCoutureは、一度に1つまたは数個の導体のみを除氷するという点でCoutureのシステムとは異なり、システム100は、離間した導体ケーブルの場合、区分の3つの導体全てを同時に除氷するが、Coutureは、ケーブルの全ての導体をクリアするためにいくつかの連続する除氷動作を必要とする。システム100は、スイッチの数および位置においてもCoutureのシステムと異なる。Coutureは、1組のスイッチを区分の2つの末端の間にある一点に配置するが、システム100では、スイッチは区分の末端の双方に配置される。3つの導体線のためのCoutureのシステムは、3つのスイッチを有するが、システム100は、スイッチを2つのみ有する。もう1つの差異は、システムスイッチの全てが開放位置で故障すると、電流が流れ、したがって電力伝達が中断されるが、システム100は、例えば、雷によってシステムが故障、または損傷した場合に起こり得るように、全てのスイッチが開放していても継続して電流を提供することである。同様に、システム100は、ループが形成されず、追加の電流がループに引加されないため、Shimadaのシステムとは異なる。
【0037】
図4の氷の蓄積を除去または防止するためのシステム200の代替実施形態は、ケーブル202当たり3つではなく、5つの導体を有する。本実施形態では、各スイッチボックス204、210は、2つの連動スイッチ206、207、209およびアクチュエータコントローラ208を有する。本実施形態では、スイッチ206、207、209の開放は、ケーブル202の実効抵抗が25倍増加するという結果をもたらし、それによって、ケーブル102の自己発熱を高めて、蓄積した氷を溶解し、追加の氷の蓄積を遅延させる。図4の実施形態では、5つのうちの2つの導体は、電流を逆方向に搬送するが、3つの導体は電流を順方向に搬送する。
【0038】
図4の実施形態では、ケーブル102の区分における全導体の有効長は、5倍増加する。60サイクルの電力線AC電流の波長は約3000マイルであるため、この長さの増加によって導入される位相は、数マイル長の区分が除氷される場合に電力網で動作させられると、送電線内の電力潮流に対して有意な影響を及ぼさず、有意な位相をもたらさない。さらに、3つの相全てにおいて同時にスイッチを動作させることによって、3つの相線において同時に長さ(および導体抵抗)を増加し得るため、送電線の異なる相導体の間の除氷動作によって追加される有意な位相があってはならない。
【0039】
上述の抵抗および電力消費の増加は、オープンエアスペーサにより離間した導体ケーブルを用いる場合と同様に、ケーブルの各導体に対して等しい抵抗を有する実施形態を想定する。他の実施形態では、ケーブル内の個別の導体の抵抗は、異なる抵抗を有し得、達成される抵抗比は、導体の実効抵抗によって異なる。
【0040】
ケーブル102の自己発熱の25倍の増加は、ケーブルが低電流を伝導している時に望ましい場合があるが、ケーブルが、高電流で動作している、および/またはスペーサによって離間させる代わりに、1つに束ねられたいくつかの導体を有する場合は過剰となり得る。図4に示されるスイッチボックスの配置は、図5に示されるような他の有効電力消費の増加を生じるように代替方法で動作させられ得る。
【0041】
図5の実施形態では、スイッチ206、209を開放して除氷モードにするが、スイッチボックス207は依然として閉鎖している。本実施形態では、導体当たりの抵抗が等しいと想定すると、ケーブル区分の実効抵抗は5倍増加する。
【0042】
同様に、図6の実施形態215では、スイッチ206、207は開放しているが、スイッチボックス209は依然として閉鎖している。本実施形態では、各導体が抵抗Rを有すると想定すると、ケーブル区分の実効抵抗は、1/5Rから3Rに増加し、15倍の抵抗の増加である。
【0043】
6つ以上の導体を持つケーブルを有する実施形態は、奇数の導体を有し得る。図7の6導体実施形態220では、ケーブル区分の抵抗は、スイッチ206、222が開放すると1/6Rから3と1/2Rに増加し、9倍の増加である。システムの他の構成が可能であり、除氷モードで他の電力増加を有し、例えば、スイッチボックス222は依然として閉鎖しているが、スイッチ206が開放する場合、抵抗は1/6Rから3と3/4Rに増加し、4と1/2倍の増加である。
【0044】
同様に、代替実施形態250は、各ケーブルに7つの導体、および各スイッチボックス268、270に3または4つの(図8に示されるような)スイッチ252、254、256、258、260、262、264、266を有し得る。図8の実施形態では、ケーブルの実効抵抗は、図1に示されるように、どのスイッチが開放されるかに従ってプログラム可能であり、全てのスイッチが閉鎖されると、ケーブルの抵抗は最大49倍になる。追加の代替例およびパターンは図1に描写されていないことに留意されたい。ある程度、開放スイッチのパターンは、防氷動作において、どの導体を加熱し、どれを依然として励起しないかを選択することもできる。代替実施形態では、スイッチ266および252は、提供される抵抗オプションの低減が最小であるワイヤで置き換えられる。システムの最小抵抗構成と最大抵抗構成との間の動作モードは、本明細書において中間抵抗モードとして知られ、これらの多くは表1に示される。実施形態では、システムコントローラは、送電線を通る電力を監視し、除氷するために必要な抵抗を決定し、送電線内の電流に適切なように、最小抵抗、最大抵抗、および中間抵抗モードから除氷モードを選択する。いくつかの実施形態では、システムコントローラは、電力貯蔵システム、生成システム、またはネットワーク運営センタ―に要求を伝送することもでき、送電線内の電流が増加して、除氷のために十分な電流を提供する。
【0045】
【表1】
他の代替実施形態は、他の数の導体を有して存在し得、例えば、各ケーブルに9つの導体および各スイッチボックスに4つのスイッチを有する実施形態は、スイッチが開放されると、最大81倍増加する実効抵抗を有する。
【0046】
特定の実施形態では、送電線システムは、それぞれ図8の概略図に対応する複数の区分を有する相ケーブル267を有する。本実施形態では、ケーブル267は、アルミニウムまたは銅製の7つの導体253、255、257、259、261、263、265を有し、それらは、図9のケーブル断面に従って、熱および機械的接触で互いに結合され、および中央鋼強度部材280に結合される。7つの導体は、図8の7つの導体に対応する。本実施形態では、相ケーブルは、図1の様式に類似する様式で、タワーから吊設され、システムコントローラ124を備える。
【0047】
本実施形態では、コントローラ124は、送電線ケーブルを通る電流を監視する。氷が検出されると、コントローラ124は、ケーブル267の適切な加熱を提供してケーブルを除氷するが、ケーブル267に対する損傷を回避する、抵抗の増加を決定する。次に、コントローラは、スイッチボックス268、270のスイッチ252、254、256、258、260、262、264、266のための開放スイッチの構成を自動的に決定し、該構成をスイッチボックス268、270に伝送して、システムを特定ケーブル267区分に対して除氷モードにする。ケーブル267区分の除氷が完了すると、スイッチは閉鎖して通常動作に戻る。
【0048】
氷が検出され、除氷が望ましいが、ケーブル267が搬送している電流が、スイッチボックス268、270のスイッチ252、254、256、258、260、262、264、266の最大抵抗構成であっても除氷するために適した加熱を提供するには少なすぎる場合では、コントローラ124は、要求をグリッド管理システムに伝送し、十分な電力がケーブル267を通して搬送され、ケーブル267を除氷するように電力網を再構成し得る。電力貯蔵システムを電力網に接続する送電線の場合では、貯蔵システムは、十分な電力を貯蔵または放出して、線を除氷することを必要とし得る。
【0049】
送電線の抵抗自己発熱は、送電線を通る電流Iの平方×線の抵抗R(I2*R)に比例する。表1の抵抗増加は、ケーブルの各導体が等しい抵抗を有するという想定に基づいて計算される。送電線内の電流が比較的低い場合があり得るため、最大抵抗増加が、等しい抵抗の導体を用いて達成されるより有意に高くなり得るように、異なる抵抗の導体を有することが望ましい、送電線システムが存在し得る。例えば、図8の実施形態の変型実施形態では、ワイヤ263および265は、他の、または低抵抗の導体253、255、257、259、261の抵抗の10倍の抵抗を有する。通常動作中、これらの導体263、265は、ほとんど電流を搬送せず、実効抵抗Rは、低抵抗導体253、255、257、259、261のそれぞれの抵抗の実効抵抗の1/5よりわずかに少ない。7つの導体全ては、スイッチ252および256のみを閉鎖することによって、直列に構成されるならば、実効抵抗は、125Rまで増加し、スイッチ258および260が閉鎖される場合は、70Rまでの中間増加を伴う。一式の他の中間抵抗増加は、コントローラ124に対して選択するために得られ、容易に計算され得る。
【0050】
さらに別の代替実施形態では、導体263は、各低抵抗導体253、255、257、259、261の抵抗の10倍の抵抗を有し、導体265は、各低抵抗導体253、255、257、259、261の抵抗の30倍の抵抗を有する。本実施形態では、70倍Rまでの中間増加が得られ、225倍Rまでの最大増加が得られる。これらの実施形態では、コントローラ124は、線内で得られる電流の量に基づいて、除氷するために適した加熱を提供するために適切なスイッチボックス構成を選択する。次いで、本構成をスイッチボックス268、270に伝送し、したがってそれらのスイッチを設定する。コントローラは、送電線内の電流の監視を継続し、除氷するために適した加熱を提供する一方で、送電線を損傷し得る過剰加熱を回避するように電流が変化すると、スイッチボックス268、270のスイッチを再構成し得る。コントローラ124は、個別のコントローラであり得るか、またはスイッチボックス268、270に統合され得る。
【0051】
一実施形態では、送電線区分267は、電力貯蔵サブシステムを有する太陽または風力発電システムから電力を搬送する。本実施形態では、送電線が電流をほとんどまたは全く搬送していない防氷モードに入ると、コントローラ124は、いくらかの貯蔵電力を送電線上で放出し、線を除氷するための電流を提供するよう求める要求を電力貯蔵サブシステムに伝送し得る。
【0052】
代替実施形態は、図示するためにNワイヤと称する、追加のワイヤを有してもよく、それぞれケーブル内で互いから相互に絶縁される。図8の導体に類似する実施形態の各導体は、1つ以上のNワイヤから組み立てられ得る。スイッチボックスによって見られるM個の有効導体を有する実施形態では、ケーブル内にN個の絶縁ワイヤを有する場合、MはNより少ないかまたは等しい。各導体内のワイヤの数は、導体間で異なり得、より抵抗の大きい導体は、低抵抗を有する導体より少数のワイヤを有し得る。
【0053】
局所配電送電線は、3,500〜25,000ボルトの間で動作する場合が多いが、多くの「高圧」三相送電線は、60,000〜1,200,000ボルトの間の電圧で動作する。従来の構成を有する実施形態は、いくつかの局所配電送電線とともに使用するために適切であり得るが、高圧送電線上の動作は、さらなる難題をもたらす。
【0054】
高圧送電線とともに使用するために特に適した一実施形態(図10)は、スイッチボックス204、116、118の全構成要素が電力線102、202電圧付近で動作するため、スイッチボックス204、116、118は、絶縁体112のケーブル202、102末端に取り付けられ、ケーブルで吊設される。そのような実施形態では、通常の115V AC電力からスイッチボックス204、116、118に電力供給することは実用的でない。その結果、スイッチボックス204、116、118、300は、ウルトラコンデンサまたはバッテリ等の内部電力貯蔵302によって電力供給される。
【0055】
大部分の実施形態では、電力貯蔵302は、ケーブル102、202の1つ以上の導体を取り囲む誘導ピックアップ304、ソーラーパネル306、または接地するための小容量コンデンサ308等のデバイスから選択されるデバイスによって、チャージャ310を通して充電される。電力貯蔵302は、通常、電力を消費するスイッチボックス300の唯一の構成要素である、制御信号受信器312に電力供給する。
【0056】
制御信号受信器312が、システム制御124から適切にコード化された「除氷」コマンド、伝送されている電力とともに、ケーブル102、202上に重ね合わされる高周波搬送波を介して、制御124から受信器312に伝送され得る、コマンドを光ファイバ上で光学的に、またはラジオによって受信すると、受信器312は、高電流スイッチボックスまたはスイッチ316を開放する、電気的に動作させられるスイッチボックスアクチュエータ314を作動させる。スイッチボックスアクチュエータ314は、ソレノイド、エレクトロマグネット、または電動機を組み込んでもよく、電気的に動作させられるスイッチングデバイスの技術分野において知られるような、急速開閉のための追加バネを組み込んでもよい。代替実施形態では、スイッチボックス316は、電子スイッチであり、さらに別の実施形態は、電気的に動作させられる機械スイッチと並列に電子スイッチを有する。
【0057】
一実施形態では、アクチュエータ314は、スイッチボックス316を閉鎖状態で保つ傾向があるバネ318の力に対抗するように動作する。
【0058】
暑い夏の日にスイッチ316を不注意に開放しながら全付加で動作していると、過剰な電力損失および線の加熱をもたらし得るだけでなく、地面上の人または建物に危険をもたらすに足るたるみをもたらし得るか、またはケーブル102に損傷をもたらすこともあるため、アクチュエータ314は、スイッチボックス300のケースに対して作用しないが、スイッチボックス300から短距離にあるケーブル102の導体104等の1つの導体に取り付けられる、クランプ322に可融性リンク320を介して作用することによって、スイッチボックス316を引いて開ける。可融性リンク320は、導体104に隣接し、ケーブル102の過剰なたるみまたは損傷が生じる温度に導体104が到達する前に壊れ、バネ118がスイッチボックス116を閉鎖することを可能にするように、低融点金属または樹脂で形成される。したがって、氷除去または氷防止のためのシステムが故障すると、スイッチ116は閉鎖(低抵抗)状態になる。
【0059】
図11に示されるような代替実施形態は、相当の電流を中断する必要があり得るスイッチボックスの構成要素をスイッチングするために、商業的に入手可能な接触器および/またはソリッドステートリレーを使用してもよいという利点を有する。本実施形態では、制御信号受信器312は、通常、電気的に作動させた接触器モジュール340を作動させることによって、低抵抗条件と高抵抗条件との間でケーブル102、202をスイッチする。接触器モジュール340は、電気機械的スイッチングデバイスを組み込み得るか、またはスイッチボックス全体で見られる最大電圧は、送電線の動作電圧よりはるかに低いため、ソリッドステートリレーデバイス、あるいは双方を含み得る。適切に時間調節した電気機械的スイッチングと並行して、ソリッドステートリレーデバイスを使用する利点は、電気機械的スイッチングデバイスが、約数百アンペアであり得る送電線電流に低スイッチング抵抗を提供して、ソリッドステートリレーデバイスの自己発熱を低減する一方で、ソリッドステートリレーデバイスは、電気機械的デバイスが閉鎖する前に閉鎖し、電気機械的デバイスが開放した後に開放することによって、電気機械的デバイスを開閉することに関連する、任意の接触アーク発生を抑制し得ることである。
【0060】
図11の実施形態では、接触器モジュール340は、クランプ322が締め付けられる導体346内の過剰な加熱に起因して可融性リンク320が溶解すると、バネ344によって閉鎖される、安全スイッチ342に並列接続される。これは、導体346が高温に達すると、制御信号受信器312およびスイッチ340の双方を効率的に無効にする。これは、スイッチボックスが故障した場合に、ケーブル102、202の過剰なたるみ、または過熱損傷を防止するが、特に未修復で放置されると、後にケーブル102、202に対するいくらかの氷損傷のリスクをもたらす。
【0061】
別の実施形態では、制御信号受信器312は、温度センサ324によって感知される温度を監視し、スイッチ340を閉鎖して、良好な除氷を示すが、可融性リンク320を溶解するために必要とされる温度より低い温度で、全ての導体を並列動作に戻す。一実施形態では、温度/状態送信器326は、導体の他の末端にあるスイッチボックスも、全ての導体を並列動作に戻すことができるように、高温に起因する340の閉鎖の表示をスイッチシステムコントローラ124に伝送する。線区分のスイッチボックスが、一方のスイッチボックスが開放したスイッチ340を有し、他方が閉鎖したスイッチ340を有するという一貫性のない状態である場合、可融性リンク320は、好ましくは最高電流を有する導体上に位置する。
【0062】
システム制御124のフィードバックを提供し、故障したスイッチボックスの修理を促すために、安全スイッチ342と連動される感知スイッチボックス347の状態は、可融性リンク320の障害を感知し、送信器326を介してこの情報をシステム制御124に伝送する。
【0063】
システムの制御を支援するために、温度センサ324(図10および11)をクランプ322に取り付けてもよく、温度の読み取り値は、温度送信器326によってシステム制御124に伝送され、例えば、ケーブル102の導体104の温度が水の凍結点を有意に超えるために、いつ区分の除氷が完了すると期待されるかを標示する。
【0064】
あるいは、センサ324を使用して、除氷または防氷動作中に事前設定した値、例えば、+10℃にケーブル温度を維持することができる。そうすることにより、温度が事前設定した値に到達するとスイッチは閉鎖し、該値より下落すると開放する。これは、除氷/防氷のために消費される総電力を効果的に低減し、ケーブルの過熱も防止する。
【0065】
図12の実施形態では、数百マイル長であり得、多様な地形および気候域を横断し得る送電線の各ケーブル400は、例えば、1/10〜10マイル長の区分402および区分404等の区分に分割される。各区分は、第1のスイッチボックス406、410、414および第2のスイッチボックス408、412、416を有する。送電線内の過剰な電圧降下を防止するために、ケーブル102を除氷することが望ましいと決定されると、第1の区分402のスイッチボックス406、408を作動させて、スイッチを開放する。該区分が除氷されると、第1の区分のスイッチを閉鎖し、第2の区分のスイッチボックス410、412を作動させて、スイッチボックスを開放する等、ケーブル400の全ての氷結区分が除氷されるまで連続する。同様に、ケーブル400を区分に分割することは、氷結条件に曝されている、または曝露されるケーブル400のそれらの区分の除氷を許可する一方で、異なる気候に曝露される区分が通常動作を継続することを可能にする。
【0066】
線の区分を連続して除氷することによって、電圧降下を制限することは、電力網の安定性を維持することに役立ち、顧客に気付かれ得る送電線内の電圧降下を回避する。
【0067】
図13は、本ケーブル除氷システムのスイッチボックス当たり単一スイッチの3つの導体ケーブルとともに使用するために適したケーブルの断面を示す。ゴム絶縁体を持つ非導電樹脂、セラミック、または金属であり得る三角スペーサ502は、ケーブルの各導体504に取り付けられる。導体504へのスペーサ502の取り付けは、ケーブルおよび絶縁体の基底部分の上にキャップを成形、粘付けし、ネジでキャップを絶縁体の底部に固定することによって、または離間した導体ケーブルの技術分野において知られるようなそのような他の方法によって行ってもよい。各導体504は、任意選択の鋼支持中心506上の導電性銅またはアルミニウムシェルであり得るか、または複数の鋼ストランドの支持中心に巻きつけられた導電性銅またはアルミニウムストランドから組み立てられてもよい。スペーサ502は、ケーブルに沿って均一の距離で位置付けられ、スペーサ間隔は、ケーブルの導体間の直接電気接触を防止するために十分小さくなるよう選択される。
【0068】
図14の実施形態では、4つの導体602は、スペーサ604によって中心導体606の周囲にスペーサに位置付けられ、5つの導体のそれぞれは、基本的に等しい電流容量である。示される実施形態では、1つの導体606または5つの導体602、606全ては、タワー間の長スパンに必要とされる強度を提供するように鋼心608を有してもよい。全ての5つの導体602は、除氷中に電流を搬送するため、これらの導体が互いに熱接触にない場合でも、5つの導体は全て除氷される。
【0069】
図15の実施形態では、ケーブル102または202として使用するためのケーブル700は、鎖状の鋼であり得る、強度コア708を中心にして組み立てられる3つ(図示される)、5つ、7つ、または9つの導体702、704、706を有する。鎖状の銅またはアルミニウムであり得る、導体702、704、706は、互いから絶縁され、押し出し成形された樹脂絶縁層710で被覆される。
【0070】
図13、14、および15を参照して、導体504、602、606、702、704、706および鋼支持コア506、608、708は、堅固である必要はないと予想され、大部分の実施形態では、これらは、送電線配線の技術分野において知られるような可撓性および容易なインストールのために鎖状構成である。導体および鋼心は、マージされてもよく、これらは、鎖状のCopperweld(登録商標)(銅被覆鋼)ワイヤ等の導体被覆鋼の複数の個別のストランドを有する、鎖状の導体であってもよい。さらに、実施形態は、本明細書で参照される導体にまとめられる多数の小さい絶縁ワイヤを有し得、例えば、送電線ケーブルは、それぞれ本発明に従う除氷の目的で2つのワイヤから成る3つのグループにまとめられる6つのワイヤを有し得、ワイヤの各対は、前述されるように除氷するための導体として取り扱われる。
【0071】
本明細書に説明する原理は、DC送電線にも適用可能である。送電線内の電流からの誘導ピックアップによって、または高圧コンデンサを通して、DC送電線のスイッチボックスに電力供給することは不可能であるが、他のスイッチボックス電力供給配置を使用してもよく、太陽電池およびバッテリ配置を含むが、これに限定されない。
【0072】
本明細書に説明するシステムは、システムコントローラ124からスイッチボックス300に伝送される制御信号を使用する。スイッチボックスのスイッチの偶発的開放または未承認者によるシステムの妨害を防止するために、制御信号は、暗号化形式で伝送され、コード化されることが望ましいと考えられる。
【0073】
図16の実施形態では、代替スイッチボックス構成が同様の効果をもたらす。本実施形態の相800では、ケーブル802は、2つのスイッチボックス804、805の間を通る3より大きい奇数の導体810、812、814、816、818を有する。通常動作中、直列接続されるスイッチ806および807は、導体812、814、816、および818を導体810および入力820、ならびに出力スイッチボックス805に並列接続し、対応するスイッチは閉鎖される。スイッチボックス制御およびアクチュエータ808は、スイッチ806および807を開放し、電流は、5つの導体810、812、814、816、818の全てを直列に通って流れるよう強制され、それによって、これらの導体の抵抗自己発熱をもたらす。この構成は、直列配列における第1のスイッチ(例えば、スイッチボックス806)内の電流を増加させて、任意の1つのスイッチ全体で見られる電圧を低減する効果を有する。
【0074】
送電線の除氷システムは、通常、三相のそれぞれをケーブル900上で伝導すること、および図17に示され、PCT/US2004/27408号に開示されるように、ケーブルを2つの導体904、906に分割することが提案されている。ケーブルの区分910の末端にあるスイッチボックス908は、並列の2つの導体904、906を用いる通常動作と、2つの導体904、906のうちの1つ906のみを流れる電流を用いる除氷動作との間を移行し、1つの導体904は、ケーブルの抵抗が、ケーブルを除氷するために十分な自己発熱をもたらし、さらなる氷の蓄積を防止するために十分高くなるようなサイズで除氷中に使用されるが、通常導体中に並列接続される導体904は、通常動作中の損失を低下させるために適切な低抵抗を提供するサイズである。スイッチボックス908からの区分910の対向末端、および次の区分916のスイッチボックス914の前方で、2つの導体904、906は、ともに電気的にショート912する。ショート912時を除いて、導体904、906は、絶縁の層918によって分離される。PCT/US2004/27408号に開示される設計では、第1の導体904の除氷は、除去される氷に物理的に近いケーブルの外層であるが、通常の第2の導体906は、ケーブルの中心バルクであって、ケーブルの任意のコアを含み得る。
【0075】
修正ケーブル1000(図18)を含む高圧送電線ケーブルは、鋼等の強力だが抵抗の高い材料から成るストランド1004を有する強度コアを取り囲むアルミニウムまたは銅等の一般に多くのストランド1002から成る導体を有し、鋼は、ケーブルの支持を助け、他の方法で可能になるより優れたタワーまたは極性間隙を可能にする。修正ケーブル1000では、強度コアストランド1004と導電ストランド1002との間の電気接触を防止する追加の絶縁層1006が存在する。
【0076】
図19に示されるような送電ケーブルに対して修正した除氷システム1100は、鋼心1104、絶縁層1106、および導電層1108を有するケーブル1102を有し、絶縁層1106は、鋼心1104と導電層1108との間の接触を防止し、鋼心1104および導電層1108のそれぞれは、通常、複数のストランドで形成される。外部絶縁および気候保護層等の追加層が存在し得る。ケーブル1102は、区分1110に分離され、区分1110の1つの末端はスイッチボックス1114であり、他の末端は、鋼心1104と導電層1108との間の短絡接続1116である。
【0077】
通常動作中に、スイッチボックス1114は、ケーブル1102の各区分の導電層1108の間の電気接続を維持する。本通常モードでは、ケーブル102を通る電流の大部分は、導電層1108を通過する。ケーブル1102の区分1110を除氷するために、該ケーブル1102の区分1110と関連したスイッチボックス1114のコントローラ1118は、スイッチボックス1120を開放し、それによって、導電層1108内の電流を低減または排除し、ケーブルは電力を伝導し続けている送電線の一部であるため、それに対応して、該区分1110の鋼心1104内の電流を増加させる。
【0078】
代替実施形態では、図15および1を参照して、図23に示されるように、導電層は、図1または図4のものに類似するスイッチボックスに連結される、図15に示されるような数個の導体702、704、706を有する。強度コア708は、ケーブルの区分の各末端で、スイッチボックス1401、1403の間で電気的に接続される。スイッチ1402、1404が開放すると、導電層702、704、706の実効抵抗は、閉鎖したスイッチを有するケーブルのそれと比較して増加し、全てではないが、より多くの電流が、鋼強度コア1104、708を通して迂回される。
【0079】
一実施形態では、スイッチボックス1114は、インダクタ1122を含む。スイッチボックス1120が開放すると、インダクタは、ケーブル区分1110の低抵抗外部導電層1108とともに、電気的に直列に配置され、インダクタ1112と導電層1108のこの直列接続は、該区分の内部鋼心1104と電気的に並列であって、結果として、ケーブル1102内の全てではないが、いくらかの電流が、鋼心1104を通して迂回され、この電流の量は、スイッチボックス1120が閉鎖した状態での通常動作中に、鋼心1104を通る電流より実質的に大きい。
【0080】
スイッチボックス1114は、図10および図11を参照して前述されるような電力供給配置および高温解除装置である。
【0081】
代替実施形態では、図20に示されるように、スイッチボックス1114の代わりに使用するために適したスイッチボックス1200は、スイッチボックス1120を有しない。本実施形態では、スイッチボックス1200は、前述のケーブル区分の外部導電層1108および内部鋼心1104の双方に接続される電力入力接続1202、およびケーブル区分1110の内部鋼心1104への接続のための電力出力接続1204であって、いくつかの実施形態では、本接続は、ケーブルの局所的に露出した鋼心1104を組み込み得る。
【0082】
図20の実施形態は、数巻の高電流容量ワイヤを有するコイル1206も有し、コイル1206は、ケーブル区分1110の外部導電層1108に接続するために、電力入力接続1202と第2の電力出力接続1208との間に接続される。スイッチボックス1200は、図10および11を参照して前述されるような充電配置を有する電力貯蔵1212、および制御信号受信器1214を有する。制御信号受信器1214は、ケーブル区分1110を除氷するコマンドを受信し、受信器1214は、非磁気ケーブル1218上で引っ張る電動アクチュエータを作動させる。非磁気ケーブル1218は、滑車1220の上を通って磁気コア要素1222に至り、電動アクチュエータ1216の作動は、コア要素1222をコイル1206に引き入れる。コア要素1222がコイル1206に引き入れられると、コイル1206のインダクタンスは増加し、それによって、抵抗内部鋼心1104を通るケーブル1102内の電流の一部を迂回させる。
【0083】
滑車1220は、リリースキャッチ1224を通してスイッチボックス1200のケースに取り付けられ、コイル1206へのコア要素1222のソレノイド引力を克服するために十分な強度を有するバネ1226を接続して、コイル1206からコア要素1222を引き込む。スイッチボックス1200制御信号受信器1214は、ケーブル区分1110の除氷を中止するコマンドを受信し、制御信号1214は、電動アクチュエータ1216に命令して、非磁気ケーブル1218をほどく。これは、バネ1226が、コイル1206からコア要素1222を引き込み、ケーブル選択1110を通常動作に戻すことを許可する。
【0084】
図11の可融性リンク320に関して前述されるような可融性リンクが、ケーブル区分1110の過剰加熱に起因して溶解する場合では、バネ1232によって安全アクチュエータロッド1230をスイッチボックス1200に引き込む。スイッチボックス1200に引き込まれているアクチュエータロッド1230は、リリースキャッチ1224をトリガして滑車1220をリリースし、バネ1226がコア要素1222をコイル1206から引き込み、ケーブル区分1110を低インピーダンス動作に戻すことを可能にし、これは、強度コア1104内の電流を効率的に低減し、ケーブル1102の自己発熱を低減する。
【0085】
図20のスイッチボックスの実施形態では、システムコントローラ124(図1)が、除氷の完了を決定することができ、すぐにシステムコントローラ124が、通常動作に戻り、次のケーブル区分の除氷(必要に応じて)を開始するようスイッチボックス1200に命令するように、スイッチボックスは、図11のセンサ324および温度/状態送信器326等の回路を組み込む。一実施形態では、制御信号受信器1214は、センサ324の監視も行い、可融性リンク320溶解するために必要な温度より低い温度で、コア1222を引き出すことによって、スイッチボックス1200を通常動作に戻すよう試みる。
【0086】
図20の実施形態に類似する代替実施形態では、一体成形の可動コア1222の代わりに、図21に示されるように、ツーピースコアが使用される。本実施形態では、第1のL字型コア部分1240をスイッチボックスに固定する。第2のL字型コア部分1242は、図21における1242として示されるような第1の位置において、コイル1232から引き出されて低インダクタンス設定をもたらすように配置され得るか、またはコイル1232の中へ、図21に点線で示される第2の位置1244に引き込まれて、高インダクタンス設定をもたらすように配置され得る。本実施形態では、第1および第2のL字型コア位置1242、1240は、第2のコア部分1242が高インダクタンス位置にある時に、磁束のためのループを形成する。
【0087】
図19および20の実施形態は、図1を参照して前述されるようなシステムコントローラ124の制御下で動作し、一実施形態では、ケーブルのいくつかの区分は、図19および20を参照して説明されるように除氷されるが、いくつかの他の区分は、図1および4を参照して説明されるように除氷される。
【0088】
図22の実施形態も送電線ケーブルを除氷するためのシステム1300であり、この場合は、ケーブル電力の一部分をステップアップ変圧器(巻き線1304および1306)およびケーブル1302の鋼支持ストランド1308を通して迂回させることによりケーブル1302を加熱することによって、本実施形態では、鋼ストランド1308は、絶縁1310によって取り囲まれた後、鎖状のアルミニウムまたは銅導電層1312によって包囲される。スイッチボックス1313は、通常動作モードで開放するスイッチボックス1314、および閉鎖するスイッチ1316を有し、電流が導電層1312を通ってスムーズに流れることを可能にする。スイッチボックス1313は、図11を参照して説明される電力貯蔵302およびコマンド受信器312に類似し、等しい充電回路を有する電力貯蔵1322およびコマンド受信器1324も有し、他の実施形態と同様に、コマンド受信器1324は、システムコントローラ124と連通する。
【0089】
ケーブル1302を除氷することが望ましい場合、コマンド受信器1324は、コマンドを受信し、スイッチボックス1314を最初に閉鎖して、鋼支持ストランド1308を通る電流経路を確立した後、コマンド受信器1324は、スイッチボックス1316を開放して、相当量の電流を変圧器一次巻き線1306に引加する。すぐに変圧器二次巻き線1304は、電力を支持ストランド1308に提供する。変圧器一次巻き線1306は、ほんの数回巻かれているにすぎず、変圧器コア1318は、ケーブル内で使用可能な電力のわずかな部分のみ、例えば、ケーブル1メートル当たり100〜300ワットが支持ストランド1308に引加されるように、飽和磁気材料で構成され、1000アンペアを引き込む600kVの送電線では、1メートル当たり300ワットで、1マイルの線の3つのケーブル全てを加熱するために必要な150kWは、送電線を流れる総電力の割合の1/10より低く、一次巻き線1306全体の電圧降下は、低レベルに保持され得る。
【0090】
他の実施形態と同様に、図22の実施形態は、可溶リンクおよび温度センサ等のケーブルの過熱を感知するための装置(図22に図示せず)を有する。ケーブルの過熱を感知するための装置が、ケーブルの過熱状態を検出すると、スイッチボックス1316または補助スイッチボックス(図示せず)が閉鎖され、変圧器一次巻き線1306をバイパスすることによって、ケーブルコア1308内の電流を低減し、通常動作モードの場合と同様に、バイパス一次巻き線1306は、ケーブルコア1308内の電流を著しく低減し、ケーブル1302の抵抗加熱を低減する。
【0091】
図10、11、21、および22のスイッチボックス等の、本明細書で説明される全ての実施形態のスイッチボックスは、例えば温度センサ324を介して、ケーブルおよびスイッチボックスの過熱状態を感知し、可融性リンク320等の可融性リンクを溶解するために必要とされる温度より低い温度で通常動作するための除氷から復帰を試みる。可融性リンク320および関連装置によって提供される機械的感知および低抵抗動作への回帰は、送電線への過熱損傷を防止することが意図される、最も重要な機械的バックアップであり、そのケーブルは、システム制御124、電気スイッチボックスアクチュエータ314、電動的に起動するスイッチ340、1120、1316、電動アクチュエータ1216、温度センサ324、または除氷モードになる他の構成要素を有する必要がある。
【0092】
前述の説明は、その特定の実施形態を参照して、具体的に図示および説明されているが、当業者には、この精神を逸脱することなく、形態および詳細の様々な他の変更を行ってもよいことが理解されるであろう。本明細書に開示され、以下の請求項によって包括される広範な概念から逸脱することなく、該説明を異なる実施形態に適用する時に、種々の変更を行ってもよいことを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2008年8月18日に出願された共有に係る正規の米国特許出願第12/193,650号および2008年4月2日に出願された米国仮特許出願第61/041,875号の優先権を主張し、その開示が本明細書に参考として援用される。
【0002】
(分野)
本文書は、オーバーヘッド送電線の分野に関する。具体的には、過剰な氷の重量に起因する損傷を防止するために、そのような送電線のケーブル上の過剰な氷の蓄積を防止するか、または除去するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
アイスストームは、米国の一部地域では比較的一般的である。これらのストームは、オーバーヘッド送電線および関連するポールとタワーを含む構造上に氷の蓄積をもたらし、この氷は、数インチの厚さに達し得る。そのようなアイスストームは、幸いにも送電線の総動作時間のほんの数パーセントを占めるにすぎず、任意の送電線は、通常、年に数回だけそのような状況に遭遇する。
【0004】
蓄積した氷の塊は、ケーブルおよび構造を機械的に加圧することによって、重大な問題を引き起こす。例えば、円筒形の2インチの氷は、1インチの導体に5.7トン/マイルの重量を引加する。変化したケーブルの輪郭も、風によるストレスを増加し、さらにそれが破損する可能性を高める。蓄積した氷は、送電線およびポールを破壊し、タワーを崩壊させ、それらのいずれかが送電を妨害して、地上の人間および建物に危害を加える深刻なリスクをもたらし得る。
【0005】
いくつかの送電線は、電動車両に送電するために使用されるトロリーワイヤである。氷は良好な導体でないため、トロリーワイヤ上の氷は、車両への送電を妨げ得る。
【0006】
送電線は、通常、高温での過剰な電力損失およびワイヤの動作を回避するように、一定の低い全体抵抗を有するよう設計される。ワイヤが高温に達すると、電気的自己発熱、高い周囲温度、または双方に起因するか否かにかかわらず、ワイヤは伸長し、脆弱化する傾向がある。この伸長は、ポールまたはタワーの間に線のたるみをもたらし得、地上の人間または建物に危害を及ぼす可能性がある。さらに、通常動作中の低抵抗は、過剰な電力損失を回避するために望ましく、線の過熱に対して失われる全てのキロワットは、生成されなければならないが、顧客に到達しないキロワットである。最後に、高抵抗に起因する送電線内の過剰な電圧降下は、電力網システムの不安定性をもたらし得る。
【0007】
多くの送電線は、数インチ離間し、各相で電気的に並列接続される場合が多い、いくつかの個別の導体を有するケーブルを有する。互いと熱接触にある導体のケーブル上の高い周囲温度での冷却を改善することによって、より高い電流容量を可能にする一方で、この設計は、氷の核生成のために追加の表面を提供することによって蓄積し得る氷の量を増加させる。例えば、各線が3つのケーブルを有し、スペーサで離間したケーブル当たり5つの導体を持つ、2つの並列送電線を有するシステムは、2インチの氷で全て被覆され、マイル当たり172トンを超える超過重量を有し得る。さらに、そのような設計は、活性化した導体、または活性化した導体と熱接触する導体のみが除氷されるため、単一のスイッチボックス除氷設計とは互換性がない。
【0008】
高重量および増加した空気抵抗の氷の張った線は、線の破損およびタワーの崩壊をもたらし得るだけでなく、線の初期破損またはポールあるいはタワーの崩壊から生じる、タワーにかかる力の突然の移行が、追加の隣接するタワーまたはポールをドミノのように倒壊させる可能性があり、修理工は、1つのタワーが倒壊するだけでなく、数十以上の隣接するタワーがたるんだ線に絡まって大破するのを認め得る。送電線の突然の崩壊は、スイッチングデバイスおよびパワープラントに損傷を与える場合もあり、電力網内の不安定性をもたらし得る。最悪の場合、送電線の突然の崩壊は、十分な容量の損失および電力網内の不安定性をもたらす可能性があり、結果として生じる停電は、複数の州にまで拡大し得る。したがって、これらの線上の氷の蓄積を防止、低減、または除去することが望ましい。
【0009】
Coutureに対する特許文献1、および米国特許出願第2003/0006652号および第2008/0061632号は、ロードセルを有するシステム、または送電線上に蓄積した氷を検出するための他の装置を説明する。本システムでは、氷が検出されると、送電線の相の1つ以上の並列導体は、送電線内を流れる電流が迂回され、並列導体のうちの選択した1つまたは数個を除氷するように、並列の機械的および電子スイッチを開放することによって切断される。次いで、開放スイッチのパターンを再配置して、並列導体のうちの異なる1つまたは数個を通して電流を迂回させる。
【0010】
送電線を除氷するための他のシステムは、当該技術分野において知られている。例えば、Shimadaに対する特許文献2は、トロリーシステムの並列線を連結してループにした後、通常、電力がループを通して送信される時にループの周囲の電流を重ね合わせて線を除氷する。一実施形態では、Shimadaは、ジュール加熱を誘導して線を除氷するための、トロリー線のループの周囲に重ね合わされたAC電流を有する、DCトロリー線を開示する。
【0011】
送電線は、常に同一量の電流を搬送するわけではない。線上で送信される電流は、次々と時間および天候によって異なる負荷条件、その時点で動作しているパワープラントの特定の選択、および他の因子を含む多様な因子によって異なる。例えば、風力および太陽光発電所からの電力を電力網の中へ搬送している送電線は、雲、時間、および風の状態によって大きく異なり得る。複数のユニットを有するような従来の発電所であっても、時間とともに変化する送電線電流を提供し得、例えば、2つのユニットプラントのうちの1つのユニットを修理のために閉鎖され得る。同様に、電力網に対する揚水発電所および畜電池発電所を含む、電力貯蔵システムを接続する送電線は、断続的に電流を伝導し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6396132号明細書
【特許文献2】米国特許第4190137号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(概要)
送電線を除氷するためのシステムであって、送電線は、少なくとも3つの相互に絶縁された導体を有するケーブル(それぞれ3相線の各相用、またはDC線の各極性用)を有する。システムは、閉鎖されると、通常の低抵抗動作用に3つの導体全てを並列に配置し、開放されると、3つの導体全てを電気的に直列に配置して、ケーブルを除氷するスイッチを有する。システムは、システムコントローラの制御下で動作する。
【0014】
特定の実施形態では、送電線は、機関車、路面電車、またはトロリーバス等の電動車両に電力を提供する線である。いくつかの導体のうちの1つは、パンタグラフまたはトロリーワイヤ等の摺動機械的連動と直接電気接触状態にある。特定の実施形態では、パンタグラフと接触する導体は、2つの他のワイヤの材料より高い電気抵抗を有するが、機械的強度の高い材料で形成される。例えば、パンタグラフを接触させるための導体は、鋼、ステンレス鋼、青銅、真鍮、または銅被覆あるいはアルミニウム被覆鋼で形成され得るが、2つの並列導体は、アルミニウム、アルミニウム合金、または銅で形成される。
【0015】
特定の実施形態では、各ケーブルは、少なくとも5つの相互に絶縁された導体を有し、5つの導体は全て、通常動作の場合は並列であり、除氷する場合は直列である。3、7、および他の数字の導体を有する他の実施形態が開示される。
【0016】
別の実施形態では、送電線のケーブルを除氷するためのシステムであって、各ケーブルは、少なくとも2つの区分に分割される。各区分は、少なくとも3つの導体を有し、それらは通常動作の場合は並列に配置され、除氷動作の場合は直列に配置される。システムコントローラは、ケーブルの区分を連続的に除氷して、送電線による送電の過度の干渉を防止するために提供される。
【0017】
特定の実施形態では、ケーブルの温度を監視するため、およびケーブルの過熱が検出された場合に導体を並列に戻すための装置が提供される。
【0018】
別の実施形態では、送電線の導体を並列構成と直列構成との間で切り替えるためのスイッチボックスは、充電器を持つ電力貯蔵デバイス、コマンドを受信するための制御信号受信器、およびケーブルの少なくとも1つの導体を通る電流を決定するための制御信号受信器によって制御される少なくとも1つのスイッチボックス、および制御信号受信器を解除し、ケーブルの導体上で高温が検出されると、ケーブル導体を並列構成に配置するための装置を有する。
【0019】
別の実施形態では、ケーブルは、複数の導体を有する必要はないが、鋼ワイヤ等の電気的に抵抗強度コア、および少なくとも1つの導体を有し、本システムは、導体から抵抗強度コアを通る十分な電流を迂回させて、第1の動作モードでケーブルを除氷するためのスイッチボックスを有し、実質的に全ての電流は第2の動作モードで導体を通過する。
【0020】
特定の実施形態では、スイッチボックスは、インダクタンスを導体と直列に配置するか、または増加することによって、強度コアを通して電流を迂回させ、強度コアは、インダクタンスと導体の直列の組み合わせと並列にあり、インダクタンスの誘導リアクタンスのために、増加電流を取る。
【0021】
別の特定の実施形態では、スイッチボックスは、変圧器およびスイッチを有し、該変圧器は、通常動作でバイパスされ、ステップアップ変圧器として動作して、除氷モード中に、電力を強度コアの中へ迂回させる。
【0022】
別の特定の実施形態では、スイッチボックスは、ケーブルの温度を監視するため、および高温に遭遇した場合に通常動作レベルに向けて強度コア内の電流を低減するためのデバイスを組み込む。
【0023】
ケーブルが、第1のスイッチボックスと第2のスイッチボックスとの間にいくつかの導体を持つ区分を有する、送電線のケーブルを除氷するための方法が開示される。ケーブルの区分は、通常動作モードを有し、導体は、電気的に並列接続される。氷が検出され、除氷が望ましい場合、スイッチボックスを再構成して、導体のうちのいくつかを電気的に直接に連結し、それによって、ケーブルの区分を高抵抗除氷モードにする。ケーブルの区分内を流れる電流は、ケーブルの区分を抵抗的に加熱して除氷する。除氷後に、スイッチボックスのスイッチを再構成して、ケーブルの区分を通常動作モードに戻す。
【0024】
該方法の特定の実施形態では、ケーブル内の電流が監視される。本実施形態では、コントローラは、ケーブル内の電流に従って、スイッチのいくつかの除氷構成の中から選択する。さらに、除氷するために電流が低すぎる場合、コントローラは、ケーブル内の電流の増加を要求し得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、送電線の氷の蓄積を防止するか、または送電線から氷の蓄積を除去するためのシステムを示す概略図である。
【図2】図2は、輸送システムにおいて電力を送信するために使用される、トロリーワイヤの氷の蓄積を防止するか、またはそこから氷の蓄積を除去するための実施形態を示す。
【図3】図3は、図2のシステムとともに使用するためのケーブルの代替実施形態を示す。
【図4】図4は、ケーブル当たり5つの導体を有する、氷の蓄積を防止するためのシステムの代替実施形態の1つのケーブルの1つの区分を示す電気回路図である。
【図5】図5は、ケーブル当たり5つの導体を有する、氷の蓄積を防止するためのシステムの代替実施形態のケーブルの1つの区分を動作させる、代替方法の電界回路図である。
【図6】図6は、ケーブル当たり5つの導体を有する、氷の蓄積を防止するためのシステムの代替実施形態のケーブルの1つの区分を動作させる、代替方法の電気回路図である。
【図7】図7は、ケーブル当たり6つの導体を有する、氷の蓄積を防止するためのシステムの代替実施形態のケーブルの1つの区分を示す、代替方法の電気回路図である。
【図8】図8は、ケーブル当たり7つの導体を有する、代替実施形態の1つのケーブルの1つの区分の電気回路図である。
【図9】図9は、互いに熱接触する7つの導体および鋼強度部材を有するケーブルの断面図である。
【図10】図10は、システム内で使用するための太陽電池により電力供給されるスイッチボックスのブロック図である。
【図11】図11は、システム内で使用するための代替スイッチボックスのブロック図である。
【図12】図12は、複数のケーブル区分を有し、各区分は、独立した、または連続する除氷または防氷動作を行うことができるシステムを示す。
【図13】図13は、図1のシステムとともに使用するための第1のケーブルの断面を示す。
【図14】図14は、図4のシステムとともに使用するための第2のケーブルの断面を示す。
【図15】図15は、図1のシステムとともに使用するための第3のケーブルの断面を示す。
【図16】図16は、直列接続されたスイッチを有する代替実施形態を示す。
【図17】図17は、PCT/US2004/27408号に提案されるような電力線の除氷システムを示す。
【図18】図18は、外部導電層から電気的に絶縁される鋼強度コアを有するケーブルの断面を示す。
【図19】図19は、区分当たり2つの導体と単一のスイッチを有する除氷システムを示す。
【図20】図20は、図19の除氷システムとともに使用するために適した誘導スイッチボックスの概略図である。
【図21】図21は、図20の誘導スイッチボックスとともに使用するための代替コアを示す概略図である。
【図22】図22は、ケーブル内の電圧損失を低減するためのステップアップ変圧器を有する、区分当たり単一のスイッチボックスを有する代替除氷システムの概略図である。
【図23】図23は、図1および15のいくつかの特徴を有する、代替実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(本実施形態の詳細な説明)
送電線100上に蓄積した氷を電気的に除去する、または蓄積を防止するためのシステムが、図1に示される。便宜上、3つのケーブル102または通常の三相交流線の相のうちの1つのみが示される。図1の実施形態では、ケーブル102は、3つの並列導体104、106、108で構成される。3つの導体104、106、108は、スペーサ110をケーブル102に沿って絶縁することによって、1つに束ねる。
【0027】
ケーブル102は、絶縁体112によってタワー114から吊設されるか、または代替実施形態では、ポール(図示せず)から吊設される。ケーブル102の区分の末端では、第1のスイッチボックス116および第2のスイッチボックス118は、ケーブル102に沿って絶縁体112から吊設される。各スイッチボックス116、118は、スイッチボックス120およびスイッチボックスアクチュエータコントローラ122を含む。
【0028】
送電線の所定区分の場合、スイッチボックス116、118は、第1のスイッチ閉鎖状態または第2のスイッチ開放状態のいずれかである。通常動作中、スイッチボックスは、電気的に並列接続されたケーブル102の全ての並列導体104、106、108とともに、スイッチ閉鎖状態を維持する。送電線100に沿って氷の蓄積が認められる、または疑われる場合、または氷結気象条件のために、氷の蓄積を防止することが望ましい場合、ボックス116、118のスイッチ120は、スイッチ開放状態に置かれる。これによって、ケーブル102の3つの導体104、106、108は、並列の代わりに直列で電気的に接続され、1つの導体104は逆方向の電力を搬送し、それによってケーブル102の区分の実効抵抗を9倍増加させる。
【0029】
スイッチ120がスイッチ開放状態にあり、ケーブル102の実効抵抗が通常状態の9倍に増加すると、区分に沿った電圧の対応する9倍の増加は、通常のスイッチ閉鎖状態で、ケーブル102の自己発熱の対応する9倍の増加をもたらし、ケーブル102の加熱を提供して、蓄積した氷を溶解し、追加の氷の蓄積を遅延させる。本文書の目的において、防氷動作は、蓄積した氷を溶解するか、または追加の氷の蓄積を遅延させるように、ケーブル102の加熱を提供する様式での、ケーブル区分の動作である。
【0030】
スイッチボックス116、118のスイッチ120は、システムコントローラ124の制御下で動作する。一実施形態では、システムコントローラ124は、ネットワーク運営センタ―に位置する。別の実施形態では、システムコントローラ124は、氷の蓄積を含む、局所気象条件を感知することができる自動装置であり、氷の蓄積の影響を受けるケーブル102の区分の付近にあるタワー114に取り付けられ、スイッチボックス116、118をその制御下に有する。このようにして、スイッチボックス116および118双方のスイッチは、スイッチボックス116および118が1マイル以上離れて位置しているとしても、基本的に同時に開閉することができる。
【0031】
図1の実施形態は、図2に示されるように、ケーブルまたは極性のDC送電線またはトロリー電力線にも適用可能である。図2の実施形態では、2つのスイッチボックス156、158の間に、蛇行形態に連結される3つの並列導体150、152、154がある。3つの導体のうちの1つ、接触導体154は、電動車両162のパンタグラフ160または他のトロリーワイヤ接触装置と接触するためにアクセス可能であるように配置される。
【0032】
車両162は、レール164を通る車両電流の帰還経路を有する、電気機関車または図示されるような路面電車ユニットであり得る。代替実施形態では、2組の並列導体154およびスイッチボックス156、158が、二重トロリーワイヤ接触装置160とともに提供され、1つは、DCまたはACトロリーワイヤシステムの各相または極性用であり、車両162が双方の相または極性に接続するようにする。本代替実施形態では、車両162は、長年サンフランシスコで運航している電動バス等のゴムタイヤ車両であってもよい。
【0033】
図2の実施形態では、スイッチ168、166を開放して除氷モードにし、閉鎖して通常動作モードにすることができる。これらのスイッチ168、166を開放すると、システムの後方区分において車両162によって引き込まれている電流等の、導体154、152、150を流れる電流は、3つの導体154、152、150の全てを同時ではなく連続して通過して、電流密度を増加し、導体を加熱する。
【0034】
図2の実施形態では、接触導体154は、他の接触導体または非接触導体152、150のものとは異なる材料で製造され得るが、必ずしもそうである必要はない。例えば、接触導体は、高強度中抵抗の青銅、真鍮、銅覆鋼、ステンレス鋼、またはアルミニウム覆鋼であってもよく、低抵抗の銅またはアルミニウム製の並列導体150、152を有する。本実施形態は、パンタグラフまたはトロリーワイヤ接触装置160との接触に起因して、高強度接触導体がより良く機械ストレスに抵抗し得るという点で有利である。さらに、非接触導体152、150を除氷して、重量および風に関連する損傷を回避することが望ましいが、接触導体154上の氷は、接触導体154からパンタグラフまたは他のトロリーワイヤ接触装置160への電力伝達を干渉し得る。接触導体154のより高い抵抗は、接触導体154の即時かつ急速な除氷を保証することに役立ち、氷結条件中の車両162の継続運転を保証し得る。本代替実施形態では、スイッチ166、168を短時間開放することで接触導体154を除氷し、継続運転を保証することができるが、スイッチ166、168を繰り返し、または長時間開放すると、氷の蓄積が重量または風に関連する損傷をもたらす恐れがある場合に、非接触導体152、150を除氷することができる。
【0035】
図2のトロリーシステムのいくつかの実施形態では、非接触導体150、152は、接触導体154から個別に吊設されるか、またはスペーサによって分離された導体150、152、154に近接するが、代替実施形態では、図3に示されるように、接触導体154は、絶縁材料および非接触導体150、152を含むシェルを形成し得る。
【0036】
本システム100は、ケーブル102の1つの導体104における電流の方向が逆であるという点、およびCoutureは、一度に1つまたは数個の導体のみを除氷するという点でCoutureのシステムとは異なり、システム100は、離間した導体ケーブルの場合、区分の3つの導体全てを同時に除氷するが、Coutureは、ケーブルの全ての導体をクリアするためにいくつかの連続する除氷動作を必要とする。システム100は、スイッチの数および位置においてもCoutureのシステムと異なる。Coutureは、1組のスイッチを区分の2つの末端の間にある一点に配置するが、システム100では、スイッチは区分の末端の双方に配置される。3つの導体線のためのCoutureのシステムは、3つのスイッチを有するが、システム100は、スイッチを2つのみ有する。もう1つの差異は、システムスイッチの全てが開放位置で故障すると、電流が流れ、したがって電力伝達が中断されるが、システム100は、例えば、雷によってシステムが故障、または損傷した場合に起こり得るように、全てのスイッチが開放していても継続して電流を提供することである。同様に、システム100は、ループが形成されず、追加の電流がループに引加されないため、Shimadaのシステムとは異なる。
【0037】
図4の氷の蓄積を除去または防止するためのシステム200の代替実施形態は、ケーブル202当たり3つではなく、5つの導体を有する。本実施形態では、各スイッチボックス204、210は、2つの連動スイッチ206、207、209およびアクチュエータコントローラ208を有する。本実施形態では、スイッチ206、207、209の開放は、ケーブル202の実効抵抗が25倍増加するという結果をもたらし、それによって、ケーブル102の自己発熱を高めて、蓄積した氷を溶解し、追加の氷の蓄積を遅延させる。図4の実施形態では、5つのうちの2つの導体は、電流を逆方向に搬送するが、3つの導体は電流を順方向に搬送する。
【0038】
図4の実施形態では、ケーブル102の区分における全導体の有効長は、5倍増加する。60サイクルの電力線AC電流の波長は約3000マイルであるため、この長さの増加によって導入される位相は、数マイル長の区分が除氷される場合に電力網で動作させられると、送電線内の電力潮流に対して有意な影響を及ぼさず、有意な位相をもたらさない。さらに、3つの相全てにおいて同時にスイッチを動作させることによって、3つの相線において同時に長さ(および導体抵抗)を増加し得るため、送電線の異なる相導体の間の除氷動作によって追加される有意な位相があってはならない。
【0039】
上述の抵抗および電力消費の増加は、オープンエアスペーサにより離間した導体ケーブルを用いる場合と同様に、ケーブルの各導体に対して等しい抵抗を有する実施形態を想定する。他の実施形態では、ケーブル内の個別の導体の抵抗は、異なる抵抗を有し得、達成される抵抗比は、導体の実効抵抗によって異なる。
【0040】
ケーブル102の自己発熱の25倍の増加は、ケーブルが低電流を伝導している時に望ましい場合があるが、ケーブルが、高電流で動作している、および/またはスペーサによって離間させる代わりに、1つに束ねられたいくつかの導体を有する場合は過剰となり得る。図4に示されるスイッチボックスの配置は、図5に示されるような他の有効電力消費の増加を生じるように代替方法で動作させられ得る。
【0041】
図5の実施形態では、スイッチ206、209を開放して除氷モードにするが、スイッチボックス207は依然として閉鎖している。本実施形態では、導体当たりの抵抗が等しいと想定すると、ケーブル区分の実効抵抗は5倍増加する。
【0042】
同様に、図6の実施形態215では、スイッチ206、207は開放しているが、スイッチボックス209は依然として閉鎖している。本実施形態では、各導体が抵抗Rを有すると想定すると、ケーブル区分の実効抵抗は、1/5Rから3Rに増加し、15倍の抵抗の増加である。
【0043】
6つ以上の導体を持つケーブルを有する実施形態は、奇数の導体を有し得る。図7の6導体実施形態220では、ケーブル区分の抵抗は、スイッチ206、222が開放すると1/6Rから3と1/2Rに増加し、9倍の増加である。システムの他の構成が可能であり、除氷モードで他の電力増加を有し、例えば、スイッチボックス222は依然として閉鎖しているが、スイッチ206が開放する場合、抵抗は1/6Rから3と3/4Rに増加し、4と1/2倍の増加である。
【0044】
同様に、代替実施形態250は、各ケーブルに7つの導体、および各スイッチボックス268、270に3または4つの(図8に示されるような)スイッチ252、254、256、258、260、262、264、266を有し得る。図8の実施形態では、ケーブルの実効抵抗は、図1に示されるように、どのスイッチが開放されるかに従ってプログラム可能であり、全てのスイッチが閉鎖されると、ケーブルの抵抗は最大49倍になる。追加の代替例およびパターンは図1に描写されていないことに留意されたい。ある程度、開放スイッチのパターンは、防氷動作において、どの導体を加熱し、どれを依然として励起しないかを選択することもできる。代替実施形態では、スイッチ266および252は、提供される抵抗オプションの低減が最小であるワイヤで置き換えられる。システムの最小抵抗構成と最大抵抗構成との間の動作モードは、本明細書において中間抵抗モードとして知られ、これらの多くは表1に示される。実施形態では、システムコントローラは、送電線を通る電力を監視し、除氷するために必要な抵抗を決定し、送電線内の電流に適切なように、最小抵抗、最大抵抗、および中間抵抗モードから除氷モードを選択する。いくつかの実施形態では、システムコントローラは、電力貯蔵システム、生成システム、またはネットワーク運営センタ―に要求を伝送することもでき、送電線内の電流が増加して、除氷のために十分な電流を提供する。
【0045】
【表1】
他の代替実施形態は、他の数の導体を有して存在し得、例えば、各ケーブルに9つの導体および各スイッチボックスに4つのスイッチを有する実施形態は、スイッチが開放されると、最大81倍増加する実効抵抗を有する。
【0046】
特定の実施形態では、送電線システムは、それぞれ図8の概略図に対応する複数の区分を有する相ケーブル267を有する。本実施形態では、ケーブル267は、アルミニウムまたは銅製の7つの導体253、255、257、259、261、263、265を有し、それらは、図9のケーブル断面に従って、熱および機械的接触で互いに結合され、および中央鋼強度部材280に結合される。7つの導体は、図8の7つの導体に対応する。本実施形態では、相ケーブルは、図1の様式に類似する様式で、タワーから吊設され、システムコントローラ124を備える。
【0047】
本実施形態では、コントローラ124は、送電線ケーブルを通る電流を監視する。氷が検出されると、コントローラ124は、ケーブル267の適切な加熱を提供してケーブルを除氷するが、ケーブル267に対する損傷を回避する、抵抗の増加を決定する。次に、コントローラは、スイッチボックス268、270のスイッチ252、254、256、258、260、262、264、266のための開放スイッチの構成を自動的に決定し、該構成をスイッチボックス268、270に伝送して、システムを特定ケーブル267区分に対して除氷モードにする。ケーブル267区分の除氷が完了すると、スイッチは閉鎖して通常動作に戻る。
【0048】
氷が検出され、除氷が望ましいが、ケーブル267が搬送している電流が、スイッチボックス268、270のスイッチ252、254、256、258、260、262、264、266の最大抵抗構成であっても除氷するために適した加熱を提供するには少なすぎる場合では、コントローラ124は、要求をグリッド管理システムに伝送し、十分な電力がケーブル267を通して搬送され、ケーブル267を除氷するように電力網を再構成し得る。電力貯蔵システムを電力網に接続する送電線の場合では、貯蔵システムは、十分な電力を貯蔵または放出して、線を除氷することを必要とし得る。
【0049】
送電線の抵抗自己発熱は、送電線を通る電流Iの平方×線の抵抗R(I2*R)に比例する。表1の抵抗増加は、ケーブルの各導体が等しい抵抗を有するという想定に基づいて計算される。送電線内の電流が比較的低い場合があり得るため、最大抵抗増加が、等しい抵抗の導体を用いて達成されるより有意に高くなり得るように、異なる抵抗の導体を有することが望ましい、送電線システムが存在し得る。例えば、図8の実施形態の変型実施形態では、ワイヤ263および265は、他の、または低抵抗の導体253、255、257、259、261の抵抗の10倍の抵抗を有する。通常動作中、これらの導体263、265は、ほとんど電流を搬送せず、実効抵抗Rは、低抵抗導体253、255、257、259、261のそれぞれの抵抗の実効抵抗の1/5よりわずかに少ない。7つの導体全ては、スイッチ252および256のみを閉鎖することによって、直列に構成されるならば、実効抵抗は、125Rまで増加し、スイッチ258および260が閉鎖される場合は、70Rまでの中間増加を伴う。一式の他の中間抵抗増加は、コントローラ124に対して選択するために得られ、容易に計算され得る。
【0050】
さらに別の代替実施形態では、導体263は、各低抵抗導体253、255、257、259、261の抵抗の10倍の抵抗を有し、導体265は、各低抵抗導体253、255、257、259、261の抵抗の30倍の抵抗を有する。本実施形態では、70倍Rまでの中間増加が得られ、225倍Rまでの最大増加が得られる。これらの実施形態では、コントローラ124は、線内で得られる電流の量に基づいて、除氷するために適した加熱を提供するために適切なスイッチボックス構成を選択する。次いで、本構成をスイッチボックス268、270に伝送し、したがってそれらのスイッチを設定する。コントローラは、送電線内の電流の監視を継続し、除氷するために適した加熱を提供する一方で、送電線を損傷し得る過剰加熱を回避するように電流が変化すると、スイッチボックス268、270のスイッチを再構成し得る。コントローラ124は、個別のコントローラであり得るか、またはスイッチボックス268、270に統合され得る。
【0051】
一実施形態では、送電線区分267は、電力貯蔵サブシステムを有する太陽または風力発電システムから電力を搬送する。本実施形態では、送電線が電流をほとんどまたは全く搬送していない防氷モードに入ると、コントローラ124は、いくらかの貯蔵電力を送電線上で放出し、線を除氷するための電流を提供するよう求める要求を電力貯蔵サブシステムに伝送し得る。
【0052】
代替実施形態は、図示するためにNワイヤと称する、追加のワイヤを有してもよく、それぞれケーブル内で互いから相互に絶縁される。図8の導体に類似する実施形態の各導体は、1つ以上のNワイヤから組み立てられ得る。スイッチボックスによって見られるM個の有効導体を有する実施形態では、ケーブル内にN個の絶縁ワイヤを有する場合、MはNより少ないかまたは等しい。各導体内のワイヤの数は、導体間で異なり得、より抵抗の大きい導体は、低抵抗を有する導体より少数のワイヤを有し得る。
【0053】
局所配電送電線は、3,500〜25,000ボルトの間で動作する場合が多いが、多くの「高圧」三相送電線は、60,000〜1,200,000ボルトの間の電圧で動作する。従来の構成を有する実施形態は、いくつかの局所配電送電線とともに使用するために適切であり得るが、高圧送電線上の動作は、さらなる難題をもたらす。
【0054】
高圧送電線とともに使用するために特に適した一実施形態(図10)は、スイッチボックス204、116、118の全構成要素が電力線102、202電圧付近で動作するため、スイッチボックス204、116、118は、絶縁体112のケーブル202、102末端に取り付けられ、ケーブルで吊設される。そのような実施形態では、通常の115V AC電力からスイッチボックス204、116、118に電力供給することは実用的でない。その結果、スイッチボックス204、116、118、300は、ウルトラコンデンサまたはバッテリ等の内部電力貯蔵302によって電力供給される。
【0055】
大部分の実施形態では、電力貯蔵302は、ケーブル102、202の1つ以上の導体を取り囲む誘導ピックアップ304、ソーラーパネル306、または接地するための小容量コンデンサ308等のデバイスから選択されるデバイスによって、チャージャ310を通して充電される。電力貯蔵302は、通常、電力を消費するスイッチボックス300の唯一の構成要素である、制御信号受信器312に電力供給する。
【0056】
制御信号受信器312が、システム制御124から適切にコード化された「除氷」コマンド、伝送されている電力とともに、ケーブル102、202上に重ね合わされる高周波搬送波を介して、制御124から受信器312に伝送され得る、コマンドを光ファイバ上で光学的に、またはラジオによって受信すると、受信器312は、高電流スイッチボックスまたはスイッチ316を開放する、電気的に動作させられるスイッチボックスアクチュエータ314を作動させる。スイッチボックスアクチュエータ314は、ソレノイド、エレクトロマグネット、または電動機を組み込んでもよく、電気的に動作させられるスイッチングデバイスの技術分野において知られるような、急速開閉のための追加バネを組み込んでもよい。代替実施形態では、スイッチボックス316は、電子スイッチであり、さらに別の実施形態は、電気的に動作させられる機械スイッチと並列に電子スイッチを有する。
【0057】
一実施形態では、アクチュエータ314は、スイッチボックス316を閉鎖状態で保つ傾向があるバネ318の力に対抗するように動作する。
【0058】
暑い夏の日にスイッチ316を不注意に開放しながら全付加で動作していると、過剰な電力損失および線の加熱をもたらし得るだけでなく、地面上の人または建物に危険をもたらすに足るたるみをもたらし得るか、またはケーブル102に損傷をもたらすこともあるため、アクチュエータ314は、スイッチボックス300のケースに対して作用しないが、スイッチボックス300から短距離にあるケーブル102の導体104等の1つの導体に取り付けられる、クランプ322に可融性リンク320を介して作用することによって、スイッチボックス316を引いて開ける。可融性リンク320は、導体104に隣接し、ケーブル102の過剰なたるみまたは損傷が生じる温度に導体104が到達する前に壊れ、バネ118がスイッチボックス116を閉鎖することを可能にするように、低融点金属または樹脂で形成される。したがって、氷除去または氷防止のためのシステムが故障すると、スイッチ116は閉鎖(低抵抗)状態になる。
【0059】
図11に示されるような代替実施形態は、相当の電流を中断する必要があり得るスイッチボックスの構成要素をスイッチングするために、商業的に入手可能な接触器および/またはソリッドステートリレーを使用してもよいという利点を有する。本実施形態では、制御信号受信器312は、通常、電気的に作動させた接触器モジュール340を作動させることによって、低抵抗条件と高抵抗条件との間でケーブル102、202をスイッチする。接触器モジュール340は、電気機械的スイッチングデバイスを組み込み得るか、またはスイッチボックス全体で見られる最大電圧は、送電線の動作電圧よりはるかに低いため、ソリッドステートリレーデバイス、あるいは双方を含み得る。適切に時間調節した電気機械的スイッチングと並行して、ソリッドステートリレーデバイスを使用する利点は、電気機械的スイッチングデバイスが、約数百アンペアであり得る送電線電流に低スイッチング抵抗を提供して、ソリッドステートリレーデバイスの自己発熱を低減する一方で、ソリッドステートリレーデバイスは、電気機械的デバイスが閉鎖する前に閉鎖し、電気機械的デバイスが開放した後に開放することによって、電気機械的デバイスを開閉することに関連する、任意の接触アーク発生を抑制し得ることである。
【0060】
図11の実施形態では、接触器モジュール340は、クランプ322が締め付けられる導体346内の過剰な加熱に起因して可融性リンク320が溶解すると、バネ344によって閉鎖される、安全スイッチ342に並列接続される。これは、導体346が高温に達すると、制御信号受信器312およびスイッチ340の双方を効率的に無効にする。これは、スイッチボックスが故障した場合に、ケーブル102、202の過剰なたるみ、または過熱損傷を防止するが、特に未修復で放置されると、後にケーブル102、202に対するいくらかの氷損傷のリスクをもたらす。
【0061】
別の実施形態では、制御信号受信器312は、温度センサ324によって感知される温度を監視し、スイッチ340を閉鎖して、良好な除氷を示すが、可融性リンク320を溶解するために必要とされる温度より低い温度で、全ての導体を並列動作に戻す。一実施形態では、温度/状態送信器326は、導体の他の末端にあるスイッチボックスも、全ての導体を並列動作に戻すことができるように、高温に起因する340の閉鎖の表示をスイッチシステムコントローラ124に伝送する。線区分のスイッチボックスが、一方のスイッチボックスが開放したスイッチ340を有し、他方が閉鎖したスイッチ340を有するという一貫性のない状態である場合、可融性リンク320は、好ましくは最高電流を有する導体上に位置する。
【0062】
システム制御124のフィードバックを提供し、故障したスイッチボックスの修理を促すために、安全スイッチ342と連動される感知スイッチボックス347の状態は、可融性リンク320の障害を感知し、送信器326を介してこの情報をシステム制御124に伝送する。
【0063】
システムの制御を支援するために、温度センサ324(図10および11)をクランプ322に取り付けてもよく、温度の読み取り値は、温度送信器326によってシステム制御124に伝送され、例えば、ケーブル102の導体104の温度が水の凍結点を有意に超えるために、いつ区分の除氷が完了すると期待されるかを標示する。
【0064】
あるいは、センサ324を使用して、除氷または防氷動作中に事前設定した値、例えば、+10℃にケーブル温度を維持することができる。そうすることにより、温度が事前設定した値に到達するとスイッチは閉鎖し、該値より下落すると開放する。これは、除氷/防氷のために消費される総電力を効果的に低減し、ケーブルの過熱も防止する。
【0065】
図12の実施形態では、数百マイル長であり得、多様な地形および気候域を横断し得る送電線の各ケーブル400は、例えば、1/10〜10マイル長の区分402および区分404等の区分に分割される。各区分は、第1のスイッチボックス406、410、414および第2のスイッチボックス408、412、416を有する。送電線内の過剰な電圧降下を防止するために、ケーブル102を除氷することが望ましいと決定されると、第1の区分402のスイッチボックス406、408を作動させて、スイッチを開放する。該区分が除氷されると、第1の区分のスイッチを閉鎖し、第2の区分のスイッチボックス410、412を作動させて、スイッチボックスを開放する等、ケーブル400の全ての氷結区分が除氷されるまで連続する。同様に、ケーブル400を区分に分割することは、氷結条件に曝されている、または曝露されるケーブル400のそれらの区分の除氷を許可する一方で、異なる気候に曝露される区分が通常動作を継続することを可能にする。
【0066】
線の区分を連続して除氷することによって、電圧降下を制限することは、電力網の安定性を維持することに役立ち、顧客に気付かれ得る送電線内の電圧降下を回避する。
【0067】
図13は、本ケーブル除氷システムのスイッチボックス当たり単一スイッチの3つの導体ケーブルとともに使用するために適したケーブルの断面を示す。ゴム絶縁体を持つ非導電樹脂、セラミック、または金属であり得る三角スペーサ502は、ケーブルの各導体504に取り付けられる。導体504へのスペーサ502の取り付けは、ケーブルおよび絶縁体の基底部分の上にキャップを成形、粘付けし、ネジでキャップを絶縁体の底部に固定することによって、または離間した導体ケーブルの技術分野において知られるようなそのような他の方法によって行ってもよい。各導体504は、任意選択の鋼支持中心506上の導電性銅またはアルミニウムシェルであり得るか、または複数の鋼ストランドの支持中心に巻きつけられた導電性銅またはアルミニウムストランドから組み立てられてもよい。スペーサ502は、ケーブルに沿って均一の距離で位置付けられ、スペーサ間隔は、ケーブルの導体間の直接電気接触を防止するために十分小さくなるよう選択される。
【0068】
図14の実施形態では、4つの導体602は、スペーサ604によって中心導体606の周囲にスペーサに位置付けられ、5つの導体のそれぞれは、基本的に等しい電流容量である。示される実施形態では、1つの導体606または5つの導体602、606全ては、タワー間の長スパンに必要とされる強度を提供するように鋼心608を有してもよい。全ての5つの導体602は、除氷中に電流を搬送するため、これらの導体が互いに熱接触にない場合でも、5つの導体は全て除氷される。
【0069】
図15の実施形態では、ケーブル102または202として使用するためのケーブル700は、鎖状の鋼であり得る、強度コア708を中心にして組み立てられる3つ(図示される)、5つ、7つ、または9つの導体702、704、706を有する。鎖状の銅またはアルミニウムであり得る、導体702、704、706は、互いから絶縁され、押し出し成形された樹脂絶縁層710で被覆される。
【0070】
図13、14、および15を参照して、導体504、602、606、702、704、706および鋼支持コア506、608、708は、堅固である必要はないと予想され、大部分の実施形態では、これらは、送電線配線の技術分野において知られるような可撓性および容易なインストールのために鎖状構成である。導体および鋼心は、マージされてもよく、これらは、鎖状のCopperweld(登録商標)(銅被覆鋼)ワイヤ等の導体被覆鋼の複数の個別のストランドを有する、鎖状の導体であってもよい。さらに、実施形態は、本明細書で参照される導体にまとめられる多数の小さい絶縁ワイヤを有し得、例えば、送電線ケーブルは、それぞれ本発明に従う除氷の目的で2つのワイヤから成る3つのグループにまとめられる6つのワイヤを有し得、ワイヤの各対は、前述されるように除氷するための導体として取り扱われる。
【0071】
本明細書に説明する原理は、DC送電線にも適用可能である。送電線内の電流からの誘導ピックアップによって、または高圧コンデンサを通して、DC送電線のスイッチボックスに電力供給することは不可能であるが、他のスイッチボックス電力供給配置を使用してもよく、太陽電池およびバッテリ配置を含むが、これに限定されない。
【0072】
本明細書に説明するシステムは、システムコントローラ124からスイッチボックス300に伝送される制御信号を使用する。スイッチボックスのスイッチの偶発的開放または未承認者によるシステムの妨害を防止するために、制御信号は、暗号化形式で伝送され、コード化されることが望ましいと考えられる。
【0073】
図16の実施形態では、代替スイッチボックス構成が同様の効果をもたらす。本実施形態の相800では、ケーブル802は、2つのスイッチボックス804、805の間を通る3より大きい奇数の導体810、812、814、816、818を有する。通常動作中、直列接続されるスイッチ806および807は、導体812、814、816、および818を導体810および入力820、ならびに出力スイッチボックス805に並列接続し、対応するスイッチは閉鎖される。スイッチボックス制御およびアクチュエータ808は、スイッチ806および807を開放し、電流は、5つの導体810、812、814、816、818の全てを直列に通って流れるよう強制され、それによって、これらの導体の抵抗自己発熱をもたらす。この構成は、直列配列における第1のスイッチ(例えば、スイッチボックス806)内の電流を増加させて、任意の1つのスイッチ全体で見られる電圧を低減する効果を有する。
【0074】
送電線の除氷システムは、通常、三相のそれぞれをケーブル900上で伝導すること、および図17に示され、PCT/US2004/27408号に開示されるように、ケーブルを2つの導体904、906に分割することが提案されている。ケーブルの区分910の末端にあるスイッチボックス908は、並列の2つの導体904、906を用いる通常動作と、2つの導体904、906のうちの1つ906のみを流れる電流を用いる除氷動作との間を移行し、1つの導体904は、ケーブルの抵抗が、ケーブルを除氷するために十分な自己発熱をもたらし、さらなる氷の蓄積を防止するために十分高くなるようなサイズで除氷中に使用されるが、通常導体中に並列接続される導体904は、通常動作中の損失を低下させるために適切な低抵抗を提供するサイズである。スイッチボックス908からの区分910の対向末端、および次の区分916のスイッチボックス914の前方で、2つの導体904、906は、ともに電気的にショート912する。ショート912時を除いて、導体904、906は、絶縁の層918によって分離される。PCT/US2004/27408号に開示される設計では、第1の導体904の除氷は、除去される氷に物理的に近いケーブルの外層であるが、通常の第2の導体906は、ケーブルの中心バルクであって、ケーブルの任意のコアを含み得る。
【0075】
修正ケーブル1000(図18)を含む高圧送電線ケーブルは、鋼等の強力だが抵抗の高い材料から成るストランド1004を有する強度コアを取り囲むアルミニウムまたは銅等の一般に多くのストランド1002から成る導体を有し、鋼は、ケーブルの支持を助け、他の方法で可能になるより優れたタワーまたは極性間隙を可能にする。修正ケーブル1000では、強度コアストランド1004と導電ストランド1002との間の電気接触を防止する追加の絶縁層1006が存在する。
【0076】
図19に示されるような送電ケーブルに対して修正した除氷システム1100は、鋼心1104、絶縁層1106、および導電層1108を有するケーブル1102を有し、絶縁層1106は、鋼心1104と導電層1108との間の接触を防止し、鋼心1104および導電層1108のそれぞれは、通常、複数のストランドで形成される。外部絶縁および気候保護層等の追加層が存在し得る。ケーブル1102は、区分1110に分離され、区分1110の1つの末端はスイッチボックス1114であり、他の末端は、鋼心1104と導電層1108との間の短絡接続1116である。
【0077】
通常動作中に、スイッチボックス1114は、ケーブル1102の各区分の導電層1108の間の電気接続を維持する。本通常モードでは、ケーブル102を通る電流の大部分は、導電層1108を通過する。ケーブル1102の区分1110を除氷するために、該ケーブル1102の区分1110と関連したスイッチボックス1114のコントローラ1118は、スイッチボックス1120を開放し、それによって、導電層1108内の電流を低減または排除し、ケーブルは電力を伝導し続けている送電線の一部であるため、それに対応して、該区分1110の鋼心1104内の電流を増加させる。
【0078】
代替実施形態では、図15および1を参照して、図23に示されるように、導電層は、図1または図4のものに類似するスイッチボックスに連結される、図15に示されるような数個の導体702、704、706を有する。強度コア708は、ケーブルの区分の各末端で、スイッチボックス1401、1403の間で電気的に接続される。スイッチ1402、1404が開放すると、導電層702、704、706の実効抵抗は、閉鎖したスイッチを有するケーブルのそれと比較して増加し、全てではないが、より多くの電流が、鋼強度コア1104、708を通して迂回される。
【0079】
一実施形態では、スイッチボックス1114は、インダクタ1122を含む。スイッチボックス1120が開放すると、インダクタは、ケーブル区分1110の低抵抗外部導電層1108とともに、電気的に直列に配置され、インダクタ1112と導電層1108のこの直列接続は、該区分の内部鋼心1104と電気的に並列であって、結果として、ケーブル1102内の全てではないが、いくらかの電流が、鋼心1104を通して迂回され、この電流の量は、スイッチボックス1120が閉鎖した状態での通常動作中に、鋼心1104を通る電流より実質的に大きい。
【0080】
スイッチボックス1114は、図10および図11を参照して前述されるような電力供給配置および高温解除装置である。
【0081】
代替実施形態では、図20に示されるように、スイッチボックス1114の代わりに使用するために適したスイッチボックス1200は、スイッチボックス1120を有しない。本実施形態では、スイッチボックス1200は、前述のケーブル区分の外部導電層1108および内部鋼心1104の双方に接続される電力入力接続1202、およびケーブル区分1110の内部鋼心1104への接続のための電力出力接続1204であって、いくつかの実施形態では、本接続は、ケーブルの局所的に露出した鋼心1104を組み込み得る。
【0082】
図20の実施形態は、数巻の高電流容量ワイヤを有するコイル1206も有し、コイル1206は、ケーブル区分1110の外部導電層1108に接続するために、電力入力接続1202と第2の電力出力接続1208との間に接続される。スイッチボックス1200は、図10および11を参照して前述されるような充電配置を有する電力貯蔵1212、および制御信号受信器1214を有する。制御信号受信器1214は、ケーブル区分1110を除氷するコマンドを受信し、受信器1214は、非磁気ケーブル1218上で引っ張る電動アクチュエータを作動させる。非磁気ケーブル1218は、滑車1220の上を通って磁気コア要素1222に至り、電動アクチュエータ1216の作動は、コア要素1222をコイル1206に引き入れる。コア要素1222がコイル1206に引き入れられると、コイル1206のインダクタンスは増加し、それによって、抵抗内部鋼心1104を通るケーブル1102内の電流の一部を迂回させる。
【0083】
滑車1220は、リリースキャッチ1224を通してスイッチボックス1200のケースに取り付けられ、コイル1206へのコア要素1222のソレノイド引力を克服するために十分な強度を有するバネ1226を接続して、コイル1206からコア要素1222を引き込む。スイッチボックス1200制御信号受信器1214は、ケーブル区分1110の除氷を中止するコマンドを受信し、制御信号1214は、電動アクチュエータ1216に命令して、非磁気ケーブル1218をほどく。これは、バネ1226が、コイル1206からコア要素1222を引き込み、ケーブル選択1110を通常動作に戻すことを許可する。
【0084】
図11の可融性リンク320に関して前述されるような可融性リンクが、ケーブル区分1110の過剰加熱に起因して溶解する場合では、バネ1232によって安全アクチュエータロッド1230をスイッチボックス1200に引き込む。スイッチボックス1200に引き込まれているアクチュエータロッド1230は、リリースキャッチ1224をトリガして滑車1220をリリースし、バネ1226がコア要素1222をコイル1206から引き込み、ケーブル区分1110を低インピーダンス動作に戻すことを可能にし、これは、強度コア1104内の電流を効率的に低減し、ケーブル1102の自己発熱を低減する。
【0085】
図20のスイッチボックスの実施形態では、システムコントローラ124(図1)が、除氷の完了を決定することができ、すぐにシステムコントローラ124が、通常動作に戻り、次のケーブル区分の除氷(必要に応じて)を開始するようスイッチボックス1200に命令するように、スイッチボックスは、図11のセンサ324および温度/状態送信器326等の回路を組み込む。一実施形態では、制御信号受信器1214は、センサ324の監視も行い、可融性リンク320溶解するために必要な温度より低い温度で、コア1222を引き出すことによって、スイッチボックス1200を通常動作に戻すよう試みる。
【0086】
図20の実施形態に類似する代替実施形態では、一体成形の可動コア1222の代わりに、図21に示されるように、ツーピースコアが使用される。本実施形態では、第1のL字型コア部分1240をスイッチボックスに固定する。第2のL字型コア部分1242は、図21における1242として示されるような第1の位置において、コイル1232から引き出されて低インダクタンス設定をもたらすように配置され得るか、またはコイル1232の中へ、図21に点線で示される第2の位置1244に引き込まれて、高インダクタンス設定をもたらすように配置され得る。本実施形態では、第1および第2のL字型コア位置1242、1240は、第2のコア部分1242が高インダクタンス位置にある時に、磁束のためのループを形成する。
【0087】
図19および20の実施形態は、図1を参照して前述されるようなシステムコントローラ124の制御下で動作し、一実施形態では、ケーブルのいくつかの区分は、図19および20を参照して説明されるように除氷されるが、いくつかの他の区分は、図1および4を参照して説明されるように除氷される。
【0088】
図22の実施形態も送電線ケーブルを除氷するためのシステム1300であり、この場合は、ケーブル電力の一部分をステップアップ変圧器(巻き線1304および1306)およびケーブル1302の鋼支持ストランド1308を通して迂回させることによりケーブル1302を加熱することによって、本実施形態では、鋼ストランド1308は、絶縁1310によって取り囲まれた後、鎖状のアルミニウムまたは銅導電層1312によって包囲される。スイッチボックス1313は、通常動作モードで開放するスイッチボックス1314、および閉鎖するスイッチ1316を有し、電流が導電層1312を通ってスムーズに流れることを可能にする。スイッチボックス1313は、図11を参照して説明される電力貯蔵302およびコマンド受信器312に類似し、等しい充電回路を有する電力貯蔵1322およびコマンド受信器1324も有し、他の実施形態と同様に、コマンド受信器1324は、システムコントローラ124と連通する。
【0089】
ケーブル1302を除氷することが望ましい場合、コマンド受信器1324は、コマンドを受信し、スイッチボックス1314を最初に閉鎖して、鋼支持ストランド1308を通る電流経路を確立した後、コマンド受信器1324は、スイッチボックス1316を開放して、相当量の電流を変圧器一次巻き線1306に引加する。すぐに変圧器二次巻き線1304は、電力を支持ストランド1308に提供する。変圧器一次巻き線1306は、ほんの数回巻かれているにすぎず、変圧器コア1318は、ケーブル内で使用可能な電力のわずかな部分のみ、例えば、ケーブル1メートル当たり100〜300ワットが支持ストランド1308に引加されるように、飽和磁気材料で構成され、1000アンペアを引き込む600kVの送電線では、1メートル当たり300ワットで、1マイルの線の3つのケーブル全てを加熱するために必要な150kWは、送電線を流れる総電力の割合の1/10より低く、一次巻き線1306全体の電圧降下は、低レベルに保持され得る。
【0090】
他の実施形態と同様に、図22の実施形態は、可溶リンクおよび温度センサ等のケーブルの過熱を感知するための装置(図22に図示せず)を有する。ケーブルの過熱を感知するための装置が、ケーブルの過熱状態を検出すると、スイッチボックス1316または補助スイッチボックス(図示せず)が閉鎖され、変圧器一次巻き線1306をバイパスすることによって、ケーブルコア1308内の電流を低減し、通常動作モードの場合と同様に、バイパス一次巻き線1306は、ケーブルコア1308内の電流を著しく低減し、ケーブル1302の抵抗加熱を低減する。
【0091】
図10、11、21、および22のスイッチボックス等の、本明細書で説明される全ての実施形態のスイッチボックスは、例えば温度センサ324を介して、ケーブルおよびスイッチボックスの過熱状態を感知し、可融性リンク320等の可融性リンクを溶解するために必要とされる温度より低い温度で通常動作するための除氷から復帰を試みる。可融性リンク320および関連装置によって提供される機械的感知および低抵抗動作への回帰は、送電線への過熱損傷を防止することが意図される、最も重要な機械的バックアップであり、そのケーブルは、システム制御124、電気スイッチボックスアクチュエータ314、電動的に起動するスイッチ340、1120、1316、電動アクチュエータ1216、温度センサ324、または除氷モードになる他の構成要素を有する必要がある。
【0092】
前述の説明は、その特定の実施形態を参照して、具体的に図示および説明されているが、当業者には、この精神を逸脱することなく、形態および詳細の様々な他の変更を行ってもよいことが理解されるであろう。本明細書に開示され、以下の請求項によって包括される広範な概念から逸脱することなく、該説明を異なる実施形態に適用する時に、種々の変更を行ってもよいことを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ACおよびDC送電線の除氷および防氷動作のためのシステムであって、
少なくとも第1、第2、および第3の導体を備える、該送電線内の送電のためのケーブルの少なくとも1つの区分であって、該第1、第2、および第3の導体は、該区分の長さに沿って相互に電気的に絶縁されるが、直列に接続された少なくとも3つの導体の直列蛇行経路を形成するように、該区分の末端で接続される、少なくとも1つの区分と、
該ケーブルの区分の第1の末端における少なくとも第1のスイッチ、および該ケーブルの区分の第2の末端における少なくとも第2のスイッチであって、該第1および第2のスイッチは、該第1、第2、および第3の導体が、通常モードで並列に接続され、防氷モードで直列に動作するように動作可能である、第1および第2のスイッチと
を備える、システム。
【請求項2】
前記ケーブルの区分を通る送電のための接続は、前記第1のスイッチにおいて前記第1の導体に、前記第2のスイッチにおいて前記第3の導体に行われる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも1つのスイッチは、スイッチングデバイスと、スイッチコントローラとをさらに備え、該スイッチングデバイスおよびコントローラは、地面から電気的に絶縁され、該スイッチは、別の場所で防氷システムコントローラからの制御信号によって制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ケーブルの区分は、第4および第5の導体をさらに備え、該第4および第5の導体を前記第1の導体に連結するために、該ケーブルの区分の前記第1の末端には第3のスイッチがあり、前記第3および第4の導体を該第5の導体に連結するために、該ケーブルの区分の前記第2の末端には第4のスイッチがあり、該第3および第4の導体は、該第4のスイッチ付近で電気的に連結され、該第4および第5の導体は、該第3のスイッチ付近で電気的に連結される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ケーブルの区分を通る送電のための接続は、前記第1のスイッチにおいて前記第1の導体に、前記第2のスイッチにおいて前記第5の導体に行われる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、前記送電線内の電流を監視し、防氷が必要とされる時を決定するため、および該送電線内の該電流に基づいて、防氷動作のためのスイッチ構成を決定するためのコントローラをさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の導体と、前記第3の導体と、前記第4の導体と、前記第5の導体とから成る群より選択される導体は、前記第1の導体の抵抗より実質的に大きい抵抗を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つのスイッチは、スイッチングデバイスおよびコントローラをさらに備え、該スイッチングデバイスおよびコントローラは、地面から電気的に絶縁され、該スイッチは、システムコントローラからの制御信号によって制御され、該システムコントローラは、該少なくとも1つのスイッチから離れた場所に位置する、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
送電線の防氷動作のためのシステムであって、
少なくとも2つの区分を有する、少なくとも1つのケーブルであって、各区分は、
少なくとも第1、第2、および第3の導体であって、該第1、第2、および第3の導体は、相互に絶縁される、第1、第2、および第3の導体と、
該第2および第3の導体を該ケーブルの第1の末端において該第1の導体に連結するための第1のスイッチであって、該第2および第3の導体は、該第1のスイッチ付近で電気的に連結される、第1のスイッチと、
該第1および第2の導体を該ケーブルの第2の末端において該第3の導体に連結するための第2のスイッチであって、該第1および第2の導体は、該第2のスイッチ付近で電気的に連結される、第2のスイッチと
を備え、該第1の区分の該第3の導体は、該第2の区分の該第1の導体に接続される、少なくとも1つのケーブルと、
各区分の該第1および第2のスイッチを同時に開くシステムコントローラであって、その区分の該ケーブルの防氷動作のために、該第1、第2、および第3の導体を直列に配置することによって、該少なくとも1つのケーブルの抵抗を増大させ、該システムコントローラは、複数区分のスイッチを連続して開くことができる、システムコントローラと
を備える、システム。
【請求項10】
前記ケーブルの少なくとも1つの導体の過熱を感知するため、および過熱を感知した際に該ケーブルの抵抗を減少させるように、前記第1、第2、および第3の導体を並列に配置するための装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
並列構成と直列構成との間で送電線ケーブルの導体を切り替えるためのスイッチボックスであって、
電力を該スイッチボックスに提供するためのエネルギー貯蔵デバイスと、
該エネルギー貯蔵デバイスを充電するための装置と、
スイッチ動作コマンドを受信するための制御信号受信機であって、該エネルギー貯蔵デバイスから電力供給される制御信号受信機と、
該ケーブルの少なくとも1つの導体を通る電流フローを決定するための少なくとも1つのスイッチであって、該制御信号受信機の制御下で電気的に起動させられる、スイッチと、
該ケーブルの導体上で高温が検出された場合に、該制御信号受信機を解除し、該ケーブル導体を並列に配置するための装置と
を備える、スイッチボックス。
【請求項12】
送電線のケーブルを除氷するためのシステムであって、該ケーブルは、N個の導体を備え、Nは、1より大きい奇数であり、該N個の導体の各々は、他の導体から電気的に絶縁され、該システムは、
第1および第2のスイッチボックスであって、該第1のスイッチボックスは、該ケーブルの第1の末端に連結され、該第2のスイッチボックスは、該ケーブルの第2の末端に連結され、
各スイッチボックスは、少なくとも(N−l)/2個のスイッチを有し、
第1のモードで、該スイッチボックスの該スイッチは、該ケーブルのN個の導体全てを並列に接続し、第2のモードで、該スイッチボックスの該スイッチは、N個の導体全てを直列に接続して、効果的な除氷動作のためにケーブル抵抗を増大させる、スイッチボックスと、
通常動作のために該第1のモードで該スイッチボックスを配置し、該ケーブルを除氷するために第2のモードで該スイッチボックスを配置するためのシステムコントローラと
を備える、システム。
【請求項13】
送電線のケーブルの防氷動作のためのシステムであって、該ケーブルは、抵抗強度コアと、少なくとも1つの導体とを備え、該強度コアは、該少なくとも1つの導体から電気的に絶縁され、該システムはさらに、
第1の動作モードでの該ケーブルの防氷動作のために、該抵抗強度コアを通して該導体から十分な電流を迂回させるためのスイッチボックスを備え、該電流の大部分は、第2の動作モードで該導体を通過する、システム。
【請求項14】
前記スイッチボックスは、前記第1の動作モード中に、前記導体とともに、インダクタンスを電気的に直列に配置し、前記強度コアは、インダクタおよび導体の直列の組み合わせと電気的に並列である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記スイッチボックスは、磁気コア材料をコイルに挿入することによって、前記第1の動作モード中に、インダクタンスを前記導体とともに電気的に直列に配置し、該磁気コア材料は、前記第2の動作モード中に、該コイルから除去される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記スイッチボックスは、外部システムコントローラのコマンド下で、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとの間で切り替えるための装置と、前記ケーブルの過熱状態を感知するための装置と、過熱状態が検出された時に、前記抵抗強度コア内の電流を低減するための装置とをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記スイッチボックスは、変圧器を備え、該変圧器は、除氷中に前記強度コアに連結される二次巻線を有する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ケーブルは、該ケーブルの前記N個の導体より高い電気抵抗および機械強度の強度補強導体を有し、
該強度補強導体は、区分の長さに沿って他の導体から電気的に絶縁されるが、前記第1の区分の末端において、該N個の導体のうちの第1の導体に接続され、該区分の前記第2の末端において、該N個の導体のうちのN番目の導体に接続され、
前記スイッチボックスにおけるスイッチの開放は、該スイッチボックス間の該N個の導体の有効電気抵抗を増大させて、より大きい電流が該強度補強導体の中へ迂回されて、該N個の導体を除氷する、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
送電線の防氷のためのシステムであって、
少なくとも第1、第2、および第3の導体を備える、該送電線内の送電のためのケーブルの少なくとも1つの区分であって、該第1、第2、および第3の導体は、相互に電気的に絶縁される、少なくとも1つの区分と、
該ケーブルの区分の第1の末端にある少なくとも第1のスイッチ、および該ケーブルの区分の第2の末端にある少なくとも第2のスイッチであって、該第1および第2のスイッチは、該第1、第2、および第3の導体が、少なくとも低抵抗構成、中間抵抗構成、および高抵抗構成で接続されることが可能であるように、動作可能である、第1および第2のスイッチと、
防氷動作が必要とされる時を決定するための、該中間および高抵抗構成から適切な防氷構成を選択するための、および防氷動作が必要とされる時には該スイッチを該防氷構成に設定し、防氷動作が必要とされない時には該スイッチを該低抵抗構成に設定するためのシステムコントローラと
を備える、システム。
【請求項20】
送電線のケーブルの区分を除氷するための方法であって、該ケーブルは、第1のスイッチボックスと第2のスイッチボックスとの間に延びる複数の導体を備え、該ケーブルの区分は、通常動作モードを有し、該複数の導体は、電気的に並列であって、該方法は、
該ケーブルの該区分上の氷の蓄積を検出することと、
該ケーブルの複数の該導体を電気的に直列に連結するように該スイッチボックスのスイッチを構成し、それにより、該通常動作モードでの該ケーブルの区分の抵抗より大きい除氷モード抵抗を有する除氷モードで、該ケーブルの区分を配置することと、
該ケーブルの区分内を流れる電流が、該ケーブルの区分を抵抗加熱して、該ケーブルの区分を除氷することを可能にすることと、
該ケーブルの区分を該通常動作モードに戻すように該スイッチボックスの該スイッチを再構成することと
を含む、方法。
【請求項21】
前記スイッチボックス内の前記スイッチは、前記通常動作モードに対応する、少なくとも第1の構成と、スイッチボックス間に第1の抵抗を有する、前記除氷モードに対応する第2の構成と、スイッチボックス間に第2の抵抗を有する、第2の除氷モードに対応する第3の構成とを有し、該方法はさらに、
前記電流に対して適切な除氷モードを決定するために、前記ケーブルの区分内を流れる該電流を監視することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ケーブル内の電流が除氷するために不十分である時に、該ケーブルの区分内を流れる該電流の増加を要求するメッセージを伝送することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数のケーブルの第1の導体は、該複数のケーブルの第2の導体の抵抗とは実質的に異なる抵抗を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記送電線は、電力を電気自動車に伝送するよう構成される、請求項20に記載の方法。
【請求項1】
ACおよびDC送電線の除氷および防氷動作のためのシステムであって、
少なくとも第1、第2、および第3の導体を備える、該送電線内の送電のためのケーブルの少なくとも1つの区分であって、該第1、第2、および第3の導体は、該区分の長さに沿って相互に電気的に絶縁されるが、直列に接続された少なくとも3つの導体の直列蛇行経路を形成するように、該区分の末端で接続される、少なくとも1つの区分と、
該ケーブルの区分の第1の末端における少なくとも第1のスイッチ、および該ケーブルの区分の第2の末端における少なくとも第2のスイッチであって、該第1および第2のスイッチは、該第1、第2、および第3の導体が、通常モードで並列に接続され、防氷モードで直列に動作するように動作可能である、第1および第2のスイッチと
を備える、システム。
【請求項2】
前記ケーブルの区分を通る送電のための接続は、前記第1のスイッチにおいて前記第1の導体に、前記第2のスイッチにおいて前記第3の導体に行われる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも1つのスイッチは、スイッチングデバイスと、スイッチコントローラとをさらに備え、該スイッチングデバイスおよびコントローラは、地面から電気的に絶縁され、該スイッチは、別の場所で防氷システムコントローラからの制御信号によって制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ケーブルの区分は、第4および第5の導体をさらに備え、該第4および第5の導体を前記第1の導体に連結するために、該ケーブルの区分の前記第1の末端には第3のスイッチがあり、前記第3および第4の導体を該第5の導体に連結するために、該ケーブルの区分の前記第2の末端には第4のスイッチがあり、該第3および第4の導体は、該第4のスイッチ付近で電気的に連結され、該第4および第5の導体は、該第3のスイッチ付近で電気的に連結される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ケーブルの区分を通る送電のための接続は、前記第1のスイッチにおいて前記第1の導体に、前記第2のスイッチにおいて前記第5の導体に行われる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、前記送電線内の電流を監視し、防氷が必要とされる時を決定するため、および該送電線内の該電流に基づいて、防氷動作のためのスイッチ構成を決定するためのコントローラをさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の導体と、前記第3の導体と、前記第4の導体と、前記第5の導体とから成る群より選択される導体は、前記第1の導体の抵抗より実質的に大きい抵抗を有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つのスイッチは、スイッチングデバイスおよびコントローラをさらに備え、該スイッチングデバイスおよびコントローラは、地面から電気的に絶縁され、該スイッチは、システムコントローラからの制御信号によって制御され、該システムコントローラは、該少なくとも1つのスイッチから離れた場所に位置する、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
送電線の防氷動作のためのシステムであって、
少なくとも2つの区分を有する、少なくとも1つのケーブルであって、各区分は、
少なくとも第1、第2、および第3の導体であって、該第1、第2、および第3の導体は、相互に絶縁される、第1、第2、および第3の導体と、
該第2および第3の導体を該ケーブルの第1の末端において該第1の導体に連結するための第1のスイッチであって、該第2および第3の導体は、該第1のスイッチ付近で電気的に連結される、第1のスイッチと、
該第1および第2の導体を該ケーブルの第2の末端において該第3の導体に連結するための第2のスイッチであって、該第1および第2の導体は、該第2のスイッチ付近で電気的に連結される、第2のスイッチと
を備え、該第1の区分の該第3の導体は、該第2の区分の該第1の導体に接続される、少なくとも1つのケーブルと、
各区分の該第1および第2のスイッチを同時に開くシステムコントローラであって、その区分の該ケーブルの防氷動作のために、該第1、第2、および第3の導体を直列に配置することによって、該少なくとも1つのケーブルの抵抗を増大させ、該システムコントローラは、複数区分のスイッチを連続して開くことができる、システムコントローラと
を備える、システム。
【請求項10】
前記ケーブルの少なくとも1つの導体の過熱を感知するため、および過熱を感知した際に該ケーブルの抵抗を減少させるように、前記第1、第2、および第3の導体を並列に配置するための装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
並列構成と直列構成との間で送電線ケーブルの導体を切り替えるためのスイッチボックスであって、
電力を該スイッチボックスに提供するためのエネルギー貯蔵デバイスと、
該エネルギー貯蔵デバイスを充電するための装置と、
スイッチ動作コマンドを受信するための制御信号受信機であって、該エネルギー貯蔵デバイスから電力供給される制御信号受信機と、
該ケーブルの少なくとも1つの導体を通る電流フローを決定するための少なくとも1つのスイッチであって、該制御信号受信機の制御下で電気的に起動させられる、スイッチと、
該ケーブルの導体上で高温が検出された場合に、該制御信号受信機を解除し、該ケーブル導体を並列に配置するための装置と
を備える、スイッチボックス。
【請求項12】
送電線のケーブルを除氷するためのシステムであって、該ケーブルは、N個の導体を備え、Nは、1より大きい奇数であり、該N個の導体の各々は、他の導体から電気的に絶縁され、該システムは、
第1および第2のスイッチボックスであって、該第1のスイッチボックスは、該ケーブルの第1の末端に連結され、該第2のスイッチボックスは、該ケーブルの第2の末端に連結され、
各スイッチボックスは、少なくとも(N−l)/2個のスイッチを有し、
第1のモードで、該スイッチボックスの該スイッチは、該ケーブルのN個の導体全てを並列に接続し、第2のモードで、該スイッチボックスの該スイッチは、N個の導体全てを直列に接続して、効果的な除氷動作のためにケーブル抵抗を増大させる、スイッチボックスと、
通常動作のために該第1のモードで該スイッチボックスを配置し、該ケーブルを除氷するために第2のモードで該スイッチボックスを配置するためのシステムコントローラと
を備える、システム。
【請求項13】
送電線のケーブルの防氷動作のためのシステムであって、該ケーブルは、抵抗強度コアと、少なくとも1つの導体とを備え、該強度コアは、該少なくとも1つの導体から電気的に絶縁され、該システムはさらに、
第1の動作モードでの該ケーブルの防氷動作のために、該抵抗強度コアを通して該導体から十分な電流を迂回させるためのスイッチボックスを備え、該電流の大部分は、第2の動作モードで該導体を通過する、システム。
【請求項14】
前記スイッチボックスは、前記第1の動作モード中に、前記導体とともに、インダクタンスを電気的に直列に配置し、前記強度コアは、インダクタおよび導体の直列の組み合わせと電気的に並列である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記スイッチボックスは、磁気コア材料をコイルに挿入することによって、前記第1の動作モード中に、インダクタンスを前記導体とともに電気的に直列に配置し、該磁気コア材料は、前記第2の動作モード中に、該コイルから除去される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記スイッチボックスは、外部システムコントローラのコマンド下で、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとの間で切り替えるための装置と、前記ケーブルの過熱状態を感知するための装置と、過熱状態が検出された時に、前記抵抗強度コア内の電流を低減するための装置とをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記スイッチボックスは、変圧器を備え、該変圧器は、除氷中に前記強度コアに連結される二次巻線を有する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ケーブルは、該ケーブルの前記N個の導体より高い電気抵抗および機械強度の強度補強導体を有し、
該強度補強導体は、区分の長さに沿って他の導体から電気的に絶縁されるが、前記第1の区分の末端において、該N個の導体のうちの第1の導体に接続され、該区分の前記第2の末端において、該N個の導体のうちのN番目の導体に接続され、
前記スイッチボックスにおけるスイッチの開放は、該スイッチボックス間の該N個の導体の有効電気抵抗を増大させて、より大きい電流が該強度補強導体の中へ迂回されて、該N個の導体を除氷する、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
送電線の防氷のためのシステムであって、
少なくとも第1、第2、および第3の導体を備える、該送電線内の送電のためのケーブルの少なくとも1つの区分であって、該第1、第2、および第3の導体は、相互に電気的に絶縁される、少なくとも1つの区分と、
該ケーブルの区分の第1の末端にある少なくとも第1のスイッチ、および該ケーブルの区分の第2の末端にある少なくとも第2のスイッチであって、該第1および第2のスイッチは、該第1、第2、および第3の導体が、少なくとも低抵抗構成、中間抵抗構成、および高抵抗構成で接続されることが可能であるように、動作可能である、第1および第2のスイッチと、
防氷動作が必要とされる時を決定するための、該中間および高抵抗構成から適切な防氷構成を選択するための、および防氷動作が必要とされる時には該スイッチを該防氷構成に設定し、防氷動作が必要とされない時には該スイッチを該低抵抗構成に設定するためのシステムコントローラと
を備える、システム。
【請求項20】
送電線のケーブルの区分を除氷するための方法であって、該ケーブルは、第1のスイッチボックスと第2のスイッチボックスとの間に延びる複数の導体を備え、該ケーブルの区分は、通常動作モードを有し、該複数の導体は、電気的に並列であって、該方法は、
該ケーブルの該区分上の氷の蓄積を検出することと、
該ケーブルの複数の該導体を電気的に直列に連結するように該スイッチボックスのスイッチを構成し、それにより、該通常動作モードでの該ケーブルの区分の抵抗より大きい除氷モード抵抗を有する除氷モードで、該ケーブルの区分を配置することと、
該ケーブルの区分内を流れる電流が、該ケーブルの区分を抵抗加熱して、該ケーブルの区分を除氷することを可能にすることと、
該ケーブルの区分を該通常動作モードに戻すように該スイッチボックスの該スイッチを再構成することと
を含む、方法。
【請求項21】
前記スイッチボックス内の前記スイッチは、前記通常動作モードに対応する、少なくとも第1の構成と、スイッチボックス間に第1の抵抗を有する、前記除氷モードに対応する第2の構成と、スイッチボックス間に第2の抵抗を有する、第2の除氷モードに対応する第3の構成とを有し、該方法はさらに、
前記電流に対して適切な除氷モードを決定するために、前記ケーブルの区分内を流れる該電流を監視することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ケーブル内の電流が除氷するために不十分である時に、該ケーブルの区分内を流れる該電流の増加を要求するメッセージを伝送することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数のケーブルの第1の導体は、該複数のケーブルの第2の導体の抵抗とは実質的に異なる抵抗を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記送電線は、電力を電気自動車に伝送するよう構成される、請求項20に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2011−517267(P2011−517267A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502999(P2011−502999)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/031826
【国際公開番号】WO2009/123781
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(504303713)ザ トラスティーズ オブ ダートマウス カレッジ (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/031826
【国際公開番号】WO2009/123781
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(504303713)ザ トラスティーズ オブ ダートマウス カレッジ (12)
【Fターム(参考)】
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