説明

電力融通システム、デマンド制御装置、デマンド制御方法及びプログラム

【課題】テナント間の電力の融通制御を、中央集約的な装置によらずに実現できる電力融通システムを提供する。
【解決手段】各デマンド制御装置10は、ネットワーク20にピアツーピア接続している。各デマンド制御装置10は、対応する電力量計50が計測した電力量に基づいて、所定期間の予測電力量を算出する。この予測電力量が、予め設定された上限値を超えている場合には、融通要求コマンドを他の全てのデマンド制御装置10に送信する。融通要求コマンドを受信したデマンド制御装置10は、融通が可能であるか否かを判定し、融通が可能である場合には、算出した融通可能電力量を格納した応答コマンドを返信する。応答コマンドを受信したデマンド制御装置10は、上限値に当該応答コマンドに格納されている融通可能電力量を一時的に加算する。一方の他のデマンド制御装置10は、上限値から融通可能電力量を一時的に減算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各需要家間で電力の融通を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、節電対策の目的でビルや工場等におけるデマンド制御が注目されている。例えば、特許文献1には、複数の小工場(テナント)から成る工場(ビル)において、各小工場(テナント)毎に目標電力を設定し、これを超えないように各小工場(テナント)単位でデマンド制御を行えるようにした技術が開示されている。
【0003】
ところで、上記のように、工場等における各部門や、テナントビル等の各テナント単位でデマンド制御を行う場合、あるテナントAにおいては、自己が設定した上限値(上限電力量)を予測値(予測使用電力量)が超過しそうになっても、他のテナントBにおいては、上限値と予測値との間に余裕があるというケースも当然ながら起こり得る。
【0004】
このようなケースにおいて、テナントBの余裕電力量をテナントAに融通できれば、テナントAでは、デマンド制御を行わずに済む可能性がある。即ち、テナントAにおいて、設備機器(例えば、空調機や生産機器等)の運転を停止する等、運転能力を低下させる制御を行わずに済む場合もあり得る。
【0005】
上記のようなテナント間の電力の融通ができれば、当該テナントビル全体における設定上限値を超過することなく、さらに、各テナントにおいて、快適性や生産性を維持することが可能となる。
【0006】
電力の融通に関していえば、特許文献2には、複数の受電施設と電話回線等の通信網を介して接続する電力デマンド監視センタにより、受電施設間の電力の融通を行うシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4032903号公報
【特許文献2】特開2003−32887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に開示される技術は、広域なエリアに分散して配置される受電施設間の電力の融通に関するものであり、上記のような同一のテナントビル等に入居するテナント間の電力の融通を想定したものではない。
【0009】
また、特許文献2では、電力デマンド監視センタに設置されたコンピュータによって、集約的に電力融通に関する処理を実施している。したがって、何らかの原因で、電力デマンド監視センタのコンピュータにトラブルが発生した場合、電力融通の機能が全く果たせなくなってしまう。
【0010】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであり、ビル等に入居するテナント等の需要家間の電力の融通制御を、中央集約的な装置によらずに実現できる電力融通システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る電力融通システムは、
複数の需要家のそれぞれに対応して設置された複数のデマンド制御装置が、所定のネットワークにピアツーピア接続してなる電力融通システムであって、
各デマンド制御装置は、前記ネットワークを介して他のデマンド制御装置と所定の通信方式により通信を行う通信部と、
当該需要家の需要地で消費される電力量の目標上限である上限値を記憶する上限値記憶部と、
当該需要地で消費された電力量を取得する電力量取得部と、
当該需要地に引き込まれた電力供給線から電力の供給を受ける設備機器と所定の通信方式により通信を行う機器インタフェース部と、
前記電力量取得部が取得した前記電力量に基づいて、所定期間の予測電力量を算出する電力予測部と、
所定のタイミングで前記上限値と前記予測電力量を比較し、前記予測電力量が前記上限値を超えている場合には、前記設備機器に対して、運転能力を低下させるための所定のデマンド制御を行うデマンド制御部と、
所定のタイミングで前記上限値と前記予測電力量を比較し、前記予測電力量が前記上限値を超えている場合には、電力の融通を要求する融通要求コマンドを生成して、前記通信部を介して前記ネットワークに接続する他の全てのデマンド制御装置に送信する融通要求部と、
前記通信部により前記融通要求コマンドに対する他のデマンド制御装置からの応答コマンドが受信されると、当該応答コマンドを解析し、当該他のデマンド制御装置による融通可能な電力量を示す融通可能電力量が前記応答コマンドに含まれている場合には、当該他のデマンド制御装置に対して、融通してもらう旨を示す融通確認コマンドを生成し、前記通信部を介して当該応答コマンドを送信した他のデマンド制御装置に送信すると共に、前記上限値に前記融通可能電力量を一時的に加算する第1の融通調整部と、
前記通信部により、他のデマンド制御装置からの前記融通要求コマンドが受信されると、前記上限値と前記予測電力量に基づいて、融通が可能であるか否かを判定し、融通が可能である場合には、前記融通可能電力量を算出し、算出した融通可能電力量を格納した前記応答コマンドを生成し、前記通信部を介して当該融通要求コマンドを送信した他のデマンド制御装置に送信する融通要求応答部と、
前記通信部により前記応答コマンドに対する他のデマンド制御装置からの前記融通確認コマンドが受信されると、前記上限値から、前記融通要求応答部により算出された前記融通可能電力量を一時的に減算する第2の融通調整部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、中央集約的な装置を設ける必要なく、需要家間の電力の融通制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る電力融通システムの全体構成を示す図である。
【図2】電力量計の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るデマンド制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態のデマンド制御装置が備える融通要求側処理部の構成を示すブロック図である。
【図5】融通要求電力量と、融通可能電力量と、融通負担電力量と、の関係を説明するための図(その1)である。
【図6】融通要求電力量と、融通可能電力量と、融通負担電力量と、の関係を説明するための図(その2)である。
【図7】本実施形態のデマンド制御装置が備える融通負担側処理部の構成を示すブロック図である。
【図8】電力融通要求側処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】電力融通負担側処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】電力の融通を受ける側のデマンド制御装置における一連の処理を時系列で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る電力融通システム1の全体構成を示す図である。電力融通システム1は、例えば、複数のテナントが入居するテナントビルに導入され、各テナント(需要家)間の電力の融通を行えるようにしたシステムである。
【0016】
図1に示すように、電力融通システム1は、各テナント(テナントA、B、…)の入居エリア(需要地)毎に設置されたデマンド制御装置10(10A、10B、…)が、当該テナントビル内に構築されたLAN(Local Area Network)等のネットワーク20にピアツーピア接続した構成となっている。
【0017】
当該テナントビルには、商用電源と接続する電力線30が引き込まれている。各テナントの入居エリアには、各テナントに対応した分岐ブレーカ40(40A、40B、…)によって、電力線30から分岐された電力供給線31(31A、31B、…)が引き込まれている。
【0018】
各電力供給線31(31A、31B、…)には、それぞれ対応して電力量計50(50A、50B、…)が接続されている。各電力量計50(50A、50B、…)は、対応する各テナントの入居エリア内で消費される電力量を計測する。
【0019】
電力量計50は、図2に示すように、電圧計測部500と、電流計測部501と、A/D変換部502と、電力演算部503と、外部インタフェース部504と、を備える。
【0020】
電圧計測部500は、対応する電力供給線31上の電圧値を計測し、電流計測部501は、当該電力供給線31を流れる電流の電流値を計測する。
【0021】
A/D変換部502は、それぞれ計測された電圧値と電流値をA/D(Analog/Digital)変換する。電力演算部503は、A/D変換された電圧値と電流値から電力値(電力量積算値)を算出する。外部インタフェース部504は、当該入居エリアに対応するデマンド制御装置10と通信可能に接続し、電力演算部503により算出された電力値(消費電力量)を当該デマンド制御装置10に出力する。
【0022】
各デマンド制御装置10(10A、10B、…)は、対応する入居エリア内に設置された設備機器60(60A、60B、…)のデマンド制御を行う装置である。各デマンド制御装置10(10A、10B、…)は、所定の設備ネットワーク70(70A、70B、…)を介して設備機器60(60A、60B、…)と通信可能に接続する。設備機器60は、例えば、空調機、照明器、生産機器等、当該テナントの入居エリアにおける空間の生活環境を調整する装置や、当該テナントの生産活動に寄与する装置である。
【0023】
デマンド制御とは、当該テナントにおける所定期間(本例では、現在のデマンド時限)の消費電力量が、当該テナントで予め設定した消費電力量の目標上限(上限値)を超える場合、対応する設備機器60の運転能力を低下させる、即ち、設備機器60の消費電力を低下させるための制御を意味する。運転能力の低下制御には、例えば、運転を停止させたり、運転モードを変更させる等の制御が含まれる。
【0024】
デマンド制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性の半導体メモリやハードディスクドライブ等の外部記憶装置、電力量計50と通信するための通信インタフェース、設備機器60と通信するための通信インタフェース等(何れも図示せず)から構成される。デマンド制御装置10が実行する各処理(詳細は後述する)は、CPU等がROM又は外部記憶装置に記憶されている所定のプログラムを実行することで実現する。
【0025】
デマンド制御装置10は、機能的には、図3に示すように、電力量取得部100と、電力予測部101と、ユーザインタフェース部102と、上限値記憶部103と、機器インタフェース部104と、デマンド制御部105と、通信部106と、融通要求側処理部107と、融通負担側処理部108と、を備える。
【0026】
電力量取得部100は、対応する電力量計50と接続し、電力量計50から出力された消費電力量を入力する。電力量取得部100は、入力した消費電力量を電力予測部101に供給する。電力予測部101は、電力量取得部100から供給された消費電力量に基づいて、所定のタイミング(例えば、デマンド時限の開始から10分経過した時点)で、所定期間における消費電力量(予測電力量)を算出する。本実施形態では、電力予測部101は、現在のデマンド時限における予測電力量を算出する。なお、消費電力量の予測の手法について限定はなく、周知の様々な技術が採用できる。例えば、当該テナントにおける過去の消費電力量の傾向や、設置している設備機器60の種類や台数等も加味して、予測電力量が算出されてもよい。
【0027】
ユーザインタフェース部102は、ユーザからの上述した上限値の入力を受け付けるための外部スイッチやダイヤル等の入力デバイスを備え、ユーザにより入力された上限値を上限値記憶部103に保存する。
【0028】
機器インタフェース部104は、当該テナントが所有する1又は複数の設備機器60と、設備ネットワーク70を介して、所定の通信方式により通信を行う。デマンド制御部105は、所定のタイミング(例えば、デマンド時限(例えば、30分間)の開始から15分後、20分後、25分後の時点)で、デマンド制御の要否を判定する。具体的には、デマンド制御部105は、上限値記憶部103に保存されている上限値と、電力予測部101によって算出された予測電力量と、を比較し、予測電力量が上限値を上回っている(超えている)場合には、デマンド制御が必要であると判定する。
【0029】
デマンド制御が必要であると判定すると、デマンド制御部105は、即座に、対応する設備機器60をデマンド制御するための制御コマンドを生成する。この際、デマンド制御部105は、予測電力量の超過分を加味して、制御コマンドの内容(停止、運転モード変更)を決定したり、制御対象の設備機器60の台数等を決定してもよい。あるいは、デマンド制御部105は、当該テナントが所有する各設備機器60毎に、予め優先順位(デマンド制御を実施しない方向の優先順位、実施する方向の優先順位の何れであってもよい)等が定められている場合には、当該優先順位に従って、制御対象となる設備機器60の選択を行ってもよい。
【0030】
デマンド制御部105は、機器インタフェース部104を介して、生成した制御コマンドを対応する設備機器60に送信する。
【0031】
通信部106は、例えば、LANカード等のネットワークカードを備え、ネットワーク20に接続し、他のデマンド制御装置10と所定の通信方式により通信を行う。
【0032】
融通要求側処理部107は、当該デマンド制御装置10が、電力の融通を要求する側となる場合の処理を行う。融通要求側処理部107は、図4に示すように、融通要求部1070と、第1の融通調整部1071と、を備える。融通要求部1070は、所定のタイミングで(例えば、電力予測部101により予測電力量が算出されたことを契機にして)、上限値記憶部103に保存されている上限値と、電力予測部101により算出された予測電力量と、を比較し、予測電力量が上限値を超えている場合には、電力の融通を要求する融通要求コマンドを生成する。そして、融通要求部1070は、通信部106を介して、ネットワーク20に接続する他の全てのデマンド制御装置10に対して、生成した融通要求コマンドをブロードキャスト送信する。
【0033】
第1の融通調整部1071は、送信した融通要求コマンドに対する他のデマンド制御装置10からの応答コマンドが通信部106により受信されると、当該応答コマンドを解析する。そして、第1の融通調整部1071は、当該他のデマンド制御装置10による融通可能な電力量を示す融通可能電力量が当該応答コマンドに含まれている場合には、これを抽出して一時的に保持する。第1の融通調整部1071は、融通要求コマンドの送信後から所定時間(例えば、3分間)の間に送られてきた全ての応答コマンドに対して、上記と同様の処理を行う。
【0034】
そして、融通要求コマンドの送信後から所定時間が経過すると、第1の融通調整部1071は、抽出した融通可能電力量を総計した総融通可能電力量を求める。総融通可能電力量が、予測電力量から上限値を減算して得られる融通要求電力量より少ない場合、第1の融通調整部1071は、融通可能を示す応答コマンドを送信した他の各デマンド制御装置10に対して、融通してもらう旨を通知する。
【0035】
具体的には、当該他の各デマンド制御装置10毎に、それぞれの各融通要求電力量を、当該他の各デマンド制御装置10に負担してもらう融通負担電力量として格納したコマンド(融通確認コマンド)を生成して、通信部106を介して、当該他の各デマンド制御装置10にそれぞれ送信する。この場合の融通要求電力量と、各融通可能電力量と、各融通負担電力量との関係の一例を図5に示す。
【0036】
図5では、テナントAにおいて予測電力値が上限値より80kWh超過し(即ち、融通要求電力量が80kWh)、デマンド制御装置10Aが、融通要求コマンド送信した結果、テナントBのデマンド制御装置10B及びテナントCのデマンド制御装置10Cから融通可能を示す応答コマンドがそれぞれ送信され、それぞれの融通可能電力量が30kWh及び20kWhであることを示している。そして、テナントB及びテナントCのそれぞれの融通負担電力量が、それぞれの融通可能電力量と同じであることを示している。
【0037】
一方、総融通可能電力量が、融通要求電力量を超えている場合、第1の融通調整部1071は、所定の算出(配分)手法により、当該他の各デマンド制御装置10毎の融通負担電力量を算出する。この場合の配分手法は任意の設計事項である。例えば、図6に示すように、各融通可能電力量の比率に応じて、各融通負担電力量を算出するようにしてもよい。
【0038】
第1の融通調整部1071は、上述の融通確認コマンドを送信すると、上限値記憶部103に保存されている上限値を元の上限値として、RAM等に待避させる。それから、第1の融通調整部1071は、上限値記憶部103に保存されている上限値を、融通負担電力量の総計を加算することで更新する。これにより、他のデマンド制御装置10による融通の結果が上限値に反映されたことになる。この融通は、現在のデマンド時限のみ有効となるため、第1の融通調整部1071は、現在のデマンド時限の終了時に、上限値記憶部103に保存されている上限値を元の値に更新する。
【0039】
融通負担側処理部108は、当該デマンド制御装置10が、電力の融通を負担する側となる場合の処理を行う。融通負担側処理部108は、図7に示すように、融通要求応答部1080と、第2の融通調整部1081と、を備える。融通要求応答部1080は、通信部106により、他のデマンド制御装置10からの融通要求コマンドが受信されると、上限値と、予測電力量と、に基づいて、融通が可能であるか否かを判定する。
【0040】
例えば、融通要求応答部1080は、上限値が、予測電力量に予め設定された閾値(例えば、10kWh)を加算した値よりも大きい場合、融通が可能であると判定する。融通要求応答部1080は、融通が可能であると判定した場合、所定の算法により、融通可能電力量を算出する。例えば、上限値が100kWh、予測電力量が70kWh、上記の閾値が10kWhである場合、融通要求応答部1080は、20(=100−(70+10))kWhを融通可能電力量として算出する。なお、閾値の大きさは任意の設計事項であり、例えば、0kWhにしてもよい(この場合は、上限値から予測電力量分を差し引いた値が融通可能電力量となる。)。そして、融通要求応答部1080は、算出した融通可能電力量を格納した応答コマンドを生成し、通信部106を介して、当該融通要求コマンドの送信元の他のデマンド制御装置10に送信する。
【0041】
第2の融通調整部1081は、融通要求応答部1080が送信した応答コマンドに対する他のデマンド制御装置10からの融通確認コマンドが通信部106により受信されると、当該融通確認コマンドから融通負担電力量を抽出する。第2の融通調整部1081は、上限値記憶部103に保存されている上限値を元の上限値として、RAM等に待避させる。それから、第2の融通調整部1081は、上限値記憶部103に保存されている上限値から、抽出した融通負担電力量分を減算する。これにより、他のデマンド制御装置10に対する融通の結果が上限値に反映されたことになる。この融通は、現在のデマンド時限のみ有効となるため、第2の融通調整部1081は、現在のデマンド時限の終了時に、上限値記憶部103に保存されている上限値を元の値に更新する。
【0042】
図8は、以上のように構成されたデマンド制御装置10による電力融通要求側処理の手順を示すフローチャートである。この電力融通要求側処理は、電力予測部101により予測電力量が算出されたことを契機にして開始される。デマンド制御装置10の融通要求側処理部107の融通要求部1070は、電力予測部101により算出された予測電力量が、上限値記憶部103に保存されている上限値を超えているか否かを判定する(ステップS101)。
【0043】
予測電力量が上限値を超えていない場合(ステップS101;NO)、デマンド制御装置10は電力融通要求側処理を終了する。一方、予測電力量が上限値を超えている場合(ステップS101;YES)、融通要求部1070は、電力の融通を要求する融通要求コマンドを生成する(ステップS102)。そして、融通要求部1070は、通信部106を介して、ネットワーク20に接続する他の全てのデマンド制御装置10に対して、生成した融通要求コマンドをブロードキャスト送信する(ステップS103)。
【0044】
送信した融通要求コマンドに対する他のデマンド制御装置10からの応答コマンドが通信部106により受信されると(ステップS104;YES)、第1の融通調整部1071は、当該応答コマンドから融通可能電力量を抽出する(ステップS105)。第1の融通調整部1071は、融通要求コマンドの送信後から所定時間(例えば、3分間)が経過していない場合(ステップS106;NO)、ステップS104、S105の処理を繰り返し実行する。
【0045】
融通要求コマンドの送信後から所定時間が経過すると(ステップS106;YES)、第1の融通調整部1071は、抽出した融通可能電力量を総計した総融通可能電力量を算出する(ステップS107)。第1の融通調整部1071は、総融通可能電力量と、融通要求電力量と、に基づいて、他の各デマンド制御装置10毎の融通負担電力量を算出する(ステップS108)。そして、第1の融通調整部1071は、他の各デマンド制御装置10毎に、融通負担電力量を格納した融通確認コマンドを生成して、通信部106を介して、それぞれ他の各デマンド制御装置10に送信する(ステップS109)。第1の融通調整部1071は、上限値記憶部103に保存されている上限値に、融通負担電力量の総計分を加算して、一時的に上限値を引き上げる(ステップS110)。
【0046】
図9は、デマンド制御装置10による電力融通負担側処理の手順を示すフローチャートである。この電力融通負担側処理は、デマンド制御装置10の電源がONされると開始される。通信部106により、他のデマンド制御装置10からのコマンドが受信され(ステップS201;YES)、そのコマンドが融通要求コマンドである場合(ステップS202;YES)、融通負担側処理部108の融通要求応答部1080は、上限値記憶部103に保存されている上限値と、電力予測部101により算出された予測電力量と、に基づいて、融通が可能であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0047】
融通要求応答部1080は、融通が可能であると判定した場合(ステップS203;YES)、融通可能電力量を算出し、算出した融通可能電力量を格納した応答コマンドを生成し、当該融通要求コマンドの送信元の他のデマンド制御装置10に送信する(ステップS204)。それから、デマンド制御装置10の処理は、ステップS201に移行する。一方、融通が不可能であると判定した場合(ステップS203;NO)、融通要求応答部1080は、当該融通要求コマンドを破棄する(ステップS205)。それから、デマンド制御装置10の処理は、ステップS201に移行する。
【0048】
通信部106により受信されたコマンドが、融通確認コマンドである場合(ステップS202;NO)、第2の融通調整部1081は、当該融通確認コマンドから融通負担電力量を抽出する(ステップS206)。そして、第2の融通調整部1081は、上限値記憶部103に保存されている上限値から、抽出した融通負担電力量分を減算することで一時的に上限値を引き下げる(ステップS207)。それから、デマンド制御装置10の処理は、ステップS201に移行する。
【0049】
図10は、電力の融通を受ける側のデマンド制御装置10における一連の処理を時系列で示したものである。この例では、当該テナントにおいて、上限値が80kWhに設定されているものとする。先ず、デマンド時限の開始時刻(12:00)から10分経過すると、電力予測部101は、現在のデマンド時限(12:00〜12:30)の予測電力量(ここでは、160kWhとする。)を算出する。予測電力量が算出されると、予測電力量>上限値なので、融通要求側処理部107は、他の全てのデマンド制御装置10に対して、融通要求コマンドを送信する。
【0050】
融通要求コマンドの送信後から所定時間(ここでは、3分)経過すると、第1の融通調整部1071は、融通要求コマンドに対する他の複数のデマンド制御装置10からの複数の応答コマンドに含まれる融通可能電力量を総計した総融通可能電力量を求める。ここでは、総融通可能電力量は、融通要求電力量(80(=160−80)kWh)を超えているものとする。第1の融通調整部1071は、他の各デマンド制御装置10毎に、算出した融通負担電力量を格納した融通確認コマンドを生成して、通信部106を介して、対応するデマンド制御装置10に送信する。
【0051】
第1の融通調整部1071は、融通確認コマンドを送信すると、上限値記憶部103に保存されている上限値に、融通負担電力量の総計分(ここでは、融通要求電力量と同一(80kWh))を加算して、一時的に上限値を引き上げる。即ち、上限値は、160kWhとなる。
【0052】
デマンド制御部105は、当該デマンド時限(12:00〜12:30)の開始から15分後、20分後及び25分後の時点(即ち、12:15、12:20及び12:25)で、現在のデマンド時限(12:00〜12:30)におけるデマンド制御の要否を判定する。ここでは、各時点において、予測電力量=上限値なので、デマンド制御部105は、デマンド制御が必要ないと判定する。第1の融通調整部1071は、現在のデマンド時限の終了時(12:30)に、上限値記憶部103に保存されている上限値を引き下げて、元の値(80kWh)に戻す。
【0053】
なお、現在のデマンド時限において、予測電力量が上限値を超えるテナントが複数発生した場合は、何れか一のテナントを優先して電力を融通する。例えば、融通要求コマンドを最も早く送信したデマンド制御装置10に対応するテナントを優先する。
【0054】
以上説明したように、本発明の本実施形態に係る電力融通システムによれば、ビル等に入居するテナント等の需要家間の電力の融通制御が可能となる。したがって、各テナントにおいて、快適性や生産性を維持しつつ、当該テナントビル全体における節電対策を講ずることが可能となる。
【0055】
また、中央集約的な装置を設ける必要がないため、全テナントにおいて、電力融通の機能が全く果たせなくなってしまう事態を回避できる。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更は勿論可能である。
【0057】
例えば、上記実施形態では、テナントビルを例として説明したが、自社ビルや工場に、本発明の電力融通システムを導入しても構わない。その場合、部門や建屋毎にデマンド制御装置が設置される。
【0058】
また、デマンド制御装置において、デマンド制御が必要な際、デマンド制御を実施する前に、ユーザに所定態様でその旨を報知するようにしてもよい(例えば、警告音を出力したり、警告灯を点灯、点滅させるなど)。このようにすれば、ユーザは、デマンド制御が実施されることが事前に判り、そのための準備を整えることが可能となる。
【0059】
また、融通要求側処理部107の融通要求部1070は、予測電力量から上限値を減算して得られる融通要求電力量を融通要求コマンドに格納してもよい。この場合、他のデマンド制御装置10における融通負担側処理部108の融通要求応答部1080は、融通が可能であると判定した場合には、受信した融通要求コマンドに含まれる融通要求電力量を超えないように融通可能電力量を算出してもよい。
【0060】
また、電力量計50がデマンド制御装置10に含まれる構成にしてもよい。
【0061】
また、電力融通の対象期間は、現在のデマンド時限のみならず、次回のデマンド時限等、今後の任意の所定期間に設定することができる。この場合、例えば、電力予測部101は、次回のデマンド時限における予測電力量を算出する。そして、融通要求側処理部107は、次回のデマンド時限での電力の融通を要求する処理を行い、融通負担側処理部108は、次回のデマンド時限での電力の融通を負担する処理を行う。
【0062】
また、上記実施形態のデマンド制御装置10が実行したプログラムを、既存のパーソナルコンピュータ(PC)等に適用することで、当該PCを本発明に係るデマンド制御装置として機能させることも可能である。
【0063】
このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0064】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0065】
1 電力融通システム
10A、10B デマンド制御装置
100 電力量取得部
101 電力予測部
102 ユーザインタフェース部
103 上限値記憶部
104 機器インタフェース部
105 デマンド制御部
106 通信部
107 融通要求側処理部
1070 融通要求部
1071 第1の融通調整部
108 融通負担側処理部
1080 融通要求応答部
1081 第2の融通調整部
20 ネットワーク
30 電力線
31A、31B 電力供給線
40A、40B 分岐ブレーカ
50A、50B 電力量計
500 電圧計測部
501 電流計測部
502 A/D変換部
503 電力演算部
504 外部インタフェース部
60A、60B 設備機器
70A、70B 設備ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の需要家のそれぞれに対応して設置された複数のデマンド制御装置が、所定のネットワークにピアツーピア接続してなる電力融通システムであって、
各デマンド制御装置は、前記ネットワークを介して他のデマンド制御装置と所定の通信方式により通信を行う通信部と、
当該需要家の需要地で消費される電力量の目標上限である上限値を記憶する上限値記憶部と、
当該需要地で消費された電力量を取得する電力量取得部と、
当該需要地に引き込まれた電力供給線から電力の供給を受ける設備機器と所定の通信方式により通信を行う機器インタフェース部と、
前記電力量取得部が取得した前記電力量に基づいて、所定期間の予測電力量を算出する電力予測部と、
所定のタイミングで前記上限値と前記予測電力量を比較し、前記予測電力量が前記上限値を超えている場合には、前記設備機器に対して、運転能力を低下させるための所定のデマンド制御を行うデマンド制御部と、
所定のタイミングで前記上限値と前記予測電力量を比較し、前記予測電力量が前記上限値を超えている場合には、電力の融通を要求する融通要求コマンドを生成して、前記通信部を介して前記ネットワークに接続する他の全てのデマンド制御装置に送信する融通要求部と、
前記通信部により前記融通要求コマンドに対する他のデマンド制御装置からの応答コマンドが受信されると、当該応答コマンドを解析し、当該他のデマンド制御装置による融通可能な電力量を示す融通可能電力量が前記応答コマンドに含まれている場合には、当該他のデマンド制御装置に対して、融通してもらう旨を示す融通確認コマンドを生成し、前記通信部を介して当該応答コマンドを送信した他のデマンド制御装置に送信すると共に、前記上限値に前記融通可能電力量を一時的に加算する第1の融通調整部と、
前記通信部により、他のデマンド制御装置からの前記融通要求コマンドが受信されると、前記上限値と前記予測電力量に基づいて、融通が可能であるか否かを判定し、融通が可能である場合には、前記融通可能電力量を算出し、算出した融通可能電力量を格納した前記応答コマンドを生成し、前記通信部を介して当該融通要求コマンドを送信した他のデマンド制御装置に送信する融通要求応答部と、
前記通信部により前記応答コマンドに対する他のデマンド制御装置からの前記融通確認コマンドが受信されると、前記上限値から、前記融通要求応答部により算出された前記融通可能電力量を一時的に減算する第2の融通調整部と、を備える、
ことを特徴とする電力融通システム。
【請求項2】
前記電力量取得部は、前記電力供給線と接続して、当該需要地で消費された電力量を計測する電力量計と所定の通信方式で通信し、前記電力量計が計測した電力量を受信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力融通システム。
【請求項3】
前記第1の融通調整部は、前記融通確認コマンドに、当該他のデマンド制御装置に負担してもらう融通負担電力量を格納し、前記通信部を介して当該応答コマンドを送信した他のデマンド制御装置に送信すると共に、前記上限値に前記融通負担電力量を一時的に加算し、
前記第2の融通調整部は、前記融通確認コマンドが受信されると、当該融通確認コマンドから前記融通負担電力量を抽出し、前記上限値から前記融通負担電力量を一時的に減算する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電力融通システム。
【請求項4】
前記第1の融通調整部は、前記融通要求コマンドに対する他のデマンド制御装置からの応答コマンドに含まれる前記融通可能電力量が、前記予測電力量から前記上限値を減算して得られる融通要求電力量を超えている場合、当該融通要求電力量を前記融通負担電力量として前記融通確認コマンドに格納し、前記通信部を介して当該応答コマンドを送信した他のデマンド制御装置に送信する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電力融通システム。
【請求項5】
前記第1の融通調整部は、前記融通要求コマンドに対する他の複数のデマンド制御装置からの複数の応答コマンドに前記融通可能電力量が含まれていた場合、これらを総計した総融通可能電力量を求め、所定条件の下、当該他の各デマンド制御装置毎に前記融通負担電力量をそれぞれ算出し、算出した融通負担電力量をそれぞれ格納した複数の前記融通確認コマンドを生成し、前記通信部を介して対応する他のデマンド制御装置にそれぞれ送信すると共に、前記上限値に、前記融通負担電力量の総計を一時的に加算する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電力融通システム。
【請求項6】
前記融通要求部は、前記予測電力量から前記上限値を減算して得られる融通要求電力量を前記融通要求コマンドに格納し、前記通信部を介して前記ネットワークに接続する他の全てのデマンド制御装置に送信し、
前記融通要求応答部は、他のデマンド制御装置から前記融通要求コマンドを受信した際、融通が可能であると判定した場合には、前記融通要求電力量を超えないように前記融通可能電力量を算出する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の電力融通システム。
【請求項7】
ユーザからの前記上限値の入力を受け付けるユーザインタフェースを更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の電力融通システム。
【請求項8】
前記第1の融通調整部は、前記融通要求コマンドの送信後から所定時間以内に受信した応答コマンドの送信元のデマンド制御装置の中から電力の融通を受ける、
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の電力融通システム。
【請求項9】
複数の需要家のそれぞれに対応して設置され、所定のネットワークにピアツーピア接続するデマンド制御装置であって、
前記ネットワークを介して他のデマンド制御装置と所定の通信方式により通信を行う通信部と、
当該需要家の需要地で消費される電力量の目標上限である上限値を記憶する上限値記憶部と、
当該需要地で消費された電力量を取得する電力量取得部と、
当該需要地に引き込まれた電力供給線から電力の供給を受ける設備機器と所定の通信方式により通信を行う機器インタフェース部と、
前記電力量取得部が取得した前記電力量に基づいて、所定期間の予測電力量を算出する電力予測部と、
所定のタイミングで前記上限値と前記予測電力量を比較し、前記予測電力量が前記上限値を超えている場合には、前記設備機器に対して、運転能力を低下させるための所定のデマンド制御を行うデマンド制御部と、
所定のタイミングで前記上限値と前記予測電力量を比較し、前記予測電力量が前記上限値を超えている場合には、電力の融通を要求する融通要求コマンドを生成して、前記通信部を介して前記ネットワークに接続する他の全てのデマンド制御装置に送信する融通要求部と、
前記通信部により前記融通要求コマンドに対する他のデマンド制御装置からの応答コマンドが受信されると、当該応答コマンドを解析し、当該他のデマンド制御装置による融通可能な電力量を示す融通可能電力量が前記応答コマンドに含まれている場合には、当該他のデマンド制御装置に対して、融通してもらう旨を示す融通確認コマンドを生成し、前記通信部を介して当該応答コマンドを送信した他のデマンド制御装置に送信すると共に、前記上限値に前記融通可能電力量を一時的に加算する第1の融通調整部と、
前記通信部により、他のデマンド制御装置からの前記融通要求コマンドが受信されると、前記上限値と前記予測電力量に基づいて、融通が可能であるか否かを判定し、融通が可能である場合には、前記融通可能電力量を算出し、算出した融通可能電力量を格納した前記応答コマンドを生成し、前記通信部を介して当該融通要求コマンドを送信した他のデマンド制御装置に送信する融通要求応答部と、
前記通信部により前記応答コマンドに対する他のデマンド制御装置からの前記融通確認コマンドが受信されると、前記上限値から、前記融通要求応答部により算出された前記融通可能電力量を一時的に減算する第2の融通調整部と、を備える、
ことを特徴とするデマンド制御装置。
【請求項10】
デマンド制御装置によるデマンド制御方法であって、
所定の需要地で消費された電力量を取得するステップと、
前記電力量に基づいて、所定期間の予測電力量を算出するステップと、
所定のタイミングで、当該需要地で消費される電力量の目標上限である上限値と前記予測電力量を比較し、前記予測電力量が前記上限値を超えている場合には、当該需要地に引き込まれた電力供給線から電力の供給を受ける設備機器に対して、運転能力を低下させるための所定のデマンド制御を行うステップと、
所定のタイミングで前記上限値と前記予測電力量を比較し、前記予測電力量が前記上限値を超えている場合には、電力の融通を要求する融通要求コマンドを生成して、所定のネットワークに接続する他の全てのデマンド制御装置に送信するステップと、
前記融通要求コマンドに対する他のデマンド制御装置からの応答コマンドを受信するステップと、
受信した応答コマンドを解析し、当該他のデマンド制御装置による融通可能な電力量を示す融通可能電力量が前記応答コマンドに含まれている場合には、当該他のデマンド制御装置に対して、融通してもらう旨を示す融通確認コマンドを生成し、当該応答コマンドを送信した他のデマンド制御装置に送信すると共に、前記上限値に前記融通可能電力量を一時的に加算するステップと、
他のデマンド制御装置からの前記融通要求コマンドを受信するステップと、
前記融通要求コマンドを受信した場合、前記上限値と前記予測電力量に基づいて、融通が可能であるか否かを判定し、融通が可能である場合には、前記融通可能電力量を算出し、算出した融通可能電力量を格納した前記応答コマンドを生成し、当該融通要求コマンドを送信した他のデマンド制御装置に送信するステップと、
前記応答コマンドに対する他のデマンド制御装置からの前記融通確認コマンドを受信するステップと、
前記融通確認コマンドを受信した場合、前記上限値から、前記算出された融通可能電力量を一時的に減算するステップと、を備える、
ことを特徴とするデマンド制御方法。
【請求項11】
複数の需要家のそれぞれに対応して設置され、所定のネットワークにピアツーピア接続するデマンド制御装置を、
前記ネットワークを介して他のデマンド制御装置と所定の通信方式により通信を行う通信部、
当該需要家の需要地で消費される電力量の目標上限である上限値を記憶する上限値記憶部、
当該需要地で消費された電力量を取得する電力量取得部、
当該需要地に引き込まれた電力供給線から電力の供給を受ける設備機器と所定の通信方式により通信を行う機器インタフェース部、
前記電力量取得部が取得した前記電力量に基づいて、所定期間の予測電力量を算出する電力予測部、
所定のタイミングで前記上限値と前記予測電力量を比較し、前記予測電力量が前記上限値を超えている場合には、前記設備機器に対して、運転能力を低下させるための所定のデマンド制御を行うデマンド制御部、
所定のタイミングで前記上限値と前記予測電力量を比較し、前記予測電力量が前記上限値を超えている場合には、電力の融通を要求する融通要求コマンドを生成して、前記通信部を介して前記ネットワークに接続する他の全てのデマンド制御装置に送信する融通要求部、
前記通信部により前記融通要求コマンドに対する他のデマンド制御装置からの応答コマンドが受信されると、当該応答コマンドを解析し、当該他のデマンド制御装置による融通可能な電力量を示す融通可能電力量が前記応答コマンドに含まれている場合には、当該他のデマンド制御装置に対して、融通してもらう旨を示す融通確認コマンドを生成し、前記通信部を介して当該応答コマンドを送信した他のデマンド制御装置に送信すると共に、前記上限値に前記融通可能電力量を一時的に加算する第1の融通調整部、
前記通信部により、他のデマンド制御装置からの前記融通要求コマンドが受信されると、前記上限値と前記予測電力量に基づいて、融通が可能であるか否かを判定し、融通が可能である場合には、前記融通可能電力量を算出し、算出した融通可能電力量を格納した前記応答コマンドを生成し、前記通信部を介して当該融通要求コマンドを送信した他のデマンド制御装置に送信する融通要求応答部、
前記通信部により前記応答コマンドに対する他のデマンド制御装置からの前記融通確認コマンドが受信されると、前記上限値から、前記融通要求応答部により算出された前記融通可能電力量を一時的に減算する第2の融通調整部、として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−78177(P2013−78177A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215697(P2011−215697)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】