説明

電力輸送制御方法および蓄電装置

【課題】変動する電力需要を満たすために電力を非常に迅速に供給する。
【解決手段】
電力ネットワークに対する複数の電力供給装置から成る群の接続を制御する方法が提供される。複数の電力供給装置は互いに対して通信線を有する。上記方法は、第1の電力供給装置において制御装置からメッセージを受信し、このメッセージに応答して第1の電力供給装置を電力ネットワークに接続し、第1の電力供給装置から第2の電力供給装置に、当該第2の電力供給装置を電力ネットワークに接続することを要求するデータを含む第2のメッセージを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力輸送制御方法および蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社は送電網のバランスをとる必要がある。つまり、電力会社は、局所領域に供給する電力量が当該局所領域内のユーザの需要を常に十分に満たすことを保証する必要がある。電力会社が送電網のバランスを正確にとれなければ、その時点の需要が満たされず、非常に低いレベルまで供給電圧が一時的に降下する「電圧低下」、または電力供給が停止する「停電」が発生し得る。
【0003】
電力需要は一日の内に大きく変動するため、ネットワーク上の供給能力を超えて電力を供給しない限り全てのユーザの電力需要を確実に満たすことは困難である。
【0004】
これを達成するために、電力会社は、非常に迅速な発電が可能な待機状態の発電容量を備える傾向にある。例えば、水力発電を1分以内にネットワークに接続し、電力消費量の急激な増加に対応することができる。しかし、水力発電機は一般的に国の外れの地域に設置されるのに対し、電力需要は人口密度の高さから都市部に集中する。したがって、迅速に発電を行う地域から電力を消費する地域に電力を輸送することが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2293409号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0080044号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人口密度の高い領域に電力を非常に迅速に供給して電力需要に応える必要がある。本発明はこの課題に対処することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、通信線により互いに通信可能な複数の蓄電装置から成る群と電力ネットワークとの間の電力輸送を制御する電力輸送制御方法が提供される。当該方法は、第1の蓄電装置において制御装置から第1のメッセージを受信し、上記第1のメッセージに応答して上記第1の蓄電装置と上記電力ネットワークとの間で電力輸送を行い、上記第1の蓄電装置から第2の蓄電装置に、当該第2の蓄電装置に上記電力ネットワークとの間で電力輸送を行うことを要求するデータを含む第2のメッセージを送信する。
【0008】
これによって、上記複数の蓄電装置がサーバ(制御装置)によって制御されることが可能になる。したがって、上記電力ネットワークのバランスをより良好にとることができるようになる。さらに、この特定の方法によると、メッセージの伝達が早くなるため、多数の蓄電装置が上記電力ネットワークにおける変化に素早く対応することができるようになる。また、この方法を用いることで、より多くの蓄電装置を単一のサーバで制御することができる。
【0009】
上記電力輸送制御方法は、上記第1の蓄電装置において上記第2の蓄電装置から肯定応答を受信するステップをさらに含んでもよく、上記第2の蓄電装置からの上記肯定応答と、上記第1の蓄電装置と上記電力ネットワークとの間の上記電力輸送とに応答して、上記第1の蓄電装置が上記制御装置に肯定応答を送信してもよい。
【0010】
上記制御装置は、サーバまたは別の蓄電装置であってもよい。
【0011】
上記電力輸送制御方法は、上記第1の蓄電装置から第3の蓄電装置に、当該第3の蓄電装置に上記電力ネットワークとの間で電力輸送を行わせるデータを含む第3のメッセージを送信するステップと、上記第3の蓄電装置から肯定応答を受信するステップと、上記第2の蓄電装置からの上記肯定応答と、上記第3の蓄電装置からの上記肯定応答とに応答して、上記第1の蓄電装置が上記制御装置に上記肯定応答を送信するステップとをさらに含んでもよい。
【0012】
上記第1の蓄電装置は、上記第2の蓄電装置を上記複数の蓄電装置から成る群において一意に識別する識別子を記憶してもよく、当該識別子は、上記第2のメッセージを上記第2の蓄電装置へルーティングするために用いられてもよい。
【0013】
上記電力輸送制御方法は、上記識別子とは別の一意の識別子を有する別の蓄電装置を上記第2の蓄電装置として上記群から選択するステップと、上記第1の蓄電装置に記憶されている上記識別子を上記別の一意の識別子に更新するステップとをさらに含んでもよく、上記選択は、上記第1の蓄電装置と上記第2の蓄電装置との間の上記通信線の信頼性および上記第1の蓄電装置と上記別の蓄電装置との間の上記通信線の信頼性に基づいて行われる。
【0014】
上記第1の蓄電装置と上記第2の蓄電装置との間の上記通信線の上記信頼性は、所定の閾値未満であってもよく、上記第1の蓄電装置と上記別の蓄電装置との間の上記通信線の上記信頼性は、上記第1の蓄電装置と上記第2の蓄電装置との間の上記通信線の上記信頼性より高くてもよい。
【0015】
上記電力輸送制御方法は、上記第2の蓄電装置の電力量を定期的に測定し、上記測定された電力量の値と、上記第2の蓄電装置を一意に識別する識別子とを上記第1の蓄電装置に送信するステップをさらに含んでもよい。
【0016】
上記第1の蓄電装置、第2の蓄電装置および第3の蓄電装置のいずれか1つの蓄電装置が、上記電力ネットワークとの間で電力輸送を行ってもよい。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、電力ネットワークに電力供給する蓄電装置が提供される。当該蓄電装置は、第2の蓄電装置と通信し、制御装置から第1のメッセージを受信する通信インタフェースと、上記第1のメッセージに応答して上記電力ネットワークとの間で電力輸送を行い、上記通信インタフェースを用いて上記第2の蓄電装置に、当該第2の蓄電装置に上記電力ネットワークとの間で電力輸送を行うことを要求するデータを含む第2のメッセージを送信するコントローラとを具備する。
【0018】
上記通信インタフェースは、上記第2の蓄電装置から肯定応答を受信し、当該第2の蓄電装置からの上記肯定応答と、上記蓄電装置と上記電力ネットワークとの間の上記電力輸送とに応答して、上記制御装置に肯定応答を送信してもよい。
【0019】
上記制御装置は、サーバまたは別の蓄電装置であってもよい。
【0020】
上記通信インタフェースは、第3の蓄電装置に、当該第3の蓄電装置に上記電力ネットワークとの間で電力輸送を行わせるデータを含む第3のメッセージを送信し、上記第3の蓄電装置から肯定応答を受信し、上記第2の蓄電装置からの上記肯定応答および上記第3の蓄電装置からの上記肯定応答に応答して上記制御装置に上記肯定応答を送信してもよい。
【0021】
上記蓄電装置は、上記第2の蓄電装置を上記複数の蓄電装置から成る群において一意に識別する識別子を記憶するメモリをさらに具備してもよく、当該識別子は、上記第2のメッセージを上記第2の蓄電装置へルーティングするために用いられてもよい。
【0022】
上記コントローラは、上記識別子とは別の一意の識別子を有する別の蓄電装置を上記第2の蓄電装置として上記群から選択し、上記メモリに記憶されている上記識別子を上記別の一意の識別子に更新してもよく、上記選択は、上記蓄電装置と上記第2の蓄電装置との間の上記通信線の信頼性および上記蓄電装置と上記別の蓄電装置との間の上記通信線の信頼性に基づいて行われてもよい。
【0023】
上記蓄電装置と上記第2の蓄電装置との間の上記通信線の上記信頼性は、所定の閾値未満であってもよく、上記蓄電装置と上記別の蓄電装置との間の上記通信線の上記信頼性は、上記蓄電装置と上記第2の蓄電装置との間の上記通信線の上記信頼性より高くてもよい。
【0024】
上記蓄電装置は、利用可能な電力量を定期的に測定する充電量測定装置をさらに具備してもよく、上記通信インタフェースは、上記測定された電力量の値と、上記第2の蓄電装置を一意に識別する識別子とを上記コントローラに送信してもよい。
【0025】
上記第1の蓄電装置、第2の蓄電装置および第3の蓄電装置のいずれか1つの蓄電装置が、上記電力ネットワークとの間で電力輸送を行ってもよい。
【0026】
本発明の第3の態様によれば、コンピュータに、上記実施形態のいずれかに記載の電力輸送制御方法の各ステップを実行させるプログラムが提供される。
【0027】
本発明の上記および他の目的、特徴、利点は、添付の図面と関連して読まれる例示的な実施形態に関する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】1つのローカル供給ノード群を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るローカル供給ノードを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る複数のローカル供給ノード群から成るネットワークを示す図である。
【図4】図3の複数のローカル供給ノード群のうちの1つのローカル供給ノード群におけるメッセージングを説明するための図である。
【図5】図3の複数のローカル供給ノード間の電力通信に関する信号伝達図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る複数のローカル供給ノード群から成るネットワークを示す図である。
【図7】図6の複数のローカル供給ノード群のうちの1つのローカル供給ノード群における電力通信を説明するための図である。
【図8】図3の第1の実施形態および図6の第2の実施形態において配置されたサーバに記憶される、本発明の実施形態に係るデータベースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1を参照すると、1つのローカル供給ノード群が示されている。便宜上、4つのローカル供給ノード110A〜110Dを示す。ローカル供給ノード110A〜110Dはそれぞれ、電力ネットワークに接続されている。換言すると、各ローカル供給ノード110A〜110Dは、多数の住宅に対して電力を供給する電力供給源に接続されている。図2を参照してローカル供給ノードの一実施形態を説明するが、典型的には、ローカル供給ノードは、所定量の電力を短時間で電力ネットワークに供給することができる蓄電装置である。これは、図2の場合のように、バッテリーバンク等の蓄電部としてもよい。したがって、このローカル供給ノード群は、必要時に所定量の電力を所定のリードタイム以内に電力ネットワークに供給することを目的としている。電力ネットワークに供給される電力量は、一般的に消費者側の需要によって決定され、リードタイムの長さは国の法令に則って決定される。例えば、電力ネットワークには、30秒のリードタイムで1メガワットの電力が必要とされる。理解されるように、これは、突然の通知で供給される電力としては量が多い。さらに、バッテリーバンクは、必要時の電力供給に備えて、需要が少ないときに充電しておくことが可能である。
【0030】
図1では、各ローカル供給ノードは、電力ネットワークによって隣接のローカル供給ノードに接続されている。この接続は、図1において、ローカル供給ノードを互いに結ぶ実線で示してある。このローカル供給ノード群は、本実施形態では、地理的な位置に基づいてグループ分けされている。例えば、一群を構成する複数のローカル供給ノードのそれぞれは、同一の変電所に接続されてもよい。しかし、任意の適切なタイプのグループ分けが想定される。例えば、電力供給側によってグループ分けが行われてもよい。
【0031】
後述するように、ローカル供給ノードは、互いに通信することもできる。この通信は、互いに電気的に接続されたローカル供給ノード間において行われる。代替的にまたは付加的に、互いに電気的に接続されていないローカル供給ノードも互いに通信することが可能である。これについては、一例を図1に示しており、図1では、ローカル供給ノード110Aおよびローカル供給ノード110Dが互いに通信するが、これらのローカル供給ノード110Aおよびローカル供給ノード110Dは互いに電気的に接続されていない。破線で示してあるのが通信線410である。この通信線410は、後述するように、ローカル供給ノードの接続の信頼性が所定の閾値を下回る場合に提供される。
【0032】
ローカル供給ノードは、各ローカル供給ノードが固有のインターネットプロトコル(IP)アドレスを有するようにすることで、インターネットを介して互いに通信することができる。後述するように、本実施形態では、各ローカル供給ノードは、各ローカル供給ノード群100における他のローカル供給ノードから成るサブセットと通信することができればよい。つまり、各ローカル供給ノードがローカル供給ノード群100における他のローカル供給ノードの全てと通信する必要がない。これによって、複数のローカル供給ノードから成る各ローカル供給ノード群100に必要な通信容量が削減される。
【0033】
一実施形態において、1つのローカル供給ノード群における1つまたは複数のローカル供給ノードが1つまたは複数の他のローカル供給ノード群における1つまたは複数のローカル供給ノードと通信してもよい。これによって、ローカル供給ノード間のデータトラフィック量が大幅に削減される。さらに、この構成によって、各ローカル供給ノードが必要量の電力を電力ネットワークに供給する速度が急増する。これについては図6を参照して後述する。
【0034】
図2を参照すると、ノード制御装置110に連結された電力供給部210が示されている。電力供給部210は、本実施形態では、大型のバッテリーバンクである。バッテリーバンクは、充電またはネットワークへの電力供給に必要な場合に送電網(図示せず)に接続される。バッテリーバンクは、住宅内に配置され、例えば午前3時等の電力料金が低いときに充電されるか、または、ローカルに発電される電力、例えば、ソーラーパネルによるもの等によって充電される。バッテリーバンクは、ノード制御装置110が通信線を介して接続メッセージを受信したときに電力ネットワークに接続されて電力を供給する。
【0035】
バッテリーバンクは、ノード制御装置110内に配置された充電分析器220に接続されている。充電量分析器220は、バッテリーバンク210の充電残量を測定する。この充電情報は、制御部230に渡される。この制御部230は、本実施形態では、コンピュータ可読ソフトウェアコードを実行するマイクロプロセッサである。制御部230は、バッテリーバンク210を制御して、電力料金または電力需要量が低いときに電力ネットワークから電力を引き込むことによって充電させるか、または実際には必要時に電力を電力ネットワークに供給することによって放電させる。制御部230は、コンピュータプログラムおよび他のデータを記憶するメモリ235に接続されている。制御部230には、バッテリーバンク210に供給される電力量と、バッテリーバンク210によって供給される電力量とに関する情報も提供される。また、電力料金が算出される。この料金情報は、電力設備毎に課金され、一日の内に変動するものであり、メモリ235に記憶される。ネットワークから引き出した電力またはネットワーク上に存在する電力量を算出することによってバッテリーバンク210の費用を監視することが可能になる。この費用情報は、ユーザに料金内訳と、ユーザ宅の電力消費量とを通知する総合電力監視システムに渡される。
【0036】
制御部230は、通信インタフェース240に接続されている。通信インタフェース240は、制御部230から充電情報を受信し、この充電情報をサーバまたは別のローカル供給ノードに提供する。通信インタフェース240と、サーバまたはローカル供給ノードとの間の通信は無線であっても、有線であってもよい。また、通信インタフェース240は、ローカル供給ノード間の電気的な接続を利用して通信を行ってもよい。通信インタフェース240は、サーバまたはローカル供給ノードから任意のデータを受信してもよく、このデータを制御部230に伝達してもよい。このデータには、或る量の電力を電力ネットワークに供給することを要求する情報を含めてもよい。また、通信インタフェース240は、ホームネットワークを介して総費用および電力消費量を総合電力監視システムに伝達することも可能である。
【0037】
図3を参照すると、複数のローカル供給ノード群100から成るネットワーク300が示されている。この第1の実施形態では、各ローカル供給ノード群100は、サーバ310に接続されている。具体的には、各ローカル供給ノード群においてサーバ310と通信する第1のローカル供給ノードが選択される。サーバ310と通信する第1のローカル供給ノードは、最も信頼性が高い接続を有することを理由に選択してもよく、またはサーバまでの距離または一日の内の時間帯等の何らかの他の選択基準を用いて選択してもよい。第1のローカル供給ノードは、サーバ310に対して双方向通信を行う。また、第1のローカル供給ノードは、ローカル供給ノード群100内の複数の他のローカル供給ノードと通信する。
【0038】
サーバ310はデータベースを有する。データベースには、各ローカル供給ノード群において各ローカル供給ノードを識別する情報が記憶される。また、図8を参照して説明するように、データベースには、各ローカル供給ノードから利用可能な電力量およびローカル供給ノードに対する接続の信頼性を詳細に示す情報が記憶される。サーバ310に蓄積されたデータベースの正確性を保証するために、各ローカル供給ノードは、充電情報をサーバ310に定期的に提供する。サーバ310がデータベース内で正しいローカル供給ノードと充電情報とを関係付けることができるように、ローカル供給ノードは、ローカル供給ノードを識別する識別情報も提供する。識別情報は、当該ローカル供給ノード群内の他のローカル供給ノードに対して一意である必要がある。識別情報は、ローカル供給ノードによってローカル供給ノード群が構成されたときに提供される。この識別情報は、選択されたローカル供給ノードまたはサーバ310によって割り当てることができる。
【0039】
図4の実施形態を参照しながら、サーバ310がローカル供給ノード110と通信するメカニズムを説明する。サーバ310は、余剰電力を特定の地理的な位置に存在するネットワークに供給する必要があることを示す通知(indication)を電力ネットワークから受信する。サーバ310は、当該地理的な位置の最も近くに位置するローカル供給ノード群を特定する。次いで、サーバ310は、要求に応えるのに十分な電力が当該ローカル供給ノード群100にあるか否かを判定する。この判定は、データベースを分析することによって行われる。当該ローカル供給ノード群100の電力が不十分である場合、サーバ310は、上記地理的な位置に基づいて別の新たなローカル供給ノード群を選択する。適した位置のローカル供給ノード群が見つからない場合、サーバ310は、電力ネットワークが、所望の電力を供給する代替的なメカニズムを見つけることができるように電力ネットワークに通知する。
【0040】
サーバ310によって選択されたローカル供給ノード群の電力容量が十分である場合、サーバ310は、第1のローカル供給ノード110Aにメッセージを送信する。第1のローカル供給ノード110Aはサーバ310に直接接続されているローカル供給ノードであるため、サーバ310と第1のローカル供給ノード110Aとの接続は、当該ローカル供給ノード群において最も信頼性が高い。第1のローカル供給ノード110Aの信頼性が最も高いことから、第1のローカル供給ノード110Aを一段目(tier)ノードと称する。第1のローカル供給ノード110Aがメッセージの真正性を判断することができるように、サーバ310は、秘密鍵を用いてメッセージ310を暗号化する。サーバ310の秘密鍵に対応する公開鍵は、第1のローカル供給ノード110Aのメモリ235に記憶される。第1のローカル供給ノード110Aがサーバ310の公開鍵を用いてメッセージを復号する。サーバ310の公開鍵は、メモリ235にも記憶され、メッセージの受信前に実行される認証プロセス中に受信される。
【0041】
正しく復号された時点で、メッセージは有効であると判断される。本実施形態では、サーバ310からのメッセージによって、第1のローカル供給ノード110Aが自身のバッテリパックを電力ネットワークに接続することが要求されるとともに、第1のローカル供給ノード110Aが通信によって他のローカル供給ノードに通知することで当該他のローカル供給ノードのバッテリパックを電力ネットワークに接続させることが要求される。他のローカル供給ノードのリストはメモリ235に記憶される。具体的には、他のローカル供給ノードのそれぞれのIPアドレスがメモリ235に記憶される。但し、任意の形態の識別情報をメモリ235に記憶してもよい。
【0042】
このようにして、第1のローカル供給ノード110Aは、電力ネットワークに対する自身のバッテリパックの接続を開始し、当該バッテリパックが電力ネットワークを介して充電または放電される。電力ネットワークを介してバッテリパックを充電するかまたはバッテリパックに放電させるかは、メッセージの内容に従って決定される。換言すると、メッセージによって、バッテリパックがネットワークを介して充電または放電するように指示される。そして、第2のメッセージが、第1のローカル供給ノードの秘密鍵を用いて暗号化され、第1のローカル供給ノード110Aの通信により各ローカル供給ノード110に送信される。
【0043】
第1のローカル供給ノード110Aの秘密鍵もまた、第1のローカル供給ノード110Aのメモリ235に記憶される。この第2のメッセージは、第2のローカル供給ノード110Bと、第3のローカル供給ノード110Cと、第4のローカル供給ノード110Dとに送信される。また、第2のメッセージは、第5のローカル供給ノード110Eにも送信される。第2のメッセージは、第1のメッセージと同様に、各ローカル供給ノードがそれらのバッテリパックを発電ネットワークに接続するように指示する。上記第2のローカル供給ノード110B〜上記第5のローカル供給ノード110Eは、(一段目ノードである)第1のローカル供給ノード110Aに接続されていることから、これを「二段目ノード」と称する。
【0044】
ここで、第1のローカル供給ノード110Aがサーバ310からの第1のメッセージを復号し、そして、第1のローカル供給ノード110Aの秘密鍵を用いて第2のメッセージを暗号化するため、第1のローカル供給ノード110Aの安全性が疑われる場合、認証されていない第2のメッセージが二段目ノードに送信される可能性がある。これによって、システムのインテグリティが損なわれることになる。
【0045】
このような安全性を改善するために、第1のローカル供給ノード110Aは、信頼性のあるプラットフォームモジュールまたは何らかの他の安全な環境において暗号化された第2のメッセージを生成し、この暗号化された第2のメッセージを適切な方法によって二段目ノードに提供してもよい。
【0046】
代替的に、第1のローカル供給ノード110Aによって第2のメッセージを生成する代わりに、第1のローカル供給ノード110Aが、サーバ310によって暗号化された第1のメッセージを二段目ノードにそのまま渡してもよい。つまり、第2のメッセージは、サーバ310によって暗号化された第1のメッセージと同じであってもよい。この場合、第2のローカル供給ノードは、サーバ310の公開鍵を知る必要があるだけで、秘密鍵を記憶する必要がない。サーバ310の公開鍵は、第1のローカル供給ノード310Aによって伝達することができる。或いは、サーバ310の公開鍵は、サーバ310から直接検索してもよい。これには、2つの利点がある。第一に、サーバ310の秘密鍵を知らない限り、認証されていないメッセージがローカル供給ノードによって生成されて後続の段で有効化されることがないため、システムの安全性が向上する。第二に、ローカル供給ノードに秘密鍵を記憶する必要がないため、メモリ235の使用量が減り、また、秘密鍵を守るための手段をローカル供給ノードに設ける必要がなくなる。
【0047】
第2のメッセージが第2のローカル供給ノード110B〜第5のローカル供給ノード110Eのそれぞれに送信された後、第2のメッセージが送信されたことを示すように、第1のローカル供給ノード110Aのメモリ235における各ローカル供給ノードに対してフラグが立てられる。フラグは、第2のローカル供給ノード110B〜第5のローカル供給ノード110Eのそれぞれから肯定応答(ACK)が第1のローカル供給ノード110Aにおいて受信された後にリセットされる。第2のメッセージがローカル供給ノードに正しく受信されたことを保証するために、一定の時間(例えば、100ミリ秒)が経過してもフラグがリセットされていない場合には、メッセージをフラグが立てられたローカル供給ノードに再送する。
【0048】
第2のローカル供給ノード110B〜第5のローカル供給ノード110Eのそれぞれは、受信したメッセージを、適宜、第1のローカル供給ノード110Aの秘密鍵に対応する公開鍵またはサーバ310の公開鍵を用いて復号する。当該復号されたメッセージは、それぞれ第2のローカル供給ノード110B〜第5のローカル供給ノード110Eのメモリ235に記憶される。復号の成功によって、第1のローカル供給ノード110Aのメッセージの真正性が認められる。
【0049】
この後、第2のローカル供給ノード110B〜第5のローカル供給ノード110Eのそれぞれは、電力ネットワークに対するそれらの各バッテリパックの接続を開始し、当該バッテリパックがネットワークを介して充電または放電される。次いで、第2のローカル供給ノード110B〜第5のローカル供給ノード110Eのそれぞれは、第2のローカル供給ノード110B〜第5のローカル供給ノード110Eのそれぞれが通信する各ローカル供給ノード110に送信する第3のメッセージを生成する。第3のメッセージは、各ローカル供給ノード内において生成されるか、または第2のローカル供給ノード110B〜第5のローカル供給ノード110Eのそれぞれの秘密鍵を用いて暗号化され、適切なローカル供給ノードに送信されて復号および有効化される。代替的に、第3のメッセージは、サーバ310の秘密鍵を用いて暗号化される第1のメッセージとしてもよい。これらのローカル供給ノードは、二段目ノードに接続されていることから、これを「三段目ノード」と称する。
【0050】
図示されるように、第2のローカル供給ノード110Bは、第3のメッセージを第5のローカル供給ノード110Eと、第6のローカル供給ノード110Fと、第7のローカル供給ノード110Gとに送信する。理解されるように、第5のローカル供給ノード110Eは、第1のローカル供給ノード110Aからの第2のメッセージおよび第2のローカル供給ノード110Bからの第3のメッセージを両方受信する。このような重複は、第1のローカル供給ノード110Aからの第2のメッセージが第2のローカル供給ノード110Bによって受信されない場合に行われる。これは、第1のローカル供給ノードと第2のローカル供給ノードとの接続に信頼性がない場合等に有益である。上記重複は、第5のローカル供給ノード110Eが、四段目ローカル供給ノードに対するメッセージの伝達を継続することが可能であることを意味する。
【0051】
次いで、第3のメッセージを受信して復号に成功したローカル供給ノードが、電力ネットワークに対するそれらの各バッテリパックの接続を開始し、当該バッテリパックが電力ネットワークを介して充電または放電される。そして、適宜、上記ローカル供給ノードは、上述したものと同じ技法を用いて他のローカル供給ノードにメッセージを送信する。
【0052】
ネットワークが確実に所望の電力量を供給することができるようにするために、各ローカル供給ノードは、電力ネットワークに対するその各バッテリパックの接続を開始し、当該バッテリパックが電力ネットワークを介して充電または放電されているという肯定応答を生成する。肯定応答をサーバ310および/または先行の段のローカル供給ノードに返すために多数の異なるメカニズムが存在する。
【0053】
まず、電力ネットワークに接続されたばかりのローカル供給ノードが、バッテリパックが電力ネットワークに接続され次第すぐに肯定応答を生成する。次いで、この肯定応答を、先行の段のローカル供給ノードに直接送信する。例えば、第5のローカル供給ノード110Eが電力ネットワークに接続され次第すぐに、通信線410を介して肯定応答を第1のローカル供給ノード110Aに送信する。また、第5のローカル供給ノード110Eは、第2のローカル供給ノード110Bにも肯定応答を送信する。肯定応答の受信時に、第5のローカル供給ノード110Eに関係付けられたフラグが第1のローカル供給ノード110Aのメモリ235においてリセットされる。次いで、第1のローカル供給ノード110Aが受信した肯定応答を、サーバ310に転送する。サーバ310は、第5のローカル供給ノード110Eが電力ネットワークに接続されていることを示すようにデータベースを更新する。
【0054】
また、第2のローカル供給ノード110Bは、第5のローカル供給ノード110Eから受信した肯定応答を第1のローカル供給ノード110Aに送信する。リセットされたフラグによって示されるように、第1のローカル供給ノード110Aは、既に第5のローカル供給ノード110Eから肯定応答を直接受信しており、この肯定応答が既にサーバ310に返されている場合、第1のローカル供給ノード110Aは、第2のローカル供給ノード110Bによって渡された肯定応答を単に無視する。フラグを確認することによって、つまり、重複したメッセージをサーバ310に送信しないようにすることによって、ネットワークを介して転送されるデータが削減される。
【0055】
第6のローカル供給ノード110Fが電力ネットワークに接続された後、肯定応答を第2のローカル供給ノード110Bに送信する。肯定応答の受信後、第2のローカル供給ノード110Bが、第6のローカル供給ノード110Fに関係付けられたフラグをリセットし、肯定応答を第1のローカル供給ノード110Aに渡す。次いで、第1のローカル供給ノード110Aが、肯定応答をサーバ310に送信する。サーバ310は、第6のローカル供給ノード110Fが電力ネットワークに接続されていることを示すようにデータベースを更新する。当業者なら理解するように、この種の信号伝達は、有効ではあるが、最前段のローカル供給ノードにおいてボトルネックとなり得る。換言すると、肯定応答が全て第1のローカル供給ノード110Aを通じてサーバ310に送信されるため、第1のローカル供給ノード110Aが扱うデータ量が非常に多くなる。
【0056】
ネットワークを介して転送されるデータを削減する第2のメカニズムが存在する。この第2のメカニズムでは、或る段のローカル供給ノードが、自身がメッセージを送信した全てのローカル供給ノードから肯定応答を受信した後に、当該或る段におけるローカル供給ノードからその先行の段におけるローカル供給ノードへの肯定応答のみが送信される。例えば、第2のローカル供給ノード110Bは、肯定応答を第5のローカル供給ノード110Eと、第6のローカル供給ノード110Fと、第7のローカル供給ノード110Gの全てから肯定応答を受信した後にのみ、肯定応答を第1のローカル供給ノード110Aに送信する。この第2のメカニズムを図5を参照して説明する。
【0057】
図5では、サーバ310は、電力ネットワークから制御メッセージを受信する。この制御メッセージは、地理的領域と、所望の電力量とを示す。制御メッセージには、この電力供給が要求された時間も含めてもよいが、これは必須ではない。サーバ310は、上述したように、当該電力を供給するローカル供給ノード群を選択する。
【0058】
この選択の後、サーバ310は、第1のローカル供給ノード110Aに電力ネットワークに接続するように指示するメッセージmsg1を送信する。第1のローカル供給ノード110Aは、電力ネットワークに対するバッテリパックの接続を開始し、当該バッテリパックがネットワークを介して充電または放電される。第1のローカル供給ノード110Aは、メッセージmsg2、メッセージmsg3、メッセージmsg4およびメッセージmsg5を、第2のローカル供給ノード110B、第3のローカル供給ノード110C、第4のローカル供給ノード110Dおよび第5のローカル供給ノード110Eにそれぞれ送信する。上記メッセージを受信したローカル供給ノードはそれぞれ、電力ネットワークに対する自身のバッテリパックの接続を開始し、当該バッテリパックがネットワークを介して充電または放電される。
【0059】
上記メッセージをそれぞれ受信した第2のローカル供給ノード110B、第3のローカル供給ノード110C、第4のローカル供給ノード110Dおよび第5のローカル供給ノード110Eは、当該メッセージをさらなるローカル供給ノードに伝達する。図5の例では、サーバ310および第2のローカル供給ノード110Aの他にメッセージを伝達するのは、第2のローカル供給ノード110Bのみである。具体的には、第2のローカル供給ノード110Bは、第5のローカル供給ノード110E、第6のローカル供給ノード110Fおよび第7のローカル供給ノード110Gに対してメッセージを送信する。これらのローカル供給ノードのバッテリパックは、電力ネットワークに対する接続を開始し、ネットワークを介して充電または放電される。上記メッセージは、他のローカル供給ノードに伝達される。このメカニズムは、既に説明したものと同じである。
【0060】
当該ローカル供給ノード群における全てのローカル供給ノードが電力ネットワークに接続された後、これらのローカル供給ノードのバッテリパックが電力ネットワークに接続されたことを示す肯定応答が、先行の段のローカル供給ノードに返信される。
【0061】
つまり、例えば、第5のローカル供給ノード110E、第6のローカル供給ノード110F、および第7のローカル供給ノード110G、ならびにこれらのローカル供給ノードがメッセージを送信した全てのローカル供給ノードが、電力ネットワークに接続されると、第5のローカル供給ノード110E、第6のローカル供給ノード110Fおよび第7のローカル供給ノード110Gは、第2のローカル供給ノード110Bに肯定応答(ack1〜ack3)を返信する。さらに、第5のローカル供給ノード110Eが第1のローカル供給ノード110Aに肯定応答(ack4)を返信する。第2のローカル供給ノード110Bが、自身がメッセージを送信したノードから肯定応答を受信し、かつ電力ネットワークに対する自身の接続も成功している場合、第2のローカル供給ノード110Bは、第1のローカル供給ノード110Aに肯定応答(ack5)を返信する。同様に、第3のローカル供給ノード110Cが、第1のローカル供給ノード110Aに肯定応答(ack6)を送信し、第4のローカル供給ノード110Dが第1のローカル供給ノード110Aに肯定応答(ack7)を送信する。
【0062】
第1のローカル供給ノード110Aは、第2のローカル供給ノード110Bおよび第3のローカル供給ノード110Cから肯定応答を既に受信し、電力ネットワークに接続した後、サーバ310に肯定応答(ack8)を送信する。ack8の受信時にサーバ310は、当該ローカル供給ノード群における全てのローカル供給ノードが電力ネットワークに接続されていることを把握する。
【0063】
図示されるように、或る段の或るローカル供給ノードは、後続の段のローカル供給ノードから肯定応答を受信した後、先行の段におけるローカル供給ノードに肯定応答を返信するだけである。これによって、ネットワークを介して送信されるデータ量が削減される。これは、図5のシステムによれば、この連鎖においてサーバ310の近傍に位置するローカル供給ノードに肯定応答が殺到するのではなく、各ローカル供給ノードが通信を行ったローカル供給ノードから肯定応答を受信するだけであるためである。これによって、例えば、第1のローカル供給ノード110A等の最前段がボトルネックとなる可能性が低減される。
【0064】
なお、一対のローカル供給ノード間の接続が失敗した場合、肯定応答は受信されない。したがって、5秒等の所定の期間が経過しても肯定応答が受信されない場合、ポーリングノードがメッセージを再送信する。さらに5秒経過しても肯定応答が後続のローカル供給ノードから受信されない場合、ポーリングノードは、後続のローカル供給ノード宛の当該メッセージが失敗しており、後続のローカル供給ノードおよび当該後続のローカル供給ノードに続く全てのローカル供給ノードがネットワークに接続されることがないと想定する。この場合、ポーリングノードは、失敗したローカル供給ノードを識別して更新メッセージをサーバ310に送信する。これに応答して、サーバ310は、その信頼性に関するデータベースを更新し、ポーリングノードに、別の後続のローカル供給ノードにメッセージを送信するように指示する。この場合、サーバ310は、ポーリングノードに当該別の後続のノードのIPアドレス等を提供する必要がある。
【0065】
代替的に、ポーリングノードは、所定数の異なる後続のローカル供給ノード(のIPアドレス)を記憶している。この場合、ポーリングノードが、後続のローカル供給ノードがネットワークに接続されることがないと判断した後、ポーリングノードは、当該ポーリングノードが記憶している複数の異なる後続のローカル供給ノードから1つの後続のローカル供給ノードを選択する。次いで、ポーリングノードは、選択した後続のポーリングノードに対して連絡を試みる。ポーリングノードはサーバ310に連絡しなくてもよいため、ネットワーク上のデータトラフィック量が削減される。さらに、この場合、別の後続のローカル供給ノードを異なる基準に基づいて選択することが可能である。例えば、別の後続のローカル供給ノードを、最も信頼性が高い別の後続のローカル供給ノードが選択されるように、接続の信頼性に基づいて選択することができる。
【0066】
図6に、本発明の第2の実施形態を開示する。本実施形態では、第1の実施形態と同様の参照符号は、それと同様の特徴を指す。ここでは、複数のローカル供給ノード群100から成るシステム600を示す。図3で示したようにローカル供給ノード群100がそれぞれサーバ310に接続される第1の実施形態とは異なり、本実施形態では、複数のローカル供給ノード群から成るサブセットにおける複数のローカル供給ノード群のうちの1つのローカル供給ノード群のみがサーバ310に接続されている。
【0067】
サーバ310は通常、一万のローカル供給ノード群を制御するが、図6の構成によって、より多数のローカル供給ノード群が単一のサーバ310によって制御可能となり、拡張性がもたらされる。これによって、各ローカル供給ノード群を小型化することが可能になり、システムの柔軟性が増す。また、より大きな地理的領域を単一のサーバ310の制御下に置くことが可能になる。これによって、システムの総費用が削減される。換言すると、図6の構成によって、図3に示した第1の実施形態と比較して、単一のサーバ310に接続されたローカル供給ノード群に拡張性がもたらされる。
【0068】
サーバ310に接続されていないローカル供給ノード群を制御するために、サーバ310に接続されているローカル供給ノード群が、ローカル供給ノード群とサーバ310との間のメッセージおよび肯定応答の伝達を制御する拠点(hub:ハブ)ローカル供給ノード群として機能する。この機能を提供するために、拠点ローカル供給ノード群は、サブセットにおけるローカル供給ノード群のそれぞれに接続されている。したがって、図6の例では、ローカル供給ノード群100は、サブセット610内の拠点ローカル供給ノード群である。この拠点ローカル供給ノード群100は、ローカル供給ノード群100’、100’’および100’’’に接続される。これらは、拠点ローカル供給ノード群100によって制御される。ここで、複数のローカル供給ノード群から成るサブセット610内において、拠点ローカル供給ノード群100だけが他の拠点ローカル供給ノード群と通信すればよく、当該サブセット内の他のローカル供給ノード群のそれぞれは互いに通信する必要がない。しかし、本発明はこのような形態に限定されない。
【0069】
図7を参照すると、スレーブローカル供給ノード群に接続された拠点ローカル供給ノード群100を示すサブセット700が示されている。拠点ローカル供給ノード群100は、図3を参照して説明した第1のローカル供給ノード群と同じものである。拠点ローカル供給ノード群100はサーバ310に接続されている。スレーブ群100’は、第1のローカル供給ノード群100と同様のものである。しかし、スレーブローカル供給ノード群100’において、第1のローカル供給ノード110A’は、サーバ310に接続される代わりに、拠点ローカル供給ノード群100の第1のローカル供給ノード110Aに接続される。
【0070】
したがって、動作に関して、スレーブローカル供給ノード群100’は、図3を参照して説明した拠点ローカル供給ノード群100の動作と酷似した動作をする。唯一の相違点として、スレーブローカル供給ノード群100’における第1のローカル供給ノード110A’が、拠点ローカル供給ノード群100の第1のローカル供給ノード110Aからメッセージを受信し、拠点ローカル供給ノード群100の第1のローカル供給ノード110Aに肯定応答を返信する。拠点ローカル供給ノード群100の第1のローカル供給ノード110Aは、スレーブローカル供給ノード群100’の第1のローカル供給ノード110A’から肯定応答を受信する。サーバ310は、拠点ローカル供給ノード群100の第1のローカル供給ノード110Aから肯定応答を受信する。複数の異なるローカル供給ノード間のメッセージおよび肯定応答の転送には、図3を参照して説明したものと同じ手法が利用される。
【0071】
データベースに記憶される表を図8に示す。図8に示す表は具体的には、図3および図7のサーバ310に記憶されるデータベースに関する。この表には3つの列がある。第1の列905において、ローカル供給ノードが一意に識別されている。図8の例では、各ローカル供給ノードにおいて各ローカル供給ノードが一意に識別されている。1つのローカル供給ノード群(グループA、グループB等)における各ローカル供給ノードには番号が付され、同じ番号付けシステム(ノード1、ノード2、ノード3等)を用いて別のローカル供給ノード群におけるローカル供給ノードが識別される。したがって、各ローカル供給ノードは、各サーバ310に対してA1、A2、B1、B2等として一意に識別される。しかし、本発明は、これに限定されず、任意のタイプの一意の識別法を利用することができる。
【0072】
複数の異なるローカル供給ノードを複数の異なるローカル供給ノード群に(すなわち、複数の異なるサーバの制御下で)動的に配置することを可能にするために、各ローカル供給ノードに適用する識別情報は、IPアドレス等、グローバルに一意なものとすることができる。
【0073】
第2の列910は、各ローカル供給ノードによって供給可能な充電量を示す。充電量の値は、充電量が現在の(最新の)ものであることを保証するために定期的に更新される。この更新は、サーバ310からの要求に応答して行ってもよく、充電後または放電後等、トリガイベントに応じて行ってもよい。代替的に、所定の時間毎に自動的に更新を行ってもよい。
【0074】
第3の列915は、ローカル供給ノードの接続の信頼性の詳細を示す。接続の信頼性は、どのくらいの頻度で、ローカル供給ノードから当該ローカル供給ノードが通信するサーバ310または別のローカル供給ノードへの接続が失敗したかを示す測定値である。接続の信頼性が85%等の所定の閾値を下回る値まで下がった場合、図4における通信線410のような通信線が生成される。換言すると、信頼性が所定の閾値未満である場合、サーバ310は、信頼性が低いローカル供給ノードと通信している1つまたは複数のローカル供給ノードのIPアドレスを、信頼性の高い(例えば97%を超える信頼性)先行の段におけるローカル供給ノードへ通知する。
【0075】
実際には、ローカル供給ノードがメッセージを受信する順番は、接続の信頼性によって決まる。具体的には、ローカル供給ノード群の動作開始時においては、メッセージを伝達する順番は、ランダムに選択してもよく、サーバ310までの地理的な距離等の任意の基準を用いて選択してもよい。しかし、この順番は、時間の経過と共に接続の信頼性に応じて動的に変わり得る。実際には、一段目ノード(すなわち、サーバ310が通信するローカル供給ノード)が最も安定していてかつ最も信頼性が高い接続を有する。二段目ノード(すなわち、一段目ノードに接続されている複数のローカル供給ノード)が2番目に信頼性のある接続を有することになる。三段目ノード(すなわち、二段目ノードに接続されている複数のローカル供給ノード)が3番目に信頼性のある接続を有することになる。このことは、本システムがこれらの段のローカル供給ノードを通じてメッセージおよび肯定応答を伝達させる必要があるため有利である。したがって、若い番号が付された段における或るローカル供給ノードがメッセージまたは肯定応答を伝達しない場合、その後続の段における多数のローカル供給ノードはメッセージを受信しないことになる。しかし、後続の段におけるローカル供給ノードがメッセージを受信しない場合、その影響を受ける後続のローカル供給ノードの数はより少なくなる。
【0076】
換言すると、ローカル供給ノード110Aおよび110B間の接続の信頼性が所定の閾値を下回る場合、当該ローカル供給ノード群を通じたメッセージの伝達を確保するために、ローカル供給ノード110Aがローカル供給ノード110Dにも接続される。したがって、メッセージがローカル供給ノード110Bに伝達されない場合、少なくともローカル供給ノード110Dがローカル供給ノード110Aからの通信を受け、当該ローカル供給ノード群を通じたメッセージの伝達が可能になる。
【0077】
以上に記載したように、メッセージを受信したローカル供給ノードに電力ネットワークに接続するように指示するメッセージが各ローカル供給ノードに送信される。本実施形態では、メッセージには、肯定応答のルーティングを手助けする、送信側のローカル供給ノードに関する一意の識別子が含まれる。これは、2つ以上のローカル供給ノードがメッセージを同一のローカル供給ノードに送信する場合に特に重要である。ローカル供給ノードからの肯定応答には、本実施形態では、電力ネットワークに接続したローカル供給ノードに関する一意の識別子が含まれる。これによって、肯定応答を受信したローカル供給ノードが、当該ローカル供給ノードに関係付けられているフラグをリセットすることが可能になる。
【0078】
任意の単一のローカル供給ノードにおける充電に関してサーバ310に通知する更新メッセージには、バッテリパックの充電量と、当該ローカル供給ノードに関する任意の識別子とが含まれる。これによって、サーバ310によるデータベースの更新が可能になる。
【0079】
上記実施形態は、コンピュータ可読命令を有するコンピュータプログラムとしても実現可能である。コンピュータプログラムは、上述したような方法をコンピュータに実行させる命令を含む。係るコンピュータプログラムは、CD−ROMもしくは固体メモリ等の記憶媒体または係るコンピュータプログラムを記憶するのに適した任意のタイプの記憶装置上で具現化され得る。さらに、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークまたは任意のタイプのローカルネットワークを介して転送可能な信号として具現化され得る。
【0080】
本発明の例示的な実施形態を、添付の図面を参照しながら本明細書において詳述してきたが、本発明は上記実施形態に厳密に限定されないこと、および、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲および精神から逸脱しない限り、当業者によって種々の変更および修正が可能であることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信線により互いに通信可能な複数の蓄電装置から成る群と電力ネットワークとの間の電力輸送を制御する電力輸送制御方法であって、
第1の蓄電装置において制御装置から第1のメッセージを受信し、
前記第1のメッセージに応答して前記第1の蓄電装置と前記電力ネットワークとの間で電力輸送を行い、
前記第1の蓄電装置から第2の蓄電装置に、当該第2の蓄電装置に前記電力ネットワークとの間で電力輸送を行うことを要求するデータを含む第2のメッセージを送信する
電力輸送制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電力輸送制御方法であって、
前記第1の蓄電装置において前記第2の蓄電装置から肯定応答を受信するステップをさらに含み、
前記第2の蓄電装置からの前記肯定応答と、前記第1の蓄電装置と前記電力ネットワークとの間の前記電力輸送とに応答して、前記第1の蓄電装置が前記制御装置に肯定応答を送信する
電力輸送制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の電力輸送制御方法であって、
前記制御装置は、サーバまたは別の蓄電装置である
電力輸送制御方法。
【請求項4】
請求項2に記載の電力輸送制御方法であって、
前記第1の蓄電装置から第3の蓄電装置に、当該第3の蓄電装置に前記電力ネットワークとの間で電力輸送を行わせるデータを含む第3のメッセージを送信するステップと、
前記第3の蓄電装置から肯定応答を受信するステップと、
前記第2の蓄電装置からの前記肯定応答と、前記第3の蓄電装置からの前記肯定応答とに応答して、前記第1の蓄電装置が前記制御装置に前記肯定応答を送信するステップとをさらに含む
電力輸送制御方法。
【請求項5】
請求項1に記載の電力輸送制御方法であって、
前記第1の蓄電装置は、前記第2の蓄電装置を前記複数の蓄電装置から成る群において一意に識別する識別子を記憶し、当該識別子は、前記第2のメッセージを前記第2の蓄電装置へルーティングするために用いられる
電力輸送制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電力輸送制御方法であって、
前記識別子とは別の一意の識別子を有する別の蓄電装置を前記第2の蓄電装置として前記群から選択するステップと、
前記第1の蓄電装置に記憶されている前記識別子を前記別の一意の識別子に更新するステップとをさらに含み、
前記選択は、前記第1の蓄電装置と前記第2の蓄電装置との間の前記通信線の信頼性および前記第1の蓄電装置と前記別の蓄電装置との間の前記通信線の信頼性に基づいて行われる
電力輸送制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の電力輸送制御方法であって、
前記第1の蓄電装置と前記第2の蓄電装置との間の前記通信線の前記信頼性は、所定の閾値未満であり、
前記第1の蓄電装置と前記別の蓄電装置との間の前記通信線の前記信頼性は、前記第1の蓄電装置と前記第2の蓄電装置との間の前記通信線の前記信頼性より高い
電力輸送制御方法。
【請求項8】
請求項1に記載の電力輸送制御方法であって、
前記第2の蓄電装置の電力量を定期的に測定し、前記測定された電力量の値と、前記第2の蓄電装置を一意に識別する識別子とを前記第1の蓄電装置に送信するステップをさらに含む
電力輸送制御方法。
【請求項9】
請求項1に記載の電力輸送制御方法であって、
前記第1の蓄電装置、第2の蓄電装置および第3の蓄電装置のいずれか1つの蓄電装置が、前記電力ネットワークとの間で電力輸送を行う
電力輸送制御方法。
【請求項10】
電力ネットワークに電力を供給する第1の蓄電装置としての蓄電装置であって、
第2の蓄電装置と通信し、制御装置から第1のメッセージを受信する通信インタフェースと、
前記第1のメッセージに応答して前記電力ネットワークとの間で電力輸送を行い、前記通信インタフェースを用いて前記第2の蓄電装置に、当該第2の蓄電装置に前記電力ネットワークとの間で電力輸送を行うことを要求するデータを含む第2のメッセージを送信するコントローラとを具備する
蓄電装置。
【請求項11】
請求項10に記載の蓄電装置であって、
前記通信インタフェースは、前記第2の蓄電装置から肯定応答を受信し、当該第2の蓄電装置からの前記肯定応答と、当該蓄電装置と前記電力ネットワークとの間の前記電力輸送とに応答して、前記制御装置に肯定応答を送信する
蓄電装置。
【請求項12】
請求項10に記載の蓄電装置であって、
前記制御装置は、サーバまたは別の蓄電装置である
蓄電装置。
【請求項13】
請求項11に記載の蓄電装置であって、
前記通信インタフェースは、第3の蓄電装置に、当該第3の蓄電装置に前記電力ネットワークとの間で電力輸送を行わせるデータを含む第3のメッセージを送信し、前記第3の蓄電装置から肯定応答を受信し、前記第2の蓄電装置からの前記肯定応答および前記第3の蓄電装置からの前記肯定応答に応答して前記制御装置に前記肯定応答を送信する
蓄電装置。
【請求項14】
請求項10に記載の蓄電装置であって、
前記第2の蓄電装置を前記複数の蓄電装置から成る群において一意に識別する識別子を記憶するメモリをさらに具備し、当該識別子は、前記第2のメッセージを前記第2の蓄電装置へルーティングするために用いられる
蓄電装置。
【請求項15】
請求項14に記載の蓄電装置であって、
前記コントローラは、前記識別子とは別の一意の識別子を有する別の蓄電装置を前記第2の蓄電装置として前記群から選択し、前記メモリに記憶されている前記識別子を前記別の一意の識別子に更新し、
前記選択は、当該蓄電装置と前記第2の蓄電装置との間の前記通信線の信頼性および当該蓄電装置と前記別の蓄電装置との間の前記通信線の信頼性に基づいて行われる
蓄電装置。
【請求項16】
請求項15に記載の蓄電装置であって、
当該蓄電装置と前記第2の蓄電装置との間の前記通信線の前記信頼性は、所定の閾値未満であり、
当該蓄電装置と前記別の蓄電装置との間の前記通信線の前記信頼性は、当該蓄電装置と前記第2の蓄電装置との間の前記通信線の前記信頼性より高い
蓄電装置。
【請求項17】
請求項10に記載の蓄電装置であって、
利用可能な電力量を定期的に測定する充電量測定装置をさらに具備し、
前記通信インタフェースは、前記測定された電力量の値と、前記第2の蓄電装置を一意に識別する識別子とを前記コントローラに送信する
蓄電装置。
【請求項18】
請求項10に記載の蓄電装置であって、
前記第1の蓄電装置、第2の蓄電装置および第3の蓄電装置のいずれか1つの蓄電装置が、前記電力ネットワークとの間で電力輸送を行う
蓄電装置。
【請求項19】
コンピュータに、請求項1に記載の電力輸送制御方法の各ステップを実行させるプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のプログラムが記録されたコンピュータ可読記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−120432(P2012−120432A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261270(P2011−261270)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(593081408)ソニー ヨーロッパ リミテッド (93)
【Fターム(参考)】