説明

電力量計

【課題】
使用量検出手段から制御手段へと送信されたデータにかかる信号に、外乱ノイズや不適切な信号が混入された場合でも、当該信号が修復され、その結果、計量誤差が軽減されることが可能な電力量計を提供する。
【解決手段】
需要家で使用された電流ならびに電圧にかかる信号を畳込み符号や、リード・ソロモン符号を用いて変換する符号器116、117、118、119にて一旦、符号系列信号に変換した後、復号器121、122、123、124にて当該信号を復号し電流ならびに電圧にかかる信号に逆変換し、電力演算部125にて使用電力に関するデータに変換することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被測定系の使用電力量等を測定する電力量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般家庭や工場、事業所の使用電力量を測定する電力量計が普及してきてい
る。当該電力量計は被測定系の使用電力量を測定する使用量検出手段と、使用量検出手段
で検出したデータを計量値に編集する制御部と、制御部にて編集された計量値を表示する表示部とを具備している。(例えば特許文献1)また、使用量検出手段と制御部間のデータ送受を無線通信等により行うこともある。
【特許文献1】特開2004−226094公報(第10頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の電力量計は、使用量検出手段から制御手段へと送信された被測定系の使用量に関するデータが外乱により破壊されてしまう場合があった。特に使用量検出手段と制御手段とが別装置として構成されており、離れた場所に設置されている場合、両者間の伝送は赤外線などを用いた光信号、微弱電波などを用いた無線電波信号、音響的信号、磁気信号などにより行われるが、伝送路上で当該データにかかる信号が、サージ電圧、強電解などの外乱ノイズにより破壊されることがしばしばあった。また、不正な電力使用を目的とした需要者により、電力量計内部に意図的に不適切な信号が混入され当該データにかかる信号が破壊される場合もあった。
【0004】
従来の電力量計は、使用量検出手段から送信されたデータを、当該データを受信した制御部で修復する手段を有しておらず、当該データにかかる信号に外乱ノイズが混入された場合、計量に誤差が発生してしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑み、使用量検出手段から制御手段へと送信されたデータにかかる信号に、外乱ノイズや不適切な信号が混入された場合でも、当該信号が修復され、その結果、計量誤差が軽減されることが可能な電力量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による電力量計は、被測定系の電流ならびに電圧を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記被測定系の電流ならびに電圧を、電流ならびに電圧に関する数値データに変換する数値化手段と、前記数値化手段により変換された電流ならびに電圧に関する数値データである情報系列信号を、誤り訂正符号を包含する符号系列信号に変換する符号化手段と、前記符号化手段により変換された符号系列信号の誤りを検出・訂正し情報系列信号である電流ならびに電圧に関する数値データに逆変換する復号化手段と、前記復号化手段で逆変換された電流ならびに電圧に関する数値データから電力量に関するデータを演算する電力演算手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使用量検出手段から制御手段へと送信されたデータにかかる信号に、外乱ノイズや不適切な信号が混入された場合でも、当該信号が修復され、その結果、計量誤差が軽減されることが可能な電力量計を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
本発明による電力量計の実施例1につき、図1を参照して説明する。図1は本発明による電力量計の実施例1を示す内部構成図である。なお、本実施例は単相三線式の電力量計について示されている。
図1において、100は電力量計本体である。
【0010】
101は端子部で、真鋳や銅等の導電性のある金属からなる導電部分が、フェノール樹脂やPBT樹脂等、絶縁性の高いプラスチック等の材質からなる固定部分に配置された構成からなり、外部の配電線を電力量計本体100に接続する。1S、2S、3S各端子は電力供給会社から電力を受電する電源側配電線に、1L、2L、3L各端子は需要家内へ電力を
供給する負荷側配電線に接続される。
【0011】
102は電流・電圧測定部で、需要家にて消費される電流・電圧を測定し出力する。その内部は以下の構成からなる。
【0012】
103、104は電流検出部で、電流トランスやホール素子またはシャント抵抗器等により構成されており、電流検出部103は端子部101の端子1S−1L間の電流(1側電流;A1)を、電流検出部104は端子3S−3L間の電流(3側電流;A3)を、それぞれ検出し需要家の使用電流に正比例した低レベルの電圧信号に変換し出力する。
【0013】
105、106は電圧検出部で、電圧トランスやアテネッタ等の分圧抵抗器等により構成されており、電圧検出部105は端子1S−2S間の電圧(1側電圧;V1)を、電圧検出部106は端子3S−2S間の電圧(3側電圧;V3)を、それぞれ検出し需要家の使用電圧に正比例した低レベルの電圧信号に変換し出力する。
【0014】
107、108は変調部で、1bitアナログ−デジタル変換器等により構成されており、変調部107は電流検出部103で検出された端子1S−1L間の電流(1側電流;A1)を、変調部108は電流検出部104で検出された端子3S−3L間の電流(3側電
流;A3)を、それぞれ変調し、例えば1bitのデジタルデータとして出力する。
【0015】
109、110は変調部で、1bitアナログ−デジタル変換器等により構成されており、変調部109は電圧検出部105で検出された端子1S−2S間の電圧(1側電圧;V1)を、変調部110は電圧検出部106で検出された端子3S−2S間の電圧(3側電
圧;V3)を、それぞれ変調し、例えば1bitのデジタルデータとして出力する。
【0016】
111はタイミング回路部で、カウンタ回路等により構成されており、例えば1,000,000分の1秒ごとに、変調部107、108、109、110にパルス信号を出力し、変調動作を行うタイミングを指示する。
【0017】
ここで、変調部107、108、109、110の具体的な構成について述べる。変調部107、108、109、110はいわゆる1bitアナログ−デジタル変換器により構成されている。
【0018】
図2に変調部107として、1bitアナログ−デジタル変換器の一態様であるデルタ−シグマ変調器を示す。デルタ−シグマ変調器は、積分器201、比較器202、遅延回路(サンプルホールド回路)203からなり、入力信号に応じ、予め定めた閾値と比較してハイレベル(+1に対応)またはロウレベル(−1に対応)の2値の信号を出力する。なお変調部108、109、110も変調部107と同様の構成となっている。
【0019】
図3に変調部107として、1bitアナログ−デジタル変換器の他の一態様であるデルタ変調器を示す。デルタ変調器は、比較器301、遅延回路(サンプルホールド回路)302、積分器303からなり、入力信号に応じ、予め定めた閾値と比較してハイレベル(+1に対応)またはロウレベル(−1に対応)の2値の信号を出力する。なお変調部108、109、110も変調部107と同様の構成となっている。
【0020】
また、変調部107、108、109、110はパルス幅変調回路(図中不示)であってもよい。
【0021】
112、113は数値化部で、カウンタ回路等により構成されており、数値化部112は変調部107から出力された1bitのデジタルデータをもとに、端子1S−1L間の電流(1側電流;A1)に対応した16bit等のデジタルデータを、数値化部113は変調部108から出力された1bitのデジタルデータをもとに、端子3S−3L間の電流(3側電流;A3)に対応した16bit等のデジタルデータを、それぞれ作成する。
【0022】
114、115は数値化部で、カウンタ回路等により構成されており、数値化部114は変調部109から出力された1bitのデジタルデータをもとに、端子1S−2S間の電圧(1側電圧;V1)に対応した16bit等のデジタルデータを、数値化部115は変調部110から出力された1bitのデジタルデータをもとに、端子3S−2S間の電圧(3側電圧;V3)に対応した16bit等のデジタルデータを、それぞれ作成する。
【0023】
116、117は符号器で、ビタビ復号法等の畳込み符号やリード・ソロモン符号に変換する符号器等により構成されており、符号器116は数値化部112から出力された端子1S−1L間の電流(1側電流;A1)に対応した16bit等のデジタルデータにかかる情報系列信号を符号系列信号に、符号器117は数値化部113から出力された端子3S−3L間の電流(3側電流;A3)に対応した16bit等のデジタルデータにかかる情報系列信号を符号系列信号に、それぞれ変換する。
【0024】
118、119は符号器で、ビタビ復号法等の畳込み符号やリード・ソロモン符号に変換する符号器等により構成されており、符号器118は数値化部114から出力された端子1S−2S間の電圧(1側電圧;V1)に対応した16bit等のデジタルデータにかかる情報系列信号を符号系列信号に、符号器119は数値化部115から出力された端子3S−2S間の電圧(3側電圧;V3)に対応した16bit等のデジタルデータにかかる情報系列信号を符号系列信号に、それぞれ変換する。
【0025】
120は演算部で、需要家に関する使用量データを演算し表示等にて出力する。演算部120は電流・電圧測定部102と一つのユニット内に構成されていてもよいし、別ユニットとして電流・電圧測定部102から離れた場所に設置されていてもよい。演算部120の内部は以下の構成からなる。
【0026】
121、122は復号器で、ビタビ復号法等の畳込み符号やリード・ソロモン符号に変換された信号を逆変換する復号器等により構成されており、復号器121は符号器116から送信された端子1S−1L間の電流(1側電流;A1)に対応した符号系列信号を受信し、誤りを検出・訂正して情報系列信号に、復号器122は符号器117から送信された端子3S−3L間の電流(3側電流;A3)に対応した符号系列信号を受信し、誤りを検出・訂正して情報系列信号に、それぞれ変換する。
123、124は復号器で、ビタビ復号法等の畳込み符号やリード・ソロモン符号に変換された信号を逆変換する復号器等により構成されており、復号器123は符号器118から送信された端子1S−2S間の電圧(1側電圧;V1)に対応した符号系列信号を受信し、誤りを検出・訂正して情報系列信号に、復号器124は符号器119から送信された端子3S−2S間の電圧(3側電圧;V3)に対応した符号系列信号を受信し、誤りを検出・訂正して情報系列信号に、それぞれ変換する。
125は電力演算部で、デジタル乗算回路やDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)等により構成されており、復号器121により出力された1側電流(A1)に対応した情報系列信号と、復号器123により出力された1側電圧(V1)に対応した情報系列信号
とを乗算し、復号器122により出力された3側電流(A3)に対応した情報系列信号と、復号器124により出力された3側電圧(V3)に対応した情報系列信号とを乗算し、
さらに両者を加算し、需要家の使用電力に正比例したデジタルデータ(A1・V1+A3・V3)に変換し出力する。
【0027】
126は制御部でマイクロコンピュータ等により構成されており、電力演算部125から出力された需要家の使用電力に正比例したデジタルデータ(A1・V1+A3・V3)の演算結果を使用量データとして編集し、記憶、表示を制御する。なお、ここで使用量データとは被測定系の総積算使用電力量ならびに各時間帯毎の時間帯使用量等、需要家の使用電力に関するデータをいう。
【0028】
127は記憶部でRAMのような半導体メモリにより構成されており、使用量データを記憶する。
【0029】
128は表示部で液晶表示器等により構成されており、使用量データを制御部126の制御のもと表示する。
【0030】
129は通信部で電波送受信回路やカレントループ等のインタフェース回路等により構成されており、制御部126による制御のもと、外部との通信を行う。
【0031】
次に、本実施例の動作について図1を参照しつつ説明する。電流・電圧測定部102、ならびに演算部116は、一つのユニット内に構成されていてもよいし、別ユニットとして離れた場所に設置されていてもよい。
【0032】
電流検出部103は、端子部101の1S−1L端子間に流れる電流(1側電流;A1)を検出し、需要家の使用電流に正比例した低レベルの電圧信号に変換し出力する。電流検出部103は、電流トランスやホール素子またはシャント抵抗器等により構成されており、常時、需要家の使用電流に正比例した低レベルの電圧信号を変調部107に対して出力している。
【0033】
電圧検出部105は、端子部101の1S−2S端子間に現れる電圧(1側電圧;V1)を検出し、需要家の使用電圧に正比例した低レベルの電圧信号に変換し出力する。電圧検出部105は、電圧トランスやアテネッタ等の分圧抵抗器等により構成されており、常時、需要家の使用電圧に正比例した低レベルの電圧信号を変調部109に対して出力している。
【0034】
変調部107は、電流検出部103により出力された需要家の使用電流(1側電流;A1)に正比例した低レベルの電圧信号をデルタ−シグマ変調し、1bitのデジタルデータとして出力している。デルタ−シグマ変調動作はタイミング回路部111により指示され、例えば1,000,000分の1秒ごとに行われている。なお、変調部107はデルタ変調やパルス幅変調を行うものであってもよい。
【0035】
変調部109は、電圧検出部105により出力された需要家の使用電圧(1側電圧;V1)に正比例した低レベルの電圧信号をデルタ−シグマ変調し、1bitのデジタルデータとして出力している。デルタ−シグマ変調動作はタイミング回路部111により指示され、例えば1,000,000分の1秒ごとに行われている。なお、変調部109はデルタ変調やパルス幅変調を行うものであってもよい。
【0036】
数値化部112は、カウンタ回路等により構成されており、変調部107から出力された1bitのデジタルデータをもとに、端子1S−1L間の電流(1側電流;A1)に対応した16bit等のデジタルデータを作成している。
【0037】
数値化部114は、カウンタ回路等により構成されており、変調部109から出力された1bitのデジタルデータをもとに、端子1S−2S間の電圧(1側電圧;V1)に対応した16bit等のデジタルデータを作成している。
【0038】
符号器116は、数値化部112により出力された需要家の使用電流(1側電流;A1)に関する16bit等のデジタルデータである情報系列信号を、ビタビ復号法等の畳込み符号やリード・ソロモン符号による符号系列信号に変換し、復号器121に対し送信している。 なお、符号器116と復号器121との間の伝送は、プリント基板上の配線、ツイストペアケーブル、光ケーブル、光伝送、無線電波、電磁誘導等のいずれによるものであってもよい。
【0039】
符号器118は、数値化部114により出力された需要家の使用電圧(1側電圧;V1)に関する16bit等のデジタルデータである情報系列信号を、ビタビ復号法等の畳込み符号やリード・ソロモン符号による符号系列信号に変換し、復号器123に対し送信している。 なお、符号器118と復号器123との間の伝送は、プリント基板上の配線、ツイストペアケーブル、光ケーブル、光伝送、無線電波、電磁誘導等のいずれによるものであってもよい。
【0040】
復号器121は、符号器116から送信された需要家の使用電流(1側電流;A1)に関する符号系列信号を受信し、誤りを検出する。誤り検出の結果、誤り訂正能力を越えていない符号系列信号であると判断された場合、復号器121は符号系列を訂正して情報系列信号に逆変換し電力演算部125に対し出力する。誤り検出の結果、誤り訂正能力を越えた符号系列信号であると判断された場合、復号器121は符号器116に再送を要求し、再度符号系列信号を受信し、誤りを訂正して情報系列信号に逆変換し電力演算部125に対し出力する。
【0041】
なお、誤り訂正能力を越えた符号系列信号であると判断された場合、符号器116に符号系列信号の再送を要求することなく、復号器121が、符号系列信号を情報系列信号に逆変換する動作を行わないようにしてもよい。また、誤り訂正能力を越えていない符号系列信号であると判断された場合であっても、予め定めた閾値を越えた誤りを符号系列信号が有していると判断された場合、復号器121が、符号系列信号を情報系列信号に逆変換する動作を行わないようにしてもよい。
【0042】
復号器121が、符号系列信号を情報系列信号に逆変換する動作を行わない場合、復号器121は電力演算部125に対して情報系列信号を送信しない旨を示す信号を出力する。
【0043】
すると電力演算部125は、情報系列信号を送信しない旨を示す信号を受信した前後の情報系列信号の平均値を作成する等の手段にて、欠如した情報系列信号を補完する。
【0044】
復号器123は、符号器118から送信された需要家の使用電圧(1側電圧;V1)に関する符号系列信号を受信し、誤りを検出する。誤り検出の結果、誤り訂正能力を越えていない符号系列信号であると判断された場合、復号器123は符号系列を訂正して情報系列信号に逆変換し電力演算部125に対し出力する。誤り検出の結果、誤り訂正能力を越えた符号系列信号であると判断された場合、復号器123は符号器118に再送を要求し、再度符号系列信号を受信し、符号系列を訂正して情報系列信号に逆変換し電力演算部125に対し出力する。
【0045】
なお、誤り訂正能力を越えた符号系列信号であると判断された場合、符号器118に符号系列信号の再送を要求することなく、復号器123が、符号系列信号を情報系列信号に逆変換する動作を行わないようにしてもよい。また、誤り訂正能力を越えていない符号系列信号であると判断された場合であっても、予め定めた閾値を越えた誤りを符号系列信号が有していると判断された場合、復号器123が、符号系列信号を情報系列信号に逆変換する動作を行わないようにしてもよい。
【0046】
復号器123が、符号系列信号を情報系列信号に逆変換する動作を行わない場合、復号器123は電力演算部125に対して情報系列信号を送信しない旨を示す信号を出力する。
【0047】
すると電力演算部125は、情報系列信号を送信しない旨を示す信号を受信した前後の情報系列信号の平均値を作成する等の手段にて、欠如した情報系列信号を補完する。
【0048】
電流検出部104は、端子部101の3S−3L端子間に流れる電流(3側電流;A3)を検出し、需要家の使用電流に正比例した低レベルの電圧信号に変換し出力する。電流検出部104は、電流トランスやホール素子またはシャント抵抗器等により構成されており、常時、需要家の使用電流に正比例した低レベルの電圧信号を変調部108に対して出力している。
【0049】
電圧検出部106は、端子部101の3S−2S端子間に現れる電圧(3側電圧;V3)を検出し、需要家の使用電圧に正比例した低レベルの電圧信号に変換し出力する。電圧検出部106は、電圧トランスやアテネッタ等の分圧抵抗器等により構成されており、常時、需要家の使用電圧に正比例した低レベルの電圧信号を変調部110に対して出力している。
【0050】
変調部108は、電流検出部104により出力された需要家の使用電流(3側電流;A3)に正比例した低レベルの電圧信号をデルタ−シグマ変調し、1bitのデジタルデータとして出力している。デルタ−シグマ変調動作はタイミング回路部111により指示され、例えば1,000,000分の1秒ごとに行われている。なお、変調部108はデルタ変調やパルス幅変調を行うものであってもよい。
【0051】
変調部110は、電圧検出部106により出力された需要家の使用電圧(3側電圧;V3)に正比例した低レベルの電圧信号をデルタ−シグマ変調し、1bitのデジタルデータとして出力している。デルタ−シグマ変調動作はタイミング回路部111により指示され、例えば1,000,000分の1秒ごとに行われている。なお、変調部110はデルタ変調やパルス幅変調を行うものであってもよい。
【0052】
数値化部113は、カウンタ回路等により構成されており、変調部108から出力された1bitのデジタルデータをもとに、端子3S−3L間の電流(3側電流;A3)に対応した16bit等のデジタルデータを作成している。
【0053】
数値化部115は、カウンタ回路等により構成されており、変調部110から出力された1bitのデジタルデータをもとに、端子3S−2S間の電圧(3側電圧;V3)に対応した16bit等のデジタルデータを作成している。
【0054】
符号器117は、数値化部113により出力された需要家の使用電流(3側電流;A3)に関する16bit等のデジタルデータである情報系列信号を、ビタビ復号法等の畳込み符号やリード・ソロモン符号による符号系列信号に変換し、復号器122に対し送信している。なお、符号器117と復号器122との間の伝送は、プリント基板上の配線、ツイストペアケーブル、光ケーブル、光伝送、無線電波、電磁誘導等のいずれによるものであってもよい。
【0055】
符号器119は、数値化部115により出力された需要家の使用電圧(3側電圧;V3)に関する16bit等のデジタルデータである情報系列信号を、ビタビ復号法等の畳込み符号やリード・ソロモン符号による符号系列信号に変換し、復号器124に対し送信している。なお、符号器119と復号器124との間の伝送は、プリント基板上の配線、ツイストペアケーブル、光ケーブル、光伝送、無線電波、電磁誘導等のいずれによるものであってもよい。
【0056】
復号器122は、符号器117から送信された需要家の使用電流(3側電流;A3)に関する符号系列信号を受信し、誤りを検出する。誤り検出の結果、誤り訂正能力を越えていない符号系列信号であると判断された場合、復号器122は符号系列を訂正して情報系列信号に逆変換し電力演算部125に対し出力する。誤り検出の結果、誤り訂正能力を越えた符号系列信号であると判断された場合、復号器122は符号器117に再送を要求し、再度符号系列信号を受信し、符号系列を訂正して情報系列信号に逆変換し電力演算部125に対し出力する。
【0057】
なお、誤り訂正能力を越えた符号系列信号であると判断された場合、符号器117に符号系列信号の再送を要求することなく、復号器122が、符号系列信号を情報系列信号に逆変換する動作を行わないようにしてもよい。また、誤り訂正能力を越えていない符号系列信号であると判断された場合であっても、予め定めた閾値を越えた誤りを符号系列信号が有していると判断された場合、復号器122が、符号系列信号を情報系列信号に逆変換する動作を行わないようにしてもよい。
【0058】
復号器122が、符号系列信号を情報系列信号に逆変換する動作を行わない場合、復号器122は電力演算部125に対して情報系列信号を送信しない旨を示す信号を出力する。
【0059】
すると電力演算部125は、情報系列信号を送信しない旨を示す信号を受信した前後の情報系列信号の平均値を作成する等の手段にて、欠如した情報系列信号を補完する。
【0060】
復号器124は、符号器119から送信された需要家の使用電圧(3側電圧;V3)に関する符号系列信号を受信し、誤りを検出する。誤り検出の結果、誤り訂正能力を越えていない符号系列信号であると判断された場合、復号器124は符号系列を訂正して情報系列信号に逆変換し電力演算部125に対し出力する。誤り検出の結果、誤り訂正能力を越えた符号系列信号であると判断された場合、復号器124は符号器119に再送を要求し、再度符号系列信号を受信し、符号系列を訂正して情報系列信号に逆変換し電力演算部125に対し出力する。
【0061】
なお、誤り訂正能力を越えた符号系列信号であると判断された場合、符号器119に符号系列信号の再送を要求することなく、復号器124が、符号系列信号を情報系列信号に逆変換する動作を行わないようにしてもよい。また、誤り訂正能力を越えていない符号系列信号であると判断された場合であっても、予め定めた閾値を越えた誤りを符号系列信号が有していると判断された場合、復号器124が、符号系列信号を情報系列信号に逆変換する動作を行わないようにしてもよい。
【0062】
復号器124が、符号系列信号を情報系列信号に逆変換する動作を行わない場合、復号器124は電力演算部125に対して情報系列信号を送信しない旨を示す信号を出力する。
【0063】
すると電力演算部125は、情報系列信号を送信しない旨を示す信号を受信した前後の情報系列信号の平均値を作成する等の手段にて、欠如した情報系列信号を補完する。
【0064】
電力演算部125は、デジタル乗算回路やDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)等により構成されており、復号器121により出力された1側電流(A1)に関するデジタルデータと、復号器123により出力された1側電圧(V1)に関するデジタルデータと
を乗算し、一方、復号器122により作成された3側電流(A3)に関するデジタルデータと、復号器124により作成された3側電圧(V3)に関するデジタルデータとを乗算
し、さらに両者を加算し、需要家の使用電力に正比例したデジタルデータ(A1・V1+A3・V3)に変換し制御部126に対し出力している。
【0065】
制御部126はマイクロコンピュータ等により構成されており、電力演算部125から出力された需要家の使用電力に正比例したデジタルデータ(A1・V1+A3・V3)を受信し、使用量データを算出する。ここで使用量データとは需要家の総積算使用電力量ならびに各時間帯毎の時間帯使用量等、需要家の使用電力に関するデータをいう。制御部126は算出された使用量データを記憶部127に記憶させ、表示部128に表示させる。
【0066】
また、制御部126は復号器121、122、123、124がデータを受信しているかを常時監視しており、一定時間受信しなくなった場合は、電流・電圧測定部102に故障が発生したと想定し、その受信異常が発生した日時を異常データとして記憶部127に記憶させるとともに表示部128に表示させる。
【0067】
また、制御部126は外部装置から伝送される電力量計の製造番号ならびに管理番号等のデータを記憶部127に記憶させ、外部装置からの通信による要求があった場合に、または、電力量計本体に設けられたスイッチ(図中不示)が押された場合に、表示部128に表示させ、通信部129を介し伝送する。
【0068】
通信部129は電波送受信回路やカレントループ等のインタフェース回路等により構成されており、制御部126による制御のもと、外部装置との通信を行う。通信部129は外部装置からの通信による要求に応じ、使用量データ、異常データ、電力量計の製造番号ならびに管理番号等のデータを送出する。また、外部装置から伝送される電力量計の製造番号ならびに管理番号等を受信する。
【0069】
記憶部127はRAMのような半導体メモリにより構成されており、制御部126による制御のもと、使用量データ、異常データ、電力量計の製造番号ならびに管理番号等のデータを記憶する。なお製造番号は製品出荷時等に、管理番号は需要家設置時等に外部装置から通信により伝送され、制御部126は、通信部129を介して製造番号、管理番号等を受信し記憶部127に記憶させる。
【0070】
表示部128は液晶表示器等により構成されており、制御部126による制御のもと、使用量データ、異常データ、電力量計の製造番号ならびに管理番号等のデータを表示する。
【0071】
本実施例を用いれば、電流・電圧測定部102と演算部120間の伝送路に外乱ノイズなどの雑音が混入した場合でも、符号器116、117、118、119から伝送された信号が復号器121、122、123、124で復号される際に誤り訂正されるため、制御部126で算出される使用量データの誤差が低減される。
【0072】
また、符号器から送信された符号系列信号が誤り訂正能力を越えていると判断されたときに、復号器が符号器に再送を要求する方式とした場合、復号器が再度符号系列信号を受信し、誤りを訂正して情報系列信号に逆変換し電力演算部に対し出力するので、より制御部126で算出される使用量データの誤差が低減される。
【0073】
また、符号器から送信された符号系列信号が誤り訂正能力を越えていると判断されたときに、復号器が符号器に再送を要求せず、符号系列信号を情報系列信号に逆変換する動作を行わずに電力演算部に対して情報系列信号を送信しない旨を示す信号を出力し、電力演算部が欠如した情報系列信号を補完する方式とした場合、情報系列信号の遅延が発生することなく電力演算部により欠如した情報系列信号が補完されるので、制御部で算出される使用量データの誤差が低減される。伝送路上などで発生したバースト誤りなどに起因した誤訂正などにより、逆変換を行ったとしたら異常値が発生するような場合であっても、復号器が符号系列信号を情報系列信号に逆変換する動作を行わないので、制御部で算出される使用量データの誤差が低減される。
【0074】
以上のように本発明を用いれば、伝送路上で外乱ノイズなどの雑音が混入された場合でも、電力量の積算値の計量誤差が低減されることが可能な電力量計を提供することができる。
【実施例2】
【0075】
本発明による電力量計の実施例2について図4を参照して説明する。なお、この実施例2の各部について図1に示す実施例1の電力量計の各部と同一部分は同一符号で示す。40
1は需要家にて消費される電流・電圧を測定し出力する電流・電圧測定部で、402は、需要家に関する使用量データを演算し表示等にて出力する演算部である。
【0076】
この実施例2が、実施例1と相違する点は、実施例1では符号器116、117、118、119が数値化部112、113、114、115の後段に設けられ、16bit等のデジタルデータに数値化された情報系列信号が、符号部で符号系列信号に変換された後伝送され、復号器121、122、123、124にて情報系列信号に逆変換されているのに対し、実施例2では符号器403、404、405、406が変調部107、108、109、110の後段に設けられ、符号部で符号系列信号に変換された1bitのデータ信号が伝送され、復号器407、408、409、410にて情報系列信号に逆変換され、その後数値化部411、412、413、414にて数値化されている点である。
【0077】
本実施例を用いれば、電流・電圧測定部401と演算部406間の伝送路に外乱ノイズなどの雑音が混入した場合でも、符号器402、403、404、405から伝送された信号が復号器407、408、409、410で復号される際に誤り訂正されるため、制御部126で算出される使用量データの誤差が低減される。
【0078】
また、符号部402、403、404、404は変調部から出力された1bitデータを符号系列信号に変換するため、符号器から出力されるデータ量を少なくすることができるとともに、符号器の回路構成を簡略化することができる。
【0079】
以上のように本発明を用いれば、伝送路上で外乱ノイズなどの雑音が混入された場合でも、電力量の積算値の計量誤差が低減されることが可能な電力量計を提供することができる。
【実施例3】
【0080】
本発明による電力量計の実施例3について図5を参照して説明する。なお、この実施例3の各部について、図1に示す実施例1の電力量計の各部と同一部分は同一符号で示す。5
01は需要家にて消費される電流・電圧を測定し出力する電流・電圧測定部で、502は、需要家に関する使用量データを演算し表示等にて出力する演算部である。
【0081】
この実施例3が、実施例1と相違する点は、実施例1では符号器116、117、118、119により誤り訂正符号を用い情報系列信号が符号系列信号に変換され送信された後、当該符号系列信号が復号器121、122、123、124により誤り検出・訂正され再度情報系列信号に逆変換されているのに対し、実施例3では暗号化処理部503、504、505、506により情報系列信号が暗号電文に暗号化され送信された後、当該暗号電文が復号化処理部507、508、509、510により誤り検出・訂正され再度情報系列信号に逆変換されている点である。
【0082】
暗号化処理部503は、事前に設定されている「鍵コード」との排他的論理和を行なう等にて暗号化を行う暗号化回路と、ビタビ復号法等の畳込み符号やリード・ソロモン符号に変換する符号器を組み合わせた符号化回路等により構成されている。暗号化処理部503は数値化部112から出力された端子1S−1L間の電流(1側電流;A1)に対応した16bit等のデジタルデータにかかる情報系列信号を、事前に設定されている「鍵コード」と情報系列信号の排他的論理和をとる等の動作にて暗号化した後、情報系列信号を、ビタビ復号法等の畳込み符号やリード・ソロモン符号による符号系列信号に変換し、暗号電文として復号化処理部507に対し送信している。
【0083】
なお暗号化処理部504、505、506も同様な構成となっており、暗号化処理部504は端子3S−3L間の電流(3側電流;A3)に対応した16bit等のデジタルデータにかかる情報系列信号を、暗号化処理部505は端子1S−2S間の電圧(1側電圧;V1)に対応した16bit等のデジタルデータにかかる情報系列信号を、暗号化処理部506は端子3S−2S間の電圧(3側電圧;V3)に対応した16bit等のデジタルデータにかかる情報系列信号を、それぞれ暗号電文に変換し出力している。
【0084】
復号化処理部507は、ビタビ復号法等の畳込み符号やリード・ソロモン符号に変換された信号を逆変換する復号器と、事前に設定されている「鍵コード」との排他的論理和を行なう等にて暗号の復号化を行う暗号復号化回路を組み合わせた復号化回路等により構成されている。復号化処理部507は暗号化処理部503から送信された端子1S−1L間の電流(1側電流;A1)に対応した暗号電文の誤りを検出・訂正し情報系列信号に逆変換した後、事前に設定されている「鍵コード」と情報系列信号の排他的論理和をとる等の動作にて逆変換し、再度情報系列信号に復元し電力演算部125に対し出力している。
【0085】
なお復号化処理部508、509、510も同様な構成となっており、復号化処理部508は端子3S−3L間の電流(3側電流;A3)に対応した暗号電文を、復号化処理部509は端子1S−2S間の電圧(1側電圧;V1)に対応した暗号電文を、復号化処理部510は端子3S−2S間の電圧(3側電圧;V3)に対応した暗号電文を、それぞれ情報系列信号に復元し出力している。
【0086】
なお、暗号化処理部503、504、505、506ならびに復号化処理部507、508、509、510は、DES(Data Encryption Standard)やAES(Advanced Encryption Standard)などの共通鍵暗号方式を用いることで暗号化ならびに復号化を行なう「鍵コード」を暗号化処理部と復号化処理部間で送受する必要がなくなるため、盗聴により「鍵コード」が解読される危険性を軽減させることが可能である。暗号化ならびに復号化を行なう「鍵コード」は製造時に暗号化処理部503、504、505、506と復号化処理部507、508、509、510に記憶させておけばよい。
【0087】
また、暗号化処理部503、504、505、506ならびに復号化処理部507、508、509、510で使用する鍵コードを複数事前に記憶させておき、例えば時間帯に応じて複数の鍵コードを選択して使用するようにしても良い。
【0088】
本実施例を用いれば、電流・電圧測定部501と演算部502間の伝送路に外乱ノイズなどの雑音が混入した場合でも、暗号化処理部503、504、505、506から伝送された信号が復号化処理部507、508、509、510で復号される際に誤り訂正されるため、制御部126で算出される使用量データの誤差が低減される。
【0089】
また、本実施例を用いれば、電流・電圧測定部501と演算部502間で送受される伝送信号が暗号化されているため、第三者により当該伝送信号が盗聴された場合でもデータの解読がされにくい。また、電流・電圧測定部501と演算部502間で送受される伝送信号が暗号化されており、第三者にデータの構成が容易に推察されないため、電力料金の低減等の不正目的にて外部から演算部502に不正な信号が入力された場合でも、データの形式が不一致であり、正規の伝送信号でないと判断され、使用量データの改竄を始めとした不正行為を防止することができ、電力量計で計量される使用量データの信頼性を向上することが可能である。
【0090】
以上のように本発明を用いれば、伝送路上で外乱ノイズなどの雑音が混入された場合でも、計量される使用量データの誤差を低減することが可能な電力量計を提供することができる。
【実施例4】
【0091】
本発明による電力量計の実施例4について図6を参照して説明する。なお、この実施例4の各部について、図1に示す実施例1の電力量計の各部と同一部分は同一符号で示す。6
01は需要家にて消費される電流・電圧を測定し出力する電流・電圧測定部で、602は、需要家に関する使用量データを演算し表示等にて出力する演算部である。
【0092】
この実施例4が、実施例1と相違する点は、実施例1では符号器116、117、118、119により、情報系列信号が誤り訂正符号を用いた符号系列信号に変換され送信された後、当該符号系列信号が復号器121、122、123、124により誤り検出・訂正され再度情報系列信号に逆変換されているのに対し、実施例4では差分値算出部603、604、605、606により前回数値化部112、113、114、115にて数値化された値との差分値を算出し、当該差分値に対応した情報系列信号が誤り訂正符号を用いた符号系列信号に変換され送信された後、累積値算出部607、608、609、610により誤り検出・訂正され再度差分値の情報系列信号に逆変換され、さらに差分値が累積され数値化部にて数値化された数値に復元されている点である。
【0093】
差分値算出部603は、前回のサンプリング時と今回のサンプリング時に数値化部112から出力された端子1S−1L間の電流(1側電流;A1)に対応した16bit等のデジタルデータの差分値を算出する減算回路と、当該差分値である情報系列信号をビタビ復号法等の畳込み符号やリード・ソロモン符号等を用いた符号系列信号に変換する符号器とを組み合わせた回路等により構成されている。差分値算出部603は内部に記憶保持部(図中不示)を有しており、前回サンプリング時に数値化部112から出力された端子1S−1L間の電流(1側電流;A1)に対応した16bit等のデジタルデータが記憶保持されている。差分値算出部603内の減算回路にて、今回サンプリング時に数値化部112から出力された端子1S−1L間の電流(1側電流;A1)に対応した16bit等のデジタルデータから、記憶保持部に記憶されている前回サンプリング時にかかるデータが減算され、当該差分値が情報系列信号として作成される。当該差分値にかかる情報系列信号が、ビタビ復号法等の畳込み符号やリード・ソロモン符号による符号系列信号に変換され、累積値算出部607に対し送信されている。
【0094】
なお差分値算出部604、605、606も同様な構成となっており、差分値算出部604では端子3S−3L間の電流(3側電流;A3)に対応した16bit等のデジタルデータの差分値にかかる情報系列信号が、差分値算出部605では端子1S−2S間の電圧(1側電圧;V1)に対応した16bit等のデジタルデータの差分値にかかる情報系列信号が、差分値算出部606では端子3S−2S間の電圧(3側電圧;V3)に対応した16bit等のデジタルデータの差分値にかかる情報系列信号が、それぞれ符号系列信号に変換され出力されている。
【0095】
累積値算出部607は、ビタビ復号法等の畳込み符号やリード・ソロモン符号に変換された信号を逆変換する復号器と、前回までの累積値にさらに今回受信したデータを加算する加算器とを組み合わせた回路等により構成されている。累積値算出部607は差分値算出部603から送信された端子1S−1L間の電流(1側電流;A1)に対応した差分値にかかる符号系列信号を受信し、誤りを検出・訂正し情報系列信号に逆変換した後、累積値算出部607内の加算器にて、前回まで受信した差分値に、今回受信した差分値が、前回までに受信された差分値の累積値に加算され、再度数値化部112て数値化された数値データに復元され電力演算部125に対し出力されている。
【0096】
なお累積値算出部608、609、610も同様な構成となっており、累積値算出部608では端子3S−3L間の電流(3側電流;A3)に対応した差分値にかかる符号系列信号が、累積値算出部609では端子1S−2S間の電圧(1側電圧;V1)に対応した差分値にかかる符号系列信号が、累積値算出部610では端子3S−2S間の電圧(3側電圧;V3)に対応した差分値にかかる符号系列信号が、それぞれ数値化部113、114、115にて数値化された数値データに復元され出力されている。
【0097】
本実施例を用いれば、電流・電圧測定部102と演算部120間の伝送路に外乱ノイズなどの雑音が混入した場合でも、差分値算出部603、604、605、606から伝送された信号が累積値算出部607、608、609、610で復号される際に誤り訂正されるため、制御部126で算出される使用量データの誤差が低減される。
【0098】
また差分値算出部603、604、605、606からは数値化部112、113、114、115から出力されるデータの差分値のみが累積値算出部607,608、609、610に対して伝送されるため、電流・電圧測定部601と演算部602間で送受されるデータ量を減らすことができる。
【0099】
さらに、電流・電圧測定部601と演算部602間で送受されるデータ量を減らすことができるため、電力量計600全体としての消費電力を低減させることができる。
【0100】
以上のように本発明を用いれば、伝送路上で外乱ノイズなどの雑音が混入された場合でも、電力量の積算値の計量誤差が低減されることが可能な電力量計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明による電力量計の実施例1の構成を示す内部構成図
【図2】デルタ−シグマ変調器の構成を示す内部構成図
【図3】デルタ変調器の構成を示す内部構成図
【図4】本発明による電力量計の実施例2の構成を示す内部構成図
【図5】本発明による電力量計の実施例3の構成を示す内部構成図
【図6】本発明による電力量計の実施例4の構成を示す内部構成図
【符号の説明】
【0102】
100 電力量計本体
101 端子部
102 電流・電圧測定部
103、104 電流検出部
105、106 電圧検出部
107、108、109、110 変調部
111 タイミング回路部
112、113、114、115 数値化部
116、117、118、119 符号器
120 演算部
121、122、123、124 復号器
125 電力演算部
126 制御部
127 記憶部
128 表示部
129 通信部
201 積分器
202 比較器
203 遅延回路
301 比較器
302 遅延回路
303 積分器
400 電力量計
401 電流・電圧測定部
402 演算部
403、404、405、406 符号器
407、408、409、410 復号器
411、412、413、414 数値化部
500 電力量計
501 電流・電圧測定部
502 演算部
503、504、505、506 暗号化処理部
507、508、509、510 複合化処理部
600 電力量計
601 電流・電圧測定部
602 演算部
603、604、605、606 差分値算出部
607、608、609、610 累積値算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定系の電流ならびに電圧を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記被測定系の電流ならびに電圧を、電流ならびに電圧に関する数値データに変換する数値化手段と、
前記数値化手段により変換された電流ならびに電圧に関する数値データである情報系列信号を、誤り訂正符号を包含する符号系列信号に変換する符号化手段と、
前記符号化手段により変換された符号系列信号の誤りを検出・訂正し情報系列信号である電流ならびに電圧に関する数値データに逆変換する復号化手段と、
前記復号化手段で逆変換された電流ならびに電圧に関する数値データから電力量に関するデータを演算する電力演算手段と
を具備したことを特徴とする電力量計。
【請求項2】
被測定系の電流ならびに電圧を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記被測定系の電流ならびに電圧を1bitデータに変調する変調手段と、
前記変調手段により変調された前記被測定系の電流ならびに電圧に関する1bitデータである情報系列信号を、誤り訂正符号を包含する符号系列信号に変換する符号化手段と、前記符号化手段により変換された符号系列信号の誤りを検出・訂正し情報系列信号である電流ならびに電圧に関する1bitデータに逆変換する復号化手段と、
前記復号化手段で逆変換された電流ならびに電圧に関する1bitデータを、複数bitの電流ならびに電圧に関する数値データに変換する数値化手段と、
前記数値化手段により変換された電流ならびに電圧に関する数値データから電力量に関するデータを演算する電力演算手段と
を具備したことを特徴とする電力量計。
【請求項3】
被測定系の電流ならびに電圧を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記被測定系の電流ならびに電圧を、電流ならびに電圧に関する数値データに変換する数値化手段と、
前記数値化手段により今回数値化された数値データと前回数値化された数値データとの差分を算出し、電流ならびに電圧に関する差分値データを作成する差分値演算手段と、
前記差分値演算手段により作成された電流ならびに電圧に関する差分値データである情報系列信号を、誤り訂正符号を包含する符号系列信号に変換する符号化手段と、
前記符号化手段により変換された符号系列信号の誤りを検出・訂正し情報系列信号である電流ならびに電圧に関する差分値データに逆変換する復号化手段と、
前記復号化手段で逆変換された電流ならびに電圧に関する差分値データを累積加算し電流ならびに電圧に関する数値データに復元する累積値算出手段と、
前記累積値算出手段により復元された電流ならびに電圧に関する数値データから電力量に関するデータを演算する電力演算手段と
を具備したことを特徴とする電力量計。
【請求項4】
前記符号化手段は畳込み符号を作成するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の電力量計。
【請求項5】
前記符号化手段はリード・ソロモン符号を作成するものであることを特徴とする請求項1
乃至3のいずれか1項記載の電力量計。
【請求項6】
前記符号化手段は、第一の鍵コードにより暗号化された信号を発生するものであり、前記復号化手段は、前記第一の鍵コードに対応した第二の鍵コードにより復号化された信号を発生するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の電力量計。
【請求項7】
前記第一の鍵コードならびに前記第二の鍵コードは、事前に設定されている複数のコードのうちから、時間帯により選択されることを特徴とする請求項6項記載の電力量計。
【請求項8】
前記復号化手段は、変換された符号系列信号に誤りが検出された場合に、前記符号化手段に対し再送を要求する信号を送出し、前記符号化手段は、前記再送を要求する信号を受信した場合に、符号系列信号を再送することを特徴とする請求項1乃至7記載の電力量計。
【請求項9】
変換された符号系列信号に誤り訂正能力を超える誤りがあると判断された場合、前記復号化手段が情報系列信号を送信しないことを示す信号を出力することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の電力量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−204536(P2009−204536A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48645(P2008−48645)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】