説明

電動オートバイ

【課題】エンジン式オートバイの既成概念を完全に払拭した電動オートバイの形態・構造を提供する。
【解決手段】前輪3と後輪20の取付け部近傍を、所定の断面形状を有する型鋼で連結する、又は方形の断面を有する筒状の部材を横向きに連結し、前輪と後輪の取付け部とを連結した、メインフレーム構造とする。また、バッテリー2を保護するサブフレームを装備し、意匠面を有するカバーで覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モーターを主動力として走行する、2輪、又は3輪のオートバイで、特に、スクーター以外の、跨って運転するタイプのオートバイのフレームに関し、エンジンで走行する既存のオートバイ用フレームとは、機能と構成が全く異なるフレームである。即ち、全く新規の技術分野である。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー効率の良いモーターが開発され、また、環境意識や省エネルギー意識の高まりから、エンジン動力の乗り物の電動化が進んでおり、電気自動車は実用レベルに達し、複数のメーカーから市販も開始されている。
しかし、3輪を含む2輪車の世界では、重たいバッテリーの搭載が極めて難しい為、もっぱら、膝を揃えて運転する、いわゆるスクータータイプをベースとし、足乗せ台の下や、着座シートの下に、重いバッテリーを搭載する構成が主流となっている。しかし、スクータータイプでは、近距離の通勤や買い物には利便性が高いが、オートバイ本来の、操縦する楽しみに欠け、注目度も低く、結局、市場の拡大にはほとんど貢献していない。
そこで本発明では、既存の概念や構成にとらわれず、跨って運転する、いわゆるスポーツタイプのオートバイを、電動モーターで走行させる事を想定しているが、エンジンを動力として走行するオートバイを単純にモーターに置き換えても、十分な機能は発揮できない。なぜなら、背景となる技術は基本的に存在せず、機能や構成が異なるエンジン式オートバイや、動力源の無い自転車の構成は、全く参考にならないからである。
また、オートバイのフレームを作る際、機能上最も重要な点は、エンジンの重量を支えると共に、前輪取り付け部及び後輪取り付け部に加わる、車輪からの衝撃荷重を支えられなければならない点である。しかし、既存のエンジン式オートバイでは、エンジンの搭載位置と、前輪と後輪の位置関係を変更できない為、どこのメーカーが作っても、ダブルクレードルタイプや、ダイヤモンドタイプのフレーム形態から脱却する事ができない。
尚、既存の事業者は、エンジンを使用したオートバイしか作っておらず、跨って運転するスポーツタイプのオートバイを、電動モーターで走行させる技術については、現時点で当業者が存在せず、さらにエンジンとモーターでは、動力源としての機能も、特性も、取扱い方法も、燃料も、安全性も、振動も、全てが異なる為、エンジン式オートバイを製作できるからと言って、全く別物である電動オートバイを、製作する事は絶対にできないし、また、全く新規の乗り物であるから、製作できる根拠も実績も無い。
まず最初に、電動オートバイに求められる要求機能が、明確になっていない現状では、電動オートバイを開発する事は到底不可能であり、事実、市場実績も皆無である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存の技術では、スクータータイプの2輪車しか作る事ができず、オートバイ本来の楽しみである、運動性能に問題があった。そこで、鞍型のフレームに跨って運転する、いわゆるスポーツタイプのオートバイでも、電動化が可能な技術が求められている。
しかし、運動性能を確保する為に、重心位置をエンジン式オートバイと同じ位置に合せようとすると、通常、燃料タンクやエンジンが搭載されている位置にバッテリーを搭載しただけで、何の特徴も無い、エンジン式オートバイから派生した、単純で陳腐な乗り物になってしまい、市場からの好印象が得られず、将来の動力源として有望な電気モーター式のオートバイが、広く普及できなくなってしまう。また、省エネルギーを一つの目的とする振動の極めて少ない電動オートバイにおいて、エンジン式オートバイの形態を踏襲する事は、無駄が多く、何の意味も無い上、製造コストの上昇が致命的な欠点となる。
そこで、エンジンを搭載する為のフレームの既成概念を完全に払拭し、電動オートバイ用に特化した、見た目にも斬新で、瞬時に識別可能な上、強度や積載性等の要求機能を高度に満足する車体構成が必要とされている。特に振動対策については、エンジン式の場合、その毎分回転数に応じて共振点が変わる為、特定の回転数の時のみ、特定の部品だけが共振して音を発生する問題などがある。その為、各部に多数の補強が施されるなど、複雑で高価な形態となり、中小企業の参入を妨げる一因となっている。
そこで、ガソリン式オートバイ用のフレーム形態は一切参考にせず、電動オートバイに特化した、将来性の高い車両の形態が市場から求められている。
具体的には、既存のエンジン式オートバイでは、絶対に不可能だった、以下の全ての条件を満足する、電動専用の車体構成を提供する事が、本発明の課題である。
1,エンジンやガソリンタンクと異なり、分割して複数個所に搭載可能なバッテリーの特徴を最大限に有効活用し、ガソリン式オートバイでは絶対に採用不可能な構造とする事により、一般市民が瞬時に識別できる特徴を有する事。
2,略直方体形状のバッテリーを、転倒時にも破損する事無く、安全に搭載可能な事。
3,電動オートバイを広く普及させる為、主となるフレームは可能な限りシンプルな構成であり、低コストで、専用の特殊設備が無くても製作が可能である事。具体的には、定盤と溶接機程度の設備で、高精度なフレームを製造可能である事。
4,保管や物流時のコストを低減する為、分解可能なフレームとし、組立時には、特別な設備を使用しなくても、単純なボルトによる締結作業によって組立て可能な事。また、走行条件等に応じて、ホイールベースやバッテリーの搭載量を変更可能な事。
5,重いバッテリーの交換や追加・削減が、容易にできる構成である事。
6,製造が容易な、シンプルな構成でありながら、前輪・後輪・モーター・バッテリー・着座シート・サスペンション・灯火器を全て確実に支持し、走行時の負荷に耐えられる事。
7,フレームに要求される捻じれ剛性を、複雑な構造解析を行わずに、単純な手計算でも容易に確保できる、解り易い構造である事。即ち、理工系大学の材料力学の教科書に記載の計算式で、捩じれ剛性や曲げ剛性を計算可能な、単純構造である事。
8,車両の構成や外観デザインで、各事業者が、独自の特徴を容易に発揮できる事。
9,将来的の、モーターやバッテリーの機能・性能向上に対応できる事。即ち、時代の変化に応じて部品を容易に交換し、アップデート可能な構成である事。
10,空気抵抗低減など、航続距離を可能な限り伸ばす技術や構成を、取り入れる事。
11,電動化によって得られたフレーム形態に合わせて、最適な操舵装置を導入可能な構成である事。
【課題を解決するための手段】
【0004】
後輪取付け部と、前輪取付け部とを、最短距離のフレームで連結すると共に、そのフレームの断面形状を、H型などの、捩れ剛性の高い形状とする、又はボックスを連結した形状とする事で、フレームに求められる強度、及びねじれ剛性を確保しながら、重たく容積の大きいバッテリーの搭載性も確保する。
また、バッテリーの搭載方法に応じて車幅を極めて狭くできる特徴を生かし、グリップを前後方向に操作する操舵装置も採用可能とした。
具体的には、請求項1から10のいずれかに詳述された構成を採用する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、後輪からの荷重を受ける部分と、前輪からの荷重を受ける部分とを、高い剛性を有するフレームで連結し、なおかつ、多数のバッテリーを搭載可能な為、電動オートバイのフレームとして最適と言える。また、エンジン式オートバイでは、前輪取付け部と後輪取付け部との間に、分割も移動もできないエンジンを搭載している為、本発明のフレームは絶対に採用できない。即ち、瞬時にエンジン式オートバイとの識別が可能な、斬新な電動オートバイを提供できる。
さらに本発明のメインフレームであれば、単純な断面形状の型鋼や、単純な方形断面の筒状部材を使用可能な為、特別な生産設備が不要で、必要な寸法精度も容易に確保する事ができるので、中小企業でも電動オートバイ市場に参入が可能となり、産業の発展に広く大きく貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
請求項1から10で詳述された構成の内、いずれかを採用する事が最良の形態である。
具体的には、前輪取付け部と後輪取付け部とを、捩じれに強い一定の断面形状を有する型鋼で作られたメインフレームで連結し、そのメインフレームに重いバッテリーを搭載する。また、方形断面の筒状部材を横向きに連結してメインフレームを構成しても良い。
【実施例】
【0007】
本発明の実施例は、請求項1から10で詳述された通りであり、そのいずれかを採用する事により、前述の課題を全て解決できるが、その一実施例を、次に示す。
【0008】
図1は、本発明の電動オートバイの、一例を示す模式図であり、車両の左側面図を表す。前輪3は車軸8で、伸縮する緩衝装置であるフロントフォーク7に取付けられ、7は、操舵軸となるヘッドパイプ4に搖動自在に装置され、着座シート10に座り、足乗せ台22に足を置いた運転者は、ハンドル6によってオートバイの操舵を行う事ができる。
12は、駆動用モーター13や後輪用のスイングアーム15の搖動軸14を支える為の後部フレームである。後輪20は、車軸19にて15に上下搖動可能に取付けられ、13に取付けたスプロケット17は、チェーン16を介して20に取付けたスプロケット18を駆動する。
【0009】
ここで、後輪用スイングアームの搖動中心である14の近傍と、操舵軸となる4の近傍を、強固なメインフレームで連結すると共に、バッテリーを搭載可能に装置すれば良い。
そこで図1では、その一例として、逆T字状の断面形状を有する、型鋼で形成されたメインフレーム1で、後部フレーム12の14近傍と、ヘッドパイプ4とを連結している。この構成により、1の側面にバッテリーを搭載する為のプレート9を溶接しておけば、バッテリー2を容易に搭載可能で、また、バッテリーの搭載位置を可変する事で、オートバイの重心位置、即ち車両としての操縦性・安定性を調整する事が可能となる。尚、5は前照灯であり、11は尾灯を示している。
【0010】
図2は、図1に記載のフレームを上から見た状態の模式図であり、サブフレームを設けた構成を表す。逆T字形状の断面を有するフレーム1の左右にバッテリー2を搭載しているが、図1の構成ではオートバイが転倒した際、バッテリーが破損して危険である。そこでフレーム1に、棒状、又は板状のサブフレーム23を装置し、バッテリーを保護する。また、バッテリーの着脱・交換を容易にする為には、サブフレーム23の中間部分24をボルトにて着脱自在に装置する、又は24の一端を蝶番で固定し、開閉自在に構成する。
【0011】
図3は、図1の構成に対して、メインフレームを別形態とした一例を示す模式図である。断面形状が長方形の筒状の部材25を複数連結し、図1の構成と同様に、12の14近傍と、4とを連結している。この構成によれば、各筒状部材の内部にバッテリーを安全に格納する事が可能となり、また、バッテリーを左右の側面方向から着脱可能な為、電動オートバイに最適なフレームを提供する事ができる。また、極めて単純な形状な為、特殊な設備を持たない中小企業でも容易に製造が可能で、筒状部材の内部に仕切り板を設ける構成や、板厚の変更により剛性も容易に変更可能となり、電動オートバイ産業の発展に大きく貢献できる。以上が、請求項1に記載された本発明の実施例である。
尚、前輪も15と同様のスイングアームを装備し、そのアームの先端に操舵可能なベアリングを介して前輪軸を装置した、いわゆるハブステアリングタイプの構成であっても、後輪側の14の近傍と、前輪側のスイングアームの搖動中心近傍とを前述の形態のメインフレームで連結すれば良い。
【0012】
本発明によれば、フレームの主たる構造部分が極めて単純な形態である為、材質を選ばない。必要な強度に応じて、各種の材質を使用可能で、また、ボルト等で組立て方式にすれば、使用部位によって最適な材質を組合せる事も可能である。以上が請求項2に記載の本発明の実施例である。
【0013】
走行用のモーターを駆動する為には大きな電力が必要で、その充放電に伴い、バッテリーは発熱する。そこで、略直方体のバッテリーの平面部を、本発明のフレームの平面部に密着させれば、フレームそのものが放熱板となり、特殊な装置を用いなくても放熱を行う事が可能となる。エンジン式オートバイでは、共振により騒音が発生する為、平板状のフレームは採用できないので、本発明のメインフレームの形態は、電動オートバイに特化した最適形状と言える。また、密着できない場合は、バッテリーを乗せる台としてプレートを溶接でフレームに取付ければ、放熱が可能となる。以上が請求項3に記載の本発明の実施例である。
【0014】
オートバイとして、バッテリーが外部から見えているのは見栄えが悪く、デザイン性が乏しい印象を受ける。そこで、バンパーの機能を有するサブフレームを利用し、樹脂などで成形したカバーを取付け、意匠面とすれば良い。エンジン式オートバイでは、振動による共振を防止する為、カバーの形態・形状や取り付け方法まで、非常に細かい制約を受けるが、本発明の電動オートバイであれば、特に振動の制約を受けない為、デザインの自由度が飛躍的に高まり、各中小企業などが、独自のデザインで車両を製造する事が可能となり、数社の大手メーカーに独占されていたオートバイ市場を、中小企業に広く解放する事ができる。以上が請求項4に記載された本発明の実施例である。
【0015】
バッテリーの発熱量が多く、さらにバッテリーの冷却が必要な場合、本発明のフレーム形であれば、構成の自由度が高い為、走行風を所定の場所に導く為の通路を容易に確保する事ができる。また、振動による共振を考慮する必要が無い為、方形断面の筒状部材を連結した形態の場合、通風上最適な位置に貫通孔を設け、その孔に電動ファンを装置する事も可能となる。以上が本発明の請求項5に記載された本発明の実施例である。
【0016】
電動オートバイにおいて、重く、容積の大きなバッテリーの搭載方法は、走行性能と航続距離を確保する上で極めて重要な課題である。そこで、電動オートバイの本体にサイドカーやリヤカーを装着し、乗車定員の増加を図ると共に、バッテリー搭載量の増加を図る。また、サイドカーやリヤカーに搭載されたバッテリーの電力を先に消費し、その後、オートバイ本体のバッテリーを使用する制御を行えば、万が一、走行電力が不足した場合でも、サイドカーやリヤカーを切り離せば、オートバイ単体で走行を続ける事が可能となる。以上が請求項6及び7に記載の本発明の実施例である。
【0017】
エンジン式のオートバイでは不可能であるが、電動オートバイの場合はサイドカーやリヤカーの車輪にインホイールモーターを装置し、駆動輪とする事が可能である。そこで、本発明では、サイドカーやリヤカーの駆動輪と、オートバイ本体の駆動輪とを統合制御する事により、全く新しい形態の乗り物を提供する。以上が請求項8に記載の本発明の実施例である。
【0018】
電動オートバイでは、エンジン式オートバイと異なり、搭載するバッテリーを分割する事が可能で、また、使用目的に応じて、バッテリーの搭載量や搭載位置を可変する事ができる。そこで、この特性を生かし、図3のフレーム構成において、フレーム25の中央部分26を、ボルト27で着脱可能に構成すれば、用途に応じてホイールベースやバッテリー搭載量が可変自在となる。以上が請求項9に記載の本発明の実施例である。
【0019】
図4は、請求項10に記載された本発明の操舵装置の一例を示す模式図である。エンジン式オートバイにおいては、エンジンの幅でメインフレームの幅が制約されてしまう為、極端に幅が狭いオートバイを作る事が不可能であった。しかし電動オートバイでは、バッテリーを前後方向に分散して搭載すれば、極めて幅の狭いフレームを採用する事が可能となる。しかし、幅が極めて狭いフレームに、既存の、一般的な操舵機構を装置しては、新規性に乏しく、エンジン式オートバイとの差別化が図れない為、産業の発展の障害となり得る。そこで本発明では、ハンドルを搖動させる既存の操舵装置から脱却し、運転者がグリップを前後に動かすタイプの、全く新しい操舵装置を提供する。
30は、既存の操舵装置においてハンドルを取付けるプレートに相当し、回転中心28を基準に搖動する。その後部に、同様のプレート31を装置し、29を中心に搖動可能とする。この前後のプレートを、ピン結合部36及び37で、左右のロッド32及び33と回転自在に連結する。32及び33に取付けた左右のグリップ34及び35を運転者が握り、交互に前後に動かせば、プレート30及び31が搖動する為、操舵輪を左右に搖動させる事が可能となる。この構成であれば、ハンドル幅をフレームに合せて設定する事ができる。尚、前輪の油圧ブレーキ用マスターシリンダー38は、ロッド33などに取付ければ良い。また、プレート31を廃止し、ロッド32及び33を、リニアベアリングで保持して前後に動かす構成も可能である。
尚、この構成の場合、直進状態から操舵を行う時は、プレート30及び31に大きなモーメントを加えられる為、弱い力で操舵が可能で、舵角が大きくなれば、舵角に比例して、大きな操作力が必要となる。従って、細かな操舵操作が容易に可能で、高速道路などでは、不必要に大きな操舵を防止し、直進安定性を確保できる利点がある。また、ハブステアリングを採用した場合は、車両の目的や特性に合わせ、操舵力を可変したり、逆位相の操舵も可能となり、極めて利便性・汎用性が高い。さらに、電動オートバイで航続距離の延長を考慮した場合、走行時の空気抵抗が問題になるが、本発明の操舵装置であれば、前面投影面積を減らす事が可能となり、電動オートバイに最適な構成と言える。
【0020】
以上の様に、本発明の請求項1から10のいずれかの構成を採用すれば、本発明の課題を全て解決可能な、極めて新規性の高い電動オートバイを、容易に提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明によれば、特殊な生産設備を持たない中小の事業者でも、電動オートバイの市場に参入する事が可能となり、特定の大手メーカーによって寡占状態にあるオートバイの市場を、広く一般に開放する事ができる。即ち、日本の産業の発展に、広く大きく貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の電動オートバイの一例についての、全体を示す模式図であり、車両の左側面からの視図である。尚、模式図の為、細かな形状・構造は省略してある。
【図2】本発明の電動オートバイの一例についての、バッテリー搭載部分の模式図であり、車両の上部からの視図である。尚、模式図の為、細かな形状・構造は省略してある。
【図3】図1に対して、フレームの構成、及びバッテリーの搭載方法を変更した実施例を示す、模式図である。尚、模式図の為、細かな形状・構造は省略してある。
【図4】本発明のオートバイに採用された操舵装置を、上から見た状態の模式図を示し、図の上部が進行方向である。運転者は、図の下側に着座してグリップを前後に操作する。尚、模式図の為、細かな形状・構造は省略してある。
【符号の説明】
【0023】
1、逆T字状の断面形状を有するメインフレームでり、各請求項においては、フレームと省略表記している。
2、駆動用モーターに電力を供給する、バッテリー
3、前輪
4、操舵軸を支える、ヘッドパイプ
5、前照灯
6、操舵用の、ハンドル
7、フロントフォーク
8、前輪軸
9、フレームに取付けられ、バッテリーを支えるプレート
10、運転者の着座用シート
11、尾灯
12、モーターや後輪や着座シートを支える、後部フレーム
13、駆動用モーター
14、リヤアームの揺動中心となる、ピボット軸
15、後輪を揺動自在に支える、リヤアーム
16、駆動用の、チェーン又はベルト
17、チェーン又はベルトを掛ける、フロントスプロケット
18、チェーン又はベルトを掛ける、リヤスプロケット
19、後輪軸
20、後輪
21、サスペンション
22、足乗せ台
23、バッテリーを保護するバンパー機能を有する、サブフレーム
24、サブフレームの、着脱可能部分
25、断面が略方形の筒を連結した構造の、メインフレーム
26、着脱可能な、断面が略方形の筒を連結した構造の、メインフレーム
27、フレームを着脱自在に連結・固定する、ボルト
28、前側の搖動プレートの、回転中心
29、後側の搖動プレートの、回転中心
30、前側の搖動プレート
31、後側の搖動プレート
32、左側の、前後に動くロッド
33、右側の、前後に動くロッド
34、運転者が左手で操作する、グリップ
35、運転者が右手で操作する、グリップ
36、左右一対の、前側ピン結合部
37、左右一対の、後側ピン結合部
38、前輪油圧ブレーキ用の、マスターシリンダー
39、車体の、幅方向の中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートバイの進行方向を前とした場合、前輪の車軸よりも後側で、なおかつ、運転者の足乗せ台又はステップと同等の高さ、又は、足乗せ台又はステップより上側の位置に、車輪駆動用のモーターへの電力を供給する為のバッテリーを、全て、又は容積比で5%以上搭載すると共に、駆動用のモーターを、着座シートの、運転者の着座面の高さより低い位置、又は同等の高さの位置、又は車輪の内部のいずれか1か所以上に装置した、二輪又は三輪の電動オートバイにおいて、以下のいずれかの構成とした事を特徴とする、電動オートバイ。尚、以下に記載のメインフレームとは、前輪・後輪・操舵装置・運転者の着座用シート・駆動用モーター・バッテリーの内、少なくとも2つ以上の重量、又は荷重を支える為の、車両の骨格となる車枠を指し、メインフレームに、ブラケットや可動アームを取付け、そのブラケットや可動アームで、前後輪やモーター等の各部を支える構成も含む。また、メインフレームはフレームと省略表記する。
1,断面がI型、又はH型、又はコ型、又はX型、又はY型、又はV型、又はU型、又はL型、又はT型、又は長方形、又は円形、又は楕円形、又は長円形、又は5角形、又は6角形、又は8角形の、押し出し材又は引き抜き材とし、一定の断面形状と所定の長さを有する構造とした。尚、断面形状は、前記の各形状を基本とし、角部に丸みを設けた形状や、前記形状を回転させた形状や、前記形状に凹凸を追加した断面形状も含む。また、板材やプレス成形した板材を、溶接又はリベット止め又はネジ止めする、又は鋳造・鍛造・インジェクション成形する、又はブロック材から削り出す事により、押し出し材や引き抜き材と、同等、又は近似の断面形状を有するフレームとした構成も含む。
2,断面が略長方形、又は略6角形の筒状の部材を、開口部を車両の進行方向に対して左右方向に向けて複数配置し、各筒状の部材を溶接、又はリベット、又はボルトにて連結した。尚、バッテリー冷却用の通風の為、又は車両の前後方向に配線を通す為、各筒状の部材間を連通する、貫通孔を設けた構成や、各筒状の部材間に、絶縁体を介在させた構成や、ブラケットやステーを使用して、筒状の部材を連結した構成や、筒状の部材の内部に筋交いとなるステーを装置して変形を防止した構成や、筒状の部材の内部に仕切り板を装置して補強した構成や、底板を有する筒状容器の底面同士を密着させた構成や、車両の幅方向の略中心位置に平板を縦に装置し、その両側に筒状の部材を取付けた構成や、開口部に、開閉又は着脱可能な蓋を取付けた構成も含む。
3,上記2の筒状部材を、左右両方、又は片方が開口した箱状部材とし、側面から見た開口部のシルエットが、凸形や凹形の様に、略長方形を組合せた形状とした。尚、箱状部材の内部に、補強用のプレート、又は補強用の筋交い、又はバッテリー搭載用のプレート、又は仕切りプレートを装置した構成や、開口部に開閉可能な蓋を取付けた構成も含む。
4,上記1に記載の、一定の断面形状と所定の長さを有するフレームと、上記2、又は3に記載の筒状及び箱状の部材で構成されたフレームとを、組み合わせた。尚、組み合わせた構成とは、筒状や箱状のフレームを、所定の断面形状と長さを有するフレームで貫いた形態や、所定の断面形状と長さを有するフレームの上に、筒状や箱状のフレームを乗せた形態や、所定の断面形状と長さを有するフレームから、筒状や箱状のフレームを吊下げた形態を指し、全体又は一部をダイカストで一体成形した構成や、全体又は一部をブロックから削り出した構成も含む。
5,上記1から4のいずれかの構成において、一定の断面形状と所定の長さを有するフレームを、側面視で、一部、又は全部を湾曲させた、又は折れ線状に繋ぎ合せた。
6,上記1から5のいずれかに記載の通りに構成されたフレームを、上下に2段から10段配置した。尚、フレームの全長の内、一部のみを2段から10段の配置とした構成も含む。
7,上記1から6のいずれかに記載の通りに構成されたフレームを、左右に2列から10列配置した。尚、フレームの全長の内、一部のみを2列から10列の配置とした構成も含む。
8,上記1から7のいずれか構成において、転倒時にバッテリーを保護する為のバンパー機能を有するサブフレームを、ボルトによってフレームに着脱自在に装置した。尚、サブフレームを複数装置した構成や、複数のサブフレームの内の一部、又は全部を溶接、又はリベットでフレームに固定した構成や、サブフレームの一部をボルトにより着脱又は開閉自在に装置する事により、バッテリーの着脱を容易にした構成も含む。
9,上記8に記載のサブフレームを、ゴム、又はスプリングを介してフレームに取り付け、サブフレームに大きな荷重やモーメントが加わった際、スプリング等の弾性変形により、微動可能に装置した。
10,上記1から9のいずれかの構成において、フレームの全て又は一部を、ハニカム構造とした。尚、薄板を複数重ね、その各薄板間にスペーサを介在させて連結した構成も含む。
11,上記1から10のいずれかの構成において、前輪取り付け部と後輪取り付け部とを、略最短距離で連結した。尚、前輪及び後輪の取り付け部とは、スイングアーム式の場合は、その揺動の中心を指し、テレスコピック式サスペンションを有する前輪の場合は、操舵軸の取り付け部を指し、その他の車輪取付け構造においては、走行時に車輪からの衝撃荷重を受けて支える、フレームの特定部位を指す。
12,上記1から11のいずれかの構成で、駆動用のモーターを車輪の内部空間に装置し、車輪のホイール部分、又はリム部分を、ベアリングを介して上下揺動自在のスイングアームに回転自在に取付けると共に、モーターを着脱及び交換自在とした。尚、モーターの取付けは、モーター側とスイングアーム側とに、位置決めのリブや凹凸部やインロー嵌合部を設け、モーターのステータ側をボルトを使用してスイングアームに取付け、モーターのローター側を、ボルトを使用してホイール又はリムに取付けると共に、コネクターの着脱、又はステータ及びスイングアームに設けた電気接点の密着にて、電気配線を行う。
13,上記1から12のいずれかの構成で、運転者による操舵操作によって、揺動、又は回転、又は往復運動、又は操舵操作に連動して位置が変化する部分に、油圧ブレーキ用のマスターシリンダー、又は方向指示器の操作スイッチ、又は前照灯の操作スイッチ、警笛スイッチの、いずれか1つ以上を装置した。
14,上記1から13のいずれかの構成で、着座シートをボルト、又はピン、又はクリップでフレームに取付ける構成とし、乗車人数に応じて着座シートを交換可能に装置すると共に、1人乗り用の着座シートを取付けた状態では、その後部に、バッテリー、又は発電機の搭載装置を、着脱可能に構成した。
【請求項2】
フレーム及びサブフレームの材質を、アルミ合金、又はチタン合金、又はスチール、又はアルミダイキャスト、又はアルミ鋳造、又はグラスファイバー、又はカーボンファイバー、又は木材、又は硬質樹脂、又はそれらの組み合せとした事を特徴とする、請求項1に記載の電動オートバイ。
【請求項3】
略直方体のバッテリーを車両に搭載する際、少なくともバッテリーの1面を、フレームに略密着させ、ゴム製のバンド、又はステーとボルト、又はステーとナットにて、バッテリーがフレームから脱落せぬ様、着脱自在に保持可能に装置した事を特徴とする、請求項1又は2に記載の電動オートバイ。尚、バッテリーとフレームの密着面は、緩衝用のゴムや樹脂を間に介在させた構成も含み、略直方体のバッテリーは、少なくとも1面が略長方形や略長円形の容器や、少なくとも5cm2以上の平面部を有する容器や、筒状の容器に電池や電極を収納した構成も含み、複数のバッテリー、又は複数の種類・形状のバッテリーを混在させて搭載する構成も含み、略密着面は、押し付けて密着させる構成と、単に当接させた構成を含む。また、搭載後のバッテリーの動きを規制するリブ、又はステー、又はガイド、又はプレート、又は箱状の部材をフレームに装置し、バッテリーを車両の上側、又は側方から挿入した際、所定の位置に収まる様に装置した構成や、筒状のフレームとバッテリーのサイズを合せて嵌合させる構成も含む。断面形状が円形などにより、バッテリーを平面で密着させられないフレームにおいては、フレームに平板や平面部を有する部材を溶接、又はリベット、又はボルトにて固定し、その平板などをフレームの代替部材として、バッテリーと密着、又は当接させる構成とする。
【請求項4】
車両の側面視において、バッテリーの一部、又は全部を覆い隠す形状のカバーを、ボルト、又はクリップ、又はクランプ、又はピン、又はネジを使用して、フレーム、又はサブフレームに着脱自在に装置した事を特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の電動オートバイ。尚、カバーは、樹脂、又はアルミ合金、又はチタン合金、又はスチール、又はゴム、又は木材、又は紙加工品、又はグラスファイバー、又はカーボンファイバー製とし、各材質を組合せた構成を含む。また、サブフレームと一体化した構成や、バッテリー固定用の保持部材の機能を備えた、即ち、バッテリー保持具とカバーを一体化した構成も含み、カバーの外表面を意匠面とした構成や、カバーを透明又は半透明とし、内部のバッテリーや電装品を外部から視認可能に装置した構成や、カバーの表面に配列したLEDランプの点滅による表示装置を取り付けた構成を含む。また、運転者がシートに着座し、運転姿勢の状態で膝が当接する部分のカバー、又はフレームを、凹形状に形成した構成や、膝が当接する部分に、ゴムや樹脂製の緩衝材を貼り付けた構成も含む。また、カバーは左右対称の構成と左右非対称の構成を含み、全体を覆うカバーの他、複数に分割して各部を覆う構成や、車両の前部・上部・下部のいずれかを覆うカバーと連結した、又は車両の前部・上部・下部のいずれかを覆うカバーと連続した意匠面を形成した構成も含む。
【請求項5】
走行風を、バッテリー又はバッテリーが略密着したフレーム及びその近傍に当てる為、又はバッテリー搭載部を換気する為の導風板を、フレームに取付けた、又はバッテリー冷却用の電動ファンをフレームに取付けた事を特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の電動オートバイ。尚、電動ファンは、発生する風が、バッテリーの前側、又は側方、又は上側、又は下側の面に当たる、又はその表面を通過可能に装置し、フレームの一部に貫通孔を設け、孔の位置に合わせて装置した構成や、貫通孔に埋設した構成や、導風板や導風管を使用する事により、所定の場所に送風可能とした構成も含む。また、導風板は、板状の部材によって風向を変更する構成の他、パイプ状の導風管を用いて走行風を所定の場所に導く構成も含み、導風板・導風管・電動ファンは、フレームに取付けられた、ステーやブラケットに取付けた構成も含む。
【請求項6】
フレームに装置したブラケット、又はアーム、又はステーにて、サイドカー、又はリヤカーを取り付け、そのサイドカー、又はリヤカーに走行用モーターを駆動する為のバッテリーを搭載した事を特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の電動オートバイ。尚、サイドカー、又はリヤカーに乗員の着座シートを備えた構成においては、シートの背後、又はシート下、又は乗員の足元、又はシートの側方にバッテリーを搭載する構成とする。また、オートバイ本体にも駆動用のバッテリーを搭載し、オートバイ本体とサイドカーやリヤカーとを結ぶ電気配線は、コネクターにてオートバイ本体の近傍で断続自在に装置した構成や、サイドカーやリヤカー搭載のバッテリーを先に使用する制御を行うと共に、サイドカーやリヤカー搭載のバッテリーが、設定値以上に放電した場合は、オートバイ本体側のバッテリーで走行可能に装置した構成や、サイドカーやリヤカーを取り外し、オートバイ単体でバッテリーによる走行を可能とした構成も含む。
【請求項7】
請求項6に記載の構成において、バッテリーの搭載位置の全て、又は一部の位置に、エンジン式発電機を着脱自在に搭載し、駆動用バッテリーへの充電、又は駆動用モーターへの給電を可能に装置した事を特徴とする、電動オートバイ。尚、発電機の替わりに、充電用ケーブルを搭載した構成や、発電機と充電用ケーブルの、両方を搭載した構成も含む。また、着座シートと発電機との間に、断熱材、又は防音材を介在させた構成や、発電機用エンジンの排気ガスを外部へ放出する為のダクト、又はダクトと電動ファンを備えた構成や、走行風を利用して運転者や同乗者への排気ガスの流れを抑制する排煙板や導風板を備えた構成も含む。発電機及びバッテリーは、所定の容器に納める、又は一体化して取っ手を設ける、又は片手で運搬可能に纏める方法でカセット化し、フレーム及びサイドカー又はリヤカーの所定搭載位置に、容易に着脱可能に搭載すると共に、電気配線用のコネクター又は接点を、所定搭載位置に設け、着脱時に配線も容易に断続可能な構成とする。また、発電機と燃料タンクを分離して搭載し、発電機と燃料タンクとを連結する燃料配管の途中に、開閉弁又は燃料ポンプのいずれか、又は両方を装置した構成も含む。燃料タンクは、搭載位置複数設け、発電機に対して上下方向に移動させる事により、燃料の流れを断続可能とした構成も含む。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の構成において、サイドカー又はリヤカーの車輪の内部に、駆動用のインホイールモーターを装置した事を特徴とする電動オートバイ。尚、サイドカー又はリヤカーに装置したインホイールモーターは、オートバイ本体の駆動輪に同調して駆動トルクを発生させる制御の他、以下のいずれか、又は全ての制御を行う構成も含み、インホイールモーターは、外径側に回転部を有する、いわゆるアウターローターモーターとした構成も含む。
1,アクセル、即ち加速装置を加速側に操作した場合、オートバイ本体の駆動用モーターよりも、同等、又は小さい駆動トルクを発生させる。
2,アクセル、即ち加速装置を減速側に操作して回生制動を行う場合、オートバイ本体の回生制動力に対して、同等、又は小さい、又は大きい回生制動トルクを発生させる。
3,サイドカーにおいて、定速走行又は加速走行時に、操舵装置をサイドカー取付け側に向けて転舵操作を行った場合、駆動トルクを低下させる。
4,サイドカーにおいて、定速走行又は加速走行時に、操舵装置をサイドカー取付け側と反対側に向けて転舵操作を行った場合、駆動トルクを増加させる。
5,サイドカー、又はリヤカーの重量、又はオートバイ本体との接続部に加わる荷重、又はオートバイ本体との接続部に加わる曲げモーメントのいずれか1つ以上を検知し、その数値に応じて駆動トルクを可変させる。
6,バッテリーが所定の値まで放電した場合、駆動トルクを低下させる、又は給電を停止する。
7,定速走行時、又は所定の時間以上、加減速操作が行われない場合、給電を停止する。
8,上記1から7のいずれかの制御において、トルクの加減を、滑らか、又は段階的に行う。
【請求項9】
前輪取付け部、操舵装置取付け部、後輪取付け部を除くフレームの一部を、ネジによる締結装置、又はピンやサークリップにより、着脱自在に装置し、車両のホイールベース、又はバッテリー搭載量、又はモーター出力、又は乗車定員のいずれか、又は全てを可変自在に装置した事を特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の電動オートバイ。尚、着脱自在の構成は、複数の構成部品をボルトとナットで締結、又は構成部品の一つに設けたメネジとボルトで締結する構成の他、インロー嵌合後にボルトで固定する構成や、インロー嵌合後にピンやサークリップで固定する構成や、インロー嵌合後に嵌合部を覆う大型ナットで締結する構成とし、インロー嵌合部は、テーパーによる嵌合と、しまり嵌めによる略圧入の嵌合も含む。また、フレームの接合部に、位置決め用のピン、又は突起、又は接合位置を特定する為のリブや凹凸形状を装置した構成も含み、前記位置決め用の装置を位置をずらして複数備え、着脱可能なフレームの一部を、そのいずれかの位置に取付け可能とした構成も含む。
【請求項10】
運転者の前方に装置され、運転者の操作による搖動、又は回動によって操舵輪を左右に搖動させるアーム又はプレートを、以下のいずれかの構成により、運転者が左右の手で握ったグリップを略前後方向に動かす操作に連動して、揺動可能に装置した事を特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の電動オートバイ。尚、前述のアーム又はプレートとは、一般的なハンドル操作を行う、テレスコピック式サスペンションの前輪を備えたオートバイにおいては、パイプハンドルを固定するプレートに相当する。また、以下の構成において、棒状部材・アーム・ロッド・プレートは、操舵力の伝達が可能な部材とし、棒状・板状・線状・パイプ状の形状を含み、請求項1に記載の所定の断面形状を有する型材も含む。また、請求項10に記載の操舵装置は、主たる動力源がエンジン、又はエンジン式発電機のオートバイも含み、操舵装置の一部又は全てが、運転者の側方、又は下部、又は後部に装置され、ロッド又はアーム、又はリンク機構、又はワイヤーのいずれか1つ以上により、グリップを運転者の近傍に装置し、操舵可能とした構成も含む。
1,テレスコピック式サスペンション、又はスイングアームとハブステアリング機構を備え、パイプ状、又は棒状のハンドルを運転者が握って揺動操作を行う操舵装置であって、ハンドルの揺動中心から左右に略等距離の位置に、ピン結合、又は回動自在に棒状の部材を取付け、この棒状部材の端部に設けたグリップを、運転者が握って略前後方向に動かす操作により、操舵可能とした。
2,車両の幅方向の略中心に装置した回転中心を基準に揺動するアーム、又はプレートを、前後に2組以上備え、この複数のアーム又はプレートの、左端近傍同士、及び右端近傍同士を、それぞれピン結合にてアーム又はロッドで連結し、このアーム又はロッドに取付けたグリップを、運転者が略前後方向に動かす操作により、操舵可能とした。
3,車両の幅方向の略中心に装置した回転中心を基準に揺動するアーム、又はプレートの後部側に、車両の前後方向に長いロッドを2本備え、このロッドの前端部でアーム、又はプレートの左右両端近傍を、それぞれ押し引きする構成により、操舵可能とした。尚、ロッドの後端近傍には、それぞれグリップを備え、運転者は、このグリップを握って前後に操作可能とする。また、ロッドは、1個又は複数のリニアベアリングによって、前後に可動自在に保持した構成や、レールに嵌合して略直線運動を可能に装置した構成も含む。
4,上記3の構成において、遥動するアーム又はプレートと、ロッドとを、スプリング、又は弾性部材で連結すると共に、アーム又はプレートと、ロッドの当接面を、滑らかな平面、又は滑らかな曲面とした。尚、当接面に、アームやプレート、及びロッドの材質よりも摩擦係数の低い部材を取付けた、又は貼り付けた構成も含む。
5,上記1から4のいずれかの構成において、グリップ部を、略水平から略垂直まで、回転自在に装置した。尚、運転時に回転を防ぐ為の、ネジ・ピン・クリップによる、回転部の固定装置を取付けた構成も含む。
6,上記1から5のいずれかの構成において、車両の幅方向に対するグリップの位置を変更可能に構成した。尚、幅方向の位置を変更する装置は、テレスコピック式の伸縮装置、又はグリップを取付ける部材の交換式、又はグリップを取付ける部材の連結式とし、それぞれ、運転中に位置が変わる事を防止する為の、ネジ・ピン・クリップによる固定装置を取付けた構成も含む。
7,上記1から6のいずれかの構成を有し、スイングアームの端部に取付けたハブステアリング式の操舵輪を備えた操舵装置において、運転者の操作により搖動する部分と、操舵輪との間の操作力伝達機構に、ギア又はリンク機構を備え、操舵を逆位相とした。尚、操舵を逆位相にしたとは、左側のグリップを手前に引いた時に、操舵輪が右転舵する装置を意味し、搖動を伝達する回転軸に1組のギアを設けて逆転させる方法や、搖動するアームで押し引きを逆転させるリンク機構などにより、逆位相とする。
8,上記7の構成において、ギア比やアーム比を所定の数値に設定する事により、操舵角によってグリップの操作荷重が変化する現象を、ほぼ打ち消す様に装置した、又は操作荷重の変化を増幅又は減衰する様に装置した。尚、半径が一定ではないギアや、リンク機構のアーム長さを所定の長さに設定する事により、操作荷重の変化が、操舵角と正比例しない様に装置した構成も含む。
9,上記1から8のいずれかの構成において、搖動するプレート又はアーム、又は左右のロッド、又は左右のグリップ部のいずれかに、車輪の制動用油圧ブレーキの、マスターシリンダーを着脱自在に取付け、又は一体化して装置し、かつ、ブレーキ用の油圧ホースは、左右への操舵操作中に、マスターシリンダーとブレーキ本体が最も近づく位置での、マスターシリンダからブレーキ本体までの直線距離に対して、5mm以上長くした。
10,上記1から9のいずれかの構成において、運転者がシートに着座した運転姿勢の状態で、膝の部分にてフレーム、又はフレームに取付けたカバーを挟む、いわゆるニーグリップによって、車両の安定を図る事が可能に構成した。即ち、運転姿勢にて膝の内側に相当する位置には、必ずフレーム又はカバーが存在する構成とし、膝が当接する部分のフレーム又はカバーを、凹状に形成した構成や、当接部にゴム製や樹脂製の緩衝材を貼り付けた構成も含む。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−91482(P2013−91482A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248051(P2011−248051)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(596098759)
【出願人】(507312482)有限会社 znug design (2)