説明

電動圧縮機のアース接続構造

【課題】簡易な構造にて電源ケーブルの接地を行い、部品点数の増加を抑えると共に、作業性の悪化を回避できる電動圧縮機のアース接続構造を提供する。
【解決手段】ハウジング2に形成されたインバータ収容部32にインバータ回路基板31を装着する電動圧縮機において、インバータ駆動回路の電源入力側(一次側)に接続される電源ケーブル48をシールド線によって構成し、このシールド線の芯線の周囲に絶縁体を介して被覆された導電性シールド材48cをインバータ収容部32に設けられた基板設置用の被取付部位に対してインバータ回路基板31と共にネジ59で共締めしてハウジング2に筐体接地する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機構と電動機とが内蔵されているハウジングの外周にインバータ装置が一体に組み付けられて構成される電動圧縮機のアース接続構造に関し、特にインバータ駆動回路の電源入力側に接続される電源ケーブルとしてのシールド線の接地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される空調装置用圧縮機として、インバータ装置が一体に組み込まれたインバータ一体型電動圧縮機が提案されている(特許文献1,2等参照)。このインバータ一体型電動圧縮機は、電動機と圧縮機構とが内蔵されるハウジングの外周にインバータ収容部を設け、その内部に高電圧電源から供給される直流電力を三相交流電力に変換して電動機に給電するインバータ装置を組み込み、このインバータ装置により電動機の回転速度を可変制御するようにしている。
このようなインバータ装置は、インバータ駆動回路のスイッチング素子をモジュール化した駆動回路モジュール等が配置されたインバータ回路基板をインバータ収容部の所定位置にネジ止め等によって設置されており、インバータ駆動回路の電源入力側(一次側)には外部の高電圧電源から電力を供給するための電源ケーブルが接続されている。
通常、この電源ケーブルは、芯線の周囲を導電性被膜からなる編組状の導電性シールド材(編組導体)で被覆したシールド線が用いられ、高電圧電源から供給される直流電力を三相交流電力に変換する際に生じるノイズの影響をこの導電性シールド材によって抑えるようにしている。このため、シールド線の導電性シールド材は、浮遊電圧による影響を抑えるために接地する必要があり、従来においては、例えば、特許文献3に示されるように、ハウジングに対して筐体接地(フレームグランド)するようにしている。
この特許文献3に示される構成は、シールド線を用いた電源ケーブルのコネクタ構造に関するもので、コネクタを圧縮機ハウジングに装着することで、電源ケーブルの接続と同時にシールド線と圧縮機ハウジングとを導通接続するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−36753
【特許文献2】特開2007−162661
【特許文献3】特開2003−239862
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した構成においては、コネクタ自体の部品点数が多く、構造が複雑になるため、コネクタ組み付け時の作業性が悪くなるという不都合がある。また、圧縮機のハウジングのコネクタ装着部分に大きなスペースが必要となり、圧縮機の小型化が図りにくくなるという不都合がある。
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構造にて電源ケーブルの接地を行い、部品点数の増加を抑えると共に、作業性の悪化を回避することが可能な電動圧縮機のアース接続構造を提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、本発明に係る電動圧縮機のアース接続構造は、ハウジング内に圧縮機構部とこの圧縮機構部を駆動する電動機とを備え、前記ハウジングに前記電動機を作動させるインバータ装置が設けられた電動圧縮機のアース接続構造であって、前記インバータ装置は、前記ハウジングに形成されたインバータ収容部にインバータ駆動回路が搭載されたインバータ回路基板を装着して構成され、前記インバータ駆動回路の電源入力側に接続される電源ケーブルをシールド線によって構成し、このシールド線の芯線の周囲を絶縁体を介して被覆する導電性シールド材を前記インバータ収容部に設けられた基板設置用の被取付部位に対して前記インバータ回路基板と共にネジで共締めすることで前記ハウジングに筐体接地したことを特徴としている。
したがって、電源ケーブルとして用いられるシールド線の導電性シールド材をインバータ回路基板をインバータ収容部に固定するための被取付部位に対してインバータ回路基板と共にネジで共締めするようにしたので、シールド線を接地するためのコネクタ装着部分を新たに設ける必要がなく、既存の構造が利用可能となる。
具体的には、前記シールド用導体を電線状に撚り合わせてシールド撚り線を形成し、その先端部に圧着端子を圧着接続し、この圧着端子を被取付部位に対して前記インバータ回路基板と共にネジで共締めするとよい。
特に、インバータ収容部が、作動流体を圧縮機構部に導く吸入経路が内部に形成されたハウジングの外側に設けられ、インバータ回路基板が、前記インバータ駆動回路のスイッチング素子をモジュール化した駆動回路モジュールを前記インバータ収容部の前記吸入経路との間を隔てる隔壁の設置面に密接させて取り付けられる場合には、前記シールド線は、前記インバータ回路基板の前記駆動回路モジュールが取り付けられている面の反対側に共締めされることが望ましい。
これは、シールド線がインバータ回路基板の駆動回路モジュールが取り付けられている面と同じ側で共締めされると、共締めされるコネクタの厚み分だけ駆動回路モジュールがこれを設置する設置面から浮いてしまい、設置面に密着させることで行われていた駆動回路モジュールの冷却が損なわれるためである。
また、インバータ回路基板の固定用孔に取り付ける部分にインバータ駆動回路の接地パターンが施されている場合には、前記ネジによる被取付部位への共締めにより、インバータ回路基板の接地も同時に行うようにしてもよい。
このような構成によれば、インバータ回路基板の設置もシールド線の接地も同じネジにより同時に行うことが可能となり、設置場所を分散させなくて済むため、インバータ回路基板の収容スペースを大きくする必要がなくなり、また、接地作業も容易となる。
【発明の効果】
【0006】
以上述べたように、本発明によれば、インバータ装置のインバータ駆動回路の電源入力側(一次側)に接続される電源ケーブルをシールド線によって構成し、このシールド線の芯線の周囲を被覆する導電性シールド材をインバータ回路基板をインバータ収容部に固定するための被取付箇所に対してインバータ回路基板と共にネジで共締めして筐体接地するようにしたので、簡易な構造にて電源ケーブルの接地を行うことができ、部品点数の増加を抑えると共に設置作業を容易に行うことが可能となる。また、導電性シールド材を接地するにあたり、新たな部品を用意する必要がなくなると共に、接地するためのコネクタ装着部分を新たに設ける必要もなくなる。
また、インバータ回路基板が、インバータ駆動回路のスイッチング素子をモジュール化した駆動回路モジュールをインバータ収容部の吸入経路との間を隔てる隔壁の設置面に密接させて取り付けられている場合には、シールド線を、インバータ回路基板の駆動回路モジュールが取り付けられている面の反対側に共締めするようにすれば、駆動回路モジュールの冷却を損なうこともなくなる。
さらに、インバータ回路基板の固定用孔にインバータ駆動回路の接地パターンが施されている場合には、ネジにより、前記インバータ回路基板の接地も同時に行うようにすることで、電源ケーブルのシールド線の接地とインバータ回路基板の接地とを同じネジにより同時に行うことが可能となり、接地作業が容易になると共に、接地場所が分散することがなくなるため、インバータ回路基板の収容スペースを大きく確保する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明に係る電動圧縮機の全体構成例を示す断面図である。
【図2】図2は、電動圧縮機のインバータ収容部に取り付けられる各部品を示す分解斜視図である。
【図3】図3は、電動圧縮機の電動機及びインバータを収容するハウジング部分を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその断面図である。
【図4】図4は、インバータ回路基板を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその底面図、(c)はその側面図である。
【図5】図5は、電動圧縮機のインバータ回路基板を取り付ける圧縮機のインバータ収容部を示す平面図であり、(a)はその全体図、(b)はシールド線を取り付ける端子部分の周辺を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1において、冷媒を作動流体とする冷凍サイクルに適した電動圧縮機1が示されている。この電動圧縮機1は、アルミ合金で構成されたハウジング2内に、図中左方において圧縮機構3を配設し、また、図中右側において圧縮機構を駆動する電動機4とを配設している。尚、図1では、図中右側を圧縮機の前方、図中左側を圧縮機の後方としている。
【0010】
ハウジング2の内部には、その中程に固定された軸支部材としてのブロック部材5とハウジング2の前壁部2aとにベアリング6,7を介して回転可能に支持された駆動軸8が設けられている。このブロック部材5によりハウジング2の内部が圧縮機構3を収納する圧縮機構収容部9aと電動機4を収納する電動機収容部9bとに画成されている。
【0011】
圧縮機構3は、固定スクロール部材10と可動スクロール部材11とを有するスクロールタイプのものが用いられており、固定スクロール部材10は、ハウジング2の後部内側において固定された円板状の基板10aと、この基板10aから前方に向かって延設された渦巻状の固定渦巻壁10bとから構成されている。
また、可動スクロール部材11は、固定スクロール部材10の前方側に対向配置されているもので、円板状の基板11aと、この基板11aから後方に向かって立設された渦巻状の可動渦巻壁11bとから構成され、駆動軸8の後端部に設けられた偏心軸8aにブッシュ12及びベアリング13を介して支持されている。尚、19は、駆動軸8の後端部に設けられるバランスウエイトである。
【0012】
固定スクロール部材10と可動スクロール部材11とは、それぞれの渦巻壁10b、11bをもって互いに噛み合わされており、それぞれの渦巻壁10b、11bの先端が相手のスクロール部材の基板10a,11aに当接されており、したがって、固定スクロール部材10の基板10aおよび固定渦巻壁10bと、可動スクロール部材11の基板11aおよび可動渦巻壁11bとによって囲まれた空間に圧縮室15が画成されている。
【0013】
また、固定スクロール部材10の外周縁とブロック部材5の後方に延びる外周壁5aとは付き合わされてピン16によって位置決めされており、可動スクロール部材11の外周縁に形成された前方へ延びる外周壁11cとブロック部材5の内側に形成された環状段部5bとは、スラスト板17を介して突き合わされている。さらに、可動スクロール部材11とブロック部材5との間には可動スクロール部材11の自転を防止するオルダムリング18が配設されている。
【0014】
ブロック部材5の外周壁5aと可動スクロール部材11の可動渦巻壁11bの最外周部との間には、後述する吸入口29から吸入経路39を介して導入された冷媒を圧縮室15に吸入する吸入室20が形成され、また、ハウジング内の固定スクロール部材10の後方には、圧縮室15で圧縮された冷媒ガスが固定スクロール部材10の略中央に形成された吐出孔21を介して吐出される吐出室22がハウジング2の後壁部2bとの間に画成されている。この吐出室22に吐出された冷媒ガスは、吐出口24から図示しない外部冷媒回路へ圧送されるようになっている。
【0015】
これに対して、ハウジング2内のブロック部材5より前方に形成された電動機収容部9bには、電動機4を構成するステータ25とロータ28とが設けられている。ステータ25は、円筒状をなす鉄心26とこれに巻回されたコイル27とで構成され、ハウジング2の内面に固定されている。また、ロータ28は、前記駆動軸8に固装されると共に、ステータ25の内側において回転可能に収容されたマグネットにより構成され、ステータ25によって形成される回転磁力により回転されるようになっている。
【0016】
そして、電動機収容部9bに臨むハウジング2の側面には、冷媒ガスを吸入する吸入口29が形成され、ステータ25とハウジング2との間の隙間や、図示しないブロック部材5とハウジング2との間、及び固定スクロール部材10とハウジング2との間に形成される隙間を介して、吸入口29から電動機収容部9bに流入した冷媒を前記吸入室20に導く吸入経路39が構成されている。
【0017】
したがって、電動機4が回転して駆動軸8が回転すると、圧縮機構3において、可動スクロール部材11が偏心軸8aにより駆動されるので、可動スクロール部材11は、固定スクロール部材10の軸心の周りを公転する。この際、可動スクロール部材11は、オルダムリング18からなる自転阻止機構によって自転が阻止されるので、公転運動のみが許容される。
【0018】
この可動スクロール部材11の公転運動により、圧縮室15が両スクロール部材の渦巻壁10b、11bの外周側から中心側へ容積を徐々に小さくしつつ移動するので、吸入室20から圧縮室15に吸入された冷媒ガスは圧縮され、この圧縮された冷媒ガスは固定スクロール部材10の基板10aに形成された吐出孔21を介して吐出室22に吐出し、吐出口24を介して外部冷媒回路へ送出される。
【0019】
このような電動圧縮機1には、図2にも示されるように、電動機4の給電制御をおこなうためのインバータ駆動回路30を搭載したインバータ回路基板31がハウジング2の前方寄りの外表面、即ち、電動機4を収容した部分の上方外表面に形成されたインバータ収容部32に収容されている。
【0020】
このインバータ収容部32は、ハウジング2の外周壁に形成された収容凹部33にオーリング34を介して蓋体35をネジ36で取り付けることにより構成されるもので、図3にも示されるように、収容凹部33の四隅にはインバータ回路基板31を固定するためのボス部(被取付部位)37が形成され、そこにネジ穴からなる固定用孔38が穿設されている。また、ハウジング2のインバータ収容部32と電動機4を収容する電動機収容部9bとの間を仕切る隔壁40のインバータ収容部32に望む部位には、後述する駆動回路モジュール54を当接する設置面41が形成されている。
【0021】
図4にも示されるように、インバータ駆動回路30には、ケーブル42を介してコネクタ43が一体に接続され、また、電動機4のステータ25にも、ケーブル44を介してコネクタ45が一体に形成されている。インバータ駆動回路30は、ハウジング2のインバータ収容部32の後部において隔壁40に設けられたターミナル(気密端子)46に上方から前記コネクタ43を接続し、また、電動機4のステータ25は、前記ターミナル46に隔壁40の下方から前記コネクタ45を接続し、インバータ駆動回路30とステータ25とをターミナル46を介して電気的に接続し、電動機4に対して駆動電流を供給するようにしている。
【0022】
このインバータ駆動回路30は、外部から供給される直流電力を多相交流電力に変換して前記電動機4に供給すると共に、外部からの制御信号に基づき、電動機4の回転速度を制御するようにしているもので、インバータ回路基板31の裏面、即ち、前記隔壁40と対峙させる面には、インバータ駆動回路30のスイッチング素子をモジュール化した駆動回路モジュール54が固定されている。この駆動回路モジュール54は、発熱素子が集積されているため、前記隔壁40に形成された設置面41に対してグリスを介して密着し、前記吸入経路39を流れる冷媒によって冷却するようにしている。
【0023】
また、インバータ駆動回路30の動作用電圧を供給する電圧線と外部で生成された電動機の要求回転数に関する信号を入力する制御線とを一体にした制御系ケーブル47と、電動機駆動用の電源を供給する電源ケーブル48とをインバータ収容部32を画成するハウジング2の側壁に形成されたケーブル挿通孔49,50を介してインバータ収容部32に導入し、制御系ケーブル47にあっては、その先端に設けられたコネクタ51をインバータ回路基板31に設けられたコネクタ受け52に接続し、電源ケーブル48にあっては、その芯線をインバータ回路基板31に設けられた電源接続コネクタ53にネジ56により接続している。
【0024】
このインバータ回路基板31に設けられた電源接続コネクタ53は、インバータ収容部32においてインバータ回路基板31を固定するためのボス部37の近傍に設けられているもので、この例では、図5にも示されるように、インバータ収容部32の後端側のケーブル挿通孔50から離れた側に設けられている。
【0025】
電源ケーブル48は、直流2線のシールド線48a,48bで構成されている。それぞれのシールド線48a,48bは、電力を供給する芯線の周囲を絶縁内被(絶縁体)を介して編組導体からなる導電性シールド材48cで覆い、さらにその周囲を絶縁外被(絶縁体)で覆うようにしているそれ自体公知のもので、プラス極を構成するシールド線48aとマイナス極を構成するシールド線48bは、それぞれの導電性シールド材48cを電線状に撚り合わせて一本の分岐線を形成している。また、それぞれのシールド線48a,48bの芯線と分岐線としての導電性シールド材48cの先端部には、圧着端子55a,55b,55cが圧着接続されている。
【0026】
そして、芯線に接続された圧着端子55a,55bにあっては、電源接続コネクタ53にネジ56によって締結され、導電性シールド材48cに接続された圧着端子55cにあっては、インバータ回路基板31を固定するネジ59により、インバータ回路基板31と共にボス部37の固定用孔38に共締めされている。
【0027】
インバータ回路基板31には、その四隅にネジ59を挿通させるねじ挿通孔57が形成され、また、電源ケーブル48の導電性シールド材(分岐線)48cの圧着端子55cを取り付けるねじ挿通孔57の周縁にかけてインバータ駆動回路30の接地パターン58が施されている。このため、導電性シールド材(分岐線)48cの先端に設けられた圧着端子55cは、インバータ回路基板31の上から接地パターン58を覆うようにねじ挿通孔57の周縁に配置され、この圧着端子55c及びねじ挿通孔57を通してボス部37の固定用孔38に螺合されるネジ59により接地パターン58に押し付けられている。
【0028】
したがって、インバータ回路基板31の接地パターン58はネジ59によってボス部37を介してハウジング2と電気的に接続され、また、電源ケーブル48の導電性シールド材(分岐線)48cもネジ59によってボス部37を介してハウジング2と電気的に接続され、インバータ回路基板31と電源ケーブル48の導電性シールド材48cとは、共に同じねじ59によって筐体接地されている。
【0029】
よって、上述の構成によれば、電源ケーブル48を構成するシールド線48a,48bの導電性シールド材48cが、インバータ回路基板31を取り付けるねじ59によって、インバータ回路基板31と共に共締めされるので、インバータ回路基板31の取付と同時に導電性シールド材48cの接地を行うことが可能となり、取付作業の簡素化を図ることが可能となる。また、電源ケーブル48の導電性シールド材48cの接地のために格別に接地場所を設ける必要がないため、インバータ収容部32の構造の簡素化、インバータ収容部32の小型化を図ることが可能となる。
【0030】
さらに、上述の構成においては、インバータ回路基板31の接地も導電性シールド材48cの接地に利用したネジ59により同時に行われるので、設置場所を分散させなくて済み、この点からもインバータ回路基板31の収容スペースの小型化、接地作業の簡易化を図ることが可能となる。
【0031】
さらにまた、上述の構成においては、電源ケーブル48のシールド線48a,48bの接地を導電性シールド材48cの先端に設けられた圧着端子55cをインバータ回路基板31の駆動回路モジュール54が設けられている側と反対側において、インバータ回路基板31と共にねじ止めしているので(ボス部37、インバータ回路基板31、圧着端子55c、ネジ59の順となるようにしているので)、インバータ回路基板31の隔壁40からの距離、即ち、駆動回路モジュール54の設置面41からの距離が導電性シールド材48cのインバータ回路基板31との共締めによって変更されることがなく、駆動回路モジュール54が設置面41から離れて冷却されにくくなる不都合がなくなる。
【符号の説明】
【0032】
1 電動圧縮機
2 ハウジング
4 電動機
30 インバータ駆動回路
31 インバータ回路基板
32 インバータ収容部
38 ネジ孔
41 設置面
48 電源ケーブル
48c 導電性シールド材
54 駆動回路モジュール
55c 圧着端子
58 接地パターン
59 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に圧縮機構部とこの圧縮機構部を駆動する電動機とを備え、前記ハウジングに前記電動機を作動させるインバータ装置が設けられた電動圧縮機のアース接続構造であって、
前記インバータ装置は、前記ハウジングに形成されたインバータ収容部にインバータ駆動回路が搭載されたインバータ回路基板を装着して構成され、前記インバータ駆動回路の電源入力側に接続される電源ケーブルをシールド線によって構成し、このシールド線の芯線の周囲を絶縁体を介して被覆する導電性シールド材を前記インバータ収容部に設けられた基板設置用の被取付部位に対して前記インバータ回路基板と共にネジで共締めすることで前記ハウジングに筐体接地したことを特徴とする電動圧縮機のアース接続構造。
【請求項2】
前記導電性シールド材は、電線状に撚り合わせてシールド撚り線を形成してその先端部に圧着端子を圧着接続し、前記圧着端子を前記被取付部位に対して前記インバータ回路基板と共にネジで共締めすることを特徴とする請求項1記載の電動圧縮機のアース接続構造。
【請求項3】
前記インバータ収容部は、作動流体を前記圧縮機構部に導く吸入経路が内部に形成されたハウジングの外側に設けられ、前記インバータ回路基板は、前記インバータ駆動回路のスイッチング素子をモジュール化した駆動回路モジュールを前記インバータ収容部の前記吸入経路との間を隔てる隔壁の設置面に密接させて取り付けられ、前記シールド線は、前記インバータ回路基板の前記駆動回路モジュールが取り付けられている面と反対側に共締めされていることを特徴とする請求項1又は2記載の電動圧縮機のアース接続構造。
【請求項4】
前記インバータ回路基板の前記被取付部位に取り付ける部分には、前記インバータ駆動回路の接地パターンが施されており、前記ネジによる前記被取付部位への共締めにより、前記インバータ回路基板の接地も同時に行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電動圧縮機のアース接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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