説明

電動工具用正転・逆転切替スイッチ

【課題】可動接片を支持部上でスライド動作させて接触する接点間の距離を確保したスイッチを提供。
【解決手段】正転・逆転切替スイッチ手段を備えた電動工具用スイッチで、第1及び第2固定接片に挟まれた中心位置に回動自在に配置してなる回動部材、回動部材に第1及び第2固定接片と直交する方向に、バネを係合するための互いに相反する反対方向に突出形成した第1及び第2ボス、第1及び第2バネ、第1及び第2バネの先端側を冠状凹部に係合させ、冠状凹部から外方向に延設して形成された接点部を有する第1及び第2可動接片、第1及び第2可動接片をシーソースライド動作させるようにして支持する第1及び第2支持接片、を備え、第1及び第2支持接片に第1及び第2可動接片を第1及び第2バネの付勢力によりシーソー状に当接させ、回動部材の回動方向に従って、第1及び第2固定接片に第1及び第2可動接片を接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動工具用正転・逆転切替スイッチに関し、詳しくは、AC電源用電動工具に使用されるモータの正転・逆転を切替える切替スイッチにおいてシーソー式可動接片を採用し可動接片の接触圧力・切替フィーリングを発生させるためにバネ反転式シーソースライド機構とした電動工具用正転・逆転切替スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術におけるモータの正転・逆転を切替える正転・逆転切替スイッチの機構は種々のものが存在し、大きく分けて、可動接片のスライド動作によって、回路を切替えモータの正転・逆転を切替える構造、又は、可動接片のシーソー動作によってモータの正転・逆転を切替える構造の正転・逆転切替スイッチが存在する。
【0003】
第1の例の正転・逆転切替スイッチは、可動接片がスライド動作する構造のスイッチであり、それは、図6に示すように、全体構成として、モータを制御する回路等が内蔵されているスイッチ本体部111、このスイッチ本体部111に搭載され切替レバー112によりモータの正転・逆転を切替える切替スイッチ部113、スイッチ本体部111に摺動軸を介在して連結されたトリガー114などから構成されている。
【0004】
切替スイッチ部113は、図7に示すように、樹脂で形成され略直方体形状に形成され、その内部に板状の固定接片を整列状態に配設した切替ケース115と、切替ケース115の略中心位置で回動自在に配置される円筒形状に形成された回動部116と、回動部116の側壁面に形成された第1可動接片収容部117に収容配置される第1可動接片118、第1可動接片118が配置される反対側の位置に第1可動接片118と同じように配置される第2可動接片121、第1可動接片118が取付けられる位置よりも上部で左側位置に設けたオシボ穴119に係合するオシボバネ119a及びオシボ119b、回動部116の上端から突出形成された中心軸125を係合する中心軸孔123及び回動部116の上部で偏心位置に突出形成された回動バー126を係合ガイドする回動バーガイド溝127を設け、図8(A)に示すように、裏側に回動部116を係合するスペースとオシボ119bがフィーリング感を出すための略四方形状に形成したスペースであるオシボ回動部129を有する回動収容部128を備えたカバー124と、円板状に形成され回動バーガイド溝127を貫通した回動バー126を連通させる連通孔136及び中心軸125を係合する中心孔121を備えた回動カバー131、とから大略構成されている。
【0005】
切替ケース115は、平板形状に形成された接触面を左右上下の所定間隔に持って整列状態で配設した4個の第1、第2、第3、第4固定接片132、133、134、135を備えている。
【0006】
回動部116は、略円筒形状に形成され、上述したように側壁面に第1可動接片バネ120a及び第1可動接片118を収容するスペースで窪んで形成された第1可動接片収容部117を設け、同じく反対側の側壁面に第2可動接片バネ120b及び第2可動接片121を収容するスペースで窪んで形成された第2可動接片収容部122を設け、第1可動接片収容部117の上部左方向の位置にオシボ穴119を設け、上端部で中心位置に突出形成した中心軸125を備え、やはり上端部で偏心した位置に切替レバー112でガイドする回動バー126を備えた構成になっている。
【0007】
第1可動接片118は、略T字型形状に形成され、中央の支持部118aに対して両側に直角に折り曲げて延設した接点部118bを有し、該接点部118bは先端部が上方向に折り曲げた構造となっている。
【0008】
第2可動接片121は、第1可動接片118と同じ形状をなし、略T字型形状に形成され、中央の支持部121aに対して両側に直角に折り曲げて延設した接点部121bを有し、該接点部121bは先端部が上方向に折り曲げた構造となっている。
【0009】
カバー124は、一部上述したように、表面側に円板形状の回動カバー131を装着するための陥没状に形成した回動カバー溝130を設け、この回動カバー溝130の反対側の裏面に回動部116を収容する大きさの円筒形状に形成した回動部収容部128を設け、回動部収容部128に連続して両端部をコーナーにしたオシボ回動部129を設けた構造となっている。
【0010】
このような各部品をカバー124に収容し、切替ケース115に組み立てるには、先ず、回動部116の第1可動接片収容部117に第1可動接片バネ120aと第1可動接片118を収容し、第2可動接片収容部122に第2可動接片バネ120bと第2可動接片121を収容し、オシボ穴119にオシボバネ119aとオシボ119bを収容して、カバー124の回動収容部128に収容する。そして、中心軸孔123に中心軸125を係合させ、回動バーガイド溝127に回動バー126を係合させた表面の回動カバー溝130に回動カバー131を装着し、その上に切替レバー112を装着する。
【0011】
このようにして組み立てられた切替スイッチ部においては、図8(A)に示すように、モータの回転が正回転の場合には、回動部116に装着された第1可動接片118の接点部118bが第2固定接片133及び第4固定接片135の接触面に接触した状態となり、第2可動接片121の接点部121bが第1固定接片132及び第3固定接片134の接触面に接触した状態となり、オシボ119bがオシボ回動部129の右側コーナーに位置した状態となっている。
【0012】
モータの回転を逆回転にするには、図8(B)に示すように、切替レバー112を回動させることで、回動部116が回動し、回動部116の回動により第1、第2可動接片118、121が第1、第2、第3、第4固定接片132、133、134、135の接触面上を摺動しながら移動する。そして、第1可動接片118の接点部118bが第3固定接片134及び第4固定接片135の接触面に接触した状態となり、第2可動接片121の接点部121bが第1固定接片132及び第2固定接片133の接触面に接触した状態となり、オシボ119bがオシボ回動部129の図で左側コーナーに位置した状態となる。オシボ119bが左側コーナーに位置することでクリック感が生じることで切り替わったことが体感できる。
【0013】
第2の例の正転・逆転切替スイッチは、図9(A)に示すもので、シーソー式可動接片であり、ケース内部において、回動部151が回動する空間に、第1固定接片152の接触部を対向する位置関係にして臨ませて配設し、同じく第1固定接片152と平行な位置で第2固定接片153の接触部を対向する位置関係にして臨ませて配設し、第1シーソー式可動接片154及び第2シーソー式可動接片155をシーソー状に摺動するように支持するコモン端子156、157を第1固定接片152と第2固定接片153との間に配設した構造となっている。そして、回動部151にバネ158を挿嵌させ互いに反対方向にオシボ161、162を装着し、この一方のオシボ161がコモン端子156に支持されている第1シーソー式可動接片154の板面に当接し、他方のオシボ162がコモン端子157に支持されている第2シーソー式可動接片155の板面に当接した構成となっている。
【0014】
このような構成における正転・逆転切替スイッチにおいて、モータを正回転に駆動させる場合には、図9(A)に示すように、一方のオシボ161が第1シーソー式可動接片154の図においてコモン端子156で支持されている位置よりも左側の板面を当接することで、コモン端子156に支持されている第1シーソー式可動接片154の接点部が第1固定接片152に接触した状態となる。同時に、他方のオシボ162が第2シーソー式可動接片155の図においてコモン端子157で支持されている位置よりも右側の板面を当接することで、コモン端子157に支持されている第2シーソー式可動接片155の接点部が第2固定接片153に接触した状態となる。
【0015】
この状態で正回転から逆回転に切替えるためには、図9(B)に示すように、オシボ161、162を搭載した回動部151を図において時計回りに回動させることで、一方のオシボ161が第1シーソー式可動接片154の表面上を摺動し、コモン端子156で支持されている箇所を通過することで、第1シーソー式可動接片154が反転して、第1固定接片152との接触状態が離れると共に反対側の接点部が第2固定接片153に接触する。
同じく、他方のオシボ162が第2シーソー式可動接片155の表面上を摺動し、コモン端子157で支持されている箇所を通過することで、第2シーソー式可動接片155が反転して、第2固定接片153との接触状態が離れると共に反対側の接点部が第1固定接片152に接触する。
このようにして、接点状態が反転することで、モータへの結線が反対となり、モータを逆回転に駆動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2002−154073
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、従来技術で説明した正転・逆転切替スイッチにおいて、第1の例の正転・逆転切替スイッチにおける、所謂、スライド式可動接片では、可動接片と固定接片との接触が金属同士の擦れとなり、可動接片乃至固定接片が直接接する構造であるために可動接片或いは固定接片が削れてしまい、その結果、接触不安定や、通電による端子部の温度が上昇する原因となっていた。
更に、スライド動作をさせる可動接片と固定接片においては、切替フィーリングがなく、樹脂部品でのカム山・別部品で構成しており、その分フィーリング発生のための部品点数が増加しているという問題もある。
更に、切替フィーリングを発生させるためにオシボを使用してカム山に乗り越える構造となっているために、そのカム山の構造及びオシボの摺動範囲が広いため、中間位置で簡単に切替レバーを止めることができ、接触不安定が発生するという問題がある。
【0018】
又、第2の例の正転・逆転切替スイッチにおける、所謂、シーソー式可動接片においては、第1の例の如く金属同士の接触がないため、金属の擦れによる磨耗等が発生しない反面、可動接片を切り替えるためのオシボが必要で、その分部品点数が増加しているという問題がある。
【0019】
従って、従来の第1の例及び第2の例の機構に対して、部品点数を増やすことなく、可動接片の接触圧力・切替フィーリングを発生させる必要があり、基本的に第1の例のスライド式可動接片ではなく、第2の例のシーソー式可動接片を採用し、且つオシボを採用したシーソー式ではなく、コイルバネを利用したバネ反転式のシーソー機構を採用する。
このバネ反転式のシーソー機構においては、先ず問題となるのが異極間の空間距離の確保を考慮しなければならず、通常のバネ反転では、可動接片の支持部接触位置の移動が限られているため、可動接片が傾いたときの異極間空間距離が短いという問題があり、その解決方法として、シーソー機構に支持部上でのスライド動作を加味した形状を採用することとし、バネ反転式シーソースライド機構とする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本願発明の電動工具用正転・逆転切替スイッチは、次に示す構成にすることである。
【0021】
(1)電動工具用正転・逆転切替スイッチは、
切替レバーにより正転又は逆転方向にモータの回転を切替える正転・逆転切替スイッチ手段を備えた電動工具用スイッチであって、
前記正転・逆転切替スイッチ手段は、
相対向する位置に配置され、可動接片と接触する接触部を内側方向に臨ませてなる第1及び第2固定接片、
前記第1及び第2固定接片に挟まれた中心位置に回動自在に配置してなる回動部材、
前記回動部材に前記第1及び第2固定接片と直交する方向に、バネを係合するための互いに相反する反対方向に突出形成した第1及び第2バネ係合ボス、
前記第1及び第2バネ係合ボスに基部側を係合させて配置してなる第1及び第2バネ、
前記第1及び第2バネの先端側を冠状凹部に係合させ、冠状凹部から外方向に延設して形成された接点部を有する第1及び第2可動接片、
前記第1及び第2可動接片をシーソースライド動作させるようにして支持する第1及び第2支持接片、
を備え、
前記第1及び第2支持接片に前記第1及び第2可動接片を前記第1及び第2バネの付勢力によりシーソー状に当接させ、前記回動部材の回動方向に従って、前記第1及び第2固定接片に前記第1及び第2可動接片を接触させることを特徴とする電動工具用正転・逆転切替スイッチ。
(2)前記第1及び第2可動接片をシーソー状に支持する第1及び第2支持接片部上を、前記第1及び第2可動接片がシーソースライド動作させるように、回動部材の前記第1及び第2バネ係合ボスが第1及び第2可動接片の第1及び第2バネ係合部の内壁に当接させることで、スライド動作させる構造としたことを特徴とする
(1)に記載の電動工具用正転・逆転切替スイッチ。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電動工具用正転・逆転切替スイッチは、支持片で支持する可動接片をシーソー状にスライド動作させ、且つバネの押圧力でシーソースライド動作させてバネ反転させて固定接片に接触させる構造としたことでスライド機構による接片同士の削れ発生を極力避けることができる。
更に、シーソースライド動作するのに、バネの押圧力を利用する構造としたことで、フィーリング用の部品を別途用意する必要がなくバネの反転力でクリック感に似たフィーリングを出すことができる。
更に、可動接片を動かすためにバネを利用して、シーソーさせ且つバネの反転力を利用して切替えるため、切替レバーを中間位置で止めることができないため確実な切替えを行うことができる。
更に、可動接片を動かすために、可動接片上に直接バネが付設されている構造としたことで、例えば、可動接片を動かすための部品、オシボ等を削減することができる。
【0023】
そして、可動接片に対してバネの反転力を利用してシーソースライド動作する構造としたことで、固定接片と可動接片の接触する位置関係が所定の異極間空間距離が確保され、例えばAC電源用電動工具の正転・逆転切替スイッチに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る電動工具用正転・逆転切替スイッチの全体斜視図である。
【図2】同、正転・逆転切替スイッチの部分のみの斜視図である。
【図3】同、正転・逆転切替スイッチを分解して示した斜視図である。
【図4】同、正転・逆転切替スイッチを図3と異なった方向からの分解して示した斜視図である。
【図5】同、スイッチの動作を示した平面図である。
【図6】従来技術における第1例の電動工具用正転・逆転切替スイッチの全体斜視図である。
【図7】同、正転・逆転切替スイッチの部分を分解して示した斜視図である。
【図8】同、スイッチの動作を示した略示的な平面図である。
【図9】従来技術における第2例のスイッチの動作を示した略示的な平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本願発明に係る電動工具用正転・逆転切替スイッチの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
本発明に係る電動工具用正転・逆転切替スイッチは、図1及び図2に示すように、全体構成として、モータを制御する回路等が内蔵されているスイッチ本体部11、このスイッチ本体部11に搭載され切替レバー12によりモータの正転・逆転を切替える切替スイッチ部13、スイッチ本体部11に摺動軸を介在して連結されたトリガー14などから構成されている。
【0027】
切替スイッチ部13は、図3及び図4に示すように、樹脂で形成され略直方体形状に形成され、その内部に可動接片を切替えるための部品を収容するスペースを備えた切替ケース15と、切替ケース15の略中心位置で回動自在に配置される円筒形状に形成された回動部16と、回動部16の側壁面に凸部形成された第1バネ係合ボス44に嵌合させる第1バネ17、第1バネ17に係合して動く第1可動接片18、第1バネ17が係合する反対側の第2バネ係合ボス45に嵌合させる第2バネ19、第2バネ19に係合して動く第2可動接片21、切替ケース15の側壁面に収容される第1固定接片22、第1固定接片22が配置される相対方向の位置に第1固定接片22と同じように配置される第2固定接片23、配置された第1及び第2固定接片22、23と直交する位置に配置されるコモン端子である第1支持接片24、第1支持接片24と対向する位置に配置されるコモン端子である第2支持接片25、図示しない切替ケース15の上部空間を塞ぐためのカバーとから大略構成されている。
【0028】
切替ケース15は、直方体形状に形成された長手方向両端部に導電性部材で形成された第1及び第2支持接片24、25を収納する第1及び第2支持接片収納部27、28を備え、短手方向両端部に導電性部材で形成された第1及び第2固定接片22、23を収納する第1及び第2固定接片収納部31、32を備え、第1及び第2支持接片収納部27、28と第1及び第2固定接片収納部31、32とで囲まれた中心位置に回動部16を回動可能に装着する回動収納部33を備えた構成になっている。
【0029】
回動収納部33は、回動部16の下部回動板部43が収納できる大きさの回動溝35を設け、切替ケース15の長手方向側に回動ボス47を差し込んでガイドするガイド溝36を設け、中心位置に回動部16の回動中心凹部46が係合する凸部である回動支持軸34を設けた構造となっている。
【0030】
回動部16は、直方体の支持部41の上下に円板形状の上部回動板部42及び下部回動板部43を設け、支持部41の側壁面に第1バネ17に嵌合する第1バネ係合ボス44を設け、この第1バネ係合ボス44の反対側の支持部41に第2バネ19に嵌合する第2バネ係合ボス45を設け、下部回動板部43の中心位置には切替ケース15の回動収納部33に設けてある回動支持軸34に係合する回動中心凹部46を設け、且つ下部回動板部43の偏心位置であってバネ係合ボス側に下方向に突出して形成した回動ボス47を設けた構造となっている。
【0031】
第1、第2バネ係合ボス44、45は、第1、第2バネ17、19の一端部側を差し込むようにして嵌合するものであり、回動するときにバネの座屈を防止する。
【0032】
第1可動接片18は、金属製の導電性部材で形成され、略コ字型形状に形成されており、第1バネ17を横方向で遊嵌できる大きさに形成された第1バネ係合部51、第1バネ係合部51から直角方向に延長して離れる方向に折り曲げて第2固定接片23に接触する第2接触部53、反対側でやはり第1バネ係合部51から直角方向に延長して離れる方向に折り曲げて第1固定接片22に接触する第1接触部52を備え、第1バネ係合部51の反対側面が第1支持接片24のシーソースライド支持部65に当接してスライド動作して且つ支点となるシーソースライド部48を備えた構造となっている。
【0033】
第2可動接片21は、第1可動接片18と同一形状に形成され、金属製の導電性部材で略コ字型形状に形成されており、第2バネ19を横方向で遊嵌できる大きさに形成された第2バネ係合部54、第2バネ係合部54から直角方向に延長して離れる方向に折り曲げて第1固定接片22に接触する第1接触部55、反対側でやはり第2バネ係合部54から直角方向に延長して離れる方向に折り曲げて第2固定接片23に接触する第2接触部56を備え、第2バネ係合部54の反対側面が第2支持接片25のシーソースライド支持部67に当接してスライド動作して且つ支点となるシーソースライド部49を備えた構造となっている。
【0034】
第1固定接片22は、金属製の導電性部材で形成され、略T字型形状に形成されており、上部位置が接続片50に係合して外部端子と接続する端子接続部57であり、下部位置であって細長い平板形状の左右上端部を内側方向にハ字型形状になるように折り曲げて、第1可動接片18の第1接触部52或いは第2可動接片21の第1接触部55と接触する第1可動接触部58と第2可動接触部59を備えた構造となっている。
【0035】
第2固定接片23は、第1固定接片22と同一形状に形成され、略T字型形状に形成されており、上部位置が接続片50に係合して外部端子と接続する端子接続部61であり、下部位置であって細長い平板形状の左右上端部を内側方向にハ字型形状になるように折り曲げて、第1可動接片18の第2接触部53或いは第2可動接片21の第2接触部56と接触する第1可動接触部62と第2可動接触部63を備えた構造となっている。
【0036】
第1支持接片24は、第1可動接片18の背面であるシーソースライド部48に当接させながらスライド動作させ、且つシーソーの支点となる、所謂、コモン端子であり、金属製の導電性部材からなる平板部材を直角に折り曲げ、基部側が接続片50と係合して外部端子と接続する端子接触部64を形成し、直角に折り曲げた側で片方縁部をコ字状に切欠いて形成された第1可動接片18を挟み込んで摺動させるためのシーソースライド支持部65を備えた構造となっている。
【0037】
第2支持接片25は、第1支持接片24と同一形状に形成され、第2可動接片21の背面であるシーソースライド部49に当接させながらスライド動作させ、且つシーソーの支点となる、所謂、コモン端子であり、金属製の導電性部材からなる平板部材を直角に折り曲げ、基部側が接続片50と係合して外部端子と接続する端子接触部66を形成し、直角に折り曲げた側で片方縁部をコ字状に切欠いて形成された第2可動接片21を挟み込んで摺動させるためのシーソースライド支持部67を備えた構造となっている。
【0038】
このような各部品を切替ケース15に収容するには、先ず、コモン端子である第1支持接片24は隙間を介してシーソースライド支持部65を回動収納部33に臨ませる状態にして第1支持接片収納部27に装着し、同じく第2支持接片25は隙間を介してシーソースライド支持部67を回動収納部33に臨ませる状態にして第2支持接片収納部28に装着する。
同様に、第1固定接片22は、切替ケース15の一方の側壁面に設けた第1固定接片収納部31に設けてある2つの貫通窓に第1可動接触部58及び第2可動接触部59を貫通させ、該接触部58、59を回動収納部33側に臨ませて装着する。
第2固定接片23は、第1固定接片22と同様に、切替ケース15の他方の側壁面に設けた第2固定接片収納部32に設けてある2つの貫通窓に第1可動接触部62及び第2可動接触部63を貫通させ、該接触部62、63を回動収納部33側に臨ませて装着する。
【0039】
次に、回動部16の第1バネ係合ボス44に第1バネ17を係合させ、第2バネ係合ボス45に第2バネ19を係合させ、第1バネ17の先端に第1可動接片18の第1バネ係合部51を付き合わせ、第2バネ19の先端に第2可動接片21の第2バネ係合部54を付き合わせ、付き合わせた第1可動接片18及び第2可動接片21の第1バネ係合部51及び第2バネ係合部54の反対側面のシーソースライド部48、49を第1支持接片24及び第2支持接片25のシーソースライド支持部65、67に係合させ、回動部16自体の回動中心凹部46を回動支持軸34に係合させ、回動ボス47をガイド溝36に係合させて回動収納部33に収納する。
【0040】
このようにして組み立てられた切替スイッチ部においては、図5(A)に示すように、モータの回転が正回転の場合の可動接片の様子を示したもので、回動部16に回動された第2可動接片21が第2バネ19で外方向に付勢された状態で、且つ第1接触部55が第1固定接片22の第1可動接触部59に接触した状態となり、この状態は第2バネ19が屈曲し曲げられた状態を戻そうとする応力が加えられているために接触部位が極めて安定した状態で接触することとなる。反対に、第1可動接片18に対しても同様に第1可動接片18が第1バネ17で外方向に付勢された状態で、且つ第2接触部53が第2固定接片23の第2可動接触部63に接触した状態となり、この状態は第1バネ17が屈曲し曲げられた状態を戻そうとする応力が加えられているために接触部位が極めて安定した状態で接触をとることができる。
【0041】
この状態で、図示しない切替レバーを操作してモータを反転させるためには、図5(B)に示すように、切替レバーを操作することで、第2可動接片21の第1接触部55が第1固定接片22の第1可動接触部58から離れるが、未だ第2バネ19の第2可動接片21を押圧する方向はやや曲げられた状態で押圧し、その押圧に対して、第2可動接片21のシーソースライド部49が第2支持接片25のシーソースライド支持部67に当接した状態を維持する。同様に、第1可動接片18の第2接触部53が第2固定接片23の第2可動接触部63から離れるが、未だ第1バネ17の第1可動接片18を押圧する方向はやや曲げられた状態で押圧し、その押圧に対して、第1可動接片18のシーソースライド部48が第1支持接片24のシーソースライド支持部65に当接した状態を維持する。
回動部16の第1及び第2バネ係合ボス44、45が第1及び第2バネ17、19と当接し、第1及び第2可動接片18、21の第1及び第2バネ係合部51、54の内壁に当接するため強制的にスライド動作させ乖離させる。
【0042】
次に、図5(C)に示すように、更に切替レバーを操作することで、回動部16が回動し、第1及び第2バネ17、19の曲がり具合がなくなると共にシーソースライド部48、49がシーソースライド支持部65、67をスライド動作し、シーソースライド部48、49の略中央位置付近で支持される。この状態は極めて不安定な状態であるため、このままこの状態を維持することなく回動方向に行こうとする。
【0043】
次に、図5(D)に示すように、更に切替レバーを回動操作することで、回動部16が回動し、第2可動接片21のシーソースライド部49がシーソースライド支持部67を摺動させて第2可動接片21自体がシーソー状に動き、シーソースライド部49の端部まで摺動させる。
同じく、第1可動接片18のシーソースライド部48をシーソースライド支持部65に摺動させて第1可動接片18自体がシーソー状に動き、シーソースライド部48の端部まで摺動させる。
【0044】
そして、図5(E)に示すように、シーソースライド部49の端部まで摺動している第2可動接片21を、その端部を支点として更なる第2バネ19の回動方向への応力により第2可動接片21の第2接触部56が第2固定接片23の第2可動接触部62に当接して接触する。このとき、第2バネ19の先端部位の屈曲による応力が第2可動接触部62方向(図でC方向)にかかり、且つ第2バネ19の付勢力が第2可動接片21を第2支持接片25方向(図でD方向)に加わるため、第2支持接片25のシーソースライド支持部67にシーソースライド部49の圧力が加わった状態で接触することになる。
【0045】
同様に、シーソースライド部48の端部まで摺動している第1可動接片18を、その端部を支点として更なる第1バネ17の回動方向への応力により第1可動接片18の第1接触部52が第1固定接片22の第2可動接触部58に当接して接触する。このとき、第1バネ17の先端部位の屈曲による応力が第2可動接触部58方向(図でE方向)にかかり、且つ第1バネ17の付勢力が第1可動接片18を第1支持接片24方向(図でF方向)に加わるため、第1支持接片24のシーソースライド支持部65にシーソースライド部48の圧力が加わった状態で接触することになる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
バネ反転式のシーソー機構を採用した接点機構で、可動接片を支持部上でスライド動作させることで接触する接点間の距離を確保したスイッチを提供する。
【符号の説明】
【0047】
11 スイッチ本体部
12 切替レバー
13 切替スイッチ部
14 トリガー
15 切替ケース
16 回動部
17 第1バネ
18 第1可動接片
19 第2バネ
21 第2可動接片
22 第1固定接片
23 第2固定接片
24 第1支持接片
25 第2支持接片
27 第1支持接片収納部
28 第2支持接片収納部
31 第1固定接片収納部
32 第2固定接片収納部
33 回動収納部
34 回動支持軸
35 回動溝
36 ガイド溝
41 支持部
42 上部回動板部
43 下部回動板部
44 第1バネ係合ボス
45 第2バネ係合ボス
46 回動中心凹部
47 回動ボス
48 シーソースライド部
49 シーソースライド部
50 接続片
51 第1バネ係合部
52 第1接触部
53 第2接触部
54 第2バネ係合部
55 第1接触部
56 第2接触部
57 端子接続部
58 第1可動接触部
59 第2可動接触部
61 端子接続部
62 第1可動接触部
63 第2可動接触部
64 接触部
65 シーソースライド支持部
66 接触部
67 シーソースライド支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切替レバーにより正転又は逆転方向にモータの回転を切替える正転・逆転切替スイッチ手段を備えた電動工具用スイッチであって、
前記正転・逆転切替スイッチ手段は、
相対向する位置に配置され、可動接片と接触する接触部を内側方向に臨ませてなる第1及び第2固定接片、
前記第1及び第2固定接片に挟まれた中心位置に回動自在に配置してなる回動部材、
前記回動部材に前記第1及び第2固定接片と直交する方向に、バネを係合するための互いに相反する反対方向に突出形成した第1及び第2バネ係合ボス、
前記第1及び第2バネ係合ボスに基部側を係合させて配置してなる第1及び第2バネ、
前記第1及び第2バネの先端側を冠状凹部に係合させ、冠状凹部から外方向に延設して形成された接点部を有する第1及び第2可動接片、
前記第1及び第2可動接片をシーソースライド動作させるようにして支持する第1及び第2支持接片、
を備え、
前記第1及び第2支持接片に前記第1及び第2可動接片を前記第1及び第2バネの付勢力によりシーソー状に当接させ、前記回動部材の回動方向に従って、前記第1及び第2固定接片に前記第1及び第2可動接片を接触させることを特徴とする電動工具用正転・逆転切替スイッチ。
【請求項2】
前記第1及び第2可動接片をシーソー状に支持する第1及び第2支持接片部上を、前記第1及び第2可動接片がシーソースライド動作させるように、回動部材の前記第1及び第2バネ係合ボスが第1及び第2可動接片の第1及び第2バネ係合部の内壁に当接させることで、スライド動作させる構造としたことを特徴とする請求項1に記載の電動工具用正転・逆転切替スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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