電動工具用集塵装置及び電動工具
【課題】フィルタの目詰まりを抑えて好適な集塵効率や寿命を維持する。
【解決手段】ハンマードリル1に装着される集塵装置30において、ダストボックス53内のフィルタ65を、出口57が設けられる蓋体55の裏面で出口57を覆う位置に、フィルタ面59をダストボックス53内へ突出させた姿勢で設けると共に、フィルタ面59と隣接するフィルタ65の側面とボックス本体54の内面との間に空間を形成して、入口56から流入する空気を空間へ向けて案内する吹出口51,51を設けた。
【解決手段】ハンマードリル1に装着される集塵装置30において、ダストボックス53内のフィルタ65を、出口57が設けられる蓋体55の裏面で出口57を覆う位置に、フィルタ面59をダストボックス53内へ突出させた姿勢で設けると共に、フィルタ面59と隣接するフィルタ65の側面とボックス本体54の内面との間に空間を形成して、入口56から流入する空気を空間へ向けて案内する吹出口51,51を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ドリルやハンマードリル等の電動工具に装着される電動工具用集塵装置と、その集塵装置を装着した電動工具とに関する。
【背景技術】
【0002】
電動ドリルやハンマードリル等の電動工具には、穿孔作業等の際に被加工材から発生する粉塵を集塵して回収する集塵装置が装着される。この電動工具用集塵装置としては、特許文献1に開示のものが知られている。ここでは、先端工具が貫通するアダプタに接続したホースを電動工具に結合されるハウジングに接続し、ハウジング内にセパレータ(ダストボックス)を着脱可能に収容している。このセパレータは、通気方向の上流側に第1開口部を、下流側に第2開口部をそれぞれ備えて内部に第1、第2開口部間を仕切る折畳み型のフィルタを設けたもので、第1開口部から流入した空気は、フィルタの端部を回り込んでフィルタを迂回してフィルタの正面からフィルタを通過する。これにより、空気と共にセパレータに流入した粉塵はフィルタで捕捉されてセパレータ内に貯留することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3448110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の電動工具用集塵装置は、空気と共に粉塵もフィルタの正面からフィルタに当接するため、天井への穿孔作業等のように電動工具と共にフィルタも上向きになる状態で使用されると、粉塵がフィルタ面に残って目詰まりが生じやすくなる。よって、集塵効率が低下し、フィルタの清掃や交換の頻度も高くなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、フィルタの目詰まりを抑えて好適な集塵効率や寿命を維持できる電動工具用集塵装置及び電動工具を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、吸込口が突設されて電動工具に装着可能なケーシングに、吸込口から吸い込んだ空気が通過する集塵経路を形成すると共に、ケーシングに設けた結合部に、フィルタを内設して当該フィルタの上流側に入口を、下流側に出口をそれぞれ備えて集塵経路の一部となるダストボックスを着脱可能に結合した電動工具用集塵装置であって、フィルタを、出口が設けられるダストボックスの内壁面で出口を覆う位置に、フィルタ面をダストボックス内へ突出させた姿勢で設けると共に、フィルタ面と隣接するフィルタの側面とダストボックスの内面との間に空間を形成して、入口から流入する空気を空間へ向けて案内する案内手段を設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、案内手段を、入口とフィルタとの間に設けられ、空気を空間に向けて案内する仕切壁を含むものとしたことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、空間を、フィルタの周囲を連続状に周回する周回空間として、仕切壁を、入口から流入する空気と周回空間との合流部分を除いて入口とフィルタとの間を閉塞するように設けて、フィルタを周回した空気が入口へ向かって流れることを防止したことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、案内手段を、入口から突出して空間へ向けて形成される吹出口を含むものとしたことを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3の構成において、案内手段を、入口から突出して空間へ向けて形成される一対の吹出口を含むものとしたことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れかの構成において、案内手段を、フィルタ面よりも内壁面へ近い位置に設けたことを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかの構成において、空間に、当該空間内を流れる空気を衝突させて減勢させる壁体を設けたことを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかの構成において、フィルタを、空間が形成される側面との直交方向で折り畳んだことを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項9に記載の発明は、電動工具であって、請求項1乃至8の何れかに記載の電動工具用集塵装置を装着したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1及び9に記載の発明によれば、ダストボックスの入口から流入する粉塵が直接フィルタ面に向かわないため、電動工具を上向きに使用してもフィルタの目詰まりを抑えて好適な集塵効率や寿命を維持することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、仕切壁によって案内手段を簡単に形成可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、周回空間の採用により、粉塵を貯留させるのに十分な空間が得られ、フィルタ面への粉塵の蓄積を効果的に防止可能となる。また、フィルタを周回した空気と入口から流入する空気との合流を防止でき、粉塵の舞い上がりをより効果的に抑制することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、吹出口によって周回空間での空気の周回をスムーズに行わせることができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項2又は3の効果に加えて、入口での空気抵抗を抑えてダストボックス内へ十分な空気量で通気できる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の何れかの効果に加えて、吹出口の位置の設定により、フィルタ面への粉塵の直接の流入をより効果的に防止することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至6の何れかの効果に加えて、壁体の採用により、空間に貯留させた粉塵を舞い上がらせるおそれが少なくなり、フィルタの目詰まり防止により好適となる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7の何れかの効果に加えて、折り目方向に沿って空気がフィルタ面を通過することになり、フィルタ面を均等に使用できて長寿命化に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】電動工具用集塵装置を装着したハンマードリルの縦断面図である。
【図2】電動工具用集塵装置の縦断面図である。
【図3】ダクトの説明図で、(A)が斜視、(B)が側面、(C)が正面をそれぞれ示す。
【図4】ダストボックス及びダクトの説明図で、(A)がボックス本体の一部を切り欠いた側面、(B)がボックス本体の一部を切り欠いた斜視をそれぞれ示す。
【図5】ボックス本体の一部を切り欠いたダストボックスの斜視図である(フィルタユニットは省略)。
【図6】変更例のフィルタユニットの説明図で、(A)が斜視、(B)が平面、(C)が縦断面をそれぞれ示す。
【図7】変更例のフィルタユニットの説明図で、(A)が斜視、(B)が平面、(C)が縦断面をそれぞれ示す。
【図8】変更例の電動工具用集塵装置の縦断面図である。
【図9】図8のA−A線断面図である。
【図10】蓋体を開いた状態のダストボックスの斜視図である。
【図11】ダストボックスの縦断面図である。
【図12】(A)は図11のB−B線断面図、(B)はC−C線断面図である。
【図13】ボックス本体の一部を切り欠いたダストボックスの変更例の斜視図である(フィルタユニットは省略)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、電動工具であるハンマードリルに電動工具用集塵装置(以下単に「集塵装置」という。)を装着した例を示し、図2は集塵装置を単体で示している。
まずハンマードリル1は、左右一対の半割ハウジングを組み付けてなるハウジング2の前側(図1の左側を前方とする。)下部にモータ3を、出力軸4を上向きにして収容しており、その上方でベベルギヤ5,5を介してトルク伝達される中間軸6に、前方から第1ギヤ7、クラッチ8、ボススリーブ9を備えている。中間軸6の上方には、先端にビット10を挿着可能なツールホルダ11が中間軸6と平行に軸支されて、その後方に遊挿されたピストンシリンダ12の後端に、ボススリーブ9にスワッシュベアリングを介して外装されたアーム13が連結されている。ピストンシリンダ12の内部には、空気室14を介してストライカ15が前後移動可能に外装されて、その前方に設けたインパクトボルト16を打撃可能としている。第1ギヤ7は、ツールホルダ11に装着された第2ギヤ17と噛合している。
【0010】
一方、ハウジング2の後側上部には、スイッチ19及びスイッチレバー20を備えたハンドル18が形成されており、ハンドル18の下方には、電源となるバッテリーパック21が装着されている。また、ハウジング2の前側下部は、前面が前下がり傾斜してバッテリーパック21の前方に突出し、集塵装置30が装着される装着部22となっている。この装着部22の内部に、モータ3のコイル、スイッチ19、バッテリーパック21と電気的接続されるコントローラ23が収容されると共に、装着部22の下面で左右方向の中央には、前端が前方へ開放する案内溝24が前後方向に凹設されている。
【0011】
また、コントローラ23の前方上側には、電源用と通信用との3つのメス端子を左右方向に並設したコネクタ25が設けられている。このコネクタ25は、前側が開口した角筒状で、左右の外面に形成した図示しない凹部と、左右の半割ハウジングの内面に突設した図示しないボスとの嵌合により、ボスを中心に上下方向へ回転可能に支持されている。さらに、コネクタ25の上面前端には、ボスを中心とした円弧状の板体であるシャッタ部26が上向きに一体形成される一方、装着部22の下面中央でコネクタ25の下方には、押圧片27が上下方向へ移動可能に保持されている。
【0012】
一方、装着部22の前面におけるコネクタ25の前方には、四角形状の差込口28が開口形成されている。コネクタ25は、シャッタ部26が差込口28の上方に退避して開口を差込口28の真後ろに位置させる上側の接続位置と、シャッタ部26が差込口28の真後ろに位置して開口を差込口28の下方に退避させる非接続位置とに回転可能となっている。但し、コネクタ25は、図示しないトーションスプリングによって、集塵装置30を装着しない状態では、シャッタ部26が差込口28を閉塞する非接続位置に回転付勢されている。この非接続位置で押圧片27は、下方へ退避したコネクタ25に押圧されて、装着部22を貫通して案内溝24内へ突出するようになっている。
【0013】
集塵装置30は、左右の半割ケーシングを組み付けてなる側面視L字状のケーシング31を有し、右上部に、ハンマードリル1の装着部22に嵌合する嵌合凹部32を形成している。ケーシング31の後方には、出力軸34を前方へ向けたモータ33が横向きに収容されると共に、その後方にコントローラ35が設けられている。また、出力軸34には集塵ファン36が固着されて、ケーシング31内に区画形成されて側面に図示しない排気口を備えた吸気室37内に収容されている。38は、吸気室37の前方でケーシング31に形成されたダストボックスの結合部で、前方のみ開口した凹状を呈し、結合部38の底となる仕切壁39には、集塵ファン36の同軸上で結合部38を吸気室37と連通させる連通孔40が形成されている。
【0014】
また、ケーシング31の上部後面には、電源用と通信用との3つの板状のオス端子41,41・・が左右方向に所定間隔をおいて並設されて、後方へ突出している。
さらに、ケーシング31の後部上面には、装着部22の案内溝24に嵌合する押圧レール42が前後方向に突設されている。この押圧レール42の後端には、後方へ行くに従って高さが低くなる傾斜面が形成されている。押圧レール42の左右両側には、装着部22の下部が嵌合可能な間隔で一対のガイドレール43,43が前後方向に立設されて、各ガイドレール43の上端に、装着部22の側面に設けた図示しない結合溝に嵌合可能な凸条44がそれぞれ内側へ向けて突設されている。
【0015】
一方、結合部38の上方には、前端が開口し後端がU字状にターンして結合部38の後方へ回り込む案内通路45が前後方向に形成されており、その案内通路45の前端に、L字状のノズル46が連結されて、吸込口47を有する先端を上向きに突出させている。このノズル46及び案内通路45には、両者に跨ってフレキシブルホース48が収容されており、フレキシブルホース48の後端には、案内通路45の後端形状に沿ってU字状に折り返した筒状のダクト49が連結されている。このダクト49は、図3に示すように、上側が円筒で下側が横長の角筒に形成され、下側の先端部50は、左右へV字状に分岐して、案内手段となる左右一対の吹出口51,51を斜め前方へ向けて開口させている。ダクト49の取付状態で、先端部50は仕切壁39を貫通して結合部38内に突出するようになっている。52は、先端部50の後方部に周設され、取付状態で仕切壁39の後面に当接して先端部50を位置決めするフランジである。
【0016】
そして、結合部38にはダストボックス53が着脱可能に装着されている。このダストボックス53は、図4,5にも示すように、直方体状のボックス本体54と、そのボックス本体54の開口にヒンジ結合される蓋体55とを備えてなる。蓋体55には、長手方向の一方側に横長矩形状の入口56が、他方側に円形の出口57がそれぞれ形成されると共に、出口57を覆う位置にフィルタユニット58が、フィルタ面59をボックス本体54内へ突出させた姿勢で設けられている。
【0017】
また、ボックス本体54の短手方向の一方の端面には、結合部38の下端に設けた左右方向の受け軸60に嵌合する溝61が、他方の端面には、結合部38の上側内面に設けた係止突部62に弾性係止する係止片63がそれぞれ形成されて、前方から溝61を受け軸60に嵌合させてダストボックス53を縦に起こすように結合部38に押し込むと、係止片63が係止突部62に係止して結合部38に装着される。この装着状態で、入口56にダクト49の先端部50が嵌合してボックス本体54内に突出し、出口57が連通孔40に対向するようになっている。
【0018】
フィルタユニット58は、蓋体55に嵌着される矩形状の枠体64に、枠体64の長手方向と平行な折り目で短手方向に折り畳まれた紙製のフィルタ65を取り付けたもので、ダストボックス53の内壁面となる蓋体55の裏面には、根元側に枠体64を嵌合させてフィルタ65の長手方向の前後端を閉塞する一対のコ字状の支持壁66,66が立設されている。これによりフィルタユニット58は、フィルタ65の左右方向の両側面と、山折り線が平行に表れるフィルタ面59とを露出させた状態で蓋体55に保持される。
【0019】
このフィルタユニット58の保持状態で、フィルタ65の側面とボックス本体54の内面との間には、左右に長手方向の空間67,67がそれぞれ形成されて、ダクト49の先端部50の吹出口51,51から左右に分かれて流入する空気が流入可能となっている。但し、空間67の入口に当たる上側の支持壁66と左右のボックス本体54の内面との間には、支持壁66の略3分の1程度の高さで空間67を塞ぐ壁体68,68がそれぞれ形成されている。
【0020】
以上の如く構成されたハンマードリル1においては、集塵装置30を装着する際には、ハンマードリル1の装着部22の下部にケーシング31のガイドレール43,43を合わせて装着部22がケーシング31の後部上に位置する状態で、装着部22に対して嵌合凹部32を前方から嵌合させるように集塵装置30を後方へスライドさせる。すると、装着部22の案内溝24に集塵装置30の押圧レール42が、結合溝にガイドレール43の凸条44がそれぞれ嵌合して後方へスライドする。このとき押圧レール42は押圧片27に当接するが、傾斜面によって押圧片27を上方へ押し上げるため、コネクタ25は、シャッタ部26が上方へ退避して開口が差込口28の真後ろに位置する接続位置へ移動する。
その後、集塵装置30のオス端子41が開放した差込口28からハウジング2内へ進入し、装着部22が嵌合凹部32へ嵌合すると同時にメス端子に挿通して電気的接続される(図1)。
【0021】
そして、ハンマードリル1のスイッチレバー20を押し込み操作してスイッチ19をONさせると、モータ3が駆動して中間軸6を回転させる。このとき、ハウジング2の外部からクラッチ8をスライド操作して、第1ギヤ7のみと係合する前進位置、ボススリーブ9のみと係合する後退位置、第1ギヤ7及びボススリーブ9と同時に係合する中間位置の何れかを選択することで、第2ギヤ17を介してツールホルダ11が回転してビット10を回転させるドリルモード、アーム13の揺動によってピストンシリンダ12を往復動させ、連動するストライカ15によってインパクトボルト16を介してビット10を打撃するハンマーモード、ツールホルダ11の回転とインパクトボルト16の打撃とを同時に行うハンマードリルモードの選択が可能となる。
【0022】
一方、スイッチ19のONによってコントローラ23は、集塵装置30のコントローラ35へ電源を供給する。よって、コントローラ35は、モータ33を駆動させて集塵ファン36を回転させる。これにより、ノズル46の吸込口47から外気が吸引され、フレキシブルホース48及びダクト49を通って先端部50の吹出口51,51からダストボックス53内に排出される。
【0023】
ここで、ダクト49の吹出口51,51から排出された空気は、図4に点線で示すように、壁体68,68に一旦衝突して減勢された後、壁体68を迂回して空間67,67に流入する。その後、フィルタユニット58の前方へ回り込んでフィルタ面59からフィルタ65を通過する。そして、出口57から連通孔40を介して吸気室37に至り、吸気室37に設けた図示しない排気口から外部へ排出される。従って、被加工材から生じた粉塵は、吸込口47に吸い込まれてノズル46及びフレキシブルホース48、ダクト49を介してダストボックス53内に進入し、フィルタ65に捕捉されてボックス本体54内に貯留することになる。
【0024】
但し、天井の穿孔作業のようにハンマードリル1を上向きにして使用する場合、空気と共にダストボックス53内に流入した粉塵の一部は、上向きとなるフィルタ面59に到達する前にフィルタ65の左右の空間67,67に貯留することになる。なお、このように粉塵が両サイドに貯留しても、ダクト49の吹出口51,51から流入する空気は壁体68,68によって減勢されるため、流入する空気によって貯留した粉塵がボックス本体54内で舞い上がることは少なくなる。
【0025】
一方、スイッチレバー20の押し込みを解除してスイッチ19をOFFさせると、モータ3が停止してビット10の回転等が停止する。しかし、コントローラ23は、集塵装置30への通電をスイッチ19のOFFから数秒間遅らせて停止させる遅延機能を備えているため、集塵装置30ではビット停止後数秒間は集塵ファン36が回転を続ける。よって、ノズル46やフレキシブルホース48等に残留した粉塵もダストボックス53へ確実に回収することができる。
【0026】
集塵装置30の取り外しは、装着時と逆に集塵装置30をハンマードリル1から前方へスライドさせると、案内溝24による押圧レール42の案内及び結合溝による凸条44の案内で集塵装置30が前方へスライドし、これに従ってオス端子41がコネクタ25から離間して差込口28から抜き取られる。その後、前進した押圧レール42による押圧片27の押し上げを解かれたコネクタ25がトーションスプリングの付勢によって非接続位置へ復帰するため、シャッタ部26が再び差込口28を閉塞することになる。
【0027】
このように、上記形態の集塵装置30及びハンマードリル1によれば、フィルタ65を、出口57が設けられる蓋体55の裏面で出口57を覆う位置に、フィルタ面59をダストボックス53内へ突出させた姿勢で設けると共に、フィルタ面59と隣接するフィルタ65の側面とボックス本体54の内面との間に空間67を形成して、入口56から流入する空気を空間67へ向けて案内する案内手段(吹出口51,51)を設けたことで、ハンマードリル1を上向きに使用しても、入口56から流入する粉塵が直接フィルタ面59に向かわない。よって、フィルタ65の目詰まりを抑えて好適な集塵効率や寿命を維持することができる。
【0028】
特にここでは、空間67を、フィルタ65の相対向する両側面とボックス本体54の内面との間にそれぞれ設けて、案内手段を、入口56から突出して両側面側の空間67,67へ向けて分岐形成される一対の吹出口51,51としているので、粉塵を貯留させるのに十分な空間67が得られる。
また、吹出口51,51を、フィルタ面59よりも蓋体55の裏面へ近い位置に設けたことで、フィルタ面59への粉塵の直接の流入をより効果的に防止することができる。
【0029】
さらに、空間67,67と吹出口51,51との間に、入口56から流入した空気を衝突させて減勢させる壁体68,68を設けているので、空間67に貯留させた粉塵を舞い上がらせるおそれが少なくなり、フィルタ65の目詰まり防止により好適となる。
加えてフィルタ65を、空間67,67が形成される側面との直交方向で折り畳んでいるので、折り目方向に沿って空気がフィルタ面59を通過することになり、フィルタ面59を均等に使用できて長寿命化に繋がる。
【0030】
なお、上記形態では、吹出口をダクトの先端部に形成しているが、これに限らず、吹出口を有する部分をダクトと別体にして蓋体の入口へ一体に設けたりしてもよい。
また、入口は蓋体の裏面側へ配置しているが、蓋体でなくボックス本体の内面に入口を設けて当該位置に吹出口を設けることも可能である。吹出口も、必ずしもフィルタ面よりも出口側の内壁面に近づける場合に限らず、吹出口の向き等によってフィルタ面に直接粉塵が当たらなければ、フィルタ面と同位置やフィルタ面の突出方向で前方位置にあっても差し支えない。
【0031】
さらに、ダストボックス自体も、集塵経路の形態によっては蓋体が上側や前側、横側にあってもよい。よって、フィルタの位置も、ダストボックス内の通気路の出口に合わせて前側の内面や下側の内面、横側の内面に変更して差し支えない。この場合、フィルタの位置に応じてダストボックスの内面との間に空間を設ければよい。空間もフィルタの両側に一対設ける形態に限定せず、フィルタの片側にのみ設けてもよいし、壁体も、高さや位置の変更は勿論、省略も可能である。
そして、ダストボックスに設ける通気路の出口は、上記形態では連通孔に対向する円形の出口としているが、フィルタユニットの枠体が嵌合する矩形状とすることもできる。この場合、図6に示すように、枠体64の端面にシール部64aを周設して仕切壁39にシール部64aの先端を当接させて枠体64と仕切壁39との間のシールを図ってもよい。また、図7に示すフィルタユニット58aのように、シール部64aの端面に溝69を周設して、二重リップとして仕切壁39に当接させることも考えられる。
【0032】
一方、上記形態では、入口からダストボックス内に吹き出された空気を、フィルタの両側の空間にそれぞれ流入させた後、フィルタの前方へ回り込ませるようにしているが、フィルタの周りを周回させてからフィルタの前方へ回り込ませるようにすることもできる。
図8〜図12はその一例を示すもので、ここに示すダストボックス53Aにおいて、蓋体55の裏面でダクト49の先端部50と支持壁66との間には、支持壁66と平行な第1の仕切壁70が、先端部50と一方の空間67Bとの間を塞ぐ格好で立設されている。この第1の仕切壁70は、他方の空間67A側では、支持壁66側へ近づくように折曲する折曲部71となって支持壁66と連結されている。但し、折曲部71の上端には切欠部72が形成されている。
【0033】
対してボックス本体54の内面には、蓋体55を閉じた状態で第1の仕切壁72に先端が近接して略同一平面上に位置する第2の仕切壁73が立設されている。この第2の仕切壁73は、空間67A側では、第1の仕切壁70の折曲部71に倣って折曲することなく、平面状のままボックス本体54に連結されている。
この第1、第2の仕切壁70,73により、先端部50とフィルタ65との間が仕切られて、ダストボックス53A内では、先端部50がある空間が空間67Aとのみ連通し、そのままフィルタ65を迂回して空間67Bに至り、さらに支持壁66と第1の仕切壁70との間を通って切欠部72から再び空間67Aと連通する周回空間74が形成されることになる。但し、周回空間74の蓋体55側では、空気が折曲部71に衝突することでボックス本体54側へ誘導される。なお、ダストボックス53Aを除いて集塵装置30及びハンマードリル1の構成は上記形態と同じである。
【0034】
よって、このダストボックス53Aによれば、ダクト49の吹出口51,51から排出された空気は、図9に点線で示すように、第1、第2の仕切壁70,73に遮られて周回空間74へ誘導される。すなわち、壁体68に一旦衝突して減勢された後、空間67Aに流入し、フィルタ65を迂回して空間67Bに流入して、再び壁体68に衝突して減勢された後、支持壁66と第1の仕切壁70との間に達する。ここで、空気の一部は折曲部71に衝突してボックス本体54側へ向きを変え、フィルタ65の前方へ回り込んでフィルタ面59からフィルタ65を通過するが、他の一部は再び切欠部72から周回空間74へ流入してフィルタ65を周回する。そして、フィルタ65を通過した空気は、出口57から連通孔40を介して吸気室37に至り、外部へ排出される。
【0035】
このように周回空間74を空気が周回することにより、空気と共にダストボックス53A内に流入した粉塵は、フィルタ65の周囲で左右の空間67A,67Bや支持壁66と第1の仕切壁70との間等に貯留することになる。特に、空間67B側の壁体68や折曲部71は、空気の減勢と共に、フィルタ65を周回した粉塵を止めて周回空間74内に貯留させる作用を生じさせる。よって、この変更例においても、入口56から流入する粉塵が直接フィルタ面59に向かわないため、ハンマードリル1を上向きに使用してもフィルタ65の目詰まりを抑えて好適な集塵効率や寿命を維持することができる。また、フィルタ65の周囲に貯留した粉塵がボックス本体54内で舞い上がることも少なくなる。
【0036】
特にここでは、フィルタ65の側面とダストボックス53Aの内面との間の空間を、フィルタ65の周囲を連続状に周回する周回空間74として、案内手段を、入口56とフィルタ65との間に設けられ、空気を周回空間74の周回方向に向けて案内する第1、第2の仕切壁70,73を含むものとしているので、第1、第2の仕切壁70,73によって案内手段が簡単に形成可能となると共に、粉塵を貯留させるのに十分な空間が得られ、フィルタ面59への粉塵の蓄積を効果的に防止可能となる。
【0037】
また、第1、第2の仕切壁70,73を、入口56から流入する空気と周回空間74との合流部分を除いて入口56とフィルタ65との間を閉塞するように設けて、フィルタ65を周回した空気が入口56へ向かって流れることを防止しているので、周回した空気と入口56から流入する空気との合流を防止でき、粉塵の舞い上がりをより効果的に抑制することができる。
さらに、案内手段を、入口56から突出して周回空間74へ向けて形成される吹出口51を含むものとしたことで、周回空間74での空気の周回をスムーズに行わせることができる。特に、吹出口51が一対であるので、入口56での空気抵抗を抑えてダストボックス53A内へ十分な空気量で通気できる。
【0038】
なお、この変更例では、ダクト49の先端部50に一対の吹出口51,51を設けているが、空間67Aから遠い側の吹出口51をなくして、空間67Aに近い吹出口51のみを設けて周回空間74に向けて排出するようにしてもよい。
また、折曲部71及び切欠部72の位置を先の変更例と逆にして、空間67B側から周回するように周回方向を変えても差し支えない。
【0039】
さらに、仕切壁は、周回空間に空気を案内できるものであれば、折曲部又は切欠部をなくしたり、何れか一方の仕切壁をなくして蓋体或いはボックス本体の何れか一方にのみ仕切壁を設けたりしてもよい。但し、上記形態のように蓋体がヒンジによって開閉される構造であれば、上記変更例のように蓋体とボックス本体とのそれぞれに仕切壁を設ければ、仕切壁の突出量が抑えられて蓋体の開閉時の干渉が回避される。
加えて、仕切壁で必ずしもダストボックス内を完全に仕切る必要はなく、例えば上記変更例では第2の仕切壁をなくして蓋体に第1の仕切壁のみを設けても、空気の周回は可能である。
【0040】
そして、仕切壁自体をなくして、例えば図13に示すように、先端部50の吹出口51を何れか一方の周回方向(図13では空間67A側のみとしている)にのみ向けて設けることで、フィルタ65の周回空間74を空気が周回するようにしてもよい。この場合、先端部を周回空間74に向けて突出するノズル形状としたりすることも考えられる。
逆に、ダクトを吹出口を有する先端部のように突出させず、入口とフィルタとの間に設ける仕切壁のみで空気を案内してフィルタの周囲を周回させることも可能である。
【0041】
その他、ハンマードリルの形態も、モータやバッテリーパックの配置の変更の他、コネクタを回転でなく上下又は左右方向で接続位置と非接続位置との間をスライド可能に設けて、コイルバネや板バネ等の付勢手段で非接続位置へ付勢したりできる。集塵装置への電源供給も、オス端子とメス端子との関係を逆にしたり、端子の差し込みに代えて、装着部と嵌合凹部との結合部分に互いに当接する端子部を設けたり等、適宜変更可能である。勿論ハンマードリルに限らず、集塵装置を装着可能であれば、電動ドリル等の他の電動工具であっても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1・・ハンマードリル、2・・ハウジング、3,33・・モータ、4,34・・出力軸、6・・中間軸、10・・ビット、11・・ツールホルダ、21・・バッテリーパック、22・・装着部、23,35・・コントローラ、25・・コネクタ、30・・集塵装置、31・・ケーシング、32・・嵌合凹部、36・・集塵ファン、38・・結合部、40・・連通孔、46・・ノズル、47・・吸込口、49・・ダクト、50・・先端部、51・・吹出口、53,53A・・ダストボックス、54・・ボックス本体、55・・蓋体、56・・入口、57・・出口、58,58a・・フィルタユニット、59・・フィルタ面、65・・フィルタ、66・・支持壁、67,67A,67B・・空間、68・・壁体、70・・第1の仕切壁、71・・折曲部、72・・切欠部、73・・第2の仕切壁、74・・周回空間。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ドリルやハンマードリル等の電動工具に装着される電動工具用集塵装置と、その集塵装置を装着した電動工具とに関する。
【背景技術】
【0002】
電動ドリルやハンマードリル等の電動工具には、穿孔作業等の際に被加工材から発生する粉塵を集塵して回収する集塵装置が装着される。この電動工具用集塵装置としては、特許文献1に開示のものが知られている。ここでは、先端工具が貫通するアダプタに接続したホースを電動工具に結合されるハウジングに接続し、ハウジング内にセパレータ(ダストボックス)を着脱可能に収容している。このセパレータは、通気方向の上流側に第1開口部を、下流側に第2開口部をそれぞれ備えて内部に第1、第2開口部間を仕切る折畳み型のフィルタを設けたもので、第1開口部から流入した空気は、フィルタの端部を回り込んでフィルタを迂回してフィルタの正面からフィルタを通過する。これにより、空気と共にセパレータに流入した粉塵はフィルタで捕捉されてセパレータ内に貯留することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3448110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の電動工具用集塵装置は、空気と共に粉塵もフィルタの正面からフィルタに当接するため、天井への穿孔作業等のように電動工具と共にフィルタも上向きになる状態で使用されると、粉塵がフィルタ面に残って目詰まりが生じやすくなる。よって、集塵効率が低下し、フィルタの清掃や交換の頻度も高くなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、フィルタの目詰まりを抑えて好適な集塵効率や寿命を維持できる電動工具用集塵装置及び電動工具を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、吸込口が突設されて電動工具に装着可能なケーシングに、吸込口から吸い込んだ空気が通過する集塵経路を形成すると共に、ケーシングに設けた結合部に、フィルタを内設して当該フィルタの上流側に入口を、下流側に出口をそれぞれ備えて集塵経路の一部となるダストボックスを着脱可能に結合した電動工具用集塵装置であって、フィルタを、出口が設けられるダストボックスの内壁面で出口を覆う位置に、フィルタ面をダストボックス内へ突出させた姿勢で設けると共に、フィルタ面と隣接するフィルタの側面とダストボックスの内面との間に空間を形成して、入口から流入する空気を空間へ向けて案内する案内手段を設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、案内手段を、入口とフィルタとの間に設けられ、空気を空間に向けて案内する仕切壁を含むものとしたことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、空間を、フィルタの周囲を連続状に周回する周回空間として、仕切壁を、入口から流入する空気と周回空間との合流部分を除いて入口とフィルタとの間を閉塞するように設けて、フィルタを周回した空気が入口へ向かって流れることを防止したことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、案内手段を、入口から突出して空間へ向けて形成される吹出口を含むものとしたことを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3の構成において、案内手段を、入口から突出して空間へ向けて形成される一対の吹出口を含むものとしたことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れかの構成において、案内手段を、フィルタ面よりも内壁面へ近い位置に設けたことを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかの構成において、空間に、当該空間内を流れる空気を衝突させて減勢させる壁体を設けたことを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかの構成において、フィルタを、空間が形成される側面との直交方向で折り畳んだことを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項9に記載の発明は、電動工具であって、請求項1乃至8の何れかに記載の電動工具用集塵装置を装着したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1及び9に記載の発明によれば、ダストボックスの入口から流入する粉塵が直接フィルタ面に向かわないため、電動工具を上向きに使用してもフィルタの目詰まりを抑えて好適な集塵効率や寿命を維持することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、仕切壁によって案内手段を簡単に形成可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、周回空間の採用により、粉塵を貯留させるのに十分な空間が得られ、フィルタ面への粉塵の蓄積を効果的に防止可能となる。また、フィルタを周回した空気と入口から流入する空気との合流を防止でき、粉塵の舞い上がりをより効果的に抑制することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、吹出口によって周回空間での空気の周回をスムーズに行わせることができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項2又は3の効果に加えて、入口での空気抵抗を抑えてダストボックス内へ十分な空気量で通気できる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の何れかの効果に加えて、吹出口の位置の設定により、フィルタ面への粉塵の直接の流入をより効果的に防止することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至6の何れかの効果に加えて、壁体の採用により、空間に貯留させた粉塵を舞い上がらせるおそれが少なくなり、フィルタの目詰まり防止により好適となる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7の何れかの効果に加えて、折り目方向に沿って空気がフィルタ面を通過することになり、フィルタ面を均等に使用できて長寿命化に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】電動工具用集塵装置を装着したハンマードリルの縦断面図である。
【図2】電動工具用集塵装置の縦断面図である。
【図3】ダクトの説明図で、(A)が斜視、(B)が側面、(C)が正面をそれぞれ示す。
【図4】ダストボックス及びダクトの説明図で、(A)がボックス本体の一部を切り欠いた側面、(B)がボックス本体の一部を切り欠いた斜視をそれぞれ示す。
【図5】ボックス本体の一部を切り欠いたダストボックスの斜視図である(フィルタユニットは省略)。
【図6】変更例のフィルタユニットの説明図で、(A)が斜視、(B)が平面、(C)が縦断面をそれぞれ示す。
【図7】変更例のフィルタユニットの説明図で、(A)が斜視、(B)が平面、(C)が縦断面をそれぞれ示す。
【図8】変更例の電動工具用集塵装置の縦断面図である。
【図9】図8のA−A線断面図である。
【図10】蓋体を開いた状態のダストボックスの斜視図である。
【図11】ダストボックスの縦断面図である。
【図12】(A)は図11のB−B線断面図、(B)はC−C線断面図である。
【図13】ボックス本体の一部を切り欠いたダストボックスの変更例の斜視図である(フィルタユニットは省略)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、電動工具であるハンマードリルに電動工具用集塵装置(以下単に「集塵装置」という。)を装着した例を示し、図2は集塵装置を単体で示している。
まずハンマードリル1は、左右一対の半割ハウジングを組み付けてなるハウジング2の前側(図1の左側を前方とする。)下部にモータ3を、出力軸4を上向きにして収容しており、その上方でベベルギヤ5,5を介してトルク伝達される中間軸6に、前方から第1ギヤ7、クラッチ8、ボススリーブ9を備えている。中間軸6の上方には、先端にビット10を挿着可能なツールホルダ11が中間軸6と平行に軸支されて、その後方に遊挿されたピストンシリンダ12の後端に、ボススリーブ9にスワッシュベアリングを介して外装されたアーム13が連結されている。ピストンシリンダ12の内部には、空気室14を介してストライカ15が前後移動可能に外装されて、その前方に設けたインパクトボルト16を打撃可能としている。第1ギヤ7は、ツールホルダ11に装着された第2ギヤ17と噛合している。
【0010】
一方、ハウジング2の後側上部には、スイッチ19及びスイッチレバー20を備えたハンドル18が形成されており、ハンドル18の下方には、電源となるバッテリーパック21が装着されている。また、ハウジング2の前側下部は、前面が前下がり傾斜してバッテリーパック21の前方に突出し、集塵装置30が装着される装着部22となっている。この装着部22の内部に、モータ3のコイル、スイッチ19、バッテリーパック21と電気的接続されるコントローラ23が収容されると共に、装着部22の下面で左右方向の中央には、前端が前方へ開放する案内溝24が前後方向に凹設されている。
【0011】
また、コントローラ23の前方上側には、電源用と通信用との3つのメス端子を左右方向に並設したコネクタ25が設けられている。このコネクタ25は、前側が開口した角筒状で、左右の外面に形成した図示しない凹部と、左右の半割ハウジングの内面に突設した図示しないボスとの嵌合により、ボスを中心に上下方向へ回転可能に支持されている。さらに、コネクタ25の上面前端には、ボスを中心とした円弧状の板体であるシャッタ部26が上向きに一体形成される一方、装着部22の下面中央でコネクタ25の下方には、押圧片27が上下方向へ移動可能に保持されている。
【0012】
一方、装着部22の前面におけるコネクタ25の前方には、四角形状の差込口28が開口形成されている。コネクタ25は、シャッタ部26が差込口28の上方に退避して開口を差込口28の真後ろに位置させる上側の接続位置と、シャッタ部26が差込口28の真後ろに位置して開口を差込口28の下方に退避させる非接続位置とに回転可能となっている。但し、コネクタ25は、図示しないトーションスプリングによって、集塵装置30を装着しない状態では、シャッタ部26が差込口28を閉塞する非接続位置に回転付勢されている。この非接続位置で押圧片27は、下方へ退避したコネクタ25に押圧されて、装着部22を貫通して案内溝24内へ突出するようになっている。
【0013】
集塵装置30は、左右の半割ケーシングを組み付けてなる側面視L字状のケーシング31を有し、右上部に、ハンマードリル1の装着部22に嵌合する嵌合凹部32を形成している。ケーシング31の後方には、出力軸34を前方へ向けたモータ33が横向きに収容されると共に、その後方にコントローラ35が設けられている。また、出力軸34には集塵ファン36が固着されて、ケーシング31内に区画形成されて側面に図示しない排気口を備えた吸気室37内に収容されている。38は、吸気室37の前方でケーシング31に形成されたダストボックスの結合部で、前方のみ開口した凹状を呈し、結合部38の底となる仕切壁39には、集塵ファン36の同軸上で結合部38を吸気室37と連通させる連通孔40が形成されている。
【0014】
また、ケーシング31の上部後面には、電源用と通信用との3つの板状のオス端子41,41・・が左右方向に所定間隔をおいて並設されて、後方へ突出している。
さらに、ケーシング31の後部上面には、装着部22の案内溝24に嵌合する押圧レール42が前後方向に突設されている。この押圧レール42の後端には、後方へ行くに従って高さが低くなる傾斜面が形成されている。押圧レール42の左右両側には、装着部22の下部が嵌合可能な間隔で一対のガイドレール43,43が前後方向に立設されて、各ガイドレール43の上端に、装着部22の側面に設けた図示しない結合溝に嵌合可能な凸条44がそれぞれ内側へ向けて突設されている。
【0015】
一方、結合部38の上方には、前端が開口し後端がU字状にターンして結合部38の後方へ回り込む案内通路45が前後方向に形成されており、その案内通路45の前端に、L字状のノズル46が連結されて、吸込口47を有する先端を上向きに突出させている。このノズル46及び案内通路45には、両者に跨ってフレキシブルホース48が収容されており、フレキシブルホース48の後端には、案内通路45の後端形状に沿ってU字状に折り返した筒状のダクト49が連結されている。このダクト49は、図3に示すように、上側が円筒で下側が横長の角筒に形成され、下側の先端部50は、左右へV字状に分岐して、案内手段となる左右一対の吹出口51,51を斜め前方へ向けて開口させている。ダクト49の取付状態で、先端部50は仕切壁39を貫通して結合部38内に突出するようになっている。52は、先端部50の後方部に周設され、取付状態で仕切壁39の後面に当接して先端部50を位置決めするフランジである。
【0016】
そして、結合部38にはダストボックス53が着脱可能に装着されている。このダストボックス53は、図4,5にも示すように、直方体状のボックス本体54と、そのボックス本体54の開口にヒンジ結合される蓋体55とを備えてなる。蓋体55には、長手方向の一方側に横長矩形状の入口56が、他方側に円形の出口57がそれぞれ形成されると共に、出口57を覆う位置にフィルタユニット58が、フィルタ面59をボックス本体54内へ突出させた姿勢で設けられている。
【0017】
また、ボックス本体54の短手方向の一方の端面には、結合部38の下端に設けた左右方向の受け軸60に嵌合する溝61が、他方の端面には、結合部38の上側内面に設けた係止突部62に弾性係止する係止片63がそれぞれ形成されて、前方から溝61を受け軸60に嵌合させてダストボックス53を縦に起こすように結合部38に押し込むと、係止片63が係止突部62に係止して結合部38に装着される。この装着状態で、入口56にダクト49の先端部50が嵌合してボックス本体54内に突出し、出口57が連通孔40に対向するようになっている。
【0018】
フィルタユニット58は、蓋体55に嵌着される矩形状の枠体64に、枠体64の長手方向と平行な折り目で短手方向に折り畳まれた紙製のフィルタ65を取り付けたもので、ダストボックス53の内壁面となる蓋体55の裏面には、根元側に枠体64を嵌合させてフィルタ65の長手方向の前後端を閉塞する一対のコ字状の支持壁66,66が立設されている。これによりフィルタユニット58は、フィルタ65の左右方向の両側面と、山折り線が平行に表れるフィルタ面59とを露出させた状態で蓋体55に保持される。
【0019】
このフィルタユニット58の保持状態で、フィルタ65の側面とボックス本体54の内面との間には、左右に長手方向の空間67,67がそれぞれ形成されて、ダクト49の先端部50の吹出口51,51から左右に分かれて流入する空気が流入可能となっている。但し、空間67の入口に当たる上側の支持壁66と左右のボックス本体54の内面との間には、支持壁66の略3分の1程度の高さで空間67を塞ぐ壁体68,68がそれぞれ形成されている。
【0020】
以上の如く構成されたハンマードリル1においては、集塵装置30を装着する際には、ハンマードリル1の装着部22の下部にケーシング31のガイドレール43,43を合わせて装着部22がケーシング31の後部上に位置する状態で、装着部22に対して嵌合凹部32を前方から嵌合させるように集塵装置30を後方へスライドさせる。すると、装着部22の案内溝24に集塵装置30の押圧レール42が、結合溝にガイドレール43の凸条44がそれぞれ嵌合して後方へスライドする。このとき押圧レール42は押圧片27に当接するが、傾斜面によって押圧片27を上方へ押し上げるため、コネクタ25は、シャッタ部26が上方へ退避して開口が差込口28の真後ろに位置する接続位置へ移動する。
その後、集塵装置30のオス端子41が開放した差込口28からハウジング2内へ進入し、装着部22が嵌合凹部32へ嵌合すると同時にメス端子に挿通して電気的接続される(図1)。
【0021】
そして、ハンマードリル1のスイッチレバー20を押し込み操作してスイッチ19をONさせると、モータ3が駆動して中間軸6を回転させる。このとき、ハウジング2の外部からクラッチ8をスライド操作して、第1ギヤ7のみと係合する前進位置、ボススリーブ9のみと係合する後退位置、第1ギヤ7及びボススリーブ9と同時に係合する中間位置の何れかを選択することで、第2ギヤ17を介してツールホルダ11が回転してビット10を回転させるドリルモード、アーム13の揺動によってピストンシリンダ12を往復動させ、連動するストライカ15によってインパクトボルト16を介してビット10を打撃するハンマーモード、ツールホルダ11の回転とインパクトボルト16の打撃とを同時に行うハンマードリルモードの選択が可能となる。
【0022】
一方、スイッチ19のONによってコントローラ23は、集塵装置30のコントローラ35へ電源を供給する。よって、コントローラ35は、モータ33を駆動させて集塵ファン36を回転させる。これにより、ノズル46の吸込口47から外気が吸引され、フレキシブルホース48及びダクト49を通って先端部50の吹出口51,51からダストボックス53内に排出される。
【0023】
ここで、ダクト49の吹出口51,51から排出された空気は、図4に点線で示すように、壁体68,68に一旦衝突して減勢された後、壁体68を迂回して空間67,67に流入する。その後、フィルタユニット58の前方へ回り込んでフィルタ面59からフィルタ65を通過する。そして、出口57から連通孔40を介して吸気室37に至り、吸気室37に設けた図示しない排気口から外部へ排出される。従って、被加工材から生じた粉塵は、吸込口47に吸い込まれてノズル46及びフレキシブルホース48、ダクト49を介してダストボックス53内に進入し、フィルタ65に捕捉されてボックス本体54内に貯留することになる。
【0024】
但し、天井の穿孔作業のようにハンマードリル1を上向きにして使用する場合、空気と共にダストボックス53内に流入した粉塵の一部は、上向きとなるフィルタ面59に到達する前にフィルタ65の左右の空間67,67に貯留することになる。なお、このように粉塵が両サイドに貯留しても、ダクト49の吹出口51,51から流入する空気は壁体68,68によって減勢されるため、流入する空気によって貯留した粉塵がボックス本体54内で舞い上がることは少なくなる。
【0025】
一方、スイッチレバー20の押し込みを解除してスイッチ19をOFFさせると、モータ3が停止してビット10の回転等が停止する。しかし、コントローラ23は、集塵装置30への通電をスイッチ19のOFFから数秒間遅らせて停止させる遅延機能を備えているため、集塵装置30ではビット停止後数秒間は集塵ファン36が回転を続ける。よって、ノズル46やフレキシブルホース48等に残留した粉塵もダストボックス53へ確実に回収することができる。
【0026】
集塵装置30の取り外しは、装着時と逆に集塵装置30をハンマードリル1から前方へスライドさせると、案内溝24による押圧レール42の案内及び結合溝による凸条44の案内で集塵装置30が前方へスライドし、これに従ってオス端子41がコネクタ25から離間して差込口28から抜き取られる。その後、前進した押圧レール42による押圧片27の押し上げを解かれたコネクタ25がトーションスプリングの付勢によって非接続位置へ復帰するため、シャッタ部26が再び差込口28を閉塞することになる。
【0027】
このように、上記形態の集塵装置30及びハンマードリル1によれば、フィルタ65を、出口57が設けられる蓋体55の裏面で出口57を覆う位置に、フィルタ面59をダストボックス53内へ突出させた姿勢で設けると共に、フィルタ面59と隣接するフィルタ65の側面とボックス本体54の内面との間に空間67を形成して、入口56から流入する空気を空間67へ向けて案内する案内手段(吹出口51,51)を設けたことで、ハンマードリル1を上向きに使用しても、入口56から流入する粉塵が直接フィルタ面59に向かわない。よって、フィルタ65の目詰まりを抑えて好適な集塵効率や寿命を維持することができる。
【0028】
特にここでは、空間67を、フィルタ65の相対向する両側面とボックス本体54の内面との間にそれぞれ設けて、案内手段を、入口56から突出して両側面側の空間67,67へ向けて分岐形成される一対の吹出口51,51としているので、粉塵を貯留させるのに十分な空間67が得られる。
また、吹出口51,51を、フィルタ面59よりも蓋体55の裏面へ近い位置に設けたことで、フィルタ面59への粉塵の直接の流入をより効果的に防止することができる。
【0029】
さらに、空間67,67と吹出口51,51との間に、入口56から流入した空気を衝突させて減勢させる壁体68,68を設けているので、空間67に貯留させた粉塵を舞い上がらせるおそれが少なくなり、フィルタ65の目詰まり防止により好適となる。
加えてフィルタ65を、空間67,67が形成される側面との直交方向で折り畳んでいるので、折り目方向に沿って空気がフィルタ面59を通過することになり、フィルタ面59を均等に使用できて長寿命化に繋がる。
【0030】
なお、上記形態では、吹出口をダクトの先端部に形成しているが、これに限らず、吹出口を有する部分をダクトと別体にして蓋体の入口へ一体に設けたりしてもよい。
また、入口は蓋体の裏面側へ配置しているが、蓋体でなくボックス本体の内面に入口を設けて当該位置に吹出口を設けることも可能である。吹出口も、必ずしもフィルタ面よりも出口側の内壁面に近づける場合に限らず、吹出口の向き等によってフィルタ面に直接粉塵が当たらなければ、フィルタ面と同位置やフィルタ面の突出方向で前方位置にあっても差し支えない。
【0031】
さらに、ダストボックス自体も、集塵経路の形態によっては蓋体が上側や前側、横側にあってもよい。よって、フィルタの位置も、ダストボックス内の通気路の出口に合わせて前側の内面や下側の内面、横側の内面に変更して差し支えない。この場合、フィルタの位置に応じてダストボックスの内面との間に空間を設ければよい。空間もフィルタの両側に一対設ける形態に限定せず、フィルタの片側にのみ設けてもよいし、壁体も、高さや位置の変更は勿論、省略も可能である。
そして、ダストボックスに設ける通気路の出口は、上記形態では連通孔に対向する円形の出口としているが、フィルタユニットの枠体が嵌合する矩形状とすることもできる。この場合、図6に示すように、枠体64の端面にシール部64aを周設して仕切壁39にシール部64aの先端を当接させて枠体64と仕切壁39との間のシールを図ってもよい。また、図7に示すフィルタユニット58aのように、シール部64aの端面に溝69を周設して、二重リップとして仕切壁39に当接させることも考えられる。
【0032】
一方、上記形態では、入口からダストボックス内に吹き出された空気を、フィルタの両側の空間にそれぞれ流入させた後、フィルタの前方へ回り込ませるようにしているが、フィルタの周りを周回させてからフィルタの前方へ回り込ませるようにすることもできる。
図8〜図12はその一例を示すもので、ここに示すダストボックス53Aにおいて、蓋体55の裏面でダクト49の先端部50と支持壁66との間には、支持壁66と平行な第1の仕切壁70が、先端部50と一方の空間67Bとの間を塞ぐ格好で立設されている。この第1の仕切壁70は、他方の空間67A側では、支持壁66側へ近づくように折曲する折曲部71となって支持壁66と連結されている。但し、折曲部71の上端には切欠部72が形成されている。
【0033】
対してボックス本体54の内面には、蓋体55を閉じた状態で第1の仕切壁72に先端が近接して略同一平面上に位置する第2の仕切壁73が立設されている。この第2の仕切壁73は、空間67A側では、第1の仕切壁70の折曲部71に倣って折曲することなく、平面状のままボックス本体54に連結されている。
この第1、第2の仕切壁70,73により、先端部50とフィルタ65との間が仕切られて、ダストボックス53A内では、先端部50がある空間が空間67Aとのみ連通し、そのままフィルタ65を迂回して空間67Bに至り、さらに支持壁66と第1の仕切壁70との間を通って切欠部72から再び空間67Aと連通する周回空間74が形成されることになる。但し、周回空間74の蓋体55側では、空気が折曲部71に衝突することでボックス本体54側へ誘導される。なお、ダストボックス53Aを除いて集塵装置30及びハンマードリル1の構成は上記形態と同じである。
【0034】
よって、このダストボックス53Aによれば、ダクト49の吹出口51,51から排出された空気は、図9に点線で示すように、第1、第2の仕切壁70,73に遮られて周回空間74へ誘導される。すなわち、壁体68に一旦衝突して減勢された後、空間67Aに流入し、フィルタ65を迂回して空間67Bに流入して、再び壁体68に衝突して減勢された後、支持壁66と第1の仕切壁70との間に達する。ここで、空気の一部は折曲部71に衝突してボックス本体54側へ向きを変え、フィルタ65の前方へ回り込んでフィルタ面59からフィルタ65を通過するが、他の一部は再び切欠部72から周回空間74へ流入してフィルタ65を周回する。そして、フィルタ65を通過した空気は、出口57から連通孔40を介して吸気室37に至り、外部へ排出される。
【0035】
このように周回空間74を空気が周回することにより、空気と共にダストボックス53A内に流入した粉塵は、フィルタ65の周囲で左右の空間67A,67Bや支持壁66と第1の仕切壁70との間等に貯留することになる。特に、空間67B側の壁体68や折曲部71は、空気の減勢と共に、フィルタ65を周回した粉塵を止めて周回空間74内に貯留させる作用を生じさせる。よって、この変更例においても、入口56から流入する粉塵が直接フィルタ面59に向かわないため、ハンマードリル1を上向きに使用してもフィルタ65の目詰まりを抑えて好適な集塵効率や寿命を維持することができる。また、フィルタ65の周囲に貯留した粉塵がボックス本体54内で舞い上がることも少なくなる。
【0036】
特にここでは、フィルタ65の側面とダストボックス53Aの内面との間の空間を、フィルタ65の周囲を連続状に周回する周回空間74として、案内手段を、入口56とフィルタ65との間に設けられ、空気を周回空間74の周回方向に向けて案内する第1、第2の仕切壁70,73を含むものとしているので、第1、第2の仕切壁70,73によって案内手段が簡単に形成可能となると共に、粉塵を貯留させるのに十分な空間が得られ、フィルタ面59への粉塵の蓄積を効果的に防止可能となる。
【0037】
また、第1、第2の仕切壁70,73を、入口56から流入する空気と周回空間74との合流部分を除いて入口56とフィルタ65との間を閉塞するように設けて、フィルタ65を周回した空気が入口56へ向かって流れることを防止しているので、周回した空気と入口56から流入する空気との合流を防止でき、粉塵の舞い上がりをより効果的に抑制することができる。
さらに、案内手段を、入口56から突出して周回空間74へ向けて形成される吹出口51を含むものとしたことで、周回空間74での空気の周回をスムーズに行わせることができる。特に、吹出口51が一対であるので、入口56での空気抵抗を抑えてダストボックス53A内へ十分な空気量で通気できる。
【0038】
なお、この変更例では、ダクト49の先端部50に一対の吹出口51,51を設けているが、空間67Aから遠い側の吹出口51をなくして、空間67Aに近い吹出口51のみを設けて周回空間74に向けて排出するようにしてもよい。
また、折曲部71及び切欠部72の位置を先の変更例と逆にして、空間67B側から周回するように周回方向を変えても差し支えない。
【0039】
さらに、仕切壁は、周回空間に空気を案内できるものであれば、折曲部又は切欠部をなくしたり、何れか一方の仕切壁をなくして蓋体或いはボックス本体の何れか一方にのみ仕切壁を設けたりしてもよい。但し、上記形態のように蓋体がヒンジによって開閉される構造であれば、上記変更例のように蓋体とボックス本体とのそれぞれに仕切壁を設ければ、仕切壁の突出量が抑えられて蓋体の開閉時の干渉が回避される。
加えて、仕切壁で必ずしもダストボックス内を完全に仕切る必要はなく、例えば上記変更例では第2の仕切壁をなくして蓋体に第1の仕切壁のみを設けても、空気の周回は可能である。
【0040】
そして、仕切壁自体をなくして、例えば図13に示すように、先端部50の吹出口51を何れか一方の周回方向(図13では空間67A側のみとしている)にのみ向けて設けることで、フィルタ65の周回空間74を空気が周回するようにしてもよい。この場合、先端部を周回空間74に向けて突出するノズル形状としたりすることも考えられる。
逆に、ダクトを吹出口を有する先端部のように突出させず、入口とフィルタとの間に設ける仕切壁のみで空気を案内してフィルタの周囲を周回させることも可能である。
【0041】
その他、ハンマードリルの形態も、モータやバッテリーパックの配置の変更の他、コネクタを回転でなく上下又は左右方向で接続位置と非接続位置との間をスライド可能に設けて、コイルバネや板バネ等の付勢手段で非接続位置へ付勢したりできる。集塵装置への電源供給も、オス端子とメス端子との関係を逆にしたり、端子の差し込みに代えて、装着部と嵌合凹部との結合部分に互いに当接する端子部を設けたり等、適宜変更可能である。勿論ハンマードリルに限らず、集塵装置を装着可能であれば、電動ドリル等の他の電動工具であっても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1・・ハンマードリル、2・・ハウジング、3,33・・モータ、4,34・・出力軸、6・・中間軸、10・・ビット、11・・ツールホルダ、21・・バッテリーパック、22・・装着部、23,35・・コントローラ、25・・コネクタ、30・・集塵装置、31・・ケーシング、32・・嵌合凹部、36・・集塵ファン、38・・結合部、40・・連通孔、46・・ノズル、47・・吸込口、49・・ダクト、50・・先端部、51・・吹出口、53,53A・・ダストボックス、54・・ボックス本体、55・・蓋体、56・・入口、57・・出口、58,58a・・フィルタユニット、59・・フィルタ面、65・・フィルタ、66・・支持壁、67,67A,67B・・空間、68・・壁体、70・・第1の仕切壁、71・・折曲部、72・・切欠部、73・・第2の仕切壁、74・・周回空間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口が突設されて電動工具に装着可能なケーシングに、前記吸込口から吸い込んだ空気が通過する集塵経路を形成すると共に、前記ケーシングに設けた結合部に、フィルタを内設して当該フィルタの上流側に入口を、下流側に出口をそれぞれ備えて前記集塵経路の一部となるダストボックスを着脱可能に結合した電動工具用集塵装置であって、
前記フィルタを、前記出口が設けられる前記ダストボックスの内壁面で前記出口を覆う位置に、フィルタ面を前記ダストボックス内へ突出させた姿勢で設けると共に、前記フィルタ面と隣接する前記フィルタの側面と前記ダストボックスの内面との間に空間を形成して、
前記入口から流入する空気を前記空間へ向けて案内する案内手段を設けたことを特徴とする電動工具用集塵装置。
【請求項2】
前記案内手段を、前記入口と前記フィルタとの間に設けられ、前記空気を前記空間に向けて案内する仕切壁を含むものとしたことを特徴とする請求項1に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項3】
前記空間を、前記フィルタの周囲を連続状に周回する周回空間として、前記仕切壁を、前記入口から流入する空気と前記周回空間との合流部分を除いて前記入口と前記フィルタとの間を閉塞するように設けて、前記フィルタを周回した空気が前記入口へ向かって流れることを防止したことを特徴とする請求項2に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項4】
前記案内手段を、前記入口から突出して前記空間へ向けて形成される吹出口を含むものとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項5】
前記案内手段を、前記入口から突出して前記空間へ向けて形成される一対の吹出口を含むものとしたことを特徴とする請求項2又は3に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項6】
前記案内手段を、前記フィルタ面よりも前記内壁面へ近い位置に設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【請求項7】
前記空間に、当該空間内を流れる空気を衝突させて減勢させる壁体を設けたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【請求項8】
前記フィルタを、前記空間が形成される前記側面との直交方向で折り畳んだことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の電動工具用集塵装置を装着してなる電動工具。
【請求項1】
吸込口が突設されて電動工具に装着可能なケーシングに、前記吸込口から吸い込んだ空気が通過する集塵経路を形成すると共に、前記ケーシングに設けた結合部に、フィルタを内設して当該フィルタの上流側に入口を、下流側に出口をそれぞれ備えて前記集塵経路の一部となるダストボックスを着脱可能に結合した電動工具用集塵装置であって、
前記フィルタを、前記出口が設けられる前記ダストボックスの内壁面で前記出口を覆う位置に、フィルタ面を前記ダストボックス内へ突出させた姿勢で設けると共に、前記フィルタ面と隣接する前記フィルタの側面と前記ダストボックスの内面との間に空間を形成して、
前記入口から流入する空気を前記空間へ向けて案内する案内手段を設けたことを特徴とする電動工具用集塵装置。
【請求項2】
前記案内手段を、前記入口と前記フィルタとの間に設けられ、前記空気を前記空間に向けて案内する仕切壁を含むものとしたことを特徴とする請求項1に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項3】
前記空間を、前記フィルタの周囲を連続状に周回する周回空間として、前記仕切壁を、前記入口から流入する空気と前記周回空間との合流部分を除いて前記入口と前記フィルタとの間を閉塞するように設けて、前記フィルタを周回した空気が前記入口へ向かって流れることを防止したことを特徴とする請求項2に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項4】
前記案内手段を、前記入口から突出して前記空間へ向けて形成される吹出口を含むものとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項5】
前記案内手段を、前記入口から突出して前記空間へ向けて形成される一対の吹出口を含むものとしたことを特徴とする請求項2又は3に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項6】
前記案内手段を、前記フィルタ面よりも前記内壁面へ近い位置に設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【請求項7】
前記空間に、当該空間内を流れる空気を衝突させて減勢させる壁体を設けたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【請求項8】
前記フィルタを、前記空間が形成される前記側面との直交方向で折り畳んだことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の電動工具用集塵装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の電動工具用集塵装置を装着してなる電動工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−236272(P2012−236272A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236352(P2011−236352)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】
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