説明

電動工具用集塵装置及び電動工具

【課題】フィルタから粉塵を強制的に剥離する効率を高めた電動工具用集塵装置、電動工具用集塵装置を装着した電動工具を提供する。
【解決手段】吸込口62が突設されてハンマドリル1に装着可能なハウジング31に、モータ36の駆動に伴って回転するファン50を収容するファン室34と、ファン室の上流側に、ファンの回転により吸込口から吸い込んだ空気が通過して、空気中の粉塵を集塵するフィルタ76が装着される集塵室70と、を形成した電動工具用集塵装置30であって、ハウジング内に、フィルタの下流側から上流側へ向けて空気を送り出す送気手段39を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動ドリルやハンマドリル等の電動工具に装着される電動工具用集塵装置及び該電動工具用集塵装置を装着した電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、コンクリート等の切削屑を集塵する集塵装置を備えた電動工具が開示されている。特許文献1に記載の電動工具では、切削屑を集塵するフィルタを収容した吸引機構が、装置本体に対して着脱可能に配置されて、吸引機構には、フィルタ面に対してほぼ直角に延在する流入開口部が設けられている。特許文献1の電動工具によれば、流入開口部を通過する空気流が、吸引機構内をフィルタ面に沿って流入することで、フィルタ面に付着した切断屑を吹き飛ばすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3448110号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記の電動工具では、流入開口部を通過した空気流で、フィルタ面に付着した粉塵を一旦は吹き飛ばすことができても、前記空気流中の粉塵等が再度フィルタ面に付着するおそれがある。したがって、フィルタから粉塵を強制的に剥離する効率が低下することが懸念されていた。
【0005】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、フィルタから粉塵を強制的に剥離する効率を高めた電動工具用集塵装置、該電動工具用集塵装置を装着した電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る電動工具用集塵装置は、吸込口が突設されて電動工具に装着可能なハウジングに、モータの駆動に伴って回転するファンを収容するファン室と、前記ファン室の上流側に、前記ファンの回転により前記吸込口から吸い込んだ空気が通過して、前記空気中の粉塵を集塵するフィルタが装着される集塵室と、を形成した電動工具用集塵装置であって、前記ハウジング内に、前記フィルタの下流側から上流側へ向けて空気を送り出す送気手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記送気手段を、前記フィルタの前記下流側に設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記送気手段を、前記ファン室を加圧する加圧手段で構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3において、前記加圧手段を、伸縮自在な蛇腹状に形成されたポンプで構成して、該ポンプは、圧縮によって前記ファン室に空気を送り出すことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は4において、前記ファン室に、前記フィルタを通過した空気の排出口を形成して、前記ハウジング内に、前記排出口を閉鎖可能なシャッター部材を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5において、前記ハウジングの外部から前記ポンプの前記伸縮操作を可能にする操作手段を設けて、前記操作手段による前記ポンプの圧縮操作に連動して、前記シャッター部材を、前記排出口の閉鎖位置に移動可能としたことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の電動工具用集塵装置を装着したことを特徴とする電動工具。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明に係る電動工具用集塵装置及び請求項7の発明に係る電動工具によれば、送気手段によって送り出された空気は、フィルタの下流側から上流側へ逆流することでフィルタに付着した粉塵を吹き飛ばすことが可能になる。したがって、フィルタから粉塵を強制的に剥離する効率を高めることができる。
請求項2の発明によれば、送気手段によって送り出された空気を、フィルタの下流側から上流側へ効率的に逆流させることが可能になる。よって、フィルタに付着した粉塵を効果的に吹き飛ばすことができる。
請求項3の発明によれば、加圧手段によってファン室が加圧されることでファン室の圧力が高まる。その結果、ファン室からその上流側に位置するフィルタに対して空気を吹き付けることが可能になる。
請求項4の発明によれば、ポンプを圧縮させる簡易な操作によって、容易にファン室を加圧することが可能になる。
請求項5の発明によれば、シャッター部材によってファン室に形成した排出口を閉鎖することで、加圧手段(ポンプ)によってファン室に送り出された空気が排出口から漏れ出すことを防止できる。
請求項6の発明によれば、操作手段によるポンプの圧縮操作でポンプがファン室に空気を送り出すときには、シャッター部材によって、ファン室に形成した排出口を閉鎖することが可能になる。その結果、ポンプから送り出された空気によってファン室を効率的に加圧できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の電動工具用集塵装置を装着したハンマドリルの縦断面図である。
【図2】同電動工具用集塵装置の縦断面図である。
【図3】同電動工具用集塵装置においてポンプを圧縮操作してファン室を加圧する動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図1ないし図3を参照しつつ説明する。図1には電動工具用集塵装置30をハンマドリル1に装着した状態を示し、図2には前記電動工具用集塵装置30(以下、集塵装置30という。)を示した。ハンマドリル1は、本発明の電動工具の一例で樹脂によって形成された本体ハウジング2を備えている。図1では、左側を本体ハウジング2の前側とし、右側を本体ハウジング2の後側とする。図1に示すように本体ハウジング2内の前側下部には、出力軸3を上向きにしたモータ4を収容している。本体ハウジング2内で出力軸3の上方には、出力軸3と交差する方向に中間軸5が軸支されて、中間軸5はベベルギヤ6、6を介して出力軸3からトルク伝達される。中間軸5は、前側から順に第1ギヤ7、クラッチ8、ボススリーブ9を備えている。中間軸5の上方には、中間軸5と平行にツールホルダ10が軸支されて、ツールホルダ10の先端にはビット(図示せず。)が挿着可能とされている。ツールホルダ10の後側にはピストンシリンダ12が遊挿されて、ピストンシリンダ12の後端には、ボススリーブ9に外装されたアーム13が連結されている。ピストンシリンダ12の内部には、前側にインパクトボルト14が、その後側にインパクトボルト14を打撃するストライカ16がそれぞれ前後進可能に収容されている。第1ギヤ7は、ツールホルダ10に装着した第2ギヤ17と噛合している。
【0016】
一方、図1に示すように本体ハウジング2の後側上部には、スイッチ18及びスイッチレバー19を備えたハンドル20が形成されており、ハンドル20の下方には、電源となるバッテリーパック21が装着されている。また、本体ハウジング2の前側下部は、前面が前下がり傾斜してバッテリーパック21の前方に突出し、集塵装置30が装着される装着部22となっている。装着部22の内部にはコントローラ23が収容されて、コントローラ23には、モータ4のコイル、スイッチ18、バッテリーパック21が電気的に接続されている。さらに、装着部22の下面で左右方向の中央には、前端が前側へ開放する案内溝24が前後方向に凹設されている。
【0017】
装着部22におけるコントローラ23の前側上部には、電源用と通信用との3つのメス端子を左右方向に所定間隔をおいて並設したコネクタ25が設けられている。コネクタ25は前側が開口した角筒状とされて、コネクタ25の上面前端にはシャッター部26が上向きに一体形成されている。また装着部22の下面中央でコネクタ25の下方には、押圧片27が上下方向へ移動可能に支持されている。
【0018】
さらに、装着部22の前面におけるコネクタ25の前側には、四角形状の差込口28が開口形成されている。コネクタ25は、シャッター部26が差込口28の上側に退避して開口を差込口28の真後ろに位置させる接続位置と、シャッター部26が差込口28の真後ろに位置して開口を差込口28の下方へ退避させる非接続位置とに回転可能となっている。但し、集塵装置30をハンマドリル1に装着しない状態ではコネクタ25は、図示しないトーションスプリングによって、シャッター部26が差込口28を閉塞する非接続位置に回転付勢されている。この非接続位置で押圧片27は、下側へ退避したコネクタ25で押圧されて、装着部22を貫通して案内溝24内に突出する。
【0019】
集塵装置30は、図2に示すように側面視L字状のハウジング31を備えている。図2では、左側をハウジング31の前側とし、右側をハウジング31の後側とする。ハウジング31の後側上部には、ハンマドリル1の装着部22に嵌合する嵌合凹部32が形成されている。ハウジング31の後側は、仕切り部材33で、ハウジング31の前後方向に隣接するファン室34とモータ収容室35とに区画されている。
【0020】
モータ収容室35には、出力軸37を前側へ向けたモータ36が横向きに収容されている。さらにモータ収容室35には、モータ36の後側にコントローラ38が収容されている。加えてモータ収容室35には、モータ36の下側に伸縮自在な蛇腹状の胴部を横向きにしたポンプ39が収容されている。このポンプ39の前端には空気の吐出口40が設けられて、この吐出口40は、仕切り部材33に開設してファン室34と連通する開口部(図示せず。)に嵌合している。一方ポンプ39の後端には、下向きに延びる操作板41が固着されて、この操作板41の先端は、ハウジング31の下面で前後方向に開設されたスリット(図示せず。)からハウジング31の外部へ突出する。操作板41の先端には操作つまみ42が取り付けられている。
【0021】
図2に示すようにモータ収容室35には、側面視逆L字状のシャッター部材43が、モータ収容室35の下面と平行に延設されたリブ44に沿ってハウジング31の前後方向へスライド可能に収容されている。シャッター部材43は、前方側へのスライド時に仕切り部材33を貫通してファン室34に進入可能とされている。シャッター部材43の垂直部45は、コイルばね46を介して操作板41と接続されている。図2に示す常態では、ポンプ39は伸長状態されており、シャッター部材43は、後述するファン室34の空気排出口51を開放している。
【0022】
またファン室34には、仕切り部材33の開口から出力軸37が進入する。出力軸37に固着されたファン50は、ファン室34に収容されている。ファン室34の下面には、集塵装置30の外部とファン室34とを連通させる空気排出口51が開設されている。加えてハウジング31におけるファン室34の上流側には、後述するダストボックス70の結合部52が形成されている。この結合部52は、前側のみが開口した凹状を呈し、結合部52の底となる仕切壁53には、ファン50の同軸上で結合部52をファン室34と連通される連通孔54が形成されている。
【0023】
またハウジング31の上部後面には、電源用と通信線用との3つの板状のオス端子55が後側に突出した状態で左右方向に所定間隔をおいて並設されている。ハウジング31の後部上面には、ハンマドリル1の装着部22に設けた案内溝24に嵌合する押圧レール56が、ハウジング31の前後方向に突設されている。この押圧レール56の後端には、後側へ行くに従って高さが低くなる傾斜面が形成されている。押圧レール56の左右両側には、装着部22の下部が嵌合可能な間隔で一対のガイドレール57、57が前記前後方向に立設されて、各ガイドレール57の上端には、装着部22の側面に設けた結合溝(図示せず。)に嵌合可能な凸条58が内側に向けて突設されている。
【0024】
ハウジング31における結合部52の上方には、前側が開口し後側がU字状にターンして結合部52の後方へ回り込む案内通路60が、ハウジング31の前後方向に形成されている。案内通路60の前端には、側面視L字状のノズル61が連結されて、ノズル61の先端に設けた吸込口62をハウジング31から上向きに突出させている。このノズル61及び案内通路60には、両者に跨ってフレキシブルホース63が収容されており、フレキシブルホース63の後端には、案内通路60の後端形状に沿ってU字状に折り返した筒状のダクト64が連結されている。ダクト64の後端には吹出口65が開口して、この吹出口65は、仕切壁53を貫通して結合部52内に突出する。
【0025】
図2に示すように結合部52には、ダストボックス70が着脱可能に装着される。ダストボックス70は、直方体形状のボックス本体71と、ボックス本体71の開口にヒンジ結合される蓋体72とを備えている。蓋体72には、上下方向の一端側に入口73が、他端側に出口74がそれぞれ形成されている。ダストボックス70内には、出口74を覆う位置にフィルタユニット75が、紙製のフィルタ76のフィルタ面77を突出させた状態で装着されている。ダストボックス70を結合部52に装着した状態では、入口73にダクト64の後端が嵌合して吹出口65がダストボックス70内に突出し、出口74が連通孔54と対向する。
【0026】
次に集塵装置30をハンマドリル1に装着して、被加工材から生じた粉塵を集塵する動作を説明する。集塵装置30をハンマドリル1に装着する際には、ハンマドリル1の装着部22の下部にハウジング31のガイドレール57、57を合わせて装着部22がハウジング31の後部上に位置する状態で、装着部22に対して嵌合凹部32を前方から嵌合させるように集塵装置30を後方側へスライドさせる。すると、集塵装置30の押圧レール56が装着部22の案内溝24に、ガイドレール57の凸条58が装着部22の結合溝にそれぞれ嵌合して後方側へそれぞれスライドする。このとき押圧レール56は押圧片27に当接するが、押圧レール56の傾斜面が押圧片27を上方へ押し上げるため、コネクタ25は、シャッター部26が上方へ退避して開口が差込口28の真後ろに位置する接続位置へ移動する。その後、集塵装置30のオス端子55が開放した差込口28からハンマドリル1の本体ハウジング2内に進入し、装着部22が嵌合凹部32に嵌合すると同時にオス端子55がメス端子に挿入されて電気的に接続される。
【0027】
そして、ハンマドリル1のスイッチレバー19を押し込み操作してスイッチ18をオンさせると、モータ4が駆動して中間軸5を回転させる。このとき、本体ハウジング10の外部からクラッチ8をスライド操作することで、第1ギヤ7のみと係合する前進位置、ボススリーブ9のみと係合する後退位置、第1ギヤ7及びボススリーブ9と同時に係合する中間位置のいずれかを選択することで、第2ギヤ17を介してツールホルダ10が回転してビットを回転させるドリルモード、アーム13の揺動によってピストンシリンダ12を往復動させ、連動するストライカ16によってインパクトボルト14を介してビットを打撃するハンマーモード、ツールホルダ10の回転とビットの打撃とを同時に行うハンマードリルモードの選択が可能になる。
【0028】
一方、スイッチ18のオンによってコントローラ23は、集塵装置30のコントローラ38へ電源を供給する。よってコントローラ38は、モータ36を駆動させてファン50を回転させる。これにより、ノズル61の吸込口62から吸い込まれた外気は、フレキシブルホース63及びダクト64を通って吹出口65からダストボックス70内に排出される。ダストボックス70内に排出された空気は、フィルタユニット75の前側へ回り込んでフィルタ面77からフィルタ76を通過する。フィルタ76を通過した空気は、出口74から連通孔54を介してファン室34に至り、空気排出口51からファン室34の外部に排出される。したがって、ビットによって被加工材の穿孔箇所から生じた粉塵は、吸込口62から外気と共に吸い込まれてダストボックス70内に進入し、フィルタ76で捕捉されて貯留されることになる。なお、ダストボックス70は本発明の集塵室の一例であり、空気排出口51は本発明の排出口の一例である。
【0029】
フィルタ76に捕捉された粉塵はフィルタ76の目詰まりの原因となる。これを防止するために本実施形態では、スイッチ18をオフした後に以下に説明するようにポンプ39の操作を行うことでフィルタ76に捕捉された粉塵を吹き飛ばすことを可能にした。図2に示す操作つまみ42をハウジング31の外部から前後方向へ移動させることに伴って、ポンプ39の後端に固着された操作板41も前後方向へ移動する。このため図2及び図3に示すように、ポンプ39を伸縮させることができる。操作つまみ42を用いてポンプ39を圧縮操作すると、ポンプ39の吐出口40からファン室34へ空気が送り出される。このとき図3に示すように、操作板41はコイルばね46を介してシャッター部材43の垂直部45と接続されているため、操作板41が前方側へ移動することに連動してシャッタ部材43の水平部47は、仕切り部材33を貫通して空気排出口51の閉鎖位置Pに移動する。これにより、ポンプ39からファン室34に送り出された空気が空気排出口51から漏れ出すことを防止できる。なお、操作板41及び操作つまみ42は本発明の操作手段の一例である。
【0030】
ポンプ39から送り出された空気により、ファン室34は空気圧が上昇した加圧状態になる。その結果、加圧状態となったファン室34から、連通孔54及び出口74を通って空気がダストボックス70内に吐き出される。その後ダストボックス70内に吐き出された空気は、フィルタ76の下流側から上流側へ向けて逆流する。本実施形態では、ポンプ39をフィルタ76の下流側に配置されたモータ収容室35に収容したため、ポンプ39から送り出された空気を効率的に逆流させることができる。フィルタ76に捕捉された粉塵は、逆流する空気でフィルタ76から吹き飛ばされた後にダストボックス70内に回収される。なお、ポンプ39は本発明の送気手段及び加圧手段の一例である。
【0031】
<本実施形態の効果>
本実施形態の集塵装置30及び集塵装置30を装着したハンマドリル1では、ポンプ39によって送り出された空気は、フィルタ76の下流側から上流側へ逆流することでフィルタ76に捕捉された粉塵を吹き飛ばすことが可能になる。したがって、フィルタ76から粉塵を強制的に剥離する効率を高めることができる。
【0032】
また、ポンプ39をフィルタ76の下流側に配置されたモータ収容室35に収容したため、ポンプ39によって送り出された空気を、フィルタ76の下流側から上流側へ効率的に逆流させることが可能になる。よって、フィルタ76に捕捉された粉塵を効果的に吹き飛ばすことができる。
【0033】
さらに、ポンプ39によってファン室34が加圧されることでファン室34の空気圧が高まる。その結果、ファン室34からその上流側に位置するフィルタ76に対して空気を吹き付けることが可能になる。
【0034】
加えて、ポンプ39を圧縮させる簡単な操作によって、容易にファン室34を加圧することが可能になる。
【0035】
さらに加えて、シャッター部材43の水平部47でファン室34に形成した空気排出口51を閉鎖することで、ポンプ39によってファン室34に送り出された空気が空気排出口51から漏れ出すことを防止できる。
【0036】
また、操作つまみ42と操作板41とでポンプ39の圧縮操作を行ってポンプ39がファン室34に空気を送り出すときには、シャッター部材45の水平部47によって、ファン室34に形成した空気排出口51を閉鎖することが可能になる。その結果、ポンプ39から送り出された空気によってファン室34を効率的に加圧できる。
【0037】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。例えば上述した実施形態とは異なり、ポンプ39に代えて、ピストンが移動可能に挿入されたシリンダを用いることにより、ピストンの移動に伴ってシリンダから吐き出される空気でファン室34を加圧してもよい。
【0038】
また、シャッター部材43によって空気排出口51を閉鎖することに限らず、例えばファン室34を加圧するときにユーザが指で空気排出口51を閉鎖してもよい。さらに、上述した実施形態とは異なり、例えばダストボックスは、フィルタが交換可能となるように回転支点によって集塵装置30に回転自在に支持させたものであってもよい。加えて、上述した実施形態では集塵装置30をハンマドリル1に装着した例を示したが、これに限らず、集塵装置が装着可能であれば、電動ドリル等の電動工具に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1・・ハンマドリル、30・・集塵装置、31・・集塵装置のハウジング、34・・ファン室、36・・モータ、39・・ポンプ、41・・操作板、42・・操作つまみ、43・・シャッター部材、50・・ファン、51・・空気排出口、62・・吸込口、70・・ダストボックス、76・・フィルタ、P・・空気排出口の閉鎖位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口が突設されて電動工具に装着可能なハウジングに、モータの駆動に伴って回転するファンを収容するファン室と、前記ファン室の上流側に、前記ファンの回転により前記吸込口から吸い込んだ空気が通過して、前記空気中の粉塵を集塵するフィルタが装着される集塵室と、を形成した電動工具用集塵装置であって、
前記ハウジング内に、前記フィルタの下流側から上流側へ向けて空気を送り出す送気手段を設けたことを特徴とする電動工具用集塵装置。
【請求項2】
前記送気手段を、前記フィルタの前記下流側に設けたことを特徴とする請求項1に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項3】
前記送気手段を、前記ファン室を加圧する加圧手段で構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項4】
前記加圧手段を、伸縮自在な蛇腹状に形成されたポンプで構成して、該ポンプは、圧縮によって前記ファン室に空気を送り出すことを特徴とする請求項3に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項5】
前記ファン室に、前記フィルタを通過した空気の排出口を形成して、前記ハウジング内に、前記排出口を閉鎖可能なシャッター部材を設けたことを特徴とする請求項3又は4に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項6】
前記ハウジングの外部から前記ポンプの前記伸縮操作を可能にする操作手段を設けて、前記操作手段による前記ポンプの圧縮操作に連動して、前記シャッター部材を、前記排出口の閉鎖位置に移動可能としたことを特徴とする請求項5に記載の電動工具用集塵装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の電動工具用集塵装置を装着したことを特徴とする電動工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−35085(P2013−35085A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171091(P2011−171091)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】