説明

電動弁制御装置

【課題】複数種類の電動弁に対して共通に用いることができる電動弁の制御装置を提供する。
【解決手段】冷媒回路は圧縮機101、熱交換器102,201および電動弁103を有している。冷媒回路には冷媒が流れる。電動弁103を制御する制御装置は、複数種類の電動弁103についての複数の流量開度特性が記録される記録媒体と、電動弁103の運転を開始するとき、又は圧縮機101の回転速度の変動量が所定範囲以上であるときに、冷媒の流量の目標値と、電動弁103の種類に応じた流量開度特性の一つとを用いて電動弁103の開度の目標値を決定し、電動弁103の開度を開度の目標値に制御する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁制御装置に関し、特に冷媒回路に取り付けられる電動弁の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷媒回路に取り付けられる電子膨張弁の開度を、所定のテーブルに基づいて制御する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−159285号公報
【特許文献2】特開2006−336889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動弁には複数の種類があり、同じ開度でも電動弁を通過する冷媒の流量は電動弁によって異なる。よって、特許文献1に記載の技術では、異なる種類の電動弁が設けられた場合に、適切な流量を流すことができない。
【0005】
そこで、本発明は、複数種類の電動弁に対して共通に用いることができる電動弁の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる電動弁制御装置の第1の態様は、圧縮機(101)、熱交換器(102,201)および電動弁(103)を有して冷媒が流れる冷媒回路において前記電動弁を制御する制御装置(110)であって、複数種類の前記電動弁についての複数の流量開度特性が記録される記録媒体(113)と、前記圧縮機の運転を開始するとき、又は前記圧縮機の回転速度の変動量が所定範囲以上であるときに、前記冷媒の流量の目標値と、前記電動弁の種類に応じた前記流量開度特性の一つとを用いて前記電動弁の開度の目標値を決定し、前記電動弁の開度を前記開度の前記目標値に制御する制御部(112)とを備える。
【0007】
本発明にかかる電動弁制御装置の第2の態様は、第1の態様にかかる電動弁制御装置であって、前記流量の目標値は、凝縮器として機能する前記熱交換器(102,201)と熱交換する空気の温度と、前記温度についての基準温度との差、及び前記圧縮機(101)の回転速度に基づいて決定される。
【0008】
本発明にかかる電動弁制御装置の第3の態様は、第2の態様にかかる電動弁制御装置であって、前記複数の流量開度特性は、前記回転速度と前記差とを変数として開度を求める関数またはテーブルであり、前記制御部(112)は前記回転速度と前記差とに基づいて前記電動弁(103)の開度を決定する。
【0009】
本発明にかかる電動弁制御装置の第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかる電動弁制御装置であって、前記電動弁(103)の種類が書き込まれる書込み/読み取り可能な第2記録媒体(114)をさらに備え、前記記録媒体(113)は書込み不可である。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる電動弁制御装置の第1の態様によれば、電動弁の起動時や、圧縮機の回転速度が所定範囲を超えて変動する変動時において、所望の流量と流量開度特性に基づいて、電動弁の種類に応じた適切な開度を決定することができ、電動弁はかかる開度に制御される。よって、フィードバック制御による電動弁制御を行えば適切な領域に収束しない起動時又は変動時であっても、電動弁を適切に制御することができる。しかも、電動弁の種類に応じて流量開度特性が採用されるので、電動弁が異なる種類の電動弁に交換される場合であっても、本制御部を採用することができる。
【0011】
本発明にかかる電動弁制御装置の第2の態様によれば、適切な流量の目標値の算出に資する。
【0012】
本発明にかかる電動弁制御装置の第3の態様によれば、流量の目標値を算出する必要がない。
【0013】
本発明にかかる電動弁制御装置の第4の態様によれば、高価な第2記録媒体に電動弁の種類が書き込まれ、安価な記録媒体に複数の流量開度特性が書き込まれるので、製造コストの低減に資する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】冷媒回路の概念的な一例を示す図である。
【図2】制御部の概念的な一例を示す図である。
【図3】流量開度特性の模式的な一例を示す図である。
【図4】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<全体構成>
図1に例示するように、冷媒回路は圧縮機101と熱交換器102,201と電動弁103とを備えており、当該冷媒回路には冷媒が流れる。図1に例示する冷媒回路は例えば空気調和機に採用されることができる。図1の例示では、空気調和機の室外機100と室内機200とが示されており、圧縮機101、熱交換器102、電動弁103が室外機100に設けられ、熱交換器201が室内機200に設けられている。なお、本冷媒回路が空気調和機に搭載される場合、冷房運転と暖房運転とを切り替えて選択できるように冷媒回路には四方弁104が設けられる。四方弁104は室外機100に設けられる。
【0016】
圧縮機101は吸入管421から吸入される低圧の冷媒を圧縮し、圧縮した高圧の冷媒を吐出管422へと吐出する。
【0017】
四方弁104には、熱交換器102,201の一端にそれぞれ繋がる2つの配管423,424と、吸入管421と吐出管422とが接続される。四方弁104は、配管423と吸入管421とを接続し配管424と吐出管422とを接続する第1状態と、配管424と吸入管421とを接続し配管423と吐出管422とを接続する第2状態とを選択的に切り替える。
【0018】
熱交換器102,201の他端同士は配管41によって相互に接続される。熱交換器102,201の各々は自身の内部を流れる冷媒と自身の外部を流れる空気との間で熱交換を行う。なお熱交換器102,201の近傍にはそれぞれファン105,202が設けられている。ファン105,202はそれぞれ熱交換器102,201へと送風して熱交換を促進させる。
【0019】
電動弁103は配管41に設けられ、配管41を流れる冷媒の流量を調整する調整弁として機能すると共に、膨張弁としても機能する。
【0020】
本冷媒回路が空気調和機に搭載される場合、第1状態及び第2状態は、室内機200によってそれぞれ暖房運転、冷房運転(あるいは除湿運転)が行われる場合に相当する。図1では四方弁104が第1状態を採っている場合が例示されている。
【0021】
かかる冷媒回路において、圧縮機101、電動弁103、四方弁104およびファン105,202は制御装置10によって制御される(図2も参照)。制御装置10は室外機制御装置110と室内機制御装置210とを備えている。図1の例示では、圧縮機101、電動弁103、四方弁104およびファン105は室外機100に設けられているので、これらは室外機100に設けられる室外機制御装置110によって制御される。またファン202は室内機200に設けられているので、室内機200に設けられる室内機制御装置210によって制御される。
【0022】
室外機制御装置110および室内機制御装置210はそれぞれ制御部112,212を備えている。制御部112は圧縮機101、電動弁103、四方弁104およびファン105を制御し、制御部212はファン202を制御する。
【0023】
図2に例示するように、室外機制御装置110および室内機制御装置210はそれぞれ通信部111,211を備えている。通信部111,211は有線又は無線により相互に通信することができる。
【0024】
なお例えば室内機制御装置210と有線または無線により通信可能なリモートコントローラ(以下、リモコンと呼ぶ)が設けられていても良い。リモコンには例えば運転開始/停止の入力、冷房/暖房/除湿/送風運転の切り替え、設定温度の入力が行われる操作部が設けられる。ユーザはリモコンを操作して所望の空調運転を入力することにより、室外機制御装置110及び室内機制御装置210が協働して空気調和機を制御して、所望の空調運転を実現する。
【0025】
また室外機制御装置110は記録媒体113を備えている。記録媒体113は例えばROM(Read Only Memory)である。ROMは制御部112によって読み取り可能であるものの、一旦データが書き込まれた後は書込みできない記録媒体である。また図1の例示では室外機制御装置110は記録媒体114を備えている。記録媒体114は例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)であり、制御部112によって読み取り及び書込み可能な記録媒体である。
【0026】
なお、本実施の形態では、冷媒回路が空気調和機に設けられた態様について説明しているが、これに限らない。例えば冷蔵機器(或いは冷凍機器)又は温水機器に用いられても良い。この場合、四方弁104は設けられていなくても構わない。
【0027】
<電動弁の制御>
記録媒体113には複数種類の電動弁103に対応した複数の流量開度特性が記録されている。図3にはかかる流量開度特性が模式的に例示されている。図3では互いに異なる3つの電動弁103にそれぞれ対応する3つの流量開度特性103a〜103cが例示されている。図3に例示するように、冷媒の流量は電動弁103の種類に拠らずに電動弁103の開度の増大とともに増大する。さらに図3の例示では、流量開度特性103a〜103cの各々において、開度の小さい領域における流量の変化率は、開度の大きい領域における流量の変化率よりも小さい。一方で、その流量の変化率は電動弁103の種類に依存して互いに相違する。図3の例示では、開度が小さい領域において、流量開度特性103aでの流量の変化率が最も小さく、流量開度特性103cでの流量の変化率が最も大きい。また開度が大きい領域において、流量開度特性103bでの流量の変化率が最も大きく、流量開度特性103aでの流量開度特性での流量の変化率が最も小さい。
【0028】
なお流量開度特性は例えば次の表1〜3のようにテーブルとして記録されていても良い。表1〜3はそれぞれ流量開度特性103a〜103cを表している。
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
【表3】

【0032】
かかる制御装置10において、例えば図4のフローチャートに則って電動弁103が制御される。まずステップS1にて、ユーザから電源が投入される。かかる電源の投入は例えばユーザがリモコンを操作して運転の開始を入力することで実行される。
【0033】
次にステップS2にて、制御部112は冷媒回路に設けられた電動弁103の種類を認識する。これは例えば次のように実行される。すなわち記録媒体114には電動弁103の種類が書き込まれ、制御部112が電動弁103の種類を記録媒体114から読み取る。なお電動弁103の種類の、記録媒体114への書き込みは、例えば空気調和機の製造段階で行われてもよい。或いは、電動弁103を異なる種類の電動弁103に交換するときに現地において作業員が書き込みを行っても良い。或いは、電動弁103の種類を制御部112が判別してその種類を記録媒体114に書き込んでも良い。かかる判別は、例えば電動弁103に種類判別用の部品(例えば抵抗)を設け、制御部112が当該部品から電動弁103の種類(例えば抵抗値、当該抵抗値は0を含む)を取り込むことで行われても良い。
【0034】
次にステップS3にて、制御部112は電動弁103の種類に対応した流量開度特性の一つを記録媒体113から読み取って、使用する流量開度特性を決定する。
【0035】
次にステップS4にて、制御部112は圧縮機101を起動して運転を開始する。
【0036】
次に制御部112はステップS5〜S7の動作を含む電動弁起動時制御を行う。即ち、ステップS5〜S7の動作は電動弁103の運転を開始するときに行われる制御である。以下、詳細に説明する。ステップS5にて制御部112は冷媒の流量の目標値(以下、目標電動弁流量と呼ぶ)を決定する。目標電動弁流量は、例えば圧縮機101の回転速度と、次に説明する温度差とに基づいて決定されてもよい。当該温度差は、凝縮器として機能する熱交換器と熱交換する空気の温度と、基準温度との差である。より詳細には、目標電動弁流量F*は次式で表すことができる。
【0037】
F*=a・ω+b(t−tref)+c (1)
【0038】
ここで、a,b,cは実験又はシミュレーションにより決定されるパラメータである。ωは圧縮機101の回転速度である。tは凝縮器として機能する熱交換器と熱交換する空気の温度を示す。例えば冷房運転(或いは除湿運転)ではtは室外温度を示し、暖房運転ではtは室内温度を示す。trefは基準温度を示し、tが室内温度であれば室内温度についての基準温度(例えば摂氏27度)であり、tが室外温度であれば室外温度についての基準温度(例えば摂氏35度)である。
【0039】
圧縮機101の回転速度としては、これを検出する回転速度検出部を設け、かかる回転速度検出部からの検出値を採用してもよい。或いは例えば制御部112が指示する回転速度の目標値を採用してもよい。室外温度および室内温度はそれぞれ室外温度センサー及び室内温度センサーを設けることで制御部112が認識することができる。基準温度trefは例えば実験またはシミュレーションによって決定されるとよい。
【0040】
次にステップS6にて、制御部112は目標電動弁流量F*と電動弁103の種類に応じた流量開度特性の一つとを用いて電動弁103の開度の目標値(以下、目標電動弁開度と呼ぶ)を決定する。流量開度特性がテーブルとして記録されているときには、例えば一次線形により近似して目標電動弁流量F*に対応する目標電動弁開度を求めるとよい。
【0041】
次にステップS7にて、制御部112は電動弁103の開度を目標電動弁開度に制御する。より詳細には例えば制御部112は目標電動弁開度となるパルスを電動弁103へと与える。
【0042】
ステップS7の後のステップS8にて、制御部112はシステムが安定したときに電動弁103の開度をフィードバック制御する。かかるシステムの安定は例えば次のように判定される。すなわち、例えば冷媒の凝縮温度が予め定められたある閾値を超えるとフィードバック制御を実行する。これによって、冷媒循環が十分に成立している状態でフィードバック制御を実行することができる。かかる凝縮温度は凝縮器として機能する熱交換器を流れる冷媒の温度を検出する(後述する温度センサー122,221を用いる)ことで検出される。なお、凝縮温度が一定値と等しいときには肯定的な判定がなされてもよく、否定的な判定がなされてもよい。この点は、比較値と所定値との大小関係に基づくその他の判定にも適用可能であるため、以下では繰り返しの説明を避ける。また、この判定の条件は、凝縮温度が一定値を超えることを推定できる条件であってもよい。例えば圧縮機101の運転開始から所定時間の経過を以ってシステムが安定したと判定しても良い。
【0043】
電動弁103のフィードバック制御は例えば次のように実行される。即ち、吐出管422に温度センサー121を設け、温度センサー121によって吐出管422を流れる冷媒の温度(吐出管温度と呼ぶ)が検出される。そして、制御部112はその吐出管温度がその目標値と一致するように電動弁103の開度が制御される。かかる目標値は、例えば熱交換器102,201における冷媒の温度に基づいて決定される。かかる冷媒の温度は熱交換器102,201に温度センサー122,221を設けることで検出される。これらの冷媒の温度の一方は凝縮温度であり、他方は蒸発温度である。
【0044】
さて、運転開始時のようにシステムが不安定なときに電動弁103のフィードバック制御を行うと、電動弁103の開度が収束すべき値に収束せずに、例えば効率の低い値に収束しえる。一方、本実施の形態では、電動弁103は、その運転開始時において、圧縮機101の回転速度および温度tと基準温度trefとの差に基づく目標電動弁流量と、流量開度特性とを用いて、目標電動弁開度を決定している。したがって、運転開始時において電動弁103をフィードバック制御することがなく、これに起因する上述の不具合を解消することができる。
【0045】
しかも目標電動弁開度は電動弁103の種類に対応した流量開度特性に基づいて決定される。したがって電動弁103が異なる種類の電動弁103へと交換されたとしても、適切に電動弁103を制御することができる。
【0046】
なお生産途中において、電動弁103について異なる種類の電動弁103を採用することは、例えば圧縮機101について異なる種類の圧縮機101を採用する場合と比較して多く発生する。このような場合に、室外機制御装置110を変更しなくてよいので生産が容易である。また既に現地に設置された電動弁103を異なる種類の電動弁103に交換する場合であっても、室外機制御装置110を変更しなくて良いので交換が容易である。
【0047】
上述の例では電動弁103の運転開始時における動作について説明したが、フィードバック制御が開始した後であっても、圧縮機101の回転速度の変動量が所定範囲を超える場合には、ステップS8の実行を中断してステップS5〜S7と同様の制御を実行することが望ましい。このような場合には、たとえ凝縮温度が一定値を超えて冷媒循環が十分に成立したとしても、電動弁103の開度が圧縮機101の回転速度の急激な変化に対応できず、最適点への収束が遅れ、例えば効率の低い状態での運転が長くなる等の問題が発生し得るからである。なお、必ずしもステップS5〜S7を実行する必要はなく、電動弁の開度を次のように決定しても良い。即ち、例えばステップS8の実行を中断した時の目標電動弁開度(目標電動弁開度)に対して、周波数変化量(圧縮機101の周波数の変化量)Δωとパラメータa(段落0037参照)とを乗算して算出された値Δω・aを加算して電動弁開度を補正する。そして、補正後の電動弁開度に基づいて電動弁103の開度を制御してもよい。
【0048】
図5はステップS8以降の動作の一例を示している。即ち、制御部112はステップS11にて制御部112は目標吐出管温度制御を実行する。なお図5のフローチャートは図4のフローチャートの続きであって、ステップS11はステップS8と同じステップである。そして、ステップS12にて制御部112は圧縮機の回転速度の変動量が所定範囲以上であるかどうかを判定する。ステップS12にて否定的な判定がなされれば、ステップS11を実行する。ステップS12にて肯定的な判定がなされれば、ステップS5〜ステップS7とそれぞれ同じステップS13〜S15を実行する。次にステップS16にて制御部112は圧縮機の回転速度が所定値以下であるかどうかを判定する。ステップS16にて否定的な判定がなされれば、ステップS15を実行する。ステップS16にて肯定的な判定がなされれば、ステップS11を実行する。
【0049】
これによって、電動弁103の開度が例えば効率の低い値に収束することなく、適切な制御を行うことができる。
【0050】
なお上述した例では、一旦、目標電動弁流量F*を求め、かかる目標電動弁流量F*を求めていたが、これに限らない。以下、詳細に説明する。目標電動弁流量F*は式(1)に例示するように、圧縮機101の回転速度ω、及び温度tと基準温度trefとの差を変数としている。一方、目標電動弁開度は目標電動弁流量F*を用いて流量開度特性から求められる。
【0051】
よって目標電動弁開度は回転速度ω、及び温度tと基準温度trefとの差を変数とした関数で求めることができる。例えば式(1)を簡略化してF*=f(ω,t−tref)と表し、流量開度特性を目標電動弁開度=g(F*)と表せば、目標電動弁開度はg(f(ω,t−tref))で表すことができる。したがって、記録媒体113には、流量開度特性として、圧縮機101の回転速度ω、及び温度tと基準温度trefとの差を変数として開度を求める関数(g(f(ω,t−tref)))または、当該関数の離散値を採って作成されるテーブルが記録されていても良い。そして、制御部112が、電動弁103の種類に応じて関数(又はテーブル)の一つを決定し、回転速度ωおよび温度tと基準温度trefとの差を用いて当該関数(又はテーブル)の一つから目標電動弁開度を求めればよい。
【0052】
これによれば、制御部112は目標電動弁流量F*を算出することなく、回転速度ω及び温度tと基準温度trefとの差に基づいて、目標電動弁開度を求めることができる。よって処理速度を高めることができる。
【0053】
また上述の例では、電動弁103の種類が記録媒体114に記録され、複数種類の電動弁103にそれぞれ対応する複数種類の流量開度特性が記録媒体113に記録されている。さて電動弁103の種類を表すデータ量は複数種類の流量開度特性を表すデータ量よりも小さい。また書込み/読出し可能な記録媒体114(例えばEEPROM)は書込み不可能な記録媒体113(例えばROM)に比べて高価である。ここではデータ量の小さい情報を記録媒体114に記録し、データ量の大きい情報を記録媒体113に記録しているので、製造コストの低減に資することができる。なお、製造コストの低減が不要であれば、複数の流量開度特性および電動弁の種類のいずれが記録媒体114に記録されても良い。
【符号の説明】
【0054】
101 圧縮機
102,201 熱交換器
103 電動弁
112 室外機制御装置
113,114 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(101)、熱交換器(102,201)および電動弁(103)を有して冷媒が流れる冷媒回路において前記電動弁を制御する制御装置(110)であって、
複数種類の前記電動弁についての複数の流量開度特性が記録される記録媒体(113)と、
前記圧縮機の運転を開始するとき、又は前記圧縮機の回転速度の変動量が所定範囲以上であるときに、前記冷媒の流量の目標値と、前記電動弁の種類に応じた前記流量開度特性の一つとを用いて前記電動弁の開度の目標値を決定し、前記電動弁の開度を前記開度の前記目標値に制御する制御部(112)と
を備える、電動弁制御装置。
【請求項2】
前記流量の目標値は、凝縮器として機能する前記熱交換器(102,201)と熱交換する空気の温度と、前記温度についての基準温度との差、及び前記圧縮機(101)の回転速度に基づいて決定される、請求項1に記載の電動弁制御装置。
【請求項3】
前記複数の流量開度特性は、前記回転速度と前記差とを変数として開度を求める関数またはテーブルであり、
前記制御部(112)は前記回転速度と前記差とに基づいて前記電動弁(103)の開度を決定する、請求項2に記載の電動弁制御装置。
【請求項4】
前記電動弁(103)の種類が書き込まれる書込み/読み取り可能な第2記録媒体(114)をさらに備え、
前記記録媒体(113)は書込み不可である、請求項1から3のいずれか一つに記載の電動弁制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−127631(P2012−127631A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282220(P2010−282220)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】