説明

電動式歯ブラシ

【課題】イオン歯ブラシとしての機能を得る場合に、歯磨き効果を十分に確保でき、ブラシ部を安価に提供でき、ブラシ部内の洗浄を容易に行えるようにする。
【解決手段】手元側電極15が外部に露出された状態で装備された本体部10と、本体部10の先端部から細長く延びて先端部にブラシ側電極31が装備された取付脚部20と、取付脚部20の外周に着脱自在に嵌合されるブラシ部30と、を有する。ブラシ側電極31が、取付脚部20の先端部外周面から横方向に突出する突出部31aを有する。ブラシ部30の先端部側面に貫通孔81が形成されて、ブラシ部30を取付脚部20に嵌合させたときに、突出部31aが貫通孔81に嵌合された状態で外部に露出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式歯ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動式歯ブラシにおいては、充電池等を内臓して使用者によって把持される本体部と、本体部の先端部から延びる取付脚部と、取付脚部に対して嵌合形式で着脱自在に取付けられるブラシ部を有するのが一般的である。このような電動式歯ブラシの中には、超音波を利用した超音波歯ブラシ、イオン電流を利用したイオン歯ブラシ、超音波とイオン電流との両方を利用した超音波・イオン歯ブラシがある。
【0003】
特許文献1に示す超音波歯ブラシにあっては、取付脚部の先端部内に超音波振動子を装備して、超音波振動子が発生する超音波振動を、取付脚部からブラシ部へと伝達するようにしたものが開示されている。特許文献2に示すイオン歯ブラシにあっては、取付脚部をマイナス側の出力端子に接続された細長い支軸形式とする一方、ブラシ部の側面に貫通孔を形成して、ブラシ部を支軸に嵌合させたときに、貫通孔を通して、使用者の唾液が支軸と接触するようにしたものが開示されている。特許文献3、特許文献4に示す超音波・イオン歯ブラシにあっては、ブラシ部の先端部にその内外に露出するようにブラシ側電極を装備する一方、本体部内に装備した超音波振動子から一体的に延びる導電性部材からなるホーン部が、ブラシ側電極に接触するようにして、ブラシ側電極を介して超音波振動を外部へ伝達するようにしたものが開示されている。
【特許文献1】特開2005−21399号公報
【特許文献2】特開2001−309820号公報
【特許文献3】特開2004−41691号公報
【特許文献4】特開2004−41684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動式歯ブラシのうち、本体部やこれから延びる取付脚部は数年という極めて長い期間使用されるものであるが、ブラシ部は、消耗品であって、ある程度の使用期間例えば1〜3ヶ月程度でもって新しいブラシ部に交換されることになる。また、ブラシ部は、各個人毎に用意されるのが通常である。したがって、電動式歯ブラシを複数名の家族が共用する場合には、全体としてブラシ部は年間あたり相当な数が交換されることになる。
【0005】
ブラシ部が消耗品であることから、ブラシ部は極力安価であることが好ましいものとなる。しかしながら、少なくともイオン歯ブラシの機能を得る場合に、ブラシ部にイオン電極を設けることは、ブラシ部が極めて高価になってしまうことになる。また、特許文献2に示すように、イオン歯ブラシにおいて、ブラシ部に唾液が通過する貫通孔を開口させた場合は、ブラシ部内のイオン電極と使用者との唾液とが接触する機会が減少してしまい、イオン効果による効果的な歯ブラシを行う上では好ましくないものとなる。また、ブラシ部は、口腔内に深く挿入されて使用者の唾液や歯ブラシの際に生じる汚れが付着することから、清潔であることが望まれるが、ブラシ部の先端部に貫通孔の存在しない形式のものは、ブラシ部の内部を十分に洗浄することが難しいものとなる。すなわち、ブラシ部が、取付脚部への嵌合用となる基端部側しか開口部が存在しない場合は、洗浄液をブラシ部内で流通させることが難しく、また基端部側の開口部からブラシ部の奥深くまで細い洗浄棒を差し込んで作業することが困難あるいは面倒になる。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、少なくともイオン歯ブラシとしての機能を得る電動式歯ブラシにおいて、歯磨き効果を十分に確保することができ、ブラシ部を安価に提供でき、しかもブラシ部内の洗浄を容易に行えるようにした電動式歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
内部にイオン電流発生手段が装備されると共に、該イオン電流発生手段に接続された手元側電極が外部に露出された状態で装備された本体部と、
前記本体部の先端部から細長く延び、先端部に前記イオン電流発生手段に接続されたブラシ側電極が装備された取付脚部と、
前記取付脚部の外周に着脱自在に嵌合されるブラシ部と、
を備え、
前記ブラシ側電極が、前記取付脚部の先端部外周面から横方向に突出する突出部を有するように設定され、
前記ブラシ部の先端部側面に貫通孔が形成されて、該ブラシ部を前記取付脚部に嵌合させたときに、前記ブラシ側電極の前記突出部が前記貫通孔に嵌合された状態で外部に露出される、
ようにしてある。
【0008】
上記解決手法によれば、イオン電極の突出部がブラシ部に形成された貫通孔に嵌合されるので、イオン電極と使用者の唾液とが接触する機会を十分に確保して、イオン電流を利用した歯磨き効果を十分に確保する上で好ましいものとなる。また、消耗品となるブラシ部は、ブラシ側電極を有しないので、安価に提供することができる。さらに、ブラシ部は、その基端部側においては従来品のものと同様に開口部を有する一方、先端部には貫通孔を有しているので、洗浄液をブラシ部内で流通させつつ洗浄を行うことができ、また洗浄棒等を貫通孔を通してブラシ部内に容易に挿入できるので、ブラシ部内の洗浄を容易かつ効果的に行う上で好ましいものとなる。さらに又、貫通孔とイオン電極の突出部との嵌合によって、ブラシ部を取付脚部に取付けておく機能を増大させることも可能となって、使用中にブラシ部が取付脚部から不用意に抜け落ちてしまう事態を防止する上でも好ましいものとなる。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記本体部内に、超音波信号発生手段が装備され、
前記取付脚部の先端部内に、前記超音波信号発生手段に接続された超音波振動子が装備されている、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、イオン電流に加えて超音波を利用した歯磨きを行うことができ、歯磨き効果を高める上で好ましいものとなる。また、超音波振動子とブラシ側電極を近い位置として、超音波振動子の振動をブラシ側電極を介して使用者の歯や歯ぐきに効果的に伝達する上で好ましいものとなる。
【0010】
前記ブラシ側電極の背面側に、前記超音波振動子が該ブラシ側電極に対して電気的な導通状態でもって一体化され、
前記超音波信号発生手段のプラス側出力端子が前記超音波振動子の背面側に接続されると共に前記手元側電極に接続される一方、該超音波発生手段のマイナス側出力端子が前記ブラシ側電極に接続されて、該超音波信号発手段が前記イオン電流発生手段を兼用している、
ようにしてある(請求項3対応)。この場合、超音波信号発生手段をイオン電流発生手段として兼用させて、構造の簡単化ひいては安価に製造する上で好ましいものとなる。
【0011】
前記ブラシ側電極の前記突出部が、前記取付脚部の基端部側に向かうにつれて徐々にその突出量が小さくなる傾斜面とされている、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、傾斜面を利用して、ブラシ部を取付脚部から容易に取外すことができる。
【0012】
前記取付脚部に対して前記ブラシ部を取付けた状態において、前記突出部が前記貫通孔を埋めるように位置されると共に、その先端面が該ブラシ部の外表面と面一とされる、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、貫通孔の全面積範囲に渡ってイオン電極が位置するようにして、イオン電極と使用者の唾液とが接触する機会を増大させつつ、外観上の見栄えも良好になる。
【0013】
前記貫通孔が、前記ブラシ部のうちブラシ毛が一体化されている面に形成されると共に、該ブラシ毛の直近に形成されている、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、ブラシ側電極が使用者の唾液と接触する機会を増大させる上で好ましいものとなる。
【0014】
前記超音波振動子と前記突出部との間に発振板が介在されている、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、超音波振動子の振動を、発振板からブラシ側電極へと効果的に伝達させて、ブラシ側電極を超音波振動の伝達部材として極めて効果的に有効利用できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、イオン効果を利用した歯磨き効果を十分に確保する上で好ましいものとなる。また、消耗品となるブラシ部を安価に提供することができる。さらに、ブラシ部内の洗浄を容易かつ効果的に行うことができる。さらに又、使用中にブラシ部が取付脚部から不用意に抜け落ちてしまう事態を防止する上でも好ましいものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1〜図3において、10は本体部、20は取付脚部、30はブラシ部である。本体部10と取付脚部20とは互いに一体化されていて、本体部10の先端部から取付脚部20が細長く伸びている。ブラシ部30は、本体部10および取付脚部20とは別体に形成されて、取付脚部20の外周に着脱自在に嵌合されるようになっており、嵌合された取付状態が図1〜図4に示され、嵌合解除された取外し状態が図5に示される。本体部10と取付脚部20とブラシ部30とは、それぞれ絶縁部材としての合成樹脂によって形成されている。なお、本体部10、取付脚部20,ブラシ部30は、それぞれその径方向の分割構成として、その内部に後述する各種機器類等を組み込んだ後、径方向に合わせて一体化することができる。
【0017】
本体部10は、互いに別体に形成された前分割部材10Aと後分割部材10Bとを一体化することにより、その基端部側が閉じられた有底筒状とされている。本体部10内には、大別して、充電池11,充電池11へ電磁誘導によって充電電流を供給するための充電用コイル12,制御基板13、モータ17が内蔵されている。モータ17は、本体部10を把持した使用者(人体)に対して振動を体感させるための擬似振動(超音波振動よりも周波数が十分に小さい振動)を与えるためのもので、例えばその回転軸に偏心して重り17aが取付けられた構成とされている。また、本体部10には、それぞれその外部に露出するように、ON、OFF用のスイッチ14と、プラス側電極となる手元側電極15と、スイッチ14の直近に位置されたLEDからなるランプ16と、手元側電極15の直近に位置されたLEDからなるランプ71が取付けられている。手元側電極15は、本体部10を歯磨きのために手指で把持したときに、手指に接触されるように位置設定されている。
【0018】
図5〜図9に示すように、取付脚部20の先端部には、超音波振動子21とブラシ側電極31とが装備されている。すなわち、取付脚部20は、先端が閉じられると共に、基端側が本体部10内に開口された細長い中空構造として構成されており、先端部内に超音波振動子21が接着材等によって固定されている。超音波振動子21は、既知の適宜の部材(例えば圧電セラミックス)によって構成されて、両面間に電圧を印可することによって超音波振動される(例えば120万〜150万Hz)。
【0019】
上記ブラシ側電極31は、実施形態では、細長い板状の導電性部材を曲げ加工することによって構成してあり、その先端部側が、横方向(取付脚部20の径方向)に突出した突出部31aとされている。ブラシ側電極31は、突出部31aよりも基端側部分が、超音波振動子21の表面側に対して、長い範囲に渡って(つまり広い面積に渡って)導電性接着材を介して一体化されている。そして、実施形態では、上記突出部31aと超音波振動子21との間には、取付脚部20を構成する絶縁部材としての合成樹脂が介在されている(特に図6、8参照で、介在部分を符合20aで示す)。この突出部31aは、取付脚部20の外部に露出されている。なお、ブラシ側電極31としては、種々の金属材を用いることができるが、例えばステンレス等の体腐食性の高い金属を用いるが好ましい。
【0020】
ブラシ部30は、特に図5に示すように、先端が閉じられると共に基端側が開口された細長い中空構造とされている。ブラシ部30の先端部側面には、ブラシ毛34が植毛、一体化されたヘッド部30aとされている(ブラシ毛34が植毛される複数の取付凹部が符合30bで示される)。このヘッド部30aには、貫通孔81が形成されている。貫通孔81は、前述したブラシ側電極31の突出部31aに対応したもので、貫通孔81の形状(大きさ)は、突出部31aの大きさとほぼ同一とされている。これにより、取付脚部20に対してブラシ部30を嵌合させた所定の取付状態では、貫通孔81に突出部31aがほぼがたつきなく嵌合されるようになっている。そして、この嵌合状態では、突出部31aの先端面が、貫通孔81の周縁部と面一となるように設定されている。換言すれば、突出部31aが、ブラシ部30の外表面の一部を構成するようにされている。
【0021】
前記ブラシ側電極30の前記突出部31aは、その基端側の面が、傾斜面31bとされている。傾斜面31bは、取付脚部20の基端部に向かうにつれて徐々に低くなるように設定されている。つまり、取付脚部20からブラシ部30を取外す際に、傾斜面31bによるガイド作用によって、突出部31aが貫通孔81からスムーズに抜け出ることになる。突出部31aが貫通孔81から抜け出る際は、取付脚部20が貫通孔81とは反対側に向けて弾性変形されつつ行われることになり、このような弾性変形を許容する逃げ空間が、貫通孔81とは反対側において取付脚部20とブラシ部30との間に確保されている。
【0022】
ここで、取付脚部20のうち少なくともブラシ側電極31が位置する先端部分を、例えば図8一点鎖線δを境として径方向(図8上下方向)に分割構成として、一方の分割体にブラシ側電極31を一体成形し(一種の鋳ぐるみ)、その後、超音波振動子21をブラシ側電極31の背面側に一体化した後、他方の分割体を一方の分割体に対して一体化する(例えば融着や接着材による一体化)ことができる。取付脚部20を本体部10とは別体に形成する場合にも、上記と同様に、一方の分割体にブラシ側電極31を一体成形することができる。一方の分割体に対してブラシ側電極31を一体成形することによって、組立後において超音波振動子21に向けて唾液等の液体が侵入してしまう事態を防止する上で好ましいものとなる(シール性の確保)。なお、ブラシ側電極31を一方の分割体と一体成形しない場合は、ブラシ側電極31と取付脚部20との間に微少な隙間が形成される場合は、この隙間をシール材によってシールしておくのが好ましい。
【0023】
図10には、各部品の電気的接続関係が示される。この図10において、制御基板13には、各種機能を果たす機能部18および61〜65が構成される。61は、充電制御部であり、充電制御部61は、充電用コイル12を介しての商用電源から充電池11への充電の制御と、充電池11からの消費電力供給の制御とを行う。62は、超音波信号発生手段となる超音波発振器であり、この超音波発振器62のプラス側出力端子が、接続コード41を介して超音波振動子21の基端部のうち背面側(ブラシ側電極31とは反対側の面)に接続されると共に、手元側電極15に接続される。また、超音波発振器62のマイナス側出力端子が、接続コード42を介して、ブラシ側電極31の基端部に接続されている。超音波振動子21とブラシ側電極31とは電気的に接続されているので、超音波振動子21の表面側には、ブラシ側電極31を介してマイナス電圧が印可されることになる。65は、充電池11の電圧をチェックする電圧チェック部である。
【0024】
64は、メインの制御部であり、メイン制御部64は、スイッチ14がONされると、超音波発信器62を作動させ、イオン電流制御部18を作動させ、しかもランプ16を点灯させる。また、63は、タイマ部であって、このタイマ部63は、スイッチ14がONとなった後、所定時間(例えば10分)をカウントして、所定時間がカウントされた時点で、メイン制御部64は、各制御部62,18の作動を停止させると共に、ランプ16を消灯させる(スイッチ14がOFFされたときも同じ)。勿論、上記イオン電流制御部18は、超音波発振器62から手元側電極15へ流れる電流の大きさを制御する(イオン作用を得るための電流発生そのものは、超音波発振器62を利用している)。
【0025】
以上のような構成の超音波イオン歯ブラシの使用方法については、特許文献3.特許文献4に記載の場合と同様であるので、簡単に説明する。まず、使用に際しては、個人毎に用意されるブラシ部30を取付脚部20に嵌合させた状態とする(ブラシ側電極31の突出部31aが貫通孔81に嵌合された状態)。なお、図示を略すが、例えば、取付脚部20の基端部外周面に形成された環状の係止凸部(または係止凹部)を形成する一方、ブラシ部30の基端部内周面に環状の係止凹部(または係止凸部)を形成して、係止凸部と係止凹部との嵌合作用によってブラシ部30の取付脚部20への着脱に節度感を与えつつ、取付状態を確実に維持するようにされている。
【0026】
次いで、スイッチ14を操作してONにし、手指が手元側電極15に触れるようにして本体部10を把持した状態で、ブラシ毛34が歯や歯ぐきに接触するようにして、歯磨きを行えばよい。歯磨きを行っているとき、超音波振動子21の振動が、特にブラシ側電極31を介して使用者の歯や歯ぐきに効果的に伝達されることになる。また、歯磨き中に、口腔内の唾液がブラシ側電極31に接触することにより、人体を介して手元側電極15とブラシ側電極31との間に電流が流れて、歯垢のイオン結合が緩和、分解されることになる。ブラシ側電極31は、貫通孔81に嵌合されて、極力口腔内に向けて位置するように設定されているので、口腔内の唾液と確実に接触されることになる(貫通孔81よりも内部に引っ込んだ位置では、唾液と接触する機会が減少してしまう)。貫通孔81に突出部31aが嵌合していることにより、ブラシ部30が取付脚部20から不用意に抜け落ちてしまう事態がより確実に防止される。
【0027】
使用後は、ブラシ部30内を、流水あるいは細い洗浄棒(例えば綿棒)を利用して容易に行うことができる。すなわち、例えば水道水等の流水を、ブラシ部30の基端部側の開口部から導入させると、貫通孔81から流水が排水されるので、ブラシ部30内を流水が十分流通することになり、洗浄が効果的に行われる。また、貫通孔81より洗浄棒を挿入して清掃を行うこともできる。このようにして、ブラシ部30内の洗浄を、容易かつ効果的に行うことができる。消耗品となるブラシ部30は、高価な超音波振動子21やブラシ側電極31を有しないので、安価に製造(提供)することができる。
【0028】
充電制御部61、メイン制御部64,電圧チェック部65等による制御の詳細について以下に説明する。まず、短い時間(10秒未満)だけスイッチ14を押圧操作することにより作動が開始されて、超音波発信器62が作動されて、超音波振動子21によって超音波振動が発生され、超音波歯ブラシとしての機能が発揮される。このとき、手元側電極15に使用者の手指が接触した状態で、ブラシ側電極31に使用者の口腔内にある唾液が接触することにより、人体を微弱電流が流れて、イオン歯ブラシとしての機能が発揮される。超音波発信器62が作動されているときは、ランプ16が点灯される(例えば青色)。ただし、電圧チェック部65で検出される充電池11の蓄電量が所定の下限値以下(例えば20%以下で、3.4V以下に相当)になると、ランプ16が点滅されて、充電池11の蓄電量が減少したことが報知される。また、人体を微弱電流が流れているときは、ランプ71が点灯されて(例えば青色)、イオン効果が得られているか否かが容易に確認される。超音波発信器62が作動されている状態で、スイッチ14を所定の短い時間(例えば10秒未満)内で押圧操作すると、上記した全ての作動が停止される。
【0029】
本体部10を、後述する充電器にセットして、充電コイル12を利用した充電時には、ランプ16が点灯される(例えば赤色で、ランプ16は色違いの2種類のLEDから構成されている)。満充電になると、ランプ16が消灯される。
【0030】
非充電状態において、スイッチ14を所定の長時間(例えば10秒以上)押圧操作することにより、検査モードに移行される。すなわち、検査モードに入った状態では、次の3つのモードが、スイッチ14を短い時間押圧操作する毎に繰り返される。すなわち、第1のモードは、超音波発信器62を作動させて超音波振動子21を超音波振動させるが、電極15,31には通電されず、かつモータ17が駆動されない第1モードであり、超音波振動が正常に行われているか否かの確認モードとなる。第2のモードは、超音波振動子21とモータ17とをそれぞれ作動させないモードで、人体を介して電極15と21との間で電流が流れるか否かの確認のモードとなる。第3のモードは、モータ17を作動させるが、超音波振動子21の作動を停止させ、かつ電極15,31への通電をカットしたモードであり、モータ17が正常に作動するか否かの確認モードである。このような検査モード中に、スイッチ14を所定の長時間(例えば10秒)押圧操作することにより、検査モードが終了されて、通常モードとなる(スイッチ14の短い時間での押圧操作によって、超音波およびイオン電流を利用した歯磨きを行える状態への復帰)。なお、タイマ部63によって、検査モード開始から所定時間(例えば10分)が経過したことが計測されると、自動的に全ての作動が停止される。
【0031】
図11は、本発明の第2の実施形態を示すもので、前記実施形態と同一構成要素には同一符合を付してその重複した説明は省略する。本実施形態では、超音波振動子21とブラシ側電極31の突出部31aとの間に、発振板22を介在させてある(符合20aで示す部分が発振板22に置き換えられた構造)。発振板22は、ステンレスやジュラルミン等の金属製とされて、超音波振動子21が振動されたときに共振されるもので、その背面(一面)が超音波振動子21の表面に対して導電性を確保した状態で一体化されると共に、その表面(他面)が突出部31aの背面に一体化されている(導電性接着材による接着や、ハンダ付け等、一体化の手法としては適宜選択できる)。発振板22による共振作用によって、超音波振動子21の超音波振動がより効果的に使用者の歯や歯ぐきに伝達されることになる。なお、超音波振動子21へのマイナス電圧の印可は、ブラシ側電極31から発振板22を介して行われる。
【0032】
図12、図13は、本発明の第3の実施形態を示すものである。本実施形態では、超音波発信器62とは別個独立して、イオン電流生成部18Bを設けるようにしてある。すなわち、イオン電流生成部18Bは、前記実施形態におけるイオン電流制御部18の機能に加えて、イオン電流生成機能を付加したもので、イオン電流制御部18Bと超音波振動子21との接続関係は無くしてある。すなわち、イオン電流制御部18Bは、そのプラス側出力端子が接続コード91を介して手元側電極15に接続される一方、そのマイナス側出力端子が接続コード92を介してブラシ側電極31に接続されている。また、超音波発信器62は、そのプラス側出力端子が接続コード93を介して超音波振動子21の一面側に接続される一方、そのマイナス側出力端子が接続コード94を介して超音波振動子21の他面側に接続されている。なお、超音波振動子21とブラシ側電極31との間は絶縁されている。
【0033】
図14は、本発明の第4の実施形態を示すものである。本実施形態では、超音波振動子21とブラシ側電極31との間に介在物を無くしたもので、突出部31a部部を肉厚の中実構造としてある(図6の符合20aで示す部分に相当する部分をもブラシ側電極31によって構成した構造)。本実施形態では、超音波振動子21とブラシ側電極31との一体化がより強固となって、超音波振動子21からの超音波振動をブラシ側電極31へより効果的に伝達することができる。
【0034】
図15〜図21は、本発明による電動式歯ブラシを充電するための充電器100(充電スタンド)の一例を示すものである。充電器100は、商用電源に接続される電源コード101が接続された本体部110と、本体部110から上方へ一体的に延びる保持部120とを有する。保持部120には、3つの開口部121〜123が形成されて、開口部121には、本体部10が挿通、保持され、他の開口部122,123には、本体部10から取外されたブラシ部30のみが挿通、保持されるようになっている。なお、充電器100はあくまで一例であって、その形状や大きさ、保持しておくブラシ部30の本数等は適宜変更できるものである。
【0035】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。超音波振動子21を有しないものであってもよい。本体部10を構成する後分割部材10Bを、前分割部材10Aから分離させたときに、制御基板13が、バッテリ11や充電コイル12と電気的に切断される(接続コードの切断)ようにしてもよい(分解したときの安全確保)。本体部10を全体的に一部材で形成したり、長手方向に3以上の分割構成としてもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明が適用された歯ブラシの一例を示す正面図。
【図2】図1の右側面図。
【図3】図1の背面図。
【図4】図1に示す歯ブラシの断面図。
【図5】取付脚部からブラシ部を取外した状態での断面図。
【図6】取付脚部の先端部の詳細を示す断面図。
【図7】図6の右側面図。
【図8】図6のX8−X8線相当断面図。
【図9】図6のX9−X9線相当断面図。
【図10】本発明の制御回路例をブロック図的に示す図。
【図11】本発明の第2の実施形態を示すもので、図8に対応した断面図。
【図12】本発明の第3の実施形態を示すもので、図6に対応した断面図。
【図13】本発明の第3の実施形態に用いる制御回路例を示す図。
【図14】本発明の第4の実施形態を示すもので、図6に対応した断面図。
【図15】充電器の一例を示すもので、使用状態での斜視図。
【図16】図15の充電器を示す斜視図。
【図17】図16に示す充電器の側面図。
【図18】図15に示す充電器の上面図
【図19】図16に示す充電器の正面図。
【図20】図16に示す充電器の背面図。
【図21】図16に示す充電器の底面図。
【符号の説明】
【0037】
10:本体部
11:充電池
13:制御基板
14:スイッチ
15:手元側電極
16:ランプ
17:モータ
18:イオン電流制御部(電流制御のみ)
18B:イオン電流制御部(電流発生+電流制御)
20:取付脚部
20a:介在部(超音波振動子とブラシ側電極との間に介在)
21:超音波振動子
22:発振板
30:ブラシ部
31:ブラシ側電極
31a:突出部
31b:傾斜面
62:超音波発信器
64:メイン制御部
81:貫通孔
100:充電器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にイオン電流発生手段が装備されると共に、該イオン電流発生手段に接続された手元側電極が外部に露出された状態で装備された本体部と、
前記本体部の先端部から細長く延び、先端部に前記イオン電流発生手段に接続されたブラシ側電極が装備された取付脚部と、
前記取付脚部の外周に着脱自在に嵌合されるブラシ部と、
を備え、
前記ブラシ側電極が、前記取付脚部の先端部外周面から横方向に突出する突出部を有するように設定され、
前記ブラシ部の先端部側面に貫通孔が形成されて、該ブラシ部を前記取付脚部に嵌合させたときに、前記ブラシ側電極の前記突出部が前記貫通孔に嵌合された状態で外部に露出される、
ことを特徴とする電動式歯ブラシ。
【請求項2】
請求項1において、
前記本体部内に、超音波信号発生手段が装備され、
前記取付脚部の先端部内に、前記超音波信号発生手段に接続された超音波振動子が装備されている、
ことを特徴とする電動式歯ブラシ。
【請求項3】
請求項2において、
前記ブラシ側電極の背面側に、前記超音波振動子が該ブラシ側電極に対して電気的な導通状態でもって一体化され、
前記超音波信号発生手段のプラス側出力端子が前記超音波振動子の背面側に接続されると共に前記手元側電極に接続される一方、該超音波発生手段のマイナス側出力端子が前記ブラシ側電極に接続されて、該超音波信号発手段が前記イオン電流発生手段を兼用している、
ことを特徴とする電動式歯ブラシ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記ブラシ側電極の前記突出部が、前記取付脚部の基端部側に向かうにつれて徐々にその突出量が小さくなる傾斜面とされている、ことを特徴とする電動式歯ブラシ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記取付脚部に対して前記ブラシ部を取付けた状態において、前記突出部が前記貫通孔を埋めるように位置されると共に、その先端面が該ブラシ部の外表面と面一とされる、
ことを特徴とする電動式歯ブラシ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記貫通孔が、前記ブラシ部のうちブラシ毛が一体化されている面に形成されると共に、該ブラシ毛の直近に形成されている、ことを特徴とする電動式歯ブラシ。
【請求項7】
請求項2ないし請求項6のいずれか1項において、
前記超音波振動子と前記突出部との間に発振板が介在されている、ことを特徴とする電動式歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−233121(P2009−233121A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83659(P2008−83659)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(399044377)株式会社 マリーヌ (3)
【Fターム(参考)】