説明

電動搬送車両

【課題】メンテナンス性を向上させることができる電動搬送車両を提供すること。
【解決手段】無人搬送車両1には、汎用性を有する可搬式発電機9を着脱可能に載置するための台である可搬式発電機設置台8が設けられている。また、可搬式発電機9と、充電装置12とを接続するための接続器13が設けられている。本実施形態では、この接続器13を設けているので、専用のエンジン及び発電機だけではなく、可搬式発電機9と、充電装置12とを電気的に接続でき、可搬式発電機9により発電される電力を、充電装置12へ供給できる。よって、専用の発電機やエンジンだけではなく、可搬式発電機9を無人搬送車両1に搭載できる。汎用性を有する可搬式発電機9は、容易に調達できるため、故障しても迅速に交換が行える。従って、メンテナンス性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動搬送車両に関し、特に、メンテナンス性を向上させることができる電動搬送車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場内等において、車両に搭載されたバッテリの電力で走行し、荷物の搬送を行う電動搬送車両が知られている。この種の電動搬送車両に関し、次の特許文献1には、バッテリを充電するための電力を発生させる発電機と、その発電機を駆動するためのエンジンとを車両に搭載しておき、発電機により発電させた電力でバッテリを充電する電動搬送車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−355402号公報(第0022段落など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように発電機やエンジンを電動搬送車両に搭載する場合、発電機やエンジンは、車両の種類や用途に合わせて設計される。そのため、故障した場合には、専用の発電機やエンジンをメーカーから取り寄せなければ修理を行えず、メンテナンス性が悪いという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、メンテナンス性を向上させることができる電動搬送車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
請求項1記載の電動搬送車両によれば、装着部に装着した汎用性を有する可搬式発電機と、充電手段とを接続手段により電気的に接続でき、装着部に装着した可搬式発電機により発電された電力を充電手段へ供給できる。汎用性を有する可搬式発電機は、専用の発電機やエンジンと比較して調達し易い。よって、故障しても迅速に交換が行えるので、メンテナンス性を向上させることができるという効果がある。
【0007】
請求項2記載の電動搬送車両によれば、請求項1の効果に加え、次の効果を奏する。即ち、可搬式発電機により発電される電力が第1入力部に入力され、商用電源の電力が第2入力部に入力され、第1入力部に入力される電力を充電手段へ供給するか、第2入力部に入力される電力を充電手段へ供給するかが切替手段により切り替えられる。そして、残量検出手段により検出されるバッテリの残量が、電動モータの始動のために保持すべき第1閾値以下になったと第1判定手段により判定された場合に、発電制御手段によって、第1入力部に入力される電力が充電手段へ供給されるよう切替手段が切り替えられ、且つ、第1入力部に接続されている可搬式発電機を作動させ発電が行われるよう制御される。よって、バッテリの残量が第1閾値以下となり、電動搬送車両が発進困難となるおそれがでるまでは、可搬式発電機によるバッテリの充電を抑制できるので、可搬式発電機の作動を極力抑制できる。商用電源を使用する場合に必要な単位電力あたりの電気代と、その単位電力を発電する場合に必要な可搬式発電機の燃料代とを比較すると、商用電源を使用する場合の電気代の方が安い。従って、可搬式発電機よりも商用電源を使用してバッテリを充電した方が充電にかかるコストを抑制できる。故に、電動搬送車両の走行コストを軽減できるという効果がある。
【0008】
請求項3記載の電動搬送車両によれば、請求項2の効果に加え、次の効果を奏する。即ち、回生ブレーキにより発生する回生電力は回生充電手段によりバッテリに充電される。残量検出手段により検出されるバッテリの残量が、第1閾値よりも大きく且つそのバッテリにおける満充電未満の所定の残量を示す第2閾値以上になったと第2判定手段により判定された場合に、第1入力部に接続されている作動中の可搬式発電機が停止するよう第1停止制御手段により制御される。
【0009】
可搬式発電機によりバッテリが(第2閾値より小さい)第1閾値以上に充電された場合には、電動モータを始動させて、電動搬送車両を走行開始できる。電動搬送車両を走行開始させた後は、電動搬送車両を停止させる場合に、回生ブレーキによる回生電力が発生するため、その回生電力を回生充電手段によりバッテリに充電できる。可搬式発電機によるバッテリの充電は、バッテリの残量が満充電未満の第2閾値以上になった場合に、第1停止制御手段によって停止される。よって、バッテリに回生電力を貯蔵するための空き容量を残した状態で、可搬式発電機によるバッテリの充電を停止できるので、その分、可搬式発電機の作動を抑制できる上、回生電力でバッテリを充電できる。従って、バッテリの充電コストを抑制できるので、一層、電動搬送車両の走行コストを軽減できるという効果がある。
【0010】
請求項4記載の電動搬送車両によれば、請求項2または3の効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第2入力部に対し商用電源の電力が供給されると供給判定手段により判定されると、第1入力部に接続されている作動中の可搬式発電機が停止するよう第2停止制御手段により制御される。よって、第2入力部に対し商用電源の電力が供給される場合には、可搬式発電機によるバッテリの充電を抑制できる。従って、可搬式発電機の作動をより抑制できるので、バッテリの充電コストをより抑制でき、一層、電動搬送車両の走行コストを軽減できるという効果がある。
【0011】
請求項5記載の電動搬送車両によれば、請求項4記載の効果に加え、次の効果を奏する。即ち、電動搬送車両の現在位置が位置特定手段に特定され、その特定結果に基づいて、第2入力部と商用電源とが電気的に接続される供給ステーションに電動搬送車両が到着したかが到着判定手段により判定される。そして、供給判定手段では、到着判定手段により供給ステーションに電動搬送車両が到着したと判定される場合に、第2入力部に対し商用電源の電力が供給されると判定され、その結果、第1入力部に接続されている作動中の可搬式発電機が停止するよう第2停止制御手段により制御される。よって、電動搬送車両が供給ステーションに到着した後、第2入力部に対し商用電源の電力が供給開始されるまで待つことなく、第1入力部に接続されている作動中の可搬式発電機を停止させることができる。従って、可搬式発電機の作動をより抑制できるので、バッテリの充電コストをより抑制でき、一層、電動搬送車両の走行コストを軽減できるという効果がある。
【0012】
請求項6記載の電動搬送車両によれば、請求項4または5の効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第2入力部に対し商用電源の電力が供給中であると供給中判定手段により判定される間は、切替手段における切り替えが切替禁止手段により禁止される。よって、切替手段を介して可搬式発電機と商用電源とが電気的に接続され、可搬式発電機により発電された電力が商用電源へ流入すること、及び、商用電源の電力が可搬式発電機の内部に流入することを防止できる。従って、商用電源および可搬式発電機が故障しないように保護できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は、本発明の電動搬送車両の一例である無人搬送車両の側面図であり、(b)は、無人搬送車両の正面図であり、(c)は、無人搬送車両の背面図である。
【図2】無人搬送車両の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】無人搬送車両の走行経路の一部を模式的に示す平面図である。
【図4】無人搬送車両の制御装置で実行されるバッテリ残量監視処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、無人搬送車両1の側面図であり、図1(b)は、無人搬送車両1の正面図であり、図1(c)は、無人搬送車両1の背面図である。尚、本実施形態では、図1(a)に向かった場合の右方向を無人搬送車両1の前方とし、図1(a)に向かった場合の左方向を無人搬送車両1の後方として説明する。
【0015】
無人搬送車両1は、工業用途向けにレンタルまたは販売されている汎用性を有する可搬式発電機9を着脱自在に装着可能に構成して、メンテナンス性を向上させたものである。また、この無人搬送車両1は、バッテリ11に貯蔵されている電力を動力源として自律走行する電動車両であり、無人搬送車両1の運行制御を行う上位プロコン(図示しない)の指令に基づいて、走行経路上を走行し、その走行経路上に設置されている複数のステーション(図示しない)間を往来して、指令されたステーションにおいて積載した荷物を、指令されたステーションまで搬送する。
【0016】
図1(a)〜(c)に示すように、無人搬送車両1は、荷物が積載される荷台2と、荷台2の下に設けられた走行装置3と、前面側に設けられた装置格納室4と、後面側に設けられた可搬式発電機設置台8と、前後方向の中央部であって荷台2の下部に設けられた充電装置格納箱5と、充電装置格納箱5から所定間隔離されて荷台2から懸架されたバッテリ11とを主に有して構成されている。尚、以下では、可搬式発電機設置台8に可搬式発電機9が装着されているものとして説明する。
【0017】
走行装置3は、無人搬送車両1の前後方向に2列、各列の左右方向に2個の計4個設けられている。各走行装置3は、車軸の両端に連結された2つの車輪をそれぞれ有し、各車軸は、車輪と共に前転または後転するように、また、荷台2に対して旋回するように構成されている。
【0018】
装置格納室4には、無線通信装置19と、制御装置70とが設けられている。無人搬送車両1は、上位プロコンとの間で、無線通信装置19によるデータ通信を行う。そして、その通信を介して通知される上位プロコンの指令に基づいて、制御装置70により走行状態が制御される。
【0019】
可搬式発電機設置台8は、可搬式発電機9を着脱可能に載置するための台であり、側面視L字状の台で構成されている。可搬式発電機9は、工業用途向けにレンタルまたは販売されている汎用の発電機であり、その用途は無人搬送車両1用に限らず、他の用途にも利用される。例えば、土木工事や、建築工事などの工事現場に工事期間の間、一時的に設置され利用されたり、災害発生時などの非常用電源として利用される。可搬式発電機9は、様々なメーカーで製造され販売されているため、レンタルや購入などによる調達が、専用のエンジン及び発電器と比較して容易であり、価格も安い。
【0020】
よって、仮に、無人搬送車両1に装着している可搬式発電機9が故障しても、迅速に交換できるので、無人搬送車両1のメンテナンス性を向上させることができる。また、価格が安いので、専用のエンジン及び発電機を必要とする無人搬送車両と比較して、メンテナンスのコストを抑制できる。尚、可搬式発電機9には、燃料レベルセンサ10が取り付けられており、自律走行中には可搬式発電機9における燃料の有無が、燃料レベルセンサ10により検出される。
【0021】
充電装置格納箱5には、電力供給制御装置14と、接続器13と、充電装置12とが設けられている。バッテリ11の電力は、主に、電力供給制御装置14を介して、走行装置3へ供給される。また、可搬式発電機9により発電される電力や、外部より供給される商用電源の電力は、個別に接続器13へ入力され、その入力された電力の一つが充電装置12へ供給される。その結果、充電装置12によりバッテリ11が充電される。
【0022】
バッテリ11は、無人搬送車両1の各部へ動作電力を供給するための鉛蓄電池である。尚、鉛蓄電池に限らず、ニッケル・カドミウム蓄電池や、ニッケル・水素蓄電池や、リチウムイオン蓄電池など、他の種類の蓄電池を用いても良い。また、バッテリ11には、バッテリ残量検出センサ15が取り付けられており、自律走行中にはバッテリ11の残量が、バッテリ残量検出センサ15により検出される。
【0023】
上述した主な構成に加え、無人搬送車両1の底面には、磁気ガイド検出センサ16と、磁気マーク検出センサ17と、IDタグ検出センサ18とが設けられている。詳細については後述するが、制御装置70は、各検出センサ16〜18の検出結果に基づいて、走行すべき経路や、停止位置などを判定し、無人搬送車両1の進行方向や走行速度などの走行状態を制御する。
【0024】
次に、図2を参照して、無人搬送車両1の電気的構成について説明する。図2は、無人搬送車両1の電気的構成を示すブロック図である。無人搬送車両1の制御装置70は、CPU71、フラッシュメモリ72、及び、RAM73を備え、これらがバスライン74を介して入出力ポート75にそれぞれ接続されている。入出力ポート75には、燃料レベルセンサ10と、可搬式発電機9と、接続器13と、充電装置12と、回転駆動装置6と、操舵駆動装置7と、電力供給制御装置14と、バッテリ残量検出センサ15と、磁気ガイド検出センサ16と、磁気マーク検出センサ17と、IDタグ検出センサ18と、無線通信装置19とが主に接続されている。
【0025】
制御装置70は、上位プロコンから通知されてくる指令や、各種センサ10,15〜18の検出結果に基づいて、回転駆動装置6や、操舵駆動装置7や、電力供給制御装置14などを制御して、無人搬送車両1を自律走行させる装置である。
【0026】
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置である。フラッシュメモリ72は、CPU71により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性のメモリである。尚、後述する図4のフローチャートに示すバッテリ残量監視処理を実行するプログラムは、制御プログラム72aの一部として、フラッシュメモリ72に格納されている。RAM73は、CPU71が制御プログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリである。
【0027】
燃料レベルセンサ10は、可搬式発電機9のエンジン9aの燃料タンク(図示しない)内に燃料が残っているか否かを検出して、その検出結果を制御装置70へ出力するセンサである。燃料レベルセンサ10は、可搬式発電機9のエンジン9aの燃料タンクや、エンジン9aの補助燃料タンク(図示しない)に取り付けられる。
【0028】
可搬式発電機9は、ディーゼル燃料などの燃料で動作するエンジン9aと、そのエンジン9aの動力により駆動される発電機9bとが筐体に収容された発電機である。本実施形態では、外部からの信号入力などにより、エンジン9aの始動および停止を制御可能な可搬式発電機9を用いており、制御装置70からの指令により、可搬式発電機9の始動(即ち、発電)または停止が制御されるように構成されている。
【0029】
接続器13は、可搬式発電機9により発電される電力、及び、後述する地上充電設備21により供給される商用電源の電力の一方を、充電装置12に供給するものである。接続器13は、可搬式発電機接続部13aと、地上充電設備接続部13bと、電磁接触器13cとを有している。
【0030】
可搬式発電機接続部13aは、可搬式発電機9により発電された電力が入力される接続端子であり、例えば、端子台により構成されている。可搬式発電機接続部13aと、可搬式発電機9の発電機9bとは、ケーブル(図示しない)等を介して電気的に接続されており、可搬式発電機接続部13aには、可搬式発電機9により発電が行われた場合に、その電力が入力される。
【0031】
地上充電設備接続部13bは、後述する地上充電設備21から供給される商用電源の電力が入力される接続端子であり、例えば、複数の電極により構成されている。尚、地上充電設備21は、伸縮自在に構成されたアームを有し、そのアームには、地上充電設備接続部13bの各電極と対になる電極が設けられている。
【0032】
電磁接触器13cは、可搬式発電機接続部13aと充電装置12とを接続するか、地上充電設備接続部13bと充電装置12とを接続するかを切り替えるためのスイッチであり、その切り替えは、制御装置70により制御される。尚、電磁接触器13cの入力側には、可搬式発電機接続部13aと、地上充電設備接続部13bとが、電気的に絶縁されて個別に接続されている。また、電磁接触器13cの出力側には、ケーブル(図示しない)等を介して、充電装置12の入力部が接続されている。
【0033】
電磁接触器13cにおいて、可搬式発電機接続部13aと充電装置12とが接続されるようにスイッチが切り替えられると、可搬式発電機接続部13aと充電装置12とが電気的に接続される。この状態で、可搬式発電機9による発電が行われると、可搬式発電機9により発電された電力が充電装置12へ供給される。一方、電磁接触器13cにおいて、地上充電設備接続部13bと充電装置12とが接続されるようにスイッチが切り替えられると、地上充電設備接続部13bと充電装置12とが電気的に接続される。この状態で、地上充電設備接続部13bに対し商用電源の電力が供給されると、その商用電源の電力が充電装置12へ供給される。
【0034】
充電装置12は、バッテリ11を充電するための充電回路(図示しない)を有する装置であり、接続器13を介して供給される電力によってバッテリ11を充電するものである。尚、充電装置12の出力部には、バッテリ11が接続されている。可搬式発電機9により発電された電力、又は、商用電源の電力が、接続器13を介して充電装置12に入力されると、規定の直流電圧・直流電流に変換されて、バッテリ11へ出力され、バッテリ11が充電される。このバッテリ11に充電された電力は、回転駆動装置6および操舵駆動装置7へ供給され、無人搬送車両1を走行させるための動力源として利用される。
【0035】
回転駆動装置6および操舵駆動装置7は、上述した各走行装置3(図1参照)にそれぞれ設けられている装置である。回転駆動装置6は、車軸に回転駆動力を付与して車輪を回転させる装置であり、車軸に回転駆動力を付与する電動モータ6aを有している。電動モータ6aは、電力供給制御装置14を介して、バッテリ11と接続されており、バッテリ11の電力を動力源として動作する。一方、操舵駆動装置7は、車軸を旋回させて車軸に操舵角を付与する装置であり、車軸を旋回させる電動モータ7aを有している。電動モータ7aは、直接、バッテリ11と接続されており、バッテリ11の電力を動力源として動作する。
【0036】
また、電動モータ6aは、車輪を駆動するだけでなく、発電機として動作させることで、走行中の無人搬送車両1に制動をかける回生ブレーキとしても使用される。回生ブレーキにより発生する回生電力は、電力供給制御装置14を介して、バッテリ11に充電される。電力供給制御装置14は、回転駆動装置6およびバッテリ11間の電力の流れを制御するものであり、電動モータ6aが回生ブレーキとして使用され回生電力が発生する場合、即ち、電動モータ6aよる発電が行われる場合には、その発電される回生電力を、規定の直流電圧・直流電流に変換してバッテリ11に充電する。尚、制御装置70は、無人搬送車両1を減速させる場合に、電動モータ6aが制動用の回生ブレーキとして動作するように、回転駆動装置6および電力供給制御装置14を制御する。
【0037】
上述したように、無人搬送車両1によれば、可搬式発電機9を作動させて発電を行うことができ、また、後述する地上充電設備21から商用電源の電力を供給してもらうことができる。そして、可搬式発電機9により発電される電力、および、商用電源の電力の一方の電力を、接続器13を介して充電装置12に入力し、バッテリ11を充電できる。そして、そのバッテリ11に貯蔵された電力で、回転駆動装置6および操舵駆動装置7を動作させて、無人搬送車両1を走行させることができる。また、回生ブレーキにより発生した回生電力を、電力供給制御装置14を介して、バッテリ11に充電できる。
【0038】
バッテリ残量検出センサ15は、バッテリ11の電圧値を、バッテリ11の残量として検出し、その検出結果を制御装置70へ出力するセンサである。制御装置70は、バッテリ残量検出センサ15の検出結果に基づいて、バッテリ11の残量がバッテリ11の全容量の何%であるかを算出する。
【0039】
磁気ガイド検出センサ16は、磁気ガイドGを検出するセンサであり、磁気マーク検出センサ17は、磁気マークMを検出するセンサであり、IDタグ検出センサ18は、IDタグITを検出するセンサである。
【0040】
工場内の床等には、無人搬送車両1の走行経路として、テープ状の磁気ガイドGが予め設置されている。また、走行経路上のうち、ステーションの設置場所や、無人搬送車両1の停止位置や、走行経路における分岐点の位置(右折位置や、左折位置)には、矩形板状の磁気マークMが予め設置されている。走行経路上のうち、各ステーションの設置場所には、各ステーションをそれぞれ個別に識別するための識別情報(例えば、ステーションの名称)が記憶されたコイン状のIDタグITが予め設置されている。
【0041】
磁気ガイド検出センサ16は、磁気ガイドGを検出するセンサ素子を複数備えた検出部(図示しない)を有しており、検出部のどの領域で磁気ガイドGが検出されているのかなどの検出結果を制御装置70に出力する。
【0042】
磁気マーク検出センサ17は、磁気マークMを検出しているか否かを制御装置70に出力するセンサであり、制御装置70は、磁気マークMが検出された場合に、無人搬送車両1が何れかのステーションに到着した、停車位置に到着した、または、走行経路上の分岐点に差し掛かったと判定する。
【0043】
IDタグ検出センサ18は、IDタグITとの距離が接近している間(例えば、数10cm以内)、そのIDタグITに記憶されている識別情報を非接触(例えば、電磁誘導方式など)で読み取って、制御装置70へ出力するセンサである。
【0044】
制御装置70は、磁気ガイド検出センサ16の検出結果に基づいて、無人搬送車両1が走行経路(磁気ガイドG)上を走行するように、進行方向や走行速度などの走行状態を制御する。また、制御装置70は、自律走行中に、磁気マーク検出センサ17により磁気マークMが検出され、且つ、IDタグ検出センサ18によりIDタグITの識別情報が検出された場合に、その検出された識別情報に対応するステーションに、無人搬送車両1が到着したと判定する。そして、例えば、その到着したステーションが上位プロコンから指示されたステーションであれば、そこで無人搬送車両1を停車させる。
【0045】
次に、図3を参照して、商用電源の電力でバッテリ11が充電される場合の一例について説明する。図3は、無人搬送車両1の走行経路の一部を模式的に示す平面図であり、その走行経路(磁気ガイドG)上に、後述する充電ステーションCが設けられた状態を示している。また、ステーションの設置場所と、走行経路上における分岐点(右折位置や、左折位置)とに磁気マークMが設置され、ステーションの設置場所にIDタグITが設置された状態を示している。
【0046】
上位プロコンは、例えば、無人搬送車両1に割り振る搬送作業が一時的に無くなった場合等に、無人搬送車両1に対して、待機すべきステーション(以後、「充電ステーション」と称す)Cに戻るよう指令を通知する。
【0047】
制御装置70は、この通知を受け取ると、無人搬送車両1が走行経路上を走行して、充電ステーションCへ向かうように、無人搬送車両1の進行方向や走行速度などを制御する。例えば、図3に示す無人搬送車両1(点線で示すもの)を、充電ステーションCへ向かわせる場合、制御装置70は、無人搬送車両1が図面の左側から右側に向かうように、無人搬送車両1を走行させ、最初の走行経路上の分岐点で、無人搬送車両1を右折させる。そして、その後、充電ステーションCに到着した場合に、無人搬送車両1を停車させる。
【0048】
充電ステーションCには、無人搬送車両1の地上充電設備接続部13bに対して商用電源を供給する地上充電設備21が設けられている。この地上充電設備21から、無人搬送車両1の地上充電設備接続部13bに対して、商用電源が供給されると、無人搬送車両1では、商用電源によるバッテリ11の充電が行われる。
【0049】
上述したように、無人搬送車両1は、充電ステーションCへ戻るよう上位プロコンから通知されると、充電ステーションCまで走行して停車し、商用電源が供給されるのを待つ。これに加え、本実施形態では、充電ステーションCに到着した場合に、可搬式発電機9によるバッテリ11の充電が行われていれば、直ぐに、可搬式発電機9を停止させる。
【0050】
充電ステーションCでは、地上充電設備21から、無人搬送車両1の地上充電設備接続部13bに対して商用電源の電力が供給されるため、無人搬送車両1では、商用電源によりバッテリ11を充電できる。そのため、充電ステーションCでは、可搬式発電機9を動作させる必要がない。
【0051】
そこで、本実施形態では、無人搬送車両1が充電ステーションCに到着した場合に、上位プロコンからの指令や、商用電源の供給開始などを待たずに、直ぐに、可搬式発電機9を停止させる。そして、その後は、可搬式発電機9を停止させた状態で、商用電源によりバッテリ11を充電させる。これにより、可搬式発電機9の作動を極力抑制できる。
【0052】
商用電源を使用する場合に必要な単位電力あたりの電気代と、その単位電力を発電する場合に必要な可搬式発電機9の燃料代とを比較すると、商用電源を使用する場合の電気代の方が安い。よって、可搬式発電機9よりも商用電源を使用してバッテリ11を充電することにより、充電コストや燃料コストを抑制でき、無人搬送車両1の走行コストを軽減できる。
【0053】
また、無人搬送車両1が充電ステーションCに到着した場合に、直ぐに、可搬式発電機9を停止させることで、可搬式発電機9により消費される燃料をより軽減できる。よって、一層、無人搬送車両1の走行コストを軽減できる。
【0054】
尚、本実施形態では、無人搬送車両1が充電ステーションCに到着した場合に直ぐに、可搬式発電機9を停止させているが、無人搬送車両1が充電ステーションCに到着する直前や、無人搬送車両1が充電ステーションCに間もなく到着する場合に、可搬式発電機9を停止させても良い。例えば、最後に通過したステーション(又は、分岐点)から充電ステーションCまでの区間の走行距離を算出し、その算出した走行距離と、無人搬送車両1が実際に走行した距離とを比較して、充電ステーションCに到着する直前であるか、或いは、間もなく到着するかを判定する。このように構成すれば、一層、可搬式発電機9の作動を抑制できるので、一層、充電コストや燃料コストを抑制できる。よって、一層、無人搬送車両1の走行コストを軽減できる。尚、上述したように可搬式発電機9を停止させる場合には、現在のバッテリ11の残量で、無人搬送車両1が充電ステーションCに到着可能であることを条件として、可搬式発電機9を停止させる。
【0055】
そして、無人搬送車両1が充電ステーションCに到着すると、上位プロコンから地上充電設備21に対して、商用電源の供給準備を開始するよう指令が通知される。地上充電設備21は、この通知を受け取ると、上述したアームを地上充電設備接続部13bに対して伸ばす。その結果、地上充電設備21と、地上充電設備接続部13bとが電気的に接続される。
【0056】
その後、上位プロコンから地上充電設備21および無人搬送車両1に対して、商用電源の供給開始が通知される。地上充電設備21は、この通知を受け取ると、地上充電設備接続部13bに対して商用電源の電力を供給開始し、無人搬送車両1は、この通知を受け取ると、商用電源によるバッテリ11の充電を開始する。
【0057】
そして、バッテリ11の充電が終了した場合や、無人搬送車両1に割り振る搬送作業が発生した場合等には、上位プロコンから地上充電設備21および無人搬送車両1に対して、商用電源の供給終了が通知される。
【0058】
地上充電設備21は、この通知を受け取ると、商用電源の電力の供給を終了し、上述したアームを縮め、無人搬送車両1との接続を解除する。無人搬送車両1は、この通知を受け取ると、商用電源によるバッテリ11の充電を終了し、上位プロコンから通知されてくる指令に基づいて、荷物の搬送作業を再開する。
【0059】
次に、図4を参照して、制御装置70で実行されるバッテリ残量監視処理について説明する。図4は、バッテリ残量監視処理を示すフローチャートである。この処理は、バッテリ11の残量などの各種条件に応じて、可搬式発電機9を動作または停止させるための処理であり、制御装置70の電源が投入されてから、電源が遮断されるまで繰り返し実行される。
【0060】
まず、CPU71は、可搬式発電機9が装着されているか否かを判定する(S1)。例えば、可搬式発電機設置台8に圧力センサや近接センサ等を設けておく。そして、S1の処理では、可搬式発電機設置台8に可搬式発電機9が装着され、圧力センサや近接センサにより可搬式発電機9が検出されている場合に、可搬式発電機9が装着されていると判定する。
【0061】
S1の処理において、可搬式発電機9が装着されていない場合(S1:No)、CPU71は、可搬式発電機9が装着されるまで待機する。一方、可搬式発電機9が装着されている場合(S1:Yes)、可搬式発電機9が動作中であるかを判定する(S2)。S2の処理において、可搬式発電機9が動作中でない場合(S2:No)、CPU71は、バッテリ残量検出センサ15の検出結果に基づいて、バッテリ11の残量が60%以下になったかを判定する(S3)。
【0062】
S3の処理において、バッテリ11の残量が60%を超えている場合(S3:No)、無人搬送車両1を問題なく走行させることができるので、CPU71は、何もせずにS1の処理に戻る。一方、バッテリ11の残量が60%以下になった場合(S3:Yes)、CPU71は、バッテリ11の残量が低下し過ぎて、無人搬送車両1が走行不能になるおそれがあるため、可搬式発電機9によるバッテリ11の充電を試みる。
【0063】
具体的には、まず、接続器13の地上充電設備接続部13bに対して、商用電源の電力が供給開始されるかを判定する(S4)。S4の処理では、例えば、無人搬送車両1が充電ステーションCに到着した後、上位プロコンより無人搬送車両1に対して商用電源の供給開始が通知された場合に、商用電源の電力が供給開始されると判定する。
【0064】
S4の処理において、地上充電設備接続部13bに対して、商用電源の電力が供給開始される場合(S4:Yes)、CPU71は、接続器13の電磁接触器13cを制御して(切り替えて)、接続器13の地上充電設備接続部13bと、充電装置12とを接続し(S5)、S6の処理へ移行する。一方、地上充電設備接続部13bに対して、商用電源の電力が供給開始されない場合(S4:No)、S5の処理をスキップして、S6の処理へ移行する。
【0065】
次に、接続器13の地上充電設備接続部13bに対して、商用電源の電力が供給されているかを判定する(S6)。S6の処理では、例えば、上位プロコンより無人搬送車両1に対して商用電源の電力の供給開始が通知されてから、供給終了が通知されるまで、商用電源の電力が供給されていると判定する。
【0066】
S6の処理において、地上充電設備接続部13bに対して、商用電源の電力が供給されている場合(S6:Yes)、CPU71は、S1の処理へ戻る。一方、地上充電設備接続部13bに対して、商用電源の電力が供給されていない場合(S6:No)、燃料レベルセンサ10の検出結果に基づいて、可搬式発電機9に燃料が残っているかを判定する(S7)。
【0067】
S7の処理において、可搬式発電機9に燃料が残っていない場合(S7:No)、可搬式発電機9を動作させることが困難であるので、CPU71は、S1の処理に戻る。一方、可搬式発電機9に燃料が残っている場合(S7:Yes)、接続器13の電磁接触器13cを制御して(切り替えて)、接続器13の可搬式発電機接続部13aと、充電装置12とを接続する(S8)。そして、CPU71は、可搬式発電機9を動作させる(S9)。S8、及び、S9の処理が実行されることにより、可搬式発電機9により発電される電力でバッテリ11が充電される。尚、S9の処理の終了後は、S1の処理に戻る。
【0068】
上述したように、本実施形態では、バッテリ11の残量が60%以下になったかを判定し(S3)、60%以下になっていれば(S3:Yes)、可搬式発電機9によるバッテリ11の充電を試みている。これは、バッテリ11の残量が低下し過ぎて、無人搬送車両1が走行不能になってしまうことを抑制するためである。回転駆動装置6や操舵駆動装置7の電動モータ6a,7aは、始動時に大電力を消費するため、バッテリ11の残量が低下し過ぎると(例えば、バッテリ11の残量が50%以下になると)、電動モータ6a,7aを始動させることができず、無人搬送車両1を発進させることが困難になり、無人搬送車両1が走行不能になってしまう。
【0069】
そこで、電動モータ6a,7aの始動に必要な電力を十分に確保できるように、S3の判定を行い、バッテリ11の残量が60%以下になったら(S3:Yes)、可搬式発電機9による発電が試みられるように構成している。ここで、可搬式発電機9による発電が開始されれば(S9)、その電力でバッテリ11が充電されるので、無人搬送車両1が走行不能になることを抑制できる。尚、可搬式発電機9によりバッテリ11を充電できるので、無人搬送車両1に搭載されるバッテリ11の容量が小さくても、無人搬送車両1を長距離走行させることができる。また、小容量のバッテリ11を搭載することで、無人搬送車両1の製造コストを抑制できる。
【0070】
また、バッテリ11の残量が60%以下になるまでは(S3:No)、即ち、無人搬送車両1が走行不能になるおそれが生じるまでは、S3:Noへ分岐させ、S9の処理をスキップさせている。これにより、無人搬送車両1が走行不能になるおそれが生じるまでは、可搬式発電機9によるバッテリ11の充電を抑制できるので、可搬式発電機9の作動を極力抑制できる。上述したように、可搬式発電機9よりも商用電源を使用してバッテリ11を充電した方が、充電コストや燃料コストを抑制できる。よって、無人搬送車両1の走行コストを軽減できる。
【0071】
また、商用電源が供給されている間は、S6:Yesへ分岐させ、S8の処理をスキップさせている。これにより、商用電源が供給されている間に、接続器13の電磁接触器13cにおいて、可搬式発電機接続部13aと充電装置12とが接続されるように、接続の切り替えが行われることを禁止できる。よって、電磁接触器13cの内部で接続状態が切り替えられるタイミング等に、接続器13を介して、可搬式発電機9と、地上充電設備21とが電気的に接続されることを防止できる。
【0072】
従って、可搬式発電機9により発電された電力が地上充電設備21(即ち、商用電源)へ流入すること、及び、商用電源の電力が可搬式発電機9の内部に流入することを防止できる。故に、地上充電設備21(即ち、商用電源)、及び、可搬式発電機9が故障しないように保護できる。
【0073】
S2の処理において、可搬式発電機9が動作中である場合(S2:Yes)、CPU71は、無人搬送車両1が充電ステーションCに到着したかを判定する(S10)。S10の処理では、例えば、磁気マーク検出センサ17により磁気マークMが検出されていると共に、IDタグ検出センサ18によりIDタグITの識別情報が検出されており、更に、その検出されている識別情報が、充電ステーションCを示す場合に、無人搬送車両1が充電ステーションCに到着したと判定する。
【0074】
S10の処理において、無人搬送車両1が充電ステーションCに到着した場合(S10:Yes)、商用電源を用いてバッテリ11を充電可能な状態であるので、CPU71は、S13の処理へ移行して、動作中の可搬式発電機9を停止させる(S13)。尚、S13の処理の終了後は、S1の処理へ戻る。
【0075】
一方、S10の処理において、無人搬送車両1が充電ステーションCに到着していない場合(S10:No)、CPU71は、バッテリ残量検出センサ15の検出結果に基づいて、バッテリ11の残量が90%以上になったかを判定する(S11)。S11の処理において、バッテリ11の残量が90%以上になった場合(S11:Yes)、可搬式発電機9を動作させてバッテリ11を充電している最中に、バッテリ11の残量が十分に回復した場合であるので、CPU71は、S13の処理へ移行して、動作中の可搬式発電機9を停止させる(S13)。尚、S13の処理の実行後は、S1の処理へ戻る。
【0076】
上述したように、本実施形態では、バッテリ11の残量が90%以上になったかを判定し(S11)、90%以上になっていれば(S11:Yes)、動作中の可搬式発電機9を停止させている。これは、回生ブレーキにより発生する回生電力を有効に利用するためである。バッテリ11が満充電状態になると、回生電力をバッテリ11に充電できなくなるため、回生電力を失効させるしかなく、回生電力が無駄になってしまう。
【0077】
そこで、本実施形態では、可搬式発電機9によるバッテリ11の充電が終了した後でも、回生電力をバッテリ11に充電できるように、回生電力を貯蔵するための空き容量をバッテリ11に残した状態で、可搬式発電機9を停止させている。これにより、可搬式発電機9の作動を抑制できる上、回生電力によりバッテリ11を充電できる。よって、バッテリ11の充電コストや燃料コストを抑制できるので、一層、無人搬送車両1の走行コストを軽減できる。
【0078】
S11の処理において、バッテリ11の残量が90%未満の場合(S11:No)、CPU71は、燃料レベルセンサ10の検出結果に基づいて、可搬式発電機9に燃料が残っているかを判定する(S12)。S12の処理において、可搬式発電機9に燃料が残っている場合(S12:Yes)、引き続き可搬式発電機9を動作させることが可能であるので、CPU71は、可搬式発電機9を動作させた状態で、S1の処理に戻る。
【0079】
一方、可搬式発電機9に燃料が残っていない場合(S12:No)、引き続き可搬式発電機9を動作させることが困難であるので、CPU71は、S13の処理へ移行して、動作中の可搬式発電機9を停止させる(S13)。尚、S13の処理の実行後は、S1の処理へ戻る。
【0080】
尚、上記実施形態に記載の「(バッテリ11の残量)60%」が、請求項に記載の「第1閾値」に対応し、上記実施形態に記載の「(バッテリ11の残量)90%」が、請求項に記載の「第2閾値」に対応する。
【0081】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0082】
例えば、上記実施形態で挙げた具体的数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。上記実施形態では、バッテリ11の残量が60%以下であるかや、90%以上であるかを基準値としているが、これらの基準値は、バッテリ11の種類や特性等に基づいて適宜決めれば良い。バッテリ11の種類にもよるが、バッテリ11が満充電状態になったり、バッテリ11の残量が低下し過ぎると、バッテリ11の劣化が進み、その結果、バッテリ11の回復特性が悪くなったり、バッテリ11の寿命が短くなる場合がある。このような場合には、バッテリ11の劣化を抑制するように、基準値を決める。
【0083】
また、上記実施形態では、バッテリ11の残量を%に換算して取り扱ったが、%に限らず、残量に相当する数値であれば、その数値を残量として取り扱っても良い。例えば、バッテリ残量検出センサ15の検出結果などの数値を、そのままバッテリ11の残量として取り扱っても良い。
【0084】
また、上記実施形態では、バッテリ残量検出センサ15によりバッテリ11の残量を検出して、その残量に応じて、可搬式発電機9を作動させたり、可搬式発電機9を停止させたが、バッテリ11の消耗量を検出または算出して、その消耗量に応じて、可搬式発電機9を作動させたり、可搬式発電機9を停止させても良い。
【0085】
また、上記実施形態のバッテリ残量監視処理(図4参照)では、可搬式発電機9を動作させるか否かを判定するために、S3,S4,S6,S7の各判定を順番に実行しているが、判定の順番は任意の順番で実行すれば良い。同様に、可搬式発電機9を停止させるか否かを判定するために、S10〜S12までの各判定を順番に実行しているが、判定の順番は任意の順番で実行すれば良い。
【0086】
また、上記実施形態のバッテリ残量監視処理(図4参照)では、S6の処理において、接続器13の地上充電設備接続部13bに対して、商用電源の電力が供給されているかを判定するように構成しているが、無人搬送車両1が充電ステーションCに位置しているか否かを判定するように構成しても良い。この場合についても、本実施形態と同様に、可搬式発電機9と、地上充電設備21とが電気的に接続されることを防止できる。よって、地上充電設備21(即ち、商用電源)、及び、可搬式発電機9が故障しないように保護できる。
【0087】
また、上記実施形態は、地上充電設備21より無人搬送車両1へアームが伸ばされることで、地上充電設備21と、無人搬送車両1とが物理的に接触して電気的に接続されるように構成されている。これに対し、充電ステーションCにおける無人搬送車両1の停車位置に、地上充電設備21を配置しておき、無人搬送車両1が充電ステーションCに到着すると、無人搬送車両1と地上充電設備21とが物理的に当接し、互いに連結されて電気的に接続されるように構成しても良い。
【0088】
また、上記実施形態では、無人搬送車両1と、地上充電設備21とを物理的に接触させて電気的に接続し(即ち、接触式により)、無人搬送車両1に対して商用電源の電力を供給する例について説明したが、非接触方式で無人搬送車両1に対して商用電源の電力を供給する場合でも、本発明を適用できる。
【0089】
また、上記実施形態では、本発明を無人搬送車両1に適用した形態について説明したが、有人無人に関わらず、電動の搬送車両であれば本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0090】
1 無人搬送車両(電動搬送車両)
6a 電動モータ(回生ブレーキ)
6a、7a 電動モータ
8 可搬式発電機設置台(装着部)
9 可搬式発電機
11 バッテリ
12 充電装置(充電手段)
13 接続器(接続手段)
13a 可搬式発電機接続部(第1入力部)
13b 地上充電設備接続部(第2入力部)
13c 電磁接触器(切替手段)
14 電力供給制御装置(回生充電手段)
15 バッテリ残量検出センサ(残量検出手段)
17 磁気マーク検出センサ(位置特定手段の一部)
18 IDタグ検出センサ(位置特定手段の一部)
70 制御装置
S3 第1判定手段
S6 供給中判定手段
S6:Yes 切替禁止手段
S8,S9 発電制御手段
S10 供給判定手段、到着判定手段
S11 第2判定手段
S13 第1停止制御手段、第2停止制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、その電動モータを作動させる電力を貯蔵するバッテリと、そのバッテリを充電する充電手段とを備え、前記電動モータにより車両を走行させる電動搬送車両において、
汎用性を有する可搬式発電機を着脱自在に装着する装着部と、
その装着部に装着される可搬式発電機と前記充電手段とを電気的に接続し、その可搬式発電機により発電される電力をその充電手段へ供給する接続手段とを備えていることを特徴する電動搬送車両。
【請求項2】
前記接続手段は、
前記可搬式発電機と接続され、その可搬式発電機により発電される電力が入力される第1入力部と、
商用電源と接続され、その商用電源の電力が入力される第2入力部と、
その第2入力部に入力される電力を前記充電手段へ供給するか、前記第1入力部に入力される電力を前記充電手段へ供給するかを切り替える切替手段とを備え、
前記バッテリの残量を検出する残量検出手段と、
その残量検出手段により検出されるバッテリの残量が、前記電動モータの始動のために保持すべき第1閾値以下になったかを判定する第1判定手段と、
その第1判定手段により前記バッテリの残量が前記第1閾値以下になったと判定される場合に、前記第1入力部に入力される電力が前記充電手段へ供給されるよう前記切替手段を切り替え、且つ、その第1入力部に接続されている可搬式発電機を作動させ発電が行われるよう制御する発電制御手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の電動搬送車両。
【請求項3】
回生ブレーキにより発生する回生電力を前記バッテリに充電する回生充電手段と、
前記残量検出手段により検出されるバッテリの残量が、前記第1閾値より大きく且つそのバッテリにおける満充電未満の所定の残量を示す第2閾値以上になったかを判定する第2判定手段と、
その第2判定手段により前記バッテリの残量が前記第2閾値以上になったと判定される場合に、前記第1入力部に接続されている作動中の可搬式発電機を停止させるよう制御する第1停止制御手段とを備えていることを特徴とする請求項2記載の電動搬送車両。
【請求項4】
前記第2入力部に対し前記商用電源の電力が供給されるかを判定する供給判定手段と、
その供給判定手段により前記商用電源の電力が供給されると判定される場合に、前記第1入力部に接続されている作動中の可搬式発電機を停止させるよう制御する第2停止制御手段とを備えていることを特徴とする請求項2または3記載の電動搬送車両。
【請求項5】
前記電動搬送車両の現在位置を特定する位置特定手段と、
その位置特定手段の特定結果に基づいて、前記第2入力部と前記商用電源とが電気的に接続される供給ステーションに前記電動搬送車両が到着したかを判定する到着判定手段とを備え、
前記供給判定手段は、
前記到着判定手段により前記供給ステーションに前記電動搬送車両が到着したと判定される場合に、前記第2入力部に対し前記商用電源の電力が供給されると判定されるものであり、
前記第2停止制御手段は、
前記到着判定手段により前記供給ステーションに前記電動搬送車両が到着したと判定される場合に、前記第1入力部に接続されている作動中の可搬式発電機を停止させるよう制御するものであることを特徴とする請求項4記載の電動搬送車両。
【請求項6】
前記第2入力部に対し前記商用電源の電力が供給中であるかを判定する供給中判定手段と、
その供給中判定手段により前記商用電源の電力が供給中であると判定される間は、前記切替手段における切り替えを禁止する切替禁止手段とを備えていることを特徴とする請求項4または5記載の電動搬送車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−55750(P2013−55750A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191117(P2011−191117)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】