説明

電動昇降吊戸棚

【課題】電装品を収納するスペース以外の区画されたスペースを他目的の収納スペースとして有効利用することができる電動昇降吊戸棚を提供することを目的とする。
【解決手段】建物上部に電動式昇降機構によって昇降するキャビネット2を設け、このキャビネットの下方部位に電動式昇降機構を操作するための昇降操作部11を配置し、キャビネットの収納棚下部のスペースを複数のスペースに区画し、その少なくとも一つのスペースには電装品を収納する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器乾燥器等として適用される電動昇降吊戸棚に係り、特に昇降用キャビネットを構成する内箱の下部スペースを小物載置用として有効利用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電動昇降吊戸棚のキャビネットは建物上部に固定される外箱と、この外箱に形成される収納空間内に昇降自在に収納されて食器類が載置される内箱と、外箱に内装され内箱を昇降させる電動昇降機構と、電動昇降機構の動作を制御して内箱を昇降させる操作スイッチ等により構成されている。
【0003】
そして従来では、電動昇降機構を用いて食器類が収納される内箱を昇降自在とし、この内箱を上昇させて外箱内に収納させ、内箱を下降させて外箱の下方に露出させる電動昇降吊戸棚が構成されている。
【0004】
操作スイッチは内箱の下端部に設けられており、昇降用スイッチ等を含み、スイッチ回路等の電気的配線を設置する必要がある。また、電動昇降吊戸棚を操作する場合には手元を照明するために照明器具を設置する必要等もある。
【0005】
このため、内箱の下端位置の直上位置には通常、その上側スペースから隔離するための一定の上下間隔が狭いスペースからなる下部空間が形成されている。
【0006】
なお、従来では上述のスペース内に配置される照明器具として、一定の広範囲を照射し得るように、直管蛍光灯などの直管形灯具が横長配置で設置されている(例えば特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−16621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の内箱最下端側のスペースは一般に、その上方の食器収納量確保等のため上下に狭く形成される一方、横方向においては内箱全体に亘って広いスペースを形成することができる。但し上述のように、上下方向スペースとしては狭隘であるため、小物程度しか収容することができず、通常は無駄なスペースになり易く、このスペースは有効に活用され難い。
【0009】
一方、このスペースを有効活用するために上下方向に拡大することにも問題がある。すなわち、内箱の前面側には、この内箱の昇降に伴って開閉する扉が上端側を支点として開動可能に設けられている。そして、この扉は内箱が下降する際に上端側の支点を中心として次第に開き、逆に内箱の上昇時には狭くなっていく。そして、上昇時には最終的に閉じる。
【0010】
このため、仮に内箱の下端側のスペースを上下方向に拡大した場合には、内箱の上昇に連れて次第に隙間が小さくなり、縮小するスペースに物品等が挟まる可能性がある。したがって、内箱の下端側のスペースを上下方向に拡大することにも課題がある。
【0011】
本願発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内箱下端側のスペースを特に上下方向に拡大することなく、有効活用することができる電動昇降吊戸棚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するため、本発明では、建物上部に電動式昇降機構によって昇降するキャビネットを設け、このキャビネットの下方部位に前記電動式昇降機構を操作するための昇降操作部を配置した電動昇降吊戸棚において、前記キャビネットの収納棚下部のスペースを複数のスペースに区画し、その少なくとも一つのスペースには電装品を収納する構成としたことを特徴とする電動昇降吊戸棚を提供する。
なお、本発明において好ましくは、前記電装品を棚下照明手段とする。
また、前記棚下照明手段は区画された他のスペースも照射する構成とする。
また、前記他のスペースは、キッチン小物を収納可能なものとする。
また、前記他のスペースは、水受トレイを収納可能なものとする。
また、前記他のスペースは、前記電装品を収納するスペースと同一スペースに設定する。
また、前記収納棚の動作は、前記収納スペースが露出した位置で停止するものとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、キャビネットの収納棚下部のスペースを複数のスペースに区画し、その一つには電装品を収納する構成としたことにより、電装品を収納するスペース以外の区画されたスペースを他目的の収納スペースとして有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態による電動昇降吊戸棚を示す全体斜視図。
【図2】図1に示した電動昇降吊戸棚を一部断面として示す構成図。
【図3】図1に示した電動昇降吊戸棚を図2と直交する方向に沿う断面として示す構成図。
【図4】本発明の第2実施形態による電動昇降吊戸棚を示す部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る電動昇降吊戸棚の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
[第1実施形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態による電動昇降吊戸棚を説明する。
【0017】
この実施形態では一例として、システムキッチンにおける天井設置式の昇降式食器乾燥機として適用する場合について説明する。ただし、その他の電動昇降吊戸棚、例えば乾燥庫、水切り棚等、種々の吊戸棚に適用することができる。
【0018】
まず、図1により、昇降式食器乾燥機の全体構成について説明する。
【0019】
この昇降式食器乾燥機は、天井またはその付近に設置されるキャビネットとして、外箱1と、この外箱1に昇降可能に設けられた内箱2とを有し、外箱1の前面には扉3が設けられている。
【0020】
外箱1は天板1a、両側板1b,1bおよび背板1cを備え、前面および下面が開放する構成となっており、この外箱1が天井等に固定される。
【0021】
内箱2は食器乾燥機本体を構成するもので、上板2a、下板2b、両側板2cおよび背板2dにより前面が開口する形状とされている。この内箱2の両側板2cの外面間の寸法が、外箱1の両側板1b,1bの内面間の寸法よりも僅かに小さく設定され、これら各側板1c,1c間にそれぞれ縦長な幅狭い側方空間8が形成されている。なお、内箱2の高さは外箱1より十分小さく、内箱2上方に機器スペースが形成されるようになっている。
【0022】
内箱2内には複数段、例えば上下2段の棚4(上棚4a,下棚4b)が設置されている。さらに、内箱2の下板2bと下棚4bとの間には、上下高さが小さい下部空間5(5a,5b,5c)が形成されている。この下部空間5は幅方向に沿って複数空間、例えば仕切板6,7により区画されており、左右の空間5a,5cは前面が開口し、中央の空間5bは前板9によって塞がれている。また、内箱2の下板2bには、この内箱2の昇降操作および電源操作等を行うための操作スイッチ10が設けられている。
【0023】
なお、操作スイッチ10は、電源操作用の電源スイッチ(釦スイッチ)56、内箱2の上昇動作を次の1回の操作により全ストロークの上昇を自動的に行うためのオートスイッチ(釦スイッチ57)、内箱2の昇降動作を摘み操作により上昇・下降に切換え操作するための昇降レバー58(上向き開動操作により上昇、下向き開動操作により下降)、およびオン・オフ切換え操作用の電源スイッチ58、ならびに照明ランプ59を備えている。
【0024】
次に、図2および図3を参照して、電動昇降吊戸棚の構成および操作スイッチ10について説明する。
【0025】
図2は、電動昇降吊戸棚を縦断面として前方から見た縦断面図であり、図3は右側方から見た縦断面図である。
【0026】
図2および図3に示すように、内箱2は外箱1に昇降機構11により昇降可能に支持されている。この昇降機構11は例えばベルト式昇降機構であり、外箱1のフレーム12に取付けたモータ13と、このモータ13にギア等の動力伝達機構15を介して連結された巻取りドラム16と、このドラム16に巻装されるベルト17と、ベルト17を下方に案内するベルトローラ18,18と、内箱2の天板2aにブラケット19を介して支持された内箱吊上げ用の吊上げローラ20と、ベルト17の端部をフレーム12部位で止着する止着具21とを有する。
【0027】
外箱1の両側板1b,1bの内面には、内箱2を昇降ガイドするための縦長なガイドレール22がそれぞれ設けられている。外箱1には扉3がその上端縁部の例えば3個所に設けたヒンジ14を介して連結され、これにより扉3は上端縁部を支点として下端側を前後方向に回動し得る構成となっている。
【0028】
この昇降機構11のベルト17は例えば2本構成であり、その各ベルト17により内箱2の左右2箇所が吊上げられる方式となっている。各ベルト17は、一つの巻取りドラム16に同時に巻上げられ、それにより内箱2が常時一定姿勢で昇降することができる。
【0029】
また、図1、図2および図3に示すように、内箱2の下板2bと下棚4bとの間のスペース(下部空間5b)には、照明用の電装品である灯具23が設けられている。この灯具23は内箱4内の後部における左右中央位置に配置してあり、支持板24により支持されて下部空間5bの横方向および前方を照射するようになっている。
【0030】
すなわち、この第1実施形態では、キャビネットの収納棚下部のスペースを複数のスペースに区画し、その少なくとも一つのスペースに電装品として、棚下照明手段である灯具23を収納する構成としてある。
【0031】
以上の実施形態によれば、キャビネットの収納棚下部のスペースを複数のスペースに区画し、その一つには電装品を収納する構成としたことにより、電装品を収納するスペース以外の区画されたスペースを他目的の収納スペースとして有効利用することができる。なお、本実施形態では、一つのスペースに電装品を収納したが、2以上のスペースに電装品を配置してもかまわない。
【0032】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態では、図1〜図3を参照して、棚下照明手段が、区画された他のスペースも照射する構成について説明する。
【0033】
図1〜図3に示すように、本実施形態では棚下照明手段としての灯具23が、内箱2の下棚4bと下板2bとの間に左右方向に沿って区分された下部空間5a,5b,5cのうち、左右方向中央に区画された下部空間5b内に収容されている。
【0034】
そして、この下部空間5a,5b,5cを形成する仕切板6,7は、図3に示すように灯具23の前方の範囲のみを区画する構成となっている。
【0035】
したがって、一つの区画内に設置された電装品としての灯具23から発生した光は、各仕切板6,7の前方に分散して区画された他のスペースも照射する構成となっている。
【0036】
これにより、本実施形態によれば、棚下照明手段である灯具23が、区画された他のスペースも照射することができる。
【0037】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態では、図1〜図4を参照して、他のスペースがキッチン小物を収納可能とする構成について説明する。
【0038】
これらの図に示すように、本実施形態では内箱2の下端位置に、前方に向って開口する下部空間5a,5b,5c,‥が形成されている。
【0039】
そして、図4に示すように、これらの下部空間5‥は互いに隣接して前方に向って開口する構成となっているので、隣接する各スペース同士がそれぞれ他のスペースとなり、それぞれのスペースにキッチン小物を収納することが可能となる。
【0040】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態では、図1〜図4を参照して、他のスペースが水受トレイを収納可能である構成について説明する。
【0041】
図2に示すように、本実施形態では内箱2の下端位置に、前方に向って開口する下部空間5a,5b,5c‥が形成されている。
【0042】
そして、図4に示すように、下部空間5‥は互いに隣接して前方に向って開口する構成となっているので、水受トレイを収納する場合において、隣接する各スペース同士のそれぞれについて、他のスペースが水受トレイを収納可能である構成となる。
【符号の説明】
【0043】
1‥外箱
1a‥天板
1b,1b‥両側板
1c‥背板
2‥内箱
2a‥上板
2b‥下板
3‥扉
4‥棚
4a‥上棚
4b‥下棚
5(5a,5b,5c)‥下部空間
6,7‥仕切板
9‥前板
10‥操作スイッチ
11‥昇降機構
12‥フレーム
13‥モータ
14‥ヒンジ
15‥動力伝達機構
16‥巻取りドラム
17‥ベルト
18,18‥ベルトローラ
19‥ブラケット
20‥吊上げローラ
21‥止着具
22‥ガイドレール
23‥電装品(灯具)
24‥支持板
56‥電源スイッチ
57‥オートスイッチ
58‥昇降レバー
59‥照明ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物上部に電動式昇降機構によって昇降するキャビネットを設け、このキャビネットの下方部位に前記電動式昇降機構を操作するための昇降操作部を配置した電動昇降吊戸棚において、前記キャビネットの収納棚下部のスペースを複数のスペースに区画し、その少なくとも一つのスペースには電装品を収納する構成としたことを特徴とする電動昇降吊戸棚。
【請求項2】
前記電装品を前記収納棚の下方を照明する棚下照明手段とする請求項1記載の電動昇降吊戸棚。
【請求項3】
前記棚下照明手段は区画された他のスペースも照射する構成とする請求項1または2記載の電動昇降吊戸棚。
【請求項4】
前記他のスペースは、キッチン小物を収納可能なものとする。請求項1ないし3のいずれか1項記載の電動昇降吊戸棚。
【請求項5】
前記他のスペースは、水受トレイを収納可能なものとする請求項1ないし4のいずれか1項記載の電動昇降吊戸棚。
【請求項6】
前記他のスペースは、前記電装品スペースと同一に設定する請求項1ないし5のいずれか1項記載の電動昇降吊戸棚。
【請求項7】
前記収納棚の動作は、前記収納スペースが露出した位置で停止するものとする請求項1ないし6のいずれか1項記載の電動昇降吊戸棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−213922(P2010−213922A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64650(P2009−64650)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【出願人】(000164140)金澤工業株式会社 (54)
【Fターム(参考)】