説明

電動耕耘機

【課題】バッテリの電気容量の残量の表示を正確に行い、かつ表示面を見やすくした電動耕耘機を提供すること。
【解決手段】圃場を耕耘するロータリ部Rを駆動するモータ8と該モータ8の電源であるバッテリ48を備え、バッテリ48の電気容量の残量を表示するバッテリ残量モニタ26cではバッテリ残量がモータ8の駆動に十分な状態とモータ8の駆動には十分でない状態を区別して表示できる表示領域を設け、バッテリ残量が予め設定する閾値以下を検出すると閾値を前記予め設定した値より上げる制御装置100を設けた電動耕耘機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手軽に耕耘作業ができる電動耕耘機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動耕耘機には耕耘爪を回転駆動させる動力源である駆動モータを備え、該駆動モータのバッテリの電気容量の残量を表示するインジケータを設けた手押しタイプのミニ電動耕耘機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−34000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の電動耕耘機は、農作業中に振動や再起動などで電圧値が変動しやすい。一時的に閾値以下を検出すると、バッテリの電気容量の残量が少ない旨の表示を一時的にしてしまい、作業者に分かりにくい場合がある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、バッテリの電気容量の残量の表示を正確に行い、かつ表示面を見やすくした電動耕耘機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は、次の解決手段で解決される。
すなわち請求項1記載の発明は、圃場を耕耘するロータリ部(R)と、ロータリ部(R)を駆動するモータ(8)と、モータ(8)の動力をロータリ部(R)に伝動する伝動軸(41)と、伝動軸(41)を内装する伝動フレーム(2)と、伝動フレーム(2)の上部に固定する機体フレーム(1)と、機体フレーム(1)上に載置したモータ(8)の電源であるバッテリ(48)とを備えた電動耕耘機において、バッテリ(48)の電気容量の残量を表示するバッテリ残量表示部(26c)を機体フレーム(1)上に設け、該バッテリ残量表示部(26c)にはバッテリ残量がモータ(8)の駆動に十分な状態とモータ(8)の駆動には十分でない状態を所定の閾値で区別して表示できる表示領域を設け、バッテリ残量が予め設定する前記閾値以下を検出すると当該閾値を前記予め設定した値より上げる制御装置(100)を設けたことを特徴とする電動耕耘機である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記制御装置(100)が、起動前にバッテリ残量がモータ(8)の駆動に十分であった場合には、前記モータ(8)の起動時から一定時間経過するまでは、残量表示部(26c)にバッテリ残量が十分であったときの表示を継続させることを特徴とする請求項1記載の電動耕耘機である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、制御装置(100)は、バッテリ残量表示部(26c)には、バッテリ残量が比較的少ないときは、例えば赤色を表示し、バッテリ残量が比較的多いときは、例えば緑色表示させる。こうして二色の表示でバッテリ容量の残量状態をオペレータに知らせるとき、残量が少なくなって、例えば赤色の点灯があったときは、農作業中の振動や再起動などにより電圧値が変動しやすくなるので、赤色の点灯が起こらないように、一時的に閾値を上げておくために、閾値を上げて残量判定を行う。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、制御装置(100)は、モータ(8)の起動時から一定時間経過するまでは、前記モータ(8)の起動前にバッテリ残量がモータ(8)の駆動に十分であった場合にバッテリ残量が十分であったときの表示をバッテリ残量表示部(26c)に継続して表示させるので、モータ(8)の起動時の電圧低下によるバッテリ残量表示部(26c)の表示への影響を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態の電動耕耘機の左側面図である。
【図2】図1の電動耕耘機の背面図である。
【図3】図1の電動耕耘機の平面図である。
【図4】図1の電動耕耘機の左側面図である。
【図5】図1の電動耕耘機のハンドルを折りたたんだ状態の左側面図である。
【図6】図1の電動耕耘機のハンドルをグリップ部の操作を説明する側面図である。
【図7】図6のハンドルをグリップ部の操作を説明する底面図である。
【図8】図1の電動耕耘機のバッテリケースの正面図(図8(a))と側面図(図8(b))である。
【図9】図8のバッテリケースの底面図(図9(a))と側面図(図9(b))である。
【図10】図1の電動耕耘機のバッテリケースを取り外したときの平面図である。
【図11】図1の電動耕耘機の制御ブロック図である。
【図12】図1の電動耕耘機のバッテリとモータ及び運転状況などの表示部のモニタユニット等と充電器のシステムブロック図である。
【図13】図1の電動耕耘機のバッテリ残量モニタの表示のための制御回路構成を示す図である。
【図14】図1の電動耕耘機のバッテリ残量モニタの正面図(図14(a))とバッテリ電圧とバッテリ残量モニタの表示色の出力の関係図(図14(b))である。
【図15】図1の電動耕耘機のバッテリ基準電圧とバッテリからの入力電圧の両方が経過時間に対する立ち上がり波形が揃える例を示す図である。
【図16】図1の電動耕耘機のバッテリ残量モニタの点灯制御のフローチャートを示す図である。
【図17】図1の電動耕耘機のバッテリ残量モニタの点灯制御のフローチャートを示す図である。
【図18】図1の電動耕耘機のバッテリ残量モニタの点灯制御のフローチャートを示す図である。
【図19】図1の電動耕耘機のバッテリ残量モニタの点灯制御のフローチャートを示す図である。
【図20】図1の電動耕耘機のバッテリ残量モニタの点灯制御のフローチャートを示す図である。
【図21】図1の電動耕耘機のバッテリ残量モニタの点灯制御のための電圧と電流の関係を示す図である。
【図22】図1の電動耕耘機のバッテリ残量モニタの点灯制御のフローチャートを示す図である。
【図23】図1の電動耕耘機のバッテリ残量モニタの点灯制御のフローチャートを示す図である。
【図24】図1の電動耕耘機のバッテリ残量モニタの点灯制御のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の電動耕耘機の実施の形態について以下、図面と共に説明する。
本明細書では、耕耘機の手動ハンドルを持ったオペレータが耕耘機を前進させる方向を前といい、その反対側を後ろといい、耕耘機の前進方向を向いて左右方向をそれぞれ左右ということにする。
【0012】
前後方向に長手方向が設けられた機体フレーム1の前部には伝動軸41(図4)を内装する伝動フレーム2を取り付けている。そして伝動軸41の伝動により横軸芯周りに回転駆動する左右方向に伸びたロータリ軸3と、該ロータリ軸3に適宜取り付ける複数のロータリ爪4と、ロータリ軸3の左右両端に取り付けるサイドディスク5とからなるロータリ部Rを設けている。
【0013】
機体フレーム1の上部には、ロータリ部Rの上方を覆う平面視円盤形状のロータリカバー6を取り付けている。ロータリカバー6の左右中央部には平面視U字型の壁部6aを形成し、該壁部6aの内側に沿って開口部6bを形成している。そして該開口部6bの前側半分にはモータカバー7を取り付け、モータカバー7の内部には前記伝動軸41に動力を伝動する駆動モータ8を装着し、開口部6bの後側半分にはバッテリ48を収容したバッテリケース9を着脱自在に装着する。駆動モータ8とバッテリケース9は機体フレーム1に取り付けている載置台10(図4)上に載置し、開口部6bを貫通して配置する構成としている。
【0014】
機体フレーム1の後部には前後方向に伸びたハンドルフレーム11の前端側を接続している。ハンドルフレーム11は後側ほど上向きになるように傾斜配置されており、ハンドルフレーム11の後端部には左右の操作ハンドル12a,12bが分岐して設けられ、左右の操作ハンドル12a,12bの後端部にはオペレータの把持用のハンドルグリップ13a,13bが取り付けられている。
【0015】
また、ハンドルフレーム11より下側の機体フレーム1の後端部には電動耕耘機を移動するときに機体フレーム1を支持する支持車輪14と、耕耘作業時に機体のダッシングを防止する抵抗棒15を取り付けている。
【0016】
次に、機体の駆動構成について説明する。
図2の機体背面図と図3の機体平面図に示すように、ハンドルフレーム11から操作ハンドル12a,12bが分岐する位置にモータ駆動用電源の入り切りをする電源スイッチ16を設け、左右一方のハンドルグリップ13bの近傍にモータ8の駆動を入り切りする操作レバー17(図1、図6)を設けている。バッテリケース9の後面にはバッテリケース9内のバッテリ48と駆動モータ8とを接続する配線20の出力端子18とバッテリ48に充電するための充電端子19とを設ける。出力端子18と充電端子19は機体背面視でハンドルフレーム11の左右両側にそれぞれ設ける構成で、オペレータが操作側の機体後ろ側からハンドルフレーム11が邪魔になり難く配線の着脱を行いやすくしている。また、出力端子18と充電端子19を機体の背面視でハンドルフレーム11を挟んで左右両側に分けて、それぞれ配置したため、視覚的にも分かりやすく誤差込を防止することができる。
【0017】
バッテリ48とモータ8を接続する配線20(図1、図3)はバッテリケース9の下部からロータリカバー6の壁部6aの外周に形成する傾斜部6cの下方と後述する載置台10の間の空間を通過する構成としている。
【0018】
バッテリケース9は上面に取っ手9aを形成し、下面に位置固定用の足9bを複数形成し、位置固定用の足9bを載置台10に形成する位置固定用の穴10aに挿入することで、バッテリケース9の載置位置を固定する構成としている。また、図10に示すようにバッテリケース9はその左右側面をロータリカバー6の壁部6aで支持されると共に、その前面に位置固定用の細長い凸部9cを形成し、該凸部9cをモータカバー7に形成する位置固定用の細長い凹部7aと係合可能な構成としている。また、載置台10の左右中央には開口部10bを設け、載置台10に雨水等で流入した水が、該開口部10bに一旦貯めることができるようにしている。
【0019】
また、図8〜図10に示すようにバッテリケース9を機体にセットするときには位置固定用の凸部9cを位置固定用の凹部7aに挿入して、そのまま下に下ろすと位置固定用の足9bが位置固定用の穴10aに挿入されてバッテリケース9の位置固定がなされる。バッテリケース9を取り出すときは取っ手9aを引き上げるだけで取り出すことができる。
【0020】
本実施の形態のバッテリケース9は前側をモータカバー7で、側面をロータリカバー6の壁部6aで支持されるが、壁部6aはロータリカバー6とは別体に形成しても良い。例えば載置台10側に取り付けた壁部6aを形成する構成としても良い。また、壁部6aは後ろ上がり傾斜状に形成することで、バッテリケース9の支持を強固にすると共に機体全体の美観を向上させることができる。また、バッテリケース9の背面側には後支持壁部6dを形成してバッテリケース9を背面から支持している。後支持壁部6dはバッテリケース9の側面を支持する壁部6aよりも低く形成し、出力端子18と充電端子19を機体背面側に露出する構成とすることで出力端子18と充電端子19への接続をし易くしている。
【0021】
次に、操作レバー17の操作安全装置Tについて主に図6と図7により説明する。
操作レバー17はハンドル12bの基部側の一部を覆う断面が逆U字状のカバー部材29に設けられた横軸30の周りに回動する構成とし、該操作レバー17は横軸30の前側に形成されるスイッチ操作部17aと横軸30の後側に形成される把持部17bからなる。操作レバー17の把持部17bを把持操作でスイッチ操作部17aが下向きに回動した後に操作レバー17を初期位置に戻すためのスプリング25(図7)が横軸30と一体の突起30aとカバー部材29の適宜箇所に連結する。
【0022】
また、横軸30より後方位置のカバー部材29の壁面を貫通させた位置には移動軸31を設ける。該移動軸31は把持部17bと交差する方向(左右方向)に支持され、この左右方向に摺動するようにカバー部材29の壁面に配置される。また、移動軸31は機体内側から順に小径部31aと大径部31bとを隣接して形成している。そして、操作安全装置Tの初期位置では大径部31bが把持部17bの回動軌跡上に位置する構成としている(図7(a)参照)。また、移動軸31の機体内側端には移動軸31を機体外側に向かって押し操作するための押し部31cを形成し、押し部31cとカバー部材29の壁面との間の移動軸31にスプリング35を巻回している。
【0023】
さらに、モータ8の駆動を入切するリミットスイッチ(運転スイッチ)33がカバー部材29に設けられている。操作レバー17の把持部17bを把持操作でスイッチ操作部17aが下向きに回動したときに、該スイッチ操作部17aが押圧する位置にリミットスイッチ33が設けられている。
このように操作レバー17の操作安全装置Tは、スイッチ操作部17a、把持部17b、スプリング25、カバー部材29、横軸30、小径部31aと大径部31bと押し部31cを有する移動軸31、リミットスイッチ33、スプリング35を備えた構成である。
【0024】
上記構成における操作レバー17と安全装置Tの耕耘作業時の操作について以下説明する。
電源スイッチ16を入りにして、押し部31cを親指で押すと、移動軸31が機体外側に向かって横移動し、大径部31bが機体外側に移動し、小径部31aが操作レバー17の回動軌跡上に位置する(図7(b)参照)。そして、オペレータが把持部17bを把持するとスイッチ操作部17aと把持部17bがリミットスイッチ33が入りとなる位置まで回動し、モータ8が駆動しロータリ部Rが回転して耕耘作業が行われる(図6(b)参照)。耕耘作業が始まると、把持部17bと小径部31aとが当接状態となっており、把持部17bが大径部31bが初期位置に戻るのを止めるため、オペレータは押し部31cを離し、把持部17bを把持した状態で耕耘作業を継続できる。
【0025】
耕耘作業を停止するときには、オペレータが把持部17bを離すとスプリング25の作用でスイッチ操作部17aが初期位置まで回動し、リミットスイッチ33が切られてロータリ部Rは停止する(図6(c)参照)。また、スプリング35の作用で移動軸31が機体内側に移動し、初期位置に戻る。
【0026】
オペレータが電源スイッチ16を入りにした状態で電動耕耘機を持ち運んでいるときに、不意に操作レバー17の把持部17bに当接して把持部17bが回動しても、把持部17bが移動軸31の大径部31bに当接して、スイッチ操作部17aがリミットスイッチ33の入り位置まで回動せず、リミットスイッチ33は入りされない(図6(a)参照)。押し部31cを押した状態で把持部17bを操作しなければロータリ部Rは回転しないため、電源スイッチ16が入り状態であることをオペレータが気がつかずに持ち運んでいるときに不意にロータリ部Rが回転することがないので安全である。
【0027】
次にLED表示部の構成について以下説明する。
電源スイッチ16の近傍に各種運転状態を示す複数のLED表示部26(図3)を設けている。本実施の形態では、電源の入り切りのLED表示部26a、運転の入り切りのLED表示部26bとバッテリ残量のLED表示部26cを設けている。電源の入り切りのLED表示部26aでは電源スイッチ入りで第一の色である緑色が発光し、過負荷を検出して配線20に設ける保護回路(図示せず)が作動すると第二の色である赤色が発光する。運転の入り切りのLED26bではリミットスイッチ33が入りしてロータリ部Rが駆動すると第一の色である緑色が発光し、モータ8内蔵の温度センサーによる保護回路(図示せず)が作動すると第二の色である赤色が発光する。バッテリ残量のLED表示部26cではバッテリ48の残量が通常の状態では第一の色である緑色が発光し、残量が設定量以下になると第二の色である赤色が発光する。
【0028】
このように、各種運転状態をLED表示部26で表示し、また、第一の色から第二の色に適宜変色することで少ないLEDの数で多くの動作表示を行うことができ、また、一箇所に集中して、かつ、操作側から見やすい位置にLED表示部26を配置することで各種運転状況を確認しやすい。また、電源スイッチ16に隣接してLED表示部26を設けたことで、電源入りから電源切の際にLED表示部26を常に確認しやすい。
【0029】
本実施例の電動耕耘機の制御装置100による制御ブロック図を図11に示し、充電回路と放電回路を備えた二次電池48とモータ8及び運転状況などのLED表示部26のモニタユニット等を制御する制御装置100を中心としたシステムブロック図を図12に示す。充電回路45と放電回路46及び複数のバッテリセル47で構成される二次電池(バッテリ)48にモータ8を接続し、リミットスイッチ(運転スイッチ)33のオンにより運転信号を発生させて放電回路46に供給し、バッテリ48から電流を供給してモータ8を回転させる。なお、二次電池48のモータ駆動用バッテリセル47には別途設けた充電器50で充電できる構成である。
【0030】
本実施例の電動耕耘機の制御装置100による制御ブロック図を図11に示し、充電回路と放電回路を備えた二次電池48とモータ8及び運転状況などのLED表示部26のモニタユニット等を制御する制御装置100を中心とするシステムブロック図を図12に示す。充電回路45と放電回路46及び複数のバッテリセル47で構成される二次電池(バッテリ)48にモータ8を接続し、リミットスイッチ(運転スイッチ)33のオンにより運転信号を発生させて放電回路46に供給し、バッテリ48から電流を供給してモータ8を回転させる。なお、二次電池48のモータ駆動用バッテリセル47には別途設けた充電器50から電力が補充できる構成である。
【0031】
本実施例では、図13に示すように制御装置100にはバッテリ残量モニタの比較回路55の基準回路に積分回路53を設け、該積分回路53の出力値を基準電圧回路51の積分回路52の出力値と比較してモニタ点灯回路57を介して図14(a)に示すようなバッテリ残量モニタ26cに結果を表示させる制御回路を備えている構成である。
【0032】
このためにバッテリ48からの電圧入力に対して積分回路53を設けて信号変化を平滑化するとき、比較する基準電圧回路51からの基準電圧を積分する積分回路52の値と比較回路55で比較してバッテリ48の電圧入力と変化を合わせる構成とし、さらに、バッテリ残量モニタ26cはLED表示部26に設けられ、バッテリ残量が比較的少ないときは赤色を表示し、バッテリ残量が比較的多いときは緑色表示する。
【0033】
このように二色の表示でバッテリ容量の残量状態をオペレータに知らせるとき、残量が少なくなって緑色から赤色が点灯したときは、農作業中の振動や再起動などにより電圧値が変動しやすくなるので、赤色の点灯が起こらないように、一時的に閾値を上げておいて残量判定を行う。
【0034】
こうして図15に示すように基準電圧とバッテリからの入力電圧の両方が経過時間に対する立ち上がり波形が同様となるので比較しやすくなり、農作業中の振動や再起動などにより電圧値の変動が少なくなり、赤色の点灯が生じなく、バッテリ残量モニタ26cでの表示を適切に行うことが可能になる。
【0035】
なお、図14(b)にはバッテリ電圧とバッテリ残量モニタ26cの表示色(緑色、赤色)の関係を示し、該図14(b)にバッテリからの電圧を積分回路52,53を経由させた後で比較回路55で電圧判定を行い、比較回路55にはヒステリシス回路56を設け、バッテリ低電圧を判定する閾値を変更する構成にしている。該ヒステリシス回路56を設けることで作業中の点滅(緑色−赤色)がなくなり、また作業終了時にバッテリ残量が少なくなったとき、運転中が赤色で停止したら緑色に戻るといった動作がなくなり、分かりやすくなる。
【0036】
上記バッテリ残量モニタ26cの点灯は図16のフローチャートに示すように、モータ8の起動時から一定時間は表示色を変化させないで、駆動前のバッテリ残量モニタ26cの状態の表示色のままとする。これにより、モータ8の起動時の電圧低下によるバッテリ残量モニタ26cの表示への影響を防止することができる。
【0037】
また、バッテリ残量モニタ26cの点灯は図17のフローチャートに示すように、モータ8の起動時から一定時間の間には表示色を定常状態の色(例えば、緑色)で点灯させるようにしても良い。これにより、電源オンしてから一定時間の間にはバッテリ電圧の検出を行わず、バッテリ残量モニタ26cに初期表示(緑色)をさせて、初期状態であることをオペレータに知らせることができる。
【0038】
また、バッテリ48の容量低下で電圧が一定値以下になったときは図18のフローチャートに示すように、リミットスイッチ(運転スイッチ)33の入力を受け付けない構成とすることにより、モータ駆動出力を行わないで、バッテリ48の不必要な放電を制御する。こうしてバッテリ48を構成するセルの劣化を防止することができる。
【0039】
また、バッテリ48の容量低下で電圧が一定値以下になったときは図19のフローチャートに示すように、リミットスイッチ(運転スイッチ)33の入力を受け付けない構成とし、さらにバッテリ残量モニタ26cの表示を容量低下状態であることを示す赤色とすることで、リミットスイッチ(運転スイッチ)33が効かない状況にあることを確実にオペレータに知らせることができる。
【0040】
図12の制御ブロック図に示す充電器50とバッテリ(二次電池)48を接続して充電を行うとき、充電器50の側での充電完了(モニタ26cに緑色表示)の前に、バッテリ48側の充電回路45でセルの過充電防止のために充電を停止する機能がはたらき、充電器50の完了モニタが正常動作しない場合がある。
【0041】
そこで、図20のフローチャートと、図21のバッテリ48の充電時間(T)に対する電圧値(V)と電流値(I)の関係を示すように、バッテリ48の電圧が一定電圧以上であり、かつ電流値が一定値(A2)以下になった場合は電圧と電流の両方で充電完了と判定して充電完了を示す緑色表示をモニタ26c上に行う。
【0042】
また、図22のフローチャートと、図21のバッテリ48の充電時間に対する電圧値と電流値の関係を示すように、バッテリ48の電圧が一定電圧以上であり、かつ充電開始から一定時間(t1)が経過しているときは充電完了とと判定して充電完了を示す緑色表示をモニタ26c上に行ってもよい。
【0043】
さらに、図23のフローチャートと、図21のバッテリ48の充電時間に対する電圧値と電流値の関係を示すように、バッテリの電圧が一定電圧(V1)以上でありかつ電圧の上昇変化(V−Tの傾きα)が一定値以下の場合は充電完了と判定してもよい。
【0044】
さらに、図24のフローチャートと、図21のバッテリ48の充電時間に対する電圧値と電流値の関係を示すように、バッテリ48の電圧が一定電圧(V1)以上であり、かつ一定電圧(V1)になってから一定時間(t2)が経過している場合は充電完了と判定する構成にしてもよい。
こうして電圧と充電時間の両方で判定することにより、充電器の完了モニタが正常動作しない不具合を無くし、より適切な充電完了判定が可能になる。
【0045】
次に電動耕耘機をオペレータが持ち運ぶときの構成を以下説明する。
図5に示すように左右の操作ハンドル12a,12bの前後位置を固定・調節するための調節ネジ36(図1)を緩めて操作ハンドル12a,12bを横軸心の回動支点36aの周りに機体前側に倒し、調節ネジ36(図3)を締めて位置固定する。すると、左右の操作ハンドル12a,12bを連結する連結棒38が機体の前後長の略中央で機体の略重心位置で、かつバッテリケース9の上方に位置する構成としている。オペレータは連結棒38又は連結棒38と機体前端のバンパー39を持って電動耕耘機を持ち運ぶことで、持ち運び時にバッテリケース9が外れるのを防止することができる。また、連結棒38は左右の操作ハンドル12a,12bを前側に倒したときに正面視で略門構えになる構成としており、バッテリケース9に当接しないで左右の操作ハンドル12a,12bをより下まで倒せる構成としている。電動耕耘機の持ち運び時にロータリ部Rの下を覆う位置に取り付けるバケット40をバンド(図示せず)等で機体に装着しておき、ロータリ部Rに付着する土が落下するのを受け、持ち運び時に土が周辺に散乱するのを防止することができる。
【0046】
次に本実施の形態の電動耕耘機の前後バランスの構成について以下説明する。
垂直方向に配置したモータ8のモータ軸8aの軸心をロータリ軸3の軸心位置よりも前に構成し、ロータリ軸3の軸心位置よりも後方にバッテリケース9を設け、バッテリケース9の後方にハンドルフレーム11を設ける構成にする。この構成により、バッテリケース9付近に重心が取れ、バッテリケース9内に収容するバッテリ48の容量を変更してバッテリケース9の重量が変化しても機体重心の変化が少ない。
【0047】
次にLED表示部の構成について以下説明する。
電源スイッチ16の近傍に各種運転状態を示す複数のLED表示部26(図3)を設けている。本実施の形態では、電源の入り切りのLED表示部26a、運転の入り切りのLED表示部26bとバッテリ残量のLED表示部26cを設けている。電源の入り切りのLED表示部26aでは電源スイッチ入りで第一の色である緑色が発光し、過負荷を検出して配線20に設ける保護回路(図示せず)が作動すると第二の色である赤色が発光する。運転の入り切りのLED26bではリミットスイッチ33が入りしてロータリ部Rが駆動すると第一の色である緑色が発光し、モータ8内蔵の温度センサーによる保護回路(図示せず)が作動すると第二の色である赤色が発光する。バッテリ残量のLED表示部26cではバッテリ48の残量が通常の状態では第一の色である緑色が発光し、残量が設定量以下になると第二の色である赤色が発光する。
【0048】
このように、各種運転状態をLED表示部26で表示し、また、第一の色から第二の色に適宜変色することで少ないLEDの数で多くの動作表示を行うことができ、また、一箇所に集中して、かつ、操作側から見やすい位置にLED表示部26を配置することで各種運転状況を確認しやすい。また、電源スイッチ16に隣接してLED表示部26を設けたことで、電源入りから電源切の際にLED表示部26を常に確認しやすい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本実施の形態では電動耕耘機で説明したが、駆動音がない他のエネルギーを利用した歩行型の作業機にも利用可能性がある。
【符号の説明】
【0050】
1 機体フレーム 2 伝動フレーム
3 ロータリ軸 4 ロータリ爪
5 サイドディスク 6 ロータリカバー
6a 壁部 6b 開口部
6c 傾斜部 6d 後支持壁部
7 モータカバー 7a 凹部
8 駆動モータ 8a モータ軸
9 バッテリケース 9a 取っ手
9b 足 9c 凸部
10 載置台 10a 穴
10b 開口部 11 ハンドルフレーム
12a,12b 操作ハンドル
13a,13b ハンドルグリップ
14 支持車輪 15 抵抗棒
16 電源スイッチ 17 操作レバー
17a スイッチ操作部 17b 把持部
19 充電端子 20 配線
25 スプリング 26 LED表示部
26a 電源の入り切りのLED表示部
26b 運転の入り切りのLED表示部
26c バッテリ残量のLED表示部
29 逆U字状カバー(部材)
30 横軸 30a 突起
31 移動軸 31a 小径部
31b 大径部 31c 押し部
33 リミットスイッチ(運転スイッチ)
35 スプリング 36 調節ネジ
36a 回動支点 38 連結棒
39 バンパー 40 バケット
41 伝動軸 45 充電回路
46 放電回路 47 バッテリセル
48 二次電池(バッテリ)
50 充電器 51 基準電圧回路
52 積分回路 53 積分回路
55 比較回路 56 ヒステリシス回路
57 モニタ点灯回路 100 制御装置
T 操作安全装置 R ロータリ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を耕耘するロータリ部(R)と、ロータリ部(R)を駆動するモータ(8)と、モータ(8)の動力をロータリ部(R)に伝動する伝動軸(41)と、伝動軸(41)を内装する伝動フレーム(2)と、伝動フレーム(2)の上部に固定する機体フレーム(1)と、機体フレーム(1)上に載置したモータ(8)の電源であるバッテリ(48)とを備えた電動耕耘機において、
バッテリ(48)の電気容量の残量を表示するバッテリ残量表示部(26c)を機体フレーム(1)上に設け、該バッテリ残量表示部(26c)にはバッテリ残量がモータ(8)の駆動に十分な状態とモータ(8)の駆動には十分でない状態を所定の閾値で区別して表示できる表示領域を設け、
バッテリ残量が予め設定する前記閾値以下を検出すると閾値を前記予め設定した値より上げる制御装置(100)を設けた
ことを特徴とする電動耕耘機。
【請求項2】
前記制御装置(100)は、起動前にバッテリ残量がモータ(8)の駆動に十分であった場合には、前記モータ(8)の起動時から一定時間経過するまでは、残量表示部(26c)にバッテリ残量が十分であったときの表示を継続させることを特徴とする請求項1記載の電動耕耘機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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