説明

電動自転車

【課題】車輪を駆動するモータと、当該モータを制御する制御基板と、の電気的な接続における作業性を向上させる。
【解決手段】部分的に開放される開放部を有するフロントフォークと、前記フロントフォークに回転可能に支持された前輪に組み込まれ、当該前輪を駆動するモータと、前記フロントフォーク内に収容され、前記モータを制御する制御基板と、前記開放部を通じて露出されるように前記制御基板に設けられ、前記モータと電気的に接続されるモータ接続部と、前記開放部に装着され、前記モータ接続部を覆うカバーと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動自転車のフロントフォーク内にモータ制御回路を組み込み、そのモータ制御回路をフロントフォークに差し込んだ状態で、別途前輪に組み込んだモータと電気的に接続する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2009−27683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、モータ制御回路とモータとの電気的接続箇所を目視することが困難であった。このため、当該電気的接続箇所の接続における作業性が悪く、また、当該電気的接続箇所における接続が不十分となることが考えられる。電気的接続が不十分な場合には、モータ制御回路やモータの破損を招くおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、車輪を駆動するモータと、当該モータを制御する制御基板と、の電気的な接続における作業性が向上できる電動自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の電動自転車は、部分的に開放される開放部を有するフロントフォークと、前記フロントフォークに回転可能に支持された前輪に組み込まれ、当該前輪を駆動するモータと、前記フロントフォーク内に収容され、前記モータを制御する制御基板と、前記開放部を通じて露出されるように前記制御基板に設けられ、前記モータと電気的に接続されるモータ接続部と、前記開放部に装着され、前記モータ接続部を覆うカバーと、を備えている。
【0007】
この電動自転車によれば、フロントフォーク内に制御基板が収容され、開放部を通じて露出されるように制御基板に設けられたモータ接続部が、モータと電気的に接続される。そして、カバーにて、モータ接続部が覆われる。
【0008】
このように、モータ接続部が開放部を通じて露出されるので、目視しながら、モータ接続部とモータとの電気的な接続を行える。これにより、モータと制御基板との電気的な接続における作業性が向上できる。
【0009】
請求項2に記載の電動自転車は、前記モータ及び前記制御基板へ電力を供給するためのバッテリと、前記開放部を通じて露出されるように前記制御基板に設けられ、前記バッテリと電気的に接続されるバッテリ接続部と、を備えている。
【0010】
この電動自転車によれば、開放部を通じて露出されるように制御基板に設けられたバッテリ接続部が、バッテリと電気的に接続される。このように、バッテリ接続部が開放部を通じて露出されるので、目視しながら、バッテリ接続部とバッテリとの電気的な接続を行える。これにより、バッテリと制御基板との電気的な接続における作業性が向上できる。
【0011】
請求項3に記載の電動自転車では、前記カバーは、前記モータ接続部及び前記バッテリ接続部を共に覆う。
【0012】
この電動自転車によれば、カバーが、モータ接続部とバッテリ接続部とを共に覆うので、モータ接続部及びバッテリ接続部のそれぞれに対してカバーが設けられる構成に比べて、部品点数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る電動自転車の斜視図である。
【図2】本実施形態に係る電動自転車の分解斜視図である。
【図3】本実施形態に係るフロントフォークの先端部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき、本発明の一実施形態について説明する。
【0015】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る電動自転車10は、フロントフォーク12を含むフレーム14と、フロントフォーク12に回転可能に支持された前輪22と、フレーム14に回転可能に支持された後輪24と、フレーム14に設けられたハンドル16、サドル18及びペダル20と、を主要な構成として備えている。
【0016】
前輪22には、前輪22を駆動するモータ26が組み込まれている。具体的には、モータ26は、前輪22における軸方向の一方側(矢印A方向側)に配置されており、前輪22のハブ22Aに対して軸方向の他方側(矢印−A方向側)へ組み込まれている。
【0017】
フレーム14には、モータ26及び後述の制御基板30へ電力を供給するためのバッテリ25が設けられている。具体的には、バッテリ25は、フレーム14の立パイプ(シートチューブ)14Aにおける自転車前方側(矢印C方向側)に着脱可能に取り付けられている。バッテリ25は、フレーム14の立パイプ14Aから取り外して、充電できるようになっている。また、バッテリ25には、車両コントローラ27が設けられている。
【0018】
図2に示されるように、モータ26における前輪22とは反対側の側面26A(矢印A方向側の側面)に対して、フロントフォーク12の先端部が固定されている。これにより、フロントフォーク12は、前輪22における軸方向の一方側(矢印A方向側)から前輪22を回転可能に支持している。なお、本実施形態では、フロントフォーク12の先端部は、固定部材としてのボルト31によりモータ26に固定されている。
【0019】
フロントフォーク12は、筒状に形成されており、後述の制御基板30を収容するための収容空間Sを内部に有している。また、図3に示されるように、フロントフォーク12は、フロントフォーク12を部分的に開放する開放部28を有している。開放部28は、具体的には、フロントフォーク12の先端部(下部)において、フロントフォーク12に対するモータ26側とは反対側(矢印A方向側)の側部を開放する側部側開放部28Aと、フロントフォーク12の先端(矢印B方向側の端)を開放する先端側開放部28Bと、を有している。これにより、収容空間Sが、フロントフォーク12における矢印A方向側の側部と、フロントフォーク12の先端側(矢印B方向側)とで、開放されるようになっている。すなわち、収容空間Sは、図2に示されるように、フロントフォーク12におけるモータ26側(矢印−A方向側)に配置された側壁12Aと、フロントフォーク12における自転車前方側(矢印C方向側)に配置された側壁12Bと、フロントフォーク12における自転車後方側(矢印−C方向側)に配置された側壁12Cと、で囲まれた空間となっている。
【0020】
図3に示されるように、フロントフォーク12内の収容空間Sには、モータ26を制御する制御基板30が収容されている。制御基板30は、具体的には、開放部28(側部側開放部28A及び先端側開放部28Bの少なくとも一方)を通じて収容空間Sに収容され、制御基板30におけるモータ26側とは反対側(矢印A方向側)の側面30Aの全面が側部側開放部28Aを通じて露出されるようになっている。
【0021】
制御基板30の側面30Aには、チップ等の電気部品33が設けられている。さらに、制御基板30の側面30Aには、モータ26と電気的に接続されるモータ接続部としてのモータ用コネクタ32が設けられている。モータ用コネクタ32は、具体的には、開放部28を通じて露出されるように制御基板30の先端部(矢印B方向側端部)に設けられている。
【0022】
一方、モータ26には、その側面26Aから延び出る配線34と、配線34の先端部に取り付けられモータ用コネクタ32と電気的に接続されるコネクタ36とが、設けられている。配線34は、具体的には、モータ用コネクタ32から見て、フロントフォーク12の長手方向に沿った下側(矢印B方向側)において、モータ26の側面26Aから延び出ている。また、配線34は、制御基板30からモータ26へ電気信号(制御信号)を送るための配線であり、先端部(コネクタ36)がモータ用コネクタ32側へ向くように、湾曲可能なフレキシブルケーブルで構成されている。
【0023】
さらに、制御基板30の側面30Aには、バッテリ25と電気的に接続されるバッテリ接続部としてのバッテリ用コネクタ38が設けられている。バッテリ用コネクタ38は、具体的には、側部側開放部28Aを通じて露出されるように制御基板30の後端部(矢印−B方向側端部)に設けられている。
【0024】
一方、バッテリ25には、バッテリ25の下部から延び出る配線40と、配線40の先端部に取り付けられバッテリ用コネクタ38と電気的に接続されるコネクタ42とが、設けられている。コネクタ42は、側部側開放部28Aを通じて露出されている。
【0025】
配線40は、図1に示されるように、バッテリ25からフレーム14の下パイプ(ダウンチューブ)14B及びヘッドパイプ(ヘッドチューブ)14Cに配されると共に、フロントフォーク12内を通って側部側開放部28Aに達するようになっている。また、配線40は、バッテリ25からの電力を供給するための配線であって、かつ、バッテリ25に設けられた車両コントローラ27と制御基板30との間で電気信号(制御信号)を送るための配線となっている。従って、本実施形態では、バッテリ用コネクタ38とコネクタ42とが接続されることで、バッテリ25及び車両コントローラ27と、制御基板30と、が電気的に接続される。
【0026】
制御基板30と電気的に接続される車両コントローラ27(制御部)は、トルクセンサなど(図示せず)から人(乗員)がペダル20を漕ぐ力を検出し、その検出結果に基づき、配線40を通じて制御基板30へモータ26を回転させるための回転指示を出力している。
【0027】
図2に示されるように、フロントフォーク12の開放部28には、制御基板30、モータ用コネクタ32、配線34、コネクタ36、バッテリ用コネクタ38、配線40の先端部、及びコネクタ42を共に覆うカバー44が装着されるようになっている。
【0028】
カバー44は、制御基板30の側面30Aに対向する側壁44Aと、フロントフォーク12の側壁12Bの先端からフロントフォーク12の長手方向に沿って下方へ延びる側壁44Bと、フロントフォーク12の側壁12Cの先端からフロントフォーク12の長手方向に沿って下方へ延びる側壁44Cと、先端側開放部28Bと対向する底壁44Dと、底壁44Dの下方に配置された取付部44Eと、を有している。
【0029】
側壁44Aは、具体的には、側壁44B及び側壁44Cの上側部分が、制御基板30と対向しており、この上側部分で、制御基板30、モータ用コネクタ32、コネクタ36、バッテリ用コネクタ38、配線40の先端部、及びコネクタ42を、制御基板30に対するモータ26側とは反対側(矢印A方向側)から覆っている。また、配線34は、側壁44B、側壁44C及び底壁44Dによって覆われるようになっている。
【0030】
カバー44のフロントフォーク12への装着は、例えば、カバー44の取付部44Eがボルト35によって、モータ26の側面26Aに取り付けられることで装着されるようになっている。カバー44がフロントフォーク12の開放部28に装着された後は、ボルト35を外すことでカバー44は取り外し可能となっている。すなわち、カバー44は、フロントフォーク12の開放部28に対して、着脱可能に装着されるようになっている。
【0031】
また、カバー44がフロントフォーク12の開放部28に装着された状態において、カバー44の側壁44A、側壁44B及び側壁44Cは、それぞれ、フロントフォーク12の側壁12D、側壁12B及び側壁12Cの同一面上に位置するようになっている。
【0032】
次に、本発明の一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0033】
本実施形態に係る電動自転車10によれば、フロントフォーク12内に制御基板30が収容され、開放部28を通じて露出されるように制御基板30に設けられたモータ用コネクタ32が、モータ26のコネクタ36と電気的に接続される。
【0034】
このように、モータ用コネクタ32が開放部28を通じて露出されるので、目視しながら、モータ26のコネクタ36とモータ用コネクタ32との電気的な接続を行える。これにより、モータ26と制御基板30との電気的な接続における作業性が向上できる。また、目視しながら、モータ26のコネクタ36とモータ用コネクタ32との電気的な接続を行えるので、モータ26と制御基板30とを確実に接続することができ、接続不良を防止できる。
【0035】
また、本実施形態に係る電動自転車10によれば、開放部28を通じて露出されるように制御基板30に設けられたバッテリ用コネクタ38が、バッテリ25のコネクタ42と電気的に接続される。このように、バッテリ用コネクタ38が開放部28を通じて露出されるので、目視しながら、バッテリ25のコネクタ42とバッテリ用コネクタ38との電気的な接続を行える。これにより、制御基板30とバッテリ25及び車両コントローラ27との電気的な接続における作業性が向上できる。また、目視しながら、バッテリ25のコネクタ42とバッテリ用コネクタ38との電気的な接続を行えるので、制御基板30とバッテリ25及び車両コントローラ27とを確実に接続することができ、接続不良を防止できる。
【0036】
また、本実施形態に係る電動自転車10によれば、カバー44が、制御基板30、モータ用コネクタ32、配線34、コネクタ36、バッテリ用コネクタ38、配線40の先端部、及びコネクタ42を共に覆うので、これらの構成部品を複数のカバーで覆う構成に比べて、部品点数を低減できる。
【0037】
次に、本発明の一実施形態の変形例について説明する。
【0038】
本実施形態では、制御基板30の全体が、開放部28を通じて露出されていたが、少なくとも、モータ用コネクタ32が開放部28を通じて露出されるようになっていればよい。従って、例えば、制御基板30は、モータ用コネクタ32及びバッテリ用コネクタ38が開放部28を通じて露出される構成であってもよい。なお、制御基板30が部分的に露出される場合には、当該部分が、カバー44によって覆われる構成とされる。
【0039】
本実施形態では、モータ用コネクタ32及びバッテリ用コネクタ38が、単一のカバー44で覆われるようになっていたが、モータ用コネクタ32及びバッテリ用コネクタ38のそれぞれに対してカバーが設けられていてもよい。
【0040】
本実施形態では、側壁12B及び側壁12Cは、フロントフォーク12を構成する部材であったが、カバー44に設けられ、カバー44を構成する部材となっていてもよい。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
10・・・電動自転車、12・・・フロントフォーク、22・・・前輪、25・・・バッテリ、26・・・モータ、28・・・開放部、30・・・制御基板、32・・・モータ用コネクタ(モータ接続部)、38・・・バッテリ用コネクタ(バッテリ接続部)、44・・・カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的に開放される開放部を有するフロントフォークと、
前記フロントフォークに回転可能に支持された前輪に組み込まれ、当該前輪を駆動するモータと、
前記フロントフォーク内に収容され、前記モータを制御する制御基板と、
前記開放部を通じて露出されるように前記制御基板に設けられ、前記モータと電気的に接続されるモータ接続部と、
前記開放部に装着され、前記モータ接続部を覆うカバーと、
を備えた電動自転車。
【請求項2】
前記モータ及び前記制御基板へ電力を供給するためのバッテリと、
前記開放部を通じて露出されるように前記制御基板に設けられ、前記バッテリと電気的に接続されるバッテリ接続部と、
を備えた請求項1に記載の電動自転車。
【請求項3】
前記カバーは、前記モータ接続部及び前記バッテリ接続部を共に覆う請求項1又は2に記載の電動自転車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−91475(P2013−91475A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236263(P2011−236263)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)