説明

電動車輪

【課題】既存のインホイールモーターは、車軸上をローターが回転し、そのローターにホイールが取り付けられる。従って、車軸には、ローターの重量と、タイヤを含むホイール全体の重量が加わり、さらに、走行時に路面から受ける衝撃荷重も加わる。その為、車軸は、曲げ荷重や衝撃荷重を受け止め、さらに回転力を伝達する必要がある。
【解決手段】インホイールモーターによる電動車輪から、モーターの位置をホイール外に移動させ、車両の重量や、走行時の路面からの衝撃荷重は、車軸3では無く、パイプ状の車軸保持部材2で受ける構成とする。車軸は、モーターとホイール13の間で、回転力の伝達のみに利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として電気自動車に用いる電動車輪であり、特に、車軸に加わる荷重の大きなバスやトラックなどの大型車両や、小型高性能電気自動車向け電動車輪に関し、強度を上げながらコストを下げ、量産に適した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機械効率の良いインホイールモーターを使用した、電気自動車の開発が盛んに進められている。しかし、既存のインホイールモーターは、車両の重量も、路面からの衝撃荷重も、モーターの回転軸で受ける構造の為、車重の重い大型車両には不適であった。
また、現状の電気自動車開発は、実験の域を脱しておらず、電気的な効率向上に力が注がれているが、車重を支える事や、路面からの衝撃を受ける事など、基本的な機能について開発が遅れており、また、現実に見合った生産コスト低減策も示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存のインホイールモーターは、車軸上をローターが回転し、そのローターにホイールが取り付けられる。その結果、車軸には、ローターの重量と、タイヤを含むホイール全体の重量が加わり、さらに、走行時に路面から受ける衝撃荷重も加わる。その為、車軸は、曲げ荷重や衝撃荷重を受け止め、同時に回転力を伝達する必要がある。従って、次の問題が発生している。
1,車軸に高強度材料を使用する必要があり、生産コストが上がる。
2,強度を確保する為に車軸が太くなり、重量が増加して走行性能が低下する。
3,走行時の衝撃荷重が直接ローターに伝わり、ローターが微動する為、ローターとステータの隙間を狭くする事ができず、モーターの出力を上げられない。
ローターの微動や変形を抑える為には、各部材の強度を上げる必要があり、結局、コストと重量が増加する。
4,同じ重量で曲げ強度を高める為には、軸の外径を大きくし、パイプ状にする事が材料力学上の常識であるが、モーターの内径が限られている為、軸径を大きくできない。
5,ホイール部に、ブレーキディスクやブレーキドラムを装置すると、その重量によって、さらに車軸への負担が増加する。その結果、また、コストと重量が増加する。
6,車両の大型化、ブレーキの大型化による制動力の向上、不整地の走破性など、電気自動車の機能向上を行う際、全て、車軸の強度によって限界が決まってしまう。即ち、設計自由度が狭く、電気自動車の将来性が制約される。
7,モーターの出力を高める為には、ローターの外径を大きくする事が得策であるが、ホイールの内径が限られている為、出力向上に限界がある。ホイールを大きくすれば、車軸も太くしなければならず、重量増加による走行性能低下が免れない。即ち、市場が求める小型で高性能な電気自動車を作る事ができない。
8,車軸の変形を押える為に強度を上げると、軸が弾性変形しない為、衝撃荷重が軸受けに直接加わる事になる。この結果、ベアリングも強度を上げなければならず、また、コストと重量が増加する。
9,車軸周辺の強度を上げると、バネ下重量が増えて走行性能が極端に悪くなる。
その対策として、高機能の高価な緩衝装置・サスペンションを採用しなければならず、さらに生産コストが上がる。
10,生産コストの増加は、販売価格の上昇に直結する為、電気自動車普及の大きな障害となる。即ち、車軸周辺の生産コスト、組立性、機能を、既存のガソリン車並にしなければならない。
11,重量の増加は、燃料消費率に直接影響する為、エネルギーの使用効率向上を主目的とする電気自動車において、致命的となる。
以上の問題を全て解決する事が、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
インホイールモーターによる電動車輪から、モーターの位置をホイール外に移動させ、車両の重量や、走行時の路面からの衝撃荷重は、車軸では無く、車軸保持する部材で受ける構成とする。車軸は、モーターとホイールの間で、回転力の伝達のみに利用する。
【発明の効果】
【0005】
車軸保持部材は、モーターの内径とは無関係に外径を大きくできる為、薄く太いパイプにすれば、同じ重量で曲げ強度を飛躍的に向上させる事ができる。この外側で、ベアリングを介してホイール・タイヤ・ブレーキ部品を回転可能に保持する為、車両重量の増加や、不整地走行による衝撃荷重にも、十分に耐えられる構造となる。
また、車軸は、モーターの回転力だけを伝えれば良いので、非常に細くする事が可能となる。さらに、軸を細くする事で、曲げに対して弾性変形し易くなるので、軸受けの負担も軽減され、小型のベアリングで対応可能となる。
さらに、モーターを独立する事により、密閉する事が可能となり、防塵・防水性を容易に向上可能で、実用性が飛躍的に高まる。
以上により、重量が確実に軽減され、コストも確実に低減される。さらに、重量軽減によって車両の走行性能も向上する上、軽量化によって燃料消費率も改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
請求項1から13で詳述された構成の内、いずれかを採用する。
具体的には、インホイールモーターによる電動車輪から、モーターの位置をホイール外に移動させ、車両の重量や、走行時の路面からの衝撃荷重は、車軸では無く、車軸保持する部材で受ける構成とする。車軸は、モーターとホイールの間で、回転力の伝達のみに利用する。
また、組立て性を向上させる為には、車軸保持部材を、モーター取付け部・車体取付け部・ホイール取付け部に分割すれば良く、緩衝装置を取付ける場合や、操舵輪として使用する場合は、車軸保持部材にサスペンションや操舵装置を取り付ければ良い。
モーターの防水・防塵の為には、モーターのみをカバーし、密閉して換気する。
【実施例】
【0007】
本発明の実施例は、請求項1から13で詳述された通りである。その一例を次に示す。
【0008】
図1は、本発明品の電動車輪の断面図であり、発明の機能・構造を説明する為に模式化した図面である。従って、ブレーキや配管・配線など、実際の設計・生産で必要な形状や部品は省略してある。また、1は、回転軸(車軸)3の軸心であり、図は1に対して対象に表れるので、下半分を省略してある。
回転軸3は、パイプ状の車軸保持部材2の内側で、ベアリング9によって回転自在に支持されている。2の右側外周部には、ベアリング10を介してフランジ状のホイール取付け部材6が回転自在に保持され、6に取付けた複数のボルト11にはホイール13が嵌合し、ナット12で固定される。13の外周にはタイヤ14が嵌合し、車輪を形成する。
2の左側外周部には、ベアリング21を介してモーターのローター18が回転自在に保持されており、18は、車体5に取付けられたステータ19により、回転力を発生する。
ローター19に発生した回転力は、複数のボルト20によって円盤状のフランジ15に伝えられ、15は、キー17とボルト16によって回転軸3に取付けられている為、3に回転力を伝える。3の右端には、スプライン嵌合部7によってホイール取付け部材6がボルト8で取付けられている為、ローター18の回転力は、回転軸3を介してタイヤ14に伝わる。
また、2はブラケット4を介して車体5に取付けられている。
以上の構成によれば、ホイールに加わる重量や衝撃荷重は、車体に取り付けられたパイプ状の軸受保持部材が受ける事になり、回転軸には直接荷重が加わる事は無い。
これらの構成を基本とし、パイプ状の車軸保持部材を分割すれば組立性は向上する。
回転軸は、その中央部近傍で1つのベアリングで支えられている為、振動や組立誤差、製造誤差を吸収できる。以上が、本発明の請求項1から5に記載の実施例である。
【0009】
図2は、図1の構成に対してローターの保持方法を変更した構成である。パイプ状の車軸保持部材はは30と33に分割され、30にはステータ19取付けられる。30の内側にはベアリング31が圧入され、ローター32を回転自在に保持する。この構成によれば、30によってローターとステータ、即ちモーターをセットで着脱できるので、組立性が向上する。尚、ホイール側も同構造として、ベアリングを30の内側に装置しても良い。
以上が、本発明の請求項6から7に記載の実施例である。
【0010】
図3は、本発明の電動車輪を操舵軸として使用する場合の実施例であり、上から見た状態の模式図である。図中、網掛けされた部分は、ピン結合部を表す。パイプ状の車軸保持部材2は、車体22に取付けられたアーム(リンク)23に操舵軸24で搖動自在に保持される。この構成で、操舵用のステー25に取付けた操舵ロッド26を操作する事で、モーター18とタイヤ14が搖動し、駆動しながら操舵が可能となる。尚、請求項6で分割したパイプ状の車軸保持部材のモーター取付け部30を、車体側に固定し、回転軸3を分割してユニバーサルジョイント、又は等速ジョイントで連結すれば、操舵軸周りの慣性モーメントを減らし、軽い操舵が可能となる。また、
以上が、本発明の請求項6及び、請求項8から9に記載の実施例である。
【0011】
図4は、図3の側面から見た状態の模式図であり、緩衝装置を備えた構成を表す。操舵軸24は、上下のリンク23と29によって車体22に上下搖動可能に装置される。28は上側のリンク23に取付けられたサスペンションであり、スプリングと油圧またはガス圧による減衰装置との組合せによる緩衝装置である。この構成により、本発明の電動車輪は、駆動・制動・操舵・緩衝が可能となる。尚、図中の網掛け部は、図3と同様、ピン結合された部分を表している。また、ディスクブレーキのキャリパーは、操舵軸24に取付ければ良い。以上が、本発明の請求項10に記載の実施例である。
【0012】
図5は、モーターを密閉し、走行時の石跳ねや水の浸入によるモーターの損傷を防止する構成を表す。図2の30をを延長した形状のカバー35で、モーターのローター32とステータ19を覆う。この状態で、ホイールを支えるフランジ状の部材6と、パイプ状の車軸保持部材33の間に、ダストシール、又はオイルシール、又はラビリンスシール34を設けると、回転軸3、ステータ19、ローター32、及び各ベアリングが装置された空間は、外気と遮断され、防塵・防水機能を発揮する。モーターなどの電気配線36は、カバーの一部に孔を開け、ゴムやシリコンで隙間を埋めて配線すれば良い。また、密閉された状態ではモーターから発生する熱が内部にこもる為、ダクト37を設け、換気を行う。尚、図5は模式図なのでカバー35を一体的に図示しているが、実際には組立性を考慮し、複数に分割して嵌合・組立するカバーとする。
以上が、本発明の請求項11に記載の実施例である。
【0013】
図1から図5で表された構成によれば、電気配線を車体側のみに配置する事が可能となり、走行時の泥や水から電源コードを保護する事が容易となる。また、インホイールモーターでは不可能な、モーターの連結による出力向上も可能となり、電気自動車の機能を飛躍的に向上し、開発効率を上げ、現実的な生産仕様の確立が可能となる。
以上が、本発明の請求項12及び13に記載の実施例である。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明によれば、電動車輪におけるモーター及び回転軸の強度負担が激減され、現実的な電気自動車の生産仕様を得る事ができる。
即ち、コスト、生産性、組立性、最高出力、最大積載重量、燃料消費率など、電気自動車に要求される各機能をバランス良く確保し、量産車に最適な仕様が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明品の電動車輪の断面図を、模式的に表した図であり、中心線1に対して対称形状なので、下半分を省略してある。
【図2】図1に対して、パイプ状の車軸保持部材を分割し、ローターの保持方法を変更し、モーターを着脱自在に構成した模式図である。
【図3】本発明の、緩衝装置・操舵機能付き電動車輪の上面図を、模式的に表した図である。
【図4】本発明の、緩衝装置・操舵機能付き電動車輪の側面図を、模式的に表した図である。
【図5】図2に対して、モーターをケースで密閉した構成の、模式図である。
【符号の説明】
【0016】
1、回転軸の軸心
2、パイプ状の車軸保持部材
3、回転軸(車軸)
4、ブラケット(パイプ状の車軸保持部材と車体との連結)
5、車体
6、フランジ状のホイール取付け部材
7、スプライン嵌合部(ホイール取付け部材と回転軸との嵌合)
8、ボルト(ホイール取付け部材と回転軸の締結用)
9、ベアリング(回転軸を保持)
10、ベアリング(ホイール取付部材を保持)
11、ボルト(ホイール取付け部材に植え込み)
12、ナット(ホイール取付け用)
13、ホイール
14、タイヤ
15、フランジ(回転軸とローターの連結部材)
16、ボルト(ハウジングと回転軸の締結)
17、キー
18、ローター(アウターローターモーター)
19、ステータ(アウターローターモーター)
20、ボルト(ハウジングとローターの締結用)
21、ベアリング(ローターを内側から保持)
22、車体(又は、車体に固定されたブラケット)
23、上側のリンク(搖動するアーム))
24、操舵軸
25、操舵用のステー
26、操舵ロッド
27、ピン結合部(図3と図4の網掛け部は、全てピン結合を表す)
28、サスペンション(スプリングと緩衝装置)
29、下側のリンク(搖動するアーム))
30、パイプ状の車軸保持部材を分割した部分で、モーターを保持する
31、ベアリング(ローターを外側から保持)
32、ローター(アウターローターモーター)
33、パイプ状の車軸保持部材
34、オイルシール(又は、ダストシールやラビリンスシール)
35、密封ケース
36、電気配線
37、換気孔(ブリーザホース取付け部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車において、略水平に装置された車輪の車軸が、以下の様に構成された事を特徴とする、電動車輪。尚、当該車軸は、電気自動車の全車輪、又は所定の車輪とする。
1、車体に取付けられた、パイプ状の車軸保持部材の内部に、ベアリング又は滑り軸受けを介して車軸となる回転軸を保持する。尚、回転軸の長さは、パイプ状の車軸保持部材のの長さと比べて同等以上、又は同等以下とし、転動部又は摺動部に強制給油する構成も含む。
2、パイプ状の車軸保持部材の一端の外周部に、ホイールを回転自在に保持する。即ち、ホイールは、パイプ状の車軸保持部材の外周を回転し、ホイールに加わる車両重量や走行時に路面から受ける衝撃荷重を、パイプ状の車軸保持部材で受ける構成とする。
3、パイプ状の車軸保持部材の、ホイール保持部と反対側にアウターローターモーターを取付け、そのローターと回転軸を結合し、回転力を伝達可能に構成する。尚、アウターローターモーターのステータは、パイプ状の車軸保持部材、又はパイプ状の車軸保持部材に取り付けられたフランジ、又は取付け部材に、着脱自在に固定する。
4、ホイールと回転軸を結合し、ローターの回転力をホイールへ伝達可能に構成する。ホイールの外周には、タイヤを嵌め込む。
5、回転軸は、中空軸又は中実軸とし、外径は一定、又は外径が段階的に変化する段付き軸、又は外径が滑らかに変化する軸とし、複数の軸を連結した構成も含む。
6、パイプ状の車軸保持部材は、内外径一定の単純なパイプ形状、又はベアリングの取付けや車体への保持装置に合わせ、内外径を所定の寸法に設定した、段付きパイプとした。
7、パイプ状の車軸保持部材とは概念的な形状であり、独立したパイプ形状の他、所定の部品や車体の一部に貫通孔を設ける構成、又は所定の部品や車体の一部にパイプ形状が埋め込まれた構成により、回転軸を保持可能とした構成も含む。
【請求項2】
アウターローターモーターのローターと、回転軸の連結構造は、以下のいずれかである事を特徴とする、請求項1に記載の電動車輪。
1、回転軸の端部近傍に設けた軸スプラインに、ローターの内周に設けた穴スプラインを嵌合させる。尚、スプライン嵌合後、ボルト、又はナット、又はサークリップでローターの抜けを防止した構成も含む。
2、ローターを回転軸に圧入した、又は焼き嵌めとした。
3、回転軸の端部又は端部近傍に、テーパー形状を設け、ローター内周に設けたテーパー孔と嵌合させた上、キー又はピンで相互回転を防止した。尚、テーパー嵌合後、ボルト、又はナット、又はサークリップでローターの抜けを防止した構成も含む。
4、パイプ状の車軸保持部材の外周上に、回転自在にローターを保持し、回転軸の端部又は端部近傍と、ローターの端面を着脱自在に取り付けた。尚、回転自在にローターを保持する構成は、滑り軸受又はベアリングを介在させる構成を含み、ローターと回転軸の取付けは、回転軸に取付け孔付きのフランジを設け、ローターの端面にボルト又はボルトとナットで取付ける構成や、回転軸とローターの間にキーを挿入して嵌合し、ボルト、又はナットで抜けを防止した構成や、円盤状の取付け部材を介在させ、回転軸とローターのそれぞれを、ボルト又はボルトとナットで固定した構成を含む。
5、上記4の構成において、ボルト又はボルトとナットで固定する際、ゴム、又は樹脂、又は金属バネ製の弾性部材を間に介在させて締め付ける事で、ローターが回転軸に対して、わずかに動く事を可能に弾性結合した。
【請求項3】
以下のいずれかの構成により、ホイールを着脱自在に取付けた事を特徴とする、請求項1又は2に記載の電動車輪。
1、パイプ状の車軸保持部材の外周にベアリングを装置し、その外側に、ホイールボルトを備えたフランジ状の部材を回転自在に取付ける。回転軸の端部又は端部近傍に軸スプラインを設け、フランジ状の部材の内側に設けた穴スプラインと嵌合させて、回転力を伝達する。ホイールは、このフランジ状の部材にホイールナットで取付ける。尚、スプライン嵌合部は、キー又はピンを使用して相対回転を止める構成も含む。
2、パイプ状の車軸保持部材の外周にベアリングを装置し、その外側に、ホイールボルトを備えたフランジ状の部材を回転自在に取り付ける。回転軸の端部又は端部近傍にフランジ形状を設け、フランジ状の部材と、ボルト又はボルトとナットで連結する。尚、連結部にゴム、又は樹脂、又は金属バネの弾性部材を間に介在させて締め上げる事で、フランジ状の部材が回転軸に対してわずかに動く事が可能に弾性結合した。
3、上記1、2のいずれかの構成において、パイプ状の車軸保持部材の内側にベアリングを取り付け、ベアリングの内輪又は内径部でフランジ状の部材を回転自在に保持した。
【請求項4】
以下のいずれかの構成により、回転軸に制動装置を備えた事を特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の電動車輪。
1、パイプ状の車軸保持部材とホイールの間に、ブレーキディスク、又はブレーキドラム、又はその両方を備えた。尚、ブレーキディスク、又はブレーキドラムを回転自在にベアリング又は滑り軸受けで保持し、ブレーキディスク、又はブレーキドラムとホイールとを着脱自在にボルトやナットで締結した構成も含む。
2、パイプ状の車軸保持部材とモーターの間に、ブレーキディスク、又はブレーキドラム、又はその両方を備えた。
3、モーターの近傍で、ホイールと反対側の位置に、ブレーキディスク、又はブレーキドラム、又はその両方を備えた。
4、パイプ状の車軸保持部材の中央部近傍に、ブレーキディスク、又はブレーキドラム、又はその両方を備えた。
【請求項5】
以下のいずれかの構成により、製造誤差や衝撃による変形を吸収し、モーターの回転力を、滑らかにホイールへ伝達可能に構成した事を特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の電動車輪。
1、パイプ状の車軸保持部材の、長さ方向に対する中央部近傍で回転軸を保持し、回転軸は保持部の両側又は片側で、弾性変形により、たわむ事が可能に構成した。尚、回転軸は、保持部に対してその片側又は両側の外径を小さくする、又は中空軸の肉厚を薄くする事で、弾性変形し易くした構成も含む。
2、パイプ状の車軸保持部材の、長さ方向に対する両端部近傍で回転軸を保持し、回転軸は保持部と保持部の間で、弾性変形により、たわむ事が可能に構成した。尚、回転軸は、保持部に対してその中間部の外径を小さくする、又は中空軸の肉厚を薄くする事で、弾性変形し易くした構成も含む。
3、パイプ状の車軸保持部材の、長さ方向に対する両端部近傍で回転軸を保持し、回転軸は保持部と保持部の間で分割し、ユニバーサルジョイント又は等速ジョイントで連結した。保持部に対してその中間部の外径を小さくする、又は中空軸の肉厚を薄くする事で、弾性変形し易くした構成も含む。
4、パイプ状の車軸保持部材の、長さ方向に対する両端部近傍で回転軸を保持し、回転軸は保持部と保持部の間で分割し、左右の回転軸の間を、ゴムの焼き付けによって連結した。尚、ゴムの焼き付けとは、片側を筒状とし、他方を棒状とし、棒を筒に差し込んだ後、その間の隙間にゴムを充填して加硫する事で、ゴムを接着させる工程を指し、筒と棒の組合せに限定せず、左右の回転軸の間を加硫ゴムで連結した構成を全て含む。
5、パイプ状の車軸保持部材の、長さ方向に対する両端部近傍で回転軸を保持し、回転軸は保持部と保持部の間で分割し、左右の回転軸の間を、コイルバネ、又は板バネ、又は棒バネ、又は蛇腹状の金属管で連結した。
6、上記1から5のいずれかの構成において、軸の保持部をベアリングとし、ベアリングの内輪の内径は、両端部を大きくする事で、回転軸のたわみによる傾斜を吸収可能に構成した、又は内輪を二重構造とし、2つの内輪間の滑りによって、回転軸のたわみによる傾斜を吸収可能に構成した。
7、回転軸を保持するベアリングの外周側、又は内周側に、ゴム、又は樹脂、又は金属スプリングを装置し、回転軸をパイプ状の車軸保持部材に対して微動可能に弾性保持する事で、回転軸のたわみによる傾斜を吸収可能に構成した。
【請求項6】
パイプ状の車軸保持部材を、モーター取り付け部、車体への取り付け部、ホイール取付部に分割し、それぞれを、ボルト、又はボルトとナットで着脱自在に装置した事を特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の電動車輪。尚、モーター取り付け部、車体への取り付け部、ホイール取付部を、それぞれ複数に分割し、組立性を向上した構成も含む。
【請求項7】
以下のいずれかの構成により、アウターローターモーターのローターを、回転自在に保持した事を特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の電動車輪。
1、パイプ状の車軸保持部材の外周にベアリングを装置し、ベアリングの外輪でローターの内径部分を、その内側から保持する。
2、パイプ状の車軸保持部材の内径にベアリングを装置し、ベアリングの内輪でローターの内径部分を、その外側から保持する。
【請求項8】
パイプ状の車軸保持部材は、略垂直、又は略垂直から車体の前後左右方向に、45度までの範囲で傾斜した車軸回転軸、即ち操舵軸を軸心として、左右に回転、又は搖動可能に構成した、請求項1から7のいずれかに記載の、操舵可能な電動車輪。尚、回転、又は搖動可能とする構成とは、パイプ状の車軸保持部材を、その上側、又はその下側、又はその上下、又はその端部で、略水平に回転可能に支持する装置を指し、回転部分にはベアリング、又は滑り軸受け、又はボールジョイントを備えた構成や、水平回転する可動部に、操舵用のロッドを取り付けた構成を含む。
【請求項9】
請求項6に記載の構成において、分割されたパイプ状の車軸保持部材の内、アウターローターモーターが取付けられた部分を、車体、又は車体に取付けたブラケットに取付け、回転軸は複数に分割の上、ユニバーサルジョイント、又は等速ジョイントで連結する構成により、ホイール側だけを上下可動に装置した事を特徴とする、請求項8に記載の電動車輪。
【請求項10】
以下のいずれかの構成により、ホイールを上下可動に構成すると共に、緩衝機能を備えた事を特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の電動車輪。尚、以下の構成において、パイプ状の車軸保持部材の外周部又は端面部に、締結用の貫通孔を設けた構成や、外周部又は端面部に締結用の貫通孔やネジ孔を設けたブラケットを取付けた構成や、外周部に直接ネジを設けた構成や、外径を段付きとして圧入又は嵌合可能にした構成を含む。
1、パイプ状の車軸保持部材にアームを取り付け、そのアームの端部を、車体又は車体に取付けられたブラケットにピン結合し、アームを搖動可能に構成すると共に、パイプ状の車軸保持部材、又はその近傍、又はアームと、車体、又は車体に固定されたブラケットの間に、緩衝装置を装置した。尚、緩衝装置とは、金属スプリングにより車重を支え、液圧、又はガス圧により振動を減衰させる装置を指す。
2、上記1の構成に対して、アームの代わりに複数のリンク部材を搖動可能にピン結合し、パイプ状の車軸保持部材を支持した。尚、アームやリンク部材の取り付け部に、ゴム、又は樹脂、又は金属製の弾性部材を介在させた、弾性結合も含む。
3、上記1の構成に対して、アームの代わりに平行に配置された2つの長円形孔を備え、パイプ状の車軸保持部材が孔に嵌合し、長円の長さ方向に沿って摺動可能に装置した。
4、太さが異なる内筒と外筒を伸縮自在に組合せ、内部にコイルスプリングと緩衝用のオイル又は高圧ガスを封入した装置、いわゆるテレスコピックサスペンション装置の一端を、車体、又は車体に取付けたブラケットに取付け、他端をパイプ状の車軸保持部材に取付けた。尚、取付けは、ボルト又はボルトとナットによる締結とし、取り付け部にゴム、又は樹脂、又は金属製の弾性部材を介在させた、弾性結合も含む。
5、上記4のテレスコピックサスペンションを、上記1又は2のアームやリンクに取付けた。
6、車体又は車体に取付けられたブラケットに、板バネを略水平に装置し、板バネの略中央部に、パイプ状の車軸保持部材を取り付けた。
【請求項11】
アウターローターを、分解・開閉可能な密閉容器に格納すると共に、回転軸部に密封用シールを設け、電気配線の取り出し部は着脱自在のゴムや樹脂、又はシリコンで密閉し、さらに以下のいずれか、又は全ての特徴を有する請求項1から10のいずれかに記載の電動車輪。
1、容器の内部空間と外気を連通するパイプ、又はホースを装置し、その外気側の端部は、モーターの回転軸よりも上部とした。尚、モーターの回転による空気の流れを利用する、又はモーターにファンを付ける、又は専用の電動ファンを設ける事により、強制的に容器内の換気を行う構成も含む。
2、容器内にウォータージャケットを装置し、冷却水ホースを容器の外部へ配管する構成により、モーターを水冷、又は液冷とした。
3、タイヤを嵌め込んだホイールに水車を取り付けた、又はスクリューを取付ける事により、水陸両用車とした。
【請求項12】
回転軸の回転速度センサー、及び回転軸のトルクセンサー、及びモーターの温度センサー、及びモーター用電気配線を、パイプ状の車軸保持部材の長さ方向の中央部近傍より、モーター側のみに装置した事を特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の電動車輪。尚、回転軸の回転速度センサー、回転軸のトルクセンサー、モーターの温度センサーは、いずれかを装置しない構成も含む。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかの構成において、以下のいずれかの特徴を有する電動車輪。
1、アウターローターモーターを、インナーローターモーターに置き換えた。
2、複数のアウターローターモーターを、直列に連結した。
3、複数のインナーローターモーターを、直列に連結した。
4、アウターローターモーターとインナーローターモーターを、直列に連結した。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−23202(P2013−23202A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170525(P2011−170525)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(512197032)
【Fターム(参考)】