説明

電圧レギュレータ間のクロスレギュレーション干渉の低減

開示される装置の例示的実施形態は、命令を出力するプロセッサと、プロセッサと通信し、プロセッサから出力された命令を受け取り、受け取った命令に基づいて出力電圧を動的に調節する、第1の電圧レギュレータと、第1の電圧レギュレータから出力電圧を受け取る、複数の第2の電圧レギュレータと、を備え、出力電圧は、複数の第2の電圧レギュレータのうちの少なくとも1つにおける負荷変動に起因する、第2の電圧レギュレータ間のクロスレギュレーション干渉を低減する。

【発明の詳細な説明】
【優先権の主張】
【0001】
[35U.S.C.§119の下の優先権の主張]
本特許出願は、本特許出願の譲受人に譲渡され、かつ、参照によって明示的に本特許出願に組み込まれている、2007年12月20日に出願された米国特許仮出願第61/015,652号(発明の名称「Reducing cross−regulation interferences between voltage regulators」)の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、大まかに電圧レギュレータ装置に関し、特に、電圧レギュレータ間の干渉を低減する手法に関する。
【背景技術】
【0003】
回路または回路の一部分において電圧を所望のレベルに維持したりレギュレートしたりするために、今日では、電圧レギュレータが広く利用されている。電圧レギュレータとしては、低ドロップアウトレギュレータのような線形タイプのものや、スイッチングレギュラのような非線形タイプのものがある。
【0004】
線形電圧レギュレータは、直流(DC)出力においてノイズが少ないことが利点であるが、電力の利用効率が良くないことが弱点である。これに対し、非線形レギュラは、電力の利用効率が良いことが利点であるが、線形電圧レギュレータにくらべてノイズが多いことが弱点である。
【0005】
現時点での電圧レギュレーションの方法の1つとして、非線形電圧レギュラを2つ以上の線形電圧レギュレータと直列に用いる方法がある。この方法では、非線形電圧レギュレータの電力効率の良さを活用するために、電圧レギュレーションのほとんどを、非線形電圧レギュラを用いて行う(すなわち、バッテリ電圧を、必要な負荷電圧に非常に近い値に変換する)。ノイズ性能に一層優れる線形電圧レギュレータは、電圧の最終的な「微調節(ファインレギュレーション)」を行うのに用いられる。
【0006】
上述の方法の1つの弱点は、1つの線形電圧レギュレータの負荷が変動すると、過渡電流が発生して、他の線形電圧レギュレータの性能に悪影響が及ぶことである。この電流は、線形電圧レギュレータ間にクロスレギュレーション干渉を引き起こし、システム全体においてノイズが増え、他の電圧レギュレータの動作効率が低下する。
【0007】
そこで、当分野では、線形電圧レギュレータ間のクロスレギュレーション干渉を低減することが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本開示の例示的実施形態を実施することが可能な1つの例示的無線通信環境を示している。
【図2】図2は、従来技術の手法を用いた1つの例示的無線装置を示している。
【図3】図3は、従来技術の手法を用いた1つの例示的無線装置を示している。
【図4A】図4Aは、例示的無線装置の動作に対応する電圧波形を示している。
【図4B】図4Bは、例示的無線装置の動作に対応する電圧波形を示している。
【図5】図5は、本開示の例示的実施形態を示している。
【図6A】図6Aは、本開示の例示的方法を説明するフローチャートである。
【図6B】図6Bは、本開示の例示的方法を説明するフローチャートである。
【図7】図7は、本開示の例示的実施形態によって実行される動作の流れを説明する機能ブロック図である。
【詳細な説明】
【0009】
本明細書に記載の手法は、電圧レギュレーションが必要な任意の電気的または電子的環境における任意の電子的状況に適用可能であり、利用可能である。本明細書に記載の例示的実施形態は、例示のみを目的として、無線通信環境のコンテクストで示されているが、そのようなコンテクストに限定されるものではなく、携帯電話、基地局、ケーブルセットトップボックスなどの無線周波数の送受信に使用する任意の有線または無線通信環境に適用可能である。
【0010】
本明細書に記載の手法は、CDMA、TDMA、FDMA、OFDMA、SC−FDMAの各ネットワークのような無線通信ネットワークとしての様々な無線通信ネットワークに用いることが可能である。用語の「ネットワーク」と「システム」は、区別なく用いることが多い。CDMAネットワークは、UTRA(Universal Terrestrial Radio Access)やcdma2000などの無線技術を実装することが可能である。UTRAには、W−CDMA(Wideband−CDMA)、LCR(Low Chip Rate)、HCR(High Chip Rate)などが含まれる。cdma2000は、IS−2000、IS−95、およびIS−856の各基準をカバーする。TDMAネットワークは、GSM(Global System for Mobile Communications)などの無線技術を実装することが可能である。OFDMAネットワークは、E−UTRA(Evolved UTRA)、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、Flash−OFDM(登録商標)などの無線技術を実装することが可能である。これらの様々な無線技術および基準は、当分野では周知である。UTRA、E−UTRA、およびGSMについては、「第三世代パートナーシッププロジェクト」(3GPP)という機関からの文書に記載されている。cdma2000については、「第三世代パートナーシッププロジェクト2」(3GPP2)という機関からの文書に記載されている。3GPPおよび3GPP2の各文書は、公表されている。以下では、わかりやすくするために、これらの手法の特定の態様を、3GPPネットワークに関して説明する。
【0011】
本明細書で用いる「例示的」という言葉は、「例、実例、あるいは具体例として示される」ことを意味している。本明細書において「例示的」として示した実施形態は、どれも、他の実施形態より好ましい、あるいは有利であると解釈されるべきものでは必ずしもない。
【0012】
図1は、1つの例示的無線通信環境1を示しており、無線通信環境1は、通信システム120および122と、複数の無線通信システム120および122との通信が可能な、複数アンテナの無線装置としての無線装置110とを備えている。無線システム120は、1つまたは複数のCDMA基準(たとえば、IS−2000(一般にはCDMA 1xと呼ばれている)、IS−856(一般にはCDMA 1x EV−DOと呼ばれている)、IS−95、W−CDMAなど)を実装することが可能なCDMAシステムであってよい。無線システム120は、基地局送受信システム(BTS)130および移動交換局(MSC)140を含んでいる。BTS 130は、BTS 130のカバレッジエリアにある無線装置に対してover−the−air通信を提供している。MSC 140は、無線システム120において複数のBTSと結合されており、これらのBTSに関する調整および制御を行う。無線システム122は、1つまたは複数のTDMA基準(たとえば、GSMなど)を実装することが可能なTDMAシステムであってよい。無線システム122は、ノードB 132および無線ネットワーク制御装置(RNC)142を含んでいる。ノードB 132は、ノードB 132のカバレッジエリアにある無線装置に対してover−the−air通信を提供している。RNC 142は、無線システム122において複数のノードBと結合されており、これらのノードBに関する調整および制御を行う。一般に、BTS 130およびノードB 132は、無線装置に通信カバレッジを提供する固定局であり、基地局あるいは別の何らかの用語で呼ばれることもある。MSC 140およびRNC 142は、これらの基地局に関する調整および制御を行うネットワークエンティティであり、他の用語で呼ばれることもある。
【0013】
無線装置110は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、無線対応コンピュータ、または他の何らかの無線通信ユニット若しくは装置であってよい。無線装置110は、移動局(3GPP2用語)、ユーザ機器(UE)(3GPP用語)、アクセス端末、または他の何らかの用語で呼ばれることもある。無線装置110は、複数のアンテナとして、たとえば、1つの外部アンテナと1つまたは複数の内部アンテナを備えている。複数のアンテナを用いることにより、フェージング、マルチパス、干渉などの有害なパス効果に対するダイバーシティを提供することが可能である。送信側エンティティのアンテナから送信されたRF変調信号は、見通しパスおよび/または反射パスを介して、無線装置110の複数のアンテナに到達することが可能である。送信アンテナと無線装置110の各受信アンテナとの間に、少なくとも1つの伝搬パスが存在する。異なる受信アンテナに対する伝搬パスが互いに独立していれば(これは、少なくともある程度まではおおむね正しい)、複数のアンテナを用いてRF変調信号を受信することにより、ダイバーシティが増加し、受信信号品質が向上する。
【0014】
無線装置110は、複数の衛星150からの信号の受信が可能であってもなくてもよい。衛星150は、よく知られたGPS(全地球測位システム)、欧州ガリレオシステム、または他の何らかのシステムなどの衛星測位システムに属していてよい。各GPS衛星が送信するGPS信号には、地上のGPS受信機がGPS信号の到着時間(TOA)を測定することを可能にする情報が符号化されている。十分な数のGPS衛星についての測定値を用いることにより、GPS受信機の三次元位置の正確な推定値を得ることが可能である。一般に、無線装置110は、様々な無線技術(たとえば、CDMA、GSM、GPSなど)の任意の数の無線システムとの通信が可能であってよい。
【0015】
図2は、例示的無線装置110を示すブロック図である。無線装置110は、送受信システム210を含んでおり、送受信システム210は、一端において、外部アンテナであってよいメインアンテナとしてのアンテナ202と結合されており、他端において、パス240を経由するなどして移動局モデム(MSM)220と結合されている。MSM 220は、プロセッサ221を備えており、プロセッサ221は、メモリ222と通信しており、メモリ222は、MSM 220の内部にあっても外部にあってもよい。MSM 220もまた、パス241を経由するなどして電力管理システム230と通信している。後で図3を参照して詳述するが、電力管理システム230は、1つまたは複数の電圧レギュレータ231を備え、電圧レギュレータ231は、無線装置110または無線装置110の一部分において電圧を所望のレベルに維持したり調節したりする。
【0016】
図3は、図2の例示的電圧レギュレータ231をさらに詳細に示している。図3に示すように、電圧レギュレータ231は、非線形電圧レギュレータ301を備えており、非線形電圧レギュレータ301は、線形電圧レギュレータ_1乃至線形電圧レギュレータ_Nなどの一連の線形電圧レギュレータ302と直列に接続されており、各線形電圧レギュレータ302は、負荷_1乃至負荷_Nなどの負荷303と接続されている。この方法では、非線形電圧レギュラの電力効率の良さを活用するために、Vin電源電圧を、負荷303に必要な電圧に非常に近い値に変換する電圧レギュレーションのほとんどを、非線形電圧レギュラ301を用いて行う。一方、ノイズ性能に優れる線形電圧レギュレータ302は、非線形電圧レギュラ301によってレギュレートされた電圧の最終的な「微調節(ファインレギュレーション)」に用いる。
【0017】
上述の方法の1つの弱点は、たとえば、負荷_1において負荷が変動する場合である。負荷変動の一例として、無線装置110がスリープモードから出る場合が挙げられる。無線装置110は、スリープモード時には、比較的少量の電流を引き込んでいるが、着信呼があった場合のような覚醒時には、より多くの電流を引き込む。この、小電流から大電流への遷移は、「負荷変動イベント」と見なされる。図3に示した電圧レギュレータ231では、負荷が変動すると、干渉電流Iが発生し、Iは、負荷が変動した線形電圧レギュレータ302(たとえば、線形電圧レギュレータ_1)から、他の線形電圧レギュレータ302(たとえば、負荷_2乃至負荷N)ならびに非線形電圧レギュレータ301へと、上流方向に伝搬する。干渉電流Iは、線形電圧レギュレータ_2などの線形電圧レギュレータ302への供給電圧を低下させる。
【0018】
図4Aは、図3に示した電圧レギュレータ231の例示的線形電圧レギュレータ_1および線形電圧レギュレータ_2の動作にそれぞれ対応する例示的電圧波形401および402を示す。図4Aに示すように、線形電圧レギュレータ_1に対応する負荷_1は、時刻tで変動している。この負荷変動によって干渉電流Iが発生した結果、線形電圧レギュレータ_2などの線形電圧レギュレータ302の入力電圧が低下する。この電圧低下は、線形電圧レギュレータ_2を通って伝搬し、線形電圧レギュレータ_2の、影響を受けた出力電圧402と、(点線で示された)理論的な、影響を受けていない出力電圧403との間のd(たとえば、0.25ボルト)として現れる。このように出力電圧が低下した結果、線形電圧レギュレータ_2の負荷_2に対するノイズが増える。
【0019】
図5は、図1と関連して、電力管理システム530で使用される、本開示の電圧レギュレータ装置531の1つの例示的実施形態を示す。電圧レギュレータ装置531は、(図1に示すように)プロセッサ221を備えており、プロセッサ221は、動作命令および/またはデータを電圧レギュレータ装置531に出力する。この動作命令および/またはデータは、メモリ222に記憶可能であり、メモリ222は、MSM 220の内部にあっても外部にあってもよい。
【0020】
図5にさらに示すように、電圧レギュレータ装置531は、電圧レギュレータ501をさらに備え、電圧レギュレータ501は、非線形電圧レギュレータ(たとえば、スイッチングレギュレータ)、SMPS(スイッチモード電源)レギュレータ、降圧形電圧レギュレータなどである。電圧レギュレータ501はさらに、制御回路504を備え、制御回路504は、プロセッサ221から出力される命令を受信するために、SSBI通信インタフェースを経由するなどしてプロセッサ221と通信している。例示的実施形態では、電圧レギュラ501は、受信した動作命令および/またはデータを記憶するレジスタを備えている。そして、電圧レギュラ501は、受信した命令に基づいて、電圧レギュレータ501の出力電圧を動的に調節する。これについては、後で図6A〜7を参照して詳述する。電圧レギュレータ装置531はさらに、線形電圧レギュレータ_1乃至線形電圧レギュレータ_Nなどの2つ以上の線形電圧レギュレータ502を備えており、これらは、非線形電圧レギュレータ501から出力電圧を受け取る。電圧レギュレータ502は、互いに対して並列に接続され、電圧レギュレータ501に対して直列に接続されている。例示的実施形態では、電圧レギュレータ502は、低ドロップアウト(LDO)電圧レギュレータである。図6A〜7を参照して詳述するように、この電圧レギュレータ501から受信した調節済み出力電圧は、少なくとも1つの電圧レギュレータ502において負荷が変動する場合の電圧レギュレータ502間のクロスレギュレーション干渉を低減する。
【0021】
図6A及び6Bは、本開示の例示的方法を説明するフローチャートである。図6Aに示すように、この方法はブロック600から始まり、ブロック600では、プロセッサ221などのソースからの命令を、非線形電圧レギュレータ501(たとえば、制御回路504)において受信する。1つの例示的実施形態では、非線形電圧レギュレータ501は、降圧形電圧レギュレータである。次に、ブロック610では、少なくとも1つの線形電圧レギュレータ502(たとえば、線形電圧レギュレータ_1)における負荷変動に起因する、線形電圧レギュレータ502間のクロスレギュレーション干渉を低減するために、非線形電圧レギュレータ501の出力電圧を動的に調節する(これについては、図6Bを参照して詳述する)。以上で、この方法の全体が終了する。
【0022】
図6Bは、図6Aのブロック610の動的調節方法をより詳細に示している。図6Bに示すように、この方法はブロック660から始まり、ブロック660では、負荷変動への応答として、非線形電圧レギュレータ501の出力電圧を、最初のレベル(たとえば、2.25ボルト)から、高いレベル(たとえば、2.5ボルト)まで増やす。1つの例示的実施形態では、出力電圧を、負荷変動より先に、最初のレベルから増やす。線形電圧レギュレータ502が低ドロップアウト(LDO)線形電圧レギュレータである1つの例示的実施形態では、非線形電圧レギュレータ501の出力電圧が増えると、確実に、線形電圧レギュレータ502の復帰電圧が増える。次に、ブロック689では、負荷変動への応答として、非線形電圧レギュレータ501の出力電圧を、高くしたレベルから減らす。1つの例示的実施形態では、負荷変動への応答として、非線形電圧レギュレータ501の出力電圧を、高くしたレベルから最初のレベルまで減らす。1つの例示的実施形態では、負荷変動に続いて、非線形電圧レギュレータ501の高くした出力電圧を、たとえば、2.5ボルトから2.25ボルトに減らす。1つの例示的実施形態では、プロセッサ221は、少なくとも1つの線形電圧レギュレータ502の負荷503(たとえば、線形電圧レギュレータ_1の負荷_1)が変動するタイミング(たとえば、無線装置110がスリープモードから呼モードに移行するタイミング)を決定する。プロセッサはさらに、非線形電圧レギュレータ501の出力電圧を動的に調節するタイミングを、負荷503(たとえば、負荷_1)が変動するタイミングに基づいて決定する。その後、この方法は、図6Aのブロック610に戻る。
【0023】
図4Bは、図5に示した電圧レギュレータ531の線形電圧レギュレータ_1および線形電圧レギュレータ_2の動作にそれぞれ対応する例示的電圧波形411および412を示す。図4Bに示すように、線形電圧レギュレータ_1に対応する負荷_1は、時刻tで変動している。この負荷変動によって干渉電流Iが発生した結果、線形電圧レギュレータ_2などの線形電圧レギュレータ502の入力電圧が低下する。この電圧低下は、線形電圧レギュレータ_2を通って伝搬し、線形電圧レギュレータ_2の、影響を受けた出力電圧412と、(点線で示された)理論的な、影響を受けていない出力電圧413との間の低下分d(たとえば、0.01ボルト)として現れる。しかしながら、非線形電圧レギュレータ501の出力電圧が増えることから、電圧低下dは、図4Aに示した電圧低下dより小さく、したがって、線形電圧レギュレータ_2の負荷_2に対するノイズも相応して小さくなる。
【0024】
図7は、図4B乃至図6Bを参照して上述した、本開示の例示的実施形態によって実行される動作の流れを説明する機能ブロック図である。まず、図7のブロック700では、命令を出力する例示的手段が、電圧管理システム530への情報を電圧レギュレータ装置531に出力するプロセッサ221を含むことが可能である。次に、ブロック710では、出力された命令を受け取り、受け取った命令に基づいて出力電圧を動的に調節する例示的電圧レギュレータ手段が、非線形電圧レギュレータ501を含むことが可能である。次に、ブロック720では、この出力電圧を受け取る例示的複数の電圧レギュレータ手段が、線形電圧レギュレータ502を含むことが可能である。この出力電圧は、少なくとも1つの線形電圧レギュレータ502の負荷変動に起因する、線形電圧レギュレータ502間のクロスレギュレーション干渉を低減する。
【0025】
例示を目的として様々な例示的実施形態を別々に論じたが、これらは、別々に示した各実施形態の特徴の一部またはすべてを有する一実施形態にまとめることが可能であることに注意するべきである。
【0026】
当業者であれば理解されるように、情報および信号は、様々に異なる技術および手法のいずれを用いても表現可能である。たとえば、上述の説明において参照されているデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁界もしくは磁性粒子、光場もしくは光学粒子、またはこれらの任意の組み合わせにより表現可能である。
【0027】
当業者であればさらに理解されるように、本明細書において本開示に関連して示した、各種の例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはこれらの組み合わせとして実装可能である。この、ハードウェアおよびソフトウェアの互換性を明確に示すために、各種の例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびステップを、主にこれらの機能性の観点から上述した。そのような機能性をハードウェアとして実装するか、ソフトウェアとして実装するかは、個々の用途、ならびにシステム全体に課せられた設計上の制約に応じて異なる。当業者であれば、上述の機能性を個々の用途ごとに異なる形式で実装することが可能であるが、そのような実装の決定は、本開示の範囲からの逸脱を引き起こすものと解釈されてはならない。
【0028】
本明細書において本開示に関連して示した、各種の例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、DSP(デジタル信号プロセッサ)、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)もしくは他のプログラマブル論理素子、ディスクリートゲートもしくはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェア部品、または、本明細書に記載の機能を実行すべく設計された、これらの任意の組み合わせにより、実装または実行が可能である。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであってよいが、代替として、任意の従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であってよい。プロセッサはまた、コンピューティング装置の組み合わせとして実装可能であり、たとえば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、1つまたは複数のマイクロプロセッサと、DSPコアとの組み合わせ、または他の任意のこのような構成で実装可能である。
【0029】
本明細書において本開示に関連して示した、方法またはアルゴリズムの各ステップは、ハードウェアの形で直接具現化すること、または、プロセッサで実行されるソフトウェアモジュールの形で具現化すること、または、これらの組み合わせの形で具現化することが可能である。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、または他の任意の、当分野において知られている形式の記憶媒体において存在可能である。1つの例示的記憶媒体は、プロセッサがこの記憶媒体から情報を読み出したり、この記憶媒体に情報を書き込んだりできるように、プロセッサと結合される。代替として、記憶媒体は、プロセッサと一体であってよい。プロセッサおよび記憶媒体は、ASIC内に存在してもよい。このASICは、ユーザ端末内に存在してよい。代替として、プロセッサおよび記憶媒体は、ディスクリート部品として、ユーザ端末内に存在してよい。
【0030】
なお、上述した方法は、上述した方法をコンピュータに実行させるコードを収容したコンピュータ可読媒体を有するコンピュータプログラム製品の形で実装可能である。1つまたは複数の例示的実施形態では、上述の機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせの形で実装可能である。ソフトウェアの形で実装した場合、これらの機能は、コンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令またはコードとして、記憶または送信が可能である。コンピュータ可読媒体には、コンピュータ記憶媒体および通信媒体の両方が含まれ、通信媒体は、コンピュータプログラムをある場所から別の場所に転送することを容易にする任意の媒体を含む。記憶媒体は、汎用または専用コンピュータからアクセス可能な任意の利用可能媒体であってよい。限定ではなく例として、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMもしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、または他の任意の、命令またはデータ構造体の形式の、所望のプログラムコード手段を搬送または記憶するために用いることが可能であって、汎用または専用コンピュータ、あるいは、汎用または専用プロセッサからアクセス可能な媒体であってよい。また、どのような接続でも、コンピュータ可読媒体と呼ぶことが可能である。たとえば、ソフトウェアをWebサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信するために、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、電波、マイクロ波などの無線技術を用いる場合、これらの同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または(赤外線、電波、マイクロ波などの)無線技術は、媒体の定義に含まれる。ディスク(diskおよびdisc)は、本明細書では、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスクを含み、ディスク(disk)は、通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)は、レーザを用いてデータを光学的に再生する。これらを組み合わせたものも、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれる。
【0031】
以上、当業者であれば本開示を作成または使用できるように、本開示を説明した。当業者であれば、本開示に対する様々な修正が自明であろう。また、本明細書で定義した一般原則は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の変形例に適用可能である。したがって、本開示は、本明細書に記載の実施例や設計に限定されるものではなく、本明細書において開示された原理および新規な特徴と整合する最も広い範囲を与えられるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第2の電圧レギュレータと通信している第1の電圧レギュレータの出力電圧を動的に調節することを備え、前記調節することは、前記複数の第2の電圧レギュレータのうちの少なくとも1つにおける負荷変動に起因する、前記第2の電圧レギュレータ間のクロスレギュレーション干渉を低減する、方法。
【請求項2】
前記出力電圧を前記動的に変調することは、
前記負荷変動への応答として、前記出力電圧を、最初のレベルから、高いレベルまで増やすことと、
前記負荷変動に対する応答として、前記増やした出力電圧を、前記高いレベルから減らすことと、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出力電圧を前記増やすことは、
前記出力電圧を、前記負荷変動より先に、最初のレベルから増やすことをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記増やした出力電圧を前記減らすことは、
前記増やした出力電圧を、前記負荷変動に続いて、減らすことをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記増やした出力電圧を前記減らすことは、
前記増やした出力電圧を、前記最初の電圧レベルまで減らすことをさらに備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記出力電圧を前記動的に調節することは、
ソースから命令を受け取ることをさらに備え、前記出力電圧は、前記受け取った命令に基づいて動的に調節される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
命令を出力するプロセッサと、
前記プロセッサと通信し、前記プロセッサから出力された命令を受け取り、前記受け取った命令に基づいて出力電圧を動的に調節する、第1の電圧レギュレータと、
前記第1の電圧レギュレータから前記出力電圧を受け取る、複数の第2の電圧レギュレータと、を備え、前記出力電圧は、前記複数の第2の電圧レギュレータのうちの少なくとも1つにおける負荷変動に起因する、前記第2の電圧レギュレータ間のクロスレギュレーション干渉を低減する、装置。
【請求項8】
前記第1の電圧レギュレータは、非線形電圧レギュレータを備え、前記複数の第2の電圧レギュレータのそれぞれは、線形電圧レギュレータを備える、請求項7に記載の回路。
【請求項9】
前記第1の電圧レギュレータは、前記出力された命令を受け取り、前記受け取った命令に基づいて、前記第1の電圧レギュレータの出力電圧を動的に調節する、制御回路を備える、請求項7に記載の回路。
【請求項10】
前記線形電圧レギュレータのうちの少なくとも1つが、低ドロップアウト(LDO)線形レギュレータを備える、請求項8に記載の回路。
【請求項11】
前記第1の電圧レギュレータは、降圧形電圧レギュレータを備える、請求項8に記載の回路。
【請求項12】
前記複数の第2の電圧レギュレータのそれぞれは、他の前記第2の電圧レギュレータと並列に接続されており、前記第1の電圧レギュレータと直列に接続されている、請求項7に記載の回路。
【請求項13】
前記第1の電圧レギュレータは、前記負荷変動への応答として、前記出力電圧を最初のレベルから増やし、前記負荷変動への応答として、前記増やした出力電圧を減らす、請求項7に記載の回路。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記第2の電圧レギュレータのうちの少なくとも1つにおいて負荷が変動するタイミングを決定し、前記負荷変動のタイミングに基づいて、前記出力電圧を動的に調節するタイミングを決定する、請求項7に記載の回路。
【請求項15】
前記プロセッサと通信し、命令およびデータの少なくとも一方を記憶するメモリをさらに備え、前記出力される命令は、前記記憶された命令およびデータのうちの前記少なくとも一方を備える、請求項7に記載の回路。
【請求項16】
命令を出力する手段と、
出力された命令を受け取り、前記受け取った命令に基づいて出力電圧を動的に調節する、第1の電圧レギュレータ手段と、
前記出力電圧を受け取る、複数の第2の電圧レギュレータ手段と、を備え、前記出力電圧は、前記複数の第2の電圧レギュレータのうちの少なくとも1つにおける負荷変動に起因する、前記第2の電圧レギュレータ間のクロスレギュレーション干渉を低減する、装置。
【請求項17】
コンピュータ可読媒体を備え、
前記コンピュータ可読媒体は、複数の第2の電圧レギュレータと通信している第1の電圧レギュレータの出力電圧を動的に調節して、前記複数の第2の電圧レギュレータのうちの少なくとも1つにおける負荷変動に起因する、前記第2の電圧レギュレータ間のクロスレギュレーション干渉を低減することを、コンピュータに行わせるコードを備える、コンピュータプログラム製品。
【請求項18】
前記出力電圧を動的に調節することをコンピュータに行わせる前記コードは、
前記負荷変動への応答として、前記出力電圧を、最初のレベルから、高いレベルまで増やすコードと、
前記負荷変動に対する応答として、前記増やした出力電圧を、前記高いレベルから減らすコードと、
をさらに備える、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
前記出力電圧を増やす前記コードは、
前記出力電圧を、前記負荷変動より先に、最初のレベルから増やすコードをさらに備える、請求項18に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記増やした出力電圧を減らす前記コードは、
前記増やした出力電圧を、前記負荷変動に続いて、減らすコードをさらに備える、請求項18に記載のコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−509646(P2011−509646A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539837(P2010−539837)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087546
【国際公開番号】WO2009/086019
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】