説明

電圧制御装置及び電圧制御方法

【課題】電源の出力電圧が急に低下した場合でも、負荷に印加される電圧の実効値を好適に制御する電圧制御装置及び電圧制御方法を提供する。
【解決手段】発電機から出力される出力電圧を、デジタルフィルタにより濾波し、濾波した平滑化電圧の値に基づくデューティ比によるPWM制御を行う電圧制御装置9。前記出力電圧の値を時系列的に検出する出力電圧検出手段(A/D変換手段91)と、前記A/D変換手段が検出した出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より大きい場合に、前記デジタルフィルタの入力値に対する重み付けを高くするPWM制御部(制御部92)とを有する電圧制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機から負荷に印加される電圧を制御する電圧制御装置及び電圧制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載発電機又はバッテリの少なくとも一方を電源として負荷へ印加される電圧を、PWM(Pulse Width Modulation)制御することにより実効値を制御する技術がある(例えば、特許文献1参照)。PWM制御のデューティ比は、電源から出力される出力電圧の値に基づいて決定される。
【0003】
ところで、車載発電機(交流発電機)の整流された出力電圧は脈動を含むため、デューティ比を決定する際には、予め平滑化処理を行う必要がある。例えば、特許文献1に記載の車両用電源制御装置では、検出した出力電圧に対し、出力電圧の脈動の周波数と検出する周期とに基づく回路定数を用いたアナログ又はデジタルのIIRフィルタによるフィルタ処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−172176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、IIRフィルタによるフィルタ処理をした後に、PWM制御のデューティ比を更新する。しかしながら、電源からの出力電圧の値が急激に変化する場合には、負荷に印加される電圧の実効値を望ましい値にするためのデューティ比の更新が間に合わないことがある。これは、照明にちらつきが発生する等の不具合を発生させる。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、電源の出力電圧が急に低下した場合でも、負荷に印加される電圧の実効値を好適に制御する電圧制御装置及び電圧制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電圧制御装置は、発電機から出力される出力電圧を、デジタルフィルタにより濾波し、濾波した平滑化電圧の値に基づくデューティ比によりPWM制御する電圧制御装置において、前記出力電圧の値を時系列的に検出する出力電圧検出手段と、前記出力電圧検出手段が検出した出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より大きい場合に、前記デジタルフィルタの入力値に対する重み付けを高くする手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る電圧制御装置は、発電機から出力される出力電圧を、デジタルフィルタにより濾波し、濾波した平滑化電圧の値に基づくデューティ比によりPWM制御する電圧制御装置において、前記出力電圧の値を時系列的に検出する出力電圧検出手段と、前記出力電圧検出手段が検出した出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より大きい場合に、前記デューティ比を、前記平滑化電圧の値を用いることなく前記出力電圧の値に基づいて決定するPWM制御部とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る電圧制御装置は、前記PWM制御部が、前記デューティ比を前記出力電圧の値に基づいて決定した後に、前記出力電圧検出手段が検出した出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より小さい場合に、前記デューティ比を、前記平滑化電圧の値を用いて決定することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る電圧制御方法は、発電機から出力される出力電圧を、デジタルフィルタにより濾波し、濾波した平滑化電圧の値に基づくデューティ比によりPWM制御する電圧制御方法において、前記出力電圧の値を時系列的に検出するステップと、前記出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より大きい場合に、前記デジタルフィルタの入力値に対する重み付けを高くするステップとを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る電圧制御方法は、発電機から出力される出力電圧を、デジタルフィルタにより濾波し、濾波した平滑化電圧の値に基づくデューティ比によりPWM制御する電圧制御方法において、前記出力電圧の値を時系列的に検出するステップと、前記出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より大きい場合に、前記デューティ比を、前記平滑化電圧の値を用いることなく前記出力電圧の値に基づいて決定するステップとを有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る電圧制御方法は、前記デューティ比を前記出力電圧の値に基づいて決定した後に、前記出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より小さい場合に、前記デューティ比を、前記平滑化電圧の値を用いて決定するステップを有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る電圧制御装置及び電圧制御方法にあっては、発電機から出力される出力電圧を、デジタルフィルタにより濾波し、濾波した平滑化電圧の値に基づくデューティ比によりPWM制御する。出力電圧検出手段は、出力電圧の値を時系列的に検出する。出力電圧検出手段が検出した出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より大きい場合に、デジタルフィルタの入力値に対する重み付けを高くする。
【0014】
これにより、電源の出力電圧が急に低下した場合に、デューティ比を決定する際に用いる平滑化電圧を生成する際の入力値に対する重み付けを高くするので、電源の出力電圧の急な低下に良好に追従した平滑化電圧を生成し、デューティ比を出力電圧が急激に低下していない場合よりも高い値に決定することができ、負荷に印加される電圧の実効値が低下することを防止して好適に制御することができる。
【0015】
本発明に係る電圧制御装置及び電圧制御方法にあっては、発電機から出力される出力電圧を、デジタルフィルタにより濾波し、濾波した平滑化電圧の値に基づくデューティ比によりPWM制御する。出力電圧検出手段は、出力電圧の値を時系列的に検出する。PWM制御部は、出力電圧検出手段が検出した出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より大きい場合に、デューティ比を、平滑化電圧の値を用いることなく出力電圧の値に基づいて決定する。
【0016】
これにより、電源の出力電圧が急に低下した場合に、デューティ比を決定する際に平滑化電圧ではなく出力電圧の値を用いるので、電源の出力電圧の急激な低下に良好に追従してデューティ比を出力電圧が急激に低下していない場合よりも高い値に決定することができ、負荷に印加される電圧の実効値が低下することを防止して好適に制御することができる。
【0017】
また、本発明に係る電圧制御装置及び電圧制御方法にあっては、PWM制御部が、デューティ比を出力電圧の値に基づいて決定した後に、出力電圧検出手段が検出した出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より小さい場合に、デューティ比を、平滑化電圧の値を用いて決定する。
【0018】
これにより、出力電圧の値の低下が所定値より小さくなり、値の変動の主原因が発電機による脈動に戻った場合に、再び、脈動が取り除かれた平滑化電圧からデューティ比を決定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電源の出力電圧が急に低下した場合でも、負荷に印加される電圧の実効値を好適に制御する電圧制御装置及び電圧制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態に係る電圧制御装置を有する電源装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】PWM制御される電圧の模式的波形図である。
【図3】電圧制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】他の実施の形態に係る電圧制御装置を有する電源装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】他の電圧制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】リレーボックスへの入力電圧及び負荷に印加される電圧の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る電圧制御装置を有する電源装置の概略構成を示すブロック図である。図1の電源装置1は、負荷に対して電力を供給する。本実施の形態に係る電圧制御装置は、例えば、自動車に搭載され、車載の機器に対して電源を供給することに用いられる。
【0023】
図1では、負荷としてランプ31及びランプ32を示す。電源装置1は、バッテリ2、オルタネータ(車載発電機)3、及び、リレーボックス10を有する。電源装置1は、さらに、バッテリ2とリレーボックス10との間に、ヒューズ62及びヒューズ63を有する。なお、オルタネータ3からの電圧は、ヒューズ62を通じてバッテリ2へ充電され、ヒューズ63を通じてリレーボックス10へ供給される。バッテリ2及びオルタネータ3は、負荷に供給する電力の電源である。
【0024】
リレーボックス10は、電圧制御装置9、半導体リレー11、半導体リレー12、ヒューズ64、及び、ヒューズ65を有する。バッテリ2の出力電圧は、ヒューズ62及びヒューズ63を通じて、分岐点Aに印加される。分岐点Aは、電源からの電力の供給を、ヒューズ64及びヒューズ65と、電圧制御装置9とに分岐する。同様に、オルタネータ3の出力電圧は、ヒューズ63を通じて、分岐点Aに印加される。なお、オルタネータ3の出力電圧には、脈動が含まれている。
【0025】
分岐点Aに印加された電圧は、ヒューズ64及び半導体リレー11を通じてランプ31に印加され、同様に、ヒューズ65及び半導体リレー12を通じてランプ32に印加される。
【0026】
半導体リレー11及び半導体リレー12は、それぞれ、電圧制御装置9の制御により、スイッチとして動作し、ランプ31及びランプ32に印加される電圧をPWM制御する。半導体リレー11及び半導体リレー12は、それぞれ、同一の機能及び構成を有するので、ここでは、半導体リレー11について説明する。
【0027】
図2は、PWM制御される電圧の模式的波形図である。図2の波形図は、横軸に時間(t)、縦軸に電圧(V)を示す。オルタネータ3の出力電圧は、安定しているときは、例えば、14Vである。一方、ランプ31を動作させるのに必要な印加電圧は、12Vである。そこで、ランプ31に印加される電圧の実効値が12Vになるように、電圧制御装置9が、半導体リレー11をPWM制御する。図2中、実線の矩形波形が、PWM制御された印加電圧であり、点線が実効値である。
【0028】
図1に戻り、電圧制御装置9は、A/D変換手段91、及び、制御部92を有する。A/D変換手段91は、分岐点Aに印加されている電圧を検出してアナログ信号からデジタル信号に変換(以下、「A/D変換」という。)する。A/D変換手段91は、バッテリ2及びオルタネータ3の少なくとも一方の出力電圧を時系列に取得する。A/D変換のサンプリング周期は、例えば、10msである。
【0029】
制御部92は、例えば、マイクロプロセッサからなり、分岐点Aに印加される電圧を検出し、半導体リレー11及び半導体リレー12をPWM制御する際のデューティ比を決定する。制御部92は、低下算出処理、重み付け制御処理、デジタルフィルタ処理、デューティ比決定処理、及び、PWM制御処理を実行する。
【0030】
図3は、電圧制御装置9の処理手順を示すフローチャートである。図3の処理は、バッテリ2及びオルタネータ3の少なくとも一方の出力電圧が、分岐点Aに印加されている場合に実行される。
【0031】
先ず、A/D変換手段91が、分岐点Aに印加されている電圧をA/D変換し、制御部92が、A/D変換した出力電圧の値(Vin)を取得する(ステップS11)。ここでは、所定の時間間隔、例えば、10ms毎に取得する。次に、制御部92が、ステップS11で取得した出力電圧の値(Vin)の所定の時間内における低下を算出する(ステップS12)。
【0032】
次に、制御部92は、ステップS12で算出した低下が、所定の時間内で所定値より大きいか否かを判定する(ステップS13)。より詳細には、例えば、所定の時間内における低下が、所定値より大きいか否かを判定する。低下が所定値より大きい場合(ステップS13:YES)は、制御部92が、デジタルフィルタが実行するIIRフィルタ処理の入力値に対する重み付けの値(重み付け係数)を高くする(ステップS14)。
より詳細には、例えば、次式(1)に示すIIRフィルタ処理を示す式において、重み付け係数αの値を、通常より高くする。
【0033】
Vout=Vin×α+Vout1×(1−α) ・・・(1)
但し、Vinは、デジタルフィルタに対して入力する電圧の値、
Voutは、デジタルフィルタが出力する電圧の値、
Vout1は、デジタルフィルタが、直前に出力した電圧の値、
αは、重み付け係数(0<α≦1)
である。
【0034】
式(1)において、例えば、デジタルフィルタに入力する電圧の値のサンプリング周期が10msの場合に、通常は、αを0.06とし、ステップS14では、例えば、式(1)のαの値を1にする。
【0035】
一方、ステップS12で算出した低下が所定値以下の場合(ステップS13:NO)には、制御部92が、デジタルフィルタが実行するIIRフィルタ処理の入力値に対する重み付けの値を、予め設定されている基準値にする(ステップS15)。すなわち、例えば、式(1)のαの値は、0.06のままである。
【0036】
ステップS14又はステップS15の後、制御部92が、ステップS14又はステップS15で決定した重み付けの値を用いて、A/D変換手段91が取得した電圧の値(Vin)に対して、式(1)を用いてIIRフィルタ処理を行い、平滑化された電圧の値(Vout)を得る(ステップS16)。
【0037】
次に、制御部92が、ステップS16で得られた電圧の値(Vout)を用いて、デューティ比(Duty)を決定する(ステップS17)。デューティ比は、平滑化された値(Vout)を有する電圧の実効値が、12Vになるように定められる。
ここでは、次式(2)により決定する。
【0038】
Duty=(Vref/Vout)2 ・・・(2)
但し、Vrefは、目標とする実効値である。
【0039】
次に、制御部92が、ステップS17で決定されたデューティ比により、半導体リレー11及び半導体リレー12をPWM制御する(ステップS18)。
【0040】
以上の処理により、電源の出力電圧の値が急激に低下した場合でも、負荷へ印加する電圧の実効値の低下を防止し、又は、印加する電圧の実効値を速やかに適正な値に回復することができる。
【0041】
(実施の形態2)
図4は、本実施の形態2に係る電圧制御装置を有する電源装置の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態2における電源装置の機能構成の概略は、実施の形態1と同様である。より詳細には、電圧制御装置9aに、制御部92に代えて制御部92aが設けられている他は、同一である。ここでは、制御部92aについて詳述する。
【0042】
制御部92aは、例えば、マイクロプロセッサからなり、低下算出処理、デジタルフィルタ処理、デューティ比決定処理、及び、PWM制御処理を実行する。制御部92aが実行する各処理において、制御部92と同一である部分は、ここでは説明を省略する。
【0043】
図5は、電圧制御装置9aの処理手順を示すフローチャートである。図5の処理は、バッテリ2及びオルタネータ3の少なくとも一方の出力電圧が、分岐点Aに印加されている場合に実行される。
【0044】
先ず、A/D変換手段91が、分岐点Aに印加されている電圧をA/D変換し、制御部92aは、出力電圧の値(Vin)を得る(ステップS21)。ここでは、所定の時間間隔、例えば、10ms毎に電圧の値を取得する。次に、制御部92aが、ステップS21でA/D変換した電圧の値の低下を算出する(ステップS22)。
【0045】
次に、制御部92aが、ステップS22で算出した出力電圧の低下が、所定の時間内で所定値より大きいか否かを判定する(ステップS23)。低下が所定値より大きい場合(ステップS23:YES)は、制御部92aが、次式(3)により、デューティ比を決定する(ステップS24)。
【0046】
Duty=(Vref/Vin)2 ・・・(3)
但し、Vrefは、目標とする実効値である。
【0047】
一方、低下が所定値以下の場合(ステップS23:NO)には、制御部92aが、IIRフィルタ処理の入力値に対する重み付けの値を、予め設定されている基準値とし、デジタルフィルタ処理を実行する(ステップS25)。すなわち、サンプリング周期が10msの場合に、重み付けαの値は、0.06である。そこで、式(1)のαの値を、0.06とし、A/D変換手段91が取得した電圧の値(Vin)に対して、式(1)によるIIRフィルタ処理を行い、電圧の値(Vout)を得る。
【0048】
制御部92aが、ステップS25の後、得られた電圧の値(Vout)を用いて,デューティ比(Duty)を決定する(ステップS26)。デューティ比は、平滑化された値(Vout)を有する電圧の実効値が、12Vになるように定められる。ここでは、上式(2)により決定する。
【0049】
ステップS24又はステップS26の後、制御部92aは、決定したデューティ比により、半導体リレー11及び半導体リレー12をPWM制御する(ステップS27)。
【0050】
以上の処理により、電源の出力電圧の値が急激に低下した場合でも、負荷へ印加する電圧の実効値の低下を防止し、又は、印加する電圧の実効値を速やかに適正な値に回復することができる。
【0051】
なお、制御部92aが、式(3)によりデューティ比を決定した後に、A/D変換手段91が、検出した出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より小さくなった場合には、制御部92aが、IIRフィルタ処理の入力値に対する重み付けの値を、予め設定されている基準値としてデジタルフィルタ処理を実行し、デューティ比を式(2)により決定する。
【0052】
すなわち、図5の処理を繰り返し行い、出力電圧の低下が所定の時間内において所定値より大きい場合には、ステップS23からステップS24に進み、その後に、検出した出力電圧の値の所定の時間内における低下が所定値以下の場合には、ステップS23からステップS25に進む。
【0053】
これにより、電源の出力電圧の値が急激に低下した後、再び出力電圧の値の変化が小さくなり、値の変化の主原因がオルタネータ3からの電圧の脈動によるものになった場合には、出力電圧に含まれている脈動を、デジタルフィルタにより、平滑化して脈動による影響を低減した後に、デューティ比を決定することができる。
【0054】
図6は、リレーボックス10への入力電圧及び負荷に印加される電圧の波形図である。リレーボックス10へ入力される電圧は、バッテリ2及びオルタネータ3から出力される。図6には、電圧制御装置9又は電圧制御装置9aによる出力電圧のPWM制御の効果を示している。図6Aの波形図は、電源の出力電圧(Vin)がPWM制御された電圧の実効値を示す。図6Bの波形図は、デューティ比の時間変化を示す。
【0055】
図6Aの波形図は、縦軸が電圧(V)、横軸が時間(t)である。図6Aには、電源電圧Vin、従来の電圧制御による負荷へ印加される電圧の実効値V1、及び、電圧制御装置9又は電圧制御装置9aにより制御される電圧の実効値V2が示されている。電源の出力電圧の最大値は、約14Vであり、負荷の定格電圧は、12Vである。実効値V1に比べて、実効値V2は、電源の出力電圧Vinの急激な低下に対して、定格(12V)より小さくなる期間が短い。
【0056】
図6Bの波形図は、縦軸が比率(%)、横軸が時間(t)である。図6Bには、従来の電圧制御におけるデューティ比D1、及び、電圧制御装置9又は電圧制御装置9aの電圧制御におけるデューティ比D2が示されている。図6Bにおける各時刻tは、図6Aにおける各時刻tと同一である。D1に比べて、D2は、電源の出力電圧Vinの急激な低下に対する応答性が高い。これにより、実効値V2を好適に制御することができることが判る。
【0057】
以上、発明を実施するための形態について説明を行ったが、本発明は、この発明を実施するための形態で述べた実施形態に限定されるものではない。複数の実施形態の組み合わせでもよい。本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 電源装置
2 バッテリ
3 オルタネータ
9、9a 電圧制御装置
10 リレーボックス
11、12 半導体リレー
31、32 ランプ
62、63、64、65 ヒューズ
91 A/D変換手段(出力電圧検出手段)
92、92a 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機から出力される出力電圧を、デジタルフィルタにより濾波し、濾波した平滑化電圧の値に基づくデューティ比によりPWM制御する電圧制御装置において、
前記出力電圧の値を時系列的に検出する出力電圧検出手段と、
前記出力電圧検出手段が検出した出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より大きい場合に、前記デジタルフィルタの入力値に対する重み付けを高くする手段と
を有することを特徴とする電圧制御装置。
【請求項2】
発電機から出力される出力電圧を、デジタルフィルタにより濾波し、濾波した平滑化電圧の値に基づくデューティ比によりPWM制御する電圧制御装置において、
前記出力電圧の値を時系列的に検出する出力電圧検出手段と、
前記出力電圧検出手段が検出した出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より大きい場合に、前記デューティ比を、前記平滑化電圧の値を用いることなく前記出力電圧の値に基づいて決定するPWM制御部と
を有することを特徴とする電圧制御装置。
【請求項3】
前記PWM制御部は、前記デューティ比を前記出力電圧の値に基づいて決定した後に、 前記出力電圧検出手段が検出した出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より小さい場合に、前記デューティ比を、前記平滑化電圧の値を用いて決定するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の電圧制御装置。
【請求項4】
発電機から出力される出力電圧を、デジタルフィルタにより濾波し、濾波した平滑化電圧の値に基づくデューティ比によりPWM制御する電圧制御方法において、
前記出力電圧の値を時系列的に検出するステップと、
前記出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より大きい場合に、前記デジタルフィルタの入力値に対する重み付けを高くするステップと
を有することを特徴とする電圧制御方法。
【請求項5】
発電機から出力される出力電圧を、デジタルフィルタにより濾波し、濾波した平滑化電圧の値に基づくデューティ比によりPWM制御する電圧制御方法において、
前記出力電圧の値を時系列的に検出するステップと、
前記出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より大きい場合に、前記デューティ比を、前記平滑化電圧の値を用いることなく前記出力電圧の値に基づいて決定するステップと
を有することを特徴とする電圧制御方法。
【請求項6】
前記デューティ比を前記出力電圧の値に基づいて決定した後に、前記出力電圧の値の所定の時間内における低下が、所定値より小さい場合に、前記デューティ比を、前記平滑化電圧の値を用いて決定するステップを有することを特徴とする請求項5に記載の電圧制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−23090(P2013−23090A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160195(P2011−160195)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】