電子カメラ
【構成】イメージセンサ18は、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する。CPU26は、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録し、撮像面の方向を繰り返し検出する。CPU26はまた、検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する。
【効果】撮像条件を適応的に調整することができる。
【効果】撮像条件を適応的に調整することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カメラに関し、特に登録された調整基準に基づいて撮像条件を調整する、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカメラの一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、雲台のパンニング角、チルティング角が操作者によって決められ、フォーカス操作装置によって被写体にフォーカスが合わせられ、ズーム操作手段によって画角が決定される。雲台のパンニング角検出器およびチルティング角検出器の角度情報とテレビレンズのズームおよびフォーカスの位置情報とが、制御手段によって、ズーム操作手段の指令に基づいて記憶手段に記憶され、プリセット状態にされる。
【0003】
操作者によってプリセット位置から所定範囲内にパンニング角、チルティング角が設定されると、ズーム、フォーカス位置が自動的に再現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−326982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、背景技術では、あらかじめ記憶手段に記憶されたプリセット値以外の値にズームやフォーカス等の撮像条件を調整することができない。したがって、調整された撮像条件が画一的なものとなる恐れがある。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、撮像条件を適応的に調整することができる、電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従う電子カメラ(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段(16)、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録手段(S9~S25)、撮像面の方向を繰り返し検出する検出手段(48, S51, S83, S85)、および検出手段によって検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録手段によって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整手段(S53~S57)を備える。
【0008】
好ましくは、調整手段は、複数の撮像方向の一部と検出手段によって検出された方向との差分に基づいて調整パラメータ値を算出する算出手段(S55)、および算出手段によって算出された調整パラメータ値に従って撮像手段の撮像条件を調整する調整実行手段(S57)を含む。
【0009】
さらに好ましくは、撮像条件はズーム倍率に相当する。
【0010】
好ましくは、算出手段によって注目される撮像方向と検出手段によって検出された方向との水平方向の差分をパン角度として算出するパン角度算出手段(S27)、および算出手段によって注目される撮像方向と検出手段によって検出された方向との垂直方向の差分をチルト角度として算出するチルト角度算出手段(S29)をさらに備え、算出手段はパン角度算出手段によって算出されたパン角度および/またはチルト角度算出手段によって算出されたチルト角度に基づいて調整パラメータ値算出処理(S91~S95)を実行する。
【0011】
さらに好ましくは、調整パラメータ値算出処理は、パン角度算出手段によって算出されたパン角度がチルト角度算出手段によって算出されたチルト角度よりも大きいときパン角度算出手段によって算出されたパン角度に基づいて調整パラメータ値を算出する第1算出処理(S93)、およびチルト角度算出手段によって算出されたチルト角度がパン角度算出手段によって算出されたパン角度よりも大きいときチルト角度算出手段によって算出されたチルト角度に基づいて調整パラメータ値を算出する第2算出処理(S95)を含む。
【0012】
好ましくは、検出手段は、動きの発生に対応して動きベクトルを出力する出力手段(48)、および出力手段から出力された動きベクトルに基づいて撮像面の方向を検出する方向検出手段(S51, S83, S85)を含む。
【0013】
この発明に従う撮像制御プログラムは、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段(16)を備える電子カメラ(10)のプロセッサ(26)に、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ(S9~S25)、撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ(48, S51, S83, S85)、および検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップ(S53~S57)を実行させるための、撮像制御プログラムである。
【0014】
この発明に従う撮像制御方法は、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段(16)を備える電子カメラ(10)によって実行される撮像制御方法であって、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ(S9~S25)、撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ(48, S51, S83, S85)、および検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップ(S53~S57)を備える。
【0015】
この発明に従う外部制御プログラムは、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段(16)、およびメモリ(44)に保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサ(26)を備える電子カメラ(10)に供給される外部制御プログラムであって、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ(S9~S25)、撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ(48, S51, S83, S85)、および検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップ(S53~S57)を内部制御プログラムと協働してプロセッサに実行させるための、外部制御プログラムである。
【0016】
この発明に従う電子カメラ(10)は、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段(16)、外部制御プログラムを受信する受信手段(50)、および受信手段によって受信された外部制御プログラムとメモリ(44)に保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサ(26)を備える電子カメラ(10)であって、外部制御プログラムは、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ(S9~S25)、
【0017】
撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ(48, S51, S83, S85)、および
【0018】
検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップ(S53~S57)を内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する。
【発明の効果】
【0019】
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件が登録される。また、撮像面の方向が繰り返し検出され、検出された撮像面の方向に対応する撮像条件は、登録された複数の撮像条件とこれらがそれぞれ対応する複数の撮像方向とに基づいて調整される。したがって、カメラの向きを変更することによって撮像条件を調整することができ、撮像条件を適応的に調整することができる。
【0020】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】撮像面における評価エリアの割り当て状態の一例を示す図解図である。
【図4】撮像タスクおよび方向管理タスクにおいて参照されるレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図5】撮像タスクにおいて参照されるレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図6】図2実施例の撮像面において捉えられたシーンの全体の一例を示す図解図である。
【図7】(A)は図2実施例の撮像面において捉えられた画角の一例を示す図解図であり、(B)は図2実施例の撮像面において捉えられた画角の他の一例を示す図解図であり、(C)は図2実施例の撮像面において捉えられた画角のその他の一例を示す図解図である。
【図8】ズーム倍率算出処理の一部を示す図解図である。
【図9】ズーム倍率算出処理の他の一部を示す図解図である。
【図10】ズーム倍率算出処理のその他の一部を示す図解図である。
【図11】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図12】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図13】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図14】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図15】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図16】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図17】この発明の他の実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0023】
図1を参照して、この実施例の電子カメラは、基本的に次のように構成される。撮像手段1は、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する。登録手段2は、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する。検出手段3は、撮像面の方向を繰り返し検出する。調整手段4は、検出手段3によって検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録手段2によって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する。
【0024】
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件が登録される。また、撮像面の方向が繰り返し検出され、検出された撮像面の方向に対応する撮像条件は、登録された複数の撮像条件とこれらがそれぞれ対応する複数の撮像方向とに基づいて調整される。したがって、カメラの向きを変更することによって撮像条件を調整することができ、撮像条件を適応的に調整することができる。
[実施例]
【0025】
図2を参照して、この実施例のディジタルビデオカメラ10は、ドライバ20a,20bおよび20cによってそれぞれ駆動されるズームレンズ12,フォーカスレンズ14および絞りユニット16を含む。被写界の光学像は、これらの部材を通してイメージセンサ18の撮像面に照射され、光電変換を施される。
【0026】
撮像タスクが起動されるとCPU26は、動画取り込み処理を実行するべく、撮像タスクの下で露光動作および電荷読み出し動作の繰り返しをドライバ20dに命令する。ドライバ20dは、図示しないSG(Signal Generator)から周期的に発生する垂直同期信号Vsyncに応答して、撮像面を露光し、かつ撮像面で生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。イメージセンサ18からは、読み出された電荷に基づく生画像データが周期的に出力される。
【0027】
信号処理回路22は、イメージセンサ18から出力された生画像データにディジタルクランプ,画素欠陥補正,ゲイン制御,色分離処理,白バランス調整処理,YUV変換処理などの処理を施し、YUV形式に従う画像データを作成する。画像データは、メモリ制御回路30を通してSDRAM32に書き込まれる。
【0028】
LCDドライバ36は、SDRAM32に格納された画像データをメモリ制御回路30を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ38を駆動する。この結果、シーンを示すリアルタイム動画像(スルー画像)がLCDモニタ38に表示される。
【0029】
図3を参照して、撮像面の中央には評価エリアEVAが割り当てられる。評価エリアEVAは水平方向および垂直方向の各々において16分割され、256個の分割エリアが評価エリアEVAを形成する。また、信号処理回路22は、上述した処理に加えて、生画像データを簡易的にRGBデータに変換する簡易RGB変換処理を実行する。
【0030】
AE/AF評価回路24は、信号処理回路22によって生成されたRGBデータのうち評価エリアEVAに属するRGBデータを、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に積分する。これによって、256個の積分値つまり256個のAE評価値が、垂直同期信号Vsyncに応答してAE/AF評価回路24から出力される。AE/AF評価回路24はまた、信号処理回路22によって生成されたRGBデータのうち評価エリアEVAに属するRGBデータの高周波成分を、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に積分する。これによって、256個の積分値つまり256個のAF評価値が、垂直同期信号Vsyncに応答してAE/AF評価回路24から出力される。
【0031】
撮像タスクと並列して実行されるAE・AF制御タスクの下で、CPU26は、AF処理の対象を主要被写体とする。主要被写体は、顔検出処理等によって発見された人物や動物の顔であってもよいし、他の物体であってもよい。
【0032】
CPU26は次に、AE/AF評価回路24からの出力に基づく厳格全域AF処理を、AE・AF制御タスクの下で主要被写体を対象に実行する。厳格全域AF処理ではフォーカスレンズ14の可動域の全域において山登り方式で合焦点が探索され、フォーカスレンズ14は発見された合焦点に設定される。これによって、主要被写体の鮮鋭度が向上する。
【0033】
厳格全域AF処理が完了すると、CPU26は、AE/AF評価回路24からの出力に基づくAE処理を、AE・AF制御タスクの下で実行する。AE処理では、最適EV値が算出され、算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間がドライバ20cおよび20dにそれぞれ設定される。これによって、スルー画像の明るさが最適値に調整される。
【0034】
CPU26はまた、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に、AE/AF評価回路24からの出力に基づく近傍AF処理を、AE・AF制御タスクの下で主要被写体を対象に実行する。近傍AF処理では、フォーカスレンズ14の現時点の位置の近傍において山登り方式で合焦点が探索され、フォーカスレンズ14は発見された合焦点に設定される。これによって、主要被写体の鮮鋭度が向上する。なお、近傍AF処理によって合焦点が発見されなかったときは、厳格全域AF処理が実行される。
【0035】
また、撮像タスクと並列して実行される方向管理タスクの下で、CPU26は、ジャイロセンサ48の出力に基づいて、撮像方向つまりディジタルビデオカメラ10の傾きを管理する。ジャイロセンサ48は、ディジタルビデオカメラ10に動きが発生したか否かを検知し、動きの発生が検知されると検知された動きを表す動きベクトルを出力する。
【0036】
ジャイロセンサ48から出力された動きベクトルは、CPU26によって取り込まれる。CPU26は、取り込まれた動きベクトルに基づいてディジタルビデオカメラ10の水平方向および垂直方向の各々の傾きの変化量を算出し、算出された傾きの変化量は図4に示す方向管理レジスタRGSTdに累積される。
【0037】
このようにして方向管理レジスタRGSTdに累積された水平方向の傾きおよび垂直方向の傾きはそれぞれ“パン角度”および“チルト角度”とされ、これらの組み合わせによってディジタルビデオカメラ10の現時点の撮像方向が表される。
【0038】
撮像タスクが起動されるとCPU26はまた、ズーム機能を手動モードに設定する。ズーム機能が手動モードに設定された場合、CPU26は、キー入力装置28によってズーム操作が行われたとき、ズームレンズ12の移動をドライバ20aに命令する。この結果、ズームレンズ12が光軸方向に移動し、ズーム倍率が変化する。
【0039】
撮像タスクにおいては、ディジタルビデオカメラ10の撮像方向およびズーム倍率の組み合わせが、以下の要領であらかじめ2つ登録される。
【0040】
ディジタルビデオカメラ10の操作者は、ディジタルビデオカメラ10の筐体を動かすことによって撮像方向を変更し、キー入力装置28の操作によってズーム倍率を変更する。このようにして撮像方向およびズーム倍率を調整しつつ、操作者はキー入力装置28を通じて登録操作を行う。
【0041】
キー入力装置28によって第1回目の登録操作が行われたとき、CPU26は、現時点のパン角度およびチルト角度を、方向管理レジスタRGSTdから読み出す。CPU26はまた、現時点のズーム倍率をドライバ20aから取得する。このようにして得られたパン角度,チルト角度,およびズーム倍率は、図5に示すズーム倍率登録レジスタRGSTzの第1番目のカラムに登録される。
【0042】
図6を参照して、4枚の絵画PIC1〜PIC4が壁に飾られている室内において、操作者は、例えば図7(A)の画角ANG1に示すように、絵画PIC1およびPIC2がスルー画像の画角内に収まるように、撮像方向およびズーム倍率を調整する。
【0043】
図8は、ディジタルビデオカメラ10の撮像方向と絵画PIC1およびPIC2との水平方向の位置関係を示す図解図である。図8を参照して、スルー画像が画角ANG1を示すとき、ディジタルビデオカメラ10の撮像方向は、光軸AX1によって示される。また、ズーム倍率は、絵画PIC1およびPIC2が収まるように調整される。
【0044】
このような画角ANG1をスルー画像が示すときに第1回目の登録操作が行われると、光軸AX1を定めるパン角度およびチルト角度が、ズーム倍率登録レジスタRGSTzの第1番目のカラムに登録される。また、画角ANG1が示すズーム倍率も、ズーム倍率登録レジスタRGSTzの第1番目のカラムに登録される。
【0045】
第2回目の登録操作が行われたときも第1回目と同様に、CPU26は、現時点のパン角度およびチルト角度を、方向管理レジスタRGSTdから読み出す。CPU26はまた、現時点のズーム倍率をドライバ20aから取得する。このようにして得られたパン角度,チルト角度,およびズーム倍率は、ズーム倍率登録レジスタRGSTzの第2番目のカラムに登録される。
【0046】
操作者は、第1回目の登録操作を行った後、例えば図7(C)の画角ANG2に示すように、絵画PIC1がスルー画像の画角いっぱいに収まるように、撮像方向およびズーム倍率を調整する。
【0047】
図8を参照して、スルー画像が画角ANG2を示すとき、ディジタルビデオカメラ10の撮像方向は、光軸AX2によって示される。また、ズーム倍率は、絵画PIC1がスルー画像の画角いっぱいに収まるように、調整される。
【0048】
このような画角ANG2をスルー画像が示すときに第2回目の登録操作が行われると、光軸AX2を定めるパン角度およびチルト角度がズーム倍率登録レジスタRGSTzの第2番目のカラムに登録される。また、画角ANG2が示すズーム倍率も、ズーム倍率登録レジスタRGSTzの第2番目のカラムに登録される。
【0049】
第2回目の登録処理が完了すると、CPU26は、ズーム倍率登録レジスタRGSTzを参照して、第1回目および第2回目の登録パン角度の差分ΔPを算出する。CPU26はまた、第1回目および第2回目の登録チルト角度の差分ΔTを算出する。なお、図8の例における登録パン角度の差分ΔPは、図9を参照して、光軸AX1およびAX2によって構成される角度を示す。
【0050】
CPU26は次に、ズーム機能を自動モードに設定する。ズーム機能が自動モードに設定された場合、キー入力装置28によるズーム操作が行われなくても、CPU26の制御によってズームレンズ12が光軸方向に移動し、ズーム倍率が自動的に変化する。
【0051】
ズーム機能が自動モードに設定された後、キー入力装置28に設けられた記録ボタン28recによって記録開始操作が行われると、CPU26は、I/F40に記録処理の開始を命令する。I/F40は、記録媒体42に動画ファイルを新規に作成し、SDRAM32に格納された画像データをメモリ制御回路30を通してSDRAM32から繰り返し読み出し、そして読み出された画像データを作成された動画ファイルに書き込む。記録ボタン28recによって記録終了操作が行われると、CPU26は、I/F40に記録処理の終了を命令する。I/F40は、SDRAM32からの画像データの読み出しを終了し、書き込み先の動画ファイルに終了処理を施す。
【0052】
第2回目の登録処理が完了すると、CPU26はまた、現時点のパン角度およびチルト角度を、方向管理レジスタRGSTdから繰り返し読み出す。ズーム倍率登録レジスタRGSTzに登録された2つのパン角度およびチルト角度からそれぞれ定まる2つの方向の間に、読み出されたパン角度およびチルト角度から定まる現時点の撮像方向が位置するとき、CPU26は自動のズーム処理を実行する。
【0053】
また、上述の2つの方向の間の周囲の既定の範囲内、例えば図10を参照して、パン方向およびチルト方向の各々にプラスマイナス10度の範囲(ハッチングで示す範囲)内に現時点の撮像方向が位置するときにも、自動のズーム処理を実行させるようにしてもよい。
【0054】
自動のズーム処理において設定されるズーム倍率は、ズーム倍率算出処理の実行によって算出される。登録パン角度の差分ΔPおよび登録チルト角度の差分ΔTの比較の結果、登録パン角度の差分ΔPの方が大きい場合は、ズーム倍率算出処理において、登録パン角度の差分ΔPに基づいてズーム倍率が算出される。一方、登録チルト角度の差分ΔTの方が大きい場合は、ズーム倍率算出処理において、登録チルト角度の差分ΔTに基づいてズーム倍率が算出される。
【0055】
登録パン角度の差分ΔPに基づくズーム倍率Z_Pxは、以下の数1に示す式で求めることができる。
[数1]
Z_Px=Z1+(Z2−Z1)×(Px−P1)/ΔP
Z1:第1回目の登録ズーム倍率
Z2:第2回目の登録ズーム倍率
Px:現時点のパン角度
P1:第1回目の登録パン角度
【0056】
登録チルト角度の差分ΔTに基づくズーム倍率Z_Txは、以下の数2に示す式で求めることができる。
[数2]
Z_Tx=Z1+(Z2−Z1)×(Tx−T1)/ΔT
Tx:現時点のチルト角度
T1:第1回目の登録チルト角度
【0057】
このようにして算出されたズーム倍率Z_PxまたはZ_Txに基づいて、CPU26は、ズームレンズ12の移動をドライバ20aに命令する。この結果、ズームレンズ12が光軸方向に移動し、ズーム倍率が自動的に変化する。
【0058】
したがって、図10を参照して、ディジタルビデオカメラ10の光軸がパン方向の傾きによってハッチングで示す範囲内に入ったときに、自動のズーム処理の実行が開始される。さらに、パン方向の傾きによって撮像方向が光軸AX1と一致したとき、ズーム倍率Z_Px=Z1となるので、自動のズーム処理の実行によって、スルー画像または記録画像の画角が図7(A)の画角ANG1と一致する。
【0059】
ディジタルビデオカメラ10がパン方向に継続して傾けられた結果、撮像方向が光軸AXxと一致したとき、自動のズーム処理が実行されると、スルー画像または記録画像の画角は図8に示す画角ANGxと同一の範囲を占める。図8に示す例によると、画角ANGxには絵画PIC1と絵画PIC2の一部が含まれる。したがって、スルー画像または記録画像の画角は図7(B)の画角ANGxと一致する。
【0060】
さらに、ディジタルビデオカメラ10がパン方向に継続して傾けられた結果、撮像方向が光軸AX2と一致したとき、ズーム倍率Z_Px=Z2となるので、自動のズーム処理の実行によって、スルー画像または記録画像の画角が図7(C)の画角ANG2と一致する。
【0061】
CPU26は、図11〜13に示す撮像タスク,図14に示すAE・AF制御タスク,および図15に示す方向管理タスクを含む複数のタスクを並列的に実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ44に記憶される。
【0062】
図11を参照して、ステップS1では動画取り込み処理を実行する。この結果、シーンを表すスルー画像がLCDモニタ38に表示される。ステップS3ではAE・AF制御タスクを起動し、ステップS5では方向管理タスクを起動する。
【0063】
ステップS7ではズーム機能を手動モードに設定する。ステップS9では第1登録操作が行われたか否かを繰り返し判別し、判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS11で現時点のパン角度およびチルト角度を方向管理レジスタRGSTdから読み出す。
【0064】
ステップS13では、現時点のズーム倍率をドライバ20aから取得する。このようにして得られたパン角度,チルト角度,およびズーム倍率を、ステップS15でズーム倍率登録レジスタRGSTzの第1番目のカラムに登録する。
【0065】
ステップS17では第2登録操作が行われたか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS21に進む一方、判別結果がNOであればキャンセル操作が行われたか否かをステップS19で判別する。ステップS19の判別結果がNOであればステップS17に戻る一方、ステップS19の判別結果がYESであればステップS9に戻る。
【0066】
ステップS21では、現時点のパン角度およびチルト角度を方向管理レジスタRGSTdから読み出す。ステップS23では、現時点のズーム倍率をドライバ20aから取得する。このようにして得られたパン角度,チルト角度,およびズーム倍率を、ステップS25でズーム倍率登録レジスタRGSTzの第2番目のカラムに登録する。
【0067】
ズーム倍率登録レジスタRGSTzを参照して、ステップS27では第1回目および第2回目の登録パン角度の差分ΔPを算出し、ステップS29では第1回目および第2回目の登録チルト角度の差分ΔTを算出する。
【0068】
ステップS31では、登録パン角度の差分ΔPが登録チルト角度の差分ΔT以上であるか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS33の処理を経てステップS37に進む一方、判別結果がNOであればステップS35の処理を経てステップS37に進む。
【0069】
ステップS33では、登録パン角度の差分ΔPが登録チルト角度の差分ΔT以上であることを表明するべくフラグFLG_tを“0”に設定する。ステップS35では、登録チルト角度の差分ΔTが登録パン角度の差分ΔPよりも大きいことを表明するべくフラグFLG_tを“1”に設定する。
【0070】
ステップS37ではズーム機能を自動モードに設定する。ステップS39では記録開始操作が行われたか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS47に進む一方、判別結果がNOであればステップS41に進む。
【0071】
ステップS41では記録終了操作が行われたか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS49に進む一方、判別結果がNOであればステップS43に進む。ステップS43ではキャンセル操作が行われたか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS51に進む一方、判別結果がYESであればステップS45でズーム機能を手動モードに設定する。ステップS45の処理が完了すると、ステップS9に戻る。
【0072】
ステップS47ではI/F40に記録処理の開始を命令する。I/F40は、記録媒体42に動画ファイルを新規に作成し、SDRAM32に格納された画像データをメモリ制御回路30を通してSDRAM32から繰り返し読み出し、そして読み出された画像データを作成された動画ファイルに書き込む。
【0073】
ステップS49ではI/F40に記録処理の終了を命令する。I/F40は、SDRAM32からの画像データの読み出しを終了し、書き込み先の動画ファイルに終了処理を施す。ステップS47またはS49の処理が完了すると、ステップS51に進む。
【0074】
ステップS51では、現時点のパン角度およびチルト角度を方向管理レジスタRGSTdから読み出す。読み出されたパン角度およびチルト角度から定まる現時点の撮像方向が、ズーム倍率登録レジスタRGSTzに登録された2つのパン角度およびチルト角度からそれぞれ定まる2つの方向の間または既定の範囲内に含まれるか否かを、ステップS53で判別する。
【0075】
判別結果がNOであればステップS39に戻る一方、判別結果がYESであればステップS55およびS57の処理を経てステップS39に戻る。
【0076】
ステップS55ではズーム倍率算出処理を実行し、算出されたズーム倍率Z_PxまたはZ_Txに基づいて、ステップS57でズームレンズ12の移動をドライバ20aに命令する。この結果、ズームレンズ12が光軸方向に移動し、ズーム倍率が自動的に変化する。
【0077】
図14を参照して、ステップS61ではAF処理の対象を主要被写体とする。ステップS63では厳格全域AF処理を主要被写体を対象に実行する。厳格全域AF処理ではフォーカスレンズ14の可動域全域において山登り方式で合焦点が探索され、フォーカスレンズ14は発見された合焦点に設定される。これによって、主要被写体の鮮鋭度が向上する。
【0078】
ステップS65ではAE処理を実行する。AE処理では、最適EV値が算出され、算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間がドライバ20cおよび20dにそれぞれ設定される。これによって、スルー画像の明るさが最適値に調整される。
【0079】
ステップS67では垂直同期信号Vsyncが発生したか否かを繰り返し判別し、判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS69で近傍AF処理を主要被写体を対象に実行する。近傍AF処理では、フォーカスレンズ14の現時点の位置の近傍において山登り方式で合焦点が探索され、フォーカスレンズ14は発見された合焦点に設定される。これによって、主要被写体の鮮鋭度が向上する。
【0080】
ステップS71では、ステップS69の近接AF処理が成功したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS63に戻り、判別結果がYESであればステップS65に戻る。
【0081】
図15を参照して、ステップS81では、方向管理レジスタRGSTdを初期化すべく登録内容をクリアする。
【0082】
ステップS83では動きベクトルが発生したか否かを繰り返し判別し、判別結果がNOからYESに更新されると、動きベクトルに基づく水平方向および垂直方向の各々の傾きの変化量を用いて、ステップS85で方向管理レジスタRGSTdの登録内容を更新する。ステップS85の処理が完了するとステップS83に戻る。
【0083】
ステップS55のズーム倍率算出処理は、図16に示すサブルーチンに従って実行される。ステップS91では、フラグFLG_tが“0”に設定されているか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS93に進み、判別結果がNOであればステップS95に進む。
【0084】
ステップS93では登録パン角度の差分ΔPに基づいてズーム倍率Z_Pxを算出し、ステップS95では登録チルト角度の差分ΔTに基づいてズーム倍率Z_Txを算出する。ステップS93またはS95の処理が完了すると、上階層のルーチンに復帰する。
【0085】
以上の説明から分かるように、イメージセンサ18は、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する。CPU26は、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録し、撮像面の方向を繰り返し検出する。CPU26はまた、検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する。
【0086】
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件が登録される。また、撮像面の方向が繰り返し検出され、検出された撮像面の方向に対応する撮像条件は、登録された複数の撮像条件とこれらがそれぞれ対応する複数の撮像方向とに基づいて調整される。したがって、カメラの向きを変更することによって撮像条件を調整することができ、撮像条件を適応的に調整することができる。
【0087】
なお、この実施例では、記録開始操作が行われることによって、記録処理が開始されるようにした。しかし、現時点の撮像方向が既定の範囲内に含まれることによって自動のズーム処理が開始されるときに、記録処理も自動的に開始されるようにしてもよい。
【0088】
また、この実施例では、マルチタスクOSおよびこれによって実行される複数のタスクに相当する制御プログラムは、フラッシュメモリ44に予め記憶される。しかし、外部サーバに接続するための通信I/F50を図17に示す要領でディジタルビデオカメラ10に設け、一部の制御プログラムを内部制御プログラムとしてフラッシュメモリ44に当初から準備する一方、他の一部の制御プログラムを外部制御プログラムとして外部サーバから取得するようにしてもよい。この場合、上述の動作は、内部制御プログラムおよび外部制御プログラムの協働によって実現される。
【0089】
また、この実施例では、CPU26によって実行される処理を、図11〜図16にそれぞれ示す撮像タスク,AE・AF制御タスク,および方向管理タスクを含む複数のタスクに区分するようにしている。しかし、これらのタスクをさらに複数の小タスクに区分してもよく、さらには区分された複数の小タスクの一部を他のタスクに統合するようにしてもよい。また、転送タスクを複数の小タスクに区分する場合、その全部または一部を外部サーバから取得するようにしてもよい。
【0090】
また、この実施例では、ディジタルビデオカメラを用いて説明したが、本発明は、ディジタルスチルカメラ,携帯電話端末またはスマートフォンなどにも適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
10 …ディジタルカメラ
12 …ズームレンズ
18 …イメージセンサ
26 …CPU
28 …キー入力装置
38 …LCDモニタ
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カメラに関し、特に登録された調整基準に基づいて撮像条件を調整する、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカメラの一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、雲台のパンニング角、チルティング角が操作者によって決められ、フォーカス操作装置によって被写体にフォーカスが合わせられ、ズーム操作手段によって画角が決定される。雲台のパンニング角検出器およびチルティング角検出器の角度情報とテレビレンズのズームおよびフォーカスの位置情報とが、制御手段によって、ズーム操作手段の指令に基づいて記憶手段に記憶され、プリセット状態にされる。
【0003】
操作者によってプリセット位置から所定範囲内にパンニング角、チルティング角が設定されると、ズーム、フォーカス位置が自動的に再現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−326982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、背景技術では、あらかじめ記憶手段に記憶されたプリセット値以外の値にズームやフォーカス等の撮像条件を調整することができない。したがって、調整された撮像条件が画一的なものとなる恐れがある。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、撮像条件を適応的に調整することができる、電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従う電子カメラ(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段(16)、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録手段(S9~S25)、撮像面の方向を繰り返し検出する検出手段(48, S51, S83, S85)、および検出手段によって検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録手段によって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整手段(S53~S57)を備える。
【0008】
好ましくは、調整手段は、複数の撮像方向の一部と検出手段によって検出された方向との差分に基づいて調整パラメータ値を算出する算出手段(S55)、および算出手段によって算出された調整パラメータ値に従って撮像手段の撮像条件を調整する調整実行手段(S57)を含む。
【0009】
さらに好ましくは、撮像条件はズーム倍率に相当する。
【0010】
好ましくは、算出手段によって注目される撮像方向と検出手段によって検出された方向との水平方向の差分をパン角度として算出するパン角度算出手段(S27)、および算出手段によって注目される撮像方向と検出手段によって検出された方向との垂直方向の差分をチルト角度として算出するチルト角度算出手段(S29)をさらに備え、算出手段はパン角度算出手段によって算出されたパン角度および/またはチルト角度算出手段によって算出されたチルト角度に基づいて調整パラメータ値算出処理(S91~S95)を実行する。
【0011】
さらに好ましくは、調整パラメータ値算出処理は、パン角度算出手段によって算出されたパン角度がチルト角度算出手段によって算出されたチルト角度よりも大きいときパン角度算出手段によって算出されたパン角度に基づいて調整パラメータ値を算出する第1算出処理(S93)、およびチルト角度算出手段によって算出されたチルト角度がパン角度算出手段によって算出されたパン角度よりも大きいときチルト角度算出手段によって算出されたチルト角度に基づいて調整パラメータ値を算出する第2算出処理(S95)を含む。
【0012】
好ましくは、検出手段は、動きの発生に対応して動きベクトルを出力する出力手段(48)、および出力手段から出力された動きベクトルに基づいて撮像面の方向を検出する方向検出手段(S51, S83, S85)を含む。
【0013】
この発明に従う撮像制御プログラムは、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段(16)を備える電子カメラ(10)のプロセッサ(26)に、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ(S9~S25)、撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ(48, S51, S83, S85)、および検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップ(S53~S57)を実行させるための、撮像制御プログラムである。
【0014】
この発明に従う撮像制御方法は、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段(16)を備える電子カメラ(10)によって実行される撮像制御方法であって、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ(S9~S25)、撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ(48, S51, S83, S85)、および検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップ(S53~S57)を備える。
【0015】
この発明に従う外部制御プログラムは、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段(16)、およびメモリ(44)に保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサ(26)を備える電子カメラ(10)に供給される外部制御プログラムであって、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ(S9~S25)、撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ(48, S51, S83, S85)、および検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップ(S53~S57)を内部制御プログラムと協働してプロセッサに実行させるための、外部制御プログラムである。
【0016】
この発明に従う電子カメラ(10)は、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段(16)、外部制御プログラムを受信する受信手段(50)、および受信手段によって受信された外部制御プログラムとメモリ(44)に保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサ(26)を備える電子カメラ(10)であって、外部制御プログラムは、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ(S9~S25)、
【0017】
撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ(48, S51, S83, S85)、および
【0018】
検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップ(S53~S57)を内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する。
【発明の効果】
【0019】
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件が登録される。また、撮像面の方向が繰り返し検出され、検出された撮像面の方向に対応する撮像条件は、登録された複数の撮像条件とこれらがそれぞれ対応する複数の撮像方向とに基づいて調整される。したがって、カメラの向きを変更することによって撮像条件を調整することができ、撮像条件を適応的に調整することができる。
【0020】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】撮像面における評価エリアの割り当て状態の一例を示す図解図である。
【図4】撮像タスクおよび方向管理タスクにおいて参照されるレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図5】撮像タスクにおいて参照されるレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図6】図2実施例の撮像面において捉えられたシーンの全体の一例を示す図解図である。
【図7】(A)は図2実施例の撮像面において捉えられた画角の一例を示す図解図であり、(B)は図2実施例の撮像面において捉えられた画角の他の一例を示す図解図であり、(C)は図2実施例の撮像面において捉えられた画角のその他の一例を示す図解図である。
【図8】ズーム倍率算出処理の一部を示す図解図である。
【図9】ズーム倍率算出処理の他の一部を示す図解図である。
【図10】ズーム倍率算出処理のその他の一部を示す図解図である。
【図11】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図12】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図13】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図14】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図15】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図16】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図17】この発明の他の実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0023】
図1を参照して、この実施例の電子カメラは、基本的に次のように構成される。撮像手段1は、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する。登録手段2は、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する。検出手段3は、撮像面の方向を繰り返し検出する。調整手段4は、検出手段3によって検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録手段2によって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する。
【0024】
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件が登録される。また、撮像面の方向が繰り返し検出され、検出された撮像面の方向に対応する撮像条件は、登録された複数の撮像条件とこれらがそれぞれ対応する複数の撮像方向とに基づいて調整される。したがって、カメラの向きを変更することによって撮像条件を調整することができ、撮像条件を適応的に調整することができる。
[実施例]
【0025】
図2を参照して、この実施例のディジタルビデオカメラ10は、ドライバ20a,20bおよび20cによってそれぞれ駆動されるズームレンズ12,フォーカスレンズ14および絞りユニット16を含む。被写界の光学像は、これらの部材を通してイメージセンサ18の撮像面に照射され、光電変換を施される。
【0026】
撮像タスクが起動されるとCPU26は、動画取り込み処理を実行するべく、撮像タスクの下で露光動作および電荷読み出し動作の繰り返しをドライバ20dに命令する。ドライバ20dは、図示しないSG(Signal Generator)から周期的に発生する垂直同期信号Vsyncに応答して、撮像面を露光し、かつ撮像面で生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。イメージセンサ18からは、読み出された電荷に基づく生画像データが周期的に出力される。
【0027】
信号処理回路22は、イメージセンサ18から出力された生画像データにディジタルクランプ,画素欠陥補正,ゲイン制御,色分離処理,白バランス調整処理,YUV変換処理などの処理を施し、YUV形式に従う画像データを作成する。画像データは、メモリ制御回路30を通してSDRAM32に書き込まれる。
【0028】
LCDドライバ36は、SDRAM32に格納された画像データをメモリ制御回路30を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ38を駆動する。この結果、シーンを示すリアルタイム動画像(スルー画像)がLCDモニタ38に表示される。
【0029】
図3を参照して、撮像面の中央には評価エリアEVAが割り当てられる。評価エリアEVAは水平方向および垂直方向の各々において16分割され、256個の分割エリアが評価エリアEVAを形成する。また、信号処理回路22は、上述した処理に加えて、生画像データを簡易的にRGBデータに変換する簡易RGB変換処理を実行する。
【0030】
AE/AF評価回路24は、信号処理回路22によって生成されたRGBデータのうち評価エリアEVAに属するRGBデータを、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に積分する。これによって、256個の積分値つまり256個のAE評価値が、垂直同期信号Vsyncに応答してAE/AF評価回路24から出力される。AE/AF評価回路24はまた、信号処理回路22によって生成されたRGBデータのうち評価エリアEVAに属するRGBデータの高周波成分を、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に積分する。これによって、256個の積分値つまり256個のAF評価値が、垂直同期信号Vsyncに応答してAE/AF評価回路24から出力される。
【0031】
撮像タスクと並列して実行されるAE・AF制御タスクの下で、CPU26は、AF処理の対象を主要被写体とする。主要被写体は、顔検出処理等によって発見された人物や動物の顔であってもよいし、他の物体であってもよい。
【0032】
CPU26は次に、AE/AF評価回路24からの出力に基づく厳格全域AF処理を、AE・AF制御タスクの下で主要被写体を対象に実行する。厳格全域AF処理ではフォーカスレンズ14の可動域の全域において山登り方式で合焦点が探索され、フォーカスレンズ14は発見された合焦点に設定される。これによって、主要被写体の鮮鋭度が向上する。
【0033】
厳格全域AF処理が完了すると、CPU26は、AE/AF評価回路24からの出力に基づくAE処理を、AE・AF制御タスクの下で実行する。AE処理では、最適EV値が算出され、算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間がドライバ20cおよび20dにそれぞれ設定される。これによって、スルー画像の明るさが最適値に調整される。
【0034】
CPU26はまた、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に、AE/AF評価回路24からの出力に基づく近傍AF処理を、AE・AF制御タスクの下で主要被写体を対象に実行する。近傍AF処理では、フォーカスレンズ14の現時点の位置の近傍において山登り方式で合焦点が探索され、フォーカスレンズ14は発見された合焦点に設定される。これによって、主要被写体の鮮鋭度が向上する。なお、近傍AF処理によって合焦点が発見されなかったときは、厳格全域AF処理が実行される。
【0035】
また、撮像タスクと並列して実行される方向管理タスクの下で、CPU26は、ジャイロセンサ48の出力に基づいて、撮像方向つまりディジタルビデオカメラ10の傾きを管理する。ジャイロセンサ48は、ディジタルビデオカメラ10に動きが発生したか否かを検知し、動きの発生が検知されると検知された動きを表す動きベクトルを出力する。
【0036】
ジャイロセンサ48から出力された動きベクトルは、CPU26によって取り込まれる。CPU26は、取り込まれた動きベクトルに基づいてディジタルビデオカメラ10の水平方向および垂直方向の各々の傾きの変化量を算出し、算出された傾きの変化量は図4に示す方向管理レジスタRGSTdに累積される。
【0037】
このようにして方向管理レジスタRGSTdに累積された水平方向の傾きおよび垂直方向の傾きはそれぞれ“パン角度”および“チルト角度”とされ、これらの組み合わせによってディジタルビデオカメラ10の現時点の撮像方向が表される。
【0038】
撮像タスクが起動されるとCPU26はまた、ズーム機能を手動モードに設定する。ズーム機能が手動モードに設定された場合、CPU26は、キー入力装置28によってズーム操作が行われたとき、ズームレンズ12の移動をドライバ20aに命令する。この結果、ズームレンズ12が光軸方向に移動し、ズーム倍率が変化する。
【0039】
撮像タスクにおいては、ディジタルビデオカメラ10の撮像方向およびズーム倍率の組み合わせが、以下の要領であらかじめ2つ登録される。
【0040】
ディジタルビデオカメラ10の操作者は、ディジタルビデオカメラ10の筐体を動かすことによって撮像方向を変更し、キー入力装置28の操作によってズーム倍率を変更する。このようにして撮像方向およびズーム倍率を調整しつつ、操作者はキー入力装置28を通じて登録操作を行う。
【0041】
キー入力装置28によって第1回目の登録操作が行われたとき、CPU26は、現時点のパン角度およびチルト角度を、方向管理レジスタRGSTdから読み出す。CPU26はまた、現時点のズーム倍率をドライバ20aから取得する。このようにして得られたパン角度,チルト角度,およびズーム倍率は、図5に示すズーム倍率登録レジスタRGSTzの第1番目のカラムに登録される。
【0042】
図6を参照して、4枚の絵画PIC1〜PIC4が壁に飾られている室内において、操作者は、例えば図7(A)の画角ANG1に示すように、絵画PIC1およびPIC2がスルー画像の画角内に収まるように、撮像方向およびズーム倍率を調整する。
【0043】
図8は、ディジタルビデオカメラ10の撮像方向と絵画PIC1およびPIC2との水平方向の位置関係を示す図解図である。図8を参照して、スルー画像が画角ANG1を示すとき、ディジタルビデオカメラ10の撮像方向は、光軸AX1によって示される。また、ズーム倍率は、絵画PIC1およびPIC2が収まるように調整される。
【0044】
このような画角ANG1をスルー画像が示すときに第1回目の登録操作が行われると、光軸AX1を定めるパン角度およびチルト角度が、ズーム倍率登録レジスタRGSTzの第1番目のカラムに登録される。また、画角ANG1が示すズーム倍率も、ズーム倍率登録レジスタRGSTzの第1番目のカラムに登録される。
【0045】
第2回目の登録操作が行われたときも第1回目と同様に、CPU26は、現時点のパン角度およびチルト角度を、方向管理レジスタRGSTdから読み出す。CPU26はまた、現時点のズーム倍率をドライバ20aから取得する。このようにして得られたパン角度,チルト角度,およびズーム倍率は、ズーム倍率登録レジスタRGSTzの第2番目のカラムに登録される。
【0046】
操作者は、第1回目の登録操作を行った後、例えば図7(C)の画角ANG2に示すように、絵画PIC1がスルー画像の画角いっぱいに収まるように、撮像方向およびズーム倍率を調整する。
【0047】
図8を参照して、スルー画像が画角ANG2を示すとき、ディジタルビデオカメラ10の撮像方向は、光軸AX2によって示される。また、ズーム倍率は、絵画PIC1がスルー画像の画角いっぱいに収まるように、調整される。
【0048】
このような画角ANG2をスルー画像が示すときに第2回目の登録操作が行われると、光軸AX2を定めるパン角度およびチルト角度がズーム倍率登録レジスタRGSTzの第2番目のカラムに登録される。また、画角ANG2が示すズーム倍率も、ズーム倍率登録レジスタRGSTzの第2番目のカラムに登録される。
【0049】
第2回目の登録処理が完了すると、CPU26は、ズーム倍率登録レジスタRGSTzを参照して、第1回目および第2回目の登録パン角度の差分ΔPを算出する。CPU26はまた、第1回目および第2回目の登録チルト角度の差分ΔTを算出する。なお、図8の例における登録パン角度の差分ΔPは、図9を参照して、光軸AX1およびAX2によって構成される角度を示す。
【0050】
CPU26は次に、ズーム機能を自動モードに設定する。ズーム機能が自動モードに設定された場合、キー入力装置28によるズーム操作が行われなくても、CPU26の制御によってズームレンズ12が光軸方向に移動し、ズーム倍率が自動的に変化する。
【0051】
ズーム機能が自動モードに設定された後、キー入力装置28に設けられた記録ボタン28recによって記録開始操作が行われると、CPU26は、I/F40に記録処理の開始を命令する。I/F40は、記録媒体42に動画ファイルを新規に作成し、SDRAM32に格納された画像データをメモリ制御回路30を通してSDRAM32から繰り返し読み出し、そして読み出された画像データを作成された動画ファイルに書き込む。記録ボタン28recによって記録終了操作が行われると、CPU26は、I/F40に記録処理の終了を命令する。I/F40は、SDRAM32からの画像データの読み出しを終了し、書き込み先の動画ファイルに終了処理を施す。
【0052】
第2回目の登録処理が完了すると、CPU26はまた、現時点のパン角度およびチルト角度を、方向管理レジスタRGSTdから繰り返し読み出す。ズーム倍率登録レジスタRGSTzに登録された2つのパン角度およびチルト角度からそれぞれ定まる2つの方向の間に、読み出されたパン角度およびチルト角度から定まる現時点の撮像方向が位置するとき、CPU26は自動のズーム処理を実行する。
【0053】
また、上述の2つの方向の間の周囲の既定の範囲内、例えば図10を参照して、パン方向およびチルト方向の各々にプラスマイナス10度の範囲(ハッチングで示す範囲)内に現時点の撮像方向が位置するときにも、自動のズーム処理を実行させるようにしてもよい。
【0054】
自動のズーム処理において設定されるズーム倍率は、ズーム倍率算出処理の実行によって算出される。登録パン角度の差分ΔPおよび登録チルト角度の差分ΔTの比較の結果、登録パン角度の差分ΔPの方が大きい場合は、ズーム倍率算出処理において、登録パン角度の差分ΔPに基づいてズーム倍率が算出される。一方、登録チルト角度の差分ΔTの方が大きい場合は、ズーム倍率算出処理において、登録チルト角度の差分ΔTに基づいてズーム倍率が算出される。
【0055】
登録パン角度の差分ΔPに基づくズーム倍率Z_Pxは、以下の数1に示す式で求めることができる。
[数1]
Z_Px=Z1+(Z2−Z1)×(Px−P1)/ΔP
Z1:第1回目の登録ズーム倍率
Z2:第2回目の登録ズーム倍率
Px:現時点のパン角度
P1:第1回目の登録パン角度
【0056】
登録チルト角度の差分ΔTに基づくズーム倍率Z_Txは、以下の数2に示す式で求めることができる。
[数2]
Z_Tx=Z1+(Z2−Z1)×(Tx−T1)/ΔT
Tx:現時点のチルト角度
T1:第1回目の登録チルト角度
【0057】
このようにして算出されたズーム倍率Z_PxまたはZ_Txに基づいて、CPU26は、ズームレンズ12の移動をドライバ20aに命令する。この結果、ズームレンズ12が光軸方向に移動し、ズーム倍率が自動的に変化する。
【0058】
したがって、図10を参照して、ディジタルビデオカメラ10の光軸がパン方向の傾きによってハッチングで示す範囲内に入ったときに、自動のズーム処理の実行が開始される。さらに、パン方向の傾きによって撮像方向が光軸AX1と一致したとき、ズーム倍率Z_Px=Z1となるので、自動のズーム処理の実行によって、スルー画像または記録画像の画角が図7(A)の画角ANG1と一致する。
【0059】
ディジタルビデオカメラ10がパン方向に継続して傾けられた結果、撮像方向が光軸AXxと一致したとき、自動のズーム処理が実行されると、スルー画像または記録画像の画角は図8に示す画角ANGxと同一の範囲を占める。図8に示す例によると、画角ANGxには絵画PIC1と絵画PIC2の一部が含まれる。したがって、スルー画像または記録画像の画角は図7(B)の画角ANGxと一致する。
【0060】
さらに、ディジタルビデオカメラ10がパン方向に継続して傾けられた結果、撮像方向が光軸AX2と一致したとき、ズーム倍率Z_Px=Z2となるので、自動のズーム処理の実行によって、スルー画像または記録画像の画角が図7(C)の画角ANG2と一致する。
【0061】
CPU26は、図11〜13に示す撮像タスク,図14に示すAE・AF制御タスク,および図15に示す方向管理タスクを含む複数のタスクを並列的に実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ44に記憶される。
【0062】
図11を参照して、ステップS1では動画取り込み処理を実行する。この結果、シーンを表すスルー画像がLCDモニタ38に表示される。ステップS3ではAE・AF制御タスクを起動し、ステップS5では方向管理タスクを起動する。
【0063】
ステップS7ではズーム機能を手動モードに設定する。ステップS9では第1登録操作が行われたか否かを繰り返し判別し、判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS11で現時点のパン角度およびチルト角度を方向管理レジスタRGSTdから読み出す。
【0064】
ステップS13では、現時点のズーム倍率をドライバ20aから取得する。このようにして得られたパン角度,チルト角度,およびズーム倍率を、ステップS15でズーム倍率登録レジスタRGSTzの第1番目のカラムに登録する。
【0065】
ステップS17では第2登録操作が行われたか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS21に進む一方、判別結果がNOであればキャンセル操作が行われたか否かをステップS19で判別する。ステップS19の判別結果がNOであればステップS17に戻る一方、ステップS19の判別結果がYESであればステップS9に戻る。
【0066】
ステップS21では、現時点のパン角度およびチルト角度を方向管理レジスタRGSTdから読み出す。ステップS23では、現時点のズーム倍率をドライバ20aから取得する。このようにして得られたパン角度,チルト角度,およびズーム倍率を、ステップS25でズーム倍率登録レジスタRGSTzの第2番目のカラムに登録する。
【0067】
ズーム倍率登録レジスタRGSTzを参照して、ステップS27では第1回目および第2回目の登録パン角度の差分ΔPを算出し、ステップS29では第1回目および第2回目の登録チルト角度の差分ΔTを算出する。
【0068】
ステップS31では、登録パン角度の差分ΔPが登録チルト角度の差分ΔT以上であるか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS33の処理を経てステップS37に進む一方、判別結果がNOであればステップS35の処理を経てステップS37に進む。
【0069】
ステップS33では、登録パン角度の差分ΔPが登録チルト角度の差分ΔT以上であることを表明するべくフラグFLG_tを“0”に設定する。ステップS35では、登録チルト角度の差分ΔTが登録パン角度の差分ΔPよりも大きいことを表明するべくフラグFLG_tを“1”に設定する。
【0070】
ステップS37ではズーム機能を自動モードに設定する。ステップS39では記録開始操作が行われたか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS47に進む一方、判別結果がNOであればステップS41に進む。
【0071】
ステップS41では記録終了操作が行われたか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS49に進む一方、判別結果がNOであればステップS43に進む。ステップS43ではキャンセル操作が行われたか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS51に進む一方、判別結果がYESであればステップS45でズーム機能を手動モードに設定する。ステップS45の処理が完了すると、ステップS9に戻る。
【0072】
ステップS47ではI/F40に記録処理の開始を命令する。I/F40は、記録媒体42に動画ファイルを新規に作成し、SDRAM32に格納された画像データをメモリ制御回路30を通してSDRAM32から繰り返し読み出し、そして読み出された画像データを作成された動画ファイルに書き込む。
【0073】
ステップS49ではI/F40に記録処理の終了を命令する。I/F40は、SDRAM32からの画像データの読み出しを終了し、書き込み先の動画ファイルに終了処理を施す。ステップS47またはS49の処理が完了すると、ステップS51に進む。
【0074】
ステップS51では、現時点のパン角度およびチルト角度を方向管理レジスタRGSTdから読み出す。読み出されたパン角度およびチルト角度から定まる現時点の撮像方向が、ズーム倍率登録レジスタRGSTzに登録された2つのパン角度およびチルト角度からそれぞれ定まる2つの方向の間または既定の範囲内に含まれるか否かを、ステップS53で判別する。
【0075】
判別結果がNOであればステップS39に戻る一方、判別結果がYESであればステップS55およびS57の処理を経てステップS39に戻る。
【0076】
ステップS55ではズーム倍率算出処理を実行し、算出されたズーム倍率Z_PxまたはZ_Txに基づいて、ステップS57でズームレンズ12の移動をドライバ20aに命令する。この結果、ズームレンズ12が光軸方向に移動し、ズーム倍率が自動的に変化する。
【0077】
図14を参照して、ステップS61ではAF処理の対象を主要被写体とする。ステップS63では厳格全域AF処理を主要被写体を対象に実行する。厳格全域AF処理ではフォーカスレンズ14の可動域全域において山登り方式で合焦点が探索され、フォーカスレンズ14は発見された合焦点に設定される。これによって、主要被写体の鮮鋭度が向上する。
【0078】
ステップS65ではAE処理を実行する。AE処理では、最適EV値が算出され、算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間がドライバ20cおよび20dにそれぞれ設定される。これによって、スルー画像の明るさが最適値に調整される。
【0079】
ステップS67では垂直同期信号Vsyncが発生したか否かを繰り返し判別し、判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS69で近傍AF処理を主要被写体を対象に実行する。近傍AF処理では、フォーカスレンズ14の現時点の位置の近傍において山登り方式で合焦点が探索され、フォーカスレンズ14は発見された合焦点に設定される。これによって、主要被写体の鮮鋭度が向上する。
【0080】
ステップS71では、ステップS69の近接AF処理が成功したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS63に戻り、判別結果がYESであればステップS65に戻る。
【0081】
図15を参照して、ステップS81では、方向管理レジスタRGSTdを初期化すべく登録内容をクリアする。
【0082】
ステップS83では動きベクトルが発生したか否かを繰り返し判別し、判別結果がNOからYESに更新されると、動きベクトルに基づく水平方向および垂直方向の各々の傾きの変化量を用いて、ステップS85で方向管理レジスタRGSTdの登録内容を更新する。ステップS85の処理が完了するとステップS83に戻る。
【0083】
ステップS55のズーム倍率算出処理は、図16に示すサブルーチンに従って実行される。ステップS91では、フラグFLG_tが“0”に設定されているか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS93に進み、判別結果がNOであればステップS95に進む。
【0084】
ステップS93では登録パン角度の差分ΔPに基づいてズーム倍率Z_Pxを算出し、ステップS95では登録チルト角度の差分ΔTに基づいてズーム倍率Z_Txを算出する。ステップS93またはS95の処理が完了すると、上階層のルーチンに復帰する。
【0085】
以上の説明から分かるように、イメージセンサ18は、シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する。CPU26は、複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録し、撮像面の方向を繰り返し検出する。CPU26はまた、検出された方向に対応する撮像条件を複数の撮像方向と登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する。
【0086】
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件が登録される。また、撮像面の方向が繰り返し検出され、検出された撮像面の方向に対応する撮像条件は、登録された複数の撮像条件とこれらがそれぞれ対応する複数の撮像方向とに基づいて調整される。したがって、カメラの向きを変更することによって撮像条件を調整することができ、撮像条件を適応的に調整することができる。
【0087】
なお、この実施例では、記録開始操作が行われることによって、記録処理が開始されるようにした。しかし、現時点の撮像方向が既定の範囲内に含まれることによって自動のズーム処理が開始されるときに、記録処理も自動的に開始されるようにしてもよい。
【0088】
また、この実施例では、マルチタスクOSおよびこれによって実行される複数のタスクに相当する制御プログラムは、フラッシュメモリ44に予め記憶される。しかし、外部サーバに接続するための通信I/F50を図17に示す要領でディジタルビデオカメラ10に設け、一部の制御プログラムを内部制御プログラムとしてフラッシュメモリ44に当初から準備する一方、他の一部の制御プログラムを外部制御プログラムとして外部サーバから取得するようにしてもよい。この場合、上述の動作は、内部制御プログラムおよび外部制御プログラムの協働によって実現される。
【0089】
また、この実施例では、CPU26によって実行される処理を、図11〜図16にそれぞれ示す撮像タスク,AE・AF制御タスク,および方向管理タスクを含む複数のタスクに区分するようにしている。しかし、これらのタスクをさらに複数の小タスクに区分してもよく、さらには区分された複数の小タスクの一部を他のタスクに統合するようにしてもよい。また、転送タスクを複数の小タスクに区分する場合、その全部または一部を外部サーバから取得するようにしてもよい。
【0090】
また、この実施例では、ディジタルビデオカメラを用いて説明したが、本発明は、ディジタルスチルカメラ,携帯電話端末またはスマートフォンなどにも適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
10 …ディジタルカメラ
12 …ズームレンズ
18 …イメージセンサ
26 …CPU
28 …キー入力装置
38 …LCDモニタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段、
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録手段、
前記撮像面の方向を繰り返し検出する検出手段、および
前記検出手段によって検出された方向に対応する撮像条件を前記複数の撮像方向と前記登録手段によって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整手段を備える、電子カメラ。
【請求項2】
前記調整手段は、前記複数の撮像方向の一部と前記検出手段によって検出された方向との差分に基づいて調整パラメータ値を算出する算出手段、および前記算出手段によって算出された調整パラメータ値に従って前記撮像手段の撮像条件を調整する調整実行手段を含む、請求項1記載の電子カメラ。
【請求項3】
前記撮像条件はズーム倍率に相当する、請求項2記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記算出手段によって注目される撮像方向と前記検出手段によって検出された方向との水平方向の差分をパン角度として算出するパン角度算出手段、および
前記算出手段によって注目される撮像方向と前記検出手段によって検出された方向との垂直方向の差分をチルト角度として算出するチルト角度算出手段をさらに備え、
前記算出手段は前記パン角度算出手段によって算出されたパン角度および/または前記チルト角度算出手段によって算出されたチルト角度に基づいて調整パラメータ値算出処理を実行する、請求項2または3記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記調整パラメータ値算出処理は、前記パン角度算出手段によって算出されたパン角度が前記チルト角度算出手段によって算出されたチルト角度よりも大きいとき前記パン角度算出手段によって算出されたパン角度に基づいて前記調整パラメータ値を算出する第1算出処理、および前記チルト角度算出手段によって算出されたチルト角度が前記パン角度算出手段によって算出されたパン角度よりも大きいとき前記チルト角度算出手段によって算出されたチルト角度に基づいて前記調整パラメータ値を算出する第2算出処理を含む、請求項4記載の電子カメラ。
【請求項6】
前記検出手段は、動きの発生に対応して動きベクトルを出力する出力手段、および前記出力手段から出力された動きベクトルに基づいて前記撮像面の方向を検出する方向検出手段を含む、請求項1ないし5のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項7】
シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段を備える電子カメラのプロセッサに、
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ、
前記撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ、および
前記検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を前記複数の撮像方向と前記登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップを実行させるための、撮像制御プログラム。
【請求項8】
シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段を備える電子カメラによって実行される撮像制御方法であって、
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ、
前記撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ、および
前記検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を前記複数の撮像方向と前記登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップを備える、撮像制御方法。
【請求項9】
シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段、および
メモリに保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサを備える電子カメラに供給される外部制御プログラムであって、
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ、
前記撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ、および
前記検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を前記複数の撮像方向と前記登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップを前記内部制御プログラムと協働して前記プロセッサに実行させるための、外部制御プログラム。
【請求項10】
シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段、
外部制御プログラムを受信する受信手段、および
前記受信手段によって受信された外部制御プログラムとメモリに保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサを備える電子カメラであって、
前記外部制御プログラムは、
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ、
前記撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ、および
前記検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を前記複数の撮像方向と前記登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップを前記内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する、電子カメラ。
【請求項1】
シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段、
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録手段、
前記撮像面の方向を繰り返し検出する検出手段、および
前記検出手段によって検出された方向に対応する撮像条件を前記複数の撮像方向と前記登録手段によって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整手段を備える、電子カメラ。
【請求項2】
前記調整手段は、前記複数の撮像方向の一部と前記検出手段によって検出された方向との差分に基づいて調整パラメータ値を算出する算出手段、および前記算出手段によって算出された調整パラメータ値に従って前記撮像手段の撮像条件を調整する調整実行手段を含む、請求項1記載の電子カメラ。
【請求項3】
前記撮像条件はズーム倍率に相当する、請求項2記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記算出手段によって注目される撮像方向と前記検出手段によって検出された方向との水平方向の差分をパン角度として算出するパン角度算出手段、および
前記算出手段によって注目される撮像方向と前記検出手段によって検出された方向との垂直方向の差分をチルト角度として算出するチルト角度算出手段をさらに備え、
前記算出手段は前記パン角度算出手段によって算出されたパン角度および/または前記チルト角度算出手段によって算出されたチルト角度に基づいて調整パラメータ値算出処理を実行する、請求項2または3記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記調整パラメータ値算出処理は、前記パン角度算出手段によって算出されたパン角度が前記チルト角度算出手段によって算出されたチルト角度よりも大きいとき前記パン角度算出手段によって算出されたパン角度に基づいて前記調整パラメータ値を算出する第1算出処理、および前記チルト角度算出手段によって算出されたチルト角度が前記パン角度算出手段によって算出されたパン角度よりも大きいとき前記チルト角度算出手段によって算出されたチルト角度に基づいて前記調整パラメータ値を算出する第2算出処理を含む、請求項4記載の電子カメラ。
【請求項6】
前記検出手段は、動きの発生に対応して動きベクトルを出力する出力手段、および前記出力手段から出力された動きベクトルに基づいて前記撮像面の方向を検出する方向検出手段を含む、請求項1ないし5のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項7】
シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段を備える電子カメラのプロセッサに、
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ、
前記撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ、および
前記検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を前記複数の撮像方向と前記登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップを実行させるための、撮像制御プログラム。
【請求項8】
シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段を備える電子カメラによって実行される撮像制御方法であって、
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ、
前記撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ、および
前記検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を前記複数の撮像方向と前記登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップを備える、撮像制御方法。
【請求項9】
シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段、および
メモリに保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサを備える電子カメラに供給される外部制御プログラムであって、
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ、
前記撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ、および
前記検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を前記複数の撮像方向と前記登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップを前記内部制御プログラムと協働して前記プロセッサに実行させるための、外部制御プログラム。
【請求項10】
シーンを表す光学像を捉える撮像面を有する撮像手段、
外部制御プログラムを受信する受信手段、および
前記受信手段によって受信された外部制御プログラムとメモリに保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサを備える電子カメラであって、
前記外部制御プログラムは、
複数の撮像方向にそれぞれ対応する複数の撮像条件を登録する登録ステップ、
前記撮像面の方向を繰り返し検出する検出ステップ、および
前記検出ステップによって検出された方向に対応する撮像条件を前記複数の撮像方向と前記登録ステップによって登録された複数の撮像条件とに基づいて調整する調整ステップを前記内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する、電子カメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−48312(P2013−48312A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185458(P2011−185458)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]