説明

電子カード使用状況管理システム

【課題】携帯電話機等の情報端末と電子カードのそれぞれの特徴を組み合わせたカード使用状況管理システムを提供する。
【解決手段】電子カードは、電子カードのカード登録情報を記憶するカード情報記憶手段と、電子カードの使用状況を利用者に表示する表示手段と、情報端末と非接触通信を行う非接触通信手段とを備える。情報端末は、電子カードの非接触通信手段と交信を行う非接触通信部と、カード情報記憶手段に記憶された前記カード登録情報を読み取って記憶するカード使用状況記憶部と、カード会社システムとネットワークを介して通信を行う通信部とを備える。情報端末は、電子カードのカード登録情報を読み取った際に、カード会社システムより電子カードのカード使用状況を取得して電子カードに送信する。電子カードは、カード使用状況を情報端末に記憶された所定の表示設定に基づいて、電子カードの表示手段に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カード使用状況管理システム、特に金銭的価値情報を記憶した電子カードの使用状況管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカード(以下、単にカードと呼ぶ)の急速な普及により、多種多様なカードが現れ、特に、クレジットカード、電子マネーカード、乗車カード、ポイントカード等のように金銭的価値情報を記憶したカードが様々な場面で使用されるようになってきた。また、昨今においては、現金でなくカードを利用することで様々な特典が得られるため、一人の人間が複数のカードを所持するようになってきている。そのため、多くのカードを所持する代わりに、携帯電話機に電子マネーのカード機能を備えたものが登場している。例えば、特許文献1には、非接触ICカード処理部を備えたプリペイドカード等として利用可能な携帯電話装置が、カード残高が更新された際に、携帯電話装置を構成する報知用LEDや報知用スピーカを駆動制御することによって、ユーザにカード残高が更新されたことを報知することが記載されている。
【0003】
一方、カード自体を高機能化する動きも進んでいる。例えば、特許文献2には、クレジットカードを用いて店舗において決済した後、クレジットカードが店舗端末から決済情報を受けて累積金額を算出し、算出した累積金額が所定の提示条件に該当するとき、クレジットカードに搭載されたLEDの発行色を変化させることにより、ユーザに累積金額の提示を行う情報提示システムが記載されている。
【0004】
このように、携帯電話機とカードの高機能化が進むにつれ、両者の機能が重複するようにもなってきている。携帯電話機は、ネットワークへの接続性や情報処理能力等で多くの利点があるが、ますます多機能、複雑化の傾向にあり、携帯電話機を所有・維持することに多額の費用が発生する。一方、カードは、安価で使い捨ても可能であり、その形状や薄さで携帯性が優れるが、そのサイズゆえ、表示機能、入力機能、通信機能には限界が存在する。したがって、携帯電話機にすべてのカード機能が統合されてカードが不要になることはなく、逆にカードだけですべての機能を提供できるわけではないので、両者は、カード機能において、今後も並行して発展していくものと考えられる。そこで、カードと携帯電話機双方の特徴を生かしたカードシステムを考えることが実用的には重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−93912号公報
【特許文献2】特開2008−234595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明では、上記のような課題に鑑み、携帯電話機とICカード(電子カード)のそれぞれの長所を組み合わせた電子カード使用状況管理システム、特に複数のクレジットカードやポストペイカード型の電子マネーカードの使用状況を簡便に管理できる電子カード使用状況管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のカードシステムは、以下のような解決手段を提供する。
電子カードと情報端末とカード会社システムとが接続されたカードシステムであって、前記電子カードは、前記電子カードのカード登録情報を記憶するカード情報記憶手段と、前記電子カードの使用状況を利用者に表示する表示手段と、前記情報端末と非接触通信を行う非接触通信手段とを備え、前記情報端末は、前記電子カードの前記非接触通信手段と交信を行う非接触通信部と、前記カード情報記憶手段に記憶された前記カード登録情報を読み取って記憶するカード使用状況記憶部と、前記カード会社システムとネットワークを介して通信を行う通信部とを備え、前記情報端末は、前記電子カードの前記カード登録情報を読み取った際に、前記カード会社システムより前記電子カードのカード使用状況を取得して前記電子カードに送信し、前記電子カードは、前記カード使用状況を前記情報端末に記憶された所定の表示設定に基づいて、前記電子カードの前記表示手段に表示する、ことを特徴とするカードシステム。
【0008】
上記発明によれば、カードが情報端末と非接触通信手段によって交信し、カード登録情報を情報端末に送信する。情報端末は、受信したカード登録情報をカード会社のシステムに送信し、カードの使用状況のデータを取得して、カードに送信する。カードは、受信した最新のカード使用状況を、カード上に備わった表示手段に、所定の表示設定に基づいて表示する。このように、カードと情報端末が協業することで、カード会社のシステムから、当該カードの使用状況を利用者の操作なしに自動的に取得することができる。また、利用者の設定した表示条件に基づいてカードの使用状況をそのカード上に表示するので、カード上の限られた表示スペースに、確認が容易であり、利用者にとって重要性の高い情報を選択的に表示することができる。
【0009】
上記カードシステムは、以下のような特徴をさらに備えることもできる。
前記情報端末は、複数の電子カードの登録情報を前記カード使用状況記憶部に記憶し、前記複数の電子カードを提供したカード会社システムに照会して、前記複数の電子カードのそれぞれのカード使用状況を取得し、前記電子カードに送信することを特徴とする。
【0010】
上記発明によれば、情報端末と交信したカードの使用状況のみならず、利用者が関係する他のカード(例えば、利用者の所有する別のカードやそれらを親カードとする家族カード)の使用状況もあわせて一つのカード上に表示することができる。
【0011】
上記カードシステムは、以下のような特徴をさらに備えることもできる。
前記情報端末は、前記複数のカード使用状況を前記利用者によって設定されたグループに分けて前記電子カードに送信することを特徴とする。
【0012】
上記発明によれば、カードをグループ分けし、そのグループ全体の使用状況を確認することができる。このようにカードをグループ分けすることで、例えば、カードの種類別,使用用途別,家族の個人別,同じ銀行口座を引き落し先にしているカード別等に、カードを分類して使用状況を表示することができる。
【0013】
上記カードシステムは、以下のような特徴をさらに備えることもできる。
前記情報端末は、前記所定の表示設定に、前記電子カードの利用者が独自に定めた使用限度額である設定限度額を含めることを特徴とする。
【0014】
上記発明によれば、カード会社が定めたカードの利用限度額とは別に、カードの利用者が独自に定めた設定限度額を前記の所定の表示設定に含めることで、利用者は、前記設定限度額に対して現在のカード使用状況がどうであるかを確認することができるので、カードの使い過ぎ防止に役立つ。
【0015】
上記カードシステムは、以下のような特徴をさらに備えることもできる。
前記電子カードは、クレジットカードまたはポストペイ型電子マネーカードであり、前記カード使用状況には、先月、当月の使用状況および次月以降の使用状況を含むことを特徴とする。
【0016】
上記発明によれば、クレジットカードまたはポストペイ型電子マネーカードにおいて、当月の締め日以降の取引であって、次月以降に引き落し予定の暫定使用状況を表示項目に取り込むことで、現在および近い将来のカードの使用状況も監視することができる。
【0017】
上記カードシステムは、以下のような特徴をさらに備えることもできる。
前記表示手段は、電子ペーパで構成され、前記カード使用状況の表示は、文字情報、図形、模様、色のうち一または複数の方法で表示することを特徴とする。
【0018】
上記発明によれば、カード上の表示手段に電子カードを用いることで、表示する情報量を多くすることができ、カードに電池等の電源を備えることなく表示状態を保持することができる。また、限られたカード上の表示スペースで視認しやすい表示とすることができる。
【0019】
上記カードシステムは、以下のような特徴をさらに備えることもできる。
前記表示手段は、複数の発行色を持つ複数のLEDで構成され、前記カード使用状況の表示は、前記複数のLEDのうち所定のLEDの点灯の組み合わせで表示し、前記点灯の時間帯を利用者が設定可能とすることを特徴とする。
【0020】
上記発明によれば、表示手段に、小型薄型のLEDを用いることで、視認性を高くでき、また、カード上に表示された内容は文字情報を含まないので他人に判読されにくくすることができる。さらに、LEDの点灯する時間帯を利用者が設定する手段を提供し、不必要な時間の情報提供を減らし、電池等の消耗を減らすことができる。
【0021】
上記カードシステムは、以下のような特徴をさらに備えることもできる。
前記非接触通信手段は、電磁波または電波を用いることを特徴とする。
【0022】
上記発明によれば、電磁波・電波式の非接触型のインターフェースを用いることで、現在広く普及している非接触型のカードリーダ・ライタとの交信が可能となる。また、情報端末または非接触型カードリーダ・ライタからの電磁誘導による誘導電流によって、カード側の表示手段に電力供給を行うことができる。
【0023】
上記カードシステムは、以下のような特徴をさらに備えることもできる。
前記非接触通信手段は、赤外線または可視光を用いることを特徴とする。
【0024】
上記発明によれば、赤外線または可視光の光パワーを電力に変えることで、電子カード表示手段に給電する電力が得やすくなる。電磁誘導による誘導電流より、赤外線や可視光を用いるほうがカードの表示手段に供給する電力を得やすいからである。
【0025】
また、本発明は、以下のようなカード使用状況管理方法と捉えることができ、上記のカードシステムと同様な作用効果を奏する。
表示手段を備えた電子カードと情報端末とカード会社システムとが接続されたカードシステムにおけるカード使用状況管理方法であって、前記電子カードは、前記電子カードのカード登録情報を前記電子カード内部のカード情報記憶手段に記憶するステップを含み、前記情報端末は、前記カード情報記憶手段に記憶された前記カード登録情報を読み取るステップと、前記カード登録情報を前記カード会社システムにネットワークを介して送信するステップと、前記カード会社システムより前記電子カードのカード使用状況を取得するステップと、前記カード使用状況を前記電子カードに送信するステップと、前記電子カードは、受信した前記カード使用状況を、所定の表示設定に基づいて、前記表示手段に表示するステップとを実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、携帯電話機と電子カードのそれぞれの長所を組み合わせたカード使用状況管理システム、特に、一または複数の電子カードの使用状況を管理できるカード使用状況管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係るカードシステムの全体構成の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るカード20のハードウェア構成の第一の例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るカード20のハードウェア構成の第二の例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るカード20のハードウェア構成の第三の例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るカード20と情報端末10とカード会社システム30のやりとりを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る情報端末登録画面とカード使用状況照会画面の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るグループカード登録画面とグループカード照会画面の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るカード表示設定画面の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るカード表示設定画面の別の例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係るカード表示設定画面のさらに別の例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係るカード20上の表示例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係るカード20上の別の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係るカードシステムの全体構成の概略を示す図である。前述したように、昨今、利用者は、複数のカードを所持することが多く、さらに家族カードなど関係するカードを所持することも多い。本カードシステムは、これら利用者が関係する複数のカードの使用状況を管理するシステムであり、複数のカード(20A,20B,・・・)と情報端末10と複数のカード会社システム(30A,30B,・・・)とが、通信可能に接続されたシステムである。ここで、カード会社とは、当該カードの使用状況をインターネット等を介して、リアルタイムで送信可能なシステムを備える会社を意味する。クレジットカードの場合、カードを発行した会社(イシュアー)と加盟店を管理する加盟店管理会社(アクワイアラー)が存在するが、カード会社システムは、イシュアーとアクワイアラーどちらであってもよいし、情報サービス専門の別会社であってもかまわない。もちろん、イシュアーとアクワイアラーが同じ会社であってもよい。図示するように、カードAのカード会社のシステムをカード会社Aシステムとしているが、特に区別する必要がない限り、複数のカード(20A,20B,・・・)をまとめてカード20、複数のカード会社のシステム(30A,30B,・・・)をまとめてカード会社システム30と呼ぶことにする。
【0030】
カード20は、当該カードに関するデータを表示する表示手段21,カードの登録情報を記憶するカード情報記憶手段22、情報端末10と非接触通信を行うための非接触通信手段23を備える。また、必須ではないが、接触型のカードリーダ・ライタ40(40A,40B)でも読み書きできるように接触I/F(インタフェース)部24を備えていることが好ましい。
【0031】
カード登録情報とは、カードを新規発行する際にそのカードに付与されカード内部に記憶される情報であり、例えば、カード番号、カード名義人の氏名、カードの有効期限等である。カード会社が定めたカードの利用限度額や、暗証番号、生体認証登録情報など本人認証のためのデータを含んでいてもよい。ただし、CVV(Card Verification Value)等のセキュリティコードは、カード表面に刻印されるのみで、カード内部には記憶させないのが普通である。カード登録情報は、カード会社のシステムのデータベースに記録される他、カード20内部に備えるカード情報記憶手段22に記録される。
【0032】
非接触通信手段23は、詳しくは後で説明するが、非接触型カードリーダ・ライタ(図示せず)や情報端末10と非接触な無線通信を行うための電磁波・電波を用いた近距離無線通信手段である。あるいは、非接触通信手段23として、情報機器の交信に広く利用される赤外線や可視光の光通信手段を用いてもよい。また、非接触型カードリーダ・ライタとは電磁波・電波を用いた通信手段で通信し、情報端末10とは光通信手段で通信する、というように両者を使い分けてもよい。
【0033】
情報端末10は、カード20の非接触通信手段23に対応した非接触I/F部11を備え、カード20に対してデータを読み書きできる個人用の端末であり、典型的には、携帯電話機(PHS(Personal Handy-phone System)を含む)、PDA(Personal
Digital Assistant),タブレット端末等の任意のモバイル端末であってよいが、非接触型のカードリーダ・ライタとUSB(Universal Serial Bus)等で接続された一般的なデスクトップPC(Personal
Computer)やノートPCであってもよい。端末の携帯性は本発明の実施形態では必要条件ではないので、これらの機器を総称して単に情報端末10と呼んでいる。
【0034】
情報端末10は、カード会社システム30とインターネット等のネットワークを介して交信するため、別途、通信部14を備え、カード会社システム30からそれぞれのカードの最新の使用状況を取得する。取得したカード使用状況は、情報端末10内部のカード使用状況記録部12に記憶される。また、情報端末10は、一般的な機能として、液晶等の表示部13、操作ボタン,キーボード,マウス,タッチパッド等のデータ入力のための操作部15、サウンド(音声、音響)入力・出力のためのスピーカやマイク等のサウンド処理部16を備え、利用者とのユーザ・インターフェースを提供する。
【0035】
カード20を情報端末10にかざすと、すなわち、カード20と情報端末10を互いに通信可能な距離内に近接させると、カード20のカード登録情報を情報端末10が自動的に読み込み、情報端末10は、カード20のセンターであるカード会社システム30と接続し、カード20の最新の使用状況のデータを取得する。カードの使用状況とは、例えばクレジットカードや電子マネーカードの場合、カードの使用日時,使用場所(店舗等),使用金額等のデータが含まれる。
【0036】
本発明の実施形態の情報端末10は、読み込んだ複数のカードの情報を記憶し、カード20にその使用状況を送信するが、カードの決済を行う機能はない。カードの決済は、通常どおり、店舗等のCAT端末(Credit Authorization Terminal)等で、実際に商品を購入する際に行なうこととしている。情報端末10に過度に金銭的価値のある情報を集積させ、その情報を守るために厳重なセキュリティをかけて操作を複雑にすることを避けるためである。なお、複数のカードの使用状況の確認は、カード20にも表示されるが、情報端末10でも行えるようにすることが望ましい。カード上ですべての詳細情報を表示するのは困難であるからである。ただし、本発明の実施形態では、カード使用の際に、店舗のカードリーダに読み込んだ後にはじめて利用限度額を超えていることに気づくといったことにならないように、カードを取り出した際に、容易に確認できるようにカード上に使用状況を表示することを主眼としている。
【0037】
カード会社システム30は、既に述べたように、カードの取引データを管理するカード会社のシステムである。本カードシステムでは、カード20は、必ずしも一つのカード会社が発行したカードである必要はなく、複数のカード会社や種類の異なるカードであってもよい。カード会社のシステムには、典型的には、一または複数のサーバ装置と、データベース(DB)として、顧客の個人情報・信用情報等を記録した顧客DB(31A,31B,・・・)、および顧客が所持するカードごとに取引、決済データを記録するカード取引情報DB(32A,32B,・・・)が備えられている。顧客DB(31A,31B,・・・)とカード取引情報DB(32A,32B,・・・)は一つのDBで構成してもよい。以降、特に区別する必要がない限り、単に顧客DB31、カード取引情報DB32と呼ぶことにする。
【0038】
上記の機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能部を更に分割したり、複数の機能部をまとめて一つの機能部として構成してもよい。各機能部は、カード20、情報端末10に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only
Memory)に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUが実行することによって実現される。カード会社システム30のサーバ装置においては、ハードディスク等の記憶装置から読み出されたコンピュータ・プログラムをCPUが実行し、記憶装置に格納されたデータベースやメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。なお、データベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データ構造自体は問わない。
【0039】
図2は、本発明の実施形態に係るカード20のハードウェア構成の第一の例を示す図である。本実施形態のカード20は、CPU25,ROM26,RAM27の他、カード情報記憶手段22の一例として、EEPROM(Electrically Erasable PROM)22Aを備え、非接触通信手段23の一例として、電磁波・電波を用いた非接触I/F通信回路23Aおよびアンテナコイル23Bを備え、表示手段21の一例として、電子ペーパ表示部21Cおよびその書き換えを行うための制御回路である電子ペーパドライバ回路21Aを備えている。また、図1の接触I/F部24として、外部の接触型カードリーダ・ライタ40とデータを読み書きするためのISO7816の規格に準拠した接触I/F端子24Aを備えていることが好ましい。なお、図2では、一つのCPU,ROM,EEPROM,RAMでカード全体を制御しているように見えるが、カード内に複数のICチップを装着して、ICチプごとにCPUやROM,RAMが搭載される構成としてもよい。
【0040】
カード情報記憶手段22は、カードの登録情報(カード番号、名義人氏名、有効期限等)がカード発行時に記録され、また、情報端末10から入手したカードの最新の使用状況のデータ(使用限度額,累計使用金額,使用日時,使用場所,使用金額等)も記録される。カード使用状況のデータには、当該カードだけでなく、後述するグループカードのデータが含まれ得る。カード情報記憶手段22は、EEPROMの他、MRAM(Magnetic Random Access Memory)やFeRAM(Ferroelectric
RAM)等の任意の不揮発性メモリであってよい。
【0041】
非接触I/F通信回路23Aとアンテナコイル23Bは、電磁波・電波による近距離無線通信を行い、図1の非接触通信手段23を構成する。アンテナコイル23Bは、カード20の周囲を周回する形態で形成され、その両端が外周にそって、非接触I/F通信回路23Aのチップと接続される。アンテナコイル23Bは、通信アンテナとしての役割の他、対応する非接触型I/Fを備えた情報端末10や非接触型カードリーダ・ライタと近接すると、電磁誘導によって誘導電流を発生させ、カード内の回路に給電するための給電装置としての働きを兼ねている。
【0042】
電子ペーパ表示部21Cは、コレステリック液晶や電子粉流体をフィルム基盤に塗工して、電圧をかけて配向状態を変化させ、光の透過または反射をさせることにより、所定の情報を表面に表示させるものである。電子ペーパドライバ回路21Aは、電子ペーパの表示を書き換える際に、電子ペーパ表示部21Cに与える電荷を制御する回路である。一般に電子ペーパは、書き込みの際に微細な電力を必要とするのみで、いったん書き込んだデータを保持するためには電力を必要としないので、カード20に電池の装着を必要とせず、カードの表示手段として好適である。電子ペーパの書き換えに必要な電力は、情報端末10や非接触型カードリーダ・ライタに近接した際に、アンテナコイル23Bから電磁誘導により給電させる。
【0043】
ただし、近接距離や近接時間によって非接触通信手段で交信した際の電力が電子ペーパの書き換えには十分でない場合に備えて、電子ペーパの表示の更新は、決済時に接触型カードリーダ・ライタにカード20を挿入(装着)した際に行ってもよい。この場合は、EEPROM22Aに記憶された直近のカード使用状況(前回、情報端末10と交信した際に記憶したデータ)をカード側で読み出して電子ペーパを書き換える。この場合、EEPROM22Aに記憶されたカード使用状況は最新でない可能性があるので、電子ペーパ表示部21Cには、前回カード使用状況を更新した日時を表示しておくことが望ましい。
【0044】
図3は、本発明の実施形態に係るカード20のハードウェア構成の第二の例を示す図である。前図の第一のハードウェア構成では、電子ペーパの書き換え時の電力は、電磁波・電波を用いた非接触通信手段を構成するアンテナコイル23Bから供給されるようにしたが、第二の構成では、非接触通信手段として光通信、特に赤外線手段を用いた例を示している。電磁誘導では電子ペーパを書き換えるのには、必ずしも十分な電力が得られない場合があり、十分な電力を得るためには、現状では、カードと装置との通信距離が数ミリ程度となってしまう。そのため、電子ペーパの書き換えに十分な電力を供給できるような赤外線等の光通信方式が開発されている。
【0045】
本実施形態のカード20は、非接触通信手段として光通信方式を用い、通信・給電制御回路23C,赤外線受光部23D(光電池)、光信号送信部23Eを備える。赤外線受光部23Dは、外部装置からの赤外線光パワーを蓄電し、電子ペーパ駆動の電力を供給する。光信号送信部23Eは、カード20からの送信回路であるが、送信に使用する光は赤外線でなくともよく可視光であってもよい。通信・給電制御回路23Cは、通信と給電を制御する回路である。赤外線受光方式をとることで、長波長の光エネルギーにより、電池レスで電子ペーパを駆動することができる。もちろん、既存の非接触型カードリーダ等との互換性を考慮し、カード構成はやや複雑にはなるが、電磁波通信方式と赤外線通信方式とを併用するようにしてもよい。
【0046】
図4は、本発明の実施形態に係るカード20のハードウェア構成の第三の例を示す図である。図2、図3では、カード20の表示手段として、電子ペーパを用いる場合を示したが、図4では、より簡易的な表示手段としてLED(発行ダイオード;Light Emitting Diode)を用いる。その他の構成は、図2の場合と同様なので、以下異なる部分のみを簡単に説明する。
【0047】
本実施形態のカード20では、表示手段として、LED21Dを備えている。LED21Dは、発色の異なるものを複数用いることで、数色のカラー表示を可能とすることが望ましい。また、表示手段としてLED21Dの発光を持続させるため、バッテリー21E(電池)を内蔵することが望ましい。バッテリー21Eは、カードに実装できるサイズである限り、任意の公知の技術を用いてよい。バッテリー21Eを備えるのは、アンテナコイル23Bからの電磁誘導によって供給される電力では、瞬間的にしかLEDを点灯させることができないからである。もちろん、非接触通信手段として、図3のような赤外線通信手段と組み合わせることも可能である。また、電池の消耗を少なくするために、LEDの点灯時間を利用者が設定する手段を提供することが望ましい。例えば、深夜等の特定の時間帯を設定するようにしてその時間帯ではLEDを消灯させるようにする。
【0048】
LEDは電子ペーパに比べ、表示できる情報量は少ないが、発光は人間の目に感知しやすいので、一瞬で認知させる必要のある情報の提示には適している。例えば、クレジットカードの使用限度額に近づいた場合、電子マネーの残高が残り少なくなった場合、一定の期間のカードの使用額が所定の金額を超えそうな場合にLEDを点滅させる等すれば警告表示としても利用できる。
【0049】
図5は、本発明の実施形態に係るカード20と情報端末10とカード会社システム30のやりとりを示す図である。図の上段では、はじめて本システムを利用する際の登録時の場面を、図の下段では、登録終了後、カードの使用状況を照会する時の場面を示している。
【0050】
登録時には、利用者がカード20を情報端末10にかざすことで、カード20は、カード情報登録要求を情報端末10に送信する(ステップS10)。カード20は、その際に、カード内部に記憶されたカード登録情報も送信する。カード情報登録要求を受信した情報端末10は、カード登録情報からカード会社のシステムの送信先を求め、情報端末登録要求と共に情報端末10のID(識別子)とカードから受信したカード登録情報をカード会社システム30に送信する(ステップS11)。登録場面では、利用者にカードの暗証番号等の認証データの入力を求めるようにすることが望ましい。カード会社システム30では、情報端末登録要求を受信すると、受信したカード登録情報と認証データをチェックし、認証OKであれば、情報端末のIDとカード番号を対応づけて記録する(ステップS12)。そして、その完了通知を情報端末10に送り、情報端末10では、カード会社システム30に登録完了したことを記憶するためカード登録情報を保存する。そして、カード20にも登録完了通知を送信する。認証NGである場合は、その旨が、情報端末10の表示部13に示される。エラー音などを同時に発するようにしてもよい。
【0051】
登録が無事終了して、カードの現在の使用状況を知りたいときは、同様にカード20を情報端末10にかざす。このとき、カード20は、登録済みであることを記憶しているので、今度は、カード使用状況照会要求を情報端末10に送信する(ステップS20)。カード使用状況照会要求を受信すると、情報端末10は、すでに内部に記憶した情報から登録済みであるかどうかをチェックし、登録済みでなければ、再度登録要求するかどうかを利用者に通知する(ステップS21)。利用者が「はい」を押すと、再度登録処理を試みる。ステップS21において、登録済みが確認されれば、情報端末10にカード使用状況問い合わせを行う(ステップS22)。カード会社システム30では、カード使用状況問い合わせを受信すると、情報端末のIDとカード登録情報の組み合わせをチェックし(ステップS23)、登録されたデータと合致すれば、カード使用状況のデータを送信する(ステップS24)。
【0052】
情報端末10は、カード使用状況を受信すると、カード20にそれをそのままあるいは加工してカード20に送信する(ステップS25)。このとき、情報端末10の表示部13にもカード使用状況を表示するようにしてもよい。カード20は、ステップS26において、カード使用状況のデータを保存し、カードの表示手段に表示されたカードの使用状況を更新する(ステップS27)。
【0053】
以上のステップS21からステップS27の照会処理は、利用者のアクションが必要なエラー時等を除いて、利用者の介入なしに自動で行うことが望ましい。このようにすることで、利用者は、カード20を情報端末10(多くの場合、携帯電話機)にかざすだけで、特に情報端末10を操作することなく、カードの表示状態を更新できる。近距離通信手段の通信可能距離内であれば、情報端末10の電源さえ入れておけばよく、携帯型の情報端末10をポケットやカバンからいちいち取り出す必要もない。あるいは、カード20(多くの場合、財布やカード入れの中にある)と情報端末10を近接して携帯すれば、実際に使用するときまで、カード20に触れる必要もない。カード20と情報端末10が、カバンやポケットの中で自動的に交信するからである。このことは、外出時にカードの使用状況を確認する際には非常に便利である。もちろん、同じデータを何度も自動交信して無駄な電力の消費を抑えるために交信間隔を所定の時間ごととしてもよい。
【0054】
図6は、本発明の実施形態に係る情報端末登録画面とカード使用状況照会画面を示す図である。図6上段(a)では、情報端末登録画面50を、図6下段(b)では、カード状況照会画面51を示している。
【0055】
情報端末登録画面50は、本システムをはじめて利用する際に、カード20と情報端末10をシステムに登録するため情報端末10に表示される画面である。カード20を情報端末10に近接させると、両者の非接触通信手段が交信することにより、カード登録情報が自動的に情報端末10に読み込まれ、カード20との交信を確認するために、読み込んだカード登録情報100の内容が表示される。この例では、すべてのカード登録情報を表示しているが、他人に覗かれる危険性がある場合は、プライバシー保護のため、一部のみを表示するようにしてもよい。利用者は、表示された内容を確認後、「はい」のボタンを押下することによって、カード会社システム30に本端末とカードの組み合わせの登録が実行される。既に述べたが、登録前には、カードの暗証番号の入力や、可能であれば指紋認証等の生体認証など、利用者がカードの正当な所有者または管理者であることを確認させることが望ましい。もっとも、本発明の実施形態の情報端末10は、決済機能をもたず、カード20とカード会社システム30と間の情報仲介手段であるので、使用状況照会時には、厳重なセキュリティをほどこす必要はない。
【0056】
カード状況照会画面51は、カードの使用状況を情報端末10の画面で詳細に確認したい場合に使用する画面である。既に述べたように、本システムに登録後は、カード20と情報端末10は、近接距離に設置するだけで自動的に交信するが、情報端末10でも交信内容を確認する手段(例えば所定のキーを押すなど)を提供することが望ましい。カード20の表示手段に表示できる内容には限りがあるし、また、エラー時の利用者の処置が必要となる場合があるからである。
【0057】
カード状況照会画面51では、図示するように、カード20との交信を確認するために、読み取ったカード登録情報100および前回までの使用状況の詳細情報101(この内容は、カード情報記憶手段22にも記憶されている)が表示される。利用者が表示された内容を確認後、「はい」のボタンを押下すると、カード会社システム30に照会要求が送信され、正常に照会が完了すれば、カードの使用状況の詳細情報101が最新のものに更新される。なお、カード20と情報端末10が交信した際に、カード状況照会画面51は半自動(例えば所定のキーを押したあと)で表示されるようにしてもよいが、詳細情報流出の危険性を避けるため、この画面を表示するためのパスワードを設定することが望ましい。
【0058】
図7は、本発明の実施形態に係るグループカード登録画面とグループカード照会画面を示す図である。既に述べたように、本カードシステムでは、利用者の関係する複数のカードをグループとして登録しておくことで、単にカード単独の使用状況だけでなく、グループカード全体の使用状況も表示することが可能である。利用者の関係するカードとは、利用者本人が所持するカードやそれを親カードとした家族カード、家計を共にする家族が所持するカード、あるいは特別に管理する必要がある要介護者等のカードがある。
【0059】
図7上段(a)には、グループカード登録画面52の一例が示されている。グループカード登録画面52は、利用者が情報端末10で所定のパスワードを入力することで表示される。利用者は、この画面を表示した後、カード20を情報端末10にかざすと、読み込んだカード登録情報100が情報端末10に表示される。さらに、既にグループカードとして登録されたカードがあれば、グループ登録済カード情報102を表示される。利用者は、読み込んだカード20を登録済みのグループに追加する場合は、「はい」のボタンを、新規のグループを作成する場合は、「新規グループ作成」のボタンを押下する。このようにして、読み込んだカードのグループを登録することができる。もちろん、グループの名前や構成するカードを変更できることはいうまでもない。
【0060】
図7下段(b)には、グループカード状況照会画面53の一例を示している。グループカード状況照会画面53では、図6(b)の単体でのカード状況照会画面に加え、グループ内の他のカードの使用状況やグループ全体の使用状況を示すカード使用状況の詳細101Aを表示する。このようにすることによって、単独のカードのみならず、グループカード全体の使用状況が把握できるので個々のカードおよび家族等を含んだ全体でのカードの使いすぎを監視することができる。また、図示していないが、カードの種類別,使用用途別,家族の個人別,同じ銀行口座を引き落し先にしているカード別等にカードを分類して使用状況を表示することも可能である。
【0061】
図8は、本発明の実施形態に係るカード表示設定画面の一例を示す図である。カード表示設定画面54は、カード20の表示手段に表示する内容や表示条件を設定するための情報端末10上に表示される設定画面である。カード20の表示手段は、表示領域が小さく、表示方法も限られるため、本画面を用いて利用者が好みの表示内容や条件を設定することができる。
【0062】
図8上段(a)のカード表示設定画面54は、利用者がカード20を情報端末10にかざし、所定のパスワードを入力することによって表示される。カード20との交信を確認するために、読み取ったカード登録情報100が表示されるのは、いままでの画面例と同様である。利用者は、表示されたカード登録情報100を確認し、「はい」のボタンを押下することで、次の画面に進むことができる。
【0063】
図8下段(b)のカード表示設定画面55は、実際にカードの表示内容や表示条件を設定する画面である。カード表示設定画面55では、設定限度額103を設定する。「設定限度額」とは、カード会社が定めたカード利用限度額とは別に、使いすぎ防止のために、利用者自身が設定した利用限度額である。設定限度額は、カード会社の定めた利用限度額以下であればいくらであってもよい。すなわち、設定限度額を超えても警告が表示されるのみで、カード利用限度額までは使用はできる。
【0064】
カード表示設定画面55の領域104では、カードの表示内容として、今月の使用額、先月の使用額、先々月の使用額を選択できるようにし、さらにそれぞれを表示する条件として、右の欄で指定した金額を超えた場合のみとすることができる。この例では、今月と先月の使用額を表示するようにしているが、今月の使用額は、50,000円を超えた場合にのみ、先月の使用額は無条件で表示することとしている。利用者は、この画面で「はい」を押下することで、設定した内容を保存することができる。情報端末10は、この設定内容を参照して、カード20に使用状況を送信する際に、表示に必要なデータのみを送信する。あるいは、設定内容そのものをカード20に送信させ、カードに記憶させることで、カード20が表示する内容を制御できるようにしてもよい。前者の方法では、通信量は増大するが、カード側の処理負担を軽減することができる。後者の方法では、設定内容が変更しない限り、設定内容をカード側に送信する必要がなく通信量は減少するが、カード側の処理負担は増大する。
【0065】
図9は、本発明の実施形態に係るカード表示設定画面の別の例を示す図である。図9のカード表示設定画面56は、図8の画面では、カード単独の表示内容・条件を設定するのに対し、本画面ではカード単独およびカードが属するグループ全体の使用状況の内容・条件を設定できるようにしたものである。同じグループに属するカード情報は、グループ登録済カード情報102に表示される。
【0066】
単独、グループ全体それぞれのカード使用状況の表示欄104,105には、新たに「次月以降予定額」が追加されている。「次月以降予定額」とは、カードがクレジットカードやポストペイ型電子マネーカードの場合、カードの当月の締め日を過ぎた後に発生した取引であって、次月以降に引落される予定の、現時点での暫定金額である。この次月以降の暫定額も含めることで、近い将来の使い過ぎも把握することができる。
【0067】
なお、この例では、表示条件として「右の金額を超えた場合のみ」としたが、別の条件を設定することも可能である。例えば、設定限度額を超えた場合、あるいは、設定限度額の所定の割合(50%〜80%程度)まで達した場合を表示条件としてもよい。また、過去の一定期間の使用金額が、所定の金額を超えた場合に表示するような条件としてもよい。
【0068】
図10は、本発明の実施形態に係るカード表示設定画面のさらに別の例を示す図である。この画面では、カードの表示手段に表示する表示パターンを設定する。カードの表示手段が電子ペーパの場合は、図10上段(a)のカード設定表示画面57を使用する。電子ペーパでは、文字,図形,模様の他、カラー電子ペーパでは色も可能である。そのため、表示パターンを領域106で選択できるようにする。例えば、この例のように「文字情報(20字×3行)」を選択すると、今月の使用状況,先月の使用状況,先々月の使用状況を3行の文字情報で表示する。文字情報で表示する方法は、正確であるが、多くの文字を表示すると文字が小さくなって視力の乏しい者にはカード上では視覚しずらいという面もある。このため、表示する文字数、行数を数段階で選択できることが好ましい。
【0069】
表示手段がLEDの場合は、図10下段(b)のカード設定表示画面58を使用する。例えば、この例のように領域107で、「パターン2」を選択すると、設定限度額を超えたときは赤色のLEDが点滅し、設定限度額の75%〜100%では赤色のLEDが点灯し、設定限度額の50%〜75%未満では黄色のLEDが点灯し、設定限度額の50%未満では青色のLEDが点灯する。また、カードに搭載された電池の省電力化のため、LEDを点灯させる時間帯を領域108で示すように指定することもできる。ここで設定されたカード上の表示は、図11、図12で具体的に示す。
【0070】
図11は、本発明の実施形態に係るカード20上の表示例を示す図である。図11上段(a)では、クレジットカード上の表示手段として電子ペーパ表示部21Cを用いた場合の一つの表示例を、図11中段(b)では、電子ペーパの別の表示例を、図11下段(c)では、電子ペーパのさらに別の表示例を示している。電子ペーパのサイズは、カードに印刷または刻印する情報を妨げない限り任意の大きさ、形状であってよい。カード表面でなく裏面を利用するようにしてもよい。また、カード両面に表示部を設けることも不可能ではない。
【0071】
図11(a)は、電子ペーパに、文字情報でカードの使用状況を表示したものである。この例では、今月使用額、先月使用額、先々月の使用額を数字で直接表示している。
【0072】
図11(b)は、電子ペーパに表示する内容を文字情報だけでなく、図形を含ませたものである。この例では、表示領域の上段にカード単独の所定期間の累計使用状況を、表示領域の下段にグループカード全体の同じ期間の累計使用状況を表示している。また、この例では、設定限度額を□の数で表し、現在の使用状況を■で棒グラフ状で表現している。このように表示に図形を用いることで、限られたスペースで直感的に認識しやすい表示ができる。
【0073】
図11(c)は、図形を用いた別の表示例であり、カード単独およびグループカード全体の使用状況を累計でなく月別に表現したものである。この例では、■で表した部分が多くなればなるほど設定限度額に近づいていることを表している。
【0074】
図12は、本発明の実施形態に係るカード20上の別の表示例を示す図である。図12上段(a)では、カード単独およびグループカード全体の使用状況を月別に表現した点は前図と同様であるが、電子ペーパの模様を変化させることで、それぞれの使用状況を月別に表現したものである。この例では、電子ペーパの模様が濃くなればなるほど、設定限度額を超えたか、あるいは、設定限度額により近づいていることを表している。このように模様で表示することは、文字情報がない分だけ表示面積が広くとれ、小さなカードでも視覚的に訴えやすいという利点がある。一方、カード上に表示する意味が他人には分かりにくいので、他人に知られたくない情報を表示するには適している。もちろん、カラー電子ペーパの場合は、模様の代わりに色で表現してもよい。
【0075】
図12下段(b)は、表示手段としてLEDを用いた場合を示す図である。この例では、赤色LED21R,黄色LED21Y,青色LED21Bを用いて、カード単独、グループ全体の使用状況を各LEDの点灯で表現したものである。例えば、設定限度額を超えた場合は赤色LEDが点灯(または点滅)し、設定限度額の所定の割合(例えば50%)を超えた場合は黄色LEDが点灯し、それ以外では青色LEDが点灯するようにする。LEDを用いた表示手段は、電子ペーパに比べ表示できる情報量が減少するが、シンプルであり、カラー表示も容易であり、人間の視覚に感知させやすいという利点がある。また、文字情報がないのでカード上の表示意味を他人に分かりにくくするという点は図12(a)と場合と同様である。
【0076】
以上説明したように、本発明のカードシステムでは、カード使用状況を、管理するカードが複数であっても、一つカード上に表示できるようにした。情報端末10には、あえてカードを代替する機能や決済機能を持たせることはせず、カードの表示内容や表示条件を設定する機能、およびカード会社システム30との情報仲介手段として機能するようにした。このようにすることで、情報端末10に過度の金銭的価値を含んだ情報を集積させることなく、また、セキュリティ保持のため複雑な操作も必要としない。さらに、カードに使用状況を簡潔にカード上に表示させることで、カードの持つ携帯性、手軽さ、視認性を失わないようにできる。そして、カードと端末のそれそれの高機能化を随時取り込むことで、それぞれの特徴を生かしたバランスのよいシステムとすることが可能である。
【0077】
また、以上の説明では、金銭的価値情報を記憶する電子カードとして、クレジットカード等のポストペイ型の電子カードを中心に説明したが、利用者が使用状況を確認する必要があるのは、プリペイドカードやポイントカード等であっても同様であり、本発明の電子カードは、ポストペイ型カードに限定されるものではない。
【0078】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0079】
10 情報端末
11 非接触通信部
12 カード使用状況記憶部
13 表示部
14 通信部
15 操作部
16 サウンド処理部
20,20A,20B カード
21 表示手段
21A 電子ペーパドライバ回路
21C 電子ペーパ表示部
21D LED
21E バッテリー
21R 赤色LED
21Y 黄色LED
21B 青色LED
22 カード情報記憶手段
22A EEPROM
23 非接触通信手段
23A 非接触I/F通信回路
23B アンテナコイル
23C 通信・給電制御回路
23D 赤外線受光部
23E 光信号送信部
24 接触I/F部
24A 接触I/F端子
25 CPU
26 ROM
27 RAM
30,30A,30B カード会社システム
31,31A,31B 顧客DB
32,32A,32B カード取引情報DB
40,40A,40B 接触型カードリーダ・ライタ
50 情報端末登録画面
51 カード使用状況照会画面
52 グループカード登録画面
53 グループカード使用状況照会画面
54,55,56,57,58 カード表示設定画面
100 読取ったカード登録情報
101,101A カード使用状況の詳細
102 グループ登録済カード情報
103 設定限度額
104 カード単独使用状況表示
105 グループ全体使用状況表示
106 電子ペーパ表示パターン
107 LED表示パターン
108 LED点灯時間帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子カードと情報端末とカード会社システムとが接続されたカードシステムであって、
前記電子カードは、
前記電子カードのカード登録情報を記憶するカード情報記憶手段と、
前記電子カードの使用状況を利用者に表示する表示手段と、
前記情報端末と非接触通信を行う非接触通信手段とを備え、
前記情報端末は、
前記電子カードの前記非接触通信手段と交信を行う非接触通信部と、
前記カード情報記憶手段に記憶された前記カード登録情報を読み取って記憶するカード使用状況記憶部と、
前記カード会社システムとネットワークを介して通信を行う通信部とを備え、
前記情報端末は、前記電子カードの前記カード登録情報を読み取った際に、前記カード会社システムより前記電子カードのカード使用状況を取得して前記電子カードに送信し、前記電子カードは、前記カード使用状況を前記情報端末に記憶された所定の表示設定に基づいて、前記電子カードの前記表示手段に表示する、
ことを特徴とするカードシステム。
【請求項2】
前記情報端末は、複数の電子カードの登録情報を前記カード使用状況記憶部に記憶し、前記複数の電子カードを提供したカード会社システムに照会して、前記複数の電子カードのそれぞれのカード使用状況を取得し、前記電子カードに送信することを特徴とする請求項1に記載のカードシステム。
【請求項3】
前記情報端末は、前記複数のカード使用状況を前記利用者によって設定されたグループに分けて前記電子カードに送信することを特徴とする請求項2に記載のカードシステム。
【請求項4】
前記情報端末は、前記所定の表示設定に、前記電子カードの利用者が独自に定めた使用限度額である設定限度額を含めることを特徴とする請求項1乃至3に記載のカードシステム。
【請求項5】
前記電子カードは、クレジットカードまたはポストペイ型電子マネーカードであり、前記カード使用状況には、先月、当月の使用状況および次月以降の使用状況を含むことを特徴とする請求項1乃至4に記載のカードシステム。
【請求項6】
前記表示手段は、電子ペーパで構成され、前記カード使用状況の表示は、文字情報、図形、模様、色のうち一または複数の方法で表示することを特徴とする請求項1乃至5に記載のカードシステム。
【請求項7】
前記表示手段は、複数の発行色を持つ複数のLEDで構成され、前記カード使用状況の表示は、前記複数のLEDのうち所定のLEDの点灯の組み合わせで表示し、前記点灯の時間帯を利用者が設定可能とすることを特徴とする請求項1乃至6に記載のカードシステム。
【請求項8】
前記非接触通信手段は、電磁波または電波を用いることを特徴とする請求項1乃至7に記載のカードシステム。
【請求項9】
前記非接触通信手段は、赤外線または可視光を用いることを特徴とする請求項1乃至8に記載のカードシステム。
【請求項10】
表示手段を備えた電子カードと情報端末とカード会社システムとが接続されたカードシステムにおけるカード使用状況管理方法であって、
前記電子カードは、
前記電子カードのカード登録情報を前記電子カードのカード情報記憶手段に記憶するステップを含み、
前記情報端末は、
前記カード情報記憶手段に記憶された前記カード登録情報を読み取るステップと、
前記カード登録情報を前記カード会社システムにネットワークを介して送信するステップと、
前記カード会社システムより前記電子カードのカード使用状況を取得するステップと、
前記カード使用状況を前記電子カードに送信するステップと、
前記電子カードは、受信した前記カード使用状況を、所定の表示設定に基づいて、前記表示手段に表示するステップとを実行する、
ことを特徴とするカード使用状況管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−133508(P2012−133508A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284061(P2010−284061)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【Fターム(参考)】