電子タグの貼り込み装置及びその貼り込み方法
【課題】中綴じ書籍の製本過程で生産効率を低下させることなく、冊子の所定位置にICタグを貼り込む。
【解決手段】予め喉部12に孔8aが設けられた所定枚数分の孔付き折丁16を順にブレード36へ供給した後、残りの折丁17をブレード36へ供給して1冊分の冊子30に丁合する。このとき、冊子30の喉部12には凹部8が形成される。冊子30は、搬送経路24の途中で貼り込みユニット32に送られる。貼り込みユニット32は、リール40から送り出したICタグ4を吸着ドラム48に供給し、1本分の長さに切断して吸着ドラム48で搬送する。搬送の途中で糊塗布ユニット50によりICタグ4に接着剤が塗布され、さらにICタグ4は、冊子30が吸着ドラム48の上方位置に到達するタイミングに合わせてその位置に搬送される。そして、エアノズル68から空気流を発生させ、ICタグ4が凹部8に貼り付けちれる。
【解決手段】予め喉部12に孔8aが設けられた所定枚数分の孔付き折丁16を順にブレード36へ供給した後、残りの折丁17をブレード36へ供給して1冊分の冊子30に丁合する。このとき、冊子30の喉部12には凹部8が形成される。冊子30は、搬送経路24の途中で貼り込みユニット32に送られる。貼り込みユニット32は、リール40から送り出したICタグ4を吸着ドラム48に供給し、1本分の長さに切断して吸着ドラム48で搬送する。搬送の途中で糊塗布ユニット50によりICタグ4に接着剤が塗布され、さらにICタグ4は、冊子30が吸着ドラム48の上方位置に到達するタイミングに合わせてその位置に搬送される。そして、エアノズル68から空気流を発生させ、ICタグ4が凹部8に貼り付けちれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中綴じ書籍の製本過程で電子タグを効率的かつ安全に貼り込むことができる電子タグの貼り込み装置及びその貼り込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、書籍に電子タグを貼り込む方法に関する第1の先行技術として、冊子の背と表紙との間に電子タグを配置する手法が知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。この第1の先行技術は、製本工程で予め冊子の背に形成された第1の接着層に電子タグを接着し、これらに対してさらに接着剤を塗布して第2の接着層を形成した後、冊子の背と表紙とを貼り合わせて製本するものである。このとき電子タグのベースフィルムは、第1及び第2の接着層が持つ熱の影響を受けて軟化し、これらの接着層と融合する。これにより電子タグは、接着層の内部に固定される。
【0003】
上述した第1の先行技術によれば、書籍に用いられた紙をリサイクルする古紙再生工程において、電子タグは接着層と一体になった状態で除去されるため、電子タグの破片(金属成分や樹脂成分、シリコン等)が異物として再生パルプに混入するのを防止できると考えられる。
【0004】
また第2の先行技術として、粘着テープの形態として電子タグを書籍に貼り込む手法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。第2の先行技術は、ベースの素材としてテープ材を使用し、このテープ材の面上に磁気式タグ及び非接触式電子タグ(ICタグ)を平行に配置して、これらをテープごと固定するものである。第2の先行技術によれば、特に電子タグの幅方向及び厚さ方向でみた寸法を細型化することができる。このため、電子タグを書籍の頁の間や折丁の喉部に挟み込んだり、両面テープ等を用いて上記の頁の間や喉部に貼着させたりすることができると考えられる。
【0005】
さらに第3の先行技術として、本文の一頁に電子タグを貼りつけた後、隣り合う頁同士を貼り合せて電子タグを本文の間に配置する手法がある(例えば、特許文献4参照)。特に第3の先行技術は、本来の製本ラインとは別の製造ラインにおいて、アタッチャーやラベラー等の既存設備を使用して裏表紙や本文頁の間に電子タグを貼り込む技術を提供するものである。このため第3の先行技術によれば、特に電子タグを書籍に貼り込むための専用設備を新たに設けることなく、電子タグ付き書籍を容易に生産することができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−73174号公報(図1,図2)
【特許文献2】特開2009−76046号公報(図1,図2)
【特許文献3】特開2009−116494号公報(段落0022,図3)
【特許文献4】特開2003−11543号公報(図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した第1の先行技術(特許文献1,2)は、無線綴じ書籍に比べて背幅が狭い中綴じ書籍にはあまり適していない。すなわち、対象物が中綴じ書籍である場合、その冊子の背と表紙との間に電子タグを配置し、さらに接着層で電子タグを被覆することは困難である。また中綴じ書籍の背に電子タグを配置し、これを接着層で被覆すると、電子タグや接着層の部分が他から大きく隆起してしまう。この場合、電子タグは外部からの圧力を受けやすくなり、破損する可能性が高くなる。
【0008】
この点、第2の先行技術は、薄型にしたテープの形態で電子タグを書籍に貼り付けるものであるが、その貼り込み作業はあくまで人手による後付けでしかない。このため、どうしても後付けしたテープは露出してしまうため、読者の目に触れて書籍の美観を損ねるという大きな問題がある。
【0009】
また第3の先行技術は、電子タグを本文頁の間に固定しているため、それだけ本文頁の厚さが増してしまう。つまり書籍を閉じた状態で、これを厚さ方向でみると、電子タグが貼り込まれた部分は他の部分に比べて隆起した状態になる。このため、例えば書籍を平積みした状態で管理したり店頭に陳列したりする場合のバランスが悪く、利用者にとっては不便である。さらに、通常の製本ラインとは別にアタッチャーやラベラー等の設備を使用して表紙や折丁に電子タグを貼り込んでおく必要があることから、その作業時間が余計に掛かり、書籍の生産効率が低下するという問題がある。
【0010】
そこで本発明は、電子タグを書籍の安全な位置に効率よく貼り込み電子タグの破損や剥離を防止することができる技術の提供を課題する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための第1の発明は、所定の搬送経路に沿って搬送体を移動させつつ、この搬送体上に複数の折丁を開いた状態で順に供給しながら丁合して中綴じされる中綴じ書籍への電子タグの貼り込みを行う電子タグの貼り込み装置を提供する。特に、第1の発明の貼り込み装置は、丁合部、タグ供給部及び被覆層形成部を備える。
【0012】
このうち丁合部は、複数の折丁を丁合する過程の前期内で、予め喉部に孔が形成された複数の孔付き折丁を搬送体へ供給した後、その後期内で孔付き折丁以外の折丁を搬送体へ供給することにより、複数の折丁が搬送体上に積層して形成された丁合物の喉部に下向きに開口した凹部を形成するものである。またタグ供給部は、搬送体の移動に伴い搬送経路上を搬送される丁合物に対し、搬送体を通じてその下方から電子タグを供給することにより、折丁の綴じ目となる喉部に形成された凹部の内面に電子タグを貼り付けるものである。なお、電子タグの貼り付けを行うタイミングは、折丁が綴じ具で中綴じされた後でもよいし、その前でもよい。また被覆形成部は、タグ供給部による電子タグの貼り付け後、搬送体の移動に伴い搬送経路上を搬送される丁合物に対し、その喉部に沿って電子タグの被覆層を形成するものである。なお丁合の過程の前期と後期は、純粋に前後関係だけを示し、それぞれの時間的な長さや、供給する折丁の枚数に制約があるわけではない。
【0013】
第1の発明によれば、本来の製本ラインを用いて丁合や中綴じといった通常の製本作業を進行させつつ、その過程で電子タグの貼り込み作業を行うことができる。このため電子タグの貼り付けのためだけに製本ラインとは別の設備(例えばアタッチャー、ラベラー等)をわざわざ稼動させる必要はないし、製本ラインとは別のところで予め折丁や表紙に電子タグを貼り付ける作業を行っておく必要もない。これにより、製本作業に要する時間を引き延ばしたり、生産効率を低下させたりすることなく、中綴じ書籍への電子タグの貼り込みを効率よく確実に行うことができる。
【0014】
また、凹部の内面に貼り付けられた電子タグは、その後に形成される被覆層で保護されることから、残りの製本過程(例えば断裁工程)で一度貼り付けた電子タグが剥離したり、脱落したりするのを防止することができる。また被覆層は、電子タグが直に露出するのを防止し、その存在を目立たなくすることもできる。これにより、中綴じ書籍の流通・販売過程での電子タグの利用を確実に保証し、その利便性(販売・流通の情報管理に資する性質)を有効に発揮させることができる。
【0015】
また上記の態様であれば、単に被覆層で電子タグを被覆するだけでなく、綴じ具(例えば針金)をも一緒に被覆することができる。この場合、中綴じ書籍を完成状態でみたとき、電子タグとともに綴じ具が喉部に露出しなくなるため、ユーザが電子タグだけでなく、綴じ具に誤って触れるのを確実に防止することができる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明の構成において、上記の搬送体は、供給される各折丁をその綴じ目を頂点にした山形状に開いた状態で積載するべく搬送経路の横断方向に対向して対をなし、かつ、供給される各折丁の綴じ目が位置する中央に隙間をおいた状態で搬送経路に沿って複数に配列されているものとする。そしてタグ供給部は、搬送経路の横断方向で対向する搬送体同士の隙間を通じて凹部の内面に電子タグを貼り付けることができる。
【0017】
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、中綴じ書籍の製本ラインとして一般的な態様を採用しつつ、その特性(互いに対をなす搬送体同士の中央に隙間が形成されている点)をうまく利用して、電子タグの貼り込み作業を効率的に実現することができる。
【0018】
第3の発明は、第2の発明の構成において、その被覆層形成部は、搬送経路の横断方向で対向する搬送体同士の隙間を通じて被覆層を形成することを特徴とする。
【0019】
第3の発明によれば、第2の発明と同様に一般的な態様の製本ラインを採用しつつ、その特性をうまく利用して被覆層の形成を行うことができる。また第2の発明の作用に加えてさらに、供給経路に沿って電子タグの貼り込み位置と被覆層の形成位置とを互いに近接して配置することができるため、貼り付け済みの電子タグに対して、流れ作業で即座に被覆層による保護を施すことができる。これにより、貼り付け後の電子タグの剥離や脱着を確実に防止することができる。
【0020】
第4の発明は、第1から第3の発明の構成において、丁合部は、複数の折丁をそれぞれ支持しつつ搬送体へ供給する支持部材を有しているものとする。そして孔付き折丁は、支持部材により支持される位置及び中綴じ用の綴じ具が貫通する予定の位置を避けた位置で、かつ、喉部の長手方向でみた中央の位置に孔が形成されていることを特徴とする。
【0021】
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、孔付き折丁を通常の(孔が設けられていない)折丁と同様に搬送体へ供給することができる。すなわち孔付き折丁に設けられた孔は、支持部材が折丁を支持する位置を避けた位置に配置されている。このため、折丁の区別(孔付き又はそれ以外)によって支持位置を変更する必要がないため、搬送効率を低下させることなく搬送体へ折丁を供給することができる。また、孔の位置と支持位置とが重複しておらず、支持部材が孔の位置を支持しようとして折丁を掴み損ねることがないため、折丁の供給漏れを引き起こすこともない。
【0022】
第5の発明は、第1から第4の発明の構成において、丁合部は、電子タグ及び被覆層を合わせた分の厚さ寸法に基づいて凹部の深さを予め設定し、搬送体上での積層高さが凹部の深さに相当する枚数分の孔付き折丁を供給することを特徴とする。
【0023】
第5の発明によれば、第4の発明の作用に加えてさらに、凹部の深さを適切な寸法(電子タグの貼り込みと被覆に適した寸法)に設定することができる。これにより、書籍の中央頁を開いた状態でみると、電子タグを被覆した被覆層が中央頁上で極端に隆起することがない。このため書籍が平積みされた状態であっても、書籍をバランスよく積み上げることができる。さらに、凹部に電子タグが被覆されているため、平積みされた書籍の圧力で電子タグが破損することもない。
【0024】
第6の発明は、第1から第5の発明の構成において、タグ供給部は、凹部の長手方向に沿う中心線上に電子タグを貼り付けるものとする。そして被覆層形成部は、凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに綴じ具を含む領域にわたって被覆層を形成することを特徴とする。
【0025】
第6の発明によれば、第5の発明の作用に加えてさらに、電子タグは書籍を開いた状態でみると、その中央頁から厚み方向で背に近い位置にある折丁(途中頁)に配置されることになる。そして書籍を閉じた状態でみると、中央頁の喉部よりも途中頁の喉部の方が折れ曲がる角度は浅い。このため、書籍を開閉する際に電子タグが極端に折り曲げられることがなく、より安全に電子タグを管理することができる。さらに被覆層は、中綴じ書籍を完成状態でみたとき、電子タグとともに綴じ具が喉部に露出しなくなるため、ユーザが電子タグだけでなく、綴じ具に誤って触れるのを確実に防止することができる。
【0026】
第7の発明は、第1から第5の発明の構成において、タグ供給部は、電子タグを凹部の内面に貼り付ける際、電子タグの長手方向でみた一方の側縁を折丁の綴じ目に沿って配置する。そして被覆層形成部は、凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに綴じ具を含む領域にわたって被覆層を形成することを特徴とする。
【0027】
第7の発明によれば、第5の発明の作用に加えてさらに、凹部の内面に貼り付けられた電子タグは、書籍を開いた状態でみて片側頁の喉部に貼り付けられることになる。これにより、書籍を開閉しても電子タグは折丁の折り目を介して折り曲げられることがない。このため、電子タグが折り曲げられて破損することを確実に防止できる。さらに被覆層は、中綴じ書籍を完成状態でみたとき、電子タグとともに綴じ具が喉部に露出しなくなるため、ユーザが電子タグだけでなく、綴じ具に誤って触れるのを確実に防止することができる。
【0028】
第8の発明は、第2から第7の発明の構成において、タグ供給部は、搬送経路上を搬送される折丁に対して電子タグを連続的に供給するため、例えば、以下の構成を有する。
【0029】
すなわちタグ供給部は、電子タグの吸着ドラムやその供給ユニット、接着剤の塗布ユニット、そしてエアノズルを有する。このうち吸着ドラムは、搬送経路の横断方向で対向する搬送体の間に配置されており、その外周に形成された吸着面に電子タグを吸着した状態で回転する。このような吸着ドラムは、その回転に伴い、搬送体同士の隙間を通じて折丁の喉部に対向する近接位置で吸着面を搬送体の移動に同期して移動させることができる。
【0030】
次に供給ユニットは、吸着ドラムの回転に伴い、上記の近接位置から離れた別の供給位置で吸着面に電子タグを供給する。また塗布ユニットは、吸着ドラムの回転に伴い、供給位置で供給された電子タグが近接位置に到達するまでの間に吸着ドラムの外側から電子タグに接着剤を塗布する。そしてエアノズルは、近接位置で吸着ドラムの内側から吸着面を通じてその外側へ向かう空気流を発生させることにより、吸着ドラムの回転に伴い近接位置に到達した電子タグを凹部の内面に貼り付けるものである。
【0031】
第8の発明によれば、第2から第7の発明の作用に加えてさらに、まず吸着ドラムの外周上に近接位置と供給位置とがそれぞれ規定され、このうち近接位置は、上記のように吸着面が折丁の喉部に対向する場所であるが、供給位置はそこから離れた別の場所(例えば回転方向に半周はなれた場所)にある。この場合、(1)供給ユニットによる供給位置での吸着ドラムへの電子タグの供給、(2)供給された電子タグへの塗布ユニットによる接着剤の塗布、及び(3)エアノズルによる近接位置での電子タグの貼る付けといった個々の動作を吸着ドラムの回転に伴って連続的に実行することができる。そしてこのとき、近接位置での吸着面の移動は搬送体の移動に同期(特に搬送経路に沿う方向への移動速度が同期)しているため、その内周から電子タグに空気を吹き付けるだけで、電子タグが吸着面から折丁の喉部に形成された凹部に向かってスムーズに移行する。これにより、搬送体を用いた製本過程で、折丁の喉部に形成された凹部の内面に対して効率よく確実に電子タグを貼り付けることができる。
【0032】
また、吸着ドラムの回転周期を搬送体による1冊分の搬送ピッチに同期させることで、搬送体の移動に伴い複数の書籍を連続的に製本しつつ、吸着ドラムを連続的に回転させ、次々と搬送される中綴じ書籍への電子タグの貼り込み作業を連続して行うことができる。
【0033】
第9の発明は、中綴じ書籍への電子タグの貼り込み方法である。特に第9の発明の貼り込み方法は、一般に用いられる製本ラインにおいて、所定の搬送経路に沿って搬送体を移動させつつ、この搬送体上に複数の折丁を開いた状態で所定の重ね順に供給しながら丁合して中綴じされる中綴じ書籍への電子タグの貼り込みを行う電子タグの貼り込み方法であり、以下の工程から構成される。
【0034】
(1)丁合工程
この工程では、重ね順の前部分で、予め喉部に孔が形成された複数の孔付き折丁を搬送体へ供給した後、重ね順の後部分で孔付き折丁以外の折丁を搬送体へ供給することにより、複数の折丁が前記搬送体上に積層して形成された丁合物の喉部に下向きに開口した凹部を形成するものである。なお重ね順の前部分と後部分は、純粋に前後関係だけを示し、それぞれの時間的な長さや、供給する折丁の枚数に制約があるわけではない。
【0035】
(2)タグ供給工程
この工程では、搬送体の移動に伴い搬送経路上を搬送される丁合物に対し、搬送体を通じてその下方から電子タグを供給することにより、凹部の内面に電子タグを貼り付ける。なお、電子タグの貼り付けは、折丁と表紙とが綴じ具で中綴じされた後でもよいし、その前でもよい。
【0036】
(3)被覆層形成工程
この工程では、上記の(2)タグ供給工程での電子タグの貼り付け後、搬送体の移動に伴い搬送経路上を搬送される折丁に対し、その喉部に沿って電子タグ及び凹部をともに被覆する被覆層を形成する。
【0037】
第9の発明によれば、第1の発明と同等の効果を得ることができる。また第9の発明では、単に被覆層で電子タグを被覆するだけでなく、綴じ具(例えば針金)をも一緒に被覆することができる。この場合、中綴じ書籍を完成状態でみたとき、電子タグとともに綴じ具が喉部に露出しなくなるため、ユーザが電子タグだけでなく、綴じ具に誤って触れるのを確実に防止することができる。
【0038】
第10の発明は、第9の発明の貼り付け方法において、丁合工程では、電子タグ及び被覆層を合わせた分の厚さ寸法に基づいて凹部の深さを予め設定し、搬送体上での積層高さが凹部の深さに相当する枚数分の孔付き折丁を供給することを特徴とする。
【0039】
第10の発明によれば、出来上がった凹部の深さを適切な寸法(電子タグの貼り込みと被覆に適した寸法)に設定することができる。これにより、書籍の中央頁を開いた状態でみると、電子タグを被覆した被覆層が中央頁上で極端に隆起することがない。このため書籍が平積みされた状態であっても、書籍をバランスよく積み上げることができる。さらに、凹部に電子タグが被覆されているため、平積みされた書籍の圧力で電子タグが破損することもない。
【0040】
第11の発明は、第9や第10の発明の貼り付け方法において、タグ供給工程では、凹部の長手方向に沿う中心線上に電子タグを貼り付けるものとする。そして被覆層形成工程では、凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに綴じ具を含む領域にわたって被覆層を形成することを特徴とする。
【0041】
第11の発明によれば、電子タグは書籍を開いた状態でみると、その中央頁から厚み方向で背に近い位置にある折丁(途中頁)に配置されることになる。そして書籍を閉じた状態でみると、中央頁の喉部よりも途中頁の喉部の方が折れ曲がる角度は浅い。このため、書籍を開閉する際に電子タグが極端に折り曲げられることがなく、より安全に電子タグを管理することができる。さらに被覆層は、中綴じ書籍を完成状態でみたとき、電子タグとともに綴じ具が喉部に露出しなくなるため、ユーザが電子タグだけでなく、綴じ具に誤って触れるのを確実に防止することができる。
【0042】
第12の発明は、第9や第10の発明の貼り付け方法において、タグ供給工程では、電子タグを前記凹部の内面に貼り付ける際、電子タグの長手方向でみた一方の側縁を折丁の綴じ目に沿って配置する。そして、被覆層形成工程は、凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに綴じ具を含む領域にわたって被覆層を形成することを特徴とする。
【0043】
第12の発明によれば、凹部の内面に貼り付けられた電子タグは、書籍を開いた状態でみて片側頁の喉部に貼り付けられることになる。これにより、書籍を開閉しても電子タグは折丁の折り目を介して折り曲げられることがない。このため、電子タグが折り曲げられて破損することを確実に防止できる。さらに被覆層は、中綴じ書籍を完成状態でみたとき、電子タグとともに綴じ具が喉部に露出しなくなるため、ユーザが電子タグだけでなく、綴じ具に誤って触れるのを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の貼り込み装置及び貼り込み方法によれば、特別な設備を使用することなく、本来の製本ラインを稼動させるだけで中綴じ書籍への電子タグの貼り込み作業を実行することができる。また、作業の効率化をはかりながらも、単に電子タグを貼り込むことだけにととまらず、その後の保護にまで配慮しているため、製本された電子タグ付き中綴じ書籍の品質を高く維持することができる。これにより、電子タグ付き書籍の生産効率を向上し、その流通・管理に大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態の貼り込み装置及び貼り込み方法を用いて得られた中綴じ書籍を概略的に示す斜視図である。
【図2】中綴じ書籍の中央頁を開いた状態を概略的に示す平面図である。
【図3】孔付き折丁の形態とその丁合に用いられる機構要素を概略的に示す斜視図である。
【図4】中綴じ書籍の製本ラインの一部とともに製本作業の流れを概略的に示す図である。
【図5】搬送経路とともに貼り込みユニットの構成を具体的に示す平面図である。
【図6】貼り込みユニットの構成を搬送経路の上流側からみた背面図である。
【図7】貼り込みユニットの全体的な構成とその動作を概略的に示した図である。
【図8】貼り込みユニット及びモールド材塗布ユニットの動作タイミングを制御する構成を概略的に示すブロック図である。
【図9】ICタグ貼り込み工程で貼り込みユニットの動作タイミングを制御するための手順例を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態の貼り込み装置及び貼り込み方向を用いて完成された中綴じ書籍の平面図である。
【図11】第2実施形態で用いられる貼り込みユニットの構成を搬送経路の上流側からみた背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0047】
図1は、第1実施形態の貼り込み装置及び貼り込み方法を用いて得られた中綴じ書籍1を概略的に示す斜視図である。また図2は、中綴じ書籍1の中央頁2を開いた状態を概略的に示す平面図である。この中綴じ書籍1には、その完成状態でICタグ4(電子タグ)が貼り付けられている。ICタグ4は、本実施形態の貼り込み装置を用いて中綴じ書籍1の所望の位置(この場合は喉部12)に貼り込まれている。以下、電子タグの貼り込み装置とこれを用いて実施される貼り込み方法について説明する前に、完成状態でみた中綴じ書籍1の構成について説明する。
【0048】
完成された中綴じ書籍1は、その中央頁2を開いた状態でみると、喉部12に針金6(綴じ具)や凹部8、ICタグ4、モールド材10(被覆層)が配置されている。中綴じ書籍1は、この背の方向から針金6で中綴じされており、針金6は喉部12の折り目14上で露出している。針金6は折り目14に沿って2箇所に配置されており、これらは中綴じ書籍1の天地方向でみた上部と下部とにそれぞれ配置されている。中綴じ書籍1の本文を構成する複数の折丁や表紙(参照符号なし)は、2本の針金6によって綴じ止めされている。
【0049】
上記の凹部8は、喉部12の略中央位置に形成されている。この凹部8は、中綴じ書籍1を開いた状態でみて上方向に開口しており、その内部には底面(図示していない)が存在する。つまり凹部8は中綴じ書籍1を厚み方向に貫通しておらず、その途中で行き止まりとなっており、その底面に上記のICタグ4が貼り付けられている。喉部12には、その長手方向に沿ってモールド材10が塗布されており、このモールド材10は、上記の針金6や凹部8、そしてICタグ4を被覆している。
【0050】
次に図2を参照し、各部のより詳細な位置関係や形状について説明する。
図2に示されるように、上記の凹部8は略矩形状をなしており、その長手方向に沿う中心線が折り目14に略合致している。なお凹部8の底面は、表紙に到達するまでの途中頁の喉部に相当する。したがってICタグ4は、途中頁の喉部12上(図1に示されている凹部8の底面)でその略中央に貼り付けられていることになる。この状態でICタグ4は、例えば折り目14を境にした両側頁に跨った状態で貼り付けられている。
【0051】
2本の針金6は、中央頁2の折り目14に沿った2箇所の綴じ目位置に露出している。なお針金6は、例えば凹部8を挟んだ上部及び下部にそれぞれ配置されている。そして、モールド材10が上記の針金6、凹部8及びICタグ4を一続きにして被覆することで、中央頁2が開かれた状態でも、針金6やICタグ4が露出することはない。
【0052】
次に中綴じ書籍1の製本過程について説明する。
図3は、中綴じ書籍1の製本に用いられる孔付き折丁16の形態とその丁合(ハンドリング)に用いられる機構要素を概略的に示す斜視図である。中綴じ書籍1の製本過程において、孔付き折丁16は折り目14を頂点にした山形状に開いた状態で搬送経路(図3では図示しない)へ供給されて丁合される。このとき孔付き折丁16は、これを取り出すための爪18及び吸着パッド20によって支持されつつ搬送経路へ供給される。
【0053】
中綴じ書籍1の製本過程で、丁合の前期中に供給される全ての孔付き折丁16には、予め孔8aが形成されている。この孔8aは、上記の孔付き折丁16を長手方向でみた喉部12の略中央に形成されている。つまり孔付き折丁16は、喉部12の一部及び折り目14の一部が切り抜かれた状態で搬送経路へ供給される。
【0054】
このような孔付き折丁16は、その製本過程で折り目14の上方から2つの爪18によって孔付き折丁16の喉部12をつまんだ状態で支持される。2つの爪18は孔付き折丁16の長手方向に配列されており、各爪18が孔8aを挟んで対向する位置を掴んでいる。また吸着パッド20は、喉部12の両端近傍の部位をその両側で2箇所ずつ支持しており、これら吸着パッド20による支持位置は、折り目14を挟んで両側に位置している。なお、これら爪18や吸着パッド20については、孔付き折丁16に対して孔8aを避けた位置に調整すれば、既存の丁合機に備え付けのものを用いてもよい。
【0055】
〔第1実施形態〕
以下、第1実施形態の貼り込み装置及び貼り込み方法について具体的に説明する。
図4は、中綴じ書籍1の製本ライン22の一部とともに製本作業の流れを概略的に示す図である。製本ライン22は搬送経路24を有しており、この搬送経路24は、例えば水平な直線状に延びている。ここでは便宜上、搬送経路24を簡略化して示しているが、搬送経路24は多数の搬送体(図4には示されていない)を用いたギャザリングチェーンで構成されている。製本ライン22での製本作業は、搬送経路24に沿って搬送体を移動させつつ、この搬送体上に孔付き折丁16や通常の(孔付きでない)折丁17を順に供給しながら進行する。なお図4中、製本ライン22の流れ方向(搬送体の移動方向)が白抜きの矢印で示されている。また本実施形態は、一般的な製本ライン22において実施されるものであるが、図4中、丁合工程が実行された後に続く所定の工程については図示を省略している。
【0056】
搬送経路24では、図示しない丁合機から複数の孔付き折丁16及び通常の折丁17が順番に供給されて一冊分に丁合されている。このとき、丁合工程の前期内で供給される全ての孔付き折丁16には、その喉部12に孔8a(切り欠き)が予め形成されている。孔付き折丁16の総枚数は、例えばICタグ4の収容(埋設)とその被覆に必要な厚みを基準として設定することができる。
【0057】
丁合工程の前期内(重ね順の前部分)で全ての孔付き折丁16が供給されると、残りの後期内(重ね順の後部分)では通常の折丁17が供給される。いずれにしても、孔付き折丁16や通常の折丁17は、例えばその折り目14を頂点とした山形状に開いた状態で供給され、図示しない搬送体に跨がる(あるいは鞍に載せる)ようにして積層される。そして孔付き折丁16及び通常の折丁17が全て供給されると、最後に表紙28が供給されて(表紙が存在しなくてもよい)丁合が完了する。これにより、搬送体上に積層された中身(孔付き折丁16及び通常の折丁17の丁合物)を厚さ方向でみた喉部12には、下向きに開口した凹部8が形成される(丁合工程)。
【0058】
丁合が完了すると、孔付き折丁16、通常の折丁17及び表紙28は一冊の冊子30(丁合物)となり、この状態でズレ・タレ検査が行われる(ズレ・タレ検査工程)。搬送経路24の途中には、例えばその搬送方向に対をなして、2つの光学式センサ(フォトスイッチ)が配置されている。これら光学式センサの配置間隔は、予め断裁前でみた冊子30の天地寸法と略同じか、それより僅かに大きく設定されている。このため、2つの光学式センサの間を冊子30が通過する際、例えば天地方向に孔付き折丁16又は表紙がずれていると(ズレ)、同時に2つの光学式センサが反応することから、それによってズレ不良と判定することができる。また光学式センサは、例えば上下方向にも対をなして配置されており、このうち下方の光学式センサは、例えば、断裁前で見た冊子30の小口よりも下方の位置にその検出光軸が設定されている。このため冊子30内で孔付き折丁16又は表紙の折り目14が厚み方向に整合しておらず、いずれかが左右に垂れ下がっていると(タレ)、下方の光学式センサが反応することでタレ不良と判定することができる。
【0059】
次に冊子30は検査用の計測ローラ(図示しない)を通過し、ここで厚み検査が行われる(厚み検査工程)。計測ローラは、搬送経路24に対して上下方向に移動できる状態で設置されており、冊子30が計測ローラを通過する際、計測ローラは冊子30の背に押し上げられた状態となる。このときの計測ローラの位置(例えば、搬送経路24の基準面からの高さ)から冊子30の厚みが適正であるか否か(増丁又は落丁の有無)を検査することができる。
【0060】
厚み検査が行われると、次に冊子30は図示しないステープラにより針金6で中綴じされる。このとき針金6は、例えば冊子30の背の方向から天地方向で2箇所に打ち付けられる。中綴じされた冊子30は、例えば図示しない磁気検査装置を用いて針金6の打ち損じがあるか否かを検査される。なお針金6が打たれる位置は、孔付き折丁16の孔8aを避けた位置に予め調整されている。逆に言えば、各孔付き折丁16には、針金6が打たれる位置を避けて予め孔8aが形成されている。
【0061】
本実施形態では中綴じ(針金打ち)の完了後、搬送経路24上で冊子30にICタグ4(図4には示されていない)が貼り付けられる。このため搬送経路24上には、上記のステープラより下流位置で、冊子30が通過する位置よりも下方に貼り込みユニット32が設置されている。このとき貼り込みユニット32は、丁合工程で形成された凹部8の底面(下方からみた場合の天井)にICタグ4を貼り付ける。なお、貼り込みユニット32のより具体的な構成については、図5〜7を参照してさらに後述する。
【0062】
貼り込みユニット32のさらに下流側で冊子30の下方には、モールド材塗布ユニット34が配置されている。モールド材塗布ユニット34には、予め冊子30の搬送速度に応じてモールド材10の塗布量とその塗布時間が設定されている。この設定に基づいて、モールド材塗布ユニットニット34はその上方を通過する冊子30に対し、中央頁2の喉部12に沿ってモールド材10を一定の長さで帯状に塗布する。これにより、凹部8及びICタグ4がモールド材10で被覆された状態となる。なお本実施形態では、さらにICタグ4と合わせて2箇所の針金6を含む領域にわたってモールド材10が塗布される。
【0063】
ICタグ4の貼り込みとモールド材10の塗布が完了すると、冊子30は搬送経路24から図示しない断裁装置に移送され、そこで、冊子30の天部、地部及び小口の三方が断裁される。またこの後、上記のように図示しないリーダ/ライタによるICタグ4の通信品質検査が行われる。
【0064】
〔電子タグ貼り込み装置の全体構成〕
図5は、搬送経路24とともに貼り込みユニット32の構成を具体的に示す平面図である。また図6は、貼り込みユニット32の構成を搬送経路24の上流側からみた背面図である。電子タグ貼り込み装置は、搬送経路24とともに貼り込みユニット32及び上記のモールド材塗布ユニットニット34で構成されている。
【0065】
上記のように搬送経路24は一般的なギャザリングチェーンで構成されており、ギャザリングチェーンは例えば、主に2本の駆動チェーン26及びブレード36(搬送体)の配列を有している。駆動チェーン26及びブレード36は搬送方向でみて両側に一対をなしており、これら駆動チェーン26及びブレード36の対が互いに平行に延びている。
【0066】
個々のブレード36は、例えば駆動チェーン26の外リンクごとに1つずつ取り付けられており、搬送経路24の全体では、複数のブレード36が搬送方向に連なるようにして配列された状態となる。なお図5には示されていないが、駆動チェーン26には冊子30の一冊分に相当する間隔ごとに、ブレード36とは別のプッシャプレートが取り付けられており、これらプッシャプレート間に孔付き折丁16及び表紙28が供給されるものとなっている。供給された孔付き折丁16及び表紙28は、搬送方向でみてその後端をプッシャプレートに押されながら搬送されていく。
【0067】
また図6に示されているように、個々のブレード36は例えば基端部36a及び傾斜部36bを有しており、このうち基端部36aが駆動チェーン26の外側面に沿って垂直に取り付けられている。一方の傾斜部36bは基端部36aから斜め上方に延びており、その先端(上端)は搬送経路24の幅方向(横断方向)でみた中央近傍にまで達している。両側一対をなすブレード36は、その中央で互いの傾斜部36bの先端を向かい合わせ(合掌)にした状態で山形状に配置されている。このとき傾斜部36bの先端同士は接触しておらずこれらの間には搬送経路24の幅方向に隙間(例えば十数mm〜数十mm程度)が形成されている。
【0068】
なお、駆動チェーン26は、例えば図示しない一対のスプロケット間に掛けまわされて無端状につながっており、搬送経路24上ではガイドレール25に沿って水平に案内されている。このためブレード36及びプッシャプレートは、搬送経路24の終端位置ではスプロケットに案内されて180°回転し、その後は下側の戻り経路を走行する。また、スプロケットには図示しないモータが連結されており、スプロケットはこのモータの駆動力を受けて回転する。このモータには図示しないエンコーダが接続されていて、エンコーダは例えば、駆動チェーン26の搬送速度を計測するためのパルス信号を出力している。
【0069】
搬送経路24の幅方向でみた中央位置にはセンターガイド38(2点鎖線で示す)が設置されており、このセンターガイド38は両側一対をなすブレード36の間(傾斜部36bの先端間の隙間)を搬送方向に沿って延びている。センターガイド38は、搬送経路24の方向でみた断面が山形状(アングル状)をなしており、その上面は両側一対をなすブレード36(傾斜部36b)の上面と連なって1つの山形状をなしている。上記のように丁合工程で孔付き折丁16及び表紙28は開いた状態でブレード36及びセンターガイド38の上に供給される。このとき孔付き折丁16及び表紙28は、両側一対をなすブレード36の上にその綴じ目を頂点とした山形状に開いた状態で積層されるものとなっている。
【0070】
貼り込みユニット32は、両側一対をなす駆動チェーン26及びブレード36の配列の間に設置されている。貼り込みユニット32は、例えばリール40やタグ送り出しローラ42、タグセット台46、吸着ドラム48、糊塗布ユニット50といったメインの機構部品を有しており、これら機構部品が搬送経路24の幅方向でみた中央位置に略一列で配置されている。また貼り込みユニット32は、上記の機構部品を付随してタグ送り出しモータ52やロータリソレノイド54、駆動モータ56といった駆動部品を有しており、これら駆動部品はそれぞれ駆動対象となるタグ送り出しローラ42、タグセット台46及び吸着ドラム48の各駆動軸(特に図示していない)に連結されている。
【0071】
また吸着ドラム48は、その外周面が吸着面として形成されている。すなわち吸着面には、周方向に多数のサクション孔58が配列して形成されており、吸着ドラム48は、これらサクション孔58を通じて吸着力を発生させることができる。なお、ここでは吸着面の幅方向にスリット状のサクション孔58を形成した例を挙げているが、サクション孔58は丸穴形状であってもよい。例えば図6に示されているように、吸着ドラム48はその吸着面にICタグ4を吸着した状態で回転する。このときICタグ4は、その長手方向を吸着ドラム48の周方向(回転方向)に合致させた状態で吸着されている。
【0072】
図6に示されているように、吸着ドラム48は、その回転軸線を水平とした状態で設置されている。吸着ドラム48の回転軸線上には従動プーリ48aが取り付けられており、その鉛直下方には駆動プーリ56aが設置されている。駆動プーリ56aは上記の駆動モータ56の出力軸に取り付けられており、駆動プーリ56aと従動プーリ48aとの間に駆動ベルト60が掛けまわされている。駆動モータ56はその回転に伴い、駆動ベルト60を介して吸着ドラム48を回転させることができる。
【0073】
また吸着ドラム48は上下方向でみて、両側一対をなすブレード36(傾斜部36b)の先端同士の隙間内に外周面の一部(頂部)を位置付けた状態で回転する。このため吸着ドラム48は、搬送される冊子30の喉部12(中央頁2の孔付き折丁16でもよい。これ以降も同様。)に対し、その下方から吸着面の一部を対向させた状態で回転することができる。なお吸着ドラム48の外周上で、上記のように吸着面の一部が冊子30の喉部12と対向する位置(以下、「近接位置」と称する。)では、搬送経路24に沿ってセンターガイド38が部分的に除去されている。このため近接位置ではセンターガイド38に遮られることなく、吸着ドラム48の吸着面に吸着(保持)されたICタグ4が上記喉部12の凹部8でその底面に対して直に近接(対向)した状態となる。このとき吸着ドラム48の厚さ方向(幅方向)の中心線は、凹部8の長手方向の中心線(折り目14)に略合致している。
【0074】
この他にもセンターガイド38は、上記のモールド材塗布ユニット34の情報で搬送経路24に沿って部分的に除去されている。このためモールド材塗布ユニット34はその上方を通過する冊子30の喉部12に対し、モールド材10を適切に塗布することができる。
【0075】
次に図7は、貼り込みユニット32の全体的な構成とその動作を概略的に示した図である。なお図7中、各種の機構部品や駆動部品は適宜、簡略化した状態で示されている。以下、貼り込みユニット32によるICタグ4の貼り込み動作について説明する。
【0076】
〔供給ユニット〕
ICタグ4は、例えば長尺な帯状材(TABテープ等)の形態でリール40に巻き取られている。このためリール40には、個片に切断される前に多数のICタグ4が長手方向に連続した状態でセットされている。
【0077】
リール40から引き出されたICタグ4の帯状材は、上記のタグ送り出しローラ42とピンチローラ62との間を通過して延び、その先頭はタグセット台46の上面全域を経て先端に達している。ピンチローラ62はタグ送り出しローラ42の直下に配置されており、この位置でタグ送り出しローラ42はタグ送り出しモータ52によって図7中の矢印方向に駆動され、これによりICタグ4の帯状材がタグセット台46に送り出される。
【0078】
タグセット台46は、例えば平坦な上面を有した角棒状をなしており、その上面にICタグ4の帯状材を載せた状態で案内することができる。タグセット台46はローラ42,62の対と吸着ドラム48との間を搬送経路24の方向に延びており、その基端部(36a)には上記のロータリソレノイド54が連結されている。タグセット台46は、搬送経路24に対してその下流側に基端部36aを位置付けた状態で設置されており、この基端部36aにて上下方向に一定の角度で回転自在に支持されている。ロータリソレノイド54の駆動に伴い、タグセット台46は水平から僅かに先端を下げた待機位置(図7中の実線)と水平な作動位置(図7中の2点鎖線)との間で変位する。
【0079】
〔電子タグの供給〕
タグセット台46は、その先端部分を吸着ドラム48の下方に位置付けた状態で設置されており、タグセット台46が上記の作動位置に変位すると、その先端部分が吸着ドラム48の吸着面に対して下方から略密着する。このように、タグセット台46の先端部分が吸着面に密着する位置(以下、「供給位置」と称する。)は、上述した「近接位置」とは約180°反対側の下方に位置している。そして、このときタグセット台46の上面に案内されているICタグ4の帯状材は、その先頭部分が吸着面での吸着力(サクション力)によって吸い付けられる。
【0080】
吸着ドラム48の内周には、その略半周分の範囲にわたってエア吸着用の吸着ユニット64が配置されている。すなわち吸着ユニット64は、上記の供給位置から近接位置の手前までの領域をカバーする長さを有しており、その全領域でエア吸着による吸着力を発生させている。なお、吸着ユニット64は吸着ドラム48と別体の状態で例えば図示しない装置フレームには吸着ドラム48だけが回転自在に支持されている。このため吸着面にて吸着力が発生する区間は、吸着ドラム48の回転中も常に上記の供給位置から近接位置の手前までの区間にわたって発揮されることになる。
【0081】
吸着ドラム48は、上記の供給位置でICタグ4の帯状材の先頭部分を吸い付けると、この状態で図中の矢印方向に回転する。この回転に同期してタグ送り出しモータ52がタグ送り出しローラ42を駆動し、ICタグ4の帯状材をリール40から送り出す。これに伴い、ICタグ4の帯状材はその先頭部分から順に吸着面に吸い付けられつつ、吸着ドラム48の回転に伴ってタグセット台46からさらに送り出されていく。
【0082】
〔電子タグの個片化〕
一方でタグセット台46には、その先端にカッタ66が取り付けられており、このカッタ66は、例えばタグセット台46が上記の作動位置に変位した状態で、リニアソレノイド(図示されていない)により上下に移動する。このときカッタ66はその上昇に伴い、タグセット台46の先端縁の位置でICタグ4の帯状材を切断する。カッタ66による帯状材の切断は、個片としてのICタグ4の長さ(1本分)が引き出されたタイミングで行われる。そして帯状材の切断後、リニアソレノイドが作動を停止してカッタ66を下降させるとともにロータリソレノイド54が作動を停止してタグセット台46を待機位置に復帰させる。
【0083】
〔吸着ドラム48による電子タグの搬送〕
これにより、吸着ドラム48には個片に切断された1本のICタグ4だけが吸着された状態となり、この後、1本のICタグ4は吸着ドラム48の回転に伴い、上記の近接位置に向けて搬送されていく。
【0084】
〔塗布ユニットによる接着剤の塗布〕
吸着ドラム48の外側(一側方)には、上記の供給位置から近接位置までの間(ここでは略中間)に上記の糊塗布ユニット50が設置されている。糊塗布ユニット50はその吐出口から接着剤を噴出することで、ICタグ4の搬送過程でこれに接着剤を塗布することができる。接着剤を塗布されたICタグ4は、さらに吸着ドラム48の回転に伴い近接位置に向けて搬送される。
【0085】
〔エアノズルによる電子タグの貼り付け〕
吸着ドラム48の内周には、上記の近接位置にエアノズル68が設置されている。エアノズル68は、例えばその噴出口から上方向へ圧搾空気を噴出し、サクション孔58を通じて吸着面の内側から上方へ向かう空気流を発生させる。このようなエアノズル68による空気流の発生は、ICタグ4の先頭部分が近接位置に到達するタイミングで行われる。これにより、吸着面に吸着されたICタグ4がその先端部分から冊子30の喉部12に形成された凹部8の底面(途中頁の喉部12)に向かって移行し、先に塗布されていた接着剤を介して上記の底面に貼り付けられる。
【0086】
ICタグ4の先頭部分が凹部8の底面に貼り付けられると、この後、ICタグ4は冊子30の搬送に伴って吸着ドラム48の吸着面から引き剥がされていく。1本分のICタグ4が全て引き剥がされるまでの間、エアノズル68による空気流の発生を継続することで、上記の底面でその略中央位置(貼り付け位置)に対して確実にICタグ4の貼り付けを行うことができる。
【0087】
またICタグ4の貼り付け後、冊子30が上記のモールド材塗布ユニット34の上方を通過する際、その喉部12に沿ってモールド材10が塗布される。本実施形態では、冊子30の喉部12において2箇所の針金6の間にICタグ4が貼り付けられており、このときモールド材10を塗布する範囲は、凹部8に貼り付けられたICタグ4とともに2箇所の針金6を含む範囲内に設定されている。
【0088】
図8は、貼り込みユニット32及びモールド材塗布ユニット34の動作タイミングを制御する構成を概略的に示すブロック図である。上述した貼り込みユニット32の動作及びモールド材塗布ユニット34の塗布動作は、例えば制御部70(コンピュータハードウェアとしての構成を備えたもの)により制御することができる。
【0089】
制御部70は主に記憶部72及び判別部74を備えている。記憶部72は、例えばROMやRAM等の等のメモリデバイスによって構成されており、各駆動部品の動作タイミング(シーケンス)やモールド材10及び接着剤の塗布時間等を記憶する。また判別部74は、例えば中綴じされた針金6の位置や針金6の綴じ漏れ等について針金位置検査装置80を用いて検査された情報から、中綴じされた冊子30の良否等を判別する。
【0090】
エンコーダ76は、駆動チェーン26が移動するタイミングに基づいてパルス信号を制御部70へ出力する。この信号に基づいて、制御部70は糊塗布ユニット50やタグ送り出しモータ52、ロータリソレノイド54、駆動モータ56、リニアソレノイド78、エアノズル68等のそれぞれの動作タイミングを制御する。
【0091】
糊塗布ユニット50による接着剤の塗布とその塗布時間や、エアノズル68による空気流の発生とその継続時間については、例えば駆動モータ56の作動するタイミングに合わせてそれぞれのタイミング(シーケンス)が予め記憶部72に格納されている。さらにモールド材塗布ユニット34によるモールド材10の塗布とその塗布時間についても、それぞれのタイミング(シーケンス)が予め記憶部72に格納されている。
【0092】
特に本実施形態では、吸着ドラム48の回転周期(1回転)が駆動チェーン26による冊子30の1冊分の搬送周期(1鞍分)に相当している。これにより、ICタグ4が近接位置まで搬送されてくるタイミングと、冊子30の貼り付け位置(凹部8の底面でその略中央)が吸着ドラム48の直上(つまり近接位置)に到達するタイミングとが一致することで、製本ライン22で連続的に冊子30の製本作業を行いつつ、その過程でICタグ4の貼り込み作業を合わせて連続的に行うことが可能となる。
【0093】
図9は、ICタグ貼り込み工程で貼り込みユニット32の動作タイミングを制御するための手順例を示すフローチャートである。以下、上記の制御部70が行う制御上の処理について、各手順を追って説明する。
【0094】
ステップS100:制御部70は、リール40に巻き取られたICタグ4の帯状材をタグセット台46上に送り出した状態で待機している。
【0095】
ステップS102:次に制御部70は、先の針金綴じ工程で中綴じされた冊子30が良品であるか否かを確認する。この確認は、針金綴じ工程でなされた針金6の打ち位置の検査結果や、綴じ漏れ検査の結果に基づいて行われる。このとき、冊子30が不良品であれば(No)、制御部70は今回ICタグ貼り込み工程についての制御をここまでで終了し、次回の工程に備えて最初の手順に復帰する。一方、中綴じされた冊子30が良品であることを確認した場合(Yes)、制御部70は次のステップS104に進む。
【0096】
ステップS104:上記のように、冊子30の搬送タイミングを同期させつつ、制御部70は予め設定されたタイミング(シーケンス)でロータリソレノイド54を作動させる。これにより、タグセット台46が作動位置に上昇(変位)し、その上面に引き出された帯状材の先頭部分が吸着ドラム48の供給位置で吸着面に吸い付けられる。この間、駆動モータ56により吸着ドラム48は一定速度で回転されており、帯状材の先頭部分は吸着面に吸い付いた状態でその回転方向へ送り出されていく。
【0097】
ステップS106:続いて制御部70は、予め設定されたタイミング(シーケンス)でタグ送り出しモータ52を駆動し、ICタグ4の1本分に相当する長さの帯状材をリール40から送り出す。合わせて制御部70は、予め設定されたタイミング(シーケンス)でリニアソレノイド78を作動させ、カッタ66で帯状材を1本分のICタグ4の長さに切断する。
【0098】
ここでは特に図示していないが、カッタ66による切断後、制御部70はロータリソレノイド54及びリニアソレノイド78の作動をそれぞれ中止する。これにより、タグセット台46が作動位置から待機位置に復帰するとともに、カッタ66が下降する。このときタグセット台46の上面に残っているICタグ4は、次の冊子30が搬送されるまで待機した状態となっている(次回のステップS100に対応)。
【0099】
ステップS110:制御部70は、予め設定されたタイミング(シーケンス)で糊塗布ユニット50を作動させ、搬送中のICタグ4に接着剤を塗布する。この間も吸着ドラム48は、冊子30の搬送に同期して回転しつつ、ICタグ4を搬送している。糊塗布ユニット50の作動タイミングは、例えば吸着ドラム48が吸着位置でICタグ4を吸着面に吸い付けた後、約90°(4分の1周分)回転した時点に設定されている。また塗布時間については、ICタグ4の1本分の長さに相当する角度だけ吸着ドラム48が回転するのに必要な時間に設定されている。
【0100】
ステップS112:そして制御部70は、予め設定されたタイミング(シーケンス)でエアノズル68を作動させ、空気流を発生させてICタグ4を凹部8の底面(内面)に貼り付ける。エアノズル68の作動タイミングは、例えば吸着ドラム48が供給位置でICタグ4を吸着面に吸い付けた後、約180°(半周分)回転してICタグ4が近接位置に到達する時点に設定されている。また継続時間については、ICタグ4の1本分の長さに相当する角度だけ吸着ドラム48が回転するのに必要な時間に設定されている。
【0101】
以上のように本実施形態のICタグ4の貼り込み装置及びこれを用いた貼り込み方法によれば、通常の製本ライン22を用いて中綴じ書籍1を製本する際、その製本過程でICタグ4を冊子30に貼り込むことができる。このため、特にICタグ4を貼り込むための作業ラインを別途設けることなく、効率的にICタグ付きの中綴じ書籍1を生産することができる。
【0102】
また貼り込まれたICタグ4は、中綴じ書籍1の完成状態で凹部8内に埋設されているため、ICタグ4の貼り込みによって中綴じ書籍1の厚みに偏りが生じない。このため電子タグ付き中綴じ書籍1の形態であっても、店頭で一般的な平積み販売に好適し、その利便性を向上することができる。
【0103】
さらにICタグ4は、凹部8の底面(内面)に貼り付けられるため中綴じ書籍1が開いた状態を厚さ方向でみると、中央頁2よりも表紙28に近接して配置されている。このため例えば中綴じ書籍1を平積みした状態であっても、リーダ/ライタを用いた非接触の無線通信によりICタグ4に記憶された書籍情報の管理なども迅速に行うことができる。
【0104】
また吸着ドラム48の周長と、駆動チェーン26による冊子30の1冊分の搬送距離(1鞍分)とが互いに等しく、これらの周期が同じに設定されていることから、吸着ドラム48を間欠的に回転駆動する必要がなく、等速で連続的に回転させながらICタグ4の貼り込み作業を実現することができる。これにより、搬送経路24上を連続的に搬送されてくる冊子30に対しても、その搬送効率を低下させることなくICタグ4を冊子30に貼り込むことができる。
【0105】
〔第2実施形態〕
図10は、第2実施形態の貼り込み装置及び貼り込み方向を用いて完成された中綴じ書籍1の平面図である。ここでは、第1実施形態で示したICタグ4の貼り込み位置と、第2実施形態におけるICタグ4の貼り込み位置とが異なっているものの、その他の構成については第1実施形態と同一である。以下、貼り込み装置及び貼り込み方法の第2実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0106】
ICタグ4は、中綴じ書籍1の喉部12を長手方向でみて、その略中央に形成された凹部8の底面(途中頁の喉部12)上に貼り付けられている。第2実施形態では、ICタグ4はさらに孔付き折丁16の折り目14を境にして片側頁上の喉部12に貼り付けられている。これに対して、モールド材10が中央頁2の喉部12に沿って塗布されており、綴じ目に露出した針金6、凹部8及びICタグ4はモールド材10に被覆されている。
【0107】
この場合、ICタグ4を片側の頁上に配置することで、完成状態の中綴じ書籍1を開閉する際に、ICタグ4は折り目14を介して折りたたまれることがない。つまりICタグ4は、中綴じ書籍1を開閉してもこれに連動して折り曲げられることなく凹部8の底面に貼り付けられている。このため、ICタグ4が破損することを確実に防止し、例えばICタグ4に記憶された書籍情報を安全に管理することができる。
【0108】
図11は、第2実施形態で用いられる貼り込みユニット32の構成を搬送経路24の上流側からみた背面図である。なお、ここでは第1実施形態の貼り込みユニット32と共通する構成に同じ符号を付し、その重複した説明を省略するものとする。以下、第2実施形態の貼り込みユニット32について、主に第1実施形態との相違を中心に説明する。
【0109】
図11に示されている吸着ドラム48は、上述した吸着面の近接位置が折り目14を境にして片側頁の喉部12と対向した位置に配置されている。すなわち吸着ドラム48は、搬送経路24の幅方向(横断方向)でみた中央よりも一方のブレード36(傾斜部36b)に近寄った位置に配置されている。これに伴い、図11では図示していないリール40やタグ送り出しローラ42、タグセット台46、糊塗布ユニット50といったメインの機構部品も吸着ドラム48と同様に、搬送経路24の幅方向でみた中央位置よりも一方のブレード36に近寄った位置で略一列に配置されている。これにより、搬送される冊子30の凹部8の底面で、かつ、折り目14を境にした片側頁の喉部12に対してICタグ4を貼り付けることができる。
【0110】
本発明は上述した第1及び第2実施形態に制約されることなく、種々に変更して実施可能である。例えば、第1及び第2実施形態では吸着ドラム48を用いてICタグ4を貼り付けているが、吸着ドラム48の代わりに吸着コンベアを用いてもよい。
【0111】
また、第1及び第2実施形態ではICタグ4を帯状材の形態でリール40から供給しているが、予め個片に切り離されたICタグ4をトレイに積載した状態で供給してもよい。
【0112】
その他、第1及び第2実施形態で挙げた機構部品や駆動部品の構成は一例であり、これらを適宜変換や置換して貼り込み装置を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 中綴じ書籍
4 ICタグ
6 針金(綴じ具)
8 凹部
8a 孔
10 モールド材(被覆層)
16 折丁
18 爪(支持部材)
20 吸着パッド(支持部材)
22 製本ライン
24 搬送経路
26 駆動チェーン
30 冊子
32 ICタグ貼り込み装置
34 モールド材塗布ユニット
48 吸着ドラム
50 糊塗布ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、中綴じ書籍の製本過程で電子タグを効率的かつ安全に貼り込むことができる電子タグの貼り込み装置及びその貼り込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、書籍に電子タグを貼り込む方法に関する第1の先行技術として、冊子の背と表紙との間に電子タグを配置する手法が知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。この第1の先行技術は、製本工程で予め冊子の背に形成された第1の接着層に電子タグを接着し、これらに対してさらに接着剤を塗布して第2の接着層を形成した後、冊子の背と表紙とを貼り合わせて製本するものである。このとき電子タグのベースフィルムは、第1及び第2の接着層が持つ熱の影響を受けて軟化し、これらの接着層と融合する。これにより電子タグは、接着層の内部に固定される。
【0003】
上述した第1の先行技術によれば、書籍に用いられた紙をリサイクルする古紙再生工程において、電子タグは接着層と一体になった状態で除去されるため、電子タグの破片(金属成分や樹脂成分、シリコン等)が異物として再生パルプに混入するのを防止できると考えられる。
【0004】
また第2の先行技術として、粘着テープの形態として電子タグを書籍に貼り込む手法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。第2の先行技術は、ベースの素材としてテープ材を使用し、このテープ材の面上に磁気式タグ及び非接触式電子タグ(ICタグ)を平行に配置して、これらをテープごと固定するものである。第2の先行技術によれば、特に電子タグの幅方向及び厚さ方向でみた寸法を細型化することができる。このため、電子タグを書籍の頁の間や折丁の喉部に挟み込んだり、両面テープ等を用いて上記の頁の間や喉部に貼着させたりすることができると考えられる。
【0005】
さらに第3の先行技術として、本文の一頁に電子タグを貼りつけた後、隣り合う頁同士を貼り合せて電子タグを本文の間に配置する手法がある(例えば、特許文献4参照)。特に第3の先行技術は、本来の製本ラインとは別の製造ラインにおいて、アタッチャーやラベラー等の既存設備を使用して裏表紙や本文頁の間に電子タグを貼り込む技術を提供するものである。このため第3の先行技術によれば、特に電子タグを書籍に貼り込むための専用設備を新たに設けることなく、電子タグ付き書籍を容易に生産することができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−73174号公報(図1,図2)
【特許文献2】特開2009−76046号公報(図1,図2)
【特許文献3】特開2009−116494号公報(段落0022,図3)
【特許文献4】特開2003−11543号公報(図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した第1の先行技術(特許文献1,2)は、無線綴じ書籍に比べて背幅が狭い中綴じ書籍にはあまり適していない。すなわち、対象物が中綴じ書籍である場合、その冊子の背と表紙との間に電子タグを配置し、さらに接着層で電子タグを被覆することは困難である。また中綴じ書籍の背に電子タグを配置し、これを接着層で被覆すると、電子タグや接着層の部分が他から大きく隆起してしまう。この場合、電子タグは外部からの圧力を受けやすくなり、破損する可能性が高くなる。
【0008】
この点、第2の先行技術は、薄型にしたテープの形態で電子タグを書籍に貼り付けるものであるが、その貼り込み作業はあくまで人手による後付けでしかない。このため、どうしても後付けしたテープは露出してしまうため、読者の目に触れて書籍の美観を損ねるという大きな問題がある。
【0009】
また第3の先行技術は、電子タグを本文頁の間に固定しているため、それだけ本文頁の厚さが増してしまう。つまり書籍を閉じた状態で、これを厚さ方向でみると、電子タグが貼り込まれた部分は他の部分に比べて隆起した状態になる。このため、例えば書籍を平積みした状態で管理したり店頭に陳列したりする場合のバランスが悪く、利用者にとっては不便である。さらに、通常の製本ラインとは別にアタッチャーやラベラー等の設備を使用して表紙や折丁に電子タグを貼り込んでおく必要があることから、その作業時間が余計に掛かり、書籍の生産効率が低下するという問題がある。
【0010】
そこで本発明は、電子タグを書籍の安全な位置に効率よく貼り込み電子タグの破損や剥離を防止することができる技術の提供を課題する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための第1の発明は、所定の搬送経路に沿って搬送体を移動させつつ、この搬送体上に複数の折丁を開いた状態で順に供給しながら丁合して中綴じされる中綴じ書籍への電子タグの貼り込みを行う電子タグの貼り込み装置を提供する。特に、第1の発明の貼り込み装置は、丁合部、タグ供給部及び被覆層形成部を備える。
【0012】
このうち丁合部は、複数の折丁を丁合する過程の前期内で、予め喉部に孔が形成された複数の孔付き折丁を搬送体へ供給した後、その後期内で孔付き折丁以外の折丁を搬送体へ供給することにより、複数の折丁が搬送体上に積層して形成された丁合物の喉部に下向きに開口した凹部を形成するものである。またタグ供給部は、搬送体の移動に伴い搬送経路上を搬送される丁合物に対し、搬送体を通じてその下方から電子タグを供給することにより、折丁の綴じ目となる喉部に形成された凹部の内面に電子タグを貼り付けるものである。なお、電子タグの貼り付けを行うタイミングは、折丁が綴じ具で中綴じされた後でもよいし、その前でもよい。また被覆形成部は、タグ供給部による電子タグの貼り付け後、搬送体の移動に伴い搬送経路上を搬送される丁合物に対し、その喉部に沿って電子タグの被覆層を形成するものである。なお丁合の過程の前期と後期は、純粋に前後関係だけを示し、それぞれの時間的な長さや、供給する折丁の枚数に制約があるわけではない。
【0013】
第1の発明によれば、本来の製本ラインを用いて丁合や中綴じといった通常の製本作業を進行させつつ、その過程で電子タグの貼り込み作業を行うことができる。このため電子タグの貼り付けのためだけに製本ラインとは別の設備(例えばアタッチャー、ラベラー等)をわざわざ稼動させる必要はないし、製本ラインとは別のところで予め折丁や表紙に電子タグを貼り付ける作業を行っておく必要もない。これにより、製本作業に要する時間を引き延ばしたり、生産効率を低下させたりすることなく、中綴じ書籍への電子タグの貼り込みを効率よく確実に行うことができる。
【0014】
また、凹部の内面に貼り付けられた電子タグは、その後に形成される被覆層で保護されることから、残りの製本過程(例えば断裁工程)で一度貼り付けた電子タグが剥離したり、脱落したりするのを防止することができる。また被覆層は、電子タグが直に露出するのを防止し、その存在を目立たなくすることもできる。これにより、中綴じ書籍の流通・販売過程での電子タグの利用を確実に保証し、その利便性(販売・流通の情報管理に資する性質)を有効に発揮させることができる。
【0015】
また上記の態様であれば、単に被覆層で電子タグを被覆するだけでなく、綴じ具(例えば針金)をも一緒に被覆することができる。この場合、中綴じ書籍を完成状態でみたとき、電子タグとともに綴じ具が喉部に露出しなくなるため、ユーザが電子タグだけでなく、綴じ具に誤って触れるのを確実に防止することができる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明の構成において、上記の搬送体は、供給される各折丁をその綴じ目を頂点にした山形状に開いた状態で積載するべく搬送経路の横断方向に対向して対をなし、かつ、供給される各折丁の綴じ目が位置する中央に隙間をおいた状態で搬送経路に沿って複数に配列されているものとする。そしてタグ供給部は、搬送経路の横断方向で対向する搬送体同士の隙間を通じて凹部の内面に電子タグを貼り付けることができる。
【0017】
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、中綴じ書籍の製本ラインとして一般的な態様を採用しつつ、その特性(互いに対をなす搬送体同士の中央に隙間が形成されている点)をうまく利用して、電子タグの貼り込み作業を効率的に実現することができる。
【0018】
第3の発明は、第2の発明の構成において、その被覆層形成部は、搬送経路の横断方向で対向する搬送体同士の隙間を通じて被覆層を形成することを特徴とする。
【0019】
第3の発明によれば、第2の発明と同様に一般的な態様の製本ラインを採用しつつ、その特性をうまく利用して被覆層の形成を行うことができる。また第2の発明の作用に加えてさらに、供給経路に沿って電子タグの貼り込み位置と被覆層の形成位置とを互いに近接して配置することができるため、貼り付け済みの電子タグに対して、流れ作業で即座に被覆層による保護を施すことができる。これにより、貼り付け後の電子タグの剥離や脱着を確実に防止することができる。
【0020】
第4の発明は、第1から第3の発明の構成において、丁合部は、複数の折丁をそれぞれ支持しつつ搬送体へ供給する支持部材を有しているものとする。そして孔付き折丁は、支持部材により支持される位置及び中綴じ用の綴じ具が貫通する予定の位置を避けた位置で、かつ、喉部の長手方向でみた中央の位置に孔が形成されていることを特徴とする。
【0021】
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、孔付き折丁を通常の(孔が設けられていない)折丁と同様に搬送体へ供給することができる。すなわち孔付き折丁に設けられた孔は、支持部材が折丁を支持する位置を避けた位置に配置されている。このため、折丁の区別(孔付き又はそれ以外)によって支持位置を変更する必要がないため、搬送効率を低下させることなく搬送体へ折丁を供給することができる。また、孔の位置と支持位置とが重複しておらず、支持部材が孔の位置を支持しようとして折丁を掴み損ねることがないため、折丁の供給漏れを引き起こすこともない。
【0022】
第5の発明は、第1から第4の発明の構成において、丁合部は、電子タグ及び被覆層を合わせた分の厚さ寸法に基づいて凹部の深さを予め設定し、搬送体上での積層高さが凹部の深さに相当する枚数分の孔付き折丁を供給することを特徴とする。
【0023】
第5の発明によれば、第4の発明の作用に加えてさらに、凹部の深さを適切な寸法(電子タグの貼り込みと被覆に適した寸法)に設定することができる。これにより、書籍の中央頁を開いた状態でみると、電子タグを被覆した被覆層が中央頁上で極端に隆起することがない。このため書籍が平積みされた状態であっても、書籍をバランスよく積み上げることができる。さらに、凹部に電子タグが被覆されているため、平積みされた書籍の圧力で電子タグが破損することもない。
【0024】
第6の発明は、第1から第5の発明の構成において、タグ供給部は、凹部の長手方向に沿う中心線上に電子タグを貼り付けるものとする。そして被覆層形成部は、凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに綴じ具を含む領域にわたって被覆層を形成することを特徴とする。
【0025】
第6の発明によれば、第5の発明の作用に加えてさらに、電子タグは書籍を開いた状態でみると、その中央頁から厚み方向で背に近い位置にある折丁(途中頁)に配置されることになる。そして書籍を閉じた状態でみると、中央頁の喉部よりも途中頁の喉部の方が折れ曲がる角度は浅い。このため、書籍を開閉する際に電子タグが極端に折り曲げられることがなく、より安全に電子タグを管理することができる。さらに被覆層は、中綴じ書籍を完成状態でみたとき、電子タグとともに綴じ具が喉部に露出しなくなるため、ユーザが電子タグだけでなく、綴じ具に誤って触れるのを確実に防止することができる。
【0026】
第7の発明は、第1から第5の発明の構成において、タグ供給部は、電子タグを凹部の内面に貼り付ける際、電子タグの長手方向でみた一方の側縁を折丁の綴じ目に沿って配置する。そして被覆層形成部は、凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに綴じ具を含む領域にわたって被覆層を形成することを特徴とする。
【0027】
第7の発明によれば、第5の発明の作用に加えてさらに、凹部の内面に貼り付けられた電子タグは、書籍を開いた状態でみて片側頁の喉部に貼り付けられることになる。これにより、書籍を開閉しても電子タグは折丁の折り目を介して折り曲げられることがない。このため、電子タグが折り曲げられて破損することを確実に防止できる。さらに被覆層は、中綴じ書籍を完成状態でみたとき、電子タグとともに綴じ具が喉部に露出しなくなるため、ユーザが電子タグだけでなく、綴じ具に誤って触れるのを確実に防止することができる。
【0028】
第8の発明は、第2から第7の発明の構成において、タグ供給部は、搬送経路上を搬送される折丁に対して電子タグを連続的に供給するため、例えば、以下の構成を有する。
【0029】
すなわちタグ供給部は、電子タグの吸着ドラムやその供給ユニット、接着剤の塗布ユニット、そしてエアノズルを有する。このうち吸着ドラムは、搬送経路の横断方向で対向する搬送体の間に配置されており、その外周に形成された吸着面に電子タグを吸着した状態で回転する。このような吸着ドラムは、その回転に伴い、搬送体同士の隙間を通じて折丁の喉部に対向する近接位置で吸着面を搬送体の移動に同期して移動させることができる。
【0030】
次に供給ユニットは、吸着ドラムの回転に伴い、上記の近接位置から離れた別の供給位置で吸着面に電子タグを供給する。また塗布ユニットは、吸着ドラムの回転に伴い、供給位置で供給された電子タグが近接位置に到達するまでの間に吸着ドラムの外側から電子タグに接着剤を塗布する。そしてエアノズルは、近接位置で吸着ドラムの内側から吸着面を通じてその外側へ向かう空気流を発生させることにより、吸着ドラムの回転に伴い近接位置に到達した電子タグを凹部の内面に貼り付けるものである。
【0031】
第8の発明によれば、第2から第7の発明の作用に加えてさらに、まず吸着ドラムの外周上に近接位置と供給位置とがそれぞれ規定され、このうち近接位置は、上記のように吸着面が折丁の喉部に対向する場所であるが、供給位置はそこから離れた別の場所(例えば回転方向に半周はなれた場所)にある。この場合、(1)供給ユニットによる供給位置での吸着ドラムへの電子タグの供給、(2)供給された電子タグへの塗布ユニットによる接着剤の塗布、及び(3)エアノズルによる近接位置での電子タグの貼る付けといった個々の動作を吸着ドラムの回転に伴って連続的に実行することができる。そしてこのとき、近接位置での吸着面の移動は搬送体の移動に同期(特に搬送経路に沿う方向への移動速度が同期)しているため、その内周から電子タグに空気を吹き付けるだけで、電子タグが吸着面から折丁の喉部に形成された凹部に向かってスムーズに移行する。これにより、搬送体を用いた製本過程で、折丁の喉部に形成された凹部の内面に対して効率よく確実に電子タグを貼り付けることができる。
【0032】
また、吸着ドラムの回転周期を搬送体による1冊分の搬送ピッチに同期させることで、搬送体の移動に伴い複数の書籍を連続的に製本しつつ、吸着ドラムを連続的に回転させ、次々と搬送される中綴じ書籍への電子タグの貼り込み作業を連続して行うことができる。
【0033】
第9の発明は、中綴じ書籍への電子タグの貼り込み方法である。特に第9の発明の貼り込み方法は、一般に用いられる製本ラインにおいて、所定の搬送経路に沿って搬送体を移動させつつ、この搬送体上に複数の折丁を開いた状態で所定の重ね順に供給しながら丁合して中綴じされる中綴じ書籍への電子タグの貼り込みを行う電子タグの貼り込み方法であり、以下の工程から構成される。
【0034】
(1)丁合工程
この工程では、重ね順の前部分で、予め喉部に孔が形成された複数の孔付き折丁を搬送体へ供給した後、重ね順の後部分で孔付き折丁以外の折丁を搬送体へ供給することにより、複数の折丁が前記搬送体上に積層して形成された丁合物の喉部に下向きに開口した凹部を形成するものである。なお重ね順の前部分と後部分は、純粋に前後関係だけを示し、それぞれの時間的な長さや、供給する折丁の枚数に制約があるわけではない。
【0035】
(2)タグ供給工程
この工程では、搬送体の移動に伴い搬送経路上を搬送される丁合物に対し、搬送体を通じてその下方から電子タグを供給することにより、凹部の内面に電子タグを貼り付ける。なお、電子タグの貼り付けは、折丁と表紙とが綴じ具で中綴じされた後でもよいし、その前でもよい。
【0036】
(3)被覆層形成工程
この工程では、上記の(2)タグ供給工程での電子タグの貼り付け後、搬送体の移動に伴い搬送経路上を搬送される折丁に対し、その喉部に沿って電子タグ及び凹部をともに被覆する被覆層を形成する。
【0037】
第9の発明によれば、第1の発明と同等の効果を得ることができる。また第9の発明では、単に被覆層で電子タグを被覆するだけでなく、綴じ具(例えば針金)をも一緒に被覆することができる。この場合、中綴じ書籍を完成状態でみたとき、電子タグとともに綴じ具が喉部に露出しなくなるため、ユーザが電子タグだけでなく、綴じ具に誤って触れるのを確実に防止することができる。
【0038】
第10の発明は、第9の発明の貼り付け方法において、丁合工程では、電子タグ及び被覆層を合わせた分の厚さ寸法に基づいて凹部の深さを予め設定し、搬送体上での積層高さが凹部の深さに相当する枚数分の孔付き折丁を供給することを特徴とする。
【0039】
第10の発明によれば、出来上がった凹部の深さを適切な寸法(電子タグの貼り込みと被覆に適した寸法)に設定することができる。これにより、書籍の中央頁を開いた状態でみると、電子タグを被覆した被覆層が中央頁上で極端に隆起することがない。このため書籍が平積みされた状態であっても、書籍をバランスよく積み上げることができる。さらに、凹部に電子タグが被覆されているため、平積みされた書籍の圧力で電子タグが破損することもない。
【0040】
第11の発明は、第9や第10の発明の貼り付け方法において、タグ供給工程では、凹部の長手方向に沿う中心線上に電子タグを貼り付けるものとする。そして被覆層形成工程では、凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに綴じ具を含む領域にわたって被覆層を形成することを特徴とする。
【0041】
第11の発明によれば、電子タグは書籍を開いた状態でみると、その中央頁から厚み方向で背に近い位置にある折丁(途中頁)に配置されることになる。そして書籍を閉じた状態でみると、中央頁の喉部よりも途中頁の喉部の方が折れ曲がる角度は浅い。このため、書籍を開閉する際に電子タグが極端に折り曲げられることがなく、より安全に電子タグを管理することができる。さらに被覆層は、中綴じ書籍を完成状態でみたとき、電子タグとともに綴じ具が喉部に露出しなくなるため、ユーザが電子タグだけでなく、綴じ具に誤って触れるのを確実に防止することができる。
【0042】
第12の発明は、第9や第10の発明の貼り付け方法において、タグ供給工程では、電子タグを前記凹部の内面に貼り付ける際、電子タグの長手方向でみた一方の側縁を折丁の綴じ目に沿って配置する。そして、被覆層形成工程は、凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに綴じ具を含む領域にわたって被覆層を形成することを特徴とする。
【0043】
第12の発明によれば、凹部の内面に貼り付けられた電子タグは、書籍を開いた状態でみて片側頁の喉部に貼り付けられることになる。これにより、書籍を開閉しても電子タグは折丁の折り目を介して折り曲げられることがない。このため、電子タグが折り曲げられて破損することを確実に防止できる。さらに被覆層は、中綴じ書籍を完成状態でみたとき、電子タグとともに綴じ具が喉部に露出しなくなるため、ユーザが電子タグだけでなく、綴じ具に誤って触れるのを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0044】
本発明の貼り込み装置及び貼り込み方法によれば、特別な設備を使用することなく、本来の製本ラインを稼動させるだけで中綴じ書籍への電子タグの貼り込み作業を実行することができる。また、作業の効率化をはかりながらも、単に電子タグを貼り込むことだけにととまらず、その後の保護にまで配慮しているため、製本された電子タグ付き中綴じ書籍の品質を高く維持することができる。これにより、電子タグ付き書籍の生産効率を向上し、その流通・管理に大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態の貼り込み装置及び貼り込み方法を用いて得られた中綴じ書籍を概略的に示す斜視図である。
【図2】中綴じ書籍の中央頁を開いた状態を概略的に示す平面図である。
【図3】孔付き折丁の形態とその丁合に用いられる機構要素を概略的に示す斜視図である。
【図4】中綴じ書籍の製本ラインの一部とともに製本作業の流れを概略的に示す図である。
【図5】搬送経路とともに貼り込みユニットの構成を具体的に示す平面図である。
【図6】貼り込みユニットの構成を搬送経路の上流側からみた背面図である。
【図7】貼り込みユニットの全体的な構成とその動作を概略的に示した図である。
【図8】貼り込みユニット及びモールド材塗布ユニットの動作タイミングを制御する構成を概略的に示すブロック図である。
【図9】ICタグ貼り込み工程で貼り込みユニットの動作タイミングを制御するための手順例を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態の貼り込み装置及び貼り込み方向を用いて完成された中綴じ書籍の平面図である。
【図11】第2実施形態で用いられる貼り込みユニットの構成を搬送経路の上流側からみた背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0047】
図1は、第1実施形態の貼り込み装置及び貼り込み方法を用いて得られた中綴じ書籍1を概略的に示す斜視図である。また図2は、中綴じ書籍1の中央頁2を開いた状態を概略的に示す平面図である。この中綴じ書籍1には、その完成状態でICタグ4(電子タグ)が貼り付けられている。ICタグ4は、本実施形態の貼り込み装置を用いて中綴じ書籍1の所望の位置(この場合は喉部12)に貼り込まれている。以下、電子タグの貼り込み装置とこれを用いて実施される貼り込み方法について説明する前に、完成状態でみた中綴じ書籍1の構成について説明する。
【0048】
完成された中綴じ書籍1は、その中央頁2を開いた状態でみると、喉部12に針金6(綴じ具)や凹部8、ICタグ4、モールド材10(被覆層)が配置されている。中綴じ書籍1は、この背の方向から針金6で中綴じされており、針金6は喉部12の折り目14上で露出している。針金6は折り目14に沿って2箇所に配置されており、これらは中綴じ書籍1の天地方向でみた上部と下部とにそれぞれ配置されている。中綴じ書籍1の本文を構成する複数の折丁や表紙(参照符号なし)は、2本の針金6によって綴じ止めされている。
【0049】
上記の凹部8は、喉部12の略中央位置に形成されている。この凹部8は、中綴じ書籍1を開いた状態でみて上方向に開口しており、その内部には底面(図示していない)が存在する。つまり凹部8は中綴じ書籍1を厚み方向に貫通しておらず、その途中で行き止まりとなっており、その底面に上記のICタグ4が貼り付けられている。喉部12には、その長手方向に沿ってモールド材10が塗布されており、このモールド材10は、上記の針金6や凹部8、そしてICタグ4を被覆している。
【0050】
次に図2を参照し、各部のより詳細な位置関係や形状について説明する。
図2に示されるように、上記の凹部8は略矩形状をなしており、その長手方向に沿う中心線が折り目14に略合致している。なお凹部8の底面は、表紙に到達するまでの途中頁の喉部に相当する。したがってICタグ4は、途中頁の喉部12上(図1に示されている凹部8の底面)でその略中央に貼り付けられていることになる。この状態でICタグ4は、例えば折り目14を境にした両側頁に跨った状態で貼り付けられている。
【0051】
2本の針金6は、中央頁2の折り目14に沿った2箇所の綴じ目位置に露出している。なお針金6は、例えば凹部8を挟んだ上部及び下部にそれぞれ配置されている。そして、モールド材10が上記の針金6、凹部8及びICタグ4を一続きにして被覆することで、中央頁2が開かれた状態でも、針金6やICタグ4が露出することはない。
【0052】
次に中綴じ書籍1の製本過程について説明する。
図3は、中綴じ書籍1の製本に用いられる孔付き折丁16の形態とその丁合(ハンドリング)に用いられる機構要素を概略的に示す斜視図である。中綴じ書籍1の製本過程において、孔付き折丁16は折り目14を頂点にした山形状に開いた状態で搬送経路(図3では図示しない)へ供給されて丁合される。このとき孔付き折丁16は、これを取り出すための爪18及び吸着パッド20によって支持されつつ搬送経路へ供給される。
【0053】
中綴じ書籍1の製本過程で、丁合の前期中に供給される全ての孔付き折丁16には、予め孔8aが形成されている。この孔8aは、上記の孔付き折丁16を長手方向でみた喉部12の略中央に形成されている。つまり孔付き折丁16は、喉部12の一部及び折り目14の一部が切り抜かれた状態で搬送経路へ供給される。
【0054】
このような孔付き折丁16は、その製本過程で折り目14の上方から2つの爪18によって孔付き折丁16の喉部12をつまんだ状態で支持される。2つの爪18は孔付き折丁16の長手方向に配列されており、各爪18が孔8aを挟んで対向する位置を掴んでいる。また吸着パッド20は、喉部12の両端近傍の部位をその両側で2箇所ずつ支持しており、これら吸着パッド20による支持位置は、折り目14を挟んで両側に位置している。なお、これら爪18や吸着パッド20については、孔付き折丁16に対して孔8aを避けた位置に調整すれば、既存の丁合機に備え付けのものを用いてもよい。
【0055】
〔第1実施形態〕
以下、第1実施形態の貼り込み装置及び貼り込み方法について具体的に説明する。
図4は、中綴じ書籍1の製本ライン22の一部とともに製本作業の流れを概略的に示す図である。製本ライン22は搬送経路24を有しており、この搬送経路24は、例えば水平な直線状に延びている。ここでは便宜上、搬送経路24を簡略化して示しているが、搬送経路24は多数の搬送体(図4には示されていない)を用いたギャザリングチェーンで構成されている。製本ライン22での製本作業は、搬送経路24に沿って搬送体を移動させつつ、この搬送体上に孔付き折丁16や通常の(孔付きでない)折丁17を順に供給しながら進行する。なお図4中、製本ライン22の流れ方向(搬送体の移動方向)が白抜きの矢印で示されている。また本実施形態は、一般的な製本ライン22において実施されるものであるが、図4中、丁合工程が実行された後に続く所定の工程については図示を省略している。
【0056】
搬送経路24では、図示しない丁合機から複数の孔付き折丁16及び通常の折丁17が順番に供給されて一冊分に丁合されている。このとき、丁合工程の前期内で供給される全ての孔付き折丁16には、その喉部12に孔8a(切り欠き)が予め形成されている。孔付き折丁16の総枚数は、例えばICタグ4の収容(埋設)とその被覆に必要な厚みを基準として設定することができる。
【0057】
丁合工程の前期内(重ね順の前部分)で全ての孔付き折丁16が供給されると、残りの後期内(重ね順の後部分)では通常の折丁17が供給される。いずれにしても、孔付き折丁16や通常の折丁17は、例えばその折り目14を頂点とした山形状に開いた状態で供給され、図示しない搬送体に跨がる(あるいは鞍に載せる)ようにして積層される。そして孔付き折丁16及び通常の折丁17が全て供給されると、最後に表紙28が供給されて(表紙が存在しなくてもよい)丁合が完了する。これにより、搬送体上に積層された中身(孔付き折丁16及び通常の折丁17の丁合物)を厚さ方向でみた喉部12には、下向きに開口した凹部8が形成される(丁合工程)。
【0058】
丁合が完了すると、孔付き折丁16、通常の折丁17及び表紙28は一冊の冊子30(丁合物)となり、この状態でズレ・タレ検査が行われる(ズレ・タレ検査工程)。搬送経路24の途中には、例えばその搬送方向に対をなして、2つの光学式センサ(フォトスイッチ)が配置されている。これら光学式センサの配置間隔は、予め断裁前でみた冊子30の天地寸法と略同じか、それより僅かに大きく設定されている。このため、2つの光学式センサの間を冊子30が通過する際、例えば天地方向に孔付き折丁16又は表紙がずれていると(ズレ)、同時に2つの光学式センサが反応することから、それによってズレ不良と判定することができる。また光学式センサは、例えば上下方向にも対をなして配置されており、このうち下方の光学式センサは、例えば、断裁前で見た冊子30の小口よりも下方の位置にその検出光軸が設定されている。このため冊子30内で孔付き折丁16又は表紙の折り目14が厚み方向に整合しておらず、いずれかが左右に垂れ下がっていると(タレ)、下方の光学式センサが反応することでタレ不良と判定することができる。
【0059】
次に冊子30は検査用の計測ローラ(図示しない)を通過し、ここで厚み検査が行われる(厚み検査工程)。計測ローラは、搬送経路24に対して上下方向に移動できる状態で設置されており、冊子30が計測ローラを通過する際、計測ローラは冊子30の背に押し上げられた状態となる。このときの計測ローラの位置(例えば、搬送経路24の基準面からの高さ)から冊子30の厚みが適正であるか否か(増丁又は落丁の有無)を検査することができる。
【0060】
厚み検査が行われると、次に冊子30は図示しないステープラにより針金6で中綴じされる。このとき針金6は、例えば冊子30の背の方向から天地方向で2箇所に打ち付けられる。中綴じされた冊子30は、例えば図示しない磁気検査装置を用いて針金6の打ち損じがあるか否かを検査される。なお針金6が打たれる位置は、孔付き折丁16の孔8aを避けた位置に予め調整されている。逆に言えば、各孔付き折丁16には、針金6が打たれる位置を避けて予め孔8aが形成されている。
【0061】
本実施形態では中綴じ(針金打ち)の完了後、搬送経路24上で冊子30にICタグ4(図4には示されていない)が貼り付けられる。このため搬送経路24上には、上記のステープラより下流位置で、冊子30が通過する位置よりも下方に貼り込みユニット32が設置されている。このとき貼り込みユニット32は、丁合工程で形成された凹部8の底面(下方からみた場合の天井)にICタグ4を貼り付ける。なお、貼り込みユニット32のより具体的な構成については、図5〜7を参照してさらに後述する。
【0062】
貼り込みユニット32のさらに下流側で冊子30の下方には、モールド材塗布ユニット34が配置されている。モールド材塗布ユニット34には、予め冊子30の搬送速度に応じてモールド材10の塗布量とその塗布時間が設定されている。この設定に基づいて、モールド材塗布ユニットニット34はその上方を通過する冊子30に対し、中央頁2の喉部12に沿ってモールド材10を一定の長さで帯状に塗布する。これにより、凹部8及びICタグ4がモールド材10で被覆された状態となる。なお本実施形態では、さらにICタグ4と合わせて2箇所の針金6を含む領域にわたってモールド材10が塗布される。
【0063】
ICタグ4の貼り込みとモールド材10の塗布が完了すると、冊子30は搬送経路24から図示しない断裁装置に移送され、そこで、冊子30の天部、地部及び小口の三方が断裁される。またこの後、上記のように図示しないリーダ/ライタによるICタグ4の通信品質検査が行われる。
【0064】
〔電子タグ貼り込み装置の全体構成〕
図5は、搬送経路24とともに貼り込みユニット32の構成を具体的に示す平面図である。また図6は、貼り込みユニット32の構成を搬送経路24の上流側からみた背面図である。電子タグ貼り込み装置は、搬送経路24とともに貼り込みユニット32及び上記のモールド材塗布ユニットニット34で構成されている。
【0065】
上記のように搬送経路24は一般的なギャザリングチェーンで構成されており、ギャザリングチェーンは例えば、主に2本の駆動チェーン26及びブレード36(搬送体)の配列を有している。駆動チェーン26及びブレード36は搬送方向でみて両側に一対をなしており、これら駆動チェーン26及びブレード36の対が互いに平行に延びている。
【0066】
個々のブレード36は、例えば駆動チェーン26の外リンクごとに1つずつ取り付けられており、搬送経路24の全体では、複数のブレード36が搬送方向に連なるようにして配列された状態となる。なお図5には示されていないが、駆動チェーン26には冊子30の一冊分に相当する間隔ごとに、ブレード36とは別のプッシャプレートが取り付けられており、これらプッシャプレート間に孔付き折丁16及び表紙28が供給されるものとなっている。供給された孔付き折丁16及び表紙28は、搬送方向でみてその後端をプッシャプレートに押されながら搬送されていく。
【0067】
また図6に示されているように、個々のブレード36は例えば基端部36a及び傾斜部36bを有しており、このうち基端部36aが駆動チェーン26の外側面に沿って垂直に取り付けられている。一方の傾斜部36bは基端部36aから斜め上方に延びており、その先端(上端)は搬送経路24の幅方向(横断方向)でみた中央近傍にまで達している。両側一対をなすブレード36は、その中央で互いの傾斜部36bの先端を向かい合わせ(合掌)にした状態で山形状に配置されている。このとき傾斜部36bの先端同士は接触しておらずこれらの間には搬送経路24の幅方向に隙間(例えば十数mm〜数十mm程度)が形成されている。
【0068】
なお、駆動チェーン26は、例えば図示しない一対のスプロケット間に掛けまわされて無端状につながっており、搬送経路24上ではガイドレール25に沿って水平に案内されている。このためブレード36及びプッシャプレートは、搬送経路24の終端位置ではスプロケットに案内されて180°回転し、その後は下側の戻り経路を走行する。また、スプロケットには図示しないモータが連結されており、スプロケットはこのモータの駆動力を受けて回転する。このモータには図示しないエンコーダが接続されていて、エンコーダは例えば、駆動チェーン26の搬送速度を計測するためのパルス信号を出力している。
【0069】
搬送経路24の幅方向でみた中央位置にはセンターガイド38(2点鎖線で示す)が設置されており、このセンターガイド38は両側一対をなすブレード36の間(傾斜部36bの先端間の隙間)を搬送方向に沿って延びている。センターガイド38は、搬送経路24の方向でみた断面が山形状(アングル状)をなしており、その上面は両側一対をなすブレード36(傾斜部36b)の上面と連なって1つの山形状をなしている。上記のように丁合工程で孔付き折丁16及び表紙28は開いた状態でブレード36及びセンターガイド38の上に供給される。このとき孔付き折丁16及び表紙28は、両側一対をなすブレード36の上にその綴じ目を頂点とした山形状に開いた状態で積層されるものとなっている。
【0070】
貼り込みユニット32は、両側一対をなす駆動チェーン26及びブレード36の配列の間に設置されている。貼り込みユニット32は、例えばリール40やタグ送り出しローラ42、タグセット台46、吸着ドラム48、糊塗布ユニット50といったメインの機構部品を有しており、これら機構部品が搬送経路24の幅方向でみた中央位置に略一列で配置されている。また貼り込みユニット32は、上記の機構部品を付随してタグ送り出しモータ52やロータリソレノイド54、駆動モータ56といった駆動部品を有しており、これら駆動部品はそれぞれ駆動対象となるタグ送り出しローラ42、タグセット台46及び吸着ドラム48の各駆動軸(特に図示していない)に連結されている。
【0071】
また吸着ドラム48は、その外周面が吸着面として形成されている。すなわち吸着面には、周方向に多数のサクション孔58が配列して形成されており、吸着ドラム48は、これらサクション孔58を通じて吸着力を発生させることができる。なお、ここでは吸着面の幅方向にスリット状のサクション孔58を形成した例を挙げているが、サクション孔58は丸穴形状であってもよい。例えば図6に示されているように、吸着ドラム48はその吸着面にICタグ4を吸着した状態で回転する。このときICタグ4は、その長手方向を吸着ドラム48の周方向(回転方向)に合致させた状態で吸着されている。
【0072】
図6に示されているように、吸着ドラム48は、その回転軸線を水平とした状態で設置されている。吸着ドラム48の回転軸線上には従動プーリ48aが取り付けられており、その鉛直下方には駆動プーリ56aが設置されている。駆動プーリ56aは上記の駆動モータ56の出力軸に取り付けられており、駆動プーリ56aと従動プーリ48aとの間に駆動ベルト60が掛けまわされている。駆動モータ56はその回転に伴い、駆動ベルト60を介して吸着ドラム48を回転させることができる。
【0073】
また吸着ドラム48は上下方向でみて、両側一対をなすブレード36(傾斜部36b)の先端同士の隙間内に外周面の一部(頂部)を位置付けた状態で回転する。このため吸着ドラム48は、搬送される冊子30の喉部12(中央頁2の孔付き折丁16でもよい。これ以降も同様。)に対し、その下方から吸着面の一部を対向させた状態で回転することができる。なお吸着ドラム48の外周上で、上記のように吸着面の一部が冊子30の喉部12と対向する位置(以下、「近接位置」と称する。)では、搬送経路24に沿ってセンターガイド38が部分的に除去されている。このため近接位置ではセンターガイド38に遮られることなく、吸着ドラム48の吸着面に吸着(保持)されたICタグ4が上記喉部12の凹部8でその底面に対して直に近接(対向)した状態となる。このとき吸着ドラム48の厚さ方向(幅方向)の中心線は、凹部8の長手方向の中心線(折り目14)に略合致している。
【0074】
この他にもセンターガイド38は、上記のモールド材塗布ユニット34の情報で搬送経路24に沿って部分的に除去されている。このためモールド材塗布ユニット34はその上方を通過する冊子30の喉部12に対し、モールド材10を適切に塗布することができる。
【0075】
次に図7は、貼り込みユニット32の全体的な構成とその動作を概略的に示した図である。なお図7中、各種の機構部品や駆動部品は適宜、簡略化した状態で示されている。以下、貼り込みユニット32によるICタグ4の貼り込み動作について説明する。
【0076】
〔供給ユニット〕
ICタグ4は、例えば長尺な帯状材(TABテープ等)の形態でリール40に巻き取られている。このためリール40には、個片に切断される前に多数のICタグ4が長手方向に連続した状態でセットされている。
【0077】
リール40から引き出されたICタグ4の帯状材は、上記のタグ送り出しローラ42とピンチローラ62との間を通過して延び、その先頭はタグセット台46の上面全域を経て先端に達している。ピンチローラ62はタグ送り出しローラ42の直下に配置されており、この位置でタグ送り出しローラ42はタグ送り出しモータ52によって図7中の矢印方向に駆動され、これによりICタグ4の帯状材がタグセット台46に送り出される。
【0078】
タグセット台46は、例えば平坦な上面を有した角棒状をなしており、その上面にICタグ4の帯状材を載せた状態で案内することができる。タグセット台46はローラ42,62の対と吸着ドラム48との間を搬送経路24の方向に延びており、その基端部(36a)には上記のロータリソレノイド54が連結されている。タグセット台46は、搬送経路24に対してその下流側に基端部36aを位置付けた状態で設置されており、この基端部36aにて上下方向に一定の角度で回転自在に支持されている。ロータリソレノイド54の駆動に伴い、タグセット台46は水平から僅かに先端を下げた待機位置(図7中の実線)と水平な作動位置(図7中の2点鎖線)との間で変位する。
【0079】
〔電子タグの供給〕
タグセット台46は、その先端部分を吸着ドラム48の下方に位置付けた状態で設置されており、タグセット台46が上記の作動位置に変位すると、その先端部分が吸着ドラム48の吸着面に対して下方から略密着する。このように、タグセット台46の先端部分が吸着面に密着する位置(以下、「供給位置」と称する。)は、上述した「近接位置」とは約180°反対側の下方に位置している。そして、このときタグセット台46の上面に案内されているICタグ4の帯状材は、その先頭部分が吸着面での吸着力(サクション力)によって吸い付けられる。
【0080】
吸着ドラム48の内周には、その略半周分の範囲にわたってエア吸着用の吸着ユニット64が配置されている。すなわち吸着ユニット64は、上記の供給位置から近接位置の手前までの領域をカバーする長さを有しており、その全領域でエア吸着による吸着力を発生させている。なお、吸着ユニット64は吸着ドラム48と別体の状態で例えば図示しない装置フレームには吸着ドラム48だけが回転自在に支持されている。このため吸着面にて吸着力が発生する区間は、吸着ドラム48の回転中も常に上記の供給位置から近接位置の手前までの区間にわたって発揮されることになる。
【0081】
吸着ドラム48は、上記の供給位置でICタグ4の帯状材の先頭部分を吸い付けると、この状態で図中の矢印方向に回転する。この回転に同期してタグ送り出しモータ52がタグ送り出しローラ42を駆動し、ICタグ4の帯状材をリール40から送り出す。これに伴い、ICタグ4の帯状材はその先頭部分から順に吸着面に吸い付けられつつ、吸着ドラム48の回転に伴ってタグセット台46からさらに送り出されていく。
【0082】
〔電子タグの個片化〕
一方でタグセット台46には、その先端にカッタ66が取り付けられており、このカッタ66は、例えばタグセット台46が上記の作動位置に変位した状態で、リニアソレノイド(図示されていない)により上下に移動する。このときカッタ66はその上昇に伴い、タグセット台46の先端縁の位置でICタグ4の帯状材を切断する。カッタ66による帯状材の切断は、個片としてのICタグ4の長さ(1本分)が引き出されたタイミングで行われる。そして帯状材の切断後、リニアソレノイドが作動を停止してカッタ66を下降させるとともにロータリソレノイド54が作動を停止してタグセット台46を待機位置に復帰させる。
【0083】
〔吸着ドラム48による電子タグの搬送〕
これにより、吸着ドラム48には個片に切断された1本のICタグ4だけが吸着された状態となり、この後、1本のICタグ4は吸着ドラム48の回転に伴い、上記の近接位置に向けて搬送されていく。
【0084】
〔塗布ユニットによる接着剤の塗布〕
吸着ドラム48の外側(一側方)には、上記の供給位置から近接位置までの間(ここでは略中間)に上記の糊塗布ユニット50が設置されている。糊塗布ユニット50はその吐出口から接着剤を噴出することで、ICタグ4の搬送過程でこれに接着剤を塗布することができる。接着剤を塗布されたICタグ4は、さらに吸着ドラム48の回転に伴い近接位置に向けて搬送される。
【0085】
〔エアノズルによる電子タグの貼り付け〕
吸着ドラム48の内周には、上記の近接位置にエアノズル68が設置されている。エアノズル68は、例えばその噴出口から上方向へ圧搾空気を噴出し、サクション孔58を通じて吸着面の内側から上方へ向かう空気流を発生させる。このようなエアノズル68による空気流の発生は、ICタグ4の先頭部分が近接位置に到達するタイミングで行われる。これにより、吸着面に吸着されたICタグ4がその先端部分から冊子30の喉部12に形成された凹部8の底面(途中頁の喉部12)に向かって移行し、先に塗布されていた接着剤を介して上記の底面に貼り付けられる。
【0086】
ICタグ4の先頭部分が凹部8の底面に貼り付けられると、この後、ICタグ4は冊子30の搬送に伴って吸着ドラム48の吸着面から引き剥がされていく。1本分のICタグ4が全て引き剥がされるまでの間、エアノズル68による空気流の発生を継続することで、上記の底面でその略中央位置(貼り付け位置)に対して確実にICタグ4の貼り付けを行うことができる。
【0087】
またICタグ4の貼り付け後、冊子30が上記のモールド材塗布ユニット34の上方を通過する際、その喉部12に沿ってモールド材10が塗布される。本実施形態では、冊子30の喉部12において2箇所の針金6の間にICタグ4が貼り付けられており、このときモールド材10を塗布する範囲は、凹部8に貼り付けられたICタグ4とともに2箇所の針金6を含む範囲内に設定されている。
【0088】
図8は、貼り込みユニット32及びモールド材塗布ユニット34の動作タイミングを制御する構成を概略的に示すブロック図である。上述した貼り込みユニット32の動作及びモールド材塗布ユニット34の塗布動作は、例えば制御部70(コンピュータハードウェアとしての構成を備えたもの)により制御することができる。
【0089】
制御部70は主に記憶部72及び判別部74を備えている。記憶部72は、例えばROMやRAM等の等のメモリデバイスによって構成されており、各駆動部品の動作タイミング(シーケンス)やモールド材10及び接着剤の塗布時間等を記憶する。また判別部74は、例えば中綴じされた針金6の位置や針金6の綴じ漏れ等について針金位置検査装置80を用いて検査された情報から、中綴じされた冊子30の良否等を判別する。
【0090】
エンコーダ76は、駆動チェーン26が移動するタイミングに基づいてパルス信号を制御部70へ出力する。この信号に基づいて、制御部70は糊塗布ユニット50やタグ送り出しモータ52、ロータリソレノイド54、駆動モータ56、リニアソレノイド78、エアノズル68等のそれぞれの動作タイミングを制御する。
【0091】
糊塗布ユニット50による接着剤の塗布とその塗布時間や、エアノズル68による空気流の発生とその継続時間については、例えば駆動モータ56の作動するタイミングに合わせてそれぞれのタイミング(シーケンス)が予め記憶部72に格納されている。さらにモールド材塗布ユニット34によるモールド材10の塗布とその塗布時間についても、それぞれのタイミング(シーケンス)が予め記憶部72に格納されている。
【0092】
特に本実施形態では、吸着ドラム48の回転周期(1回転)が駆動チェーン26による冊子30の1冊分の搬送周期(1鞍分)に相当している。これにより、ICタグ4が近接位置まで搬送されてくるタイミングと、冊子30の貼り付け位置(凹部8の底面でその略中央)が吸着ドラム48の直上(つまり近接位置)に到達するタイミングとが一致することで、製本ライン22で連続的に冊子30の製本作業を行いつつ、その過程でICタグ4の貼り込み作業を合わせて連続的に行うことが可能となる。
【0093】
図9は、ICタグ貼り込み工程で貼り込みユニット32の動作タイミングを制御するための手順例を示すフローチャートである。以下、上記の制御部70が行う制御上の処理について、各手順を追って説明する。
【0094】
ステップS100:制御部70は、リール40に巻き取られたICタグ4の帯状材をタグセット台46上に送り出した状態で待機している。
【0095】
ステップS102:次に制御部70は、先の針金綴じ工程で中綴じされた冊子30が良品であるか否かを確認する。この確認は、針金綴じ工程でなされた針金6の打ち位置の検査結果や、綴じ漏れ検査の結果に基づいて行われる。このとき、冊子30が不良品であれば(No)、制御部70は今回ICタグ貼り込み工程についての制御をここまでで終了し、次回の工程に備えて最初の手順に復帰する。一方、中綴じされた冊子30が良品であることを確認した場合(Yes)、制御部70は次のステップS104に進む。
【0096】
ステップS104:上記のように、冊子30の搬送タイミングを同期させつつ、制御部70は予め設定されたタイミング(シーケンス)でロータリソレノイド54を作動させる。これにより、タグセット台46が作動位置に上昇(変位)し、その上面に引き出された帯状材の先頭部分が吸着ドラム48の供給位置で吸着面に吸い付けられる。この間、駆動モータ56により吸着ドラム48は一定速度で回転されており、帯状材の先頭部分は吸着面に吸い付いた状態でその回転方向へ送り出されていく。
【0097】
ステップS106:続いて制御部70は、予め設定されたタイミング(シーケンス)でタグ送り出しモータ52を駆動し、ICタグ4の1本分に相当する長さの帯状材をリール40から送り出す。合わせて制御部70は、予め設定されたタイミング(シーケンス)でリニアソレノイド78を作動させ、カッタ66で帯状材を1本分のICタグ4の長さに切断する。
【0098】
ここでは特に図示していないが、カッタ66による切断後、制御部70はロータリソレノイド54及びリニアソレノイド78の作動をそれぞれ中止する。これにより、タグセット台46が作動位置から待機位置に復帰するとともに、カッタ66が下降する。このときタグセット台46の上面に残っているICタグ4は、次の冊子30が搬送されるまで待機した状態となっている(次回のステップS100に対応)。
【0099】
ステップS110:制御部70は、予め設定されたタイミング(シーケンス)で糊塗布ユニット50を作動させ、搬送中のICタグ4に接着剤を塗布する。この間も吸着ドラム48は、冊子30の搬送に同期して回転しつつ、ICタグ4を搬送している。糊塗布ユニット50の作動タイミングは、例えば吸着ドラム48が吸着位置でICタグ4を吸着面に吸い付けた後、約90°(4分の1周分)回転した時点に設定されている。また塗布時間については、ICタグ4の1本分の長さに相当する角度だけ吸着ドラム48が回転するのに必要な時間に設定されている。
【0100】
ステップS112:そして制御部70は、予め設定されたタイミング(シーケンス)でエアノズル68を作動させ、空気流を発生させてICタグ4を凹部8の底面(内面)に貼り付ける。エアノズル68の作動タイミングは、例えば吸着ドラム48が供給位置でICタグ4を吸着面に吸い付けた後、約180°(半周分)回転してICタグ4が近接位置に到達する時点に設定されている。また継続時間については、ICタグ4の1本分の長さに相当する角度だけ吸着ドラム48が回転するのに必要な時間に設定されている。
【0101】
以上のように本実施形態のICタグ4の貼り込み装置及びこれを用いた貼り込み方法によれば、通常の製本ライン22を用いて中綴じ書籍1を製本する際、その製本過程でICタグ4を冊子30に貼り込むことができる。このため、特にICタグ4を貼り込むための作業ラインを別途設けることなく、効率的にICタグ付きの中綴じ書籍1を生産することができる。
【0102】
また貼り込まれたICタグ4は、中綴じ書籍1の完成状態で凹部8内に埋設されているため、ICタグ4の貼り込みによって中綴じ書籍1の厚みに偏りが生じない。このため電子タグ付き中綴じ書籍1の形態であっても、店頭で一般的な平積み販売に好適し、その利便性を向上することができる。
【0103】
さらにICタグ4は、凹部8の底面(内面)に貼り付けられるため中綴じ書籍1が開いた状態を厚さ方向でみると、中央頁2よりも表紙28に近接して配置されている。このため例えば中綴じ書籍1を平積みした状態であっても、リーダ/ライタを用いた非接触の無線通信によりICタグ4に記憶された書籍情報の管理なども迅速に行うことができる。
【0104】
また吸着ドラム48の周長と、駆動チェーン26による冊子30の1冊分の搬送距離(1鞍分)とが互いに等しく、これらの周期が同じに設定されていることから、吸着ドラム48を間欠的に回転駆動する必要がなく、等速で連続的に回転させながらICタグ4の貼り込み作業を実現することができる。これにより、搬送経路24上を連続的に搬送されてくる冊子30に対しても、その搬送効率を低下させることなくICタグ4を冊子30に貼り込むことができる。
【0105】
〔第2実施形態〕
図10は、第2実施形態の貼り込み装置及び貼り込み方向を用いて完成された中綴じ書籍1の平面図である。ここでは、第1実施形態で示したICタグ4の貼り込み位置と、第2実施形態におけるICタグ4の貼り込み位置とが異なっているものの、その他の構成については第1実施形態と同一である。以下、貼り込み装置及び貼り込み方法の第2実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0106】
ICタグ4は、中綴じ書籍1の喉部12を長手方向でみて、その略中央に形成された凹部8の底面(途中頁の喉部12)上に貼り付けられている。第2実施形態では、ICタグ4はさらに孔付き折丁16の折り目14を境にして片側頁上の喉部12に貼り付けられている。これに対して、モールド材10が中央頁2の喉部12に沿って塗布されており、綴じ目に露出した針金6、凹部8及びICタグ4はモールド材10に被覆されている。
【0107】
この場合、ICタグ4を片側の頁上に配置することで、完成状態の中綴じ書籍1を開閉する際に、ICタグ4は折り目14を介して折りたたまれることがない。つまりICタグ4は、中綴じ書籍1を開閉してもこれに連動して折り曲げられることなく凹部8の底面に貼り付けられている。このため、ICタグ4が破損することを確実に防止し、例えばICタグ4に記憶された書籍情報を安全に管理することができる。
【0108】
図11は、第2実施形態で用いられる貼り込みユニット32の構成を搬送経路24の上流側からみた背面図である。なお、ここでは第1実施形態の貼り込みユニット32と共通する構成に同じ符号を付し、その重複した説明を省略するものとする。以下、第2実施形態の貼り込みユニット32について、主に第1実施形態との相違を中心に説明する。
【0109】
図11に示されている吸着ドラム48は、上述した吸着面の近接位置が折り目14を境にして片側頁の喉部12と対向した位置に配置されている。すなわち吸着ドラム48は、搬送経路24の幅方向(横断方向)でみた中央よりも一方のブレード36(傾斜部36b)に近寄った位置に配置されている。これに伴い、図11では図示していないリール40やタグ送り出しローラ42、タグセット台46、糊塗布ユニット50といったメインの機構部品も吸着ドラム48と同様に、搬送経路24の幅方向でみた中央位置よりも一方のブレード36に近寄った位置で略一列に配置されている。これにより、搬送される冊子30の凹部8の底面で、かつ、折り目14を境にした片側頁の喉部12に対してICタグ4を貼り付けることができる。
【0110】
本発明は上述した第1及び第2実施形態に制約されることなく、種々に変更して実施可能である。例えば、第1及び第2実施形態では吸着ドラム48を用いてICタグ4を貼り付けているが、吸着ドラム48の代わりに吸着コンベアを用いてもよい。
【0111】
また、第1及び第2実施形態ではICタグ4を帯状材の形態でリール40から供給しているが、予め個片に切り離されたICタグ4をトレイに積載した状態で供給してもよい。
【0112】
その他、第1及び第2実施形態で挙げた機構部品や駆動部品の構成は一例であり、これらを適宜変換や置換して貼り込み装置を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 中綴じ書籍
4 ICタグ
6 針金(綴じ具)
8 凹部
8a 孔
10 モールド材(被覆層)
16 折丁
18 爪(支持部材)
20 吸着パッド(支持部材)
22 製本ライン
24 搬送経路
26 駆動チェーン
30 冊子
32 ICタグ貼り込み装置
34 モールド材塗布ユニット
48 吸着ドラム
50 糊塗布ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送経路に沿って搬送体を移動させつつ、この搬送体上に複数の折丁を開いた状態で所定の重ね順に供給しながら丁合して中綴じされる中綴じ書籍への電子タグの貼り込みを行う電子タグの貼り込み装置であって、
前記複数の折丁を丁合する過程の前期内で、予め喉部に孔が形成された複数の孔付き折丁を前記搬送体へ供給した後、その後期内で前記孔付き折丁以外の折丁を前記搬送体へ供給することにより、前記複数の折丁が前記搬送体上に積層して形成された丁合物の喉部に下向きに開口した凹部を形成する丁合部と、
前記搬送体の移動に伴い前記搬送経路上を搬送される丁合物に対し、前記搬送体の下方から電子タグを供給することにより、前記凹部の内面に電子タグを貼り付けるタグ供給部と、
前記タグ供給部による電子タグの貼り付け後、前記搬送体の移動に伴い前記搬送経路上を搬送される丁合物に対し、その喉部に沿って電子タグ及び前記凹部をともに被覆する被覆層を形成する被覆層形成部と
を備えた電子タグの貼り込み装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子タグの貼り込み装置において、
前記搬送体は、
供給される各折丁をその綴じ目を頂点にした山形状に開いた状態で積載するべく前記搬送経路の横断方向に対向して対をなし、かつ、供給される各折丁の綴じ目が位置する中央に隙間をおいた状態で前記搬送経路に沿って複数に配列されており、
前記タグ供給部は、
前記搬送経路の横断方向で対向する前記搬送体同士の隙間を通じて前記凹部の内面に電子タグを貼り付けることを特徴とする電子タグの貼り込み装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子タグの貼り込み装置において、
前記被覆層形成部は、
前記搬送経路の横断方向で対向する前記搬送体同士の隙間を通じて前記被覆層を形成することを特徴とする電子タグの貼り込み装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の電子タグの貼り込み装置において、
前記丁合部は、
複数の折丁をそれぞれ支持しつつ前記搬送体へ供給する支持部材を有し、
前記孔付き折丁は、
前記支持部材により支持される位置及び中綴じ用の綴じ具が貫通する予定の位置を避けた位置で、かつ、喉部の長手方向でみた中央の位置に孔が形成されていることを特徴とする電子タグの貼り込み装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の電子タグの貼り込み装置において、
前記丁合部は、
前記電子タグ及び前記被覆層を合わせた分の厚さ寸法に基づいて前記凹部の深さを予め設定し、前記搬送体上での積層高さが前記凹部の深さに相当する枚数分の孔付き折丁を供給することを特徴とする電子タグの貼り込み装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の電子タグの貼り込み装置において、
前記タグ供給部は、
前記凹部の長手方向に沿う中心線上に電子タグを貼り付けるものであり、
前記被覆層形成部は、
前記凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに前記綴じ具を含む領域にわたって前記被覆層を形成することを特徴とする電子タグの貼り込み装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の電子タグの貼り込み装置において、
前記タグ供給部は、
電子タグを前記凹部の内面に貼り付ける際、電子タグの長手方向でみた一方の側縁を折丁の綴じ目に沿って配置し、
前記被覆層形成部は、
前記凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに前記綴じ具を含む領域にわたって前記被覆層を形成することを特徴とする電子タグの貼り込み装置。
【請求項8】
請求項2から7のいずれかに記載の電子タグの貼り込み装置において、
前記タグ供給部は、
前記搬送経路の横断方向で対向する前記搬送体の間に配置され、外周に形成された吸着面に電子タグを吸着した状態で回転するとともに、この回転に伴い、前記隙間を通じて前記凹部に対向する近接位置で前記吸着面を前記搬送体の移動に同期して移動させる吸着ドラムと、
前記吸着ドラムの回転に伴い、前記近接位置から離れた別の供給位置で前記吸着面に電子タグを供給する供給ユニットと、
前記吸着ドラムの回転に伴い、前記供給位置で供給された電子タグが前記近接位置に到達するまでの間に前記吸着ドラムの外側から電子タグに接着剤を塗布する塗布ユニットと、
前記近接位置で前記吸着ドラムの内側から前記吸着面を通じてその外側へ向かう空気流を発生させることにより、前記吸着ドラムの回転に伴い前記近接位置に到達した電子タグを前記凹部の内面に貼り付けるエアノズルと
を有することを特徴とする電子タグの貼り込み装置。
【請求項9】
所定の搬送経路に沿って搬送体を移動させつつ、この搬送体上に複数の折丁を開いた状態で所定の重ね順に供給しながら丁合して中綴じされる中綴じ書籍への電子タグの貼り込みを行う電子タグの貼り込み方法であって、
前記重ね順の前部分で、予め喉部に孔が形成された複数の孔付き折丁を前記搬送体へ供給した後、前記重ね順の後部分で前記孔付き折丁以外の折丁を前記搬送体へ供給することにより、前記複数の折丁が前記搬送体上に積層して形成された丁合物の喉部に下向きに開口した凹部を形成する丁合工程と、
前記搬送体の移動に伴い前記搬送経路上を搬送される丁合物に対し、前記搬送体の下方から電子タグを供給することにより、前記凹部の内面に電子タグを貼り付けるタグ供給工程と、
前記タグ供給工程での前記電子タグの貼り付け後、前記搬送体の移動に伴い前記搬送経路上を搬送される丁合物に対し、その喉部に沿って電子タグ及び前記凹部をともに被覆する被覆層を形成する被覆層形成工程と
を備えた電子タグの貼り込み方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電子タグの貼り込み方法において、
前記丁合工程では、
前記電子タグ及び前記被覆層を合わせた分の厚さ寸法に基づいて前記凹部の深さを予め設定し、前記搬送体上での積層高さが前記凹部の深さに相当する枚数分の孔付き折丁を供給することを特徴とする電子タグの貼り込み方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の電子タグの貼り込み方法において、
前記タグ供給工程では、
前記凹部の長手方向に沿う中心線上に電子タグを貼り付け、
前記被覆層形成工程では、
前記凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに前記綴じ具を含む領域にわたって前記被覆層を形成することを特徴とする電子タグの貼り込み方法。
【請求項12】
請求項9又は10に記載の電子タグの貼り込み方法において、
前記タグ供給工程では、
電子タグを前記凹部の内面に貼り付ける際、電子タグの長手方向でみた一方の側縁を折丁の綴じ目に沿って配置し、
前記被覆層形成工程では、
前記凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに前記綴じ具を含む領域にわたって前記被覆層を形成することを特徴とする電子タグの貼り込み方法。
【請求項1】
所定の搬送経路に沿って搬送体を移動させつつ、この搬送体上に複数の折丁を開いた状態で所定の重ね順に供給しながら丁合して中綴じされる中綴じ書籍への電子タグの貼り込みを行う電子タグの貼り込み装置であって、
前記複数の折丁を丁合する過程の前期内で、予め喉部に孔が形成された複数の孔付き折丁を前記搬送体へ供給した後、その後期内で前記孔付き折丁以外の折丁を前記搬送体へ供給することにより、前記複数の折丁が前記搬送体上に積層して形成された丁合物の喉部に下向きに開口した凹部を形成する丁合部と、
前記搬送体の移動に伴い前記搬送経路上を搬送される丁合物に対し、前記搬送体の下方から電子タグを供給することにより、前記凹部の内面に電子タグを貼り付けるタグ供給部と、
前記タグ供給部による電子タグの貼り付け後、前記搬送体の移動に伴い前記搬送経路上を搬送される丁合物に対し、その喉部に沿って電子タグ及び前記凹部をともに被覆する被覆層を形成する被覆層形成部と
を備えた電子タグの貼り込み装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子タグの貼り込み装置において、
前記搬送体は、
供給される各折丁をその綴じ目を頂点にした山形状に開いた状態で積載するべく前記搬送経路の横断方向に対向して対をなし、かつ、供給される各折丁の綴じ目が位置する中央に隙間をおいた状態で前記搬送経路に沿って複数に配列されており、
前記タグ供給部は、
前記搬送経路の横断方向で対向する前記搬送体同士の隙間を通じて前記凹部の内面に電子タグを貼り付けることを特徴とする電子タグの貼り込み装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子タグの貼り込み装置において、
前記被覆層形成部は、
前記搬送経路の横断方向で対向する前記搬送体同士の隙間を通じて前記被覆層を形成することを特徴とする電子タグの貼り込み装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の電子タグの貼り込み装置において、
前記丁合部は、
複数の折丁をそれぞれ支持しつつ前記搬送体へ供給する支持部材を有し、
前記孔付き折丁は、
前記支持部材により支持される位置及び中綴じ用の綴じ具が貫通する予定の位置を避けた位置で、かつ、喉部の長手方向でみた中央の位置に孔が形成されていることを特徴とする電子タグの貼り込み装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の電子タグの貼り込み装置において、
前記丁合部は、
前記電子タグ及び前記被覆層を合わせた分の厚さ寸法に基づいて前記凹部の深さを予め設定し、前記搬送体上での積層高さが前記凹部の深さに相当する枚数分の孔付き折丁を供給することを特徴とする電子タグの貼り込み装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の電子タグの貼り込み装置において、
前記タグ供給部は、
前記凹部の長手方向に沿う中心線上に電子タグを貼り付けるものであり、
前記被覆層形成部は、
前記凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに前記綴じ具を含む領域にわたって前記被覆層を形成することを特徴とする電子タグの貼り込み装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の電子タグの貼り込み装置において、
前記タグ供給部は、
電子タグを前記凹部の内面に貼り付ける際、電子タグの長手方向でみた一方の側縁を折丁の綴じ目に沿って配置し、
前記被覆層形成部は、
前記凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに前記綴じ具を含む領域にわたって前記被覆層を形成することを特徴とする電子タグの貼り込み装置。
【請求項8】
請求項2から7のいずれかに記載の電子タグの貼り込み装置において、
前記タグ供給部は、
前記搬送経路の横断方向で対向する前記搬送体の間に配置され、外周に形成された吸着面に電子タグを吸着した状態で回転するとともに、この回転に伴い、前記隙間を通じて前記凹部に対向する近接位置で前記吸着面を前記搬送体の移動に同期して移動させる吸着ドラムと、
前記吸着ドラムの回転に伴い、前記近接位置から離れた別の供給位置で前記吸着面に電子タグを供給する供給ユニットと、
前記吸着ドラムの回転に伴い、前記供給位置で供給された電子タグが前記近接位置に到達するまでの間に前記吸着ドラムの外側から電子タグに接着剤を塗布する塗布ユニットと、
前記近接位置で前記吸着ドラムの内側から前記吸着面を通じてその外側へ向かう空気流を発生させることにより、前記吸着ドラムの回転に伴い前記近接位置に到達した電子タグを前記凹部の内面に貼り付けるエアノズルと
を有することを特徴とする電子タグの貼り込み装置。
【請求項9】
所定の搬送経路に沿って搬送体を移動させつつ、この搬送体上に複数の折丁を開いた状態で所定の重ね順に供給しながら丁合して中綴じされる中綴じ書籍への電子タグの貼り込みを行う電子タグの貼り込み方法であって、
前記重ね順の前部分で、予め喉部に孔が形成された複数の孔付き折丁を前記搬送体へ供給した後、前記重ね順の後部分で前記孔付き折丁以外の折丁を前記搬送体へ供給することにより、前記複数の折丁が前記搬送体上に積層して形成された丁合物の喉部に下向きに開口した凹部を形成する丁合工程と、
前記搬送体の移動に伴い前記搬送経路上を搬送される丁合物に対し、前記搬送体の下方から電子タグを供給することにより、前記凹部の内面に電子タグを貼り付けるタグ供給工程と、
前記タグ供給工程での前記電子タグの貼り付け後、前記搬送体の移動に伴い前記搬送経路上を搬送される丁合物に対し、その喉部に沿って電子タグ及び前記凹部をともに被覆する被覆層を形成する被覆層形成工程と
を備えた電子タグの貼り込み方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電子タグの貼り込み方法において、
前記丁合工程では、
前記電子タグ及び前記被覆層を合わせた分の厚さ寸法に基づいて前記凹部の深さを予め設定し、前記搬送体上での積層高さが前記凹部の深さに相当する枚数分の孔付き折丁を供給することを特徴とする電子タグの貼り込み方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の電子タグの貼り込み方法において、
前記タグ供給工程では、
前記凹部の長手方向に沿う中心線上に電子タグを貼り付け、
前記被覆層形成工程では、
前記凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに前記綴じ具を含む領域にわたって前記被覆層を形成することを特徴とする電子タグの貼り込み方法。
【請求項12】
請求項9又は10に記載の電子タグの貼り込み方法において、
前記タグ供給工程では、
電子タグを前記凹部の内面に貼り付ける際、電子タグの長手方向でみた一方の側縁を折丁の綴じ目に沿って配置し、
前記被覆層形成工程では、
前記凹部の内面に貼り付けられた電子タグとともに前記綴じ具を含む領域にわたって前記被覆層を形成することを特徴とする電子タグの貼り込み方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−201113(P2011−201113A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70008(P2010−70008)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】
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