説明

電子タグ装着具

【課題】ガラスに損傷を与えることなく、ガラスの識別を容易に行うことのできる電子タグ装着具を提供する。
【解決手段】ICタグ装着具10は、ガラスの表面に着脱可能なICタグのアタッチメントである。ICタグ20が基材40に貼り付けられている。ICタグ20が貼り付けられた面と対向する基材40の表面に、複数の吸盤50が配設された吸盤シート60が貼り付けられている。複数の吸盤50により、基材40をガラスに脱着することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タグを物品に装着するための電子タグ装着具に関する。より具体的には、本発明は、ガラスに装着するのに適した電子タグ装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ガラスは、車種により形状が異なり、また、同一車種においても品種(撥水、グラデーション加工、遮音機能など)が異なる場合がある。また、自動車は市場の要求や営業戦略として多車種化し、さらにユーザ幅を広げるためにバリエーションも多くなってきている。
【0003】
これに対して、量産の効率化のため同一ラインに多車種、他品種の自動車が生産されるため、部品供給メーカーはその生産計画に対応して、部品を順番に予めソートして出荷する付加が増大する。さらに、この生産計画は、ラインに在庫を持たせないために、生産計画による出荷依頼からライン搬入までに短時間で行わなければならない。
【0004】
たとえば、現在、車両は早いケースで1分間に一台の生産が行われている。この場合、出荷する車両が5ドアとしても5枚のガラスを要求の形状、品種を確認して出荷準備する必要がある。
【0005】
在庫管理や生産管理(アセンブリ工程)においても、ガラスは透明であるため、見た目で差別化することが困難である。また、近年のように撥水加工や遮音機能といった無色でも多機能化されたガラスにおいては判別が非常に困難である。
【0006】
アセンブリ工程では、ガラスによってガラス周辺にモールを付けたり、黒セラを塗布したり、ミラーベースを取り付ける等の工程があり、これをガラスの型番にしたがって実施する必要がある。ここで、型番は異なっても、ガラス形状が同じものが多数ある状況が生じる場合がある。こういった場合、たとえば黒セラの塗布を間違えたり、ミラーベース取り付け位置を間違えたりすると、商品としての価値がなくなり、不良品となってしまう。
【0007】
このように、ガラスは自動車用ガラスに限っても、管理、量産工程などで多くの課題がある。これは、近年、防犯用ガラス、撥水ガラス、遮音ガラス、厚みの異なるガラス、グリーン等の着色ガラスなど品種が多様化している建築用ガラスにおいても同様である。
【0008】
管理・運用(量産工程・出荷工程・在庫管理など)を効率化し、かつピッキングミスなどの間違いを低減させる方法として、各工程において多種の管理システムが提案されている。管理システムでは、ガラスを識別する手段が必要とされる。従来、ガラスを識別する手段として、ガラスのエッジ部に着色する方法(ただし、客先が認めた場合に限る)、チェックシートで管理する方法、バーコードを利用する方法などが用いられてきた。また、近年注目されているICタグを使用したガラスの管理システムの構築が望まれている。
【特許文献1】特開2004−43212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のガラスの管理システムで用いられるガラスの識別手段では、バーコードを用いる場合を除いて、基本的に人間の判断が介在するため、ミス防止という意味において問題があった。これに対して、バーコードおよび情報機器を用いた管理方法では、人的判断の介在が非常に小さいためある程度の効果は期待される。しかし、ガラスにバーコードを付ける必要があること、ガラスが重なると見えなくなること、常に汚れに注意する必要があることなどがあり、運用においては多大な課題が存在していた。
【0010】
また、ICタグを用いてガラスを管理する場合には、ICタグをガラスに取り付ける際に、ガラスにキズを付ける恐れがあることや、テープなどの接着部材を用いてICタグをガラスに付けると、ガラスに取り付け跡が生じ、美観を損ねるなどの問題があった。
【0011】
また、ガラスにICタグを装着した状態で、ガラスを通してICタグとリーダライタとの間で電波が送受信されると、ガラスによって電波が減衰してしまうという問題があった。
【0012】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガラスに損傷を与えることなく、ガラスの識別を容易に行うことのできる電子タグ装着具の提供にある。本発明の他の目的は、電子タグによって送受信される電波がガラスの影響を受けにくい電子タグ装着具の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のある態様は、電子タグ装着具である。当該電子タグ装着具は、対象物の表面に着脱可能な電子タグ装着具であって、電子タグと、電子タグが組み込まれた基材と、基材の表面に設けられた複数の吸盤とを備えることを特徴とする。
【0014】
これによれば、ガラスの表面に電子タグが組み込まれた基材を着脱可能に取り付けることができ、電子タグによる対象物の識別を容易に行うことができる。これに加えて、電子タグが組み込まれた基材を複数の吸盤を用いて容易にガラスに着脱することができるため、作業者による人的ミスが低減し、ガラスに損傷を与えることが抑制される。また、ガラスに電子タグを装着するために接着剤などを用いる必要がないため、ガラスに取り付け跡を残すことなく、ガラスの美感を保つことができる。
【0015】
上記態様において、電子タグが複数の吸盤が設けられた面から当該面の法線方向に離れた位置に設けられていてもよい。
【0016】
これによれば、ガラスと電子タグとが離れた状態でガラスに電子タグが装着されるため、電子タグによって送受信される電波がガラスの影響を受けにくくなる。
【0017】
上記態様において、複数の吸盤が基材に着脱可能に設けられたシート上に形成されていてもよい。
【0018】
これによれば、吸盤の吸着力が低下した場合に、シートを取り替えるだけで吸着力を迅速に復活させることができる。また、吸盤の吸着力が低下した場合に、シートを取り外すことにより、電子タグに影響を与えることなく、吸盤が形成されたシートのみを洗浄することができる。
【0019】
本発明の他の態様は、電子タグ装着具である。当該電子タグ装着具は、電子タグと、電子タグが組み込まれた基材と、基材から突出した状態で基材に連結され、少なくとも一方の面に複数の吸盤が形成された吸盤シートとを備えることを特徴とする。
【0020】
これによれば、ガラスの表面に電子タグが組み込まれた基材を着脱可能に取り付けることができ、電子タグによる対象物の識別を容易に行うことができる。これに加えて、電子タグが組み込まれた基材を複数の吸盤を用いて容易にガラスに着脱することができるため、作業者による人的ミスが低減し、ガラスに損傷を与えることが抑制される。また、ガラスに電子タグを装着するために接着剤などを用いる必要がないため、ガラスに取り付け跡を残すことなく、ガラスの美感を保つことができる。さらに、基材をガラスの端部に吸盤シートを取り付けることにより、電子タグが組み込まれた基材をガラスの端部からガラスの平面方向に飛び出した状態にすることができるため、電子タグによって送受信される電波がガラスの影響を受けにくくなる。また、複数のガラスが隣接した状態でパレットなどに搭載されている場合に、隣接するガラスの隙間に吸盤シートを差し込んでガラスに取り付けることができる。
【0021】
上記態様の電子タグ装着具において、基材または吸盤シートに複数の吸盤を対象物から引き剥がす際に利用可能な取手が取り付けられていてもよい。
【0022】
これによれば、隣接するガラスの隙間に吸盤シートを差し込んでガラスに取り付けた場合のように、吸盤シートを持って剥がすことが困難な場合であっても、取手を利用することで電子タグ装着具をガラスから容易に取り外すことができる。
【0023】
上述した各態様の電子タグ装着具は、ガラスを電子タグによって識別するために好ましく用いることができる。
【0024】
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ガラスに損傷を与えることなく、電子タグを用いてガラスの識別を容易に行うことができる。また、本発明によれば、ガラスに電子タグを取り付けたときに、電子タグによって送受信される電波をガラスの影響を受けにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0027】
(実施形態1)
図1および図2は、それぞれ、実施形態1に係るICタグ装着具10の斜視図および側面図である。実施形態1のICタグ装着具10は、ガラスの表面に着脱可能なICタグのアタッチメントである。ICタグ装着具10は、ICタグ20、基材40および複数の吸盤50を備える。
【0028】
図3(a)から図3(c)は、ICタグ20の外観を示し、図3(a)は平面図、図3(b)は正面図、図3(c)は側面図である。ICタグ20は、短冊形状の絶縁フィルム22と、この絶縁フィルム22の両面に形成された、マイクロ波などの電波を送受信するアンテナ24と、アンテナ24に接続され、アンテナ24を介した無線通信により外部からの要求に対する回答として所定のデータを送信する無線チップである2つの半導体チップ26とを備える。なお、アンテナ24と半導体チップ26は、絶縁フィルム22の一方の面にのみ設けられていてもよい。
【0029】
ICタグ20は、半導体チップ26内のメモリ回路にデータを記憶させ、マイクロ波またはUHF波などの電波によって、非接触でこのデータを読み出すことができる構成となっている。そのため、ICタグ20は、バーコードまたは二次元バーコードなどと比べて、一般に容量の大きなデータを記録しておくことができる。また、バーコードまたは二次元バーコードなどと異なり印刷物ではないので、データの改ざんは困難である。
【0030】
アンテナ24は、樹脂製の絶縁フィルム22上に導電材料、例えば、銅または銀を主成分とする導電性ペーストを塗布することによって形成される。アンテナ24は、特定の周波数の電波、例えば、2.45GHzのマイクロ波を効率良く送受信できるように設計されている。アンテナの形状は、一例ではループ形状であるが、他の形状であってもよい。
【0031】
半導体チップ26は、例えば、単結晶シリコン基板上に、後述する図4の機能ブロック図に示すような回路が形成されて作製される。ICタグ20は、絶縁フィルム22の一面に薄いアンテナ24が形成されているため、薄型で柔軟性を有する。半導体チップ26は、外部から受信した電波による起電力を用いて駆動される、いわゆるパッシブ型の半導体チップである。このようなパッシブ型の無線チップは、電源を内蔵しない分、電源を有するアクティブ型より小型にできる。アンテナ24と半導体チップ26とは、樹脂などで封止されていてもよい。
【0032】
図4は、半導体チップ26の機能構成を示すブロック図である。半導体チップ26は、受信回路30と、整流回路32と、制御回路34と、送信回路36と、不揮発性のメモリ38とを備える。受信回路30は、アンテナ24が受信した電波を整流回路32に出力すると共に、アンテナ24が受信した電波からクロック信号を生成し制御回路34に出力する。整流回路32は、受信回路30から送信された電波を整流して、制御回路34の駆動源となる電力に変換し制御回路34に出力する。
【0033】
制御回路34は、受信回路30からクロック信号が入力されると、メモリ38から所定のデータを取り出し、データに応じた情報信号を送信信号と共に送信回路36に出力する。送信回路36は、制御回路34から入力された送信信号を情報信号で変調し、変調された信号をアンテナ24を介して外部に送信する。送信された信号は、外部に設置された読取装置(不図示)によって受信される。
【0034】
メモリ38には、少なくとも固有の識別番号が書き込まれているほか、各種データを格納することができる。この識別番号を無線送信することによって、ICタグ20が装着されているガラスの管理に用いることができる。メモリ38に格納するデータの例としては、ガラスの製造番号、生産時期、生産場所、生産工程、流通履歴などの製造関連属性、および、ガラスの成分もしくは機能などの製品関連属性が挙げられるが、これらには限定されない。
【0035】
半導体チップ26では、一般に利用されている各種周波数、例えば、135kHz、13.56MHz、433MHz、869MHz、915MHz、または、2.45GHzなどの電波が使用できる。これらの電波は、それぞれの特徴を有している。したがって、ICタグ20を、それぞれの周波数を持つ電波の特徴に応じた状態で使用することが好ましい。例えば、869MHzの電波は、長距離交信が可能であるので、ICタグ20と読取装置とが離れている状況でも使用しやすい。また、2.45GHzの電波を使用するICタグ20は、より小型にすることができる。
【0036】
本実施の形態では、半導体チップ26が読み取り専用チップであるが、読み取りおよび書き込みの両方が可能なEEPROMなどの半導体チップも使用することができる。読み取りおよび書き込みの両方が可能な半導体チップの場合、例えば、ガラスの各流通段階でメモリにデータを追記するようにすれば、履歴管理がより容易になる。
【0037】
ICタグ20は、上述の構成を有していればよく、特に限定されない。このため、ICタグ20として、2.45GHz帯で市販されている汎用品を使用することができる。ICタグ20に汎用品を用いることができるため、ICタグ装着具10の製造コストを抑えることができる。
【0038】
基材40の表面にICタグ20が貼り付けられることにより、基材40にICタグ20が組み込まれている。本実施形態では、ICタグ20が露出しているが、ICタグ20は、基材40の内部に埋め込まれていてもよい。
【0039】
基材40としては、発泡スチロールのような軽量かつ非金属系の素材を用いることが好ましい。基材40を軽量化することにより、ICタグ装着具10全体の重量を低減し、ICタグ装着具10の取り扱いを容易にすることができる。また、万が一、ICタグ装着具10をガラスにぶつけたとしても、ガラスに与える衝撃が小さくなるため、ガラスに損傷を与えずに済む。基材40に非金属系の素材を用いることにより、ICタグ20で送受信される電波への影響を低減することができる。
【0040】
ICタグ20が貼り付けられた面と対向する基材40の表面に、複数の吸盤50が配設された吸盤シート60が貼り付けられている。吸盤シート60は、たとえば、軟質塩化ビニール、ポリエステル、ポリオレフィン等のシートに柔軟質で可撓性のある吸盤用インキをスクリーン印刷することにより製造することができる。
【0041】
複数の吸盤50は、次のような特性を有することが望ましい。
(1)圧着することにより、ガラスの表面に吸着すること
(2)引き剥がしが容易であること
(3)繰り返し使用できること
(4)汚れ等を容易に洗浄することができること
【0042】
上述したICタグ装着具10によれば、ガラスを識別するためのIDを格納したICタグをガラスに容易に付与することができる。また、ICタグを装着する際の人的ミスを減らすことができるため、ガラスに損傷を与えることが抑制される。また、ガラスに電子タグを装着するために接着剤などを用いる必要がないため、ガラスに取り付け跡を残すことなく、ガラスの美感を保つことができる。さらに、電子タグ装着具に組み込まれるICタグとして汎用品を用いることができるため、電子タグ装着具の製造コストを低減することができる。
【0043】
なお、ICタグ20がガラスに近接していると、ICタグ20で送受信される電波がガラスを通過する際に電波強度が減衰する。このため、ICタグ20は複数の吸盤50が設けられた面から当該面の法線方向に離れた位置に設けられていることが望ましい。これによれば、ガラスとICタグ20とが離れた状態でガラスにICタグ20が装着されるため、ICタグ20によって送受信される電波がガラスの影響を受けにくくなる。ガラスによる電波強度の減衰作用は、ICタグ20がガラスの表面から3cm未満の距離にあるときに顕著であるため、ICタグ20は複数の吸盤50が設けられた面から当該面の法線方向に3cm以上離れた位置に設けられていることがより望ましい。
【0044】
なお、本実施形態では、複数の吸盤50が形成された吸盤シート60が基材40に貼り付けられているが、複数の吸盤50は基材40に直接に形成されていてもよい。
【0045】
(実施形態2)
図5は、実施形態2に係るICタグ装着具10の側面図である。実施形態2に係るICタグ装着具10の基本的な構成は実施形態1と同様であるため、実施形態1と同様な構成については実施形態1と同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0046】
実施形態2に係るICタグ装着具10では、複数の吸盤50が形成された面と反対側の吸盤シート60の面にフック70が配設されている。また、基材40には、フック70が着脱可能に係合するループ72が配設されている。すなわち、実施形態2に係るICタグ装着具10は、フック70およびループ72からなる面ファスナーにより、吸盤シート60が基材40に着脱可能な構成を有する。
【0047】
これによれば、吸盤50の吸着力が低下した場合に、吸盤シート60を取り替えるだけで吸着力を迅速に復活させることができる。また、吸盤50の吸着力が低下した場合に、吸盤シート60を取り外すことにより、ICタグ20に影響を与えることなく、吸盤シート60トのみを洗浄することができる。
【0048】
(実施形態3)
図6および図7は、それぞれ、実施形態3に係るICタグ装着具10の斜視図および側面図である。実施形態3に係るICタグ装着具10に関して、実施形態1と同様な構成については実施形態1と同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0049】
実施形態3に係るICタグ装着具10は、ICタグ20とICタグ20が組み込まれた基材40と、基材40から突出した状態で基材40に連結され、一方の面に複数の吸盤50が形成された吸盤シート60とを備える。
【0050】
これによれば、図8に示すように、複数のガラス90を平行に並べてパレットに搭載し、隣接するガラス90の間に十分なスペースが取れない場合であっても、複数の吸盤50が形成された吸盤シート60を隣接するガラス90の間に挿入して、複数の吸盤50をガラス90の端部に吸着させることができる。これにより、ICタグ20を含む基材40をガラス90の影響を受けない領域、すなわち、ガラス90の端部からガラス90の平面方向に飛び出した領域に設置することができる。これにより、ICタグで送受信される電波がガラスの遮蔽によって減衰することが回避される。
【0051】
吸盤シート60には、ガラスに吸着した複数の吸盤50をガラスから引き剥がす際に利用可能な取手80が取り付けられている。これによれば、隣接するガラスの隙間に吸盤シート60を差し込んでガラスに取り付けた場合のように、吸盤シート60を持って剥がすことが困難な場合であっても、取手80を利用することで電子タグ装着具をガラスから容易に取り外すことができる。なお、取手80は、基材40に取り付けられていてもよい。
【0052】
図9は、複数の実施形態3に係るICタグ装着具10を各ガラスに着脱するための補助具100の模式図である。補助具100は、支持棒110と、支持棒110に連結され、ICタグ装着具10を狭持可能な複数の狭持部120と、狭持部120によるICタグ装着具の狭持動作を制御可能な狭持制御レバー130とを備える。
【0053】
狭持部120は、支持棒110に固定された固定部材140と、固定部材140と対となってICタグ装着具10を狭持するための可動部材150とを有する。各可動部材150は、支持棒110に設けられたスリット160を通して、支持棒110内に設けられた移動棒170に連結されている。
【0054】
移動棒170は、狭持制御レバー130の操作により支持棒110内を移動する。狭持制御レバー130と支持棒110とは次のような機構によって連結されている。狭持制御レバー130を締めると、移動棒170が狭持制御レバー130方向に移動し、各可動部材150が移動棒170に連動して、各固定部材140に付勢される。これにより、各固定部材140と各可動部材150との間に実施形態3に係るICタグ装着具10を狭持することができる。逆に、狭持制御レバー130を放すと、移動棒170が狭持制御レバー130とは逆の方向に移動し、各可動部材150が移動棒170に連動して、固定部材140に付勢される。これにより、実施形態3に係るICタグ装着具10の狭持状態を解除することができる。
【0055】
これによれば、複数の実施形態3に係るICタグ装着具10を複数のガラスに一度に着脱することができるため、ICタグ装着具10をガラスに着脱する作業の効率を向上させることができる。
【0056】
実施形態3に係るICタグ装着具10において、ICタグ20が貼り付けられた面と対向する基材40の面に金属箔200が設けられていることが好ましい(図10参照)。これによれば、金属箔200によりICタグ20で送受信される電波が反射されるため、金属箔200と反対側にリーダ/ライタを設置した場合にICタグ20とリーダ/ライタとの間で送受信される電波の強度を増強することができ、電波の到達距離が長くなる。なお、金属箔200とICタグ20との間隔は、ICタグ20で送受信される電波の周波数に応じて設定することができる。
【0057】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
【0058】
たとえば、実施形態2において、ループ72をICタグ20に対向した面だけでなく、側面にも設け、吸盤シート60をループ72をICタグ20に対向した面より大きくしてもよい。これによれば、面ファスナーを用いて吸盤シート60を基材40に巻き付けることができる。また、吸盤シート60を基材40の側面に沿って巻き付けることにより、ICタグ20の向きをガラスの平面の方向にした状態で、ガラスに基材40を装着することができる。
【0059】
また、実施形態3において、吸盤シート60と基材40とが面ファスナーを用いて脱着可能であってもよい。これによれば、実施形態2と同様に、吸盤50の吸着力が低下した場合に、吸盤シート60を取り替えるだけで吸着力を迅速に復活させることができる。また、吸盤50の吸着力が低下した場合に、吸盤シート60を取り外すことにより、ICタグ20に影響を与えることなく、吸盤シート60のみを洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施形態1に係るICタグ装着具の斜視図である。
【図2】実施形態1に係るICタグ装着具の側面図である。
【図3】ICタグ装着具に組み込まれているICタグの外観を示す図である。
【図4】ICタグに内蔵された半導体チップの機能構成を示すブロック図である。
【図5】実施形態2に係るICタグ装着具の側面図である。
【図6】実施形態3に係るICタグ装着具の斜視図である。
【図7】実施形態3に係るICタグ装着具の側面図である。
【図8】実施形態3に係るICタグ装着具をガラスに装着した状態を示す図である。
【図9】複数の実施形態3に係るICタグ装着具を各ガラスに着脱するための補助具の模式図である。
【図10】実施形態3に係るICタグ装着具のより好ましい形態を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
10 ICタグ装着具、20 ICタグ、40 基材40、50 吸盤、60 吸盤シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子タグと、
前記電子タグが組み込まれた基材と、
前記基材の表面に設けられた複数の吸盤と、
を備えることを特徴とする電子タグ装着具。
【請求項2】
前記電子タグが前記複数の吸盤が設けられた面から当該面の法線方向に離れた位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子タグ装着具。
【請求項3】
前記複数の吸盤が前記基材に着脱可能に設けられたシート上に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子タグ装着具。
【請求項4】
電子タグと、
前記電子タグが組み込まれた基材と、
前記基材から突出した状態で前記基材に連結され、少なくとも一方の面に複数の吸盤が形成された吸盤シートと、
を備えることを特徴とする電子タグ装着具。
【請求項5】
前記基材または前記吸盤シートに前記複数の吸盤を対象物から引き剥がす際に利用可能な取手が取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の電子タグ装着具。
【請求項6】
前記電子タグ装着具が装着される対象物がガラスであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電子タグ装着具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−212585(P2007−212585A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30304(P2006−30304)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】