電子タグ
【課題】 従来のテープタイプの磁気式タグは、使用対象に合せてカットし、装着する作業がほとんど手作業となり、時間がかかるうえに、装着状態の見栄えも悪くなってしまうという点であり、これは、ICチップとアンテナとから構成される非接触式タグにもいえることである。
【解決手段】 ベースとなるテープ材の一面に長手方向に沿って少なくとも磁気式テープからなる磁気式タグを固定してある電子タグにおいて、前記電子タグはフープ材として形成されており、前記したベースとなるテープ材の一面には前記した磁気式タグに加え、個体識別情報を有するICチップと送受信アンテナから構成される非接触式ICタグを並設もしくは重合してあることとする。
【解決手段】 ベースとなるテープ材の一面に長手方向に沿って少なくとも磁気式テープからなる磁気式タグを固定してある電子タグにおいて、前記電子タグはフープ材として形成されており、前記したベースとなるテープ材の一面には前記した磁気式タグに加え、個体識別情報を有するICチップと送受信アンテナから構成される非接触式ICタグを並設もしくは重合してあることとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子タグに関し、その電子タグが具備された個体の不正持出し、特に万引き等の犯罪行為防止の機能を有し、必要に応じて前記個体の識別、情報管理を共に行なえる非接触式ICタグの付加も可能としたテープタイプの電子タグに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気式タグは磁性体が電磁場に影響を与える特性を利用し、店舗や施設から商品や備品を不正に持ち出すことの防止を目的として使用されている。この磁気式タグは電磁場を発生および感知するゲートとシステム上対応している。この磁気式タグは商品等の不正持出し防止を目的とするため、個体の個別な識別機能は有していない。
【0003】
この磁気式タグは、テープタイプの場合、その貼着作業はほとんどが手作業でなされることとなり、非常に効率が悪く、時間を要するうえに、装着状態が蛇行してしまうこともあり、機能性の点に加え、美感も悪くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
出願人は本願発明に関し、先行する技術文献を調査したが、格別に本願発明と関連し、類似すると思われる文献は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明が解決しようとする問題点は、従来のテープタイプの磁気式タグは、使用対象に合せてカットし、装着する作業がほとんど手作業となり、時間がかかるうえに、装着状態の見栄えも悪くなってしまうという点であり、これは、ICチップとアンテナとから構成される非接触式タグにもいえることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した問題点を解決するために、本発明に係る電子タグは、ベースとなるテープ材の一面に長手方向に沿って少なくとも磁気式テープからなる磁気式タグを固定してある電子タグにおいて、前記電子タグはフープ材として形成されており、前記したベースとなるテープ材の一面には前記した磁気式タグに加え、個体識別情報を有するICチップと送受信アンテナから構成される非接触式ICタグを並設もしくは重合してあることを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る電子タグは、前記した磁気式タグは磁気式テープと、その磁気式テープの一面の長手方向に所定間隔で配置した複数の磁気式セグメントによって構成されていることを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明に係る電子タグは、前記したベースとなるテープ材は幅を6mm以下とし、適宜長さでカット可能とされていることを特徴とし、前記したベースとなるテープ材の使用時の長さは130mmまたは63mmもしくは50mmとされることを特徴としている。
【0009】
そして、本発明に係る電子タグは、前記した非接触式ICタグはUHF帯のものであることを特徴とし、前記したICチップの個体識別情報はRAMによって構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電子タグは上記のように構成されている。そのために、フープ材とされているものを機械的に順次引き出し、対象の表面に貼付しながら、適宜寸法でカットし、押し付けることが可能となり、装着場所が限定された狭く、細い個所にでも容易に、しかも、蛇行等することもなく、綺麗に装着することができ、大幅に作業時間の短縮が可能となる。
【0011】
加えて、磁気式テープに加え、非接触式のICタグを装備することで、対象となる個体の情報管理も同時に行なえることとなる。しかも、その付加の構成によって、非接触式ICタグのICチップと連通する励振スリットが磁気式タグと重なることをなくし、インピーダンス整合が取れなくなる事等による通信不能、機能低下を抑制している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を実施し、カットされた状態の電子タグを示す平面図である。
【図2】他の例を示す平面図である。
【図3】使用対象となる書籍を示す斜視図である。
【図4】使用対象となるカセット磁気テープのケースへの貼付例を示す図である。
【図5】ゲート通過位置を示す図である。
【図6】ゲートに対しての通過方向を示す図である。
【図7】使用対象となる証券マイクロテープへの貼付例を示す図である。
【図8】ゲート通過位置を示す図である。
【図9】ゲートに対しての通過方向を示す図である。
【図10】マイクロフィッシュへの貼付例を示す図である。
【図11】ラベラーとの関係を示す平面図である。
【図12】ラベラーとの関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施の例を図面を参照して説明する。図面にあって1はベースとされるテープ材を示しており、このテープ材1はフレキシブルなプラスチック製のものが使用される。後述するように、本実施例に係る電子タグは、書籍、その他の商品を使用対象として、主にその不正持出し防止を図るため、装着がし易いようにテープ材1の幅は6mm以下、そして長さは対象に合わせ、150mm以下、特に130mm、63mm、50mm等にカットされた状態となっている。
【0015】
このテープ材1の一方側の面上にはテープ材1の長手方向に沿って磁気式タグ2が直線方向に配置され、粘着剤等の固定手段を介して固定されている。ゲートと対応させ、不正持出し防止を図るのみなら、この磁気式タグ2のみでよいが、個体情報の管理も併用するにはその磁気式タグ2と平行または重合に非接触式ICタグ3が配置される。
【0016】
また、前記したテープ材1の他方側面には粘着剤層が設けられ、剥離紙が積合されるもので、初期的に、磁気式タグ2や非接触式ICタグ3が設けられたテープ材1は剥離紙側を外側としてコアにロールされたフープ材として成形される。
【0017】
ここでいう磁気式タグ2とは、一般的に万引き等の不正持出し防止を目的として使用されるもの(磁性体と半硬質磁性体を組み合わせた構成、または磁性体のみの構成)であれば、特に限定されるものではないが、磁性体としては、好ましくは5mOe,1kHzの励振磁界における初透磁率が1000以上の高透磁率を持つ金属材料がよい。具体的には、Ni-Feを主成分とするパーマロイ,Fe‐Si合金,アモルファス合金等が挙げられ、なかでもCo‐Fe‐Si‐B,Co‐Fe‐Ni‐Si‐Bを主成分とするアモルファス金属材料は高透磁率特性を示すことから、特に好ましい。
【0018】
尚、本願における磁性体材料の形態としては、円形断面、楕円断面、多角形断面を有する線材や、細幅の矩形断面を有する薄板や薄帯のものを用いることができる。また、磁化過程において、ある特定の励磁磁界(逆磁区形成限界磁界値)において、急速に磁化反転を生じる大バルクハウゼン不連続という磁気特性を示すFe‐Co‐Si‐Bを主成分とするアモルファス金属材料も本願発明の磁性体として好ましい材料に挙げられる。
【0019】
また、半硬質磁性体としては、保磁力が10エルステッド以上500エルステッド以下のものを用いることができ、種々のFe合金やCo合金を用いることができる。なかでもFe‐Co‐Cr系合金は、30エルステッド以上150エルステッド以下の優れた半硬質磁気特性を示すので、本願発明に好ましい材料である。また、半硬質磁性材料としては、長さが3mm以上のものを用いれば、半硬質磁性材料が着磁した場合に磁性体材料(例えば、軟磁性体材料)に充分な失活性能を付与することができ、好ましい。
【0020】
さらに、本実施例で用いられる非接触式ICタグ3は、ICチップ4と、そのICチップ4と電気的に接続されているアンテナ5から構成され、接着手段、例えば0.17mm厚の両面テープによって固定されている。ここでアンテナ5はアルミニウムや銅等の金属もしくは合金の非磁性材料で形成されている。このアルミニウムや銅は安価で、エッチング等の加工性が良く、良好な特性を得るためのアンテナ5の材料として好適である。
【0021】
また、非接触式ICタグ3は、UHF帯のマイクロ波を使用する無線方式のものとされ、アンテナ5として形状が棒状となるダイポールアンテナを用いることで良好な通信特性を得られるため、電子タグとして形状を細型化することができる。ICチップ4は、個別情報をRAMによって構成しておくことが好ましく、このICチップ4に固有のIDのみをRAMによって構成入力しておくことで、この固有IDをネットワーク上で管理すれば、小型で安価であり、改ざん不可能なICチップ4とすることができる。
【0022】
前記したように、磁気式タグ2は半硬質磁性体をセグメント2a、2a‥として、間隔をあけて配置し、そのセグメント2a、2a‥の間隔位置に対応して前記した非接触式ICタグ3のICチップ4を位置させることができ、このセグメント2a、2a‥を磁性体の磁気テープ2bで接続もしくは重合させて構成することもできる(図2)。
【0023】
こうした構成の本実施例に係る電子タグは、テープ材1に搭載された磁気式タグ2、2‥及び非接触式ICタグ3の上面から脱落や位置ずれを防止するためのカバーテープを重合させてやることもでき、全体としてテープ状の電子タグとすることができる。この電子タグは図3として例示する書籍Bのページ間や喉部分6に挟み込んだり、両面テープ等を用いて装着してやることもでき、背表紙7と一縁を糊付けされている束8の間に形成される空隙に挿入装着してやることもできる。
【0024】
一方、図4として示すのは、本実施例に係る電子タグT、Tをカセット磁気テープ(CMT)のケース9に貼着した例である。この場合、2本の電子タグT、Tを50から63mmの長さとしてケース9の直交する二面に貼着し、クロス状態としてある。この状態で左右一対のゲート間を、手に持った場合、服のポケットに入れた場合の2パターンで、通常の歩行速度で反応をテストした。その結果は表1に示すとおりであり、ポケットに入れた場合は、CMTケース9を床と平行に保つことはできないので結果はない。
【0025】
【表1】
【0026】
また、図7として示すのは電子タグT、Tを証券マイクロテープのケース10に貼着した例である。この場合も、2本の50から63mmの長さにカットした電子タグT、Tをケース10の表面に直交するクロス状態に貼着してある。この場合、左右のゲートの3つの高さ及び幅による9つのポイントにおいて通常の歩行速度でテストをした(図8参照)。また、証券マイクロテープのケース10の保持方向も電子タグT、Tを床と並行及び床と垂直の2通りにおいて行なった。その結果は平均94%で反応した。その結果は表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
そして、図10乃至12にあっては、横幅6mm以下とした電子タグT、Tをマイクロフィルムフィッシュ11に貼装する場合を示し、そのラベリング装置の概要を示す。この貼装個所はマイクロフィルムフィッシュ11のフレーム11a部分となり、長さは50mmとなる。本例では電子タグT、Tをフレーム11aの縦横部分に2本をクロス状態で貼装することとなる。
【0029】
ロールされてフープ状とされた電子タグは送出口12aを有するケース12内にセットされる。そして、マイクロフィルムフィッシュ11は摺動する台13上にセット固定される。この台13は必要となる電子タグTの長さ分としての50から63mmの移動を可能としている。ケース12の送出口12aは貼装を目的とするフレーム11aに対応している。
【0030】
送出口12aから引き出された電子タグTは、粘着層側に設けられている剥離紙(台紙)14が電子タグTと剥離された状態となっており、この剥離紙14の先端は巻取りローラ15に固定され、順次巻き取られていくようになっている。電子タグTの先端は抑えローラ16によってフレーム11aに押し付けられる。ここで、台13が50から63mm移動すると、自動的に、電子タグTは抑えローラ16によってフレーム11aに押し付け貼装される。この抑えローラ16による押し付けによって、電子タグTは蛇行やシワがよることもなく、精巧に貼装されることとなる。尚、この際に剥離紙14は巻取りローラ15によって50から63mm分巻き取られ、電子タグTは送出口12aの開口縁にあるカッター機構によりカットされる。この作業をフレーム11aの縦横方向に対して実行することとなり、このラベリング装置を用いることで電子タグTの貼装作業は著しく効率がアップする。
【0031】
このラベリング装置の使用はマイクロフィルムフィッシュ11のみに限られるものではなく、前記したケース9や10あるいは書籍Bに対しても実行でき、書籍Bの場合は製本過程で行なうことも可能である。電子タグの長さも50mmにこだわるものではなく、書籍Bに対しては63mmや130mm等、この書籍Bのサイズに対応させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る電子タグは上記のように構成されており、実施例で示した対象商品のほか、CD、DVD等のケースや化粧品や薬品のボックスケース等、装着形態が特定される種々の商品、物品に対して広く応用して装着使用することが可能である。
【0033】
また、電子タグをフープ材としてラベリング装置を用いて自動貼装する構成は、不正持出し防止用の磁気式タグに限らず、個体情報を識別するための非接触式タグのみをベースとなるテープ材に搭載したものにあっても応用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 テープ材
2 磁気式タグ
2a セグメント
2b 磁気テープ
3 非接触式ICタグ
4 ICチップ
5 アンテナ
6 喉部分
7 背表紙
8 束
9 ケース
10 ケース
11 マイクロフィルムフィッシュ
11a フレーム
12 ケース
12a 送出口
13 台
14 剥離紙
15 巻取りローラ
16 抑えローラ
B 書籍
T 電子タグ
【技術分野】
【0001】
本発明は電子タグに関し、その電子タグが具備された個体の不正持出し、特に万引き等の犯罪行為防止の機能を有し、必要に応じて前記個体の識別、情報管理を共に行なえる非接触式ICタグの付加も可能としたテープタイプの電子タグに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気式タグは磁性体が電磁場に影響を与える特性を利用し、店舗や施設から商品や備品を不正に持ち出すことの防止を目的として使用されている。この磁気式タグは電磁場を発生および感知するゲートとシステム上対応している。この磁気式タグは商品等の不正持出し防止を目的とするため、個体の個別な識別機能は有していない。
【0003】
この磁気式タグは、テープタイプの場合、その貼着作業はほとんどが手作業でなされることとなり、非常に効率が悪く、時間を要するうえに、装着状態が蛇行してしまうこともあり、機能性の点に加え、美感も悪くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
出願人は本願発明に関し、先行する技術文献を調査したが、格別に本願発明と関連し、類似すると思われる文献は発見できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明が解決しようとする問題点は、従来のテープタイプの磁気式タグは、使用対象に合せてカットし、装着する作業がほとんど手作業となり、時間がかかるうえに、装着状態の見栄えも悪くなってしまうという点であり、これは、ICチップとアンテナとから構成される非接触式タグにもいえることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した問題点を解決するために、本発明に係る電子タグは、ベースとなるテープ材の一面に長手方向に沿って少なくとも磁気式テープからなる磁気式タグを固定してある電子タグにおいて、前記電子タグはフープ材として形成されており、前記したベースとなるテープ材の一面には前記した磁気式タグに加え、個体識別情報を有するICチップと送受信アンテナから構成される非接触式ICタグを並設もしくは重合してあることを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る電子タグは、前記した磁気式タグは磁気式テープと、その磁気式テープの一面の長手方向に所定間隔で配置した複数の磁気式セグメントによって構成されていることを特徴としている。
【0008】
さらに、本発明に係る電子タグは、前記したベースとなるテープ材は幅を6mm以下とし、適宜長さでカット可能とされていることを特徴とし、前記したベースとなるテープ材の使用時の長さは130mmまたは63mmもしくは50mmとされることを特徴としている。
【0009】
そして、本発明に係る電子タグは、前記した非接触式ICタグはUHF帯のものであることを特徴とし、前記したICチップの個体識別情報はRAMによって構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電子タグは上記のように構成されている。そのために、フープ材とされているものを機械的に順次引き出し、対象の表面に貼付しながら、適宜寸法でカットし、押し付けることが可能となり、装着場所が限定された狭く、細い個所にでも容易に、しかも、蛇行等することもなく、綺麗に装着することができ、大幅に作業時間の短縮が可能となる。
【0011】
加えて、磁気式テープに加え、非接触式のICタグを装備することで、対象となる個体の情報管理も同時に行なえることとなる。しかも、その付加の構成によって、非接触式ICタグのICチップと連通する励振スリットが磁気式タグと重なることをなくし、インピーダンス整合が取れなくなる事等による通信不能、機能低下を抑制している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を実施し、カットされた状態の電子タグを示す平面図である。
【図2】他の例を示す平面図である。
【図3】使用対象となる書籍を示す斜視図である。
【図4】使用対象となるカセット磁気テープのケースへの貼付例を示す図である。
【図5】ゲート通過位置を示す図である。
【図6】ゲートに対しての通過方向を示す図である。
【図7】使用対象となる証券マイクロテープへの貼付例を示す図である。
【図8】ゲート通過位置を示す図である。
【図9】ゲートに対しての通過方向を示す図である。
【図10】マイクロフィッシュへの貼付例を示す図である。
【図11】ラベラーとの関係を示す平面図である。
【図12】ラベラーとの関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施の例を図面を参照して説明する。図面にあって1はベースとされるテープ材を示しており、このテープ材1はフレキシブルなプラスチック製のものが使用される。後述するように、本実施例に係る電子タグは、書籍、その他の商品を使用対象として、主にその不正持出し防止を図るため、装着がし易いようにテープ材1の幅は6mm以下、そして長さは対象に合わせ、150mm以下、特に130mm、63mm、50mm等にカットされた状態となっている。
【0015】
このテープ材1の一方側の面上にはテープ材1の長手方向に沿って磁気式タグ2が直線方向に配置され、粘着剤等の固定手段を介して固定されている。ゲートと対応させ、不正持出し防止を図るのみなら、この磁気式タグ2のみでよいが、個体情報の管理も併用するにはその磁気式タグ2と平行または重合に非接触式ICタグ3が配置される。
【0016】
また、前記したテープ材1の他方側面には粘着剤層が設けられ、剥離紙が積合されるもので、初期的に、磁気式タグ2や非接触式ICタグ3が設けられたテープ材1は剥離紙側を外側としてコアにロールされたフープ材として成形される。
【0017】
ここでいう磁気式タグ2とは、一般的に万引き等の不正持出し防止を目的として使用されるもの(磁性体と半硬質磁性体を組み合わせた構成、または磁性体のみの構成)であれば、特に限定されるものではないが、磁性体としては、好ましくは5mOe,1kHzの励振磁界における初透磁率が1000以上の高透磁率を持つ金属材料がよい。具体的には、Ni-Feを主成分とするパーマロイ,Fe‐Si合金,アモルファス合金等が挙げられ、なかでもCo‐Fe‐Si‐B,Co‐Fe‐Ni‐Si‐Bを主成分とするアモルファス金属材料は高透磁率特性を示すことから、特に好ましい。
【0018】
尚、本願における磁性体材料の形態としては、円形断面、楕円断面、多角形断面を有する線材や、細幅の矩形断面を有する薄板や薄帯のものを用いることができる。また、磁化過程において、ある特定の励磁磁界(逆磁区形成限界磁界値)において、急速に磁化反転を生じる大バルクハウゼン不連続という磁気特性を示すFe‐Co‐Si‐Bを主成分とするアモルファス金属材料も本願発明の磁性体として好ましい材料に挙げられる。
【0019】
また、半硬質磁性体としては、保磁力が10エルステッド以上500エルステッド以下のものを用いることができ、種々のFe合金やCo合金を用いることができる。なかでもFe‐Co‐Cr系合金は、30エルステッド以上150エルステッド以下の優れた半硬質磁気特性を示すので、本願発明に好ましい材料である。また、半硬質磁性材料としては、長さが3mm以上のものを用いれば、半硬質磁性材料が着磁した場合に磁性体材料(例えば、軟磁性体材料)に充分な失活性能を付与することができ、好ましい。
【0020】
さらに、本実施例で用いられる非接触式ICタグ3は、ICチップ4と、そのICチップ4と電気的に接続されているアンテナ5から構成され、接着手段、例えば0.17mm厚の両面テープによって固定されている。ここでアンテナ5はアルミニウムや銅等の金属もしくは合金の非磁性材料で形成されている。このアルミニウムや銅は安価で、エッチング等の加工性が良く、良好な特性を得るためのアンテナ5の材料として好適である。
【0021】
また、非接触式ICタグ3は、UHF帯のマイクロ波を使用する無線方式のものとされ、アンテナ5として形状が棒状となるダイポールアンテナを用いることで良好な通信特性を得られるため、電子タグとして形状を細型化することができる。ICチップ4は、個別情報をRAMによって構成しておくことが好ましく、このICチップ4に固有のIDのみをRAMによって構成入力しておくことで、この固有IDをネットワーク上で管理すれば、小型で安価であり、改ざん不可能なICチップ4とすることができる。
【0022】
前記したように、磁気式タグ2は半硬質磁性体をセグメント2a、2a‥として、間隔をあけて配置し、そのセグメント2a、2a‥の間隔位置に対応して前記した非接触式ICタグ3のICチップ4を位置させることができ、このセグメント2a、2a‥を磁性体の磁気テープ2bで接続もしくは重合させて構成することもできる(図2)。
【0023】
こうした構成の本実施例に係る電子タグは、テープ材1に搭載された磁気式タグ2、2‥及び非接触式ICタグ3の上面から脱落や位置ずれを防止するためのカバーテープを重合させてやることもでき、全体としてテープ状の電子タグとすることができる。この電子タグは図3として例示する書籍Bのページ間や喉部分6に挟み込んだり、両面テープ等を用いて装着してやることもでき、背表紙7と一縁を糊付けされている束8の間に形成される空隙に挿入装着してやることもできる。
【0024】
一方、図4として示すのは、本実施例に係る電子タグT、Tをカセット磁気テープ(CMT)のケース9に貼着した例である。この場合、2本の電子タグT、Tを50から63mmの長さとしてケース9の直交する二面に貼着し、クロス状態としてある。この状態で左右一対のゲート間を、手に持った場合、服のポケットに入れた場合の2パターンで、通常の歩行速度で反応をテストした。その結果は表1に示すとおりであり、ポケットに入れた場合は、CMTケース9を床と平行に保つことはできないので結果はない。
【0025】
【表1】
【0026】
また、図7として示すのは電子タグT、Tを証券マイクロテープのケース10に貼着した例である。この場合も、2本の50から63mmの長さにカットした電子タグT、Tをケース10の表面に直交するクロス状態に貼着してある。この場合、左右のゲートの3つの高さ及び幅による9つのポイントにおいて通常の歩行速度でテストをした(図8参照)。また、証券マイクロテープのケース10の保持方向も電子タグT、Tを床と並行及び床と垂直の2通りにおいて行なった。その結果は平均94%で反応した。その結果は表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
そして、図10乃至12にあっては、横幅6mm以下とした電子タグT、Tをマイクロフィルムフィッシュ11に貼装する場合を示し、そのラベリング装置の概要を示す。この貼装個所はマイクロフィルムフィッシュ11のフレーム11a部分となり、長さは50mmとなる。本例では電子タグT、Tをフレーム11aの縦横部分に2本をクロス状態で貼装することとなる。
【0029】
ロールされてフープ状とされた電子タグは送出口12aを有するケース12内にセットされる。そして、マイクロフィルムフィッシュ11は摺動する台13上にセット固定される。この台13は必要となる電子タグTの長さ分としての50から63mmの移動を可能としている。ケース12の送出口12aは貼装を目的とするフレーム11aに対応している。
【0030】
送出口12aから引き出された電子タグTは、粘着層側に設けられている剥離紙(台紙)14が電子タグTと剥離された状態となっており、この剥離紙14の先端は巻取りローラ15に固定され、順次巻き取られていくようになっている。電子タグTの先端は抑えローラ16によってフレーム11aに押し付けられる。ここで、台13が50から63mm移動すると、自動的に、電子タグTは抑えローラ16によってフレーム11aに押し付け貼装される。この抑えローラ16による押し付けによって、電子タグTは蛇行やシワがよることもなく、精巧に貼装されることとなる。尚、この際に剥離紙14は巻取りローラ15によって50から63mm分巻き取られ、電子タグTは送出口12aの開口縁にあるカッター機構によりカットされる。この作業をフレーム11aの縦横方向に対して実行することとなり、このラベリング装置を用いることで電子タグTの貼装作業は著しく効率がアップする。
【0031】
このラベリング装置の使用はマイクロフィルムフィッシュ11のみに限られるものではなく、前記したケース9や10あるいは書籍Bに対しても実行でき、書籍Bの場合は製本過程で行なうことも可能である。電子タグの長さも50mmにこだわるものではなく、書籍Bに対しては63mmや130mm等、この書籍Bのサイズに対応させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る電子タグは上記のように構成されており、実施例で示した対象商品のほか、CD、DVD等のケースや化粧品や薬品のボックスケース等、装着形態が特定される種々の商品、物品に対して広く応用して装着使用することが可能である。
【0033】
また、電子タグをフープ材としてラベリング装置を用いて自動貼装する構成は、不正持出し防止用の磁気式タグに限らず、個体情報を識別するための非接触式タグのみをベースとなるテープ材に搭載したものにあっても応用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 テープ材
2 磁気式タグ
2a セグメント
2b 磁気テープ
3 非接触式ICタグ
4 ICチップ
5 アンテナ
6 喉部分
7 背表紙
8 束
9 ケース
10 ケース
11 マイクロフィルムフィッシュ
11a フレーム
12 ケース
12a 送出口
13 台
14 剥離紙
15 巻取りローラ
16 抑えローラ
B 書籍
T 電子タグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースとなるテープ材の一面に長手方向に沿って少なくとも磁気式テープからなる磁気式タグを固定してある電子タグにおいて、前記電子タグはフープ材として形成されており、前記したベースとなるテープ材の一面には前記した磁気式タグに加え、個体識別情報を有するICチップと送受信アンテナから構成される非接触式ICタグを並設もしくは重合してあることを特徴とする電子タグ。
【請求項2】
前記した磁気式タグは磁気式テープと、その磁気式テープの一面の長手方向に所定間隔で配置した複数の磁気式セグメントによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子タグ。
【請求項3】
前記したベースとなるテープ材は幅を6mm以下とし、適宜長さでカット可能とされていることを特徴とする請求項1から2のうち1項に記載の電子タグ。
【請求項4】
前記したベースとなるテープ材の使用時の長さは130mmまたは63mmもしくは50mmとされることを特徴とする請求項1から3のうち1項に記載の電子タグ。
【請求項5】
前記した非接触式ICタグはUHF帯のものであることを特徴とする請求項1から4のうち1項に記載の電子タグ。
【請求項6】
前記したICチップの個体識別情報はRAMによって構成されていることを特徴とする請求項1から5のうち1項に記載の電子タグ。
【請求項1】
ベースとなるテープ材の一面に長手方向に沿って少なくとも磁気式テープからなる磁気式タグを固定してある電子タグにおいて、前記電子タグはフープ材として形成されており、前記したベースとなるテープ材の一面には前記した磁気式タグに加え、個体識別情報を有するICチップと送受信アンテナから構成される非接触式ICタグを並設もしくは重合してあることを特徴とする電子タグ。
【請求項2】
前記した磁気式タグは磁気式テープと、その磁気式テープの一面の長手方向に所定間隔で配置した複数の磁気式セグメントによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子タグ。
【請求項3】
前記したベースとなるテープ材は幅を6mm以下とし、適宜長さでカット可能とされていることを特徴とする請求項1から2のうち1項に記載の電子タグ。
【請求項4】
前記したベースとなるテープ材の使用時の長さは130mmまたは63mmもしくは50mmとされることを特徴とする請求項1から3のうち1項に記載の電子タグ。
【請求項5】
前記した非接触式ICタグはUHF帯のものであることを特徴とする請求項1から4のうち1項に記載の電子タグ。
【請求項6】
前記したICチップの個体識別情報はRAMによって構成されていることを特徴とする請求項1から5のうち1項に記載の電子タグ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−216062(P2011−216062A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86210(P2010−86210)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(593027864)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【出願人】(503165495)株式会社ウィザード (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(593027864)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【出願人】(503165495)株式会社ウィザード (3)
【Fターム(参考)】
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