説明

電子チケット

【課題】チケット本体を分離することが可能な電子チケットを提供すること。
【解決手段】
第1の情報を表示し、前記第1の情報の表示を電力を消費することなく保持する第1の表示部111を有する第1の本体部110と、前記第1の本体部110と分離部で分離可能な第2の本体部160と、を有する電子チケット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子チケットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばコンサート及びスポーツの試合などのイベントにおいて、利用者は、イベントの主催者またはその代理店などからそのイベントのチケットをイベント開催前に購入する。従来このチケットは紙のチケットが主流であった。紙のチケットはその多くが切り取り線の位置で2つにちぎることが出来る形態となっている。このようなチケットは、イベント会場に入場する際に、係員などによって2つにちぎられる。ちぎられたチケットの一方は主催者によって回収され、もう一方は利用者に戻される。
【0003】
一方近年、例えば特許文献1に開示されたように、イベントのチケット管理、チケット発券、及び入場管理まで全て電子化した電子チケットシステムが実用化されている。このような電子チケットシステムにおいては、利用者がイベント会場に入場する際、利用者本人又は係員などが電子チケットを読み取る機能を有する装置に電子チケットをかざすなどの操作をすることによって入場管理をしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-24865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の電子チケットは、紙のチケットに比べてその形態が大きく異なる。そのため、情報機器に不慣れな利用者は利用に当たって戸惑う可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、紙のチケットのようにチケット本体を分離することが可能な、新規かつ改良された電子チケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1の情報を表示し、上記第1の情報の表示を電力を消費することなく保持する第1の表示部を有する第1の本体部と、上記第1の本体部と分離部で分離可能な第2の本体部と、を有する電子チケットが提供される。
【0008】
また、上記第1の表示部は、電子ペーパにより形成されるものであってもよい。
【0009】
また、上記分離部は、貫通溝が一列に並んで成る切り取り線により形成されるものであってもよい。
【0010】
また、上記分離部は、上記第1の本体部と上記第2の本体部とが着脱可能に形成されるものであってもよい。
【0011】
また、上記第2の本体部は、第2の情報を表示し、上記第2の情報の表示を電力を消費することなく保持する第2の表示部を有するものであってもよい。
【0012】
また、上記第2の表示部は、電子ペーパにより形成されるものであってもよい。
【0013】
また上記電子チケットは、上記第1の本体部と上記第2の本体部とを上記分離部の位置で分離する動作に伴って、上記第1の表示部に表示する内容の書き換え指示を出力する書換指示部をさらに有するものであってもよい。
【0014】
また上記書換指示部は、書換制御回路からなるスイッチ機構を含み、上記書換制御回路は、絶縁物又は空間から成る絶縁部によって電気的に離隔された非接続状態から上記絶縁部にて上記書換制御回路が電気的に接続された接続状態に切り替わり電流が流れることによって上記書換指示を出力するものであってもよい。
【0015】
また上記第1の本体部は、上記第1の表示部の表示内容の書換を制御する第1の制御部と、時刻情報を提供する時計部とを有し、上記第1の制御部は、上記時計部から取得した時刻情報が、所定の時刻以前か否かに基づいて上記第1の表示部に表示する内容を制御するものであってもよい。
【0016】
また上記第1の本体部はさらに書換データ記憶部を有し、上記第1の表示部に書換表示する情報は、上記書換データ記憶部に記憶された情報であってもよい。
【0017】
また上記第1の本体部はさらに通信部を有し、上記第1の表示部に書換表示する情報は、上記通信部を介して取得した情報であってもよい。
【0018】
また上記第1の表示部は、利用者用の表示部であってもよく、上記第2の表示部は、主催者用の表示部であってもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば第1の情報を表示し、前期第1の情報の表示を電力を消費することなく保持する第1の表示部を有する電子チケットから、その一部がちぎられる動作に伴い、前記第1の表示部の表示を書き換える電子チケットの表示方法が提供される。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、紙のチケットのようにチケット本体を分離することが可能な電子チケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子チケットの機能を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係る電子チケットの構成を示す模式図である。
【図3】同実施形態に係る電子チケットの書換指示部の構成を示す説明図である。
【図4】同実施形態に係る電子チケットの分離時の表示を示す模式図である。
【図5】同実施形態に係る電子チケットの制御部の動作を示すフローチャートである。
【図6】書換指示部の構成の第1の変形例を示す説明図である。
【図7】書換指示部の構成の第2の変形例を示す説明図である。
【図8】同実施形態に係る電子チケットの機能構成の変形例を示すブロック図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る電子チケットの機能構成を示すブロック図である。
【図10】同実施形態に係る電子チケットの書換指示部の構成を示す説明図である。
【図11】同実施形態に係る電子チケットの分離時の表示の一例を示す模式図である。
【図12】同実施形態に係る電子チケットの制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
<第1の実施形態>
(電子チケットの機能構成)
まず図1を参照しながら本発明の第1の実施形態に係る電子チケットの機能構成について説明する。図1は、一実施形態に係る電子チケットの機能構成を示すブロック図である。
【0024】
本発明の第1の実施形態に係る電子チケット100は紙のように薄く、軽量なシート状の物体であり、第1の本体部110と、第2の本体部160とを主に有し、分離部150の位置においてちぎることで、第1の本体部110と第2の本体部160とに分離することが可能である。
【0025】
第1の本体部110は、分離部150を介して第2の本体部160と継合される。本実施形態において第1の本体部110は、分離した後利用者用の半券として用いられる。一方第2の本体部160は、本実施形態においては主催者用の半券として回収される。
【0026】
分離部150は、第1の本体部110と第2の本体部160との間に位置し、電子チケット100を分離することが可能な部分である。分離部150は、本実施形態においては切り取り線で形成され、一度分離した後は、再び結合することが出来ない。また、分離部150は、例えば第1の本体部110及び第2の本体部160よりも薄いフィルムによって形成されているとちぎりやすく好ましい。
【0027】
第1の本体部は、第1の表示部111と第1の制御部113と書換データ記憶部115とを主に有する。また、第2の本体部160は、第2の表示部161と第2の制御部163と付加データ生成部165とを主に有する。また、分離部151は書換指示部155を主に有する。
【0028】
第1の表示部111は、第1の制御部113に接続されている。第1の制御部113は、第1の表示部111、書換データ記憶部115、及び書換指示部155に接続されている。書換データ記憶部115は、第1の制御部113に接続されている。書換指示部155は、第1の制御部113及び第2の制御部163に接続されている。第2の制御部163は、書換指示部155、第2の表示部161、及び付加データ生成部165に接続されている。第2の表示部161は、第2の制御部163に接続されている。付加データ生成部165は、第2の制御部163に接続されている。
【0029】
第1の表示部111は、情報を表示し、その情報の表示を電力を必要とせず保持することができるディスプレイである。即ち、一旦画像を表示させた後は、第1の表示部111の各画素に電圧を印加しなくても画像を表示し続けることが出来る。第1の表示部111は、例えば電子ペーパなどで形成する。
【0030】
第1の制御部113は、第1の本体部110の動作を制御する機能部である。例えば、第1の表示部111に表示する内容の制御を行う。
【0031】
書換データ記憶部115は、第1の表示部111に書換表示させるための書換データを記憶する。書換データとは電子データであり、第1の表示部111に表示させることが可能な画像データであってもよいし、その他のフォーマットを有するデータであってもよい。書換データがその他のフォーマットである場合には、第1の制御部113においてデータフォーマットが変換されるため問題ない。
【0032】
ここで、書換データ記憶部は例えばハードディスク(Hard Disk)などの磁気記録媒体や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)などの不揮発性メモリが挙げられるが、上記に限られない。
【0033】
書換指示部155は、第1の本体部110と第2の本体部160とを分離部150の位置で分離する動作に伴って、第1の表示部111及び第2の表示部161に表示する内容の書き換え指示を出力する。本実施形態において書換指示部155は、書換制御回路からなるスイッチ機構である。書換制御回路は、絶縁物又は空間などからなる絶縁部によって電気的に離隔された非接続状態から絶縁部において書換制御回路が電気的に接続された接続状態に切り替わり、書換制御回路に電流が流れることによって書換指示を出力する。スイッチ機構の詳細については後述する。
【0034】
第2の表示部161は、情報を表示し、その情報の表示を電力を必要とせず保持することが出来るディスプレイである。即ち、一旦画像を表示させた後は、第2の表示部161の各画素に電圧を印加しなくても画像を表示し続けることが出来る。第2の表示部161は、例えば電子ペーパなどで形成する。
【0035】
第1の表示部111及び第2の表示部161に用いられる電子ペーパは、例えば2枚の基板間に電界を与えることで画像を表示するものであり、いったん画像を表示させたあとは各画素に電圧をかけなくても長期間同じ画像を表示し続ける反射型ディスプレイである。電子ペーパの表示方式は、例えばマイクロカプセル型電気泳動方式、コレステリック液晶方式、及びエレクトロクロミック方式などが挙げられる。
【0036】
第2の制御部163は、第2の本体部160の動作を制御する機能部である。例えば、第2の表示部161に表示する内容の制御を行う。
【0037】
付加データ生成部165は、第2の表示部161に表示するための付加データを生成する機能を有する。付加データ生成部165は、例えば時刻データを生成する機能を有していてもよい。この場合、電子チケット100をちぎったタイミングで、ちぎった時刻を第2の表示部161に表示させることが出来る。
【0038】
(電子チケットの物理構成)
本実施形態に係る電子チケット100は、例えば、コンサート、映画、及びスポーツの試合などのイベントの入場管理に使われるチケットとして用いられ、上記の通り分離部150の位置において分離することで、利用者が会場に入場する際の受付を済ませたことを示す。このような入場管理手段は、従来紙を用いたチケットで行われていたものと同様である。
【0039】
従来、電子チケットにおいて採用された入場管理の手段としては、例えば携帯電話やPDAのような端末を用いた電子チケットを会場に設置された電子チケット読み取りのための装置などを用いて読み取るといったことが行われていた。しかし、このような電子チケットにおいては、利用形態が紙のチケットの利用形態に比べて大きく異なるため、利用者が戸惑うばかりでなく、読み取りのための装置を設置できない会場において利用することが出来ないといった問題があった。一方、本発明の一実施形態に係る電子チケット100は、読み取り用の装置なども不要であるという利点を有し、紙のチケット同様にちぎった後の半券を用いて再入場の管理及び座席の確認などが可能である。
【0040】
そこで、以下図2、図3、及び図4を参照しながら、本実施形態に係る電子チケット100の物理構成と表示の例について説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る電子チケットの構成を示す模式図である。図3は、本発明の一実施形態に係る電子チケットの分離時の表示を示す模式図である。図4は、本発明の一実施形態に係る電子チケットの書換指示部の構成を示す説明図である。尚、以下図1と同じ構成要素を示す場合には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0041】
まず、図2を参照しながら本実施形態に係る電子チケット100の全体構成及び表示例について説明する。電子チケット100は、分離部150において電子チケット100本体をちぎり、第1の本体部110と第2の本体部160とに分離することが可能である。第1の本体部110は第1の表示部111を有し、第2の本体部160は第2の表示部161を有する。
【0042】
第1の表示部111は、本実施形態においては利用者用の表示部であり、利用者が必要とする情報(第1の情報に相当)を表示する。例えば第1の表示部111は、入場前においては、イベント名、会場名、開催日時、及び座席番号などを表示してよい。また例えば第1の表示部111は、会場までのアクセス方法や駅からの所要時間など(いずれも図示せず。)を表示するようにしてもよい。
【0043】
また一方、第2の表示部161は、本実施形態においては主催者用の表示部であり、主催者が必要とする情報(第2の情報に相当)を表示する。例えば第2の表示部161は、イベント名と座席番号などを表示してよい。
【0044】
(書換指示部の物理構成)
分離部150は書換指示部155を有する。書換指示部155は、第1の本体部110と第2の本体部160とを分離部150の位置で分離する動作に伴って、第1の表示部111及び第2の表示部161に表示する内容の書き換え指示を出力する。そこで、書換指示部155の具体的な実現手段について、その一例を図3に示す。本実施形態において分離部150は、貫通溝が一列に並んで成る切り取り線により形成されている。
【0045】
図3を参照すると、書換指示部155は、書換制御回路1551と絶縁体1553とを含むスイッチ機構である。本実施形態においては第1の表示部111と第2の表示部161との双方を書き換えるため、向きの違う2つのスイッチ機構を有する。以下、第1の表示部111を書き換えるためのスイッチ機構についてその詳細を説明する。
【0046】
書換指示部155は、書換制御回路1551aと絶縁体1553aとを有する。書換制御回路1551aは、電源を有する。しかし分離部150の近傍において、絶縁体1553aが書換制御回路1551aの間に挿入されることにより絶縁されているため、第1の制御部113に電流は流れない。電子チケットが切り取り線に沿ってちぎられる際に、絶縁体1553aが書換制御回路1551aから抜けて、書換制御回路1551aが接続されると電流が流れる。本実施形態においてはこの電流を書換指示として用いる。
【0047】
絶縁体1553aは、第2の本体部160側に固定されている。絶縁体1553aが書換制御回路1551aから抜けた際に書換制御回路1551aが接続する方向に、絶縁体1553aの近傍では例えばばねなどにより力が加えられている。かかる構成により、電子チケット100は、分離部150の位置でちぎり、第1の本体部110と第2の本体部160とを分離すると、絶縁体1553aが書換制御回路1551aから抜けて書換制御回路1551aが接続されるため、第1の制御部113へ書換指示である電流が流れる。
【0048】
尚、書換制御回路1551bと絶縁体1553bとについても動作は同様である。書換制御回路1551bは第2の本体部160に内設され、絶縁体1553bは第1の本体部110側に固定されるという点が異なる。また、書換制御回路1551bは第2の制御部163に対して書換指示を出力し、第2の表示部161の表示に対する書換指示を出力するという点が異なる。
【0049】
以上説明したような構成により、書換指示部155から第1の制御部113及び第2の制御部163に書換指示が出力され、第1の表示部111及び第2の表示部161の表示が書き換えられた後の表示例について、図4を用いて説明する。
【0050】
第1の本体部110と第2の本体部160との分離後における第1の本体部110は、利用者用の半券として用いることが出来る。例えば利用者は第1の本体部110に設けられた第1の表示部111に表示された座席の情報を確認することが出来る。また、利用者は分離後の第1の本体部110である半券を、従来紙で行っていたのと同様に再入場の際に用いることも出来る。
【0051】
第1の表示部111は、第1の本体部110と第2の本体部160との分離動作に伴い出力される書換指示に応じて、入場後に利用者が必要とする情報を表示してもよい。例えば第1の表示部111は、会場内の案内図を表示する。かかる構成により、第1の表示部111は限られたスペースの中で効率的に必要な情報を表示することが出来る。
【0052】
第2の表示部161は、第1の本体部110と第2の本体部160との分離動作に伴い出力される書換指示に応じて、上記分離が行われた時刻を表示してもよい。かかる構成により、主催者はイベントの終了後に観客動員の統計データを集めることが出来るようになる。
【0053】
(書換動作フロー)
ここで、図5を参照しながら第1の本体部110における第1の表示部111の表示書換動作フローを説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る電子チケットの制御部の動作を示すフローチャートである。
【0054】
まず、利用者がイベント会場に到着し、ゲートを通過する際に、利用者は例えば係員などに電子チケット100を渡し、電子チケット100のチェックが行われる。係員は電子チケット100が当該イベントのためのものであることを確認すると、電子チケット100をちぎる。更に係員は、主催者用の本体部である第2の本体部160を回収する。
【0055】
この時、上記の構成によって電子チケット100がちぎられる際に書換指示部155から出力される書換指示が第1の制御部113に入力される(S100)。第1の制御部113は、次に書換データ記憶部115に記憶された、書換データを取得する(S102)。第1の制御部113は、取得した書換データが第1の表示部111において表示可能なデータ形式であるか否かを判断し(S104)、書換データがそのままでは表示できないデータ形式である場合には書換データを第1の表示部111において表示可能なデータ形式に変換する(S106)。次に上記書換データを第1の表示部111へ表示する(S108)。
【0056】
この時、第1の表示部111は、書換データが入力されると、書換データを縦と横のドライバ用信号に分離する。信号の分離方法については、第1の表示部111の表示方式により異なる。縦と横のドライバ用信号をそれぞれ縦用のドライバ部と横用のドライバ部(いずれも図示せず。)に送り、それぞれから駆動部分に対して表示のための信号を送る。駆動部分は、表示部分に対してプラス又はマイナスの電圧をかけることによって第1の表示部111の表示を切り替える。
【0057】
次に、第2の本体部160における第2の表示部161の表示書換動作フローについて説明する。尚、書換の流れについては第1の本体部110と同様であるため同じく図5を用いて説明する。
【0058】
電子チケット100がちぎられるまでの動作は上記と同様である。このとき、書換指示部155から出力される書換指示は第2の制御部163にも入力される(S100)。第2の制御部163は、付加データ生成部165から時刻情報などの書換データを取得する(S102)。第2の制御部163は、取得した書換データが第2の表示部163において表示可能なデータ形式であるか否かを判断し(S104)、書換データがそのままでは表示できないデータ形式である場合には書換データを第2の表示部161において表示可能なデータ形式に変換する(S106)。次に上記書換データを第2の表示部161へ表示する。第2の表示部161が書き換えられる際の動作については、第1の表示部111と同様であるため説明を省略する。
【0059】
尚、以上のような第1の制御部113及び第2の制御部163の各動作は、回路などのハードウェア的な手段によって実現されてもよいし、ソフトウェアによって実現されてもよい。ソフトウェアによって実現される場合には、上記のような制御の手順が記述されたプログラムを例えばCPUなどが読み込み、そのプログラムを解釈して実行することにより実現される。
【0060】
(効果の例)
以上第1の実施形態に係る電子チケット100について説明してきた。かかる構成によれば、電子チケット100は人間の手によってちぎる、すなわち第1の本体部110と第2の本体部160とに分離することが出来る。従って、従来紙のチケットによって行われていたのと同様に、チケットを2つにちぎり、一方を主催者用として回収し、他方を利用者用の半券として利用者が必要な情報を表示することが出来る。
【0061】
このような電子チケットにおいて、チケットをちぎる動作に応じて表示部の表示内容を書き換えることが出来るようにした。よって従来の紙のチケットよりも多くの情報を利用者に提供することが出来るという効果がある。例えば上述のようにちぎるまでは会場に着くまでに必要な内容を表示し、ちぎった後は会場内で必要な内容に書き換えることが出来る。
【0062】
また、本実施形態においては従来の電子チケットと異なり、電子チケット内に書換データを記憶しているため、電子チケット単体で書き換えや入場管理などを行うことができ、例えば会場にチケット読み取り用の装置を設置することなくどんな会場においても利用することができるという効果がある。
【0063】
(変形例)
次に、以上説明してきた本発明の第1の実施形態に係る電子チケットの変形例について以下にいくつか説明する。まず、書換指示部155の変形例について説明する。
【0064】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る電子チケット100の書換指示部155の構成の第1の変形例を示す説明図である。第1の実施形態においては、書換制御回路1551aと絶縁体1553aとを用いたスイッチ機構について説明したが、第1の変形例は絶縁体1553aではなく絶縁空間1555aを用いる点において異なる。書換制御回路1551aは、電子チケット100をちぎる動作に伴って図の右の点線内にA分離時として示したように、電子チケット100の分離部155が歪むことによって絶縁空間1555aが縮まり、書換制御回路1551aが接続され、第1の制御部113へ書換指示が出力される。
【0065】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る電子チケット100の書換指示部155の構成の第2の変形例を示す説明図である。第2の変形例は、書き換え制御回路1551a自体を図の右側に引っ張る、スイッチ部1557aを有する点において異なる。電子チケット100をちぎる際に、スイッチ部1557aが図の右側に引っ張られることにより、B分離時において示したように書き換え制御回路1551aが接続される。これによって書換指示を出力することが可能である。
【0066】
以上、書換指示部155の変形例について説明したが、本発明は係る例に限られない。例えば本実施形態においては書換指示部155は全てハードウェアによって実現されるものについて説明をしたが、ソフトウェアによって実現されるものであってもよい。この場合、CPUを搭載し、第1の本体部110と第2の本体部160とが分離したことをセンサなどによって検知し、第1の制御部113及び第2の制御部163に書換指示を出力する。また、ハードウェアとソフトウェアを両方用いたものであっても良い。例えば第1の実施形態において説明したようなスイッチ機構によって第1の本体部110と第2の本体部160とが分離したことを検知し、全てのスイッチ機構が分離したことを検知すると書換指示を出力するようにしてもよい。
【0067】
次に図8を用いて本発明の第1の実施形態に係る電子チケットの機能構成の変形例について説明する。図8は、本発明の一実施形態に係る電子チケットの機能構成の変形例について説明するブロック図である。
【0068】
図8に示す変形例は、図1と比較して書換データ記憶部115を持たず、通信部117を有している点において異なる。通信部117は、書き換えるためのデータを記憶しておく代わりに、通信網に接続する。通信網上のサーバなどに記憶された書換データにアクセスすることが出来るようになり、第1の制御部113は、当該サーバから書換データを取得する。ここで通信網は、有線または無線の伝送路である。例えば電話回線網、衛星通信網、インターネットなどの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、IP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)等の専用回線網を含んでも良い。
【0069】
このように、通信部117を設けることによって、書換データを外部から取得することが可能となる。そのため、書換データの内容を、チケット販売以降に変更することが可能となり、柔軟に表示内容を変更できるという効果がある。
【0070】
以上、第1の実施形態に係る電子チケットとその変形例について説明した。第1の実施形態に係る電子チケットは、電子チケット本体を不可逆に分離可能である。このような構成の電子チケットは、電子ペーパのコストダウンが進み、現在の紙と同様に使用されるようになった場合には非常に有効である。一方、次に説明する第2の実施形態に係る電子チケットは、電子チケット本体がリサイクル可能なものである。
【0071】
<第2の実施形態>
(電子チケットの機能構成)
まず、図9を用いて第2の実施形態に係る電子チケットの機能構成について説明する。図9は、他の実施形態に係る電子チケットの機能構成を示すブロック図である。
【0072】
本発明の第2の実施形態に係る電子チケット200は、第1の本体部110と、第2の本体部160とを主に有し、分離部250の位置において着脱可能である。第1の実施形態に示したように、電子チケット100本体をちぎる場合にはリサイクルが難しい。そこで、第2の実施形態に係る電子チケット200は電子チケット本体を再び継合できるようにしたものである。
【0073】
第1の本体部110は、第1の表示部111と、第1の制御部113と、書換データ記憶部115と、時計部119とを主に有する。また、第2の本体部160は、第2の表示部161と、第2の制御部163と、付加データ生成部165とを主に有する。さらに分離部250は、書換指示部155を主に有する。
【0074】
以下、第1の実施形態と異なる部分のみ説明し、重複する部分については説明を省略する。まず、第2の実施形態に係る電子チケット200の分離部250は、電子チケットがリサイクルできるように、第1の本体部110と第2の本体部160とが着脱可能に構成されている。例えば分離部250は、第1の本体部110と第2の本体部160とに設けられた凹部と凸部とが嵌合することによって着脱可能に形成されてもよい。
【0075】
書換指示部255は、第1の本体部110と第2の本体部160とを分離部150の位置で分離する動作に伴って、第1の表示部111及び第2の表示部161に表示する内容の書き換え指示を出力する。この点においては第1の実施形態と同様であるが、第1の本体部110と第2の本体部160とを再び継合する際に、書換制御回路が再び離間する点において異なる。この構成によりリサイクル可能となっている。
【0076】
ここで、分離部250と書換指示部255との具体的な物理構成の一例について、図10を用いて説明する。図10は、第2の実施形態に係る電子チケットの分離部の構成を示す説明図である。
【0077】
図10の(a)は、本実施形態に係る電子チケット200の全体概略図であり、(b)は、(a)のC部分の着脱構造を説明する模式図であり、(c)は、(b)の凸部と凹部とが嵌合した様子を示した模式図である。
【0078】
以下、第1の表示部111を書き換えるためのスイッチ機構についてその詳細を説明する。本実施形態に係る分離部250は、第2の本体部160に設けられた凸部1601と第1の本体部110に設けられた凹部とが嵌合し、着脱可能に形成されている。
【0079】
図10の(b)を参照すると、書換指示部255は、書換制御回路2551aの接続と非接続の状態変化に基づいたスイッチ機構である。書換制御回路2551aは、第1の本体部110の凹部内に設けられた第1の爪状部1101と第2の爪状部1102とが接することによって接続される。このとき流れる電流が書換指示として用いられる。第1の爪状部1101と第2の爪状部1102との接触面は導電性を有している。一方、第2の本体部160には、凸部1601が設けられ、第1の本体部の凹部と嵌合可能である。また、この凸部1601は絶縁性を有しており、第1の本体部の凹部に挿入すると、第1の爪状部1101と第2の爪状部1102とを物理的に離間するだけでなく、電気的にも離間する。また、第1の爪状部1101は、凸部1601が挿入するために弾力性をもってしなる形状に形成される。
【0080】
図10の(c)は、第1の本体部の凹部と第2の本体部の凸部が嵌合した状態を示した図である。このように、凸部1601が第1の爪状部1101と第2の爪状部1102との間に挿入され、凹部と嵌合された状態で電子チケット200は販売される。
【0081】
以上説明したように、本実施形態に係る電子チケット200は、着脱可能に構成されている。このため、チケットの不正利用の可能性が高まる。不正利用を防止するための一つの手段として、図11に示したように予め設定した時間以前にチケットを分離した場合には、「無効」と表示することなどが考えられる。図11は、本発明の第2の実施形態に係る電子チケットの分離時の表示の一例を示す模式図である。
【0082】
再び図9に戻って説明を続ける。時計部119は、第1の制御部に接続される。時計部119は、時刻情報を提供する機能を有する時計である。本実施形態においては、第1の制御部113に時刻情報を提供する。第1の制御部113に提供された時刻情報は、書換指示が第1の制御部113に入力された時刻が予め設定された時刻以前か否かを判定する際の基準となる。
【0083】
ここで、図12を参照しながら第1の制御部113における第1の表示部111の表示書換動作フローを説明する。図12は、本発明の第2の実施形態に係る電子チケットの制御部の動作を示すフローチャートである。
【0084】
尚、書換の内部処理以外の部分は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略し、ここでは第1の制御部内部の処理のみを説明する。まず、電子チケット200の分離部250が分離される際に書換指示が第1の制御部に入力される(S200)。第1の制御部113は、時計部119から時刻情報を取得し(S202)、取得した現在時刻が予め設定された設定時刻を過ぎているかどうか判断する(S204)。ここで、設定時刻は例えばイベント会場の開場時間などを設定しておく。
【0085】
上記判断により、現在時刻が設定時刻を過ぎていた場合には、第1の制御部113は、例えば図4に示したような正規の書換用データを書換データ記憶部115から取得する(S206)。一方、上記判断により、現在時刻が設定時刻を過ぎていなかった場合には、第1の制御部113は、例えば図11に示したような、チケットが無効である旨を示す無効表示用データを取得する(S208)。無効表示用データは、例えば上記の書換データ記憶部115に記憶されていてよい。
【0086】
次に、取得した書換データ又は無効表示用データが表示可能なデータ形式であるかどうかが判定される(S210)。ここで取得したデータがそのまま表示可能なデータ形式でなかった場合には、第1の制御部113は、取得したデータを表示用のデータ形式に変換する(S212)。次に表示用データが第1の表示部111に表示される(S214)。
【0087】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態に係る電子チケット200は、分離部250にて第1の本体部110と第2の本体部160とが着脱可能である。分離したチケットが再び継合可能であるということは、不正利用の可能性が高まる。そのため分離した時間に応じて表示の内容を変えるように構成してもよい。
【0088】
(変形例)
上述のように着脱可能な電子チケットを用いると、例えば第1の本体部110を回収せずにマイチケットとして利用者本人が保持することも考えられる。例えば新しいイベントの情報を有する第2の本体部160のみを販売し、利用者は第2の本体部160を購入して、予め持っている第1の本体部と継合することによって、新しいイベント情報が第1の表示部111に表示されるよう構成することも出来る。
【0089】
この場合、第2の本体部160は第1の表示部111に表示するための新しいイベント情報を記憶するメモリ部が必要である。また、第2の本体部160を第1の本体部110に継合する動作に伴って第1の表示部111の表示を書き換える仕組みがあればよい。上述した分離動作によって書換回路が接続される仕組みと逆であり、継合する動作によって書換回路が接続されるような構成とすればよい。
【0090】
また、第2の実施形態にかかる電子チケット200は、書換データ記憶部115の代わりに通信部を有する構成であってもよい。かかる構成によれば、第1の実施形態において説明したのと同様にチケット販売以降に表示の内容を変更することが出来る。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0092】
例えば、上記実施形態においては第1の本体部と第2の本体部の双方に表示部を有する構成としたが、上記に限られない。例えば、第2の本体部の表示内容を書き換えない場合には、第2の本体部に直接印刷してもよいし、情報を印刷したフィルムを貼る構成であってもよい。
【0093】
また例えば、上記実施形態においては第2の表示部にちぎった時刻を表示する例について説明したが、第1の表示部にも時刻を表示するようにしてもよい。例えば再入場の際に係員は表示された時刻を見て再入場可能であるか否かを判断するようにしてもよい。
【0094】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0095】
100 電子チケット
110 第1の本体部
111 第1の表示部
113 第1の制御部
115 書換データ記憶部
150 分離部
155 書換指示部
160 第2の本体部
161 第2の表示部
163 第2の制御部
165 付加データ生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の情報を表示し、前記第1の情報の表示を電力を消費することなく保持する第1の表示部、
を有する第1の本体部と、
前記第1の本体部と分離部で分離可能な第2の本体部と、
を備える電子チケット。
【請求項2】
前記第1の表示部は、電子ペーパにより形成される、
請求項1に記載の電子チケット。
【請求項3】
前記分離部は、貫通溝が一列に並んで成る切り取り線により形成される、
請求項1又は2のいずれかに記載の電子チケット。
【請求項4】
前記分離部は、前記第1の本体部と前記第2の本体部とが着脱可能に形成される、
請求項1又は2のいずれかに記載の電子チケット。
【請求項5】
前記第2の本体部は、第2の情報を表示し、前記第2の情報の表示を電力を消費することなく保持する第2の表示部を有する、
請求項1〜4のいずれかに記載の電子チケット。
【請求項6】
前記第2の表示部は、電子ペーパにより形成される、
請求項5に記載の電子チケット。
【請求項7】
前記第1の本体部と前記第2の本体部とを前記分離部の位置で分離する動作に伴って、前記第1の表示部に表示する内容の書き換え指示を出力する書換指示部をさらに備える、
請求項1〜6のいずれかに記載の電子チケット。
【請求項8】
前記書換指示部は、書換制御回路からなるスイッチ機構を含み、
前記書換制御回路は、絶縁物又は空間から成る絶縁部によって電気的に離隔された非接続状態から前記絶縁部にて前記書換制御回路が電気的に接続された接続状態に切り替わり電流が流れることによって前記書換指示を出力する、
請求項7に記載の電子チケット。
【請求項9】
前記第1の本体部は、前記第1の表示部の表示内容の書換を制御する第1の制御部と、時刻情報を提供する時計部とを有し、
前記第1の制御部は、前記時計部から取得した時刻情報が、所定の時刻以前か否かに基づいて前記第1の表示部に表示する内容を制御する、
請求項1〜8のいずれかに記載の電子チケット。
【請求項10】
前記第1の本体部はさらに書換データ記憶部を有し、前記第1の表示部に書換表示する情報は、前記書換データ記憶部に記憶された情報である、請求項1〜9のいずれかに記載の電子チケット。
【請求項11】
前記第1の本体部はさらに通信部を有し、前記第1の表示部に書換表示する情報は、前記通信部を介して取得した情報である、請求項1〜9のいずれかに記載の電子チケット。
【請求項12】
前記第1の表示部は、利用者用の表示部であり、前記第2の表示部は、主催者用の表示部である、請求項1〜11のいずれかに記載の電子チケット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−211570(P2010−211570A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57621(P2009−57621)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】