電子デバイスおよび表示装置の製造方法
【課題】切断時における電子デバイスへの負担を軽減し、歩留まりを向上させることが可能な電子デバイスおよび表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本技術の電子デバイスの製造方法は、可撓性基板上に複数の電子デバイスを形成する工程と、可撓性基板を直線刃により電子デバイスごとに切断する工程とを含むものである。
【解決手段】本技術の電子デバイスの製造方法は、可撓性基板上に複数の電子デバイスを形成する工程と、可撓性基板を直線刃により電子デバイスごとに切断する工程とを含むものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可撓性基板を用いた電子デバイスおよびこれを備えた表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板を用いたフラットパネル表示装置では、基板を切断して個片化する際にダイヤモンド製の回転刃を用い、ガラス基板上にダイヤモンド製の回転刃で傷を入れ、この傷を起点に破断するスクライブ方式が一般的に用いられている。
【0003】
一方、樹脂基板等の可撓性を有する基板を用いたフレキシブルパネル表示装置では、ガラス基板上に可撓性基板を貼り合わせて搬送し、パネル形成後に上記スクライブ方式でガラス基板ごと切断する方法が用いられている。しかしながら、このような方法ではガラス基板の再利用ができず、コストが高くなるという問題があった。
【0004】
これに対して、枠刃(トムソン刃;商標)と呼ばれる打ち抜き型の刃による個片化が検討されているが、枠刃の厚みはその形状および強度を保つために比較的厚く設計されている。押し切り時には、刃の厚み分だけ切断対象となる部材が押しのけられるため、切断時に切断対象にかかる応力の逃げ場がなく、中央部に応力が集中することで表示素子に不具合が生じるという問題があった。そこで、例えば特許文献1では、L字型の刃による個片化方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−21322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された方法でも、L字型のコーナー部に応力が集中するため表示素子への負担を十分に軽減することはできなかった。
【0007】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、切断時における電子デバイスへの負担を軽減し、歩留まりを向上させることが可能な電子デバイスおよび表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の電子デバイスの製造方法は、可撓性基板上に複数の電子デバイスを形成する工程と、可撓性基板を直線刃により電子デバイスごとに切断する工程とを含むものである。
【0009】
本技術の表示装置の製造方法は、上記電子デバイスの製造方法による工程を含むものである。
【0010】
本技術の電子デバイスおよび表示装置の製造方法では、可撓性基板を切断する際に直線刃を用いることにより、可撓性基板上に設けられた電子デバイスに印加される応力が軽減される。
【発明の効果】
【0011】
本技術の電子デバイスおよび表示装置の製造方法によれば、直線刃を用いて可撓性基板を切断するようにしたので、切断時に可撓性基板上に設けられた電子デバイスに印加される応力が軽減される。これにより、電子デバイスの不具合の発生が防止され、歩留まりを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の一実施の形態に係る表示装置の製造工程の一部を表す概要図である。
【図2】本開示の一実施の形態に係る表示装置の断面図である。
【図3】図2に示した表示装置の製造工程の流れ図である。
【図4】図3に示した表示装置の製造工程を表す斜視図である。
【図5】図4に続く表示装置の製造工程を表す斜視図である。
【図6】図5に続く表示装置の製造工程の一部を説明する斜視図である。
【図7】(A)は適用例1の裏側から見た外観を表す斜視図、(B)は表側から見た外観を表す斜視図である。
【図8】適用例2の外観を表す斜視図である。
【図9】(A)は適用例3の表側から見た外観を表す斜視図、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図10】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図11】適用例5の外観を表す斜視図である。
【図12】(A)は適用例6の開いた状態の正面図、(B)はその側断面、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
直線刃を用いて基板を切断する表示装置の製造方法
2.適用例
【0014】
1.実施の形態
図1(A)は本開示の一実施の形態に係る表示装置1(図2)の製造工程のうち切断時における基板13と直線刃Xを表したものである。図1(B)はX軸方向から見た直線刃Xを表したものである。
【0015】
本実施の形態では、基板13を切断し各デバイス用の機能層1Aごとに個片化する刃として、従来用いられている枠刃やL字型の刃に代わり、図1(A),(B)に示したような直線刃Xを用いる。
【0016】
従来用いられている枠刃やL字型の刃は、その製造上、直線刃を折り曲げて製作するため、薄い刃を用いることができず、切断場の端面の先端の角度(刃角)は大きいものしか使えない。そのため、切断部の断面に乱れが生じ、粘着剤のはみ出し等の不具合が発生する。更に、先端の角度θ(刃角)が45°程度と大きいため、切断時の応力により切断部近傍の金属膜の剥がれ等の不具合が生じる虞がある。更にまた、刃の耐久性を向上させるための焼き入れ等が困難であるため硬度および耐久性が低く、頻繁に刃を交換する必要がある。そのため、製造コストを低減することが困難となる。
【0017】
これに対して、本実施の形態では、図1(A),(B)に示したように折れ曲がりのない直線刃Xを用いて複数の機能層1Aが設けられた基板13を切断する。この直線刃Xの断面は、図1(B)に示したように刃角(θ)が鋭角、具体的には40°以下であることが好ましい。直線刃Xの長さは特に問わないが、基板13の短辺(ここではZ軸方向)よりも長く、長辺(ここではX軸方向)よりも短いことが好ましく、基板13の長辺および短辺を順に切断したのち、長辺の未切断部を切断する。これにより、切断精度が向上する。より好ましくは、余白部分13Zを除き、長辺方向に配置された複数の機能層1A全てを一度の押し切りによって分割可能な長さ以上とすることで、より切断精度を高めることができる。なお、直線刃Xは上記枠刃やL字型の刃のように角度を有しないため、焼き入れし、硬度および耐久性が高めることができる。
【0018】
切断工程の詳細は後述するが、この工程において、複数のデバイス用の機能層1Aが形成された可撓性の基板13を直線刃Xによって切断することで個片化され、図2に示した表示装置1が得られる。図3は表示装置1の製造工程の一連の流れを表したものであり、まず第1に剛性の支持体11に固定層12を間にして可撓性の基板13を固定し積層体10を形成する(ステップS101)。
【0019】
支持体11は、可撓性を有する基板13を固定し、製造工程における運搬および後述する電子回路層14などの機能層1Aの形成を容易にするものである。支持体11は、機械的強度および耐熱性に優れた材料からなり、具体的には石英ガラス,耐熱ガラス,金属またはセラミック等の融点が500℃以上の材料を用いることが好ましい。支持体11の厚みは、機械的強度や取り扱い性の点から0.4mm〜2mmであればよい。また、支持体11の線膨張係数は、基板13との関係から10ppm/K以下であることが好ましい。
【0020】
固定層12は、可撓性を有する基板13を支持体11に固定するものであり、下記に示す粘着剤等を支持体11と基板13との接触面に、スピンコート法,ダイコートまたはグラビア等の印刷法で塗布することにより形成する。固定層12の材料としては、汎用的な粘着剤および粘着テープを用いることができる。具体的には、例えばアクリル系接着剤(粘着剤),エポキシ系接着剤,シロキサン系接着剤,ウレタン系接着剤,シランカップリング剤,天然ゴム系接着剤または合成ゴム系接着剤等が挙げられる。また、粘着テープを用いる場合には、例えば支持体11に粘着テープを添付して固定層12を形成したのち、ラミネータで基板13を固定する。なお、固定層12は、電子回路層14等のデバイス形成時における加熱温度に対して十分な耐熱性が求められるため、デバイス形成時のピーク温度における熱重量減少が1%未満であることが好ましく、より好ましくは0.1%未満である。
【0021】
なお、支持体11は、基板13上に電子回路層14等を形成したのち、基板13から剥離する。このため固定層12は、例えば加熱や冷却などの熱的刺激、補助的剥離テープ等の物理的刺激、または電離放射線等の刺激により接着強度が低下するものが好ましい。このような刺激を加えることで支持体11と基板13とを分離することができれば、支持体11を破損させずに繰り返し用いることができる。
【0022】
基板13は、電子回路層14等を支持するものである。基板13の材料としては、支持体11との熱収縮差による基板反りを抑制するために、熱収縮率が0.1%以下であることが好ましい。また、支持体11との関係から線膨張係数を0〜15ppm/K程度とすることで、基板13の寸法変化と変形を抑制することができる。このような材料としては、具体的には、例えば厚み5〜200nmのポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエーテルスルホン,ポリエーテルイミド,ポリエーテルエーテルケトン,ポリフェニレンスルフィド,ポリスルホン,ポリアリレート,ポリイミド,ポリアミド,ポリカーボネート,セルローストリアセテート,ポリオレフィン,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリメチルメタクリレート,アラミド,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,エポキシ樹脂,フェノール樹脂,ユリア樹脂,メラミン樹脂,シリコン樹脂またはアクリル樹脂等のプラスチック材料が挙げられる。
【0023】
上記のように基板13を支持体11に固定したのち、温度120〜250℃,10〜60分にて加熱処理をする(ステップS102)。この加熱処理により、基板13の熱収縮を強制的に誘発することにより、その後の工程における基板13の挙動が安定化する。また、固定層12を構成する粘着剤の粘着力も安定化する。
【0024】
上記加熱処理を行った後、基板13上に電子回路層14を積層すると共に、基板13上の切断位置、例えば機能層1Aの四隅に対応する位置にアライメントマークを形成する(ステップS103)。
【0025】
電子回路層14には、例えばゲート電極,ゲート絶縁膜,チャネル層としての半導体層およびソース・ドレイン電極により構成された薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)および薄膜トランジスタと外部とを接続する端子となる金属膜14Aが設けられている。これらはCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法等による成膜およびエッチングの工程を経ることにより形成する。ここで、TFTは無機半導体層を用いた無機TFTあるいは有機半導体層を用いた有機TFTのどちらであってもよい。TFTは画素を選択するためのスイッチング素子としての機能を有する。なお、電子回路層14はTFTに限らず、その他の電子デバイス、例えばパッシブ駆動回路を形成してもよい。
【0026】
アライメントマークは、例えば図4(A)に示したように基板13上に2行×3列の計6個が形成されている場合には以下のように形成することが好ましい。例えば、図4(A)に示したように、基板13の短軸方向(Z方向)の同一直線上に5か所、具体的には両端にそれぞれ2か所計4か所(13A,13B,13C,13D)、各機能層1Aを行方向(X方向)に分割するためのアライメントとして、機能層1A間に1ヶ所(13E)形成する。なお、上記アライメントマーク13A,13B,13C,13Dの間隔は、切断ライン上の樹脂部分と金属膜部分の位置関係に対応する。具体的には、例えば切断ライン上に設けられた金属配線部(図示せず)の形成ピッチがAである場合には、切断ラインの平行方向に対してAだけずらした位置にアライメントマーク13Bを配置する。また、アライメントマーク13Eは、例えば短軸方向の切断ラインおよび長軸方向の切断ラインの交差位置に配置する。なお、ここではアライメントマーク13A,13Dを余白部分13Zの内周上に設けたがこれに限らず、余白部分13Zの内周よりも内側に設けてもよいし、外側に設けてもよい。また、図4(B)以降ではアライメントマーク13A〜13Eおよび余白部分13Zの図示を省略する。
【0027】
続いて、電子回路層14上に表示層15,保護層16および光学膜17などの機能層1Aをこの順に積層する(ステップS104〜S106)。
【0028】
ここで、表示層15は、例えば画素電極と共通電極との間に電気泳動層を有するものである。即ち、表示装置1は電気泳動現象を利用して画像(例えば文字情報等)を表示する電気泳動型ディスプレイ(いわゆる電子ペーパーディスプレイ)である。画素電極は電子回路層12に画素ごとに設けられ、基板13の一面に亘り設けられている。
【0029】
保護膜16は、基板10と同様の材料を用いることができ、電子回路層14や表示層15の保護および水分の浸入を防止するものである。
【0030】
光学膜17は、外光の表示面への映り込みを防止し、視認性を向上するためのものであり、具体的には反射防止機能あるいは防眩機能を有する。例えば光学膜17が反射防止機能を有する場合には、光学膜17は屈折率の異なる複数の薄膜の積層体であり、これらの薄膜の界面で発生する反射光の干渉を利用して反射光を減衰する。また、例えば光学膜17が防眩機能を有する場合には、光学膜17の表面には、塗料により凹凸面が形成されており、この凹凸面により外光を乱反射させる。なお、光学膜17に代えて、表面膜として、ハードコート等の表示面を物理的な刺激(外力)から保護する膜を形成してもよい。なお、この表示装置1では、光学膜17側に画像が表示される。
【0031】
上記のように支持体11上にデバイス用の機能層1Aを形成した後は、支持体11を基板13から剥離する(ステップS107)。これにより、表示装置1を構成する機能層1Aを支持体11から分離する。支持体11と基板13との分離方法は、特に問わないが、剥離開始部にピッキングテープを貼り付け、支持体11に対して上方に引くことにより剥離してもよい。また、剥離開始部にピッキングテープを貼り、支持体11および基板13を固定するためにローラーで抑えながら剥離してもよい。なお、固定層12は基板13に付着した状態でもよいが、必要に応じて除去してもよい。また、支持体11と基板13とを分離する際に、支持体11の裏面に吸着ステージを貼り付けて支持体11から基板13を剥離しても構わない。
【0032】
次に、図4(B)に示したように機能層1Aが設けられた基板13を切断ステージ21に固定層22を介して固定する(ステップS108)。
【0033】
切断ステージ21は、基板13を支持し、基板13を切断しやすくするものである。切断ステージ21の材料としては、基板13よりも膜厚の厚い、例えば厚み100〜500μmの樹脂基板を用いることができる。また、金属板やガラス基板を用いてもよい。
【0034】
固定層22は、基板13と切断ステージ21とを固定するものであり、固定層12と同様の材料を用いることができる。
【0035】
なお、切断ステージ21への基板13の固定は、上述したように粘着剤による固定の他に、切断ステージ21に複数の貫通孔を形成し、貫通孔を介して基板13を吸引することによって固定してもよい。
【0036】
切断ステージ21に基板13を固定した後は、上述した直線刃Xによって基板13を切断し、個片化する(ステップS109)。具体的には、上述のように長軸方向(X方向)を切断したのち、短軸方向(Z方向)を切断する。
【0037】
まず、図5(A)に示したように切断する位置、即ち、基板13上に設けたアライメントマーク11E1〜11E4のうち、少なくとも2ヶ所をカメラなどにより撮影して画像により認識し基板13の切断位置を特定する。特定した切断位置に直線刃Xを合わせ、直線刃XをY軸方向に下降させ切断する。ここでは基板13のZ方向に設けられた機能層1Aは2列であるが、3列以上に分割されている場合には、続けて分割列数だけ繰り返し切断する。この際、より高い切断精度が求められる場合には、切断辺ごとにアライメントマークを設けて切断する。
【0038】
一方向の切断が終了したのち、図5(B)に示したように、基板13を90°回転させ、短辺方向を上記長辺方向の切断と同様の工程を経て切断する。
【0039】
なお、上記切断工程を繰り返す際には、図6に示したように、切断ごとに直線刃Xの長手方向にずらして切断することが好ましい。基板13の切断部上には電子回路層14の一部として設けられた金属膜14Aや、表示層15の共通電極などが設けられている領域がある。直線刃Xの同じ場所で切断を繰り返すと、この金属膜14Aを切断する位置の直線刃Xの先端部の劣化が早まり、寿命が短くなる。本実施の形態では、上記のように切断列ごとに直線刃Xを長手方向にずらすことにより、直線刃Xの部分劣化を抑え、寿命を長くすることができる。
【0040】
具体的には、例えば、1列目の切断では、アライメントマーク13A1およびアライメントマーク11C1を画像により認識し、各アライメントマーク(13A1,13C1)に合わせて切断する。この際、直線刃Xの所定の位置をアライメントマーク13A1に合わせる。次に、2列目の切断では、アライメントマーク13B2およびアライメントマーク13D2を画像により認識し、例えばアライメントマーク13B2,13D2に合わせて切断する。この際、直線刃Xの所定の位置をアライメントマーク13B2に合わせる。続いて、3列目の切断では、1列目と同様に、直線刃Xの所定の位置を13A3に合わせて切断する。
【0041】
次いで、未切断部13Wを切断することで基板13上に設けられた各機能層1A全てが切断される。この後、基板13から支持体11の剥離工程と同様の方法を用いて切断ステージ21から基板13を剥離することで表示装置1が完成する。
【0042】
なお、ここでは基板13上に機能層1Aを形成したのち、基板13を支持体11から剥離し、基板13を切断ステージ21に固定して切断したが、支持体11から剥離せず、そのまま支持体11上で基板13を切断してもよい。
【0043】
以上のように本実施の形態の表示装置1の製造方法では、複数のデバイス用の機能層1Aが設けられた可撓性を有する基板13を切断し個片化する際に、直線刃Xを用いるようにした。これにより、従来用いられている枠刃やL字型の刃によって基板を切断する際に、各刃のコーナー部によって機能層1Aに印加される応力がなくなり、切断時における機能層1Aへの負担が軽減される。即ち、電子回路層14,表示層15などの機能層1Aの不具合の発生が防止され、表示装置1の歩留まりを向上することが可能となる。
【0044】
上記表示装置1は、例えば次の適用例1〜6に示した電子機器に搭載することができる。
【0045】
(適用例1)
図7は、電子ブックの外観構成を表している。この電子ブックは、例えば、表示部110および非表示部120と、操作部130とを備えている。なお、操作部130は、(A)に示したように非表示部120(筐体)の前面に設けられていてもよいし、(B)に示したように上面に設けられていてもよい。なお、表示装置は、図7に示した電子ブックと同様の構成を有するPDAなどに搭載されてもよい。
【0046】
(適用例2)
図8は、テレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有している。
【0047】
(適用例3)
図9は、デジタルスチルカメラの外観を表したものである。このデジタルスチルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有している。
【0048】
(適用例4)
図10は、ノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有している。
【0049】
(適用例5)
図11は、ビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有している。
【0050】
(適用例6)
図12は、携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。
【0051】
以上、実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、表示層15として画素電極と共通電極との間に電気泳動層を有する電気泳動型ディスプレイを挙げて説明したが、液晶,有機EL(Electro-Luminescence)あるいは無機EL等により構成さ
れていてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件等は限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
【0053】
更に、上記実施の形態で基板13の短辺方向の切断領域上に5か所のアライメントマーク13A〜13Eを設けたが、必ずしも5か所設けなくてもよい。例えば、13Aの1ヶ所または13Aおよび13Dの2ヶ所を省略してもよい。また、機能層1A間に設けたアライメントマーク13E1〜nを行ごとに設けず、1つ置き(13E1,13E3・・・)あるいは2つ置き(13E1,13E4・・・)等適宜省略しても構わない。
【0054】
更に、上記実施の形態等では、表示装置1の構成を具体的に挙げて説明したが、全ての層を備える必要はなく、また、他の層を更に備えていてもよい。例えば、基板13と電子回路層14との間にバリア層を形成してもよい。バリア層を設けることにより、水分や有機ガスによる電子回路層14および表示層15の劣化を防止することができる。バリア層の材料としては、例えば酸化シリコン(SiO2),窒化シリコン(Si3N4),酸化アルミニウム(Al2O3),窒化アルミニウム(AlN)または酸化窒化アルミニウム(AlOxN1-x(但し、X=0.01〜0.2))を挙げることができる。
【0055】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)可撓性基板上に複数の電子デバイスを形成する工程と、可撓性基板を直線刃により前記電子デバイスごとに切断する工程とを含む電子デバイスの製造方法。
(2)前記直線刃の刃角は鋭角である、前記(1)に記載の電子デバイスの製造方法。
(3)前記切断工程において、前記直線刃による切断領域を前記切断工程ごとにずらして切断する、前記(1)または(2)に記載の電子デバイスの製造方法。
(4)前記可撓性基板は、前記直線刃による切断領域に金属膜を有する、前記(1)乃至(3)のうちいずれか1つに記載の電子デバイスの製造方法。
(5)前記直線刃の前記金属膜の切断位置は、前記切断工程ごとに異なる、前記(4)に記載の電子デバイスの製造方法。
(6)前記金属膜は、前記電子デバイスと外部とを接続する端子である、前記(4)または(5)に記載の電子デバイスの製造方法。
(7)前記電子デバイスの形成と同時に、前記可撓性基板上に切断位置を特定するアライメントマークを設ける工程を含む、前記(1)乃至(6)のうちいずれか1つに記載の電子デバイスの製造方法。
(8)前記アライメントマークを前記金属膜の位置に相関して設ける、前記(7)に記載の電子デバイスの製造方法。
(9)前記直線刃の長さは、前記可撓性基板の短辺よりも長く、長辺よりも短い、前記(1)乃至(8)のうちいずれか1つに記載の電子デバイスの製造方法。
(10)前記切断工程において、前記可撓性基板の前記長辺を切断したのち、前記短辺を切断する、前記(9)に記載の電子デバイスの製造方法。
(11)可撓性基板上に複数の電子デバイスおよび表示層を形成する工程と、前記可撓性基板を直線刃により前記電子デバイスごとに切断する工程とを含む表示装置の製造方法。
【符号の説明】
【0056】
1…表示装置、1A…機能層、10…積層体、11…支持体、12,22…固定層、13…基板、14…電子回路層、15…表示層、16…保護膜、17…光学膜、21…切断ステージ。
【技術分野】
【0001】
本開示は、可撓性基板を用いた電子デバイスおよびこれを備えた表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板を用いたフラットパネル表示装置では、基板を切断して個片化する際にダイヤモンド製の回転刃を用い、ガラス基板上にダイヤモンド製の回転刃で傷を入れ、この傷を起点に破断するスクライブ方式が一般的に用いられている。
【0003】
一方、樹脂基板等の可撓性を有する基板を用いたフレキシブルパネル表示装置では、ガラス基板上に可撓性基板を貼り合わせて搬送し、パネル形成後に上記スクライブ方式でガラス基板ごと切断する方法が用いられている。しかしながら、このような方法ではガラス基板の再利用ができず、コストが高くなるという問題があった。
【0004】
これに対して、枠刃(トムソン刃;商標)と呼ばれる打ち抜き型の刃による個片化が検討されているが、枠刃の厚みはその形状および強度を保つために比較的厚く設計されている。押し切り時には、刃の厚み分だけ切断対象となる部材が押しのけられるため、切断時に切断対象にかかる応力の逃げ場がなく、中央部に応力が集中することで表示素子に不具合が生じるという問題があった。そこで、例えば特許文献1では、L字型の刃による個片化方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−21322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された方法でも、L字型のコーナー部に応力が集中するため表示素子への負担を十分に軽減することはできなかった。
【0007】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、切断時における電子デバイスへの負担を軽減し、歩留まりを向上させることが可能な電子デバイスおよび表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の電子デバイスの製造方法は、可撓性基板上に複数の電子デバイスを形成する工程と、可撓性基板を直線刃により電子デバイスごとに切断する工程とを含むものである。
【0009】
本技術の表示装置の製造方法は、上記電子デバイスの製造方法による工程を含むものである。
【0010】
本技術の電子デバイスおよび表示装置の製造方法では、可撓性基板を切断する際に直線刃を用いることにより、可撓性基板上に設けられた電子デバイスに印加される応力が軽減される。
【発明の効果】
【0011】
本技術の電子デバイスおよび表示装置の製造方法によれば、直線刃を用いて可撓性基板を切断するようにしたので、切断時に可撓性基板上に設けられた電子デバイスに印加される応力が軽減される。これにより、電子デバイスの不具合の発生が防止され、歩留まりを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の一実施の形態に係る表示装置の製造工程の一部を表す概要図である。
【図2】本開示の一実施の形態に係る表示装置の断面図である。
【図3】図2に示した表示装置の製造工程の流れ図である。
【図4】図3に示した表示装置の製造工程を表す斜視図である。
【図5】図4に続く表示装置の製造工程を表す斜視図である。
【図6】図5に続く表示装置の製造工程の一部を説明する斜視図である。
【図7】(A)は適用例1の裏側から見た外観を表す斜視図、(B)は表側から見た外観を表す斜視図である。
【図8】適用例2の外観を表す斜視図である。
【図9】(A)は適用例3の表側から見た外観を表す斜視図、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図10】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図11】適用例5の外観を表す斜視図である。
【図12】(A)は適用例6の開いた状態の正面図、(B)はその側断面、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
直線刃を用いて基板を切断する表示装置の製造方法
2.適用例
【0014】
1.実施の形態
図1(A)は本開示の一実施の形態に係る表示装置1(図2)の製造工程のうち切断時における基板13と直線刃Xを表したものである。図1(B)はX軸方向から見た直線刃Xを表したものである。
【0015】
本実施の形態では、基板13を切断し各デバイス用の機能層1Aごとに個片化する刃として、従来用いられている枠刃やL字型の刃に代わり、図1(A),(B)に示したような直線刃Xを用いる。
【0016】
従来用いられている枠刃やL字型の刃は、その製造上、直線刃を折り曲げて製作するため、薄い刃を用いることができず、切断場の端面の先端の角度(刃角)は大きいものしか使えない。そのため、切断部の断面に乱れが生じ、粘着剤のはみ出し等の不具合が発生する。更に、先端の角度θ(刃角)が45°程度と大きいため、切断時の応力により切断部近傍の金属膜の剥がれ等の不具合が生じる虞がある。更にまた、刃の耐久性を向上させるための焼き入れ等が困難であるため硬度および耐久性が低く、頻繁に刃を交換する必要がある。そのため、製造コストを低減することが困難となる。
【0017】
これに対して、本実施の形態では、図1(A),(B)に示したように折れ曲がりのない直線刃Xを用いて複数の機能層1Aが設けられた基板13を切断する。この直線刃Xの断面は、図1(B)に示したように刃角(θ)が鋭角、具体的には40°以下であることが好ましい。直線刃Xの長さは特に問わないが、基板13の短辺(ここではZ軸方向)よりも長く、長辺(ここではX軸方向)よりも短いことが好ましく、基板13の長辺および短辺を順に切断したのち、長辺の未切断部を切断する。これにより、切断精度が向上する。より好ましくは、余白部分13Zを除き、長辺方向に配置された複数の機能層1A全てを一度の押し切りによって分割可能な長さ以上とすることで、より切断精度を高めることができる。なお、直線刃Xは上記枠刃やL字型の刃のように角度を有しないため、焼き入れし、硬度および耐久性が高めることができる。
【0018】
切断工程の詳細は後述するが、この工程において、複数のデバイス用の機能層1Aが形成された可撓性の基板13を直線刃Xによって切断することで個片化され、図2に示した表示装置1が得られる。図3は表示装置1の製造工程の一連の流れを表したものであり、まず第1に剛性の支持体11に固定層12を間にして可撓性の基板13を固定し積層体10を形成する(ステップS101)。
【0019】
支持体11は、可撓性を有する基板13を固定し、製造工程における運搬および後述する電子回路層14などの機能層1Aの形成を容易にするものである。支持体11は、機械的強度および耐熱性に優れた材料からなり、具体的には石英ガラス,耐熱ガラス,金属またはセラミック等の融点が500℃以上の材料を用いることが好ましい。支持体11の厚みは、機械的強度や取り扱い性の点から0.4mm〜2mmであればよい。また、支持体11の線膨張係数は、基板13との関係から10ppm/K以下であることが好ましい。
【0020】
固定層12は、可撓性を有する基板13を支持体11に固定するものであり、下記に示す粘着剤等を支持体11と基板13との接触面に、スピンコート法,ダイコートまたはグラビア等の印刷法で塗布することにより形成する。固定層12の材料としては、汎用的な粘着剤および粘着テープを用いることができる。具体的には、例えばアクリル系接着剤(粘着剤),エポキシ系接着剤,シロキサン系接着剤,ウレタン系接着剤,シランカップリング剤,天然ゴム系接着剤または合成ゴム系接着剤等が挙げられる。また、粘着テープを用いる場合には、例えば支持体11に粘着テープを添付して固定層12を形成したのち、ラミネータで基板13を固定する。なお、固定層12は、電子回路層14等のデバイス形成時における加熱温度に対して十分な耐熱性が求められるため、デバイス形成時のピーク温度における熱重量減少が1%未満であることが好ましく、より好ましくは0.1%未満である。
【0021】
なお、支持体11は、基板13上に電子回路層14等を形成したのち、基板13から剥離する。このため固定層12は、例えば加熱や冷却などの熱的刺激、補助的剥離テープ等の物理的刺激、または電離放射線等の刺激により接着強度が低下するものが好ましい。このような刺激を加えることで支持体11と基板13とを分離することができれば、支持体11を破損させずに繰り返し用いることができる。
【0022】
基板13は、電子回路層14等を支持するものである。基板13の材料としては、支持体11との熱収縮差による基板反りを抑制するために、熱収縮率が0.1%以下であることが好ましい。また、支持体11との関係から線膨張係数を0〜15ppm/K程度とすることで、基板13の寸法変化と変形を抑制することができる。このような材料としては、具体的には、例えば厚み5〜200nmのポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエーテルスルホン,ポリエーテルイミド,ポリエーテルエーテルケトン,ポリフェニレンスルフィド,ポリスルホン,ポリアリレート,ポリイミド,ポリアミド,ポリカーボネート,セルローストリアセテート,ポリオレフィン,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリメチルメタクリレート,アラミド,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,エポキシ樹脂,フェノール樹脂,ユリア樹脂,メラミン樹脂,シリコン樹脂またはアクリル樹脂等のプラスチック材料が挙げられる。
【0023】
上記のように基板13を支持体11に固定したのち、温度120〜250℃,10〜60分にて加熱処理をする(ステップS102)。この加熱処理により、基板13の熱収縮を強制的に誘発することにより、その後の工程における基板13の挙動が安定化する。また、固定層12を構成する粘着剤の粘着力も安定化する。
【0024】
上記加熱処理を行った後、基板13上に電子回路層14を積層すると共に、基板13上の切断位置、例えば機能層1Aの四隅に対応する位置にアライメントマークを形成する(ステップS103)。
【0025】
電子回路層14には、例えばゲート電極,ゲート絶縁膜,チャネル層としての半導体層およびソース・ドレイン電極により構成された薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)および薄膜トランジスタと外部とを接続する端子となる金属膜14Aが設けられている。これらはCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法等による成膜およびエッチングの工程を経ることにより形成する。ここで、TFTは無機半導体層を用いた無機TFTあるいは有機半導体層を用いた有機TFTのどちらであってもよい。TFTは画素を選択するためのスイッチング素子としての機能を有する。なお、電子回路層14はTFTに限らず、その他の電子デバイス、例えばパッシブ駆動回路を形成してもよい。
【0026】
アライメントマークは、例えば図4(A)に示したように基板13上に2行×3列の計6個が形成されている場合には以下のように形成することが好ましい。例えば、図4(A)に示したように、基板13の短軸方向(Z方向)の同一直線上に5か所、具体的には両端にそれぞれ2か所計4か所(13A,13B,13C,13D)、各機能層1Aを行方向(X方向)に分割するためのアライメントとして、機能層1A間に1ヶ所(13E)形成する。なお、上記アライメントマーク13A,13B,13C,13Dの間隔は、切断ライン上の樹脂部分と金属膜部分の位置関係に対応する。具体的には、例えば切断ライン上に設けられた金属配線部(図示せず)の形成ピッチがAである場合には、切断ラインの平行方向に対してAだけずらした位置にアライメントマーク13Bを配置する。また、アライメントマーク13Eは、例えば短軸方向の切断ラインおよび長軸方向の切断ラインの交差位置に配置する。なお、ここではアライメントマーク13A,13Dを余白部分13Zの内周上に設けたがこれに限らず、余白部分13Zの内周よりも内側に設けてもよいし、外側に設けてもよい。また、図4(B)以降ではアライメントマーク13A〜13Eおよび余白部分13Zの図示を省略する。
【0027】
続いて、電子回路層14上に表示層15,保護層16および光学膜17などの機能層1Aをこの順に積層する(ステップS104〜S106)。
【0028】
ここで、表示層15は、例えば画素電極と共通電極との間に電気泳動層を有するものである。即ち、表示装置1は電気泳動現象を利用して画像(例えば文字情報等)を表示する電気泳動型ディスプレイ(いわゆる電子ペーパーディスプレイ)である。画素電極は電子回路層12に画素ごとに設けられ、基板13の一面に亘り設けられている。
【0029】
保護膜16は、基板10と同様の材料を用いることができ、電子回路層14や表示層15の保護および水分の浸入を防止するものである。
【0030】
光学膜17は、外光の表示面への映り込みを防止し、視認性を向上するためのものであり、具体的には反射防止機能あるいは防眩機能を有する。例えば光学膜17が反射防止機能を有する場合には、光学膜17は屈折率の異なる複数の薄膜の積層体であり、これらの薄膜の界面で発生する反射光の干渉を利用して反射光を減衰する。また、例えば光学膜17が防眩機能を有する場合には、光学膜17の表面には、塗料により凹凸面が形成されており、この凹凸面により外光を乱反射させる。なお、光学膜17に代えて、表面膜として、ハードコート等の表示面を物理的な刺激(外力)から保護する膜を形成してもよい。なお、この表示装置1では、光学膜17側に画像が表示される。
【0031】
上記のように支持体11上にデバイス用の機能層1Aを形成した後は、支持体11を基板13から剥離する(ステップS107)。これにより、表示装置1を構成する機能層1Aを支持体11から分離する。支持体11と基板13との分離方法は、特に問わないが、剥離開始部にピッキングテープを貼り付け、支持体11に対して上方に引くことにより剥離してもよい。また、剥離開始部にピッキングテープを貼り、支持体11および基板13を固定するためにローラーで抑えながら剥離してもよい。なお、固定層12は基板13に付着した状態でもよいが、必要に応じて除去してもよい。また、支持体11と基板13とを分離する際に、支持体11の裏面に吸着ステージを貼り付けて支持体11から基板13を剥離しても構わない。
【0032】
次に、図4(B)に示したように機能層1Aが設けられた基板13を切断ステージ21に固定層22を介して固定する(ステップS108)。
【0033】
切断ステージ21は、基板13を支持し、基板13を切断しやすくするものである。切断ステージ21の材料としては、基板13よりも膜厚の厚い、例えば厚み100〜500μmの樹脂基板を用いることができる。また、金属板やガラス基板を用いてもよい。
【0034】
固定層22は、基板13と切断ステージ21とを固定するものであり、固定層12と同様の材料を用いることができる。
【0035】
なお、切断ステージ21への基板13の固定は、上述したように粘着剤による固定の他に、切断ステージ21に複数の貫通孔を形成し、貫通孔を介して基板13を吸引することによって固定してもよい。
【0036】
切断ステージ21に基板13を固定した後は、上述した直線刃Xによって基板13を切断し、個片化する(ステップS109)。具体的には、上述のように長軸方向(X方向)を切断したのち、短軸方向(Z方向)を切断する。
【0037】
まず、図5(A)に示したように切断する位置、即ち、基板13上に設けたアライメントマーク11E1〜11E4のうち、少なくとも2ヶ所をカメラなどにより撮影して画像により認識し基板13の切断位置を特定する。特定した切断位置に直線刃Xを合わせ、直線刃XをY軸方向に下降させ切断する。ここでは基板13のZ方向に設けられた機能層1Aは2列であるが、3列以上に分割されている場合には、続けて分割列数だけ繰り返し切断する。この際、より高い切断精度が求められる場合には、切断辺ごとにアライメントマークを設けて切断する。
【0038】
一方向の切断が終了したのち、図5(B)に示したように、基板13を90°回転させ、短辺方向を上記長辺方向の切断と同様の工程を経て切断する。
【0039】
なお、上記切断工程を繰り返す際には、図6に示したように、切断ごとに直線刃Xの長手方向にずらして切断することが好ましい。基板13の切断部上には電子回路層14の一部として設けられた金属膜14Aや、表示層15の共通電極などが設けられている領域がある。直線刃Xの同じ場所で切断を繰り返すと、この金属膜14Aを切断する位置の直線刃Xの先端部の劣化が早まり、寿命が短くなる。本実施の形態では、上記のように切断列ごとに直線刃Xを長手方向にずらすことにより、直線刃Xの部分劣化を抑え、寿命を長くすることができる。
【0040】
具体的には、例えば、1列目の切断では、アライメントマーク13A1およびアライメントマーク11C1を画像により認識し、各アライメントマーク(13A1,13C1)に合わせて切断する。この際、直線刃Xの所定の位置をアライメントマーク13A1に合わせる。次に、2列目の切断では、アライメントマーク13B2およびアライメントマーク13D2を画像により認識し、例えばアライメントマーク13B2,13D2に合わせて切断する。この際、直線刃Xの所定の位置をアライメントマーク13B2に合わせる。続いて、3列目の切断では、1列目と同様に、直線刃Xの所定の位置を13A3に合わせて切断する。
【0041】
次いで、未切断部13Wを切断することで基板13上に設けられた各機能層1A全てが切断される。この後、基板13から支持体11の剥離工程と同様の方法を用いて切断ステージ21から基板13を剥離することで表示装置1が完成する。
【0042】
なお、ここでは基板13上に機能層1Aを形成したのち、基板13を支持体11から剥離し、基板13を切断ステージ21に固定して切断したが、支持体11から剥離せず、そのまま支持体11上で基板13を切断してもよい。
【0043】
以上のように本実施の形態の表示装置1の製造方法では、複数のデバイス用の機能層1Aが設けられた可撓性を有する基板13を切断し個片化する際に、直線刃Xを用いるようにした。これにより、従来用いられている枠刃やL字型の刃によって基板を切断する際に、各刃のコーナー部によって機能層1Aに印加される応力がなくなり、切断時における機能層1Aへの負担が軽減される。即ち、電子回路層14,表示層15などの機能層1Aの不具合の発生が防止され、表示装置1の歩留まりを向上することが可能となる。
【0044】
上記表示装置1は、例えば次の適用例1〜6に示した電子機器に搭載することができる。
【0045】
(適用例1)
図7は、電子ブックの外観構成を表している。この電子ブックは、例えば、表示部110および非表示部120と、操作部130とを備えている。なお、操作部130は、(A)に示したように非表示部120(筐体)の前面に設けられていてもよいし、(B)に示したように上面に設けられていてもよい。なお、表示装置は、図7に示した電子ブックと同様の構成を有するPDAなどに搭載されてもよい。
【0046】
(適用例2)
図8は、テレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有している。
【0047】
(適用例3)
図9は、デジタルスチルカメラの外観を表したものである。このデジタルスチルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有している。
【0048】
(適用例4)
図10は、ノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有している。
【0049】
(適用例5)
図11は、ビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有している。
【0050】
(適用例6)
図12は、携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。
【0051】
以上、実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、表示層15として画素電極と共通電極との間に電気泳動層を有する電気泳動型ディスプレイを挙げて説明したが、液晶,有機EL(Electro-Luminescence)あるいは無機EL等により構成さ
れていてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件等は限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
【0053】
更に、上記実施の形態で基板13の短辺方向の切断領域上に5か所のアライメントマーク13A〜13Eを設けたが、必ずしも5か所設けなくてもよい。例えば、13Aの1ヶ所または13Aおよび13Dの2ヶ所を省略してもよい。また、機能層1A間に設けたアライメントマーク13E1〜nを行ごとに設けず、1つ置き(13E1,13E3・・・)あるいは2つ置き(13E1,13E4・・・)等適宜省略しても構わない。
【0054】
更に、上記実施の形態等では、表示装置1の構成を具体的に挙げて説明したが、全ての層を備える必要はなく、また、他の層を更に備えていてもよい。例えば、基板13と電子回路層14との間にバリア層を形成してもよい。バリア層を設けることにより、水分や有機ガスによる電子回路層14および表示層15の劣化を防止することができる。バリア層の材料としては、例えば酸化シリコン(SiO2),窒化シリコン(Si3N4),酸化アルミニウム(Al2O3),窒化アルミニウム(AlN)または酸化窒化アルミニウム(AlOxN1-x(但し、X=0.01〜0.2))を挙げることができる。
【0055】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)可撓性基板上に複数の電子デバイスを形成する工程と、可撓性基板を直線刃により前記電子デバイスごとに切断する工程とを含む電子デバイスの製造方法。
(2)前記直線刃の刃角は鋭角である、前記(1)に記載の電子デバイスの製造方法。
(3)前記切断工程において、前記直線刃による切断領域を前記切断工程ごとにずらして切断する、前記(1)または(2)に記載の電子デバイスの製造方法。
(4)前記可撓性基板は、前記直線刃による切断領域に金属膜を有する、前記(1)乃至(3)のうちいずれか1つに記載の電子デバイスの製造方法。
(5)前記直線刃の前記金属膜の切断位置は、前記切断工程ごとに異なる、前記(4)に記載の電子デバイスの製造方法。
(6)前記金属膜は、前記電子デバイスと外部とを接続する端子である、前記(4)または(5)に記載の電子デバイスの製造方法。
(7)前記電子デバイスの形成と同時に、前記可撓性基板上に切断位置を特定するアライメントマークを設ける工程を含む、前記(1)乃至(6)のうちいずれか1つに記載の電子デバイスの製造方法。
(8)前記アライメントマークを前記金属膜の位置に相関して設ける、前記(7)に記載の電子デバイスの製造方法。
(9)前記直線刃の長さは、前記可撓性基板の短辺よりも長く、長辺よりも短い、前記(1)乃至(8)のうちいずれか1つに記載の電子デバイスの製造方法。
(10)前記切断工程において、前記可撓性基板の前記長辺を切断したのち、前記短辺を切断する、前記(9)に記載の電子デバイスの製造方法。
(11)可撓性基板上に複数の電子デバイスおよび表示層を形成する工程と、前記可撓性基板を直線刃により前記電子デバイスごとに切断する工程とを含む表示装置の製造方法。
【符号の説明】
【0056】
1…表示装置、1A…機能層、10…積層体、11…支持体、12,22…固定層、13…基板、14…電子回路層、15…表示層、16…保護膜、17…光学膜、21…切断ステージ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性基板上に複数の電子デバイスを形成する工程と、
前記可撓性基板を直線刃により前記電子デバイスごとに切断する工程と
を含む電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記直線刃の刃角は鋭角である、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記切断工程において、前記直線刃による切断領域を前記切断工程ごとにずらして切断する、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記可撓性基板は、前記直線刃による切断領域に金属膜を有する、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記直線刃の前記金属膜の切断位置は、前記切断工程ごとに異なる、請求項4に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記金属膜は、前記電子デバイスと外部とを接続する端子である、請求項4に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記電子デバイスの形成と同時に、前記可撓性基板上に切断位置を特定するアライメントマークを設ける工程を含む、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記アライメントマークを、前記金属膜の位置に相関して設ける、請求項7に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記直線刃の長さは、前記可撓性基板の短辺よりも長く、長辺よりも短い、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記切断工程において、前記可撓性基板の前記長辺を切断したのち、前記短辺を切断する、請求項9に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項11】
可撓性基板上に複数の電子デバイスおよび表示層を形成する工程と、
前記可撓性基板を直線刃により前記電子デバイスごとに切断する工程と
を含む表示装置の製造方法。
【請求項1】
可撓性基板上に複数の電子デバイスを形成する工程と、
前記可撓性基板を直線刃により前記電子デバイスごとに切断する工程と
を含む電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記直線刃の刃角は鋭角である、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記切断工程において、前記直線刃による切断領域を前記切断工程ごとにずらして切断する、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記可撓性基板は、前記直線刃による切断領域に金属膜を有する、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記直線刃の前記金属膜の切断位置は、前記切断工程ごとに異なる、請求項4に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記金属膜は、前記電子デバイスと外部とを接続する端子である、請求項4に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記電子デバイスの形成と同時に、前記可撓性基板上に切断位置を特定するアライメントマークを設ける工程を含む、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記アライメントマークを、前記金属膜の位置に相関して設ける、請求項7に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記直線刃の長さは、前記可撓性基板の短辺よりも長く、長辺よりも短い、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記切断工程において、前記可撓性基板の前記長辺を切断したのち、前記短辺を切断する、請求項9に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項11】
可撓性基板上に複数の電子デバイスおよび表示層を形成する工程と、
前記可撓性基板を直線刃により前記電子デバイスごとに切断する工程と
を含む表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−226013(P2012−226013A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91390(P2011−91390)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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