電子データ共有システム
【課題】ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示可能にする。
【解決手段】1又は複数のユーザーが更新する電子データを保持しユーザーに公開する電子データ共有システムであって、チェックイン部と、版管理部と、提示部とを備える。チェックイン部は、電子データが更新されると、新たなバージョンとして更新された電子データにバージョン番号を付与し、更新された電子データを古いバージョンとは別に保持するとともにバージョン番号の情報をバージョン管理テーブル121に格納する。版管理部は、電子データが承認権限を有するユーザーの承認を得た正式版であるか否かを示す情報を版管理テーブル122に格納する。提示部は、ユーザーの有する権限あるいはユーザーの操作に基づいてユーザーに提示する電子データのバージョンを選択し、選択されたバージョンの電子データをユーザーに提示する。
【解決手段】1又は複数のユーザーが更新する電子データを保持しユーザーに公開する電子データ共有システムであって、チェックイン部と、版管理部と、提示部とを備える。チェックイン部は、電子データが更新されると、新たなバージョンとして更新された電子データにバージョン番号を付与し、更新された電子データを古いバージョンとは別に保持するとともにバージョン番号の情報をバージョン管理テーブル121に格納する。版管理部は、電子データが承認権限を有するユーザーの承認を得た正式版であるか否かを示す情報を版管理テーブル122に格納する。提示部は、ユーザーの有する権限あるいはユーザーの操作に基づいてユーザーに提示する電子データのバージョンを選択し、選択されたバージョンの電子データをユーザーに提示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1又は複数のユーザーが更新する電子データを保持しユーザーに公開する電子データ共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータで利用可能な電子データをコンピュータの記憶装置に記憶させ、電子データを複数のユーザーで共有するシステムがある。このような電子データは、ファイルとも呼ばれている。例えば、多くの企業のオフィスでは、複数のユーザーで電子データを共有し、閲覧、編集が可能な、ファイルサーバーと呼ばれるシステムが使用されている。
【0003】
一方、電子データが更新される度に当該電子データのバージョンそれぞれの情報を記録し管理するバージョン管理システムがある。例えば、コンピュータプログラムの開発現場でよく使用されているCVSというバージョン管理システムは、プログラムの更新の履歴を記録し、ユーザーに所望のバージョンのプログラムを提示することができる。バージョン管理システムは、各バージョンの電子データにバージョン番号を付与する。電子データの作成者は、バージョン作成の趣旨を記述したコメントを当該バージョンと関連付けてバージョン管理システムに記憶させることが出来る。
【0004】
電子データのバージョンの数が増えるにつれて、どのバージョンがユーザーにとって必要なものか分かりにくくなる。上記のコメントは、電子データのバージョンを選択する上でユーザーの助けにはなるが難点もある。特に、複数のユーザー間でファイルを共有している場合は、他のユーザーによって作成されたバージョンが何の目的で作成されたのか、コメントだけでは、分かりづらい。また、コメントは、統一された記載方法を各ユーザーに強制するのが難しく、コンピュータシステムで扱いにくい。そこで、特許文献1(特開2004−21529号公報)に記載されているようにバージョンデータを管理し、バージョンデータのどれを公開対象とするのかの情報を保持するドキュメント管理装置が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、企業では、文書等の電子データは、承認権限を持つユーザーの承認を得ないとならないような運用になっている場合が多い。例えば、製品の仕様書等は、上司の承認を得るまで複数のバージョンが作成される場合がある。承認を得た電子データは、正式版としてリリースされるが、正式版も時が経つと新たな正式版が作成されることがある。このような場合、正式版しか必要のないユーザーもおり、どのバージョンが正式版か区別できないと不便である。特許文献1(特開2004−21529号公報)に記載のシステムのように公開用の電子データを指定することができるシステムはあるものの複数あるバージョンのうちどれが正式版であるかを区別できるシステムは未だに存在しない。そのため、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示することもできていない。
【0006】
そこで、本発明の課題は、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示可能な電子データ共有システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1観点に係る電子データ共有システムは、1又は複数のユーザーが更新する電子データを保持しユーザーに公開する電子データ共有システムであって、チェックイン手段と、版管理手段と、提示手段とを備える。チェックイン手段は、電子データが更新されると、新たなバージョンとして更新された電子データにバージョン番号を付与し、更新された電子データを古いバージョンとは別に保持するとともにバージョン番号の情報であるバージョン情報を生成する。版管理手段は、電子データが承認権限を有するユーザーの承認を得た正式版であるか否かを示す情報である版情報を生成する。提示手段は、ユーザーの有する権限あるいはユーザーの操作に基づいてユーザーに提示する電子データのバージョンを選択し、選択されたバージョンの電子データをユーザーに提示する。提示手段は、権限あるいは操作が第1の条件を満たすユーザーには、最新バージョンの電子データを提示し、権限あるいは操作が第2の条件を満たすユーザーには最新の正式版であるバージョンの電子データを提示する。電子データとは、例えば、ワードプロセッサ或いは表計算等、コンピュータのソフトウェアによって使用されるファイルであり、テキスト、バイナリ等、どの種類のファイルでもよく、また、どの種類のソフトウェアのファイルであってもよい。ユーザーの操作とは、電子データを参照、ダウンロード、或いは、編集等を含む電子データの利用のために行なう操作である。参照は、電子データの閲覧、検索或いは帳票印刷等の他の処理を介しての参照、及び、他の電子データからの参照を含む。編集は、電子データのチェックアウトを含む。
【0008】
本発明の第1観点に係る電子データ共有システムでは、電子データのバージョン管理に加えて、正式版として承認された電子データの版が管理される。そして、ユーザーの権限或いは操作に応じて、最新バージョンの電子データか、或いは、最新の正式版であるバージョンの電子データのどちらかがユーザーに提示される。したがって、本発明の第1観点に係る電子データ共有システムは、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示することができる。
【0009】
本発明の第2観点に係る電子データ共有システムは、第1観点に係る電子データ共有システムであって、第1条件は、ユーザーの操作が、最新の前記電子データの提示を要求する第1操作であり、かつ、ユーザーが最新バージョンの電子データについて第1操作をする権限を有しているか否かである。第2条件は、ユーザーの操作が、最新の電子データの参照又はダウンロードを要求する第2操作であり、かつ、ユーザーが少なくとも最新の正式版であるバージョンの電子データについて第2操作をする権限を有しているか否かである。最新の電子データとは、ユーザーが要求している電子データのうち、当該ユーザーが提示を受けることが可能な最新のバージョンの電子データである。
【0010】
本発明の第2観点に係る電子データ共有システムでは、ユーザーの操作が、最新の前記電子データの提示を要求する第1操作であり、かつ、ユーザーが最新バージョンの電子データについて第1操作をする権限を有していれば、最新バージョンの電子データをユーザーに提示する。ユーザーの操作が、最新の電子データの参照又はダウンロードを要求する第2操作であり、かつ、ユーザーが少なくとも最新の正式版であるバージョンの電子データについて第2操作をする権限を有していれば、最新の正式版であるバージョンの電子データをユーザーに提示する。したがって、本発明の第2観点に係る電子データ共有システムは、ユーザーの権限或いは操作に応じて、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示することができる。
【0011】
本発明の第3観点に係る電子データ共有システムは、第1観点又は第2観点に係る電子データ共有システムであって、提示手段が行なう提示には、電子データに対する検索結果の提示が含まれる。
【0012】
本発明の第3観点に係る電子データ共有システムでは、電子データに対する検索結果の提示においても、提示手段は、ユーザーの権限に応じて、最新バージョンの電子データ或いは最新の正式版であるバージョンの電子データのどちらかをユーザーに提示する。これにより、検索結果に表示する電子データのバージョンをユーザーごとに適切に制御することができる。
【0013】
本発明の第4観点に係る電子データ共有システムは、第1観点から第3観点のいずれかに係る電子データ共有システムであって、正式版ではないバージョンの前記電子データを保持する数を所定の数に制限する保持数制限手段をさらに備える。
【0014】
本発明の第4観点に係る電子データ共有システムでは、保持数制限手段が正式版ではないバージョンの電子データを保持する数を所定の数に制限する。これにより、電子データを記憶するためのスペースを節約することができる。
【0015】
本発明の第5観点に係る電子データ共有システムは、第1観点から第4観点のいずれかに係る電子データ共有システムであって、正式版であるバージョンの電子データを全て保持する。これにより、正式版であるバージョンの電子データを全て残すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1観点に係る電子データ共有システムでは、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示することができる。
【0017】
第2観点に係る電子データ共有システムでは、ユーザーの権限或いは操作に応じて、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示することができる。
【0018】
本発明の第3観点に係る電子データ共有システムでは、検索結果に表示する電子データのバージョンをユーザーごとに適切に制御することができる。
【0019】
本発明の第4観点に係る電子データ共有システムでは、電子データを記憶するためのスペースを節約することができる。
【0020】
本発明の第5観点に係る電子データ共有システムでは、正式版であるバージョンの電子データを全て残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムのブロック図。
【図2】本発明の1実施形態にかかるユーザー権限に関する情報の例。
【図3】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムの画面の例。
【図4】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムの画面の例。
【図5】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムの画面の例。
【図6】本発明の1実施形態にかかるバージョン情報及び版情報の例。
【図7】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムの版管理手段の処理に関するイメージ図。
【図8】本発明の1実施形態にかかる承認に関する情報及び電子データ共有システムの画面の例。
【図9】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムの画面の例。
【図10】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムの提示手段にかかるフローチャート。
【図11】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムの保持数制限手段にかかる処理のイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を以下に図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、本実施形態に限られるものではない。
【0023】
(1)システムの概略構成
本発明に係る電子データ共有システムは、1又は複数のユーザーが更新する電子データ300を保持しユーザーに公開するシステムである。電子データ300とは、例えば、メモ帳、ワードプロセッサ(以下ワープロ)や表計算等、コンピュータのソフトウェアによって使用されるファイルであり、テキスト、バイナリ等、どの種類のファイルでもよく、また、どの種類のソフトウェアのファイルであってもよい。
【0024】
本発明に係る電子データ共有システムの構成の一例を図1に示す。コンピュータであるサーバー100のCPUにより電子データ共有システムにかかるプログラムが、実行されると、当該CPUは、電子データ共有システム1の制御部110となる。制御部110は、登録処理及びチェックイン処理を行なうチェックイン部111(チェックイン手段)、版管理処理を行なう版管理部112(版管理手段)、提示処理を行なう提示部113(提示手段)、保持数制限処理を行なう保持数制限部114(保持数制限手段)、及び、認証処理を行なう認証部115を有する。このほか、制御部110は、後述する権限確認処理及び承認フロー処理、等、その他の処理を行なう。
【0025】
メモリ及びハードディスク等の記憶装置は、記憶部120を構成する。ユーザーにより共有される電子データ300は、記憶部120に記憶される。また、記憶部120には、バージョン情報を格納するバージョン管理テーブル121及び版情報を格納する版管理テーブル122が格納されている。記憶部120を構成する記憶装置は、サーバー100が備える記憶装置であってもよいし、ネットワークを介してサーバー100に接続された他のコンピュータが備える記憶装置でもよい。図1では、サーバー100の備える記憶装置を記憶部120として示している。
【0026】
サーバー100は、ユーザーが使用するコンピュータ等の端末であるクライアント200とインターネット或いはLAN等のネットワーク600を介して接続されている。
【0027】
(2)システムの詳細説明
(2−1)ログイン
ユーザーは、クライアント200からサーバー100にアクセスする。具体的には、図1に示すクライアント200上で起動されたウェブブラウザ(以下、ブラウザとする)からHTTPプロトコルによるリクエスト信号をサーバー100に対して送信する。サーバー100が当該リクエスト信号を受信すると、制御部110は、ログイン用の画面データをクライアント200に送信する。クライント200のブラウザには、ログイン画面が表示される。ユーザーは、ログイン画面の入力欄にユーザーIDとパスワードとを入力し、当該情報をサーバー100に送信する。ユーザーID及びパスワードの情報を受信するとサーバー100では、認証処理が実行される。以下、各画面は、上記のように、サーバー100からクライアント200へデータとして送信されることによりクライアント200のブラウザで表示されるものとし、各画面の表示のメカニズムについての説明は省略する。
【0028】
認証処理では、クライアント200から送信されてきたユーザーIDとパスワードとを記憶部120に記憶されているユーザーIDとパスワードとの組み合わせと照合する。照合の結果、送信されてきたユーザーID及びパスワードが、記憶部にあるユーザーIDとパスワードと等しければ、制御部110は、ユーザーにログインを許し、等しくなければ、ログインを許さない。制御部110は、ログインを許す場合は、電子データ共有システムの図3に示されているようなフロント画面401のデータをクライアント200に送信する。ログインを許さない場合は、ユーザーID或いはパスワードが正しくない旨を伝えるメッセージとともにログイン画面のデータをクライアント200に送信する。クライアント200のブラウザには、これらどちらかの画面が表示される。
【0029】
なお、本実施形態においては、ユーザーID及びパスワードの情報は、ユーザーテーブル(図示せず)というデータベーステーブルとして記憶部120に記憶されている。データベーステーブルに対する処理は、DBMS(データベース管理システム)を介して行われる。以下、各データベーステーブルへのアクセスは、上記のように全てDBMSを介して行なうものとし、説明を省略する。
【0030】
(2−2)権限確認
(2−2−1)権限
本発明にかかる電子データ共有システム1では、各ユーザーには、電子データ共有システム1の各機能を利用するための様々な権限が付与されている。ユーザーが、各機能を利用するには、権限が必要である。以下に、ユーザーの有する権限を確認する権限確認処理について説明する。
【0031】
記憶部120には、データベーステーブルであるグループテーブルが記憶されている。グループテーブルには、例えば、図2に示すグループテーブル123のように、各ユーザーの所属するグループの情報が記憶されている。グループは、例えば、企業組織内にてユーザーが所属する部署、ユーザーの役職、或いは、役割等である。
【0032】
また、記憶部120には、データベーステーブルである権限テーブルが記憶されている。権限テーブルは、例えば、図2に示す権限テーブル124のように、グループ或いはユーザーが有する権限に関する情報を格納している。権限テーブル124には、各電子データ300に対して各ユーザー或いはグループが有する権限に関する情報が格納される。また、権限テーブル124には、各ユーザー或いはグループのシステム全体のグローバルな権限に関する情報も格納される。権限は、例えば、図2の権限情報テーブル124に示されているように参照権限、登録権限、及び管理権限、等がある。図2の権限テーブル124の「参照」覧が「可」になっていれば、ユーザーは、参照権限を有し、「不可」になっていれば、参照権限を有しない。「登録」覧及び「管理」覧についても同様である。各権限を与えられたユーザーがどのような操作を行なうことが可能かについては、後述する。なお、電子データ共有システム1の管理者であるユーザーについては、グローバルな管理権限を付与する情報が権限テーブル124に格納されている。
【0033】
(2−2−2)権限の設定
電子データ300について管理権限を有するユーザーは、電子データ300に対する操作権限を各ユーザー或いはグループに設定することができる。全ユーザーに電子データ300を公開する場合は、当該電子データ300について全ユーザーに対して参照権限を設定する。複数のユーザーで当該電子データ300を共有し編集する場合は、他のユーザーにも当該電子データ300について登録権限を設定する。例えば、当該電子データ300の管理権限を有するユーザーと同じ部署(グループ)に所属するユーザーに登録権限を設定する。当該電子データ300を電子データ共有システム1に登録した所有者であるユーザーは、後述するように当該電子データ300の管理権限を有する。権限の設定は、図3のフロント画面401上の電子データのアイコン、例えば、ドキュメント1のアイコン301の上でマウスを右クリックすると表示されるメニュー501の「アクセス権設定」が選択されると表示される図示しない画面から入力することにより行なうことが出来る。
【0034】
(2−2−3)権限確認処理
権限確認処理では、権限確認の対象であるユーザーが、所定の電子データ300について所定の権限を有しているかどうか権限テーブル124を検索する。具体的には、権限テーブル124のレコードの中から当該電子データ300及び当該ユーザーにかかるレコードを検索する。検索の結果、レコードがヒットすれば、当該レコード中の確認対象である権限についての情報を参照する。当該情報が、「可」であれば、当該ユーザーは、当該権限を有すると判定される。当該情報が、「不可」であれば、当該ユーザーは、当該権限を有しないと判定される。
【0035】
検索の結果、レコードがヒットしなければ、グループテーブル123のレコードの中から当該ユーザーにかかるレコードを検索する。検索の結果、レコードがヒットすれば、当該レコード中のグループIDを取得し、当該グループ及び当該電子データ300にかかる権限テーブル124のレコードを検索する。検索の結果、レコードがヒットすれば、当該レコード中の確認対象である権限についての情報を参照する。当該情報が、「可」であれば、当該ユーザーは、当該権限を有すると判定される。当該情報が、「不可」であれば、当該ユーザーは、当該権限を有しないと判定される。
【0036】
(2−3)電子データの新規登録
ユーザーは、次のように新規の電子データ300を電子データ共有システムに登録することができる。例えば、ユーザーが新規に企画書をワープロファイルとして作成したとする。先ず、ユーザーは、フロント画面401にあるプロジェクト1を登録先として選択し、プロジェクト1のアイコン(図3に示す310)上でマウスの右クリックをする。すると、図3に示すメニュー501のようなメニューが表示されるが、当該メニュー501が表示される前に、上述の権限確認処理が実行される。当該ユーザーが登録権限を有するか否かが確認され、当該ユーザーが登録権限を有すると判定されたら、メニュー501の「チェックイン」が選択可能な状態で表示される。当該ユーザーが登録権限を有さないと判定されたら、メニュー501の「チェックイン」は選択不能な状態で表示される。選択可能な状態とは、メニューの文字が明確に表示され、マウスでクリックするとシステムが反応する状態である。選択不能な状態とは、メニューの文字が表示されないか、表示されてもかすかに見える程度にしか表示されず、マウスでクリックしてもシステムが反応しない状態である。
【0037】
メニュー501の「チェックイン」が選択されると、クライアント200のブラウザに図4に示すような登録画面402が表示される。ユーザーは、登録する企画書にかかる電子データ300の名称を「タイトル」覧402aに入力する。また、ユーザーにより「選択」ボタン402dがクリックされ、クライアント200上にある当該企画書のファイルが選択されると、当該ファイル及びファイルの格納場所が「ファイル」覧402fに入力される。「所有者」覧402cには、ユーザーの名前が入力される。ユーザーは、当該ファイルに関するコメントを「コメント」欄402bに入力することが出来る。次に、ユーザーが、「登録」ボタン402eをクリックすると当該企画書の電子データ300及び登録画面402に入力された情報がサーバーに送信される。サーバーが、当該電子データ300及び情報を受信すると、登録処理が実行される。
【0038】
登録処理では、送信されてきた電子データ300が記憶部120に記憶される。また、図6に示されているように、記憶部120に記憶されているデータベーステーブルである電子データマスタテーブル125及びバージョン管理テーブル121に新規のレコードが追加される。電子データマスタテーブル125のレコードには、登録画面402に入力された情報から当該電子データ300の名称及び当該電子データ300の所有者であるユーザーのIDが格納される。また、記憶部120における当該電子データ300の記憶場所、等の情報も格納される。バージョン管理テーブル121のレコードには、登録画面402に入力された情報からコメント、所有者であるユーザーのIDが作成者として格納される。このほか、登録された日付及びバージョン番号として1が付与され格納される。また、「カレント」欄にBoolean型の値TRUEが格納される。「カレント」欄は、現在のバージョンを示す情報であり、通常は最新のバージョンにかかるレコードの「カレント」欄の値がTRUEにされる。
【0039】
さらに、権限テーブル124に登録された電子データ300にかかる新しいレコードが追加される。当該レコードには、所有者であるユーザーのユーザーIDが格納され、参照権限、登録権限、管理権限等、全ての権限が「可」として情報が格納される。即ち、当該電子データ300の所有者及び管理者が、当該電子データ300を参照及び編集できる。また、所有者及び管理者は、カレントであるバージョンを変更することもできる。
【0040】
(2−4)チェックイン
ユーザーは、チェックアウト及び編集した電子データ300を次のようにチェックインすることができる。例えば、チェックインしたい電子データ300がドキュメント1であるとすると、ユーザーは、図3に示すフロント画面401においてドキュメント1のアイコン(図3の301)の上でマウスを右クリックする。すると、図3に示すメニュー501が表示されるが、当該メニュー501が表示される前に、上述の権限確認処理が実行される。当該ユーザーが登録権限を有するか否かが確認され、当該ユーザーが登録権限を有すると判定されたら、メニュー501の「チェックイン」が選択可能な状態で表示される。当該ユーザーが登録権限を有さないと判定されたら、メニュー501の「チェックイン」は選択不能な状態で表示される。
【0041】
メニュー501の「チェックイン」が選択されると、図5に示すようなチェックイン画面403がクライアント200のブラウザに表示される。「バージョン」欄403aには、バージョン管理テーブル121に格納されている情報のうち、チェックインしようとしている電子データ300の最も大きいバージョン番号に1を足した番号がチェックイン部111により付与され、入力される。ユーザーは、このように自動で入力されたバージョン番号を変更することができる。「作成者」欄403cには、ユーザーの名前がチェックイン部111により入力される。ユーザーは、「選択」ボタン403dをクリックして、クライアント200上のチェックインしたい電子データ300を選択する。選択されると電子データのファイル名とクライアント200上の格納場所が「ファイル」覧403fに入力される。ユーザーは、「コメント」欄403bにコメントを入力することが出来る。ユーザーが「OK」ボタン403eをクリックするとチェックイン画面403に入力された情報が全て、電子データ300と共にサーバー100に送信される。当該情報及び電子データ300をサーバー100が受信するとチェックイン処理が実行される。
【0042】
チェックイン処理では、受信された電子データ300が、記憶部120に記憶される。当該電子データ300の他のバージョンは、受信された電子データ300で上書きされることはなく、受信された電子データ300は、他のバージョンとは別に記憶部120に記憶される。また、記憶部120のバージョン管理テーブル121に当該電子データ300にかかる新しいレコードが追加される。当該レコードには、バーンジョン番号、作成者であるユーザーのID及びコメント等その他チェックイン画面403に入力された情報全てが格納される。また、当該新レコードの「カレント」欄の値がTRUEに変更される。それまでに「カレント」欄にTRUEの値が格納されていたレコードの「カレント」欄の値は、FALSEに変更される。
【0043】
なお、ユーザーは、電子データ300をチェックアウトしていなければ、チェックインできない。即ち、電子データ300がチェックアウトされていなければ、メニュー501の「チェックイン」が表示されない等、「チェックイン」を選択できなくなる。
【0044】
(2−5)承認及び版管理
(2−5−1)承認申請および承認
承認申請および承認について説明する。ユーザーは、電子データ300の1つのバージョンを正式版として承認してもらうよう、承認申請をすることができる。企業の部門長等、承認権限を有する承認者が当該バージョンの電子データ300を正式版として承認すると当該バージョンは、正式版となる。電子データ300の1つのバージョンが正式版になる過程を簡単に図に示すと図7のようになる。
【0045】
具体的には、例えば、図3のドキュメント1のアイコン301の上でマウスを右クリックするとメニュー501が表示される。メニュー501が表示される前に、上述の権限確認処理が実行され、当該ユーザーが登録権限を有するか否かが確認される。当該ユーザーが登録権限を有すると判定されたら、メニュー501の「承認申請」が選択可能な状態で表示される。当該ユーザーが登録権限を有さないと判定されたら、メニュー501の「承認申請」が選択不能な状態で表示される。
【0046】
当該メニュー501から「承認申請」が選択されると図8の(b)に示すような承認申請画面404が表示される。承認申請には、例えば、図8の(a)に示すようないくつかの承認フローがある。それぞれの承認フローには、承認権限を有する承認者が決められている。ユーザーが、承認申請画面404上の「フロー名」ドロップダウンリスト404aで承認フローを選択し、「申請」ボタン404cをクリックすると承認フロー処理が開始する。このとき、承認申請の対象である電子データ300及びバージョン、承認者等、承認申請に関する情報が記憶部120に記憶される。承認者であるユーザーには、e−mailアドレスに承認申請がされた旨を伝えるe−mailのメッセージが送信される。
【0047】
承認フロー処理は、承認者であるユーザーが上記のe−mailメッセージに含まれている承認画面へのリンクをクリックして、電子データ共有システム1にログインすると、開始する。当該リンクがクリックされると図示しない承認画面が表示される。当該承認画面には、承認対象であるバージョンの電子データ300を参照するためのボタンと共に記憶部120に記憶されている当該承認申請に関する情報が表示される。承認者が当該ボタンをクリックすると後述の提示処理が実行され、承認者に対して承認申請の対象であるバージョンの電子データ300が提示される。承認者は、当該電子データ300に対して正式版としての承認を与える場合は、承認画面にある図示しない承認ボタンをクリックする。承認ボタンがクリックされると、版管理処理が実行される。承認者は、承認しない場合は、図示しない却下ボタンをクリックする。却下ボタンがクリックされると申請者であるユーザーには、e−mailアドレスに承認却下された旨を伝えるe−mailのメッセージが送信され、版管理処理は、実行されない。
【0048】
(2−5−2)版管理処理
版管理処理では、記憶部120の図6に示すような版管理テーブル122に当該電子データ300のバージョンにかかる新たなレコードが追加される。当該レコードには、承認申請の対象である電子データ300のバージョン及び版管理部112により付与された版番号、等が格納される。当該版番号は、版管理テーブルに格納されている当該電子データ300の最も大きい版番号に1を足した番号である。
【0049】
(2−6)電子データの提示
(2−6−1)電子データの提示を受けるための操作
ユーザーが電子データ300の提示を受けるための操作について説明する。電子データ300の提示とは、電子データ300をユーザーにチェックアウトさせる、参照させる、或いは、ダウンロードさせる、等、ユーザーに電子データ300を利用させる処理である。電子データ300の参照には、このほか、1つの電子データ300の内容が他の電子データ300から参照されている等、他の電子データ300を介して、あるいは、複数の電子データ300の一覧表等の帳票印刷処理、或いは検索処理から参照される等他の処理を介しての参照も含まれる。以下では、ユーザーが電子データ300の提示を受けるための操作について主なものを説明する。
【0050】
(2−6−2)チェックアウト
電子データ300をチェックアウトする操作について説明する。電子データ共有システム1に登録されている電子データ300を編集し、更新するには、ユーザーは、当該電子データ300を電子データ共有システム1からチェックアウトしなければならない。ユーザーは、フロント画面401に表示されている、例えば、ドキュメント1のアイコン301の上でマウスを右クリックする。すると、図3に示すメニュー501のようなメニューが表示されるが、メニュー501が表示される前に上述の権限確認処理が実行され、当該ユーザーが登録権限を有するか否かが確認される。当該ユーザーが登録権限を有すると判定されたら、メニュー501の「チェックアウト」が選択可能な状態で表示される。当該ユーザーが登録権限を有さないと判定されたら、メニュー501の「チェックアウト」が選択不能な状態で表示される。メニュー501の「チェックアウト」が選択されると、下記の提示処理が実行される。
【0051】
なお、電子データ300がチェックアウトされるとチェックインされるまでは、ユーザーは同じ電子データ300をチェックアウトできない。即ち、チェックアウト中は、メニュー501の「チェックアウト」が表示されない等、選択できない状態になる。
【0052】
(2−6−3)電子データの参照
電子データ300を参照する操作について説明する。ユーザーは、フロント画面401に表示されている、例えば、ドキュメント1のアイコン301の上でマウスを右クリックする。すると、図3に示すメニュー501のようなメニューが表示されるが、メニュー501が、表示される前に上述の権限確認処理が実行され、当該ユーザーがデータ参照権限を有するか否かが確認される。当該ユーザーがデータ参照権限を有すると判定されたら、メニュー501の「参照」が選択可能な状態で表示される。当該ユーザーがデータ参照権限を有さないと判定されたら、メニュー501の「参照」が選択不能な状態で表示される。メニュー501の「参照」が選択されると、下記の提示処理が実行される。
【0053】
(2−6−4)電子データのダウンロード
電子データ300をダウンロードする操作について説明する。ユーザーは、フロント画面401に表示されている、例えば、ドキュメント1のアイコン301の上でマウスを右クリックする。すると、図3に示すメニュー501のようなメニューが表示されるが、メニュー501が表示される前に上述の権限確認処理が実行され、当該ユーザーがデータ参照権限を有するか否かが確認される。当該ユーザーがデータ参照権限を有すると判定されたら、メニュー501の「ダウンロード」が選択可能な状態で表示される。当該ユーザーがデータ参照権限を有さないと判定されたら、メニュー501の「ダウンロード」が選択不能な状態で表示される。メニュー501の「ダウンロード」が選択されると、下記の提示処理が実行される。
【0054】
(2−6−5)バージョン管理画面
以下の操作をするとバージョンを指定して電子データ300を参照或いはダウンロードすることができる。ユーザーは、フロント画面401に表示されている、例えば、ドキュメント1のアイコン301の上でマウスを右クリックする。すると、図3に示すメニュー501のようなメニューが表示されるが、メニュー501が表示される前に上述の権限確認処理が実行され、当該ユーザーが登録権限を有するか否かが確認される。当該ユーザーが登録権限を有すると判定されたら、メニュー501の「バージョン管理」が選択可能な状態で表示される。当該ユーザーが登録権限を有さないと判定されたら、メニュー501の「バージョン管理」が選択不能な状態で表示される。メニュー501にて、の「バージョン管理」が選択されると、図9に示されているようなバージョン管理画面405が表示される。ユーザーが、バージョン一覧405aの中から所望のバージョンの行をマウスでクリックすると当該行が白色から青色に反転する。この状態で「参照」ボタン405b或いは「ダウンロード」ボタン405cがクリックされると、下記の提示処理が実行される。
【0055】
(2−6−6)提示処理
以下に提示処理について図10に示されているフローチャートを用いて説明する。
【0056】
ステップS101では、ユーザーの操作が最新の電子データ300を要求するものか否かを判断する。最新の電子データ300とは、ユーザーが要求している電子データ300のうち、当該ユーザーが提示を受けることが可能な最新のバージョンの電子データ300である。具体的には、例えば、図3のドキュメント1のアイコン301或いはドキュメント2のアイコン302の上でマウスを右クリックし、表示されたメニュー501の「チェックアウト」、「参照」、「ダウンロード」を選択する操作は、最新の電子データ300を要求する操作である。ユーザーの操作が最新の電子データ300を要求する操作であると判断された場合は、処理はステップS102へ進む。ユーザーの操作が最新の電子データ300を要求する操作でないと判断された場合は、処理はステップS105へ進む。例えば、図9のバージョン管理画面405から特定のバージョンを指定して電子データ300の参照あるいはダウンロードを要求する操作及び承認のために承認対象のバージョンの電子データ300を参照する操作は、最新の電子データ300を要求する操作でないと判断される。
【0057】
ステップS102では、ユーザーに最新バージョンの電子データ300を提示すべきか、最新の正式版であるバージョンの電子データ300を提示すべきかが判断される。具体的には、例えば、ユーザーの権限或いは操作が第1条件を満たすか、第2条件を満たすか、或いは、両条件を満たさないかが判断される。第1条件は、ユーザーの操作が、最新の電子データ300を要求する第1操作であり、かつ、ユーザーが最新バージョンの電子データ300について第1操作をする権限を有しているか否かである。第2条件は、ユーザーの操作が、最新の電子データ300を要求し、かつ、電子データ300を参照する又はダウンロードする第2操作であり、かつ、ユーザーが少なくとも最新の正式版であるバージョンの電子データ300について第2操作をする権限を有しているか否かである。
【0058】
具体的には、ステップS102まで進んだ場合は、上述のとおりユーザーの操作は、最新の電子データ300を要求する操作である。ユーザーが最新バージョンの電子データ300について当該操作をする権限を有しているかどうかが上述の権限確認処理の実行により確認される。この場合、当該操作をする権限とは、登録権限である。もし、ユーザーが登録権限を有すると判定されたら、第1条件が満たされたと判断され、処理は、S103へ進む。
【0059】
もし、ユーザーが登録権限を有しないと判定され、かつ、当該操作が参照或いはダウンロードする操作である場合、ユーザーが最新の正式版であるバージョンの電子データ300について当該操作をする権限を有しているかどうかが上述の権限確認処理の実行により確認される。この場合、当該操作をする権限とは、参照権限である。もし、ユーザーが参照権限を有すると判定されたら、第2条件が満たされたと判断され、処理は、S104へ進む。
【0060】
第1条件及び第2条件とも満たされなければ、電子データ300の提示はされず。処理は終了する。
【0061】
ステップS103では、最新バージョンの電子データ300がユーザーに対して提示される。具体的には、例えば、ユーザーの操作が、電子データ300の参照であれば、最新バージョンの電子データ300がクライアント200のブラウザに表示される。ユーザーの操作が、電子データ300のダウンロードであれば、クライアント200のブラウザに当該電子データ300の保存先を選択する画面(図示せず)が表示される。ユーザーが保存先を選択(入力)すると、サーバー100から最新バージョンの電子データ300が送信され保存先として選択された場所に保存される。ユーザーの操作が、チェックアウトであれば、クライアント200のブラウザに当該電子データ300の保存先を選択する画面(図示せず)が表示される。ユーザーが保存先を選択(入力)すると、サーバー100から最新バージョンの電子データ300が送信され保存先として選択された場所に保存される。そして、処理は終了する。
【0062】
ステップS104では、最新の正式版であるバージョンの電子データ300がユーザーに対して提示される。具体的には、例えば、ユーザーの操作が、電子データ300の参照であれば、最新の正式版であるバージョンの電子データ300がクライアント200のブラウザに表示される。ユーザーの操作が、電子データ300のダウンロードであれば、クライアント200のブラウザに当該電子データ300の保存先を選択する画面(図示せず)が表示される。ユーザーが保存先を選択(入力)すると、サーバー100から最新の正式版であるバージョンの電子データ300が送信され保存先として選択された場所に保存される。そして、処理は終了する。
【0063】
ステップS105では、ユーザーが指定したバージョンの電子データ300がユーザーに対して提示される。提示は、ユーザーの操作に応じて、電子データ300の表示、電子データ300のダウンロード、或いは、電子データ300のチェックアウトが行われる。
【0064】
(2−7)保持バージョン数制限
記憶部120に記憶しておく正式版ではないバージョンの電子データ300の数を制限することができる。記憶部120には、各電子データ300の正式版ではないバージョンを記憶部120に記憶しておく数の上限に関する情報である保持数制限情報が記憶されている。当該情報は、例えば、0から100までの範囲の数値であり、電子データ共有システムの管理者等により設定される。
【0065】
電子データ300の新しいバージョンがチェックインされ、上記チェックイン処理が実行された後、保持数制限処理が実行される。保持数制限処理は、記憶部120に記憶されている保持数制限情報を参照する。当該情報が、例えば、0以下の数値であれば、保持数制限処理は、終了する。この場合、0以下の数値は、保持数制限をかけないという意味である。そして、例えば、0より大きい数値であれば、保字数制限処理は、チェックインされた電子データ300の正式版でないバージョンの数が当該数値以下であるかどうかカウントする。カウントが当該数値以下であれば、保持数制限処理は、終了する。カウントが当該数値より大きければ、カウントが当該数値以下になるまで正式版でないバージョンの当該電子データ300を最も古いバージョンから順に記憶部から削除する。削除されたバージョンに係るバージョン管理テーブル121のレコードも削除される。
【0066】
なお、正式版であるバージョンの電子データ300は、保持数制限処理によって削除されず、正式版であるバージョンの電子データ300は全てが記憶部120に記憶される。
【0067】
(3)特徴
(3−1)
上記実施形態にかかる電子データ共有システム1は、チェックイン処理を実行するチェックイン部111、版管理処理を実行する版管理部112、及び、提示処理を実行する提示部113を備える。チェックイン処理では、ユーザーが電子データ300を電子データ共有システム1にチェックインする操作をすると電子データ300に新たなバージョン番号を付与し、古いバージョンの電子データ300とは別にチェックインされた電子データ300を新バージョンとして記憶部120に記憶する。また、バージョン管理テーブル121に新たなレコードを追加し、チェックインされたバージョンの情報を当該レコードに格納する。版管理処理では、承認権限を有するユーザーである承認者によって正式版として承認された電子データ300のバージョンの情報を版管理テーブル122に格納する。提示処理では、ユーザーの権限あるいは操作が第1の条件を満たす場合には、最新バージョンの電子データ300を提示し、ユーザーの権限あるいは操作が第2の条件を満たす場合には最新の正式版であるバージョンの電子データ300を提示する。電子データとは、例えば、ワードプロセッサ或いは表計算等、コンピュータのソフトウェアによって使用されるファイルであり、テキスト、バイナリ等、どの種類のファイルでもよく、また、どの種類のソフトウェアのファイルであってもよい。ユーザーの操作とは、電子データを参照、ダウンロード、或いは、編集等を含む電子データの利用のために行なう操作である。参照は、電子データの閲覧、検索或いは帳票印刷等の他の処理を介しての参照、及び、他の電子データからの参照を含む。編集は、電子データのチェックアウトを含む。
【0068】
即ち、上記実施形態にかかる電子データ共有システム1では、電子データのバージョン管理に加えて、正式版として承認された電子データの版が管理される。そして、ユーザーの権限或いは操作に応じて、最新バージョンの電子データか、或いは、最新の正式版であるバージョンの電子データのどちらかをユーザーに提示される。これにより、上記実施形態にかかる電子データ共有システム1は、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示することができている。
【0069】
(3−2)
上記実施形態にかかる電子データ共有システム1にかかる提示処理では、ユーザーの操作が、最新の電子データ300を要求する第1操作であり、かつ、ユーザーが最新バージョンの電子データ300について第1操作をする権限を有している場合は、最新バージョンの電子データ300が提示される。ユーザーの操作が、最新の電子データ300を要求し、かつ、電子データ300を参照する又はダウンロードする第2操作であり、かつ、ユーザーが少なくとも最新の正式版であるバージョンの電子データ300について第2操作をする権限を有している場合は、最新の正式版であるバージョンの電子データ300が提示される。最新の電子データ300とは、ユーザーが要求している電子データ300のうち、当該ユーザーが提示を受けることが可能な最新のバージョンの電子データ300である。
【0070】
即ち、上記実施形態にかかる電子データ共有システム1では、ユーザーの操作が、最新の前記電子データの提示を要求する第1操作であり、かつ、ユーザーが最新バージョンの電子データについて第1操作をする権限を有していれば、最新バージョンの電子データをユーザーに提示する。ユーザーの操作が、最新の電子データの参照又はダウンロードを要求する第2操作であり、かつ、ユーザーが少なくとも最新の正式版であるバージョンの電子データについて第2操作をする権限を有していれば、最新の正式版であるバージョンの電子データをユーザーに提示する。これにより、上記実施形態にかかる電子データ共有システム1は、ユーザーの権限或いは操作に応じて、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示することができている。
【0071】
(3−3)
上記実施形態にかかる電子データ共有システム1は、保持数制限処理を行なう保持数制限部114を備える。保持数制限処理では、正式版ではないバージョンの電子データ300を保持する数を所定の数に制限する。具体的には、例えば、電子データ300の新しいバージョンがチェックインされる場合に、正式版ではないバージョンの電子データ300の数が所定の数を越えていると、最も古い正式版ではないバージョンの電子データ300を記憶部120から削除する。これにより、上記実施形態にかかる電子データ共有システム1では、電子データ300を記憶するためのスペースを節約することができている。
【0072】
(3−4)
上記実施形態にかかる電子データ共有システム1では、正式版であるバージョンの電子データ300は全て記憶部120に記憶される。これにより、上記実施形態にかかる電子データ共有システム1では、正式版であるバージョンの電子データ300を全て残すことができる。
【0073】
(4)変形例
(4−1)
上記実施形態では、バージョン管理テーブル121と版管理テーブル122とは、別々のデータベーステーブルであった。しかし、他の実施形態では、バージョン管理テーブル121と版管理テーブル122とを同じデータベーステーブルにしてもよい。この場合、具体的には、例えば、バージョン版管理テーブルという1つのデータベーステーブルに図9のバージョン一覧405aに表示されているようなバージョン番号及び版番号、等の情報を格納すればよい。
【0074】
(4−2)
上記実施形態では、提示部113は、ユーザーに電子データ300を参照、ダウンロード及びチェックアウト等の形で提示する場合に最新バージョン或いは最新の正式版であるバージョンの電子データ300のどちらを提示すべきか提示処理において判断した。しかし、他の実施形態においては、参照、ダウンロード及びチェックアウト等に加えて検索結果をユーザーに提示する場合に最新バージョン或いは最新の正式版であるバージョンの電子データ300のどちらを提示すべきか提示処理において判断してもよい。この場合、例えば、電子データ300が含む文字情報がデータベーステーブルにバージョンごとに格納される。提示処理においては、図10に示されているフローチャートに従って最新バージョン或いは最新の正式版であるバージョンの電子データ300のどちらを提示すべきかが判断される。最新バージョンの電子データ300を提示すると判断した場合は、最新バージョンの電子データ300にかかる上記データベーステーブルに検索がかけられ、当該検索結果がユーザーに提示される。最新の正式版であるバージョンの電子データ300を提示すると判断した場合は、最新の正式版であるバージョンの電子データ300にかかる上記データベーステーブルに検索がかけられ、当該検索結果がユーザーに提示される。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、電子データのバージョン管理に適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 電子データ共有システム
100 サーバー
110 制御部
111 チェックイン部(チェックイン手段)
112 版管理部(版管理手段)
113 提示部(提示手段)
114 保持数制限部(保持数制限手段)
120 記憶部
121 バージョン管理テーブル(バージョン情報)
122 版管理テーブル(版情報)
200 クライアント
300 電子データ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2004−21529号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、1又は複数のユーザーが更新する電子データを保持しユーザーに公開する電子データ共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータで利用可能な電子データをコンピュータの記憶装置に記憶させ、電子データを複数のユーザーで共有するシステムがある。このような電子データは、ファイルとも呼ばれている。例えば、多くの企業のオフィスでは、複数のユーザーで電子データを共有し、閲覧、編集が可能な、ファイルサーバーと呼ばれるシステムが使用されている。
【0003】
一方、電子データが更新される度に当該電子データのバージョンそれぞれの情報を記録し管理するバージョン管理システムがある。例えば、コンピュータプログラムの開発現場でよく使用されているCVSというバージョン管理システムは、プログラムの更新の履歴を記録し、ユーザーに所望のバージョンのプログラムを提示することができる。バージョン管理システムは、各バージョンの電子データにバージョン番号を付与する。電子データの作成者は、バージョン作成の趣旨を記述したコメントを当該バージョンと関連付けてバージョン管理システムに記憶させることが出来る。
【0004】
電子データのバージョンの数が増えるにつれて、どのバージョンがユーザーにとって必要なものか分かりにくくなる。上記のコメントは、電子データのバージョンを選択する上でユーザーの助けにはなるが難点もある。特に、複数のユーザー間でファイルを共有している場合は、他のユーザーによって作成されたバージョンが何の目的で作成されたのか、コメントだけでは、分かりづらい。また、コメントは、統一された記載方法を各ユーザーに強制するのが難しく、コンピュータシステムで扱いにくい。そこで、特許文献1(特開2004−21529号公報)に記載されているようにバージョンデータを管理し、バージョンデータのどれを公開対象とするのかの情報を保持するドキュメント管理装置が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、企業では、文書等の電子データは、承認権限を持つユーザーの承認を得ないとならないような運用になっている場合が多い。例えば、製品の仕様書等は、上司の承認を得るまで複数のバージョンが作成される場合がある。承認を得た電子データは、正式版としてリリースされるが、正式版も時が経つと新たな正式版が作成されることがある。このような場合、正式版しか必要のないユーザーもおり、どのバージョンが正式版か区別できないと不便である。特許文献1(特開2004−21529号公報)に記載のシステムのように公開用の電子データを指定することができるシステムはあるものの複数あるバージョンのうちどれが正式版であるかを区別できるシステムは未だに存在しない。そのため、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示することもできていない。
【0006】
そこで、本発明の課題は、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示可能な電子データ共有システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1観点に係る電子データ共有システムは、1又は複数のユーザーが更新する電子データを保持しユーザーに公開する電子データ共有システムであって、チェックイン手段と、版管理手段と、提示手段とを備える。チェックイン手段は、電子データが更新されると、新たなバージョンとして更新された電子データにバージョン番号を付与し、更新された電子データを古いバージョンとは別に保持するとともにバージョン番号の情報であるバージョン情報を生成する。版管理手段は、電子データが承認権限を有するユーザーの承認を得た正式版であるか否かを示す情報である版情報を生成する。提示手段は、ユーザーの有する権限あるいはユーザーの操作に基づいてユーザーに提示する電子データのバージョンを選択し、選択されたバージョンの電子データをユーザーに提示する。提示手段は、権限あるいは操作が第1の条件を満たすユーザーには、最新バージョンの電子データを提示し、権限あるいは操作が第2の条件を満たすユーザーには最新の正式版であるバージョンの電子データを提示する。電子データとは、例えば、ワードプロセッサ或いは表計算等、コンピュータのソフトウェアによって使用されるファイルであり、テキスト、バイナリ等、どの種類のファイルでもよく、また、どの種類のソフトウェアのファイルであってもよい。ユーザーの操作とは、電子データを参照、ダウンロード、或いは、編集等を含む電子データの利用のために行なう操作である。参照は、電子データの閲覧、検索或いは帳票印刷等の他の処理を介しての参照、及び、他の電子データからの参照を含む。編集は、電子データのチェックアウトを含む。
【0008】
本発明の第1観点に係る電子データ共有システムでは、電子データのバージョン管理に加えて、正式版として承認された電子データの版が管理される。そして、ユーザーの権限或いは操作に応じて、最新バージョンの電子データか、或いは、最新の正式版であるバージョンの電子データのどちらかがユーザーに提示される。したがって、本発明の第1観点に係る電子データ共有システムは、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示することができる。
【0009】
本発明の第2観点に係る電子データ共有システムは、第1観点に係る電子データ共有システムであって、第1条件は、ユーザーの操作が、最新の前記電子データの提示を要求する第1操作であり、かつ、ユーザーが最新バージョンの電子データについて第1操作をする権限を有しているか否かである。第2条件は、ユーザーの操作が、最新の電子データの参照又はダウンロードを要求する第2操作であり、かつ、ユーザーが少なくとも最新の正式版であるバージョンの電子データについて第2操作をする権限を有しているか否かである。最新の電子データとは、ユーザーが要求している電子データのうち、当該ユーザーが提示を受けることが可能な最新のバージョンの電子データである。
【0010】
本発明の第2観点に係る電子データ共有システムでは、ユーザーの操作が、最新の前記電子データの提示を要求する第1操作であり、かつ、ユーザーが最新バージョンの電子データについて第1操作をする権限を有していれば、最新バージョンの電子データをユーザーに提示する。ユーザーの操作が、最新の電子データの参照又はダウンロードを要求する第2操作であり、かつ、ユーザーが少なくとも最新の正式版であるバージョンの電子データについて第2操作をする権限を有していれば、最新の正式版であるバージョンの電子データをユーザーに提示する。したがって、本発明の第2観点に係る電子データ共有システムは、ユーザーの権限或いは操作に応じて、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示することができる。
【0011】
本発明の第3観点に係る電子データ共有システムは、第1観点又は第2観点に係る電子データ共有システムであって、提示手段が行なう提示には、電子データに対する検索結果の提示が含まれる。
【0012】
本発明の第3観点に係る電子データ共有システムでは、電子データに対する検索結果の提示においても、提示手段は、ユーザーの権限に応じて、最新バージョンの電子データ或いは最新の正式版であるバージョンの電子データのどちらかをユーザーに提示する。これにより、検索結果に表示する電子データのバージョンをユーザーごとに適切に制御することができる。
【0013】
本発明の第4観点に係る電子データ共有システムは、第1観点から第3観点のいずれかに係る電子データ共有システムであって、正式版ではないバージョンの前記電子データを保持する数を所定の数に制限する保持数制限手段をさらに備える。
【0014】
本発明の第4観点に係る電子データ共有システムでは、保持数制限手段が正式版ではないバージョンの電子データを保持する数を所定の数に制限する。これにより、電子データを記憶するためのスペースを節約することができる。
【0015】
本発明の第5観点に係る電子データ共有システムは、第1観点から第4観点のいずれかに係る電子データ共有システムであって、正式版であるバージョンの電子データを全て保持する。これにより、正式版であるバージョンの電子データを全て残すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1観点に係る電子データ共有システムでは、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示することができる。
【0017】
第2観点に係る電子データ共有システムでは、ユーザーの権限或いは操作に応じて、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示することができる。
【0018】
本発明の第3観点に係る電子データ共有システムでは、検索結果に表示する電子データのバージョンをユーザーごとに適切に制御することができる。
【0019】
本発明の第4観点に係る電子データ共有システムでは、電子データを記憶するためのスペースを節約することができる。
【0020】
本発明の第5観点に係る電子データ共有システムでは、正式版であるバージョンの電子データを全て残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムのブロック図。
【図2】本発明の1実施形態にかかるユーザー権限に関する情報の例。
【図3】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムの画面の例。
【図4】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムの画面の例。
【図5】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムの画面の例。
【図6】本発明の1実施形態にかかるバージョン情報及び版情報の例。
【図7】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムの版管理手段の処理に関するイメージ図。
【図8】本発明の1実施形態にかかる承認に関する情報及び電子データ共有システムの画面の例。
【図9】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムの画面の例。
【図10】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムの提示手段にかかるフローチャート。
【図11】本発明の1実施形態にかかる電子データ共有システムの保持数制限手段にかかる処理のイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を以下に図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、本実施形態に限られるものではない。
【0023】
(1)システムの概略構成
本発明に係る電子データ共有システムは、1又は複数のユーザーが更新する電子データ300を保持しユーザーに公開するシステムである。電子データ300とは、例えば、メモ帳、ワードプロセッサ(以下ワープロ)や表計算等、コンピュータのソフトウェアによって使用されるファイルであり、テキスト、バイナリ等、どの種類のファイルでもよく、また、どの種類のソフトウェアのファイルであってもよい。
【0024】
本発明に係る電子データ共有システムの構成の一例を図1に示す。コンピュータであるサーバー100のCPUにより電子データ共有システムにかかるプログラムが、実行されると、当該CPUは、電子データ共有システム1の制御部110となる。制御部110は、登録処理及びチェックイン処理を行なうチェックイン部111(チェックイン手段)、版管理処理を行なう版管理部112(版管理手段)、提示処理を行なう提示部113(提示手段)、保持数制限処理を行なう保持数制限部114(保持数制限手段)、及び、認証処理を行なう認証部115を有する。このほか、制御部110は、後述する権限確認処理及び承認フロー処理、等、その他の処理を行なう。
【0025】
メモリ及びハードディスク等の記憶装置は、記憶部120を構成する。ユーザーにより共有される電子データ300は、記憶部120に記憶される。また、記憶部120には、バージョン情報を格納するバージョン管理テーブル121及び版情報を格納する版管理テーブル122が格納されている。記憶部120を構成する記憶装置は、サーバー100が備える記憶装置であってもよいし、ネットワークを介してサーバー100に接続された他のコンピュータが備える記憶装置でもよい。図1では、サーバー100の備える記憶装置を記憶部120として示している。
【0026】
サーバー100は、ユーザーが使用するコンピュータ等の端末であるクライアント200とインターネット或いはLAN等のネットワーク600を介して接続されている。
【0027】
(2)システムの詳細説明
(2−1)ログイン
ユーザーは、クライアント200からサーバー100にアクセスする。具体的には、図1に示すクライアント200上で起動されたウェブブラウザ(以下、ブラウザとする)からHTTPプロトコルによるリクエスト信号をサーバー100に対して送信する。サーバー100が当該リクエスト信号を受信すると、制御部110は、ログイン用の画面データをクライアント200に送信する。クライント200のブラウザには、ログイン画面が表示される。ユーザーは、ログイン画面の入力欄にユーザーIDとパスワードとを入力し、当該情報をサーバー100に送信する。ユーザーID及びパスワードの情報を受信するとサーバー100では、認証処理が実行される。以下、各画面は、上記のように、サーバー100からクライアント200へデータとして送信されることによりクライアント200のブラウザで表示されるものとし、各画面の表示のメカニズムについての説明は省略する。
【0028】
認証処理では、クライアント200から送信されてきたユーザーIDとパスワードとを記憶部120に記憶されているユーザーIDとパスワードとの組み合わせと照合する。照合の結果、送信されてきたユーザーID及びパスワードが、記憶部にあるユーザーIDとパスワードと等しければ、制御部110は、ユーザーにログインを許し、等しくなければ、ログインを許さない。制御部110は、ログインを許す場合は、電子データ共有システムの図3に示されているようなフロント画面401のデータをクライアント200に送信する。ログインを許さない場合は、ユーザーID或いはパスワードが正しくない旨を伝えるメッセージとともにログイン画面のデータをクライアント200に送信する。クライアント200のブラウザには、これらどちらかの画面が表示される。
【0029】
なお、本実施形態においては、ユーザーID及びパスワードの情報は、ユーザーテーブル(図示せず)というデータベーステーブルとして記憶部120に記憶されている。データベーステーブルに対する処理は、DBMS(データベース管理システム)を介して行われる。以下、各データベーステーブルへのアクセスは、上記のように全てDBMSを介して行なうものとし、説明を省略する。
【0030】
(2−2)権限確認
(2−2−1)権限
本発明にかかる電子データ共有システム1では、各ユーザーには、電子データ共有システム1の各機能を利用するための様々な権限が付与されている。ユーザーが、各機能を利用するには、権限が必要である。以下に、ユーザーの有する権限を確認する権限確認処理について説明する。
【0031】
記憶部120には、データベーステーブルであるグループテーブルが記憶されている。グループテーブルには、例えば、図2に示すグループテーブル123のように、各ユーザーの所属するグループの情報が記憶されている。グループは、例えば、企業組織内にてユーザーが所属する部署、ユーザーの役職、或いは、役割等である。
【0032】
また、記憶部120には、データベーステーブルである権限テーブルが記憶されている。権限テーブルは、例えば、図2に示す権限テーブル124のように、グループ或いはユーザーが有する権限に関する情報を格納している。権限テーブル124には、各電子データ300に対して各ユーザー或いはグループが有する権限に関する情報が格納される。また、権限テーブル124には、各ユーザー或いはグループのシステム全体のグローバルな権限に関する情報も格納される。権限は、例えば、図2の権限情報テーブル124に示されているように参照権限、登録権限、及び管理権限、等がある。図2の権限テーブル124の「参照」覧が「可」になっていれば、ユーザーは、参照権限を有し、「不可」になっていれば、参照権限を有しない。「登録」覧及び「管理」覧についても同様である。各権限を与えられたユーザーがどのような操作を行なうことが可能かについては、後述する。なお、電子データ共有システム1の管理者であるユーザーについては、グローバルな管理権限を付与する情報が権限テーブル124に格納されている。
【0033】
(2−2−2)権限の設定
電子データ300について管理権限を有するユーザーは、電子データ300に対する操作権限を各ユーザー或いはグループに設定することができる。全ユーザーに電子データ300を公開する場合は、当該電子データ300について全ユーザーに対して参照権限を設定する。複数のユーザーで当該電子データ300を共有し編集する場合は、他のユーザーにも当該電子データ300について登録権限を設定する。例えば、当該電子データ300の管理権限を有するユーザーと同じ部署(グループ)に所属するユーザーに登録権限を設定する。当該電子データ300を電子データ共有システム1に登録した所有者であるユーザーは、後述するように当該電子データ300の管理権限を有する。権限の設定は、図3のフロント画面401上の電子データのアイコン、例えば、ドキュメント1のアイコン301の上でマウスを右クリックすると表示されるメニュー501の「アクセス権設定」が選択されると表示される図示しない画面から入力することにより行なうことが出来る。
【0034】
(2−2−3)権限確認処理
権限確認処理では、権限確認の対象であるユーザーが、所定の電子データ300について所定の権限を有しているかどうか権限テーブル124を検索する。具体的には、権限テーブル124のレコードの中から当該電子データ300及び当該ユーザーにかかるレコードを検索する。検索の結果、レコードがヒットすれば、当該レコード中の確認対象である権限についての情報を参照する。当該情報が、「可」であれば、当該ユーザーは、当該権限を有すると判定される。当該情報が、「不可」であれば、当該ユーザーは、当該権限を有しないと判定される。
【0035】
検索の結果、レコードがヒットしなければ、グループテーブル123のレコードの中から当該ユーザーにかかるレコードを検索する。検索の結果、レコードがヒットすれば、当該レコード中のグループIDを取得し、当該グループ及び当該電子データ300にかかる権限テーブル124のレコードを検索する。検索の結果、レコードがヒットすれば、当該レコード中の確認対象である権限についての情報を参照する。当該情報が、「可」であれば、当該ユーザーは、当該権限を有すると判定される。当該情報が、「不可」であれば、当該ユーザーは、当該権限を有しないと判定される。
【0036】
(2−3)電子データの新規登録
ユーザーは、次のように新規の電子データ300を電子データ共有システムに登録することができる。例えば、ユーザーが新規に企画書をワープロファイルとして作成したとする。先ず、ユーザーは、フロント画面401にあるプロジェクト1を登録先として選択し、プロジェクト1のアイコン(図3に示す310)上でマウスの右クリックをする。すると、図3に示すメニュー501のようなメニューが表示されるが、当該メニュー501が表示される前に、上述の権限確認処理が実行される。当該ユーザーが登録権限を有するか否かが確認され、当該ユーザーが登録権限を有すると判定されたら、メニュー501の「チェックイン」が選択可能な状態で表示される。当該ユーザーが登録権限を有さないと判定されたら、メニュー501の「チェックイン」は選択不能な状態で表示される。選択可能な状態とは、メニューの文字が明確に表示され、マウスでクリックするとシステムが反応する状態である。選択不能な状態とは、メニューの文字が表示されないか、表示されてもかすかに見える程度にしか表示されず、マウスでクリックしてもシステムが反応しない状態である。
【0037】
メニュー501の「チェックイン」が選択されると、クライアント200のブラウザに図4に示すような登録画面402が表示される。ユーザーは、登録する企画書にかかる電子データ300の名称を「タイトル」覧402aに入力する。また、ユーザーにより「選択」ボタン402dがクリックされ、クライアント200上にある当該企画書のファイルが選択されると、当該ファイル及びファイルの格納場所が「ファイル」覧402fに入力される。「所有者」覧402cには、ユーザーの名前が入力される。ユーザーは、当該ファイルに関するコメントを「コメント」欄402bに入力することが出来る。次に、ユーザーが、「登録」ボタン402eをクリックすると当該企画書の電子データ300及び登録画面402に入力された情報がサーバーに送信される。サーバーが、当該電子データ300及び情報を受信すると、登録処理が実行される。
【0038】
登録処理では、送信されてきた電子データ300が記憶部120に記憶される。また、図6に示されているように、記憶部120に記憶されているデータベーステーブルである電子データマスタテーブル125及びバージョン管理テーブル121に新規のレコードが追加される。電子データマスタテーブル125のレコードには、登録画面402に入力された情報から当該電子データ300の名称及び当該電子データ300の所有者であるユーザーのIDが格納される。また、記憶部120における当該電子データ300の記憶場所、等の情報も格納される。バージョン管理テーブル121のレコードには、登録画面402に入力された情報からコメント、所有者であるユーザーのIDが作成者として格納される。このほか、登録された日付及びバージョン番号として1が付与され格納される。また、「カレント」欄にBoolean型の値TRUEが格納される。「カレント」欄は、現在のバージョンを示す情報であり、通常は最新のバージョンにかかるレコードの「カレント」欄の値がTRUEにされる。
【0039】
さらに、権限テーブル124に登録された電子データ300にかかる新しいレコードが追加される。当該レコードには、所有者であるユーザーのユーザーIDが格納され、参照権限、登録権限、管理権限等、全ての権限が「可」として情報が格納される。即ち、当該電子データ300の所有者及び管理者が、当該電子データ300を参照及び編集できる。また、所有者及び管理者は、カレントであるバージョンを変更することもできる。
【0040】
(2−4)チェックイン
ユーザーは、チェックアウト及び編集した電子データ300を次のようにチェックインすることができる。例えば、チェックインしたい電子データ300がドキュメント1であるとすると、ユーザーは、図3に示すフロント画面401においてドキュメント1のアイコン(図3の301)の上でマウスを右クリックする。すると、図3に示すメニュー501が表示されるが、当該メニュー501が表示される前に、上述の権限確認処理が実行される。当該ユーザーが登録権限を有するか否かが確認され、当該ユーザーが登録権限を有すると判定されたら、メニュー501の「チェックイン」が選択可能な状態で表示される。当該ユーザーが登録権限を有さないと判定されたら、メニュー501の「チェックイン」は選択不能な状態で表示される。
【0041】
メニュー501の「チェックイン」が選択されると、図5に示すようなチェックイン画面403がクライアント200のブラウザに表示される。「バージョン」欄403aには、バージョン管理テーブル121に格納されている情報のうち、チェックインしようとしている電子データ300の最も大きいバージョン番号に1を足した番号がチェックイン部111により付与され、入力される。ユーザーは、このように自動で入力されたバージョン番号を変更することができる。「作成者」欄403cには、ユーザーの名前がチェックイン部111により入力される。ユーザーは、「選択」ボタン403dをクリックして、クライアント200上のチェックインしたい電子データ300を選択する。選択されると電子データのファイル名とクライアント200上の格納場所が「ファイル」覧403fに入力される。ユーザーは、「コメント」欄403bにコメントを入力することが出来る。ユーザーが「OK」ボタン403eをクリックするとチェックイン画面403に入力された情報が全て、電子データ300と共にサーバー100に送信される。当該情報及び電子データ300をサーバー100が受信するとチェックイン処理が実行される。
【0042】
チェックイン処理では、受信された電子データ300が、記憶部120に記憶される。当該電子データ300の他のバージョンは、受信された電子データ300で上書きされることはなく、受信された電子データ300は、他のバージョンとは別に記憶部120に記憶される。また、記憶部120のバージョン管理テーブル121に当該電子データ300にかかる新しいレコードが追加される。当該レコードには、バーンジョン番号、作成者であるユーザーのID及びコメント等その他チェックイン画面403に入力された情報全てが格納される。また、当該新レコードの「カレント」欄の値がTRUEに変更される。それまでに「カレント」欄にTRUEの値が格納されていたレコードの「カレント」欄の値は、FALSEに変更される。
【0043】
なお、ユーザーは、電子データ300をチェックアウトしていなければ、チェックインできない。即ち、電子データ300がチェックアウトされていなければ、メニュー501の「チェックイン」が表示されない等、「チェックイン」を選択できなくなる。
【0044】
(2−5)承認及び版管理
(2−5−1)承認申請および承認
承認申請および承認について説明する。ユーザーは、電子データ300の1つのバージョンを正式版として承認してもらうよう、承認申請をすることができる。企業の部門長等、承認権限を有する承認者が当該バージョンの電子データ300を正式版として承認すると当該バージョンは、正式版となる。電子データ300の1つのバージョンが正式版になる過程を簡単に図に示すと図7のようになる。
【0045】
具体的には、例えば、図3のドキュメント1のアイコン301の上でマウスを右クリックするとメニュー501が表示される。メニュー501が表示される前に、上述の権限確認処理が実行され、当該ユーザーが登録権限を有するか否かが確認される。当該ユーザーが登録権限を有すると判定されたら、メニュー501の「承認申請」が選択可能な状態で表示される。当該ユーザーが登録権限を有さないと判定されたら、メニュー501の「承認申請」が選択不能な状態で表示される。
【0046】
当該メニュー501から「承認申請」が選択されると図8の(b)に示すような承認申請画面404が表示される。承認申請には、例えば、図8の(a)に示すようないくつかの承認フローがある。それぞれの承認フローには、承認権限を有する承認者が決められている。ユーザーが、承認申請画面404上の「フロー名」ドロップダウンリスト404aで承認フローを選択し、「申請」ボタン404cをクリックすると承認フロー処理が開始する。このとき、承認申請の対象である電子データ300及びバージョン、承認者等、承認申請に関する情報が記憶部120に記憶される。承認者であるユーザーには、e−mailアドレスに承認申請がされた旨を伝えるe−mailのメッセージが送信される。
【0047】
承認フロー処理は、承認者であるユーザーが上記のe−mailメッセージに含まれている承認画面へのリンクをクリックして、電子データ共有システム1にログインすると、開始する。当該リンクがクリックされると図示しない承認画面が表示される。当該承認画面には、承認対象であるバージョンの電子データ300を参照するためのボタンと共に記憶部120に記憶されている当該承認申請に関する情報が表示される。承認者が当該ボタンをクリックすると後述の提示処理が実行され、承認者に対して承認申請の対象であるバージョンの電子データ300が提示される。承認者は、当該電子データ300に対して正式版としての承認を与える場合は、承認画面にある図示しない承認ボタンをクリックする。承認ボタンがクリックされると、版管理処理が実行される。承認者は、承認しない場合は、図示しない却下ボタンをクリックする。却下ボタンがクリックされると申請者であるユーザーには、e−mailアドレスに承認却下された旨を伝えるe−mailのメッセージが送信され、版管理処理は、実行されない。
【0048】
(2−5−2)版管理処理
版管理処理では、記憶部120の図6に示すような版管理テーブル122に当該電子データ300のバージョンにかかる新たなレコードが追加される。当該レコードには、承認申請の対象である電子データ300のバージョン及び版管理部112により付与された版番号、等が格納される。当該版番号は、版管理テーブルに格納されている当該電子データ300の最も大きい版番号に1を足した番号である。
【0049】
(2−6)電子データの提示
(2−6−1)電子データの提示を受けるための操作
ユーザーが電子データ300の提示を受けるための操作について説明する。電子データ300の提示とは、電子データ300をユーザーにチェックアウトさせる、参照させる、或いは、ダウンロードさせる、等、ユーザーに電子データ300を利用させる処理である。電子データ300の参照には、このほか、1つの電子データ300の内容が他の電子データ300から参照されている等、他の電子データ300を介して、あるいは、複数の電子データ300の一覧表等の帳票印刷処理、或いは検索処理から参照される等他の処理を介しての参照も含まれる。以下では、ユーザーが電子データ300の提示を受けるための操作について主なものを説明する。
【0050】
(2−6−2)チェックアウト
電子データ300をチェックアウトする操作について説明する。電子データ共有システム1に登録されている電子データ300を編集し、更新するには、ユーザーは、当該電子データ300を電子データ共有システム1からチェックアウトしなければならない。ユーザーは、フロント画面401に表示されている、例えば、ドキュメント1のアイコン301の上でマウスを右クリックする。すると、図3に示すメニュー501のようなメニューが表示されるが、メニュー501が表示される前に上述の権限確認処理が実行され、当該ユーザーが登録権限を有するか否かが確認される。当該ユーザーが登録権限を有すると判定されたら、メニュー501の「チェックアウト」が選択可能な状態で表示される。当該ユーザーが登録権限を有さないと判定されたら、メニュー501の「チェックアウト」が選択不能な状態で表示される。メニュー501の「チェックアウト」が選択されると、下記の提示処理が実行される。
【0051】
なお、電子データ300がチェックアウトされるとチェックインされるまでは、ユーザーは同じ電子データ300をチェックアウトできない。即ち、チェックアウト中は、メニュー501の「チェックアウト」が表示されない等、選択できない状態になる。
【0052】
(2−6−3)電子データの参照
電子データ300を参照する操作について説明する。ユーザーは、フロント画面401に表示されている、例えば、ドキュメント1のアイコン301の上でマウスを右クリックする。すると、図3に示すメニュー501のようなメニューが表示されるが、メニュー501が、表示される前に上述の権限確認処理が実行され、当該ユーザーがデータ参照権限を有するか否かが確認される。当該ユーザーがデータ参照権限を有すると判定されたら、メニュー501の「参照」が選択可能な状態で表示される。当該ユーザーがデータ参照権限を有さないと判定されたら、メニュー501の「参照」が選択不能な状態で表示される。メニュー501の「参照」が選択されると、下記の提示処理が実行される。
【0053】
(2−6−4)電子データのダウンロード
電子データ300をダウンロードする操作について説明する。ユーザーは、フロント画面401に表示されている、例えば、ドキュメント1のアイコン301の上でマウスを右クリックする。すると、図3に示すメニュー501のようなメニューが表示されるが、メニュー501が表示される前に上述の権限確認処理が実行され、当該ユーザーがデータ参照権限を有するか否かが確認される。当該ユーザーがデータ参照権限を有すると判定されたら、メニュー501の「ダウンロード」が選択可能な状態で表示される。当該ユーザーがデータ参照権限を有さないと判定されたら、メニュー501の「ダウンロード」が選択不能な状態で表示される。メニュー501の「ダウンロード」が選択されると、下記の提示処理が実行される。
【0054】
(2−6−5)バージョン管理画面
以下の操作をするとバージョンを指定して電子データ300を参照或いはダウンロードすることができる。ユーザーは、フロント画面401に表示されている、例えば、ドキュメント1のアイコン301の上でマウスを右クリックする。すると、図3に示すメニュー501のようなメニューが表示されるが、メニュー501が表示される前に上述の権限確認処理が実行され、当該ユーザーが登録権限を有するか否かが確認される。当該ユーザーが登録権限を有すると判定されたら、メニュー501の「バージョン管理」が選択可能な状態で表示される。当該ユーザーが登録権限を有さないと判定されたら、メニュー501の「バージョン管理」が選択不能な状態で表示される。メニュー501にて、の「バージョン管理」が選択されると、図9に示されているようなバージョン管理画面405が表示される。ユーザーが、バージョン一覧405aの中から所望のバージョンの行をマウスでクリックすると当該行が白色から青色に反転する。この状態で「参照」ボタン405b或いは「ダウンロード」ボタン405cがクリックされると、下記の提示処理が実行される。
【0055】
(2−6−6)提示処理
以下に提示処理について図10に示されているフローチャートを用いて説明する。
【0056】
ステップS101では、ユーザーの操作が最新の電子データ300を要求するものか否かを判断する。最新の電子データ300とは、ユーザーが要求している電子データ300のうち、当該ユーザーが提示を受けることが可能な最新のバージョンの電子データ300である。具体的には、例えば、図3のドキュメント1のアイコン301或いはドキュメント2のアイコン302の上でマウスを右クリックし、表示されたメニュー501の「チェックアウト」、「参照」、「ダウンロード」を選択する操作は、最新の電子データ300を要求する操作である。ユーザーの操作が最新の電子データ300を要求する操作であると判断された場合は、処理はステップS102へ進む。ユーザーの操作が最新の電子データ300を要求する操作でないと判断された場合は、処理はステップS105へ進む。例えば、図9のバージョン管理画面405から特定のバージョンを指定して電子データ300の参照あるいはダウンロードを要求する操作及び承認のために承認対象のバージョンの電子データ300を参照する操作は、最新の電子データ300を要求する操作でないと判断される。
【0057】
ステップS102では、ユーザーに最新バージョンの電子データ300を提示すべきか、最新の正式版であるバージョンの電子データ300を提示すべきかが判断される。具体的には、例えば、ユーザーの権限或いは操作が第1条件を満たすか、第2条件を満たすか、或いは、両条件を満たさないかが判断される。第1条件は、ユーザーの操作が、最新の電子データ300を要求する第1操作であり、かつ、ユーザーが最新バージョンの電子データ300について第1操作をする権限を有しているか否かである。第2条件は、ユーザーの操作が、最新の電子データ300を要求し、かつ、電子データ300を参照する又はダウンロードする第2操作であり、かつ、ユーザーが少なくとも最新の正式版であるバージョンの電子データ300について第2操作をする権限を有しているか否かである。
【0058】
具体的には、ステップS102まで進んだ場合は、上述のとおりユーザーの操作は、最新の電子データ300を要求する操作である。ユーザーが最新バージョンの電子データ300について当該操作をする権限を有しているかどうかが上述の権限確認処理の実行により確認される。この場合、当該操作をする権限とは、登録権限である。もし、ユーザーが登録権限を有すると判定されたら、第1条件が満たされたと判断され、処理は、S103へ進む。
【0059】
もし、ユーザーが登録権限を有しないと判定され、かつ、当該操作が参照或いはダウンロードする操作である場合、ユーザーが最新の正式版であるバージョンの電子データ300について当該操作をする権限を有しているかどうかが上述の権限確認処理の実行により確認される。この場合、当該操作をする権限とは、参照権限である。もし、ユーザーが参照権限を有すると判定されたら、第2条件が満たされたと判断され、処理は、S104へ進む。
【0060】
第1条件及び第2条件とも満たされなければ、電子データ300の提示はされず。処理は終了する。
【0061】
ステップS103では、最新バージョンの電子データ300がユーザーに対して提示される。具体的には、例えば、ユーザーの操作が、電子データ300の参照であれば、最新バージョンの電子データ300がクライアント200のブラウザに表示される。ユーザーの操作が、電子データ300のダウンロードであれば、クライアント200のブラウザに当該電子データ300の保存先を選択する画面(図示せず)が表示される。ユーザーが保存先を選択(入力)すると、サーバー100から最新バージョンの電子データ300が送信され保存先として選択された場所に保存される。ユーザーの操作が、チェックアウトであれば、クライアント200のブラウザに当該電子データ300の保存先を選択する画面(図示せず)が表示される。ユーザーが保存先を選択(入力)すると、サーバー100から最新バージョンの電子データ300が送信され保存先として選択された場所に保存される。そして、処理は終了する。
【0062】
ステップS104では、最新の正式版であるバージョンの電子データ300がユーザーに対して提示される。具体的には、例えば、ユーザーの操作が、電子データ300の参照であれば、最新の正式版であるバージョンの電子データ300がクライアント200のブラウザに表示される。ユーザーの操作が、電子データ300のダウンロードであれば、クライアント200のブラウザに当該電子データ300の保存先を選択する画面(図示せず)が表示される。ユーザーが保存先を選択(入力)すると、サーバー100から最新の正式版であるバージョンの電子データ300が送信され保存先として選択された場所に保存される。そして、処理は終了する。
【0063】
ステップS105では、ユーザーが指定したバージョンの電子データ300がユーザーに対して提示される。提示は、ユーザーの操作に応じて、電子データ300の表示、電子データ300のダウンロード、或いは、電子データ300のチェックアウトが行われる。
【0064】
(2−7)保持バージョン数制限
記憶部120に記憶しておく正式版ではないバージョンの電子データ300の数を制限することができる。記憶部120には、各電子データ300の正式版ではないバージョンを記憶部120に記憶しておく数の上限に関する情報である保持数制限情報が記憶されている。当該情報は、例えば、0から100までの範囲の数値であり、電子データ共有システムの管理者等により設定される。
【0065】
電子データ300の新しいバージョンがチェックインされ、上記チェックイン処理が実行された後、保持数制限処理が実行される。保持数制限処理は、記憶部120に記憶されている保持数制限情報を参照する。当該情報が、例えば、0以下の数値であれば、保持数制限処理は、終了する。この場合、0以下の数値は、保持数制限をかけないという意味である。そして、例えば、0より大きい数値であれば、保字数制限処理は、チェックインされた電子データ300の正式版でないバージョンの数が当該数値以下であるかどうかカウントする。カウントが当該数値以下であれば、保持数制限処理は、終了する。カウントが当該数値より大きければ、カウントが当該数値以下になるまで正式版でないバージョンの当該電子データ300を最も古いバージョンから順に記憶部から削除する。削除されたバージョンに係るバージョン管理テーブル121のレコードも削除される。
【0066】
なお、正式版であるバージョンの電子データ300は、保持数制限処理によって削除されず、正式版であるバージョンの電子データ300は全てが記憶部120に記憶される。
【0067】
(3)特徴
(3−1)
上記実施形態にかかる電子データ共有システム1は、チェックイン処理を実行するチェックイン部111、版管理処理を実行する版管理部112、及び、提示処理を実行する提示部113を備える。チェックイン処理では、ユーザーが電子データ300を電子データ共有システム1にチェックインする操作をすると電子データ300に新たなバージョン番号を付与し、古いバージョンの電子データ300とは別にチェックインされた電子データ300を新バージョンとして記憶部120に記憶する。また、バージョン管理テーブル121に新たなレコードを追加し、チェックインされたバージョンの情報を当該レコードに格納する。版管理処理では、承認権限を有するユーザーである承認者によって正式版として承認された電子データ300のバージョンの情報を版管理テーブル122に格納する。提示処理では、ユーザーの権限あるいは操作が第1の条件を満たす場合には、最新バージョンの電子データ300を提示し、ユーザーの権限あるいは操作が第2の条件を満たす場合には最新の正式版であるバージョンの電子データ300を提示する。電子データとは、例えば、ワードプロセッサ或いは表計算等、コンピュータのソフトウェアによって使用されるファイルであり、テキスト、バイナリ等、どの種類のファイルでもよく、また、どの種類のソフトウェアのファイルであってもよい。ユーザーの操作とは、電子データを参照、ダウンロード、或いは、編集等を含む電子データの利用のために行なう操作である。参照は、電子データの閲覧、検索或いは帳票印刷等の他の処理を介しての参照、及び、他の電子データからの参照を含む。編集は、電子データのチェックアウトを含む。
【0068】
即ち、上記実施形態にかかる電子データ共有システム1では、電子データのバージョン管理に加えて、正式版として承認された電子データの版が管理される。そして、ユーザーの権限或いは操作に応じて、最新バージョンの電子データか、或いは、最新の正式版であるバージョンの電子データのどちらかをユーザーに提示される。これにより、上記実施形態にかかる電子データ共有システム1は、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示することができている。
【0069】
(3−2)
上記実施形態にかかる電子データ共有システム1にかかる提示処理では、ユーザーの操作が、最新の電子データ300を要求する第1操作であり、かつ、ユーザーが最新バージョンの電子データ300について第1操作をする権限を有している場合は、最新バージョンの電子データ300が提示される。ユーザーの操作が、最新の電子データ300を要求し、かつ、電子データ300を参照する又はダウンロードする第2操作であり、かつ、ユーザーが少なくとも最新の正式版であるバージョンの電子データ300について第2操作をする権限を有している場合は、最新の正式版であるバージョンの電子データ300が提示される。最新の電子データ300とは、ユーザーが要求している電子データ300のうち、当該ユーザーが提示を受けることが可能な最新のバージョンの電子データ300である。
【0070】
即ち、上記実施形態にかかる電子データ共有システム1では、ユーザーの操作が、最新の前記電子データの提示を要求する第1操作であり、かつ、ユーザーが最新バージョンの電子データについて第1操作をする権限を有していれば、最新バージョンの電子データをユーザーに提示する。ユーザーの操作が、最新の電子データの参照又はダウンロードを要求する第2操作であり、かつ、ユーザーが少なくとも最新の正式版であるバージョンの電子データについて第2操作をする権限を有していれば、最新の正式版であるバージョンの電子データをユーザーに提示する。これにより、上記実施形態にかかる電子データ共有システム1は、ユーザーの権限或いは操作に応じて、ユーザーごとに適切なバージョンの電子データを提示することができている。
【0071】
(3−3)
上記実施形態にかかる電子データ共有システム1は、保持数制限処理を行なう保持数制限部114を備える。保持数制限処理では、正式版ではないバージョンの電子データ300を保持する数を所定の数に制限する。具体的には、例えば、電子データ300の新しいバージョンがチェックインされる場合に、正式版ではないバージョンの電子データ300の数が所定の数を越えていると、最も古い正式版ではないバージョンの電子データ300を記憶部120から削除する。これにより、上記実施形態にかかる電子データ共有システム1では、電子データ300を記憶するためのスペースを節約することができている。
【0072】
(3−4)
上記実施形態にかかる電子データ共有システム1では、正式版であるバージョンの電子データ300は全て記憶部120に記憶される。これにより、上記実施形態にかかる電子データ共有システム1では、正式版であるバージョンの電子データ300を全て残すことができる。
【0073】
(4)変形例
(4−1)
上記実施形態では、バージョン管理テーブル121と版管理テーブル122とは、別々のデータベーステーブルであった。しかし、他の実施形態では、バージョン管理テーブル121と版管理テーブル122とを同じデータベーステーブルにしてもよい。この場合、具体的には、例えば、バージョン版管理テーブルという1つのデータベーステーブルに図9のバージョン一覧405aに表示されているようなバージョン番号及び版番号、等の情報を格納すればよい。
【0074】
(4−2)
上記実施形態では、提示部113は、ユーザーに電子データ300を参照、ダウンロード及びチェックアウト等の形で提示する場合に最新バージョン或いは最新の正式版であるバージョンの電子データ300のどちらを提示すべきか提示処理において判断した。しかし、他の実施形態においては、参照、ダウンロード及びチェックアウト等に加えて検索結果をユーザーに提示する場合に最新バージョン或いは最新の正式版であるバージョンの電子データ300のどちらを提示すべきか提示処理において判断してもよい。この場合、例えば、電子データ300が含む文字情報がデータベーステーブルにバージョンごとに格納される。提示処理においては、図10に示されているフローチャートに従って最新バージョン或いは最新の正式版であるバージョンの電子データ300のどちらを提示すべきかが判断される。最新バージョンの電子データ300を提示すると判断した場合は、最新バージョンの電子データ300にかかる上記データベーステーブルに検索がかけられ、当該検索結果がユーザーに提示される。最新の正式版であるバージョンの電子データ300を提示すると判断した場合は、最新の正式版であるバージョンの電子データ300にかかる上記データベーステーブルに検索がかけられ、当該検索結果がユーザーに提示される。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、電子データのバージョン管理に適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 電子データ共有システム
100 サーバー
110 制御部
111 チェックイン部(チェックイン手段)
112 版管理部(版管理手段)
113 提示部(提示手段)
114 保持数制限部(保持数制限手段)
120 記憶部
121 バージョン管理テーブル(バージョン情報)
122 版管理テーブル(版情報)
200 クライアント
300 電子データ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2004−21529号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のユーザーが更新する電子データ(300)を保持しユーザーに公開する電子データ共有システムであって、
前記電子データ(300)が更新されると、新たなバージョンとして更新された前記電子データ(300)にバージョン番号を付与し、更新された前記電子データ(300)を古いバージョンとは別に保持するとともに前記バージョン番号の情報であるバージョン情報(121)を生成するチェックイン手段(111)と、
前記電子データ(300)が承認権限を有する前記ユーザーの承認を得た正式版であるか否かを示す情報である版情報(122)を生成する版管理手段(112)と、
前記ユーザーの有する権限あるいは前記ユーザーの操作に基づいて前記ユーザーに提示する前記電子データ(300)の前記バージョンを選択し、選択された前記バージョンの前記電子データ(300)を前記ユーザーに提示する提示手段(113)と、
を備え、
前記提示手段(113)は、前記権限あるいは前記操作が第1の条件を満たす前記ユーザーには、最新バージョンの前記電子データ(300)を提示し、前記権限あるいは前記操作が第2の条件を満たす前記ユーザーには最新の前記正式版であるバージョンの前記電子データ(300)を提示する、
電子データ共有システム(1)。
【請求項2】
前記第1条件は、前記ユーザーの操作が、最新の前記電子データ(300)の提示を要求する第1操作であり、かつ、前記ユーザーが前記最新バージョンの電子データ(300)について前記第1操作をする権限を有しているか否かであり、
前記第2条件は、前記ユーザーの操作が、最新の前記電子データ(300)の参照又はダウンロードを要求する第2操作であり、かつ、ユーザーが少なくとも前記最新の正式版であるバージョンの電子データ(300)について前記第2操作をする権限を有しているか否かである、
請求項1に記載の電子データ共有システム(1)。
【請求項3】
前記提示手段(113)が行なう提示には、前記電子データ(300)に対する検索結果の提示が含まれる、
請求項1又は2に記載の電子データ共有システム(1)。
【請求項4】
前記正式版ではないバージョンの前記電子データ(300)を保持する数を所定の数に制限する保持数制限手段(114)をさらに備えた、
請求項1〜3のいずれかに記載の電子データ共有システム(1)。
【請求項5】
前記正式版であるバージョンの前記電子データ(300)を全て保持する、
請求項1〜4のいずれかに記載の電子データ共有システム(1)。
【請求項1】
1又は複数のユーザーが更新する電子データ(300)を保持しユーザーに公開する電子データ共有システムであって、
前記電子データ(300)が更新されると、新たなバージョンとして更新された前記電子データ(300)にバージョン番号を付与し、更新された前記電子データ(300)を古いバージョンとは別に保持するとともに前記バージョン番号の情報であるバージョン情報(121)を生成するチェックイン手段(111)と、
前記電子データ(300)が承認権限を有する前記ユーザーの承認を得た正式版であるか否かを示す情報である版情報(122)を生成する版管理手段(112)と、
前記ユーザーの有する権限あるいは前記ユーザーの操作に基づいて前記ユーザーに提示する前記電子データ(300)の前記バージョンを選択し、選択された前記バージョンの前記電子データ(300)を前記ユーザーに提示する提示手段(113)と、
を備え、
前記提示手段(113)は、前記権限あるいは前記操作が第1の条件を満たす前記ユーザーには、最新バージョンの前記電子データ(300)を提示し、前記権限あるいは前記操作が第2の条件を満たす前記ユーザーには最新の前記正式版であるバージョンの前記電子データ(300)を提示する、
電子データ共有システム(1)。
【請求項2】
前記第1条件は、前記ユーザーの操作が、最新の前記電子データ(300)の提示を要求する第1操作であり、かつ、前記ユーザーが前記最新バージョンの電子データ(300)について前記第1操作をする権限を有しているか否かであり、
前記第2条件は、前記ユーザーの操作が、最新の前記電子データ(300)の参照又はダウンロードを要求する第2操作であり、かつ、ユーザーが少なくとも前記最新の正式版であるバージョンの電子データ(300)について前記第2操作をする権限を有しているか否かである、
請求項1に記載の電子データ共有システム(1)。
【請求項3】
前記提示手段(113)が行なう提示には、前記電子データ(300)に対する検索結果の提示が含まれる、
請求項1又は2に記載の電子データ共有システム(1)。
【請求項4】
前記正式版ではないバージョンの前記電子データ(300)を保持する数を所定の数に制限する保持数制限手段(114)をさらに備えた、
請求項1〜3のいずれかに記載の電子データ共有システム(1)。
【請求項5】
前記正式版であるバージョンの前記電子データ(300)を全て保持する、
請求項1〜4のいずれかに記載の電子データ共有システム(1)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−216001(P2012−216001A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79917(P2011−79917)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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