説明

電子ビーム発生装置、及びTFTアレイ基板検査装置

【課題】 フィラメントから照射される電子ビームのビーム電流を自動で一定値に制御し、また、生産ラインに組み込まれたTFTアレイ基板検査装置において、ビーム電流の一定値制御を、生産ラインを停止することなく行う。
【解決手段】 熱電子放出によりフィラメントから電子ビームを放出する電子ビーム発生装置1において、フィラメント3を流れるフィラメント電流を制御するフィラメント電流制御手段4,5を備え、電子ビームのビーム電流を検出し、その検出値をフィラメント電流制御手段にフィードバックすることによってビーム電流を一定値に制御する。フィラメント電流制御手段5は、フィラメント3からTFTアレイ基板10に向けて照射されるビーム電流の検出値をフィードバックすることによって、電子ビームのビーム電流の一定値制御をより有効に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラメントから電子ビームを発生する電子ビーム発生装置、及び電子ビームによってTFTアレイ基板の基板検査を行うTFTアレイ基板検査装置に関し、特に、電子ビームのビーム電流の自動制御に関する。
【背景技術】
【0002】
TFTアレイ基板検査装置は、欠陥検出用信号パターンでTFT基板を駆動し、その結果TFT基板に発生するITO電圧を電子ビーム照射により発生する二次電子の強度で検出し、アレイ全体の良否を判定している。
【0003】
このようなTFTアレイ基板検査装置において、TFTアレイ基板の良否判定を良好に行うためには、TFTアレイ基板に照射する電子ビームのビーム電流が一定である必要があるが、このビーム電流は、電子ビームを発生するフィラメントの抵抗等の種々の要因によって変動する。
【0004】
TFTアレイ基板検査装置において、ビーム電流の調整は、通常、必要に応じて手動によって行われている。
【0005】
これに対して、本発明の出願人は、フィラメントが熱電子放出するエミッション電流を一定とすることによって、フィラメント電流及びエミッション電流が設定値を超えないようにするフィラメント点灯電源回路を提案している。
【0006】
図4はフィラメント点灯電源回路101の概略を説明するためのブロック構成図である。フィラメント点灯電源回路101は、フィラメント103とフィラメント電流モニタ104とフィラメント点灯回路102から構成される内ループと、その外側でフィラメント103とエミッション電流モニタ105とCPU106とフィラメント点灯回路102から構成される外ループの2つの制御系により制御回路を構成し、フィラメント電流をモニタして点灯回路にフィードバックすることにおりフィラメント電流を設定値に制御し、同時に、エミッション電流をモニタし、CPU処理によってエミッション電流を一定に制御することで、フィラメントの過剰電流を抑制している(特許文献1参照)。
【0007】
一般に、フィラメントは常温状態の電気抵抗は小さいため、フィラメントの点灯時点では、フィラメント電流は急激に立ち上がり、フィラメント電流が流れることでフィラメントが加熱されて電気抵抗が大きくなるとフィラメント電流は安定状態となる。フィラメント電流が安定状態となると、エミッション電流も安定するので、エミッション電流を検知してフィードバックすることでエミッション電流を一定に制御することができる。
【0008】
また、このエミッション電流の制御では、フィラメントの温度上昇に時間がかかることから、電源の立ち上がり時にエミッション電流が不足し、フィラメント電流が設定値を超えてフィラメントにダメージを与えるという問題があるため、エミッション電流とフィラメント電流をモニタしてフィラメント点灯電源回路にフィードバックすることによって、エミッション電流とフィラメント電流を設定値に制御し、電源の立ち上がり時の問題点を解決することが提案されている。
【特許文献1】特開2000−77020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
TFTアレイ基板検査装置は、自動運転を前提とする生産ラインで使用される装置であることから、TFTアレイ基板の基板検査についても自動調整が求められる。したがって、TFTアレイ基板検査装置が備える電子ビーム発生装置についても自動調整が求められるが、前記したように、従来の電子ビーム発生装置ではビーム電流の調整を手動で行う必要があるため、TFTアレイ基板検査装置を生産ラインに対してオフライン状態とする必要があり、生産ラインを一次的に停止させなければならないという問題がある。
【0010】
また、前記した文献に示される、定常状態においてエミッション電流をフィードバックすることによってエミッション電流を一定に制御する技術を電子ビーム発生装置に適用することが考えられる。
【0011】
しかしながら、TFTアレイ基板検査装置では、TFTアレイ基板に照射する電子ビームのビーム電流が一定であることが求められるのに対して、従来提案される技術では、TFTアレイ基板に実際に照射される電子ビームのビーム電流ではなく、フィラメントから放出されるエミッション電流が一定となるように制御を行っているため、ビーム電流の安定性の点で問題がある。
【0012】
これは、TFTアレイ基板検査装置において、フィラメントからTFTアレイ基板に照射する電子ビームのビーム電流の電流量と、フィラメントから放出されるエミッション電流の電流量の比率はおおよそ1対1000程度であるためである。ビーム電流量に比較してエミッション電流の電流量は1000倍も多いため、エミッション電流量の変動に対してビーム電流量の変動は1/1000程度となる。そのため、ビーム電流の変動を、その1000倍の量を有するエミッション電流の変動に基づいて制御した場合には、ビーム電流の感応性は1/1000程度となってしまうため、十分な応答性でビーム電流を制御することは望めず、安定した制御が困難となるためである。
【0013】
そこで、本発明は上記課題を解決し、フィラメントから照射される電子ビームのビーム電流を自動で一定値に制御することを目的とし、また、生産ラインに組み込まれたTFTアレイ基板検査装置において、ビーム電流の一定値制御を、生産ラインを停止することなく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を解決するために、本発明は、熱電子放出によりフィラメントから電子ビームを放出する電子ビーム発生装置において、フィラメントを流れるフィラメント電流を制御するフィラメント電流制御手段を備え、電子ビームのビーム電流を検出し、その検出値をフィラメント電流制御手段にフィードバックすることによってビーム電流を一定値に制御する。
【0015】
フィラメント電流制御手段は、フィラメントからTFTアレイ基板に向けて照射されるビーム電流の検出値をフィードバックすることによって、電子ビームのビーム電流の一定値制御をより有効に行う。
【0016】
本発明の電子ビーム発生装置は、ビーム電流を検出する機構として、ビーム電流を検出する電流検出板を備える。この電流検出板はビーム電流を検出して、ビーム電流の電流量を検出し、フィラメント電流制御手段にフィードバックする。フィラメント電流制御手段は、フィードバックされたビーム電流の電流量と、予め設定しておいた基準電流との差を求め、この差の電流量からビーム電流を補正する補正値を算出し、この補正値によりフィラメント電流を増減する。これによって、ビーム電流を一定値に自動制御する。
【0017】
また、本発明の電子ビーム発生装置の他の態様では、電子ビームのビーム電流を検出してフィードバックする構成に加えて、電子ビーム放出によるエミッション電流、及びフィラメントに流れるフィラメント電流を検出し、これら各検出値をフィラメント電流制御手段にフィードバックし、エミッション電流やフィラメント電流の変動による電子ビームの変動を抑制する。
【0018】
本発明の電子ビーム発生装置はTFTアレイ基板検査装置に適用することができ、このTFTアレイ基板検査装置では、電子ビーム発生装置から電子ビームをTFTアレイ基板に照射し、この電子ビーム照射により発生する二次電子の強度を二次電子検出器で検出し、検出した二次電子強度によってTFTアレイ基板を検査する。
【0019】
本発明のTFTアレイ基板検査装置は、電子ビーム発生装置を、ビーム電流を検出する電流検出板と、電子ビームをTFTアレイ基板と電流検出板との間で偏向させる電子ビーム偏向手段と、フィラメントを流れるフィラメント電流を制御するフィラメント電流制御手段とを備えた構成とする。
【0020】
電子ビーム偏向手段は、フィラメントから放出された電子ビームを偏向して電流検出板に照射し、電流検出板は照射されたビーム電流を検出する。フィラメント電流制御手段は、電流検出板で検出した電流の検出値をビーム電流フィードバック値とし、ビーム電流を一定値に制御する。
【0021】
電子ビーム偏向手段によって、電子ビームを電流検出板に照射させるインターバルは、予めの設定した時間単位とする他、TFTアレイ基板のロット単位等任意に定めることができる。
【0022】
電流ビーム偏向手段及びフィラメント電流制御手段の動作を、予め設定したスケジュールに従って行うことによって、ビーム電流調整を自動化することができ、また、電子ビームのビーム電流量の検出は電子ビーム偏向手段によって、フィラメントからの電子ビームを単に偏向させて電流検出板に振るだけで行うことができ、また、その電子ビームの偏向時間もTFTアレイ基板の基板検査時間と比較して短時間で済むため、生産ラインの稼働状態としたままで停止させることなく行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の電子ビーム発生装置によれば、フィラメントから照射される電子ビームのビーム電流を自動で一定値に制御することができる。
【0024】
また、本発明のTFTアレイ基板検査装置によれば、ビーム電流を一定に保持することによって、ビーム電流の変動に伴う誤欠陥検出の発生を抑制することができる。
【0025】
また、生産ラインに組み込まれたTFTアレイ基板検査装置において、ビーム電流の一定値制御を、生産ラインを停止することなく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の電子ビーム発生装置1の概略構成を説明するためのブロック図である。
【0028】
電子ビーム発生装置1は、フィラメント電源回路2からフィラメント3にフィラメント電流を流し、フィラメント3を加熱することによって熱電子を放出させる。フィラメント3から放出された電子ビーム21は、対象物に照射される。TFTアレイ基板検査装置では、この対象物は検査対象のTFTアレイ基板10であり、TFTアレイ基板10の電子ビーム21を照射して得られる二次電子を検出することによって、TFTアレイ基板10の欠陥検査を行うことができる。
【0029】
フィラメント電源回路2は、フィラメント3にフィラメント電流を供給する電源回路であり、このフィラメント電流はフィラメント電流制御回路5によって一定値となるように制御される。
【0030】
本発明のフィラメント電流制御回路5は、フィラメント3から例えばTFTアレイ基板10に向けて照射される電子ビーム21のビーム電流をフィードバックすることによって、ビーム電流が一定となるように制御する。
【0031】
フィラメント電源回路2を流れる電流量は、フィラメント3から放出される全電子の総和に相当するエミッション電流の電流量であり、このエミッション電流には、TFTアレイ基板10に照射されるビーム電流が含まれている。ビーム電流の電流量とエミッション電流の電流量との比率は約1:1000であり、本発明のフィラメント電源回路2は、エミッション電流の電流量ではなく、ビーム電流の電流量をフィードバックすることで、ビーム電流の電流量を直接に制御する。
【0032】
ビーム電流の電流量をフィラメント電源回路2にフィードバックするために、本発明の電子ビーム発生装置1はフィラメント3から照射された電子ビームを検出するビーム電流モニタ4を備える。ビーム電流モニタ4は、通常は電子ビーム21をモニタしないが、所定時間単位あるいはTFTアレイ基板のロット単位等の所定のインターバルで電子ビーム21を取り込んでそのビーム電流の電流量を検出し、フィラメント電流制御回路5にフィードバックする。
【0033】
図2は本発明の電子ビーム発生装置1、及びこの電子ビーム発生装置を有したTFTアレイ基板検査装置20の概略構成を説明するためのブロック図である。
【0034】
TFTアレイ基板検査装置20は、TFTアレイ基板10に所定パターンの検査電圧を印加し、このTFTアレイ基板10に電子ビーム発生装置1のフィラメント3からの電子ビーム21aを照射して、TFTアレイ基板10から得られる二次電子22を二次電子検出器23で検出し、その検出信号を欠陥検査手段24で信号処理することによって、TFTアレイ基板10の欠陥検査を行う。
【0035】
したがって、TFTアレイ基板検査装置20は、検査中において電子ビーム21aはTFTアレイ基板10に照射されている。
【0036】
フィラメント3には、フィラメント電源回路2からフィラメント電流が供給される。フィラメント電源回路2は、電源2aとこの電源2aに接続されて電流調整回路2bを備え、この電流調整回路2bはフィラメント3に流す電流量を調整する。電流調整回路2bによるフィラメント電流の電流量調整は、フィラメント電流制御回路5によって行われる。
【0037】
フィラメント電流制御回路5は、フィラメント3から照射されるビーム電流を検出し、その電流量をフィードバックすることによって行う。図2に示す構成例は、フィラメント電流制御回路5に対して、ビーム電流の電流量をフィードバックする他、フィラメント3に流れるフィラメント電流、およびエミッション電流をフィードバックし、これらの電流量の変動に基づいて、フィラメント電流が一定値となるように制御する。
【0038】
ビーム電流の電流量のフィードバックは、ビーム電流モニタ4によって行うことができる。ビーム電流モニタ4は、フィラメント3から照射されるビーム電流を検出する電流検出板4a、電流検出板4aで検出してビーム電流を増幅する増幅器4b、増幅器4bで増幅したアナログのビーム電流をデジタル信号に変換するA/D変換器4c、検出したビーム電流の電流量を、予め設定しておいた基準電流値と比較してその差を求めて、この差に基づいてビーム電流の電流量を基準電流量に戻すための補正値を算出する演算手段4eと、演算手段4eで算出した補正値をアナログ信号に変換するD/A変換器4fを備える。
【0039】
フィラメント電流制御回路5は、このビーム電流モニタ4が算出して補正値をビーム電流のフィードバック値として入力し、フィラメント電源回路2の電流調整回路2bを制御する。
【0040】
なお、フィラメント3から電子ビーム21aを、TFTアレイ基板10に代えて電流検出板4aに照射する機構として、本発明の電子ビーム発生装置1は電子ビームを偏向する偏向手段6を用いることができる。偏向手段6は、フィラメント3から放出された電子ビーム21bを電流検出板4aに向けて偏向させる手段であり、例えば、TFTアレイ基板検査装置20の走査手段が備えるレンズ系6a及びレンズ制御手段6bを利用することができる。
【0041】
TFTアレイ基板検査装置20が備えるレンズ6aは、電子ビームをTFTアレイ基板10上で走査する走査レンズ系を兼用する他に、電子ビーム21bを電流検出板4aに向ける専用のレンズを設ける構成としてもよい。
【0042】
なお、フィラメント電流制御回路5にフィードバックするフィラメント電流の電流量は、フィラメント3に基準抵抗2cを接続することで得られる電圧値により求めることができる。また、フィードバックするエミッション電流の電流量は、電源2aの電流を抵抗2dによって得られる電圧値により求めることができる。
【0043】
図3は、本発明のフィラメント電源回路2及びフィラメント電流制御回路5の構成例を説明するための概略図である。
【0044】
フィラメント電源回路2は、電源2eにパワートランジスタ等の電流調整素子2bを接続してフィラメント3の一端に接続し、フィラメント3の他端を基準抵抗2cを介して接地して構成される。電流調整素子2bは、フィラメント電流制御回路5の制御信号によってフィラメント3に流す電流量を調整する。例えば、パワートランジスタの場合には、制御信号をゲートに印加することで電流量調整を行う。
【0045】
フィラメント電流制御回路5は、オペアンプ5dとコンデンサ5e等により形成される積分回路を備える。積分回路の入力端には、ビーム電流の補正分、エミッション電流のフィードバック分、及びフィラメント電流の相当する電圧が、それぞれ抵抗5a,5b,5cを介して入力され、これらの各電流変動を加えて積分した値を制御信号として電流調整素子2bに出力する。
【0046】
ここで、ビーム電流の補正分は、図2で示したビーム電流モニタ4で求めた値であって、ビーム電流の変動を基準値に戻して一定に保持するための補正値であり、エミッション電流のフィードバック分は、フィラメント電源回路の電源2aに流れる電流の基準値である。
【0047】
本発明の電子ビーム発生装置によれば、ビーム電流を一定時間毎に読み取って、その検出値と予め設定しておいた基準値との差分を求め、この差分によってビーム電流の電流量を補正して、設定した基準値となるようにすることで、ビーム電流を一定に制御することができる。
【0048】
この電子ビーム発生装置をTFTアレイ基板検査装置に用いた場合には、ビーム電流の読み取りは、TFTアレイ基板の基板検査に影響を与えない時点で行うことができるため、TFTアレイ基板検査装置を組み込んだ生産ラインを停止することなく、ビーム電流を常に一定に保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の電子ビーム発生装置は、TFTアレイ基板検査装置に限らず、電子ビームを用いた検査装置の他、電子ビームを用いた加工装置等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の電子ビーム発生装置1の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の電子ビーム発生装置、及びこの電子ビーム発生装置を有したTFTアレイ基板検査装置の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図3】本発明のフィラメント電源回路及びフィラメント電流制御回路の構成例を説明するための概略図である。
【図4】フィラメント点灯電源回路の概略を説明するためのブロック構成図である。
【符号の説明】
【0051】
1…電子ビーム発生装置、2…フィラメント電源回路、2a…電源、2b…電流調整回路、2c…基準抵抗、2d,2d…抵抗、2e…電源、3…フィラメント、4…ビーム電流モニタ、4a…電流検出板、4b…増幅器、4c…A/D変換器、4d…基準電流値、4e…演算手段、4f…D/A変換器、5…フィラメント電流制御回路、5a,5b,5c…抵抗、5d…オペアンプ、5e…コンデンサ、6…偏向手段、6a…レンズ、6b…レンズ制御手段、10…TFTアレイ基板、20…TFTアレイ基板検査装置、21a,21b…ビーム電流、22…二次電子、23…二次電子検出器、24…欠陥検査手段、101…フィラメント点灯電源回路、102…フィラメント点灯回路、103…フィラメント、104…フィラメント電流モニタ、105…エミッション電流モニタ、106…CPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電子放出によりフィラメントから電子ビームを放出する電子ビーム発生装置において、
前記フィラメントを流れるフィラメント電流を制御するフィラメント電流制御手段を備え、
前記電子ビームのビーム電流を検出し、その検出値を前記フィラメント電流制御手段にフィードバックして前記ビーム電流を一定値に制御することを特徴とする、電子ビーム発生装置。
【請求項2】
熱電子放出によりフィラメントから電子ビームを放出する電子ビーム発生装置において、
前記フィラメントを流れるフィラメント電流を制御するフィラメント電流制御手段を備え、
前記電子ビームのビーム電流、前記電子ビーム放出によるエミッション電流、及びフィラメントに流れるフィラメント電流を検出し、これら各検出値を前記フィラメント電流制御手段にフィードバックして、前記ビーム電流を一定値に自動制御することを特徴とする、電子ビーム発生装置。
【請求項3】
前記ビーム電流を検出する電流検出板を備え、
この電流検出板はビーム電流を検出して、ビーム電流の電流量を検出し、
前記フィラメント電流制御手段は、前記ビーム電流の電流量と基準電流との差からビーム電流を補正する補正値を算出し、この補正値によりフィラメント電流を増減することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子ビーム発生装置。
【請求項4】
電子ビーム発生装置から電子ビームをTFTアレイ基板に照射し、当該電子ビーム照射により発生する二次電子の強度を二次電子検出器で検出し、当該二次電子強度によってTFTアレイ基板を検査するTFTアレイ基板検査装置において、
前記電子ビーム発生装置は、
前記ビーム電流を検出する電流検出板と、
電子ビームをTFTアレイ基板と電流検出板との間で偏向させる電子ビーム偏向手段と、
フィラメントを流れるフィラメント電流を制御するフィラメント電流制御手段とを備え、
前記電流ビーム偏向手段は、フィラメントから放出された電子ビームを偏向して前記電流検出板に照射し、
前記電流検出板は照射されたビーム電流を検出し、
前記フィラメント電流制御手段は、前記電流検出板で検出した電流の検出値をビーム電流フィードバック値としてビーム電流を一定値に制御することを特徴とする、TFTアレイ基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−324124(P2006−324124A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146287(P2005−146287)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】