説明

電子ペーパー表示装置及びその製造方法

【課題】本発明は、電子ペーパー表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複数の回転ボール120と、該複数の回転ボール120を区画する隔壁構造体110と、該隔壁構造体110に設けられ、該複数の回転ボール120に電圧を印加する電極構造体130とを含み、該隔壁構造体110は、絶縁樹脂、硬化剤及び光感応性材料を含む光反応性隔壁材料から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパー表示装置及びその製造方法に関するもので、より詳しくは、色鮮明度及び対照比を向上させた電子ペーパー表示装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
次世代表示装置のうち、電子ペーパー表示装置は、他の表示装置に比べて大きい可用性(availability)及び柔軟性(flexibility)を有しており、低電力で駆動されるという特徴がある。そのため、該電子ペーパー表示装置は、書籍のような紙印刷媒体を代替可能で、その他の多様な種類のスクリーン、電子壁紙などの分野において適用されることができる。
【0003】
代表的な電子ペーパー表示装置として、異なる色相の半球から成る回転ボール(rotating ball)を用いるものがある。ツイストボール方式の電子ペーパー表示装置は、複数の回転ボールと、該回転ボールを区画する隔壁構造体と、該回転ボールを回転させる電極構造体と、該回転ボールに潤滑性を与えるための透明な絶縁性オイルとを含む。
【0004】
最近、電子ペーパー表示装置の鮮明度及び対照比の向上が要求される趨勢にあって、単位面積当り回転ボールの個数を増加させることが必要である。このためには、隔壁構造体に前記回転ボールが配置されるキャビティ間の間隔を減らすことが必要である。現在、該隔壁構造体を形成する方法としては、インプリント(imprint)法、サンドブラスト(sandblast)法、レーザー加工法などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5929960号明細書
【特許文献2】韓国特許第10−2006−0092015号公報
【特許文献3】韓国登録特許第10−0710996号公報
【特許文献4】韓国特許第10−2007−0038271号公報
【特許文献5】韓国特許第10−2008−0024348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このうち、インプリント方式は、基板上に樹脂膜(resin layer)を形成した後、スタンプ(stamp)を用いて該樹脂膜に回転ボールの配置のための区画空間を形成する。しかし、このインプリント法では、該区画空間の間隔を減らすのに限界がある。例えば、インプリント法で回転ボールを区画する側壁を薄く形成したいとする場合、スタンプの圧力またはその他工程要因により、該側壁が損傷されるという現象が生じる。そのため、スタンプ方式によって隔壁を形成する技術では、該側壁の厚さを減らすのに限界を有する。より詳しくは、現在のスタンプ方式の隔壁形成技術では側壁の厚さを20μm以下に減らすことが非常に難しい。また、サンドブラスト法やレーザー加工法は隔壁構造体の側壁厚さを減らすのに限界があり、特に、側壁を上下垂直な構造に形成するのは難しく、該側壁の厚さが厚くなる。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、その目的は、色鮮明度及び対照比を向上させた構造の電子ペーパー表示装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、単位面積当り回転ボールの個数を増加させた構造の電子ペーパー表示装置を提供することにある。
また、本発明のさらに他の目的は、色鮮明度及び対照比を向上させた電子ペーパー表示装置の製造方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明のさらに他の目的は、単位面積当り回転ボールの個数を増加させた電子ペーパー表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を解決するために、本発明による電子ペーパー表示装置は、回転ボールと、前記回転ボールを区画する隔壁構造体と、前記隔壁構造体に備えられ、前記回転ボールに電圧を印加する電極構造体とを含み、前記隔壁構造体は、絶縁樹脂、硬化剤及び光感応性材料を含む光反応性隔壁材料から成る。
【0011】
本発明の実施形態によれば、前記絶縁樹脂は、ナフタレン系列のエポキシ樹脂及びゴム変性型エポキシ樹脂のうちの少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0012】
本発明の実施形態によれば、前記硬化剤は、フェノールノボラック(phenol novolac)及びビスフェノールノボラック(bisphenol novolac)のうちの少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0013】
本発明の実施形態によれば、前記光感応性材料は、光感応性モノマー及び光開始剤を含み、前記光感応性モノマーは、アクリレート樹脂を含むことができる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、前記光反応性隔壁材料は、無機充填剤をさらに含み、前記無機充填剤は、グラファイト(graphite)、カーボンブラック(carbon black)、シリカ(silica)及びクレイ(clay)のうちの少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0015】
本発明の実施形態によれば、前記隔壁構造体は、前記回転ボールの各々を区画する側壁を備え、前記側壁は、円柱状のキャビティを画定することができる。
【0016】
本発明の実施形態によれば、前記隔壁構造体は、前記回転ボールの各々を区画する側壁を備え、前記側壁は、上部直径と下部直径とが同じであるキャビティを画定することができる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、前記隔壁構造体は、前記回転ボールの各々を区画する側壁を備え、前記側壁は、上下に垂直な側面を有することができる。
【0018】
本発明の実施形態によれば、前記隔壁構造体は、前記回転ボールの各々を区画する側壁を備え、前記側壁の厚さは、20μm以下であることができる。
【0019】
本発明の実施形態によれば、前記隔壁構造体は、フォトリソグラフィ工程によって形成されることができる。
【0020】
上記目的を解決するために、本発明による電子ペーパー表示装置の製造方法は、絶縁樹脂、硬化剤及び光感応性材料を含む光反応性隔壁材料を準備するステップと、ベース基板上に円筒状のキャビティを画定する隔壁構造体を形成するステップと、前記キャビティに回転ボールを位置付けるステップと、前記隔壁構造体に前記回転ボールに電圧を印加する電極構造体を形成するステップとを含むことができる。
【0021】
本発明の実施形態によれば、前記絶縁樹脂として、ナフタレン系列のエポキシ樹脂及びゴム変性型エポキシ樹脂のうちの少なくともいずれか一つが用いられることができる。
【0022】
本発明の実施形態によれば、前記硬化剤としては、フェノールノボラック(phenol novolac)及びビスフェノールノボラック(bisphenol novolac)のうちの少なくともいずれか一つが用いられることができる。
【0023】
本発明の実施形態によれば、前記光感応性材料は、光感応性モノマー及び光開始剤を含み、前記光感応性モノマーとしてはアクリレート樹脂が用いられることができる。
【0024】
本発明の実施形態によれば、前記隔壁構造体を形成するステップは、前記光反応性隔壁材料を硬化させるステップをさらに含むことができる。
【0025】
本発明の実施形態によれば、前記隔壁構造体を形成するステップは、前記光反応性隔壁材料を前記ベース基板上に均一な厚さに形成するステップと、前記光反応性隔壁材料にフォトリソグラフィ工程を行うステップとを備えることができる。
【0026】
本発明の実施形態によれば、前記フォトリソグラフィ工程を行うステップは、前記光反応性隔壁材料上に、前記光反応性隔壁材料の前記キャビティを形成しようとする領域を遮光させるマスクを位置付けるステップと、前記マスクを介して、前記光反応性隔壁材料に光を照射するステップと、前記光反応性隔壁材料の前記光の非受光領域を除去する現像工程を行うステップとを含むことができる。
【0027】
本発明の実施形態によれば、前記現像工程を行うステップは、前記光反応性隔壁材料に前記炭酸ナトリウム(NaCO)を含む現像液を供給するステップと、前記光反応性隔壁材料の前記絶縁樹脂を溶かす有機溶媒(ソルベント)を供給するステップとを備えることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明による電子ペーパー表示装置は、回転ボールを区画する側壁を有する隔壁構造体を備え、該隔壁構造体は、光反応性隔壁材料からなり、フォトリソグラフィ工程によって形成されることができる。この場合、前記隔壁構造体の側壁は、縦横比の高いキャビティを画定し、薄い厚さを有するので、単位面積当り該回転ボールの個数を増加させることができる。これにより、本発明による電子ペーパー表示装置は、単位面積当り該回転ボールの個数を増加させた構造を有することによって、色鮮明度及び対照比を向上させることができる。
【0029】
本発明による電子ペーパー表示装置の製造方法は、光反応性隔壁材料を準備し、該光反応性隔壁材料にフォトリソグラフィ工程を行って、回転ボールを区画する隔壁構造体を形成することができる。この場合、該回転ボールを区画する隔壁構造体の側壁は、高い縦横比及び薄い厚さを有するように製造されることができる。これにより、本発明による電子ペーパー表示装置の製造方法は、単位面積当り回転ボールの個数を増加させた構造を有し、色鮮明度及び対照比を向上した電子ペーパー表示装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置を示す図面である。
【図2】本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の製造過程を説明するための図面である。
【図4】本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の製造過程を説明するための図面である。
【図5】同じく、電子ペーパー表示装置の製造過程を説明するための図面である。
【図6】同じく、電子ペーパー表示装置の製造過程を説明するための図面である。
【図7】同じく、電子ペーパー表示装置の製造過程を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施の形態は図面を参考にして詳細に説明する。次に示される各実施の形態は当業者にとって本発明の思想が十分に伝達されることができるようにするために例として挙げられるものである。従って、本発明は以下示している各実施の形態に限定されることなく他の形態で具体化されることができる。そして、図面において、装置の大きさ及び厚さなどは便宜上誇張して表現されることができる。明細書全体に渡って同一の参照符号は同一の構成要素を示している。
【0032】
本明細書で使われた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文句で特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる「含む」とは、言及された構成要素、ステップと、動作及び/又は素子は、一つ以上の他の構成要素、ステップと、動作及び/又は素子の存在または追加を排除しないことに理解されたい。
【0033】
図1は、本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置を示す図面である。
【0034】
図1を参照して、本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置100は、隔壁構造体110と、複数の回転ボール120と、電極構造体130とを含むことができる。
【0035】
前記隔壁構造体110は、前記回転ボール120を支持、区画することができる。前記隔壁構造体110は、ベース基板112及び前記ベース基板112上に配置された区画隔壁114を含むことができる。前記ベース基板112は前記区画隔壁114を形成、支持ための支持板であってもよい。一例として、前記ベース基板112は、ポリエチレンテレフタルレート(Polyethylene Terephthalate:PET)、ポリカーボネート(Polycarbonate:PC)、ポリエーテルサルフォン(Polyether sulphone:PES)及びポリイミド(Polyimide:PI)のうちの少なくともいずれか一つから成るプレートであってもよい。他の例として、前記ベース基板112は銅のような金属材料から成る金属プレートであってもよい。前記ベース基板112が金属プレートの場合、前記ベース基板112は前記回転ボール120を駆動させるための下部電極として用いられることができる。
【0036】
前記区画隔壁114は、前記回転ボール120の各々を前記基板112上で区画させることができる。このために、前記区画隔壁114は前記回転ボール120が位置するキャビティ116を画定する溝(groove)を有することができる。前記キャビティ116には前記回転ボール120の容易な回転及び前記回転ボール120の潤滑性を与えるための絶縁性の透明オイル118が満たされることができる。
【0037】
前記回転ボール120は概ね球形状を有してもよい。前記回転ボール120の各々は、異なる電荷に帯電(electrification)された第1及び第2の半球122、124から成ることができる。また、前記第1及び第2の半球122、124は異なる色相を有することができる。一例として、前記電子ペーパー表示装置100が白黒表示装置の場合、前記第1の半球122は白色半球であり、前記第2の半球124は黒色半球であってもよい。他の例として、前記電子ペーパー表示装置がカラー表示装置の場合、前記第1の半球122は藍色半球、黄色半球、赤色半球及び緑色半球のうちのいずれか一つであり、前記第2の半球124は黒色半球または白色半球であってもよい。前記回転ボール120の各々の前記第1及び第2の半球122、124の色相は、多様に変更及び組合わせが可能である。
【0038】
前記電極構造体130は、前記回転ボール120を回転させることができる。例えば、前記電極構造体130は前記隔壁構造体110の下部に配置される下部電極132と前記隔壁構造体110の上部に配置される上部電極134とを含むことができる。前記下部及び上部電極132、134は選択的に前記回転ボール120に電圧を加えて、前記第1及び第2の半球122、124のうち表現しようとする色を有する半球が外部(図1では上部)に向かうように、前記回転ボール120を回転させることができる。
【0039】
一方、前記区画隔壁114は単位面積当りの前記回転ボール120の数が増加するように構成されることができる。一例として、前記区画隔壁114は上下に垂直な構造の側壁114aを有することができる。前記側壁114aは前記キャビティ116の形状を画定する側面を有することができる。前記側面は、前記キャビティ116を取り囲む構造を有し、そのため、前記キャビティ116は円柱状を有することができる。前記側壁114aが上下垂直な側面を有する場合、側壁が前記ベース基板112に向かう方向(図1では下方向)へ行くほどその厚さが厚くなる構造に比べて、前記ベース基板112の単位面積当りの前記回転ボール120の数を増加させることができる。
【0040】
また、前記側壁114aの厚さTは最小化されることができる。例えば、前記側壁114aの厚さTが薄くなるほど、前記ベース基板112の単位面積当り占める前記側壁114aの占有面積を減少させて、前記キャビティ116の間隔を減らすことができる。これにより、前記側壁114aの厚さを最小化する場合、相対的に単位面積当り前記回転ボール120の数を増加させることができる。そのため、前記側壁114aの厚さTは最小化されるように調節されることが望ましい。一例として、前記側壁114aの厚さは、20μm以下に調節されることができる。
【0041】
ここで、前記隔壁構造体110は、フォトリソグラフィ工程(Photolithography process)によって形成された構成であってもよい。そのため、前記隔壁構造体110は光反応性隔壁材料で形成されることができる。例えば、前記隔壁構造体110は絶縁樹脂、硬化剤及び光感応性材料を含むことができる。前記絶縁樹脂は、エポキシ樹脂系列の材料を含むことができる。一例として、前記絶縁樹脂は、ナフタレン系列のエポキシ樹脂及びゴム変性型エポキシ樹脂のうちの少なくともいずれか一つを含むことができる。前記硬化剤は、フェノールノボラック(phenol novolac)及びビスフェノールノボラック(bisphenol novolac)のうちの少なくともいずれか一つを含むことができる。前記光感応性材料は、前記光感応性モノマー及び前記光開始剤を含むことができる。前記光感応性モノマーは、化学的構造内の二重結合とカルボン酸(caryboxylic acid:COOH)を有する材料であってもよい。一例として、前記光感応性モノマーとしてはアクリレート樹脂(acrylate resin)が挙げられる。
【0042】
また、前記光反応性隔壁材料は、硬化促進剤及び無機充填剤をさらに含むことができる。前記硬化促進剤としてはイミダゾル系列の化合物が挙げられる。前記無機充填剤としてはグラファイト(graphite)、カーボンブラック(carbon black)、シリカ(silica)及びクレイ(clay)のうちの少なくともいずれか一つが挙げられる。
【0043】
前述のように、本発明による電子ペーパー表示装置100は、前記回転ボール120を区画する側壁114aを有する隔壁構造体110を備え、該隔壁構造体110は光反応性隔壁材料から成り、フォトリソグラフィ工程によって形成されることができる。この場合、前記隔壁構造体の側壁は、高い縦横比のキャビティを画定し、薄い厚さを有して該回転ボールに位置するキャビティ間の間隔を減らすことができる。これにより、本発明による電子ペーパー表示装置は、単位面積当り回転ボールの個数を増加させた構造を有することによって、色鮮明度及び対照比を向上させることができる。
【0044】
続いて、前述の本発明による電子ペーパー表示装置の製造方法に対して詳細に説明する。電子ペーパー表示装置100に対して重複する内容は、省略したり簡略化することにする。
【0045】
図2は、本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の製造方法を示すフローチャートである。図3〜図7は、本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の製造過程を説明するための図面である。
【0046】
図2及び図3を参照して、ベース基板112上に光反応性隔壁材料113を形成することができる(S110)。例えば、前記ベース基板112を準備することができる。該ベース基板112を準備するステップは、ポリエチレンテレブタルレート(Polyethylene Terephthalate:PET)、ポリカーボネート(Polycarbonate:PC)、ポリエーテルスルホン(Polyethersulphone:PES)及びポリイミド(Polyimide:PI)のうちの少なくともいずれか一つから成るプレートを準備するステップを備えることができる。または前記ベース基板112を準備するステップは、銅(Cu)のような金属材料から成るプレートを準備するステップを備えることができる。
【0047】
前記光反応性隔壁材料113を前記ベース基板112上に形成することができる。例えば、前記光反応性隔壁材料113を準備することができる。該光反応性隔壁材料113を準備するステップは、絶縁樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填剤及び光感応性材料を混合して、混合液を製造するステップを含むことができる。前記絶縁樹脂としては、ナフタレン系列のエポキシ樹脂及びゴム変性型エポキシ樹脂のうちの少なくともいずれか一つが挙げられる。前記硬化剤としては、フェノールノボラック(phenolnovolac)及びピスフェノールノボラック(bisphenolnovolac)のうちの少なくともいずれか一つが挙げられる。前記光感応性材料は、前記光感応性モノマー及び前記光開始剤を含むことができ、前記光感応性モノマーとしては、アクリレート樹脂(acrylateresin)が挙げられる。前記硬化促進剤としては、イミダゾル系列の化合物が挙げられる。前記無機充填剤としては、グラファイト(graphite)、カーボンブラック(carbonblack)、シリカ(silica)及びクレイ(clay)のうちの少なくともいずれか一つが用いられることができる。
【0048】
そして、前述のような組成から成る光反応性隔壁材料113を前記ベース基板112上に均一な厚さに形成することができる。例えば、前記光反応性隔壁材料113をフィルムキャスティング(film casting)工程によって前記ベース基板112上にブイルム形態に形成することができる。前記ベース基板112上に形成された前記光反応性隔壁材料113の厚さは、略50μm〜120μmに調節されることができる。そして、前記フィルム形態に形成された前記光反応性隔壁材料113に所定の温度及び圧力条件にてラミネーティングした後、乾燥処理することができる。前記光反応性隔壁材料113に加えられる圧力の大きさは略6.86N〜73.5N(0.7Kgf〜7.5Kgf)で、温度は略60℃〜100℃に調節されることができる。
【0049】
図2及び図4を参照して、光反応性隔壁材料113に対して露光工程を行うことができる(S120)。該露光工程を行うステップは、前記光反応性隔壁材料113上にキャビティ(図5の116)を形成しようとする領域を選択的に遮光させるマスク10を準備するステップと、前記マスク10を介して前記光反応性隔壁材料113に光20を照射するステップとを備えることができる。
【0050】
一方、前記露光工程の後に、前記光反応性隔壁材料113を硬化させる第1の熱処理工程をさらに行うことができる。該第1の熱処理工程は、前記光反応性隔壁材料113に対してプリキュア(pre−cure)工程を行って、前記光反応性隔壁材料113を一部熱硬化させることができる。
【0051】
図2及び図5を参照して、光反応性隔壁材料113に対して現像工程を行うことができる(S130)。例えば、該現像工程を行うステップは、先に図4を参照して説明した露光工程が完了された前記光反応性隔壁材料113に現像液及び有機ソルベントを順に供給するステップを含むことができる。該有機ソルベントに前記光反応性隔壁材料113を現像するステップは、前記光反応性隔壁材料113に超音波を加えるステップが付加されることができる。前記現像液としては、炭酸ナトリウム(NaCO)を含む現像液が挙げられる。前記有機ソルベントとしては、前記光反応性隔壁材料113内の絶縁樹脂を溶かすことができるものが用いられることができる。一例として、前記有機ソルベントとしては、2-メトキシエタノール(2−methoxyethanol)が挙げられる。
【0052】
前記現像工程の後に、前記光反応性隔壁材料113を硬化させる第2の熱処理工程をさらに行うことができる。該第2の熱処理工程では、略150℃以上の温度条件にて前記光反応性隔壁材料113を硬化させることができる。
【0053】
前述のような現像工程によって、前記光反応性隔壁材料113の非受光領域が除去されることができる。これにより、前記ベース基板112及び前記ベース基板112上にキャビティ116を有する区画隔壁114を備える隔壁構造体110が製造されることができる。該区画隔壁114は前記キャビティ116を画定する側壁114aを有することができる。該側壁114aは、前述のようにフォトリソグラフィ工程によって形成されたことで、縦横比(aspect ratio)の高い構造を有することができる。これにより、前記側壁114aの側面は、上下に垂直で、その横断面は円形状を有することができる。また、前記側壁114aの厚さTは20μm以内に調節されることができる。前述のような構造の側壁114aにより、前記キャビティ116の各々は、円柱状を有することができる。すなわち、前記キャビティ116の各々の上部開口直径と下部開口直径とは、互いに同一であってもよい。
【0054】
図2及び図6を参照して、回転ボール120を隔壁構造体110に配置させることができる(S140)。例えば、前記回転ボール120を前記隔壁構造体110のキャビティ116に各々自己整列(selfaligned)させて、ベース基板112の同一平面上に配置させることができる。ここで、前記隔壁構造体110の側壁114aの厚さTは相対的に薄いので、前記ベース基板112の単位面積当り配置される前記回転ボール120の数は、増加することができる。
【0055】
図2及び図7を参照して、隔壁構造体110に電極構造体130を形成することができる(S150)。該電極構造体130を形成するステップは、前記隔壁構造体110の下部に下部電極132を配置するステップと、前記隔壁構造体110の上部に上部電極134を配置するステップとを備えることができる。
【0056】
また、前記キャビティ116に透明オイル118を注入するステップがさらに付加されることができる。前記透明オイル118は前記隔壁構造体110と前記上部電極134との間に設けられる注入口(図示せず)を介して前記キャビティ116に注入されることができる。
【0057】
前述のように、本発明による電子ペーパー表示装置の製造方法は、光反応性隔壁材料を準備し、該光反応性隔壁材料にフォトリソグラフィ工程を行って、回転ボールを区画する隔壁構造体を形成することができる。この場合、前記回転ボールを区画する前記隔壁構造体の側壁は、高い縦横比を有し、薄い厚さを有するように製造されることができる。これにより、本発明による電子ペーパー表示装置の製造方法は、単位面積当り前記回転ボールの個数を増加させた構造を有し、色鮮明度及び対照比を向上した電子ペーパー表示装置を製造することができる。
【0058】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
100 電子ペーパー表示装置
110 隔壁構造体
112 ベース基板
114 区画隔壁
114a 側壁
116 キャビティ
118 透明オイル
120 回転ボール
122 第1の半球
124 第2の半球
130 電極構造体
132 下部電極
134 上部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転ボールと、
前記複数の回転ボールを区画する隔壁構造体と、
前記隔壁構造体に設けられ、前記複数の回転ボールに電圧を印加する電極構造体と、を含み、
前記隔壁構造体は、絶縁樹脂、硬化剤及び光感応性材料を含む光反応性隔壁材料から成る電子ペーパー表示装置。
【請求項2】
前記絶縁樹脂は、ナフタレン系列のエポキシ樹脂及びゴム変性型エポキシ樹脂のうちの少なくともいずれか一つを含む請求項1に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項3】
前記硬化剤は、フェノールノボラック(phenol novolac)及びビスフェノールノボラック(bisphenol novolac)のうちの少なくともいずれか一つを含む請求項1または2に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項4】
前記光感応性材料は、光感応性モノマー及び光開始剤を含み、
前記光感応性モノマーは、アクリレート樹脂を含む請求項1から3のいずれか1つに記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項5】
前記光反応性隔壁材料は、無機充填剤をさらに含み、
前記無機充填剤は、グラファイト(graphite)、カーボンブラック(carbon black)、シリカ(silica)及びクレイ(clay)のうちの少なくともいずれか一つを含む請求項1から4のいずれか1つに記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項6】
前記隔壁構造体は、前記回転ボールの各々を区画する側壁を備え、
前記側壁は、円柱状のキャビティを画定する請求項1から5のいずれか1つに記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項7】
前記隔壁構造体は、前記回転ボールの各々を区画する側壁を備え、
前記側壁は、上部直径と下部直径とが同じであるキャビティを画定する請求項1から6のいずれか1つに記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項8】
前記隔壁構造体は、前記回転ボールの各々を区画する側壁を備え、
前記側壁は、上下に垂直な側面を有する請求項1から7のいずれか1つに記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項9】
前記隔壁構造体は、前記回転ボールの各々を区画する側壁を備え、
前記側壁の厚さは、20μm以下である請求項1から8のいずれか1つに記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項10】
前記隔壁構造体は、フォトリソグラフィ工程によって形成される請求項1から9のいずれか1つに記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項11】
絶縁樹脂、硬化剤及び光感応性材料を含む光反応性隔壁材料を準備するステップと、
ベース基板上に、円筒状のキャビティを画定する隔壁構造体を形成するステップと、
前記キャビティに回転ボールを位置付けるステップと、
前記隔壁構造体の前記回転ボールに電圧を印加する電極構造体を形成するステップと、 を含む電子ペーパー表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記絶縁樹脂としては、ナフタレン系列のエポキシ樹脂及びゴム変性型エポキシ樹脂のうちの少なくともいずれか一つが用いられる請求項11に記載の電子ペーパー表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記硬化剤としては、フェノールノボラック(phenol novolac)及びビスフェノールノボラック(bisphenol novolac)のうちの少なくともいずれか一つが用いられる請求項11または12に記載の電子ペーパー表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記光感応性材料は、光感応性モノマー及び光開始剤を含み、
前記光感応性モノマーとしては、アクリレート樹脂が用いられる請求項11から13のいずれか1つに記載の電子紙表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記隔壁構造体を形成するステップは、前記光反応性隔壁材料を硬化させるステップをさらに備える請求項11から14のいずれか1つに記載の電子ペーパー表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記隔壁構造体を形成するステップは、前記光反応性隔壁材料を前記ベース基板上に均一な厚さに形成するステップと、
前記光反応性隔壁材料にフォトリソグラフィ工程を行うステップと、
を備える請求項11から15のいずれか1つに記載の電子ペーパー表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記フォトリソグラフィ工程を行うステップは、
前記光反応性隔壁材料上に、前記光反応性隔壁材料の前記キャビティを形成しようとする領域を遮光するマスクを位置付けるステップと、
前記マスクを介して、前記光反応性隔壁材料に光を照射するステップと、
前記光反応性隔壁材料の前記光の非受光領域を除去する現像工程を行うステップと、
を備える請求項16に記載の電子ペーパー表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記現像工程を行うステップは、
前記光反応性隔壁材料に前記炭酸ナトリウム(NaCO)を含む現像液を供給するステップと、
前記光反応性隔壁材料の前記絶縁樹脂を溶かす有機溶媒を供給するステップと、
を備える請求項17に記載の電子ペーパー表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−257724(P2011−257724A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220701(P2010−220701)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】