説明

電子ペーパー

【課題】独立した入力部から入力された追記を表示面の空白部分に重畳して表示する電子ペーパーの実現。
【解決手段】メモリ性を有し、駆動信号を印加して表示画像を書き換えるが、電力供給無しに表示画像を維持する表示部10と、表示部とは独立した入力部20と、表示データ処理回路30と、を備え、表示データ処理回路は、表示データを出力データの形式に展開する表示データ展開部35と、表示データの表示画像から所定の大きさ以上の連続した空白部を検出する空白検出部36と、入力装置から入力される追加画像を検出した空白部に配置するメモ画像展開部38と、を備え、空白部に追加画像を重畳した画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ペーパーは、紙印刷物と同様に、電力非印加状態においても表示を維持できる反射型メモリ表示デバイスである。書き換え時のみ電力を使用し、表示時に電力を使用しないことから、紙面に相応するコンテンツ(ドキュメント、新聞、書籍のコンテンツ)表示用途において、省エネルギーデバイスとして実用化され、今後の用途拡大が有望視されている。電子ペーパーは、その特性から、入力時にリアルタイム応答で表示する必要のある即時性の入力方法、例えば、キーボードでのアイコン移動やタッチスクリーンを使用したペン入力などの入力方法を使用することはできない。
【0003】
しかしながら、電子ペーパーを使用した電子端末を利用する際に、アイコン移動やペン入力による入力は不要であるが、ページ単位で表示している画像に、電子端末に接続された別の入力装置からメモ書き等の追記(付記)を行いたいという要望が多くなされている。
【0004】
電子ペーパー上の表示画像に追記を行うには、表示画像において付記可能な余白を選択する必要がある。このため、追記用の入力装置として、追記位置を検出するタッチスクリーンを利用するのが一般的であった。
【0005】
タッチスクリーンを利用して追記を行う場合、例えば、まず、コンテンツを記憶したデータベースなどから表示画像の表示データを取得する。取得した表示データをフレームメモリに展開し、表示データに対応する画像を表示するように表示デバイス(電子ペーパー)の表示を書き換える。ユーザは、表示された画像を見ながら、タッチパネル等で追記を行う。追記画像(追加画像)データを取得し、追加画像の画素位置を検出し、表示画像に追加画像を重畳するように、フレームメモリに追加画像データを書き込み、表示デバイス(電子ペーパー)の表示を書き換える。以上のようにして、表示画像に追加画像が重畳された画像が、表示デバイスに表示される。追加画像データは、以下、追加画像と称する場合がある。
【0006】
しかしながら、タッチスクリーンを使用した場合、反射型表示デバイスである電子ペーパーでは、画面が暗くなるという表示品質の問題が発生するため、表示デバイスの表示面を覆わない独立した追加画像用の入力装置を使用することが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−276317号公報
【特許文献2】特開2005−92643号公報
【特許文献3】特開2008−268566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、表示デバイスから独立した入力装置は、入力画面が表示デバイスの表示面と直接対応しておらず、追記を行う表示デバイスの表示面上の位置を指定するのが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の観点によれば、表示部と、前記表示部とは独立した入力部と、前記表示データを処理する表示データ処理回路と、を備え、前記表示データ処理回路は、前記表示データを、前記表示部に供給する出力データの形式に展開する表示データ展開部と、前記表示データの表示画像から、所定の大きさ以上の連続した空白部を検出する空白検出部と、前記入力装置から入力される追加画像を前記空白部に配置する追加画像展開部と、を備え、前記表示部の表示を、前記表示データの表示画像に前記追加画像を重畳した画像が表示されるように書き換える電子ペーパーが提供される。
【発明の効果】
【0010】
上記の観点によれば、反射型表示デバイスである電子ペーパーで、表示品質を低下させることなく、追記を行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1の電子ペーパーの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、コレステリック液晶方式の表示デバイスの概略構成を示す図である。
【図3】図3は、実施例1の電子ペーパーの追記の動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、図3のフローチャートにおける空白部検出および空白矩形抽出の詳細な処理を示すフローチャートである。
【図5】図5は、実施例1で検出される空白矩形領域の例を示す図である。
【図6】図6は、実施例2の電子ペーパーの構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、実施例2における空白部検出および空白矩形抽出の詳細な処理を示すフローチャートである。
【図8】図8は、実施例3の電子ペーパーにおける追記の動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施例4の電子ペーパーにおける追記の動作を示すフローチャートである。
【図10】図10は、実施例5の電子ペーパーにおける追記の動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は、実施例5における空白矩形領域およびIDの表示例を示す図である。
【図12】図12は、実施例5において、入力装置で空白矩形領域IDを入力するための表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1について、図1から図5を参照して説明する。
【0014】
図1は、実施例1の電子ペーパーの構成を示すブロック図である。実施例1の電子ペーパーは、例えば電子端末などに組み込まれる。
【0015】
実施例1の電子ペーパーは、表示デバイス10と、駆動回路11と、駆動制御回路12と、入力デバイス20と、表示データ処理回路30と、を有する。表示デバイス10は、表示パネル11と、駆動回路12と、駆動制御回路13と、を有し、表示画像を書き換える時には電力を消費するが、表示した画像は電圧を印加せずに維持可能である。表示デバイス10としては、例えば帯電粒子を空気中や液体中で移動させる電気泳動方式、二色に色分けした帯電粒子を回転させるツイストボール方式、液晶層の干渉反射を利用した双安定性のある選択反射型のコレステリック液晶方式などの反射型表示デバイスが利用可能である。ここでは、コレステリック液晶方式の表示デバイスを使用するものとして説明を行う。
【0016】
電子ペーパーに表示する表示画像の表示データは、ディスク装置13などに記憶されたコンテンツデータベース(DB)から供給される。ディスク装置13は、電子端末(電子ペーパー)に内蔵されても、必要に応じて電子端末に接続して使用することも可能である。また、ディスク装置13を使用せずに、表示画像の表示データは、電子端末に設けた通信機能を介して供給することも可能である。
【0017】
駆動回路12および駆動制御回路13は、表示パネル11に表示する画像を書き換える時のみオン状態になり、それ以外の時にはオフ状態となる。駆動回路12および駆動制御回路13がオフ状態でも、表示パネル11に表示した画像は維持される。
【0018】
図2は、コレステリック液晶方式の表示デバイスの概略構成を示す図である。表示パネル11は、並行に設けられた複数のデータ電極を有する一方の基板と、並行に設けられた複数のコモン電極を有する他方の基板を、所定の間隔で対向して配置し、その間にコレステリック液晶が充填される。複数のデータ電極と複数のコモン電極は、表示パネルに垂直な方向から見た時に、直交するように配置され、複数のデータ電極と複数のコモン電極の交差部分に表示画素が形成される。駆動回路12は、セグメントドライバ14と、コモンドライバ15と、を有する。セグメントドライバ14は複数のデータ電極に駆動信号を、コモンドライバ15は複数のコモン電極に駆動信号を、それぞれ印加する。コモンドライバ15は、1本のコモン電極に選択電圧を印加し、他のコモン電極に非選択電圧を印加する。セグメントドライバ14は、選択電圧を印加するコモン電極の各画素の画素値に応じた表示電圧を、複数のデータ電極に印加する。これにより、選択したコモン電極の1行(選択行)分の画素に書き込みが行われる。非選択電圧は、表示電圧が印加されてもモード変化が生じない電圧に設定される。上記の動作を、選択電圧を印加するコモン電極の位置をずらしながら全コモン電極に対して行うことにより、1画面の書き換えが完了する。
【0019】
TN(Twisted Nematic)液晶およびSTN(Super Twisted Nematic)液晶など、TV受像機やPCモニタに使用される液晶は、印加する電圧で液晶のねじれを制御し、偏光フィルタを通過する光の量を制御していた。電圧は、表示中常時印加する必要があり、常時電力供給が行われる。
【0020】
これに対して、コレステリック液晶は、液晶分子の配列をらせん状に構成し、所定の電圧を印加することにより、らせん構造の向きを制御する。この制御により、光を透過するモードと光を反射するモードの2つのモードを実現する。一般的には、最初に全画素を、光を反射するモードにした上で、光を透過するモードにする画素を選択的に書き換える。また、光を透過するモードにするために印加する電圧の強度で、光を透過するモードになる具合が異なるので、複数回書き込み動作を繰り返して階調を表現する。いずれにしても、コレステリック液晶は、書き換え時に電力を印加しなくてもモードが維持されるため、モード切り換え時以外は電力消費が生じない。
【0021】
電子ペーパーは、書き換え時に電力を消費し、電力消費無しに表示を維持できることが特徴であり、逆にこの特徴を有する表示デバイスをここでは電子ペーパーと称する。したがって、電子ペーパーの消費電力を低減するには、書き換えの回数をできるだけ低減することが望ましい。
【0022】
入力デバイス20は、ペン21で画面に接触した時の接触位置および接触軌跡で追加画像を入力する手書き入力装置である。入力デバイス20は、ユーザが必要に応じてオン・オフ制御され、入力の必要のない時には電力を供給する必要のないものであることが望ましい。ユーザは、入力デバイス20を利用して手書きの追加画像を入力する。
【0023】
表示デバイス10および入力デバイス20は、実用化されて使用されており、その構成は広く知られているので、ここでは説明を省略する。
【0024】
図1に戻って、表示データ処理回路30は、出力インターフェース(IF)31と、入力IF32と、表示用フレームメモリ33と、追加画像用メモリ34と、表示データ展開部35と、空白検出部36と、追加画像サイズ検出部37と、追加画像展開部38と、を有する。表示データ処理回路30は、例えば、プロセッサとメモリを有するコンピュータシステムや、ゲート回路とメモリを有する演算回路などで実現される。
【0025】
表示データ展開部35は、ディスク装置13に記憶されたコンテンツから、ユーザにより指示されたコンテンツ(表示画像)の表示データを読み出し、表示デバイス10に供給するデータ形式に対応して表示用フレームメモリ33に展開する。表示用フレームメモリ33に展開された表示データは、駆動制御回路13からの制御信号に応じて、出力IF31を介して読み出されて駆動回路12に供給される。駆動回路12は、供給される表示データに応じて駆動信号を生成し、表示パネル11に印加する。これにより、表示データに対応した画像が表示パネル11に表示される。
【0026】
空白検出部36は、表示用フレームメモリ33に展開された表示データによる表示画像において、所定の大きさ以上の連続した空白部を検出する。空白検出部36における空白部の検出については後述する。
【0027】
入力IF32は、入力装置20から入力された追加画像のデータ信号が入力され、入力された追加画像のデータ信号は、追加画像用メモリ34に記憶される。追加画像サイズ検出部37は、入力された追加画像のサイズ(大きさ)を検出する。入力装置20は、例えば手書き入力装置であり、入力される追加画像は大きさが一定でない。追加画像サイズ検出部37は、入力された追加画像の入力装置20の入力画面における座標(アドレス)から、追加画像のサイズを検出する。
【0028】
追加画像展開部38は、空白検出部36の検出した表示画像における空白部に対応する表示フレームメモリ33のアドレスに、追加画像のデータを重畳して書き込む。
【0029】
図3は、実施例1の電子ペーパーの追記の動作を示すフローチャートである。
【0030】
S11では、表示データ展開部35が、コンテンツデータベースDBから、表示画像の表示データを取得する。
【0031】
S12では、表示データ展開部35が、表示データを表示用フレームメモリ33に展開する。
【0032】
S13では、表示用フレームメモリ33に展開された表示データは、図示していない読み出し回路で読み出され、出力IF31を介して表示デバイス10に供給され、表示画面が書き換えられる。表示画面の書き換えが完了すると、表示デバイス10は電力を消費しない状態になる。
【0033】
S14では、空白検出部36が、表示用フレームメモリ33にアクセスして、表示デバイス10に表示されている画像において、所定の大きさ以上の連続した空白部を検出する。ここで、空白検出部36は、所定の画素値以下の画素を空白の画素とみなし、空白の画素が連続した所定の大きさ以上の領域を検出する。
【0034】
S15では、空白検出部36が、さらに検出した空白部のうち、縦幅および横幅が所定値以上の矩形領域を空白矩形として抽出する。
【0035】
S16では、入力装置20が、追記入力を受け付け、入力IF32を介して追加画像用メモリ34に追加画像を記憶する。ユーザは、表示デバイスに表示された画像をみて、追記を行う場合に、入力装置20をオン状態にして、追記したい情報を入力する。
【0036】
S17では、追加画像サイズ検出部37が、追加画像のサイズ(大きさ)などの追加画像データを取得する。追加画像のサイズは、入力装置20の入力画面に対応する追加画像空間で、入力された追加画像のXおよびY座標の最大値と最小値から決定する。したがって、追加画像のサイズは、矩形で表されるのが好ましい。
【0037】
S18では、追加画像展開部38が、追加画像のサイズと、検出した空白部のサイズを比較し、空白部内で追加画像を挿入する位置を計算する。まず、空白部内に追加画像を挿入できるかが判定される。具体的には、空白部の矩形領域のXおよびY方向の幅が、追加画像の矩形領域のXおよびY方向の幅より大きいかを判定し、追加画像より大きいサイズの空白部を選択し、両側の余り部分が同じになるように、挿入位置を決定する。通常、表示画像には大きな余白が存在するため、余白部より大きな追加画像が入力されることはないと考えられる。しかし、もし追加画像より大きいサイズの空白部が存在しない場合には、後述するように追加画像を縮小するか、ユーザに再度追加画像を入力するように指示する。
【0038】
S19では、追加画像展開部38が、表示用フレームメモリ33の挿入位置に対応するアドレスに、追加画像用メモリ34から読み出した追加画像データを書き込む。これにより、表示用フレームメモリ33上で、表示画像に追加画像が重畳される。
【0039】
S20では、追加画像を挿入するために、書き換える必要のある表示画像の位置を取得する。例えば、コレステリック液晶表示デバイスでは、図2に示したように、コモン電極ごとに書き換え可能であるから、各コモン電極に対応する座標(通常はY座標)で書換位置を指示できる。したがって、追加画像を挿入する位置のY座標の範囲が書換位置である。
【0040】
S21では、表示デバイス10の書換位置の画像をリセットする。
【0041】
S22では、表示デバイス10のリセットした書換位置に、表示用フレームメモリ33に記憶された表示画像と追加画像を重畳した表示データを書き込む。
【0042】
以上のようにして、表示画像に追加画像を付記した画像が表示デバイス10に表示される。
【0043】
図4は、図3のフローチャートにおけるS14およびS15の詳細な処理を示すフローチャートである。
【0044】
図4の処理では、各行で0値の連続する画素数をX、連続する行数をY、矩形空白領域のIDをuとして、(X,Y,u)が空白矩形領域となる。
【0045】
S31では、空白検出部36が、画素閾値として所定値を、コンピュータまたは演算回路のレジスタ(メモリ)等に設定する。画素値がこの閾値以下の画素は、空白画素とみなされる。画素閾値として0を設定してもよい。
【0046】
S32では、空白検出部36が、表示用フレームメモリ33内の表示画像を参照(アクセス)する。
【0047】
S33では、空白検出部36が、表示画像の閾値以下の画素値を0に設定する画像値変換を行い、コンピュータまたは演算回路のメモリのワークエリアに記憶する。
【0048】
S34では、空白検出部36が、画素値が0値である最小連続値M0を決定し、レジスタ等に設定する。これは空白部として使用する矩形領域のX方向の最小幅に相当する。
【0049】
S35では、空白検出部36が、変数MminをM0に設定し、レジスタ等に記憶する。
【0050】
S35では、空白検出部36が、変数nを1に設定し、レジスタ等に記憶する。
【0051】
S37では、空白検出部36が、ワークエリアの画像値変換を行った画像において表示画像の1行目の画素値を参照する。
【0052】
S38では、空白検出部36が、1行目の0値の画素の連続数を検出する。
【0053】
S39では、空白検出部36が、1行目の0値の画素の連続を示す(X,Y,u)をレジスタ等に記録する。1行目では、Y=1であり、(X,1,u)が記録される。
【0054】
S40では、空白検出部36が、行数を示す変数nを1増加させる。
【0055】
S41では、空白検出部36が、ワークエリアの画像値変換を行った画像において表示画像のn行目の画素値を参照する。
【0056】
S42では、空白検出部36が、n行目の0値の画素の連続数Mnを検出する。
【0057】
S43では、空白検出部36が、連続数MnがMmin以上であるか判定し、Mmin以上であればS44に進み、Mminより小さければS46に進む。
【0058】
S44では、空白検出部36が、画素数XをMminに設定し、レジスタ等に記憶してS45に進む。
【0059】
S45では、空白検出部36が、Yの値を1増加させて、(X,Y+1,u)をレジスタ等に記録し、S40に進む。
【0060】
S46では、空白検出部36が、連続数MnがM0以上であるか判定し、M0以上であればS47に進み、M0より小さければS48に進む。
【0061】
S47では、空白検出部36が、MminをMnに設定し、レジスタ等に記憶してS44に進む。
【0062】
S40からS47では、空白検出部36が、0値の画素列が前の行と同じ画素列で連続すればYを1増加させる動作を繰り返す。
【0063】
S48では、0値の画素列がY方向に連続しなくなったので、空白検出部36が、その時点の(X,Y,u)をレジスタ等に記録する。
【0064】
S49では、空白検出部36が、nがX方向の画像サイズを越えたか、言い換えれば最終行まで空白矩形領域を検出したかを判定し、超えていなければS50に進み、超えればS51に進む。
【0065】
S50では、空白検出部36が、新しい空白矩形領域を検出するのでIDを示すuを1増加させ、S40に戻る。
【0066】
S51では、空白検出部36が、空白矩形領域のサイズを検証し、終了する。
【0067】
空白矩形領域の検出は、表示画像が表示用フレームメモリ33に記憶されていれば、いつでも行える。例えば、図3のS12を行った後S13を行う前に、空白検出部36が、空白矩形領域の検出を行うことも可能である。
【0068】
図5は、実施例1で検出される空白矩形領域の例を示す図である。図5に示すように、表示画像50は、参照番号51で示す画像領域に画像が表示され、画像領域51以外の部分は所定値以下の画素値で、実質的に空白であるとみなせる領域である。このような表示画像で、4個の空白矩形領域52−1〜52−4が検出される。これらの空白矩形領域52−1〜52−4は所定以上の横幅と縦幅を有する矩形の領域である。追加画像は、空白矩形領域52−1〜52−4のいずれかを選択して書き込まれる。
【実施例2】
【0069】
実施例2について、図6から図7を参照して説明する。
【0070】
図6は、実施例2の電子ペーパーの構成を示すブロック図である。実施例2の電子ペーパーは、空白検出部36のみが実施例1の電子ペーパーと異なり、他の部分は、実施例1の電子ペーパーとほぼ同じである。実施例1の空白検出部36は、表示用フレームメモリ33を参照(アクセス)して空白矩形領域を検出した。これに対して、実施例2の空白検出部36は、表示用フレームメモリ33から読み出されて出力IF31を介して表示デバイス10に供給される表示データ信号で、空白矩形領域を検出する。
【0071】
実施例2の電子ペーパーの空白検出部36は、ラインバッファ41と、カウンタ42と、メモリ43を有する。表示用フレームメモリ33から読み出された表示データ信号が、ラインバッファ41に供給される。
【0072】
図7は、実施例2の電子ペーパーの空白検出部36における空白矩形領域検出処理を示すフローチャートであり、図4の実施例1のフローチャートに対応する。実施例2では、S35の後にS61およびS62が挿入されること、およびS37およびS41の代わりにS63およびS64が行われることが実施例1と異なり、ほかはほぼ同じである。
【0073】
S61では、図示していない読み出し回路が、表示用フレームメモリ33から表示データを読み出して、シリアルデータに変換する。
【0074】
S62では、読み出し回路が、シリアル化した表示データの画素値を、ラインバッファ41および出力IF31に送信する。
【0075】
S63では、空白検出部36が、ラインバッファ41に送信された1行目のシリアル化した画素値で0値が連続する画素列を検出する。
【0076】
S64では、空白検出部36が、ラインバッファ41に送信されたn行目のシリアル化した画素値で0値が連続する画素列を検出する。
【0077】
実施例1では、表示用フレームメモリ33を参照(アクセス)して記憶されている表示データを読み出す必要がある。これに対して、実施例2では、表示用フレームメモリ33に記憶された表示データを出力IF31に供給するために元々設けられている図示していない読み出し回路が読み出した表示データを使用するので、空白検出部36の回路を簡単にできる。
【0078】
なお、実施例2において、空白検出部36が行う空白矩形領域検出処理は、表示画像を書き換えるために、ディスク装置13から供給された表示データを、表示用フレームメモリ33に展開した後、表示デバイス10に供給する時に行うことが望ましい。言い換えれば、表示デバイス10に表示する時に同時に空白矩形領域を検出することが望ましい。
【実施例3】
【0079】
次に説明する実施例3の電子ペーパーは、空白検出部36が複数の空白部を検出した時に、複数の空白部から追加画像を表示する空白部の選択処理が異なり、他の部分は、実施例1の電子ペーパーとほぼ同じである。
【0080】
図8は、実施例3の電子ペーパーにおける追記の動作を示すフローチャートであり、図3の実施例1のフローチャートに対応する。
【0081】
実施例3では、S18の代わりにS71およびS72が行われることが実施例1と異なり、ほかはほぼ同じである。
【0082】
S71では、追加画像展開部38が、追加画像のサイズと、空白検出部36が検出した複数の空白矩形領域のサイズを比較し、追加画像を挿入できる空白矩形領域、すなわち追加画像より大きな空白矩形領域を探索する。
【0083】
S72では、追加画像を挿入できる空白矩形領域のうちで、最小サイズの空白矩形領域を選択する。
【0084】
後は実施例1と同様に、選択した空白矩形領域に追加画像を重畳するように書き込む。
【実施例4】
【0085】
次に説明する実施例4の電子ペーパーは、空白検出部36が複数の空白矩形領域を検出した時に、複数の空白矩形領域から追加画像を表示する空白矩形領域を選択して、追加画像を選択矩形領域に合うように拡縮処理することが異なり、他の部分は、実施例1の電子ペーパーとほぼ同じである。
【0086】
図9は、実施例4の電子ペーパーにおける追記の動作を示すフローチャートであり、図3の実施例1のフローチャートに対応する。
【0087】
実施例4では、S18の代わりにS81およびS82が行われることが実施例1と異なり、ほかはほぼ同じである。
【0088】
S81では、追加画像展開部38が、空白検出部36が検出した複数の空白矩形領域をID順に選択する。
【0089】
S82では、追加画像を、選択した空白矩形領域に挿入するのに適したサイズになるように、拡大または縮小する。例えば、追加画像のサイズが50画素×30画素(縦×横)であり、選択した空白矩形領域のサイズが40画素×30画素である場合、このままでは追加画像を空白矩形領域に挿入できない。そこで、追加画像を、縦横比を維持して、40画素×24画素に縮小する。
【0090】
後は実施例1と同様に、選択した空白矩形領域に追加画像を重畳するように書き込む。
【実施例5】
【0091】
次に説明する実施例5の電子ペーパーは、検出した複数の空白矩形領域にIDを付して、表示画像上に重畳して表示し、ユーザが追加画像を入力する時に、追加画像を表示する空白矩形領域を同時に指示することが異なり、他の部分は、実施例1の電子ペーパーとほぼ同じである。
【0092】
図10は、実施例5の電子ペーパーにおける追記の動作を示すフローチャートであり、図3の実施例1のフローチャートに対応する。
【0093】
実施例5では、S15の後にS91が、S16の後にS92が、行われ、S18の代わりにS82が行われることが実施例1と異なり、ほかは同じである。S82は、図9の実施例4とほぼ同じである。
【0094】
S91では、検出した空白矩形領域をIDと共に、表示画像に表示する。これは、S18からS22と同様の処理で行える。
【0095】
図10のフローチャートでは、S91で、表示している表示画像に、検出した空白矩形領域およびIDを重畳するように書換を行った。しかし、S13を行う前に、S14およびS15を実行して空白矩形領域を検出し、検出した空白矩形領域およびIDを表示用フレームメモリ33に重畳するように書き込んだ後S13を実行するようにしてもよい。これにより、最初から空白矩形領域およびIDを重畳した表示画像が表示される。
【0096】
図11は、空白矩形領域をIDと共に表示画像に重畳して表示した表示画面の例を示す。図示のように、表示画面50に4個の空白矩形領域52−1〜52−4が、ID“1”〜“4”と共に表示される。
【0097】
S92では、ユーザが図11のような画面を見た上で、入力装置20から入力した追加画像を表示する空白矩形領域のIDを指示する。
【0098】
図12は、この空白矩形領域のIDを指示するための入力装置20における表示例を示す。図12の(A)では、入力装置20の表示面23に、4個のID“1”〜“4”を表示し、ユーザがペン21で選択するIDが表示された表示面の部分に接触することにより、追加画像を挿入する位置(ID)を入力する。
【0099】
図12の(B)では、入力装置20の表示面23の周囲の適当な部分に、仮想的なID入力領域26を設定する。ID入力領域26は、あらかじめ4個の部分25−1〜25−4に分けられており、いずれかの部分に接触することにより、対応するIDが選択できることがユーザに知らされている。ユーザは、ペン21で選択するIDに対応する部分に接触することにより、追加画像を挿入する位置(ID)を入力する。
【0100】
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものであり、特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0101】
10 表示デバイス
11 表示パネル
20 入力デバイス
30 表示データ処理回路
31 出力IF
32 入力IF
33 表示用フレームメモリ
34 追加画像用メモリ
35 表示データ展開部
36 空白検出部
37 追加画像サイズ検出部
38 追加画像展開部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部とは独立した入力部と、
前記表示データを処理する表示データ処理回路と、を備え、
前記表示データ処理回路は、
前記表示データを、前記表示部に供給する出力データの形式に展開する表示データ展開部と、
前記表示データの表示画像から、所定の大きさ以上の空白部を検出する空白検出部と、
前記入力装置から入力される追加画像を前記空白部に配置する追加画像展開部と、を備え、
前記表示部の表示を、前記表示データの表示画像に前記追加画像を重畳した画像が表示されるように書き換えることを特徴とする電子ペーパー。
【請求項2】
前記表示データ処理回路は、前記表示画像の少なくとも1ライン分の表示データを保持するラインバッファを備え、
前記空白検出部は、前記ラインバッファを利用して前記空白部を検出する請求項1に記載の電子ペーパー。
【請求項3】
前記空白部は、矩形領域を有する請求項1または2に記載の電子ペーパー。
【請求項4】
前記追加画像展開部は、前記追加画像を、前記空白部の大きさに応じて縮小または拡大する請求項1から3のいずれか1項に記載の電子ペーパー。
【請求項5】
前記空白検出部は、前記表示データの表示画像における前記空白部を検出して順次IDを付与し、
前記表示データ処理回路は、前記空白検出部が検出した前記空白部および対応する前記IDを重畳した前記表示データの表示画像を表示し、
前記追加画像展開部は、前記追加画像と共に前記入力装置から入力される前記IDの指示に応じた前記空白部に、前記追加画像を配置する請求項1から4のいずれか1項に記載の電子ペーパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−3018(P2012−3018A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137579(P2010−137579)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】