説明

電子メールを用いた工事現場の写真転送システムおよび写真撮影ワークシート

【課題】撮影後の写真の仕訳などの整理作業を短時間でミスなく効率よく行える、電子メールを用いた工事現場の写真転送システムを提供する。
【解決手段】本写真転送システムは、工事現場で撮影される写真に関する管理情報を登録したバーコード表記11およびその管理情報に対応させた解説情報の文字表記12を組み合わせて記した写真撮影ワークシート10と、バーコードの読取解読機能と電子メール送信機能とデジタルカメラ撮影機能とを少なくとも有した携帯端末20と、通信ネットワークN上に設置されたメールサーバ30とを備え、携帯端末20は、撮影した現場写真と、写真撮影ワークシートのバーコード表記をデジタルカメラで撮影し読取解読した管理情報とを電子メールMの送信情報に割り付けて、メールサーバ30を通じて、所定の送信先メールアドレスを指定して送信するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場で撮影したデジタル写真を、デジタル写真を管理するサーバ等に、電子メールで転送するようにした工事現場の写真転送システムおよびそのシステムで使用される写真撮影ワークシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設業や建築業は、施主である民間企業や官公庁等から一連の工事を受注した場合、その工事の進捗にしたがって、進捗状況や完成状態を施主に報告する必要がある。特に、ダム、護岸工事などの公共土木工事においては、工事の状況を正確に官公庁に報告するために、工事現場のデジタル写真を所定の様式で提出することが義務付けられている。
【0003】
従来、このようなデジタル写真の電子納品方法では、建設・建築管理会社の管理下で、工事現場でデジタルカメラを用いて工事の状況を撮影し、それを現場事務所に持ち帰り、現場事務所のパソコンから管理サーバなどにデータ転送し、その後、管理サーバ側では、送られてきたデジタル写真にその写真の属性を示した管理情報などを付加し、さらにその属性にもとづいて区分されたフォルダなどへの仕訳作業を行い、その後、官公庁提出用の様式に編集しなおすなどの加工を行っていた。
【0004】
ところが、これらの写真持ち帰り後のさまざまな処理はコンピュータへの手入力で行われることが通例であるため、手作業による写真と管理情報との関連付けのミスや仕訳のミスが発生するおそれがあるうえ、写真をサーバにアップロードしてから電子納品するまでに時間を要することとなるため、おのずと写真の編集の機会が増加し、そのため電子納品までに写真が不可避的に修整される可能性も高かった。
【0005】
特許文献1に記載の技術は、携帯端末がデジタルカメラを備えるとともに、その携帯端末で写真データの整理・編集作業が行え、情報の関連付けミス、作業漏れを未然に防止できる構成となっている。
【特許文献1】特開2006−146682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この文献のものは、事前に種々のデータを用意しておけば撮影後の処理は軽減できるが、撮影後にデータを入力する方法を採った場合には、撮影後から所定様式に編集するまでの時間は短縮できず、写真の修整を防止する解決策とはならない。
【0007】
また、このものは、携帯端末に多機能を搭載する必要があり、携帯端末の価格はおのずと高価格になるため、小規模の管理会社で簡易に利用できる写真管理ツールとはなり得ない。
【0008】
なお、従来において、撮影現場からデジタル写真を電子メールでサーバ等に転送する方法も採られており、サーバ等へのアップロードを迅速に行うことはなされていたが、サーバでの仕訳、編集の効率化を図るものとはなっていなかった。
【0009】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、撮影後の写真の仕訳などの整理作業を短時間でミスなく効率よく行える、電子メールを用いた工事現場の写真転送システムおよびそのシステムで使用される写真撮影ワークシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の電子メールを用いた工事現場の写真転送システムは、工事現場で撮影される写真に関する、写真分類、写真区分、工種などの管理情報を登録したバーコードのバーコード表記およびその管理情報に対応させた解説情報の文字表記を組み合わせて記した写真撮影ワークシートと、バーコードの読取解読機能と、電子メール送信機能と、デジタルカメラ撮影機能とを少なくとも有した携帯端末と、通信ネットワーク上に設置されたメールサーバとを備え、携帯端末は、デジタルカメラで撮影し、記憶した現場写真と、写真撮影ワークシートに記されたバーコード表記をデジタルカメラで撮影し、読取解読して取得した管理情報とを電子メールの送信情報に割り付けて、メールサーバを通じて、所定の送信先メールアドレスを指定して送信するようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項2では、バーコードには、電子メールに添付された現場写真ファイルを再生するためのコマンドがさらに登録されており、携帯端末は、取得した管理情報を電子メールの本文にテキスト文書として展開したときに、コマンドに対応したコマンドボタンを本文内に表示し、このコマンドボタンが操作されたときには、添付ファイルとして貼り付けた現場写真を再生するようにしている。
【0012】
請求項3では、管理情報は、現場写真の送信先メールアドレスをさらに含んでおり、携帯端末は、バーコード表記を読取解読して管理情報を取得したときに、その管理情報に含まれる送信先メールアドレスを電子メールの送信先の宛先情報として組み込むようにしている。
【0013】
請求項4に記載の写真撮影ワークシートは、写真分類、写真区分、工種などを含んだ、工事現場で撮影された写真を施主に提出する際に必要な管理情報を登録したバーコードのバーコード表記と、その管理情報に対応させた解説情報の文字表記とを組み合わせて記したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1〜3に記載の本発明によれば、カメラ付きの携帯端末で撮影した現場写真と、写真撮影ワークシートに表記されたバーコードを読取解読して得た管理情報とを所定の送信先に電子メールで転送する構成であるため、送信先の装置で受信した時点では、写真と管理情報との関連付けができあがっており、そのため、その後、プログラムなどで仕訳作業を行うだけで施主への報告の準備を完了させることができ、撮影後の整理、編集の作業効率化が図れ、その結果、人手の介入機会を減らせることができ、受信してから電子納品までの時間の短縮化が図れ、それによって写真の改ざんなどの修整機会を大幅に減少させることができる。またこのシステムは、カメラ付き携帯電話などの機能をそのまま利用できる構成であるため、簡易にシステムを構築できる。
【0015】
また、仕訳作業に必要なデータを管理情報とともにバーコードに登録しておけば、送信先装置で簡易なプログラムで仕訳作業が実行でき、それによってミス防止、時間短縮化がさらに図れる。
【0016】
請求項2に記載の本発明によれば、現場写真を再生するためのコマンドをバーコードに含ませているので、関連付けをワンタッチで確認でき、データをアップロードする前に確実に、写真と管理情報の関連付けを確認することができる。
【0017】
請求項3に記載の本発明によれば、携帯端末が、バーコードの登録情報として含ませている送信先メールアドレスを読み取って、電子メールの宛先情報として組み込む構成となっているため、携帯端末での送信作業が短時間で効率的に行える。
【0018】
請求項4に記載の写真撮影ワークシートによれば、工事現場で撮影された写真を官公庁に提出する際に必要な管理情報を登録したバーコードのバーコード表記と、その管理情報に対応させた解説情報の文字表記とを組み合わせて記しているため、携帯端末でバーコードを読取解読して送信先に電子メールで送信することで、送信先での作業の効率化が図れ、電子納品までの時間の短縮化に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態である工事現場の写真転送システムを示すシステム構成図である。図2は、同システムで使用される携帯端末の要部構成を示すブロック図である。
【0021】
本システムは、カメラ付き携帯端末20で撮影した工事現場のデジタル写真と、その写真の管理情報とを、電子メールMでデジタル現場写真管理サイト50(以下、管理サイトという。)に送信するようにしたシステムである。
【0022】
ここで、管理情報とは、工事の進捗状況などを国交省や農水省に電子納品のかたちで報告するために、現場写真に組み合わせて付随させる属性情報であり、写真大分類、写真区分、工種、種別、細別、撮影箇所などの項目で構成される。なお本実施形態では、官公庁を施主とする例を示しているが、他の民間企業などを施主とするものでもよく、その場会、管理情報としては上記の項目に限られず、さまざまな属性項目が含まれる。
【0023】
本システムは、複数項目からなるこの管理情報をあらかじめバーコード(本例では2次元コードであるQRコード)に登録しておき、そのQRコード表記11と、そのQRコードに登録された管理情報に対応した解説情報の文字表記12とを対応させて記した写真撮影ワークシート10を用いて現場撮影担当者に撮影させ、撮影した現場写真を、管理情報を伴わせて管理サイト50へ送信するようにしたものである。
【0024】
すなわち、現場撮影担当者は、カメラ付き携帯端末20と、撮影対象に対応して発行された写真撮影ワークシート10とを工事現場に持参し、撮影すべき工事現場を写真撮影ワークシート10の文字情報12で確認しながら、撮影すべき現場の管理情報が登録されたQRコード表記11を見つけ出し、そのQRコード11を携帯端末20のバーコードリーダーで読み取らせて登録された情報を取得し携帯端末20に保存しておき、その後、工事現場を写真撮影し、取得済みの管理情報を電子メールMの本文に貼り付けるとともに、撮影写真を添付ファイルに割り付けて、メールサーバ30を介して、管理サイト50宛に送信する(図1中の(1)〜(4)の流れ)。なお、図1中、Nはインターネットなどの通信ネットワークである。
【0025】
なお、撮影とQRコードの読取解読とは、いずれを先に行ってもよい。複数の現場の撮影をする場合は、撮影とQRコードの読取解読とを交互に1件ずつ行うことで対応関係を明確にできるが、作業効率を重視して、先に複数の写真を撮影し写真データをデータフォルダ26a(図2参照)に保存しておき、その後、QRコードの読取解読操作をするようにしてもよい。また、その逆でもよい。
【0026】
また、同一の管理情報に複数の現場写真を関連付ける場合、1対1に対応させて複数回、電子メールを送信するようにしてもよいし、1件の管理情報をメール本文とし、複数の写真ファイルを添付して送信するようにしてもよい。
【0027】
携帯端末20としては、バーコード(QRコード)の読取解読機能と、電子メールの送信機能と、デジタルカメラ撮影機能とを少なくとも備えたカメラ付き携帯電話を使用できる。なお、携帯電話に限られず、上記機能を有したものであれば、携帯が可能な他の機器でもよい。
【0028】
図2に示すように、携帯端末20は、CPUとバーコードリーダー、メーラー、カメラ制御プログラムなどのアプリケーションプログラムなどよりなる制御部21と、LED画面などよりなる表示部22と、操作ボタンなどを備えた操作部23と、送受信部24と、カメラ部25と、記憶部26とを備えている。記憶部26には、カメラ部25で撮影した写真や、QRコードを読取解読して取得した登録情報を保存しておくデータフォルダ26aの領域が確保されている。
【0029】
ついで、携帯端末20の電子メール機能による現場写真と管理情報との関連付けおよび送信編集について、図3〜6を参照しながら説明する。
【0030】
図3は、QRコードに登録される情報の項目を示した図である。図4は、同システムに使用される写真撮影ワークシート10の一例を示す図である。
【0031】
QRコードに登録された情報1は、現場写真を官公庁に電子納品する際に、写真に付随させる必要のある管理情報2と、携帯端末20でメール編集を効率よくさせるための情報や、送信先の管理サイト50で仕訳、編集処理を効率よくさせるための情報などを含むコントロールデータ3とを含んでいる。
【0032】
管理情報2には、たとえば図3に示すように、写真大分類、写真区分、工種、種別、細別、撮影箇所、代表写真選択などの項目が含まれる。写真大分類は業務種別を区分したもので、工事、測量、調査、地質などで区分され、写真区分は中分類区分であり、所定文字数内の自由記入を可能とした項目である。また、工種は工事、河川土工、品質管理写真などに区分され、種別は工種以下の分類を所定文字数内で自由記入させる項目であり、種別はさらなる明細を所定文字数内で自由記入させる項目である。また、撮影箇所は撮影箇所を所定文字数で表した項目、代表写真選択は、代表写真とするかしないかを選択させるための項目である。
【0033】
一方、コントロールデータ3は、たとえば図3に示すように、電子メールMの件名や送信先メールアドレス、写真再生コマンドを含む他、送信先装置内の格納先(パス)などを含んでもよい。
【0034】
これらは、撮影を実施する前にQRコード登録発行システムで新規に発行したQRコードに登録される。QRコード登録発行システムは、携帯電話の複数の事業者に対応して読取可能な新規なQRコードを発行するもので、詳細については後述する。なお、インターネットNに接続されたQRコード発行サイトなどよりダウンロードして使用できる公知のシステムを使用してもよい。本実施形態では、後述するように管理サイト50に構築されたワークシート発行システム51で、QRコードを登録発行し、発行したQRコードのコード表記11と、管理情報を解説した文字情報12とを写真撮影ワークシート10に印刷するようにしている。
【0035】
このような管理情報2およびコントロールデータ3は、QRコードに所望の区分にしたがって区分登録できるようになっている。携帯端末20での電子メール送信編集をしやすくするために、たとえば、管理情報2および写真再生コマンドと、送信先メールアドレスと、件名とに区分することが望ましい。
【0036】
なお、QRコードの発行および写真撮影ワークシート10の発行は、管理サイト50で実施されなくともよく、工事現場の現場事務所に備え付けたパソコンなどで行うようにしてもよい。
【0037】
たとえば写真撮影ワークシート10は、図4に示すように、QRコード表記11と、それを解説した解説情報の文字表記12とを1対1に見やすく対応させて、同時期に実施する工事現場撮影についての複数組の情報を配列表記させておけばよい。図4の例では、解説情報として管理情報をそのまま表記させているが、撮影者がQRコードと撮影対象との関係を識別できるような識別情報であってもよい。
【0038】
また文字情報12として、図4のように、電子メールの送信先メールアドレス(宛先)や件名を含んでもよく、さらに、他のコントロールデータも追加表記してもよい。このような表記は、撮影者に写真撮影ワークシートの中から所望のQRコードを選択させるためには必要な情報ではないが、このような表記があれば、電子メール送信する前の確認を確実に行える。
【0039】
図5,6は、携帯端末20による電子メール編集の操作の一例を示した説明図である。
【0040】
撮影者は、撮影した現場写真およびその写真に対応して読取解読したQRコードの登録情報1(管理情報2とコントロールデータ3)を、データフォルダ26aに保存しておき、電子メール送信をする際には、データフォルダ26a内のこれらの情報にもとづいてメール編集の操作を行う。
【0041】
図5,6の例では、QRコードを読取解読して得た管理情報、送信先メールアドレス、件名などの登録情報を、読取解読時に、QRコードの登録区分にしたがって個別のファイルに保存しており、それらを読み出しながら以下の手順で送信メール用に編集する。図5(a)はデータフォルダ26aを携帯端末20の表示部22に一覧表示した画面Aを示した図であり、図5(b)、(c)および図6(a)、(b)は電子メールの編集画面Bの編集操作を示した図である。図5(a)中のA1〜A4はデータフォルダ26aに格納されている各ファイルの表示を示し、A1は送信先メールアドレスを格納したファイル、A2は件名を格納したファイル、A3は管理情報(写真再生コマンドを含む)を格納したファイル、A4は現場写真を格納したファイルである。
【0042】
<編集手順>
(1)送信先メールアドレスを格納したファイルA1を選択操作して、送信情報の宛先B1に割り当てる(図5(a)、(b)参照)。
(2)件名を格納したファイルA2を選択操作して、送信情報の件名B2に割り当てる(図5(a)、(c)参照)。
(3)現場写真を格納したファイルA4を選択操作して、添付ファイルB3に割り当てる(図5(a)、図6(a)参照)。
(4)管理情報を格納したファイルA3を選択操作して、管理情報のテキスト文書と写真再生コマンドボタンCを本文B4に割り当てる(図5(a)、図6(b)参照)。
なお、操作手順は上記の操作手順に限定されない。
【0043】
管理情報とともに本文に割り当てた写真再生用のコマンドボタンCは、本文B4内の管理情報を見ながら操作できるようにした、添付ファイルB3を本文B4内から再生するためのリンクボタンである。
【0044】
現場写真を再生するには、添付ファイルB3を直接選択操作する以外に、本例では、本文B4内から再生コマンドボタンCを操作することでも対応できるようにしている。特に、送信前の確認において管理情報の項目数が多く、画面スクロールをすることで添付ファイルの操作ができにくくなる場合などには、本文B4内に割り付けた再生コマンドボタンCを操作するだけで、現場写真を再生することができるため、写真と管理情報との一体不可分の関係の確認作業を、送信前に簡易かつ迅速に行わせることができる。
【0045】
以上のように、本例では管理情報を本文B4に割り当てているが、管理情報も添付ファイルに割り当てるようにしてもよい。なお、宛先や件名はQRコードの登録情報とはせずに、メール編集操作時にそのつど入力するようにしてもよい。
【0046】
このように、撮影されたデジタル写真と管理情報とは電子メールMの送信情報に編集されて、送信操作によって送信先である管理サイト50に送信される。
【0047】
また、携帯端末によるQRコード読取、工事現場の撮影、電子メール編集、送信の手順としては他の運用方法を採用してもよい。たとえば、QRコード読取データおよび写真データの各専用フォルダを準備しておき、QRコード読取、工事現場の撮影、電子メール編集、送信のそれぞれをまとめて実施する次のような方法が想定できる。
【0048】
<手順1> バーコード読取
現場事務所などで、携帯端末であらかじめ写真撮影ワークシートより撮影を必要とする現場に対応したQRコードを読み取り、QRコード読取データの専用フォルダに保存する。この処理を必要な分、繰り返して、すべての読取が終了すれば、その携帯端末を現場に持参する。
<手順2> 撮影
携帯端末で必要とする現場を撮影し、撮影した写真を写真データの専用フォルダに保存する。手順1で準備したQRコードについて、この処理を繰り返す。
<手順3> 電子メール編集、送信
QRコード読取データの専用フォルダの一覧から管理情報の1つを選択し、電子メール作成の操作をして本文に割り当て、つぎに写真データの専用フォルダの一覧から、選択した管理情報に対応する写真を添付ファイルに割り当て、送信ボタンを押下して送信する。フォルダに準備したデータについて、この処理を繰り返す。
なお、QRコード読取データの専用フォルダを使用せずに、読取ごとに電子メールの未送信データを作成するようにしてもよい。
【0049】
以上のように、携帯端末20で現場写真と管理情報とを一体不可分の関係にして、管理サイト50などの送信先に電子メールMで転送する構成であるため、管理サイト50で受信した時点では、写真と管理情報との関連付けがすでにできあがっており、そのため、その後、プログラムなどで仕訳作業を行うだけで施主への報告の準備を完了させることができ、撮影後の整理、編集の作業効率化、ミス防止および時間短縮が図れる。また、仕訳作業に必要なデータを管理情報として登録しておくことで、管理サイト50では後述するような簡易なプログラムで仕訳作業が実行でき、その結果、人手の介入機会を減らせることができ、受信してから電子納品までの時間の短縮化が図れ、それによって写真の修整機会を大幅に減少させることができる。
【0050】
なお、管理サイト50での仕訳作業は、OSユーザインターフェースを手作業操作して行ってもよく、その場合でも、受信した段階で現場写真に関連付けるべき管理情報が完成し、かつ関連付けも終了しているため、管理情報そのものの入力作業、関連付け作業は発生せず、仕訳作業の時間短縮化が実現できる。
【0051】
ついで、現場写真と管理情報の送信先である管理サイト50の構成および処理概要について説明する。
【0052】
図7は、管理サイト50の要部構成を示したブロック図である。
【0053】
管理サイト50は、1または複数のサーバ、パソコンなどで構成され、本例では、ワークシート発行システム(手段)51と、写真管理システム52とを含んで構成されている。
【0054】
ワークシート発行システム51は、写真撮影ワークシート10を発行するためのシステムであって、QRコード登録発行システムを備えている。ワークシート発行システム51は、上述したように、現場事務所のパソコンで稼動させるようにしてもよく、また、QRコード登録発行のみを管理サイト50側でできるようにし、写真撮影ワークシート10の発行印刷を現場事務所のパソコンでできるようにしてもよい。
【0055】
一方、写真管理システム52は、送信されてきた電子メールMを所定の基準にもとづいて仕訳する仕訳サブシステム(手段)52a、仕訳サブシステム52aで現場写真と管理情報を一体的に格納するための保存フォルダ52c、それらのデータを写真帳として出力し、仕訳の状態、管理情報と写真の整合性をチェックするためのビューア機能を有した確認サブシステム(手段)52bを備えている。さらに、保存フォルダ52cにもとづいて所定の様式に自動、半自動あるいは手動で編集することができる編集ツール52dなどを組み込んでもよい。
【0056】
以下、ワークシート発行システム51と、写真管理システム52とを個別に説明する。
【0057】
図8は、ワークシート発行システム51で使用されるQRコード登録発行画面の一例を示す図である。
【0058】
登録発行画面は、新規のQRコードに対して、管理情報などを項目ごとに入力し、登録できる構成となっている。登録情報としては、送信先メールアドレス(宛先)、件名、管理情報などの他、格納フォルダ名を含んだ構成であってもよい。また、再生コマンドの付加の要否を選択できるようにしてもよい。さらに、種々の基準に対応できるように、QRコードの種別の選択ができるようにしてもよい。
【0059】
ワークシート発行システム51は、ワークシート印刷手段(不図示)をさらに備えており、ワークシート印刷手段を稼動させて、QRコード表記11と解説情報の文字表記12との組み合わせを複数、整列印字させた写真撮影ワークシート10(図4参照)を印刷できる構成となっている。
【0060】
また、写真管理システム52の仕訳サブシステム52aは、たとえば、コンピュータが備える内部時計により定期的に自動稼動され、あるいは操作により臨時稼動される仕訳プログラムを有した構成となっている。
【0061】
図9のステップ101〜106は、この仕訳プログラムの動作を示す概略フローチャートである。仕訳プログラムは、稼動されると、メールサーバより受信データを取得し、1件ずつオープンし、件名などより工事現場のメールかどうかを判断し、工事現場のメールであれば仕訳処理を行い、工事現場のメールでなければその他処理を行う。
【0062】
仕訳処理は、管理情報に含まれる写真大分類、写真区分、工種などの内容を判断することで、写真と管理情報とをXML形式で所定のフォルダに振分保存するようにしたプログラムで、データを保存する際に、現場写真と管理情報とをファイル名称などを共通にする関連付けの処理を付加することが望ましい。たとえば、同一の現場写真が複数ある場合には、シーケンス番号を含んだ名称を付けてもよい。また、保存フォルダは、仕訳プログラムが現場写真を取得するごとに作成されるようにしてもよい。
【0063】
一方、報告書の編集ツール52dは、官公庁への報告書提出時など所望のタイミングで操作にて稼動される編集プログラム(不図示)を備えた構成とされ、市販の編集ソフトなどで代用してもよい。
【0064】
この編集プログラムは、所定様式の電子報告書に写真と管理情報とを文書として編集するもので、たとえば対象とされる写真のファイル名称などを入力させて稼動されると、実行されるようになっている。また、同時に紙の報告書に編集出力するようにしてもよい。
【0065】
なお、電子報告書への編集は、受信タイミングに仕訳サブシステム内であるいは仕訳サブシステムの実行後に行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態である工事現場の写真転送システムを示すシステム構成図である。
【図2】同システムに使用される携帯端末の要部構成を示したブロック図である。
【図3】QRコードに登録される情報の項目を示した図である。
【図4】同システムに使用される写真撮影ワークシートの一例を示す図である。
【図5】(a)〜(c)は携帯端末による電子メール編集操作の一例を示した説明図(1)である。
【図6】(a)、(b)は携帯端末による電子メール編集操作の一例を示した説明図(2)である。
【図7】デジタル現場写真管理サイトの要部構成を示したブロック図である。
【図8】ワークシート発行システムで使用されるQRコード登録発行画面の一例を示す図である。
【図9】仕訳プログラムの動作を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
10 写真撮影ワークシート
11 QRコード表記
12 解説情報の文字表記
20 携帯端末
21 制御部
22 カメラ部
30 メールサーバ
N 通信ネットワーク
M 電子メール
50 デジタル現場写真管理サイト
51 写真管理システム
52 ワークシート発行システム
1 QRコード登録情報
2 管理情報
3 コントロールデータ
C 再生コマンドボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事現場で撮影される写真に関する、写真分類、写真区分、工種などの管理情報を登録したバーコードのバーコード表記と、その管理情報に対応させた解説情報の文字表記とを組み合わせて記した写真撮影ワークシートと、
バーコードの読取解読機能と、電子メール送信機能と、デジタルカメラ撮影機能とを少なくとも有した携帯端末と、
通信ネットワーク上に設置されたメールサーバとを備え、
上記携帯端末は、デジタルカメラで撮影し、記憶した現場写真と、上記写真撮影ワークシートに記されたバーコード表記をデジタルカメラで撮影し、読取解読して取得した管理情報とを電子メールの送信情報に割り付けて、上記メールサーバを通じて、所定の送信先メールアドレスを指定して送信するようにしたことを特徴とする電子メールを用いた工事現場の写真転送システム。
【請求項2】
請求項1において、
上記バーコードには、電子メールに添付された現場写真ファイルを再生するためのコマンドがさらに登録されており、
上記携帯端末は、上記取得した管理情報を電子メールの本文にテキスト文書として展開したときに、上記コマンドに対応したコマンドボタンを上記本文内に表示し、このコマンドボタンが操作されたときには、上記添付ファイルとして貼り付けた現場写真を再生するようにしている、電子メールを用いた工事現場の写真転送システム。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記管理情報は、上記現場写真の送信先メールアドレスをさらに含んでおり、
上記携帯端末は、上記バーコード表記を読取解読して管理情報を取得したときに、その管理情報に含まれる送信先メールアドレスを電子メールの送信先の宛先情報として組み込むようにした、電子メールを用いた工事現場の写真転送システム。
【請求項4】
写真分類、写真区分、工種などを含んだ、工事現場で撮影された写真を施主に提出する際に必要な管理情報を登録したバーコードのバーコード表記と、その管理情報に対応させた解説情報の文字表記とを組み合わせて記した、写真撮影ワークシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−230696(P2009−230696A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78540(P2008−78540)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(595093474)日本振興株式会社 (1)
【Fターム(参考)】