電子メール中継装置、電子メール中継方法、及びプログラム
【課題】メインアドレスを変更或いは無効にすることなく、スパムメールを効果的に排除することが可能な電子メール中継装置を提供する。
【解決手段】メインアドレス111とサブアドレス112とがプロファイルボックス110に登録されている。サブアドレス112は、キー113とメインアドレス111とが組み合わされてなる。中継サーバ100に電子メールが送信されると、MTA106によってそのエンベローブ部が受信される。MTA106は、エンベローブ部の送信先アドレスに基づいて、電子メールがメインアドレス111宛かサブアドレス112宛かを判定する。メインアドレス宛である場合は、中継許可判定処理(S5)を行い、許可された電子メールのデータ部が受信されて、メールサーバ150へ転送される(S7)。
【解決手段】メインアドレス111とサブアドレス112とがプロファイルボックス110に登録されている。サブアドレス112は、キー113とメインアドレス111とが組み合わされてなる。中継サーバ100に電子メールが送信されると、MTA106によってそのエンベローブ部が受信される。MTA106は、エンベローブ部の送信先アドレスに基づいて、電子メールがメインアドレス111宛かサブアドレス112宛かを判定する。メインアドレス宛である場合は、中継許可判定処理(S5)を行い、許可された電子メールのデータ部が受信されて、メールサーバ150へ転送される(S7)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1ユーザにつき複数の電子メールアドレスが登録されている場合に、上記電子メールアドレス宛に送信された電子メールを受信して所定のデバイスに転送する電子メール中継装置、電子メール中継方法、及び電子メール中継装置に適用されるプログラムに関し、特に、スパムメール(迷惑メール)の受信を制限する処理にに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットに代表される通信ネットワークの発達に伴い、電子メールの利用者が増大している。近年、電子メールの普及に伴って膨大な量のスパムメールが配信されるようになり、大きな社会問題となっている。なお、スパムメールは、広告や勧誘、有料コンテンツへのリンクなどが記載された電子メールのことであり、不特定多数の電子メールアドレス(以下「メールアドレス」または、単に「アドレス」と略称する。)宛に対して一方的に配信される。
【0003】
スパムメールといえども、通常の電子メールと同じように、電子メールシステムを利用して配信されるものである。そのため、スパムメールの配信者は、送信先のメールアドレスを予め取得する必要がある。一般に、スパムメールの配信者は、アドレス収集ロボットと呼ばれるソフトウェアを用いてインターネット上のWebサイトを定期的に巡回し、Webサイトに開示されているメールアドレスを自動的に取得している。したがって、受信者がスパムメールの被害を受けないようにするには、メールアドレスをWebサイトなどに開示しないことが最善の方法であると考えられる。
【0004】
しかしながら、インターネットを介して様々な商取引が頻繁に行われる昨今においては、オンラインショッピングやメールマガジン、懸賞サイトなどのネットサービスを利用する際に、Webサイトを介して取引相手との間でメールアドレスを含む個人情報の交換が行われる。このような現状では、上記ネットサービスを利用するユーザのメールアドレスがアドレス収集ロボットによって収集されるおそれがある。もちろん、セキュリティ対策が十分になされたWebサイトであれば、電子メールアドレスなどの個人情報が簡単に漏洩することはないが、個人情報の管理者によって不正に個人情報が漏洩し、スパムメールの配信者に渡る場合もあり得る。また、ユーザ自身が電子掲示板やホームページ、ブログサイトなどにメールアドレスを安易に開示してしまうこともあり得る。一旦、メールアドレスがスパムメールの配信アドレスリストに登録されると、スパムメールの被害から逃れるには、メールアドレスを変更するほかに方法はない。なお、スパムメール対策として様々なフィルタツールが各インターネット接続業者(プロバイダ)などから提供されているが、当該フィルタツールによってスパムメールを軽減することができても、スパムメールを完全に排除することはできない。
【0005】
ところで、特許文献1や非特許文献1、非特許文献2に記載されているように、ユーザIDとドメイン名とからなるメールアドレス(以下「メインアドレス」と称する。)の他に、スパムメール(迷惑メール)対策として、ユーザIDに任意のキーワードが付加された文字列とドメイン名とからなるメールアドレス(以下「サブアドレス」と称する。)をユーザに付与するサービスが知られている。メインアドレス及びサブアドレスは関連づけられて登録されており、いずれのアドレス宛にメールが配信された場合でも同じアカウントで受信することができるようになっている。このサービスでは、ユーザがサブアドレスを任意に追加及び削除することができる。したがって、例えば、メインアドレスを秘匿し、公開用としてサブアドレスを使用すれば、仮にサブアドレス宛にスパムメールが送信されるようになったとしても、サブアドレスを削除すれば、スパムメールを排除することが可能となる。
【0006】
【特許文献1】特開2006−323697号公報
【非特許文献1】使い分けアドレス、[online]、NECビッグローブ株式会社、平成19年2月1日、インターネット<URL:http://email.biglobe.ne.jp/tukaiwake/>
【非特許文献2】迷惑メール対策、セーフティーアドレス、[online]、ヤフー株式会社、平成19年2月1日、インターネット<URL:http://antispam.yahoo.co.jp/tools.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前掲の各文献に記載の対策では、既に上記メインアドレス宛にスパムメールが送りつけられている状況においては有効ではない。この場合、メインアドレスを変更或いは無効にすればスパムメールを排除することができるが、これまで友好的に電子メールを受け渡ししていた相手からの電子メールを受信することができなくなるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、メインアドレスを変更或いは無効にすることなく、スパムメールを効果的に排除することが可能な電子メール中継装置、電子メール中継方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明は、電子メールに含まれるアドレス情報に基づいて該電子メールを中継する電子メール中継装置である。この電子メール中継装置は、ユーザごとに設定されたメインアドレス、該メインアドレスに所定の付加情報が付加されてなるサブアドレス、及び上記付加情報が予め登録された第1記憶手段と、上記メインアドレス宛の第1電子メール、及び上記サブアドレス宛の第2電子メールを受信する受信手段と、上記受信手段による電子メールの受信の際に、該電子メールの送信先アドレスに基づいて該電子メールが上記第1電子メールであるか上記第2電子メールであるかを判定する第1判定手段と、上記第1判定手段によって上記第1電子メールであると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスに基づいて受信を許可するか否かを判定する第2判定手段と、上記第2判定手段によって許可された場合に上記受信手段による上記第1電子メールの受信を継続し、上記第2判定手段によって拒否された場合に上記受信手段による上記第1電子メールの受信を中断する受信制限手段とを具備する。
【0010】
これにより、メインアドレス宛の第1電子メールのうち、第2判定手段によって許可されたものだけが受信され、第2判定手段によって拒否されたスパムメールなどの悪質な電子メールは受信されない。これにより、大量のスパムメールから電子メール中継装置を保護することが可能となる。なお、サブアドレス宛の第2電子メールは、これまで通り受信される。電子メール中継装置で受信された電子メールは、その後、メールサーバやクライアント端末などの所定のデバイスへ転送される。
【0011】
(2) 上記受信手段は、上記受信制限手段による制限なく上記第1電子メール及び上記第2電子メールの双方を受信する第1受信モードと、上記受信制限手段によって上記第1電子メールの受信を制限し上記第2電子メールを制限なく受信する第2受信モードとを有する。
【0012】
このように複数の受信モードが設けられているため、ユーザは、電子メールの受信状況に合わせて任意の受信モードを選択することができる。これにより、ユーザの使用勝手がよくなる。
【0013】
(3) 上記第1判定手段は、電子メールの送信先アドレスに上記付加情報が含まれているか否かによって判定する。
【0014】
これにより、第1判定手段は、容易かつ正確に判定を行うことができる。また、その判定結果の信頼性も高まる。
【0015】
(4) 本電子メール中継装置は、所定のアドレスリストが記憶された第2記憶手段を更に備える。この場合、上記第2判定手段は、上記第1電子メールの送信元アドレスが上記アドレスリストに含まれている場合に該第1電子メールの受信を許可する。
【0016】
上記アドレスリストには、例えば、これまで友好的に電子メールを受け渡ししていた相手のメールアドレスが登録される。メインアドレス宛の第1電子メールが送られてきた場合に、第2判定手段によって第1電子メールの送信元アドレスが上記アドレスリストに含まれているかどうかが判定される。そして、送信元アドレスが上記アドレスリストに含まれている場合は、これまで友好的に電子メールを受け渡ししていた相手からの電子メールであると判断し、第1電子メールの受信を許可する。したがって、送信元へサブアドレスを通知しなくても、上記アドレスリストに送信元のアドレスが登録されていれば、これまで通り第1電子メールを受信することができる。
【0017】
(5) 本電子メール中継装置は、上記第1受信モードにおいて上記受信手段によって受信された上記第2電子メールの送信元アドレスを上記アドレスリストに登録するアドレス登録手段を更に備える。
【0018】
これにより、受信を許可したい送信元のメールアドレスを手作業で上記アドレスリストに登録する必要がなくなる。
【0019】
(6) 上記第1記憶手段は、複数の付加情報を少なくとも第1類と第2類とに分類して登録するものである。また、上記アドレス登録手段は、上記第1類もしくは上記第2類のいずれか一方に属する付加情報を含むサブアドレス宛の第2電子メールが上記受信手段によって受信された場合に限って該第2電子メールの送信元アドレスを上記アドレスリストに登録するものである。
【0020】
これにより、上記アドレスリストへの登録を望む送信者へ、いずれかの類に属する付加情報を有するサブアドレスを通知しておけば、上記送信者のアドレスが自動的に上記アドレスリストに登録される。
【0021】
(7) 本電子メール中継装置は、上記第1記憶手段に登録された上記付加情報を所定のルールに基づいて変更する付加情報変更手段を更に備える。
【0022】
(8) 上記付加情報変更手段は、予め定められた期間が経過した場合に上記第1記憶手段に登録された上記付加情報を変更するものである。
【0023】
これによれば、付加情報が自動的に変更されるため、サブアドレスも自動的に更新される。また、更新前のサブアドレス宛にスパムメールが配信されるようになっても、定期的にサブアドレスが更新されるため、サブアドレスを更新する手間を省くことができる。
【0024】
(9) 上記付加情報変更手段は、当該装置に接続された情報端末から所定の情報が入力された場合に上記第1記憶手段に登録された上記付加情報を変更するものである。
【0025】
これによれば、ユーザは、任意の付加情報からなる任意のサブアドレスと設定することが可能となる。
【0026】
(10) 本電子メール中継装置は、上記第2判定手段によって上記第1電子メールの受信を拒否すると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスへ上記第1記憶手段に登録された上記付加情報とともに受信拒否に関するメッセージを返信する返信手段を更に備える。
【0027】
このようなメッセージが送信元へ自動的に返信されるため、送信元へ有効なメールアドレスを通知するという煩わしい手間を省くことができる。
【0028】
(11) 上記サブアドレスは、上記メインアドレスのユーザIDの末尾に上記付加情報が付加されてなるものが好ましい。
【0029】
(12) 上記アドレス情報は、電子メールのエンベローブ部に記載された情報である。
【0030】
電子メールデータは、エンベローブ部とデータ部とから構成されている。電子メールを送受信する際は、最初にエンベローブ部の情報が受け渡しされ、その後にデータ部が送受信される。したがって、エンベローブ部に含まれるアドレス情報に基づいて電子メールを受信するかどうかを判定すれば、仮に受信が拒否された場合でも、データ部を受信する前に電子メール通信を切断することができる。これにより、電子メール中継装置の負担が軽減される。
【0031】
(13) 本発明は、電子メールに含まれるアドレス情報に基づいて該電子メールを中継する電子メール中継装置に適用される電子メール中継方法として捉えることができる。すなわち、予めユーザごとに登録されたメインアドレス宛の第1電子メール、及び該メインアドレスに所定の付加情報が付加されてなるサブアドレス宛の第2電子メールを受信する受信ステップと、上記受信ステップによる電子メールの受信の際に、該電子メールの送信先アドレスに基づいて該電子メールが上記第1電子メールであるか上記第2電子メールであるかを判定する第1判定ステップと、上記第1判定ステップによって上記第1電子メールであると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスに基づいて受信を許可するか否かを判定する第2判定ステップと、上記第2判定ステップによって許可された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を継続し、上記第2判定手段によって拒否された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を中断する受信制限ステップとを具備する電子メール中継方法として本発明を捉えてもよい。
【0032】
(14) また、本発明は、電子メールに含まれるアドレス情報に基づいて該電子メールを管理する電子メール中継装置に適用されるプログラムとして捉えることができる。すなわち、予めユーザごとに登録されたメインアドレス宛の第1電子メール、及び該メインアドレスに所定の付加情報が付加されてなるサブアドレス宛の第2電子メールを受信する受信ステップと、上記受信ステップによる電子メールの受信の際に、該電子メールの送信先アドレスに基づいて該電子メールが上記第1電子メールであるか上記第2電子メールであるかを判定する第1判定ステップと、上記第1判定ステップによって上記第1電子メールであると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスに基づいて受信を許可するか否かを判定する第2判定ステップと、上記第2判定ステップによって許可された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を継続し、上記第2判定手段によって拒否された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を中断する受信制限ステップとを上記電子メール中継装置に実行させるためのプログラムとして本発明を捉えてもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、メインアドレスを変更或いは無効にすることなく、スパムメールを効果的に排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、適宜図面を参照して本発明の一実施形態に係る中継サーバ100(本発明の電子メール中継装置の一例)について説明する。ここに、図1は、中継サーバ100を含むクライアントサーバシステム(CSS:Client Server System)10の構成を示すブロック図である。図2は、中継サーバ100の構成を示すブロック図である。
【0035】
図1に示されるように、本実施形態に係る中継サーバ100は、CSS10に属する。CSS10は、同図に示されるように、クライアント端末20(本発明の情報端末の一例)と、中継サーバ100と、メールサーバ150とによりコンピュータネットワークを構成しており、LANなどのネットワークを介して上記各構成要素が通信可能に接続されている。CSS10は、主として、クライアント端末20と外部のメールサーバ200との間で行われる電子メールの送受信を実現するために構築されたメールサーバシステムである。本実施形態において、中継サーバ100の主たる機能は、電子メールのエンベローブ部のアドレス情報に基づいて外部のメールサーバ200から送信されてきた電子メールがスパムメールであるかどうかを判定し、スパムメールであると判定された場合は電子メールのデータ部を受信する前にSMTPセッションを閉じ、正常なメールであると判定された場合は電子メールの全てのデータを受信してメールサーバ150へ転送することにある。以下に、CSS10を構成するクライアント端末20、メールサーバ150、中継サーバ100の各構成について順次説明する。
【0036】
クライアント端末20は、パーソナルコンピュータやPDA、携帯電話などのコンピュータ(電子計算機)である。クライアント端末20には、電子メールの送受信を可能とする電子メールソフトがインストールされている。電子メールソフトは、RFC(Request For Comment)で規定されたSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)やPOP3(Post Office Protocol 3)或いはIMAP(Internet Message Access Protocol)などのプロトコルにしたがってメールサーバ150との間で電子メールの送受信を行うソフトウェアである。一般に、上記電子メールソフト或いは電子メールソフトを動作させるシステムは、MUA(Mail User Agent)と呼ばれている。
【0037】
CSS10を利用するユーザには、電子メールソフトで電子メールの送受信をする際に必要なメールアドレスがCSS10の管理者から予め付与されている。本実施形態では、CSS10の管理者が後述するメインアドレス111及びサブアドレス112(図2参照)を各ユーザごとに割り当てている。ユーザは、クライアント端末20を操作して、予め設定登録されたメールアカウントでメールサーバ150にアクセスすることによって、メールサーバ150を介して、或いはメールサーバ150及び中継サーバ100双方を介して、CSS10の内部或いは外部に属する端末との間で電子メールを送受信することができる。本実施形態では、CSS10の外部からCSS10に送られてくる全ての電子メールが、中継サーバ100を通過するようシステム設計されている。中継サーバ100を電子メールが通過する際に、該中継サーバ100においてスパムメールが検出されて、CSS10へのスパムメールの侵入が防止されるようになっている。スパムメールを排除する処理手順については後述する。
【0038】
また、ユーザには、中継サーバ100にアクセスできる権限が付与されている。ユーザは、クライアント端末20を操作して、中継サーバ100が提供する後述の設定画面(キー設定画面33や受信モード設定画面36等)にパスワード認証手続きを経てアクセスすることができる。クライアント端末20から中継サーバ100へのアクセスには、例えば、クライアント端末20のWebブラウザを通じてHTTP(HyperText Transfer Protocol)にしたがって行われる。この場合、中継サーバ100は、Webサーバの役割を担う。ユーザは、上記設定画面において、電子メール通信に関するユーザのプロファイルの一部や受信モードの設定内容を変更することができる。本実施形態では、プロファイルとしてサブアドレス112や後述するホワイトリスト115、キー113などが登録されており、これらの内容をユーザが任意に変更することができる。なお、プロファイル及び上記設定画面については後述する。
【0039】
中継サーバ100及びメールサーバ150は、電子メール通信の際に送受信される電子メールや電子メール通信の際に利用されるデータベース等の情報資源、電子メール通信に用いられるモデムやHDDなどのハードウェア資源などを集中的に管理するコンピュータである。中継サーバ100とメールサーバ150との間はLANで接続されており、中継サーバ100はインターネット12に接続されている。なお、本実施形態では、説明の便宜上、中継サーバ100のドメイン名が「abc.co.jp」に設定され、メールサーバ200のドメイン名が「xyz.com」に設定されているものとする。
【0040】
メールサーバ150は、中継サーバ100とクライアント端末20との間で電子メールを中継し、且つ、送受信される電子メールを蓄積するためのサーバ装置であり、MTA(Mail Transfer Agent)154と、メールボックス155と、MRA(Mail Retrieval Agent)156とを備える。以下、メールサーバ150の各部について簡単に説明する。
【0041】
メールボックス155は、送受信される電子メールを一時的に蓄積して保管する領域である。このメールボックス155は、例えば、HDDなどの記憶装置に各ユーザごとに割り当てられている。メールボックス155は、ユーザIDごとに設けられている。
【0042】
MRA156は、メールボックス155に貯えられた電子メールをクライアント端末20のメールソフトに認識させるものである。つまり、クライアント端末20のメールソフトから受信要求があった場合に、MRA156は、メールボックス155に対応付けて登録されていたユーザIDとユーザのアカウント情報とを照合して、その結果、ユーザIDが一致する場合に、メールボックス155内の電子メールをクライアント端末20に届ける。MRA156の代表例としては、例えば、POPサーバソフトウェアやIMAPサーバソフトウェア、或いはこれらのソフトウェアを動作させるハードウェアシステムが該当する。
【0043】
MTA154は、SMTPの手順にしたがって電子メールを所定のデバイスに送信するものであり、SMTPサーバの役割を担う部分である。具体的には、MTA154は、インターネット12を通じてSMTPにしたがって外部のメールサーバ200へ電子メールを送信する。また、MTA154は、後述するMTA106から送られてきた電子メールをSMTPにしたがって受信する。なお、外部のメールサーバ200からCSS10へ送られてきた電子メールは後述するMTA106で受信される。
【0044】
MTA154は、MDA(Mail Delivery Agent)153を有している。MDA153は、MTA106やクライアント端末20から送られてきた電子メールをユーザIDごとに振り分けて、対応するメールボックス155に格納する役割を担う。MDA153の代表例としては、例えば、「mail.local」、「procmail」、「maildrop」などのソフトウェア、或いは、これらソフトウェアを動作させるハードウェアシステムが該当する。
【0045】
中継サーバ100は、該中継サーバ100に送信されてきた電子メールを受信してCSS10内のメールサーバ150に転送するものである。つまり、中継サーバ100は送信されてきた電子メールをメールサーバ150へ中継するものである。
【0046】
以下、図2を参照して、中継サーバ100の構成について詳細に説明する。
中継サーバ100は、主制御部101と、本発明の第1記憶手段および第2記憶手段の一例であるプロファイルボックス110と、リジェクトボックス120とを有する。また、主制御部101は、MTA106と、アドレス登録部102と、キー変更部103と、設定画面表示部103とを有する。
【0047】
プロファイルボックス110は、ユーザごとのプロファイル(電子メールに関するユーザ情報)が登録された記憶領域であり、HDDなどの記憶装置に各ユーザごとに割り当てられている。また、リジェクトボックス120は、MTA106によって受信拒否された電子メールデータが格納される記憶領域であり、HDDなどの記憶装置に割り当てられている。
【0048】
本実施形態では、プロファイルボックス110に、メインアドレス111、サブアドレス112、キー(KEY)113、応答メッセージ114、ホワイトリスト115、ブラックリスト116のほか、電子メールの受信ルールを定める受信モードの設定内容などがプロファイルとして格納されている。以下、これらの用語について簡単に説明する。
【0049】
メインアドレス111は、CSS10(図1参照)を利用するユーザを識別するためのユーザID(例えば「hanako」)と中継サーバ100のドメイン名「abc.co.jp」とからなるメールアドレス(例えば「hanako@abc.co.jp」)である。ユーザIDは、予めユーザごとに設定されたユニークな文字列からなる。ユーザIDは、CSS10の管理者から発行される。ユーザIDは、ユーザによって任意に変更されることを予定して発行されるものではなく、原則として変更することができないものである。したがって、ユーザはメインアドレス111を任意に変更することはできない。
【0050】
サブアドレス112は、メインアドレス111にキー113が付加されることにより構成されたメールアドレスである。例えば、「main」という文字列からなるキー113が付加情報としてプロファイルボックス110に登録されている場合は、サブアドレス112は、メインアドレス111(例えば「hanako@abc.co.jp」)のユーザIDの末尾にキー113「main」が付加されてなるメールアドレス(例えば「hanako-main@abc.co.jp」)となる。キー113が変更されると、サブアドレス112も変更される。サブアドレス112はメインアドレス111と共通するユーザIDによって互いに関連づけられて登録されている。したがって、いずれのアドレス宛の電子メールが送信されてきたとしても、その電子メールが受信されると、メールサーバ150に転送されて、MTA154のMDA153によって同じメールボックス155(図1参照)に格納される。
【0051】
本実施形態では、ユーザIDとキー113とを区切ってそれぞれを別々に識別可能にするために、ユーザIDとキー113との間にハイフン「−」が付けられている。なお、ハイフン「−」に代えてドット「.」やアンダースコア「_」を用いてもよい。
【0052】
キー113は、本発明の付加情報に相当するものであり、サブアドレス112を構成するための識別子の一つである。このキー113は、変更されることを予定して設定されたものである。例えば、ユーザによって任意に変更可能であり、或いは、所定の条件を満たした場合に自動的に変更される。本実施形態では、キー113は、月次キー113Aと、一時キー113Bと、ホワイトキー113Cと、公開キー113Dとに分類されてプロファイルボックス110に登録されている。
【0053】
月次キー113Aは、月が変わるごとに変更されるキーである。この月次キー113Aは、所定のルールに基づいて自動的に変更される。具体的には、中継サーバ100が有するカレンダー機能に連動して月次キー113Aが変更される。例えば、表1に示されるように、1月から12月の全12月に対応したキー(1〜12)が設定登録されている場合は、上記カレンダー機能が示す月に対応したキーが当月に利用可能なキーとして設定される。例えば、カレンダー機能が「2月」を示している場合は、当月(つまり2月)に利用可能な月次キー113Aは「2」である。この場合、ユーザは、当月中に限り、「hanako-2@abc.co.jp」というサブアドレス112を利用することが可能である。なお、後述の設定画面表示部104が提供するキー設定画面33(図3参照)にアクセスすることによって、ユーザは月次キー113A自体を任意に変更することが可能である。
【0054】
【表1】
【0055】
一時キー113Bは、一時的に利用する用途として設定登録されるキーである。例えば、オンラインショッピングやメールマガジン、懸賞サイトなどのネットサービスを利用する際に、Webサイトにメールアドレスを登録する必要が生じた場合に、この一時キー113Bとメインアドレス111とから構成されるサブアドレス112が使用される。この一時キー113は、後述の設定画面表示部104が提供するキー設定画面33(図3参照)にアクセスすることによってユーザが任意に設定・変更・削除することが可能である。本実施形態では、表2に示されるように、一時キー113Bとして12個のキー(No.1〜No.12)を登録することが可能である。なお、表2では、No.1の一時キーとして「temp」が設定され、No.2の一時キーとして「book」が設定され、No.3の一時キーとして「ticket」が設定されている。これらの一時キー113Bが設定されることにより、ユーザは、サブアドレス112として、「hanako-temp@abc.co.jp」、「hanako-book@abc.co.jp」、「hanako-ticket@abc.co.jp」の3つのアドレスを利用することが可能となる。
【0056】
【表2】
【0057】
ホワイトキー113Cは、メインアドレス111に代替して利用するサブアドレス112を作成するためのキーである。このホワイトキー113Cは、用途が一時キー113Bと異なるだけで、表2に示されるように、登録可能なキーの数や、任意に設定・変更・削除することが可能である点が共通する。ホワイトキー113Cが一時キー113Bと異なるところは、後述するアドレス登録部103によりホワイトリスト115へ送信元アドレスを登録する処理が行われる際の判定処理にホワイトキー113Cの有無が判定要素として用いられる点である。
【0058】
公開キー113Dは、一般に公開されることを目的として利用されるキーである。例えば、CSS10で管理されるWebサイトに公開したり、送信元からの要求により通知することにより公開される。本実施形態では、公開キー113Dは、表2に示されるように、1つだけ登録することが可能である。もちろん、複数の公開キー113Dの登録を可能にしてもかまわない。また、公開キー113Dとして、例えば、一時キー113Bやホワイトキー113Cと同一のキーを設定することも可能である。公開キー113Dの利用例については後述する。
【0059】
中継サーバ100では、電子メールの受信手法として、以下の3つの受信モードを設定することができる。具体的には、メインアドレス111宛の電子メール(本発明の第1電子メールに相当)だけを受信可能な従来の受信モード、キー113の設定を有効にしてメインアドレス111宛の電子メールとサブアドレス112宛の電子メール(本発明の第2電子メールに相当)の双方を受信可能な受信モード(以下「第1受信モード」と称する。)、サブアドレス112宛の電子メールだけを受信可能な受信モード(以下「第2受信モード」と称する)がある。これらの各受信モードは、後述の設定画面表示部104が提供する設定画面(キー設定画面33や受信モード設定画面36)で任意に切り換えることができる。なお、本実施形態では、第1受信モード及び第2受信モードのいずれかに受信モードが設定された場合に本発明が適用され得る。
【0060】
本実施形態では、第2受信モードにおいてメインアドレス111宛の電子メールが送信されてきたときに、中継サーバ100によってその受信が拒否される場合がある。この場合、MTA106によって、電子メールの送信元へ自動的にエラー通知(エラーメッセージ)が返信される。このとき、プロファイルボックス110に応答メッセージ114が登録されている場合は、当該応答メッセージ114そのものがエラー通知として送信元へ返信される。応答メッセージ114には、公開キー113Dと、これを用いてサブアドレス112を作成する方法が記載されている。したがって、この応答メッセージ114を受けとった送信者は、作成したサブアドレス112宛に電子メールを送信することにより、所望する送信先に電子メールを確実に届けることができる。このように、サブアドレス112を直接に応答メッセージ114に添付しないため、アドレス収集ロボットによってサブアドレス112が収集されることはない。応答メッセージ114の内容や、メッセージの自動返信の設定は、後述の設定画面表示部104が提供する受信モード設定画面36(図6参照)で変更することができる。なお、公開キー113Dを記載せずに、公開キー113Dが公開されているURLを応答メッセージ114に記載してもよい。
【0061】
ホワイトリスト115およびブラックリスト116は、それぞれ、所定のアドレスが記載されたリストである。これらのリストは、中継サーバ100に送信されてきた電子メールを受信する際に参照される。詳細には、ホワイトリスト115には、受信を許可してもよい送信者のメールアドレスが予め登録されている。一方、ブラックリスト116には、受信を拒否する送信者のメールアドレスが予め登録されている。ホワイトリスト115及びブラックリスト116は、後述の設定画面表示部104が提供するホワイトリスト画面35(図5参照)及びブラックリスト画面34(図4参照)にアクセスすることによってユーザが任意に変更・削除することが可能である。なお、ホワイトリスト115及びブラックリスト116の利用例については後述する。
【0062】
主制御部101は、中継サーバ100の各構成要素を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの電子デバイスによって構成されている。主制御部101によって中継サーバ100上で所定のOSが稼働される。そして、このOSが稼働された環境下においてROM内のプログラムが主制御部101により実行されることによって、MTA106が本発明の第1判定手段、第2判定手段、受信制限手段、アドレス更新手段、及び返信手段として具現化され、アドレス登録部102が本発明のアドレス登録手段として具現化され、キー変更部103が付加情報変更手段として具現化され、設定画面表示部104が具現化される。
【0063】
MTA106は、SMTPの手順にしたがって電子メールを送受信するものであり、SMTPサーバの役割を担う部分である。具体的には、MTA106は、外部のメールサーバ200からインターネット12を通じて送信されてきた電子メールや、クライアント端末からLANを通じて送信されてきた電子メールをSMTPにしたがって受信する。また、受信した電子メールをLANを通じてSMTPにしたがってメールサーバ150へ送信(転送)する。本実施形態では、MTA106によって電子メールが受信される際に、電子メールのエンベローブ部に記載されたアドレス情報(送信先アドレス及び送信元アドレス)を参照し、このアドレス情報に基づいて当該電子メールを受信するかどうかが判断される。なお、電子メールを受信する処理については、後段においてフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0064】
アドレス登録部102は、プロファイルボックス110のホワイトリスト115に所定のアドレスを登録する機能を担う部分である。このアドレス登録部102は、例えば、上記アドレスを登録する処理を行うソフトウェアや、該ソフトウェアを動作させるハードウェアシステムとして構成される。本実施形態では、ホワイトキー113Cを有するサブアドレス112宛の電子メールがMTA106で受信された場合に限り、当該電子メールの送信元のアドレスがアドレス登録部102によってホワイトリスト115に自動的に登録される。かかる登録処理については後述する。
【0065】
キー変更部103は、プロファイルボックス110のキー113を変更する機能を担う部分である。このキー変更部103は、例えば、キー113の変更処理を行うソフトウェアや、該ソフトウェアを動作させるハードウェアシステムとして構成される。キー変更部103は、後述するキー設定画面33(図3)において一時キー113B、ホワイトキー113C、公開キー113Dが編集された場合に、その編集内容でプロファイルボックス110内のキー113を更新する。また、キー変更部103は、中継サーバ100が有するカレンダー機能に連動して、上記カレンダー機能が示す月に対応したキーを当月で利用可能なキーとして自動的に設定する。
【0066】
設定画面表示部104は、図3から図6に示されるキー設定画面33、ブラックリスト画面34、ホワイトリスト画面35、受信モード設定画面36をクライアント端末20のディスプレイに表示にする機能を担う部分である。この設定画面表示部104は、Webサーバとして動作する中継サーバ100のWWWシステムによって実現される。ユーザは、クライアント端末20を操作して中継サーバ100の設定画面表示部104にアクセスし、要求された認証IDやパスワードを入力することによって、ユーザ固有のプロファイルや設定内容が反映された画面がクライアント端末20に表示される。これらの画面は、GUI(Graphical User Interface)で作成されており、ユーザはクライアント端末20のキーボードやマウスなどを操作することにより、各画面に所定の情報や設定を入力することができる。
【0067】
各画面33,34,35,36は、共通して、左側に配置されたメニューペイン40と右側に配置された編集ペイン41とに区画されている。メニューペイン40には、「キー設定」、「ブラックリスト」、「ホワイトリスト」、「受信モード設定」と表記されたリンクボタン42,43,44,45が配置されている。これらのボタンは、マウスなどで選択可能に構成されている。
【0068】
ボタン43が選択されると、図3に示されるキー設定画面33が表示される。ここに、図3は、キー設定画面33の構成を示す画面図である。キー設定画面33は、キー113を有効にしてサブアドレス112を使用可能にするかどうかを設定するための画面である。また、キー113を編集するための画面でもある。図3に示されるように、編集ペイン41の上部には、キー113の設定を有効または無効にするためのボタン50が配置されている。図3には、キー113が有効に設定された状態が示されている。ボタン50がマウスなどで選択されるとキー113の設定が無効にされ、サブアドレス112が不使用となる。これにより、電子メールの受信モードが通常の受信モード、つまり、メインアドレス111宛の電子メールだけを受信可能なモードに設定される。再びボタン50が選択されると、キー113の設定が有効となり、サブアドレス112が使用可能な状態に変更される。これにより、電子メールの受信モードが上記第1受信モード、つまり、メインアドレス111宛の電子メールとサブアドレス112宛の電子メールの双方を受信可能なモードに設定される。
【0069】
キー設定画面33の編集ペイン41には、月次キー113A、一時キー113B、ホワイトキー113C、公開キー113Dが表示される。これらの各キーは、ボタン43が選択されたときにプロファイルボックス110から読み出されて編集ペイン41に表示される。編集ペイン41には、月次キー113A、一時キー113B、ホワイトキー113C、公開キー113Dに対応して窓52が設けられている。窓52は、データの入力を受け付けることが可能に構成されている。これらの窓52に、プロファイルボックス110から読み出された各キーが表示される。本実施形態では、図3に示されるように、表1及び表2に記載されたキーが各窓52に表示されている。
【0070】
各キー113に対応する窓52に任意の文字列からなるキーが入力され、その後、ボタン54が選択されると、入力後の編集ペイン41のデータがキー変更部103に転送される。そして、キー変更部103によって、入力後の内容がプロファイルボックス110に登録される。これにより、プロファイルボックス110の登録内容が更新される。
【0071】
ボタン44が選択されると、図4に示されるブラックリスト画面34が表示さる。ここに、図4は、ブラックリスト画面34の構成を示す画面図である。図4に示されるように、ブラックリスト画面34の編集ペイン41には、ブラックリスト116が表示されている。ボタン44が選択されたときに、プロファイルボックス110に登録されたブラックリスト116が読み出されて編集ペイン41に表示される。編集ペイン41の上部には、データの入力を受け付ける窓56が設けられている。窓56にブラックリストとして登録すべきアドレスが入力され、窓56の右側に配置された追加ボタン58が選択されると、入力されたアドレスがブラックリスト116に追加される。これにより、プロファイルボックス110に格納されたブラックリスト116が更新される。また、窓56に検索対象となるアドレスが入力され、検索ボタン59が選択されると、ブラックリスト116に登録されているアドレスの検索が可能となる。ブラックリスト116の各アドレスには、チェックボックス61が設けられている。このチェックボックス61がチェックされ、削除ボタン62が選択されると、チェックされたアドレスが削除される。
【0072】
ボタン45が選択されると、図5に示されるホワイトリスト画面35が表示される。ここに、図5は、ホワイトリスト画面35の構成を示す画面図である。図5に示されるように、ホワイトリスト画面35の編集ペイン41には、ホワイトリスト115が表示されている。ボタン45が選択されたときに、プロファイルボックス110に登録されたホワイトリスト115が読み出されて編集ペイン41に表示される。編集ペイン41の上部には、データの入力を受け付ける窓66が設けられている。窓66にホワイトリストとして登録すべきアドレスが入力され、窓66の右側に配置された追加ボタン68が選択されると、窓66に入力されたアドレスがホワイトリスト115に追加される。これにより、プロファイルボックス110に格納されたホワイトリスト115が更新される。また、窓66に検索対象となるアドレスが入力され、検索ボタン69が選択されると、ホワイトリスト115に登録されているアドレスの検索が可能となる。ホワイトリスト115の各アドレスには、チェックボックス71が設けられている。このチェックボックス71がチェックされ、削除ボタン72が選択されると、チェックされたアドレスが削除される。なお、ホワイトリスト画面35には既知のインポート機能があり、予め所定のアドレスが登録されたファイルを読み込むことによって、当該ファイルのアドレスをホワイトリスト115にインポートすることができる。
【0073】
ボタン46が選択されると、図6に示される受信モード設定画面36が表示される。ここに、図6は、受信モード設定画面36の構成を示す画面図である。受信モード設定画面36は、電子メールの受信モードを上記第1受信モードから上記第2受信モード(キー113を含むサブアドレス112宛の電子メールのみを受信するモード)に設定するための画面である。また、応答メッセージの自動返信を有効にするかどうかを設定するための画面でもある。図6に示されるように、編集ペイン41の上部には、ボタン75が配置されている。このボタン75が選択されると、電子メールの受信モードが上記第1受信モードから上記第2受信モードに設定される。このときボタン75の左側に「ロック:有効」と表示されるが、これは、上記第2受信モードに設定されたことを意味する。
【0074】
ボタン75の右側には、応答メッセージの自動返信を有効にするかどうかを設定するためのボタン76が配置されている。ボタン76が選択されると自動返信の設定が無効にされる。そして、再びボタン76が選択されると、自動返信の設定が有効となる。
【0075】
受信モード設定画面36の編集ペイン41には、上下二段に区画された入力窓78,79が設けられている。上段の入力窓78は、日本語の応答メッセージを入力するためのものであり、下段の入力窓79は、英語の応答メッセージを入力するためのものである。これら入力窓78,79に所定のメッセージが入力され、その後、保存ボタン81が選択されると、入力されたメッセージがプロファイルボックス110に応答メッセージ114として登録される。つまり、プロファイルボックス110の応答メッセージ114が更新される。入力窓78,79に所定のメッセージが入力されている場合に、電子メールの受信拒否の際に当該メッセージが読み出されて、送信元へ返信される。入力窓78,79にメッセージが入力されていない場合、つまり、応答メッセージ114が登録されていない場合は、通常のエラーメッセージ(例えば、「User Unknown・・・」)が返信される。
【0076】
続いて、図7から図13のフローチャートを参照して、CSS10に送信されてきた電子メールの中継処理、ホワイトリスト登録処理、及び応答メッセージ返信処理の手順の一例について説明する。図中のS1、S2、…は処理手順(ステップ)の番号を示す。なお、特に言及しない限り、以下の処理は中継サーバ100のMTA106によって行われるものとする。
【0077】
まず、図7のステップS1において、電子メールの送信元から中継サーバ100へのアクセスが正当かどうかを判定するアクセスチェック処理(図8参照)が行われる。アクセスチェック処理は、中継サーバ100を踏み台として他のメールサーバなどにスパムメールを配信する不正な中継を防止するために行われる。
【0078】
アクセスチェック処理は、図8に示されるように、まず、ステップS21において、電子メールの送信元がCSS10に属しない者、つまり、部外者かどうかが判定される。かかる判定は、電子メールのエンベローブ部の「Mail From」に記載された送信元アドレスに基づいて判定される。具体的には、プロファイル110に登録されている全てのユーザIDと上記送信元アドレスとを照合して、送信元アドレスにユーザIDが含まれているか否かが判定される。ユーザIDが上記送信元アドレスに含まれている場合は、送信元がローカル、つまり、CSS10に属する内部者と判定される。一方、ユーザIDが上記送信元アドレスに含まれていない場合は、送信元が部外者と判定される。ステップS21において、送信元が部外者であると判定されるとステップS22に進み、送信元が内部者であると判定されるとステップS24に進む。
【0079】
ステップS22では、電子メールの送信先が部外者かどうかが判定される。かかる判定は、電子メールのエンベローブ部の「Rcpt To」に記載された送信先アドレスに基づいて判定される。具体的には、プロファイル110に登録されている全てのユーザIDと上記送信先アドレスとを照合して、送信先アドレスにユーザIDが含まれているか否かが判定される。ユーザIDが上記送信先アドレスに含まれている場合は電子メールの送信先がローカル、つまり、CSS10に属する内部者と判定される。ユーザIDが上記送信先アドレスに含まれていない場合は、送信先が部外者と判定される。
【0080】
ステップS21及びステップS22で送信元及び送信先の双方が部外者であると判定された場合は、送信元から送信される電子メールは、中継サーバ100を踏み台とするスパムメールであると判断できる。したがって、当該電子メールを送信するために中継サーバ100に対してなされたアクセスは不正であると判断できる。この場合は、不正アクセスが発生していることを示す戻りコード(不正アクセス戻りコード)が主制御部101のCPUのレジスタにセットされる(S25)。これにより、一連のアクセスチェック処理が終了する。
【0081】
一方、ステップS22において、送信先がローカルであると判定されると(S22のYes)、次に、送信元アドレスがブラックリスト116に登録されているかどうかが判定される。ここで、登録されていないと判定された場合は、ステップS24において、アクセスが正常であることを示す戻りコード(正常アクセス戻りコード)がセットされて、一連のアクセスチェック処理が終了する。
【0082】
図7のステップS1のアクセスチェック処理が終了すると、ステップS2では、ステップS24またはS25(図8参照)でセットされた戻りコードに基づいて、送信元から中継サーバ100に対するアクセスが正当であるか不正であるかか判定される。つまり、送信元が中継サーバ100へ送信する電子メールがスパムメールであるかどうかが判定される。
【0083】
上記不正アクセス戻りコードがセットされている場合は(S2のNo)、不正アクセスから中継サーバ100を保護するため、送信元と中継サーバ100との間のネットワーク通信が強制的に切断される(S9)。つまり、送信元と中継サーバ100との間で行われていたSMTPのセッションが中断する。これにより、電子メールの中継処理が終了する。なお、この時点では、電子メールのエンベローブ部のみが受信され、そのデータ部(メッセージや添付ファイルが含まれている部分)は受信されない。なお、受信されたエンベローブ部は、リジェクトボックス120に一時的に格納される。もちろん、リジェクトボックス120に格納せずに完全に消去してもよい。
【0084】
一方、正当アクセス戻りコードがセットされている場合は、正当アクセスであると判定される(S2のYes)。この場合、ステップS3の処理が実行される。
【0085】
ステップS3では、キーの設定が有効かどうかが判定される。具体的には、キー設定画面33(図3参照)においてキーが有効に設定されたかどうかにより判定される。キー設定画面33でキーの設定が有効或いは無効に設定されると、設定フラグがCPUのフラグレジスタにセットされる。ステップS3では、この設定フラグに基づいてキーの設定が有効かどうかが判定される。
【0086】
ステップS3において、キーの設定が無効であると判定されると(S3のNo)、後述の中継許可判定処理を行わずに、送信されてきた電子メールがMTA106(図2参照)によって通常の受信モードで中継される(S4)。この場合、キーが無効に設定されているため、サブアドレス112は電子メールのアドレスとして認識されない。したがって、ステップS4では、メインアドレス111宛の電子メールのみがMTA106によって受信されて、メールサーバ150のMTA154(図1参照)へ転送される。
【0087】
ステップS3において、キーの設定が有効であると判定されると(S3のYes)、続いて、S5において、電子メールの中継を許可するかどうかを判定するための中継許可判定処理(図9参照)が実行される。
【0088】
中継許可判定処理は、図9に示されるように、まず、ステップS31において、電子メールの送信先アドレスに登録されたキー113が含まれているかどうかが判定される。かかる判定は、送信先アドレスに含まれている「−」以降の文字列を抽出し、抽出された文字列とプロファイルボックス110に登録されているキー113とを照合することによって行われる。照合の結果、一致すればキー113が含まれていると判定され、不一致であればキー113が含まれていないと判定される。
【0089】
ステップS31において、キー113が送信先アドレスに含まれていないと判定されると(S31のNo)、続いて、電子メールの受信モードが上記第2モードであるかどうかが判定される(S32)。上述の受信モード設定画面36(図6参照)において、ユーザが電子メールの受信モードを上記第1受信モードから上記第2受信モードに設定すると、設定フラグがCPUのフラグレジスタにセットされる。ステップS32では、この設定フラグに基づいて電子メールの受信モードの設定状態が判別される。
【0090】
ステップS32で、第2受信モードに設定されていると判定された場合は(S32のYes)、次のステップS33において、電子メールの送信元アドレスがホワイトリスト115に登録されているかどうかが判定される。かかる判定は、送信元アドレスとホワイトリスト115とを照合することにより行われる。ここで、送信元アドレスがホワイトリスト115に登録されていないと判定されると(S33のNo)、次のステップS34で、電子メールの中継を拒否する指示する戻りコード(中継拒否戻りコード)がCPUのレジスタにセットされる。これにより、一連の中継許可判定処理が終了する。なお、ステップS32において、第2受信モードに設定されていないと判定された場合(S32のYes)、そして、ステップS33において、送信元アドレスがホワイトリスト115に登録されていると判定された場合(S33のYes)は、後述するステップS37に進む。
【0091】
一方、ステップS31において、キー113が送信先アドレスに含まれていると判定されると(S31のYes)、続いて、そのキー113がホワイトキー113Cであるかどうかが判定される(S35)。かかる判定は、当該キー113とプロファイルボックス110に登録されたホワイトキー113Cとを照合することにより可能である。ここで、送信先アドレスに含まれるキー113がホワイトキー113Cであると判定されると(S35のYes)、ホワイトリストに送信元アドレスを登録する処理(アドレス登録処理)がアドレス登録部102によって実行される(S36)。その後、次のステップS37で、電子メールの中継を許可する指示する戻りコード(中継許可戻りコード)がCPUのレジスタにセットされる。また、ステップS35において、キー113がホワイトキー113Cでないと判定された場合は(S35のNo)、アドレス登録処理を行うことなく、中継許可戻りコードがセットされる(S37)。これにより、一連の中継許可判定処理が終了する。なお、アドレス登録処理については後述する。
【0092】
図7のステップS5の中継許可判定処理が終了すると、次のステップS6では、ステップ37またはS34(図9参照)でセットされた戻りコードに基づいて、送信元から送られてくる電子メールの中継を許可するかどうかが判定される。上記中継許可戻りコードがセットされている場合は、ステップS7に進み、中継を許可された電子メール(許可メール)を中継する処理(許可メール中継処理)が実行される。また、上記中継拒否戻りコードがセットされている場合は、ステップS8に進み、電子メールのデータ部を受信せずに送信元へエラー通知を送信する処理(エラー通知処理、図11参照)が実行される。なお、ステップS7及びステップS8の処理の後に、一連の中継処理が終了する。
【0093】
上記許可メール中継処理は、図10に示されるように、まず、電子メールのエンベローブ部に続いてデータ部が受信される(S51)。データ部が受信されると、つまり、電子メールの全データが受信されると、続いて、エンベローブ部の「Rcpt To」に記載された送信先アドレスからハイフン「−」とキー113が除去される(S52)。言い換えれば、エンベローブ部の「Rcpt To」の記載内容が、元の送信先アドレスからハイフン「−」及びキー113が除去された新たなアドレスに書き換えられる。なお、データ部には、例えばディスプレイ表示などに使用されるヘッダー情報が含まれており、このヘッダー情報にも送信先及び送信元のアドレスが含まれているが、ステップS52では、当該ヘッダー情報のアドレスは書き換えられない。
【0094】
そして、送信先アドレスが書き換えられた電子メールがメールサーバ150(図1参照)へ転送される(S53)。なお、メールサーバ150へ転送された電子メールは、エンベローブ部の情報を基にして、MTA154によってユーザIDに対応するメールボックス156に格納される。
【0095】
上記エラー通知処理は、図11に示されるように、まず、電子メールの受信が中断される(S41)。つまり、ステップS6で電子メールの中継を拒否すると判定されると、直ぐに、電子メールの受信が中断される。上述したように、中継許可判定処理は、データ部よりも先に受信されるエンベローブ部に基づいて行われる。そのため、電子メールのデータ部を受信する前に電子メールの受信を中断させることができる。これにより、スパムメールが送信されてきた場合でも、電子メールデータを全て受信しないため、中継サーバ100の負担が軽減する。
【0096】
次に、プロファイル110(図2参照)に応答メッセージ114が登録されているかどうかが判定される(S42)。ステップS42において応答メッセージ114が登録されていると判定された場合は(S42のYes)、当該応答メッセージ114がプロファイル110から読み出される。そして、応答メッセージ114が書き込まれた電子メールが自動的に生成され、該電子メールが自動的に送信元へ返信される(S43)。なお、本実施形態では、電子メールの送信の際に、送信元アドレスのドメイン名に「jp」が含まれているかどうかが判定され、「jp」が含まれていると判定された場合は、入力窓78に記載された日本文のメッセージが電子メールに書き込まれ、「jp」が含まれていないと判定された場合は、入力窓79に記載された英文のメッセージが電子メールに書き込まれる。
【0097】
一方、ステップS42において応答メッセージ114が登録されていないと判定された場合は(S42のNo)、続いて、公開キー113Dが登録されているかどうかが判定される(S44)。公開キー113Dが登録されている場合は、MTA106で予め用意されている応答コード、或いはSMTPで定められたエラーコードに公開キー113Dが付加されたサブアドレス112が埋め込まれる(S45)。そして、上記サブアドレス112が埋め込まれた上記応答コードまたは上記エラーコードが送信元へ返信される(S46)。なお、公開キー113Dに代えて、例えば月次キー113Aの登録の有無を判定し、登録されている場合に月次キー113Aが付加されたサブアドレス112を含む上記応答コードまたは上記エラーコードを送信元へ返信するようにしてもかまわない。公開キー113Dが登録されていない場合は(S44のNo)、サブアドレス112を埋め込むことなく、上記応答コードまたは上記エラーコードが送信元へ返信される(S46)。
【0098】
このような応答メッセージ114、或いはサブアドレス112を含む応答コードまたは上記エラーコードを受けとった送信元では、所望する宛先の有効なメールアドレスを知ることができる。この場合、送信元において、電子メールを上記サブアドレス112宛へ再送する処理が行われることが期待できる。一方、電子メールの送信元がスパムメールなどを自動的に配信する配信ロボットである場合は、当該配信ロボットが宛先を上記サブアドレス112に変更することはないと考えられる。つまり、配送ロボットから上記サブアドレス112宛に電子メールが再送されることはない。
【0099】
このように、本実施形態において上述の中継処理が行われるため、メインアドレス111を変更或いは無効にしなくても、受信を望む送信元からのアドレスを確実に受信し、受信を望まない送信元からの悪質なスパムメールを確実に遮断することができる。
【0100】
ここで、図12を参照して、上記アドレス登録処理について説明する。このアドレス登録処理は、MTA106からの指令を受けてアドレス登録部102によって実行される。同図に示されるように、まず、電子メールの送信元アドレスがプロファイル110内のホワイトリスト115に登録されているかどうかが判定される(S51)。かかる判定処理は、上記送信先アドレスとホワイトリスト115に登録されている全てのアドレスとを照合することにより行われる。送信元アドレスがホワイトリスト115に登録されている場合は(S51のYes)、アドレス登録処理が終了する。一方、送信元アドレスがホワイトリスト115に登録されていない場合は(S51のNo)、ステップS52で電子メールのエンベローブ部から送信元アドレスが抽出され、抽出された送信元アドレスがホワイトリスト115に適したデータに変換され(S53)、その後、ホワイトリスト115に書き込む処理が行われる(S54)。
【0101】
このように、ホワイトリスト115にアドレスが自動的に登録されるため、CSS10のユーザは、手作業による煩わしいアドレス登録作業を行うことを要しない。
【0102】
なお、上述した実施形態では、CSS10において、中継サーバ100とメールサーバ150とが独立したデバイスで構成されているが、例えば、メールサーバ150に中継サーバ100が含まれた構成、つまり、メールサーバ150と中継サーバ100とが同一のサーバ装置で実現された構成を採用してもかまわない。もちろん、上記実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲でその実施形態を適宜変更することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、中継サーバ100を含むCSS10の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、中継サーバ100の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、キー設定画面33の構成を示す画面図である。
【図4】図4は、ブラックリスト画面34の構成を示す画面図である。
【図5】図5は、ホワイトリスト画面35の構成を示す画面図である。
【図6】図6は、受信モード設定画面36の構成を示す画面図である。
【図7】図7は、MTA106で実行される中継処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【図8】図8は、MTA106で実行されるアクセスチェック処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【図9】図9は、MTA106で実行される中継許可判定処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【図10】図10は、MTA106で実行される許可メール中継処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【図11】図11は、MTA106で実行されるエラー通知処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【図12】図12は、アドレス登録部102で実行されるアドレス登録処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0104】
10・・・CSS
12・・・インターネット
20・・・クライアント端末
33・・・キー設定画面
34・・・ブラックリスト画面
35・・・ホワイトリスト画面
36・・・受信モード設定画面
40・・・メニューペイン
41・・・編集ペイン
43,44,45,46・・・リンクボタン
100・・・中継サーバ
101・・・主制御部
102・・・アドレス登録部
103・・・キー変更部
104・・・設定画面管理部
106・・・MTA
110・・・プロファイルボックス
111・・・メインアドレス
112・・・サブアドレス
113・・・キー
114・・・応答メッセージ
115・・・ホワイトリスト
116・・・ブラックリスト
120・・・リジェクトボックス
150・・・メールサーバ
200・・・メールサーバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、1ユーザにつき複数の電子メールアドレスが登録されている場合に、上記電子メールアドレス宛に送信された電子メールを受信して所定のデバイスに転送する電子メール中継装置、電子メール中継方法、及び電子メール中継装置に適用されるプログラムに関し、特に、スパムメール(迷惑メール)の受信を制限する処理にに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットに代表される通信ネットワークの発達に伴い、電子メールの利用者が増大している。近年、電子メールの普及に伴って膨大な量のスパムメールが配信されるようになり、大きな社会問題となっている。なお、スパムメールは、広告や勧誘、有料コンテンツへのリンクなどが記載された電子メールのことであり、不特定多数の電子メールアドレス(以下「メールアドレス」または、単に「アドレス」と略称する。)宛に対して一方的に配信される。
【0003】
スパムメールといえども、通常の電子メールと同じように、電子メールシステムを利用して配信されるものである。そのため、スパムメールの配信者は、送信先のメールアドレスを予め取得する必要がある。一般に、スパムメールの配信者は、アドレス収集ロボットと呼ばれるソフトウェアを用いてインターネット上のWebサイトを定期的に巡回し、Webサイトに開示されているメールアドレスを自動的に取得している。したがって、受信者がスパムメールの被害を受けないようにするには、メールアドレスをWebサイトなどに開示しないことが最善の方法であると考えられる。
【0004】
しかしながら、インターネットを介して様々な商取引が頻繁に行われる昨今においては、オンラインショッピングやメールマガジン、懸賞サイトなどのネットサービスを利用する際に、Webサイトを介して取引相手との間でメールアドレスを含む個人情報の交換が行われる。このような現状では、上記ネットサービスを利用するユーザのメールアドレスがアドレス収集ロボットによって収集されるおそれがある。もちろん、セキュリティ対策が十分になされたWebサイトであれば、電子メールアドレスなどの個人情報が簡単に漏洩することはないが、個人情報の管理者によって不正に個人情報が漏洩し、スパムメールの配信者に渡る場合もあり得る。また、ユーザ自身が電子掲示板やホームページ、ブログサイトなどにメールアドレスを安易に開示してしまうこともあり得る。一旦、メールアドレスがスパムメールの配信アドレスリストに登録されると、スパムメールの被害から逃れるには、メールアドレスを変更するほかに方法はない。なお、スパムメール対策として様々なフィルタツールが各インターネット接続業者(プロバイダ)などから提供されているが、当該フィルタツールによってスパムメールを軽減することができても、スパムメールを完全に排除することはできない。
【0005】
ところで、特許文献1や非特許文献1、非特許文献2に記載されているように、ユーザIDとドメイン名とからなるメールアドレス(以下「メインアドレス」と称する。)の他に、スパムメール(迷惑メール)対策として、ユーザIDに任意のキーワードが付加された文字列とドメイン名とからなるメールアドレス(以下「サブアドレス」と称する。)をユーザに付与するサービスが知られている。メインアドレス及びサブアドレスは関連づけられて登録されており、いずれのアドレス宛にメールが配信された場合でも同じアカウントで受信することができるようになっている。このサービスでは、ユーザがサブアドレスを任意に追加及び削除することができる。したがって、例えば、メインアドレスを秘匿し、公開用としてサブアドレスを使用すれば、仮にサブアドレス宛にスパムメールが送信されるようになったとしても、サブアドレスを削除すれば、スパムメールを排除することが可能となる。
【0006】
【特許文献1】特開2006−323697号公報
【非特許文献1】使い分けアドレス、[online]、NECビッグローブ株式会社、平成19年2月1日、インターネット<URL:http://email.biglobe.ne.jp/tukaiwake/>
【非特許文献2】迷惑メール対策、セーフティーアドレス、[online]、ヤフー株式会社、平成19年2月1日、インターネット<URL:http://antispam.yahoo.co.jp/tools.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前掲の各文献に記載の対策では、既に上記メインアドレス宛にスパムメールが送りつけられている状況においては有効ではない。この場合、メインアドレスを変更或いは無効にすればスパムメールを排除することができるが、これまで友好的に電子メールを受け渡ししていた相手からの電子メールを受信することができなくなるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、メインアドレスを変更或いは無効にすることなく、スパムメールを効果的に排除することが可能な電子メール中継装置、電子メール中継方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明は、電子メールに含まれるアドレス情報に基づいて該電子メールを中継する電子メール中継装置である。この電子メール中継装置は、ユーザごとに設定されたメインアドレス、該メインアドレスに所定の付加情報が付加されてなるサブアドレス、及び上記付加情報が予め登録された第1記憶手段と、上記メインアドレス宛の第1電子メール、及び上記サブアドレス宛の第2電子メールを受信する受信手段と、上記受信手段による電子メールの受信の際に、該電子メールの送信先アドレスに基づいて該電子メールが上記第1電子メールであるか上記第2電子メールであるかを判定する第1判定手段と、上記第1判定手段によって上記第1電子メールであると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスに基づいて受信を許可するか否かを判定する第2判定手段と、上記第2判定手段によって許可された場合に上記受信手段による上記第1電子メールの受信を継続し、上記第2判定手段によって拒否された場合に上記受信手段による上記第1電子メールの受信を中断する受信制限手段とを具備する。
【0010】
これにより、メインアドレス宛の第1電子メールのうち、第2判定手段によって許可されたものだけが受信され、第2判定手段によって拒否されたスパムメールなどの悪質な電子メールは受信されない。これにより、大量のスパムメールから電子メール中継装置を保護することが可能となる。なお、サブアドレス宛の第2電子メールは、これまで通り受信される。電子メール中継装置で受信された電子メールは、その後、メールサーバやクライアント端末などの所定のデバイスへ転送される。
【0011】
(2) 上記受信手段は、上記受信制限手段による制限なく上記第1電子メール及び上記第2電子メールの双方を受信する第1受信モードと、上記受信制限手段によって上記第1電子メールの受信を制限し上記第2電子メールを制限なく受信する第2受信モードとを有する。
【0012】
このように複数の受信モードが設けられているため、ユーザは、電子メールの受信状況に合わせて任意の受信モードを選択することができる。これにより、ユーザの使用勝手がよくなる。
【0013】
(3) 上記第1判定手段は、電子メールの送信先アドレスに上記付加情報が含まれているか否かによって判定する。
【0014】
これにより、第1判定手段は、容易かつ正確に判定を行うことができる。また、その判定結果の信頼性も高まる。
【0015】
(4) 本電子メール中継装置は、所定のアドレスリストが記憶された第2記憶手段を更に備える。この場合、上記第2判定手段は、上記第1電子メールの送信元アドレスが上記アドレスリストに含まれている場合に該第1電子メールの受信を許可する。
【0016】
上記アドレスリストには、例えば、これまで友好的に電子メールを受け渡ししていた相手のメールアドレスが登録される。メインアドレス宛の第1電子メールが送られてきた場合に、第2判定手段によって第1電子メールの送信元アドレスが上記アドレスリストに含まれているかどうかが判定される。そして、送信元アドレスが上記アドレスリストに含まれている場合は、これまで友好的に電子メールを受け渡ししていた相手からの電子メールであると判断し、第1電子メールの受信を許可する。したがって、送信元へサブアドレスを通知しなくても、上記アドレスリストに送信元のアドレスが登録されていれば、これまで通り第1電子メールを受信することができる。
【0017】
(5) 本電子メール中継装置は、上記第1受信モードにおいて上記受信手段によって受信された上記第2電子メールの送信元アドレスを上記アドレスリストに登録するアドレス登録手段を更に備える。
【0018】
これにより、受信を許可したい送信元のメールアドレスを手作業で上記アドレスリストに登録する必要がなくなる。
【0019】
(6) 上記第1記憶手段は、複数の付加情報を少なくとも第1類と第2類とに分類して登録するものである。また、上記アドレス登録手段は、上記第1類もしくは上記第2類のいずれか一方に属する付加情報を含むサブアドレス宛の第2電子メールが上記受信手段によって受信された場合に限って該第2電子メールの送信元アドレスを上記アドレスリストに登録するものである。
【0020】
これにより、上記アドレスリストへの登録を望む送信者へ、いずれかの類に属する付加情報を有するサブアドレスを通知しておけば、上記送信者のアドレスが自動的に上記アドレスリストに登録される。
【0021】
(7) 本電子メール中継装置は、上記第1記憶手段に登録された上記付加情報を所定のルールに基づいて変更する付加情報変更手段を更に備える。
【0022】
(8) 上記付加情報変更手段は、予め定められた期間が経過した場合に上記第1記憶手段に登録された上記付加情報を変更するものである。
【0023】
これによれば、付加情報が自動的に変更されるため、サブアドレスも自動的に更新される。また、更新前のサブアドレス宛にスパムメールが配信されるようになっても、定期的にサブアドレスが更新されるため、サブアドレスを更新する手間を省くことができる。
【0024】
(9) 上記付加情報変更手段は、当該装置に接続された情報端末から所定の情報が入力された場合に上記第1記憶手段に登録された上記付加情報を変更するものである。
【0025】
これによれば、ユーザは、任意の付加情報からなる任意のサブアドレスと設定することが可能となる。
【0026】
(10) 本電子メール中継装置は、上記第2判定手段によって上記第1電子メールの受信を拒否すると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスへ上記第1記憶手段に登録された上記付加情報とともに受信拒否に関するメッセージを返信する返信手段を更に備える。
【0027】
このようなメッセージが送信元へ自動的に返信されるため、送信元へ有効なメールアドレスを通知するという煩わしい手間を省くことができる。
【0028】
(11) 上記サブアドレスは、上記メインアドレスのユーザIDの末尾に上記付加情報が付加されてなるものが好ましい。
【0029】
(12) 上記アドレス情報は、電子メールのエンベローブ部に記載された情報である。
【0030】
電子メールデータは、エンベローブ部とデータ部とから構成されている。電子メールを送受信する際は、最初にエンベローブ部の情報が受け渡しされ、その後にデータ部が送受信される。したがって、エンベローブ部に含まれるアドレス情報に基づいて電子メールを受信するかどうかを判定すれば、仮に受信が拒否された場合でも、データ部を受信する前に電子メール通信を切断することができる。これにより、電子メール中継装置の負担が軽減される。
【0031】
(13) 本発明は、電子メールに含まれるアドレス情報に基づいて該電子メールを中継する電子メール中継装置に適用される電子メール中継方法として捉えることができる。すなわち、予めユーザごとに登録されたメインアドレス宛の第1電子メール、及び該メインアドレスに所定の付加情報が付加されてなるサブアドレス宛の第2電子メールを受信する受信ステップと、上記受信ステップによる電子メールの受信の際に、該電子メールの送信先アドレスに基づいて該電子メールが上記第1電子メールであるか上記第2電子メールであるかを判定する第1判定ステップと、上記第1判定ステップによって上記第1電子メールであると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスに基づいて受信を許可するか否かを判定する第2判定ステップと、上記第2判定ステップによって許可された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を継続し、上記第2判定手段によって拒否された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を中断する受信制限ステップとを具備する電子メール中継方法として本発明を捉えてもよい。
【0032】
(14) また、本発明は、電子メールに含まれるアドレス情報に基づいて該電子メールを管理する電子メール中継装置に適用されるプログラムとして捉えることができる。すなわち、予めユーザごとに登録されたメインアドレス宛の第1電子メール、及び該メインアドレスに所定の付加情報が付加されてなるサブアドレス宛の第2電子メールを受信する受信ステップと、上記受信ステップによる電子メールの受信の際に、該電子メールの送信先アドレスに基づいて該電子メールが上記第1電子メールであるか上記第2電子メールであるかを判定する第1判定ステップと、上記第1判定ステップによって上記第1電子メールであると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスに基づいて受信を許可するか否かを判定する第2判定ステップと、上記第2判定ステップによって許可された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を継続し、上記第2判定手段によって拒否された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を中断する受信制限ステップとを上記電子メール中継装置に実行させるためのプログラムとして本発明を捉えてもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、メインアドレスを変更或いは無効にすることなく、スパムメールを効果的に排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、適宜図面を参照して本発明の一実施形態に係る中継サーバ100(本発明の電子メール中継装置の一例)について説明する。ここに、図1は、中継サーバ100を含むクライアントサーバシステム(CSS:Client Server System)10の構成を示すブロック図である。図2は、中継サーバ100の構成を示すブロック図である。
【0035】
図1に示されるように、本実施形態に係る中継サーバ100は、CSS10に属する。CSS10は、同図に示されるように、クライアント端末20(本発明の情報端末の一例)と、中継サーバ100と、メールサーバ150とによりコンピュータネットワークを構成しており、LANなどのネットワークを介して上記各構成要素が通信可能に接続されている。CSS10は、主として、クライアント端末20と外部のメールサーバ200との間で行われる電子メールの送受信を実現するために構築されたメールサーバシステムである。本実施形態において、中継サーバ100の主たる機能は、電子メールのエンベローブ部のアドレス情報に基づいて外部のメールサーバ200から送信されてきた電子メールがスパムメールであるかどうかを判定し、スパムメールであると判定された場合は電子メールのデータ部を受信する前にSMTPセッションを閉じ、正常なメールであると判定された場合は電子メールの全てのデータを受信してメールサーバ150へ転送することにある。以下に、CSS10を構成するクライアント端末20、メールサーバ150、中継サーバ100の各構成について順次説明する。
【0036】
クライアント端末20は、パーソナルコンピュータやPDA、携帯電話などのコンピュータ(電子計算機)である。クライアント端末20には、電子メールの送受信を可能とする電子メールソフトがインストールされている。電子メールソフトは、RFC(Request For Comment)で規定されたSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)やPOP3(Post Office Protocol 3)或いはIMAP(Internet Message Access Protocol)などのプロトコルにしたがってメールサーバ150との間で電子メールの送受信を行うソフトウェアである。一般に、上記電子メールソフト或いは電子メールソフトを動作させるシステムは、MUA(Mail User Agent)と呼ばれている。
【0037】
CSS10を利用するユーザには、電子メールソフトで電子メールの送受信をする際に必要なメールアドレスがCSS10の管理者から予め付与されている。本実施形態では、CSS10の管理者が後述するメインアドレス111及びサブアドレス112(図2参照)を各ユーザごとに割り当てている。ユーザは、クライアント端末20を操作して、予め設定登録されたメールアカウントでメールサーバ150にアクセスすることによって、メールサーバ150を介して、或いはメールサーバ150及び中継サーバ100双方を介して、CSS10の内部或いは外部に属する端末との間で電子メールを送受信することができる。本実施形態では、CSS10の外部からCSS10に送られてくる全ての電子メールが、中継サーバ100を通過するようシステム設計されている。中継サーバ100を電子メールが通過する際に、該中継サーバ100においてスパムメールが検出されて、CSS10へのスパムメールの侵入が防止されるようになっている。スパムメールを排除する処理手順については後述する。
【0038】
また、ユーザには、中継サーバ100にアクセスできる権限が付与されている。ユーザは、クライアント端末20を操作して、中継サーバ100が提供する後述の設定画面(キー設定画面33や受信モード設定画面36等)にパスワード認証手続きを経てアクセスすることができる。クライアント端末20から中継サーバ100へのアクセスには、例えば、クライアント端末20のWebブラウザを通じてHTTP(HyperText Transfer Protocol)にしたがって行われる。この場合、中継サーバ100は、Webサーバの役割を担う。ユーザは、上記設定画面において、電子メール通信に関するユーザのプロファイルの一部や受信モードの設定内容を変更することができる。本実施形態では、プロファイルとしてサブアドレス112や後述するホワイトリスト115、キー113などが登録されており、これらの内容をユーザが任意に変更することができる。なお、プロファイル及び上記設定画面については後述する。
【0039】
中継サーバ100及びメールサーバ150は、電子メール通信の際に送受信される電子メールや電子メール通信の際に利用されるデータベース等の情報資源、電子メール通信に用いられるモデムやHDDなどのハードウェア資源などを集中的に管理するコンピュータである。中継サーバ100とメールサーバ150との間はLANで接続されており、中継サーバ100はインターネット12に接続されている。なお、本実施形態では、説明の便宜上、中継サーバ100のドメイン名が「abc.co.jp」に設定され、メールサーバ200のドメイン名が「xyz.com」に設定されているものとする。
【0040】
メールサーバ150は、中継サーバ100とクライアント端末20との間で電子メールを中継し、且つ、送受信される電子メールを蓄積するためのサーバ装置であり、MTA(Mail Transfer Agent)154と、メールボックス155と、MRA(Mail Retrieval Agent)156とを備える。以下、メールサーバ150の各部について簡単に説明する。
【0041】
メールボックス155は、送受信される電子メールを一時的に蓄積して保管する領域である。このメールボックス155は、例えば、HDDなどの記憶装置に各ユーザごとに割り当てられている。メールボックス155は、ユーザIDごとに設けられている。
【0042】
MRA156は、メールボックス155に貯えられた電子メールをクライアント端末20のメールソフトに認識させるものである。つまり、クライアント端末20のメールソフトから受信要求があった場合に、MRA156は、メールボックス155に対応付けて登録されていたユーザIDとユーザのアカウント情報とを照合して、その結果、ユーザIDが一致する場合に、メールボックス155内の電子メールをクライアント端末20に届ける。MRA156の代表例としては、例えば、POPサーバソフトウェアやIMAPサーバソフトウェア、或いはこれらのソフトウェアを動作させるハードウェアシステムが該当する。
【0043】
MTA154は、SMTPの手順にしたがって電子メールを所定のデバイスに送信するものであり、SMTPサーバの役割を担う部分である。具体的には、MTA154は、インターネット12を通じてSMTPにしたがって外部のメールサーバ200へ電子メールを送信する。また、MTA154は、後述するMTA106から送られてきた電子メールをSMTPにしたがって受信する。なお、外部のメールサーバ200からCSS10へ送られてきた電子メールは後述するMTA106で受信される。
【0044】
MTA154は、MDA(Mail Delivery Agent)153を有している。MDA153は、MTA106やクライアント端末20から送られてきた電子メールをユーザIDごとに振り分けて、対応するメールボックス155に格納する役割を担う。MDA153の代表例としては、例えば、「mail.local」、「procmail」、「maildrop」などのソフトウェア、或いは、これらソフトウェアを動作させるハードウェアシステムが該当する。
【0045】
中継サーバ100は、該中継サーバ100に送信されてきた電子メールを受信してCSS10内のメールサーバ150に転送するものである。つまり、中継サーバ100は送信されてきた電子メールをメールサーバ150へ中継するものである。
【0046】
以下、図2を参照して、中継サーバ100の構成について詳細に説明する。
中継サーバ100は、主制御部101と、本発明の第1記憶手段および第2記憶手段の一例であるプロファイルボックス110と、リジェクトボックス120とを有する。また、主制御部101は、MTA106と、アドレス登録部102と、キー変更部103と、設定画面表示部103とを有する。
【0047】
プロファイルボックス110は、ユーザごとのプロファイル(電子メールに関するユーザ情報)が登録された記憶領域であり、HDDなどの記憶装置に各ユーザごとに割り当てられている。また、リジェクトボックス120は、MTA106によって受信拒否された電子メールデータが格納される記憶領域であり、HDDなどの記憶装置に割り当てられている。
【0048】
本実施形態では、プロファイルボックス110に、メインアドレス111、サブアドレス112、キー(KEY)113、応答メッセージ114、ホワイトリスト115、ブラックリスト116のほか、電子メールの受信ルールを定める受信モードの設定内容などがプロファイルとして格納されている。以下、これらの用語について簡単に説明する。
【0049】
メインアドレス111は、CSS10(図1参照)を利用するユーザを識別するためのユーザID(例えば「hanako」)と中継サーバ100のドメイン名「abc.co.jp」とからなるメールアドレス(例えば「hanako@abc.co.jp」)である。ユーザIDは、予めユーザごとに設定されたユニークな文字列からなる。ユーザIDは、CSS10の管理者から発行される。ユーザIDは、ユーザによって任意に変更されることを予定して発行されるものではなく、原則として変更することができないものである。したがって、ユーザはメインアドレス111を任意に変更することはできない。
【0050】
サブアドレス112は、メインアドレス111にキー113が付加されることにより構成されたメールアドレスである。例えば、「main」という文字列からなるキー113が付加情報としてプロファイルボックス110に登録されている場合は、サブアドレス112は、メインアドレス111(例えば「hanako@abc.co.jp」)のユーザIDの末尾にキー113「main」が付加されてなるメールアドレス(例えば「hanako-main@abc.co.jp」)となる。キー113が変更されると、サブアドレス112も変更される。サブアドレス112はメインアドレス111と共通するユーザIDによって互いに関連づけられて登録されている。したがって、いずれのアドレス宛の電子メールが送信されてきたとしても、その電子メールが受信されると、メールサーバ150に転送されて、MTA154のMDA153によって同じメールボックス155(図1参照)に格納される。
【0051】
本実施形態では、ユーザIDとキー113とを区切ってそれぞれを別々に識別可能にするために、ユーザIDとキー113との間にハイフン「−」が付けられている。なお、ハイフン「−」に代えてドット「.」やアンダースコア「_」を用いてもよい。
【0052】
キー113は、本発明の付加情報に相当するものであり、サブアドレス112を構成するための識別子の一つである。このキー113は、変更されることを予定して設定されたものである。例えば、ユーザによって任意に変更可能であり、或いは、所定の条件を満たした場合に自動的に変更される。本実施形態では、キー113は、月次キー113Aと、一時キー113Bと、ホワイトキー113Cと、公開キー113Dとに分類されてプロファイルボックス110に登録されている。
【0053】
月次キー113Aは、月が変わるごとに変更されるキーである。この月次キー113Aは、所定のルールに基づいて自動的に変更される。具体的には、中継サーバ100が有するカレンダー機能に連動して月次キー113Aが変更される。例えば、表1に示されるように、1月から12月の全12月に対応したキー(1〜12)が設定登録されている場合は、上記カレンダー機能が示す月に対応したキーが当月に利用可能なキーとして設定される。例えば、カレンダー機能が「2月」を示している場合は、当月(つまり2月)に利用可能な月次キー113Aは「2」である。この場合、ユーザは、当月中に限り、「hanako-2@abc.co.jp」というサブアドレス112を利用することが可能である。なお、後述の設定画面表示部104が提供するキー設定画面33(図3参照)にアクセスすることによって、ユーザは月次キー113A自体を任意に変更することが可能である。
【0054】
【表1】
【0055】
一時キー113Bは、一時的に利用する用途として設定登録されるキーである。例えば、オンラインショッピングやメールマガジン、懸賞サイトなどのネットサービスを利用する際に、Webサイトにメールアドレスを登録する必要が生じた場合に、この一時キー113Bとメインアドレス111とから構成されるサブアドレス112が使用される。この一時キー113は、後述の設定画面表示部104が提供するキー設定画面33(図3参照)にアクセスすることによってユーザが任意に設定・変更・削除することが可能である。本実施形態では、表2に示されるように、一時キー113Bとして12個のキー(No.1〜No.12)を登録することが可能である。なお、表2では、No.1の一時キーとして「temp」が設定され、No.2の一時キーとして「book」が設定され、No.3の一時キーとして「ticket」が設定されている。これらの一時キー113Bが設定されることにより、ユーザは、サブアドレス112として、「hanako-temp@abc.co.jp」、「hanako-book@abc.co.jp」、「hanako-ticket@abc.co.jp」の3つのアドレスを利用することが可能となる。
【0056】
【表2】
【0057】
ホワイトキー113Cは、メインアドレス111に代替して利用するサブアドレス112を作成するためのキーである。このホワイトキー113Cは、用途が一時キー113Bと異なるだけで、表2に示されるように、登録可能なキーの数や、任意に設定・変更・削除することが可能である点が共通する。ホワイトキー113Cが一時キー113Bと異なるところは、後述するアドレス登録部103によりホワイトリスト115へ送信元アドレスを登録する処理が行われる際の判定処理にホワイトキー113Cの有無が判定要素として用いられる点である。
【0058】
公開キー113Dは、一般に公開されることを目的として利用されるキーである。例えば、CSS10で管理されるWebサイトに公開したり、送信元からの要求により通知することにより公開される。本実施形態では、公開キー113Dは、表2に示されるように、1つだけ登録することが可能である。もちろん、複数の公開キー113Dの登録を可能にしてもかまわない。また、公開キー113Dとして、例えば、一時キー113Bやホワイトキー113Cと同一のキーを設定することも可能である。公開キー113Dの利用例については後述する。
【0059】
中継サーバ100では、電子メールの受信手法として、以下の3つの受信モードを設定することができる。具体的には、メインアドレス111宛の電子メール(本発明の第1電子メールに相当)だけを受信可能な従来の受信モード、キー113の設定を有効にしてメインアドレス111宛の電子メールとサブアドレス112宛の電子メール(本発明の第2電子メールに相当)の双方を受信可能な受信モード(以下「第1受信モード」と称する。)、サブアドレス112宛の電子メールだけを受信可能な受信モード(以下「第2受信モード」と称する)がある。これらの各受信モードは、後述の設定画面表示部104が提供する設定画面(キー設定画面33や受信モード設定画面36)で任意に切り換えることができる。なお、本実施形態では、第1受信モード及び第2受信モードのいずれかに受信モードが設定された場合に本発明が適用され得る。
【0060】
本実施形態では、第2受信モードにおいてメインアドレス111宛の電子メールが送信されてきたときに、中継サーバ100によってその受信が拒否される場合がある。この場合、MTA106によって、電子メールの送信元へ自動的にエラー通知(エラーメッセージ)が返信される。このとき、プロファイルボックス110に応答メッセージ114が登録されている場合は、当該応答メッセージ114そのものがエラー通知として送信元へ返信される。応答メッセージ114には、公開キー113Dと、これを用いてサブアドレス112を作成する方法が記載されている。したがって、この応答メッセージ114を受けとった送信者は、作成したサブアドレス112宛に電子メールを送信することにより、所望する送信先に電子メールを確実に届けることができる。このように、サブアドレス112を直接に応答メッセージ114に添付しないため、アドレス収集ロボットによってサブアドレス112が収集されることはない。応答メッセージ114の内容や、メッセージの自動返信の設定は、後述の設定画面表示部104が提供する受信モード設定画面36(図6参照)で変更することができる。なお、公開キー113Dを記載せずに、公開キー113Dが公開されているURLを応答メッセージ114に記載してもよい。
【0061】
ホワイトリスト115およびブラックリスト116は、それぞれ、所定のアドレスが記載されたリストである。これらのリストは、中継サーバ100に送信されてきた電子メールを受信する際に参照される。詳細には、ホワイトリスト115には、受信を許可してもよい送信者のメールアドレスが予め登録されている。一方、ブラックリスト116には、受信を拒否する送信者のメールアドレスが予め登録されている。ホワイトリスト115及びブラックリスト116は、後述の設定画面表示部104が提供するホワイトリスト画面35(図5参照)及びブラックリスト画面34(図4参照)にアクセスすることによってユーザが任意に変更・削除することが可能である。なお、ホワイトリスト115及びブラックリスト116の利用例については後述する。
【0062】
主制御部101は、中継サーバ100の各構成要素を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの電子デバイスによって構成されている。主制御部101によって中継サーバ100上で所定のOSが稼働される。そして、このOSが稼働された環境下においてROM内のプログラムが主制御部101により実行されることによって、MTA106が本発明の第1判定手段、第2判定手段、受信制限手段、アドレス更新手段、及び返信手段として具現化され、アドレス登録部102が本発明のアドレス登録手段として具現化され、キー変更部103が付加情報変更手段として具現化され、設定画面表示部104が具現化される。
【0063】
MTA106は、SMTPの手順にしたがって電子メールを送受信するものであり、SMTPサーバの役割を担う部分である。具体的には、MTA106は、外部のメールサーバ200からインターネット12を通じて送信されてきた電子メールや、クライアント端末からLANを通じて送信されてきた電子メールをSMTPにしたがって受信する。また、受信した電子メールをLANを通じてSMTPにしたがってメールサーバ150へ送信(転送)する。本実施形態では、MTA106によって電子メールが受信される際に、電子メールのエンベローブ部に記載されたアドレス情報(送信先アドレス及び送信元アドレス)を参照し、このアドレス情報に基づいて当該電子メールを受信するかどうかが判断される。なお、電子メールを受信する処理については、後段においてフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0064】
アドレス登録部102は、プロファイルボックス110のホワイトリスト115に所定のアドレスを登録する機能を担う部分である。このアドレス登録部102は、例えば、上記アドレスを登録する処理を行うソフトウェアや、該ソフトウェアを動作させるハードウェアシステムとして構成される。本実施形態では、ホワイトキー113Cを有するサブアドレス112宛の電子メールがMTA106で受信された場合に限り、当該電子メールの送信元のアドレスがアドレス登録部102によってホワイトリスト115に自動的に登録される。かかる登録処理については後述する。
【0065】
キー変更部103は、プロファイルボックス110のキー113を変更する機能を担う部分である。このキー変更部103は、例えば、キー113の変更処理を行うソフトウェアや、該ソフトウェアを動作させるハードウェアシステムとして構成される。キー変更部103は、後述するキー設定画面33(図3)において一時キー113B、ホワイトキー113C、公開キー113Dが編集された場合に、その編集内容でプロファイルボックス110内のキー113を更新する。また、キー変更部103は、中継サーバ100が有するカレンダー機能に連動して、上記カレンダー機能が示す月に対応したキーを当月で利用可能なキーとして自動的に設定する。
【0066】
設定画面表示部104は、図3から図6に示されるキー設定画面33、ブラックリスト画面34、ホワイトリスト画面35、受信モード設定画面36をクライアント端末20のディスプレイに表示にする機能を担う部分である。この設定画面表示部104は、Webサーバとして動作する中継サーバ100のWWWシステムによって実現される。ユーザは、クライアント端末20を操作して中継サーバ100の設定画面表示部104にアクセスし、要求された認証IDやパスワードを入力することによって、ユーザ固有のプロファイルや設定内容が反映された画面がクライアント端末20に表示される。これらの画面は、GUI(Graphical User Interface)で作成されており、ユーザはクライアント端末20のキーボードやマウスなどを操作することにより、各画面に所定の情報や設定を入力することができる。
【0067】
各画面33,34,35,36は、共通して、左側に配置されたメニューペイン40と右側に配置された編集ペイン41とに区画されている。メニューペイン40には、「キー設定」、「ブラックリスト」、「ホワイトリスト」、「受信モード設定」と表記されたリンクボタン42,43,44,45が配置されている。これらのボタンは、マウスなどで選択可能に構成されている。
【0068】
ボタン43が選択されると、図3に示されるキー設定画面33が表示される。ここに、図3は、キー設定画面33の構成を示す画面図である。キー設定画面33は、キー113を有効にしてサブアドレス112を使用可能にするかどうかを設定するための画面である。また、キー113を編集するための画面でもある。図3に示されるように、編集ペイン41の上部には、キー113の設定を有効または無効にするためのボタン50が配置されている。図3には、キー113が有効に設定された状態が示されている。ボタン50がマウスなどで選択されるとキー113の設定が無効にされ、サブアドレス112が不使用となる。これにより、電子メールの受信モードが通常の受信モード、つまり、メインアドレス111宛の電子メールだけを受信可能なモードに設定される。再びボタン50が選択されると、キー113の設定が有効となり、サブアドレス112が使用可能な状態に変更される。これにより、電子メールの受信モードが上記第1受信モード、つまり、メインアドレス111宛の電子メールとサブアドレス112宛の電子メールの双方を受信可能なモードに設定される。
【0069】
キー設定画面33の編集ペイン41には、月次キー113A、一時キー113B、ホワイトキー113C、公開キー113Dが表示される。これらの各キーは、ボタン43が選択されたときにプロファイルボックス110から読み出されて編集ペイン41に表示される。編集ペイン41には、月次キー113A、一時キー113B、ホワイトキー113C、公開キー113Dに対応して窓52が設けられている。窓52は、データの入力を受け付けることが可能に構成されている。これらの窓52に、プロファイルボックス110から読み出された各キーが表示される。本実施形態では、図3に示されるように、表1及び表2に記載されたキーが各窓52に表示されている。
【0070】
各キー113に対応する窓52に任意の文字列からなるキーが入力され、その後、ボタン54が選択されると、入力後の編集ペイン41のデータがキー変更部103に転送される。そして、キー変更部103によって、入力後の内容がプロファイルボックス110に登録される。これにより、プロファイルボックス110の登録内容が更新される。
【0071】
ボタン44が選択されると、図4に示されるブラックリスト画面34が表示さる。ここに、図4は、ブラックリスト画面34の構成を示す画面図である。図4に示されるように、ブラックリスト画面34の編集ペイン41には、ブラックリスト116が表示されている。ボタン44が選択されたときに、プロファイルボックス110に登録されたブラックリスト116が読み出されて編集ペイン41に表示される。編集ペイン41の上部には、データの入力を受け付ける窓56が設けられている。窓56にブラックリストとして登録すべきアドレスが入力され、窓56の右側に配置された追加ボタン58が選択されると、入力されたアドレスがブラックリスト116に追加される。これにより、プロファイルボックス110に格納されたブラックリスト116が更新される。また、窓56に検索対象となるアドレスが入力され、検索ボタン59が選択されると、ブラックリスト116に登録されているアドレスの検索が可能となる。ブラックリスト116の各アドレスには、チェックボックス61が設けられている。このチェックボックス61がチェックされ、削除ボタン62が選択されると、チェックされたアドレスが削除される。
【0072】
ボタン45が選択されると、図5に示されるホワイトリスト画面35が表示される。ここに、図5は、ホワイトリスト画面35の構成を示す画面図である。図5に示されるように、ホワイトリスト画面35の編集ペイン41には、ホワイトリスト115が表示されている。ボタン45が選択されたときに、プロファイルボックス110に登録されたホワイトリスト115が読み出されて編集ペイン41に表示される。編集ペイン41の上部には、データの入力を受け付ける窓66が設けられている。窓66にホワイトリストとして登録すべきアドレスが入力され、窓66の右側に配置された追加ボタン68が選択されると、窓66に入力されたアドレスがホワイトリスト115に追加される。これにより、プロファイルボックス110に格納されたホワイトリスト115が更新される。また、窓66に検索対象となるアドレスが入力され、検索ボタン69が選択されると、ホワイトリスト115に登録されているアドレスの検索が可能となる。ホワイトリスト115の各アドレスには、チェックボックス71が設けられている。このチェックボックス71がチェックされ、削除ボタン72が選択されると、チェックされたアドレスが削除される。なお、ホワイトリスト画面35には既知のインポート機能があり、予め所定のアドレスが登録されたファイルを読み込むことによって、当該ファイルのアドレスをホワイトリスト115にインポートすることができる。
【0073】
ボタン46が選択されると、図6に示される受信モード設定画面36が表示される。ここに、図6は、受信モード設定画面36の構成を示す画面図である。受信モード設定画面36は、電子メールの受信モードを上記第1受信モードから上記第2受信モード(キー113を含むサブアドレス112宛の電子メールのみを受信するモード)に設定するための画面である。また、応答メッセージの自動返信を有効にするかどうかを設定するための画面でもある。図6に示されるように、編集ペイン41の上部には、ボタン75が配置されている。このボタン75が選択されると、電子メールの受信モードが上記第1受信モードから上記第2受信モードに設定される。このときボタン75の左側に「ロック:有効」と表示されるが、これは、上記第2受信モードに設定されたことを意味する。
【0074】
ボタン75の右側には、応答メッセージの自動返信を有効にするかどうかを設定するためのボタン76が配置されている。ボタン76が選択されると自動返信の設定が無効にされる。そして、再びボタン76が選択されると、自動返信の設定が有効となる。
【0075】
受信モード設定画面36の編集ペイン41には、上下二段に区画された入力窓78,79が設けられている。上段の入力窓78は、日本語の応答メッセージを入力するためのものであり、下段の入力窓79は、英語の応答メッセージを入力するためのものである。これら入力窓78,79に所定のメッセージが入力され、その後、保存ボタン81が選択されると、入力されたメッセージがプロファイルボックス110に応答メッセージ114として登録される。つまり、プロファイルボックス110の応答メッセージ114が更新される。入力窓78,79に所定のメッセージが入力されている場合に、電子メールの受信拒否の際に当該メッセージが読み出されて、送信元へ返信される。入力窓78,79にメッセージが入力されていない場合、つまり、応答メッセージ114が登録されていない場合は、通常のエラーメッセージ(例えば、「User Unknown・・・」)が返信される。
【0076】
続いて、図7から図13のフローチャートを参照して、CSS10に送信されてきた電子メールの中継処理、ホワイトリスト登録処理、及び応答メッセージ返信処理の手順の一例について説明する。図中のS1、S2、…は処理手順(ステップ)の番号を示す。なお、特に言及しない限り、以下の処理は中継サーバ100のMTA106によって行われるものとする。
【0077】
まず、図7のステップS1において、電子メールの送信元から中継サーバ100へのアクセスが正当かどうかを判定するアクセスチェック処理(図8参照)が行われる。アクセスチェック処理は、中継サーバ100を踏み台として他のメールサーバなどにスパムメールを配信する不正な中継を防止するために行われる。
【0078】
アクセスチェック処理は、図8に示されるように、まず、ステップS21において、電子メールの送信元がCSS10に属しない者、つまり、部外者かどうかが判定される。かかる判定は、電子メールのエンベローブ部の「Mail From」に記載された送信元アドレスに基づいて判定される。具体的には、プロファイル110に登録されている全てのユーザIDと上記送信元アドレスとを照合して、送信元アドレスにユーザIDが含まれているか否かが判定される。ユーザIDが上記送信元アドレスに含まれている場合は、送信元がローカル、つまり、CSS10に属する内部者と判定される。一方、ユーザIDが上記送信元アドレスに含まれていない場合は、送信元が部外者と判定される。ステップS21において、送信元が部外者であると判定されるとステップS22に進み、送信元が内部者であると判定されるとステップS24に進む。
【0079】
ステップS22では、電子メールの送信先が部外者かどうかが判定される。かかる判定は、電子メールのエンベローブ部の「Rcpt To」に記載された送信先アドレスに基づいて判定される。具体的には、プロファイル110に登録されている全てのユーザIDと上記送信先アドレスとを照合して、送信先アドレスにユーザIDが含まれているか否かが判定される。ユーザIDが上記送信先アドレスに含まれている場合は電子メールの送信先がローカル、つまり、CSS10に属する内部者と判定される。ユーザIDが上記送信先アドレスに含まれていない場合は、送信先が部外者と判定される。
【0080】
ステップS21及びステップS22で送信元及び送信先の双方が部外者であると判定された場合は、送信元から送信される電子メールは、中継サーバ100を踏み台とするスパムメールであると判断できる。したがって、当該電子メールを送信するために中継サーバ100に対してなされたアクセスは不正であると判断できる。この場合は、不正アクセスが発生していることを示す戻りコード(不正アクセス戻りコード)が主制御部101のCPUのレジスタにセットされる(S25)。これにより、一連のアクセスチェック処理が終了する。
【0081】
一方、ステップS22において、送信先がローカルであると判定されると(S22のYes)、次に、送信元アドレスがブラックリスト116に登録されているかどうかが判定される。ここで、登録されていないと判定された場合は、ステップS24において、アクセスが正常であることを示す戻りコード(正常アクセス戻りコード)がセットされて、一連のアクセスチェック処理が終了する。
【0082】
図7のステップS1のアクセスチェック処理が終了すると、ステップS2では、ステップS24またはS25(図8参照)でセットされた戻りコードに基づいて、送信元から中継サーバ100に対するアクセスが正当であるか不正であるかか判定される。つまり、送信元が中継サーバ100へ送信する電子メールがスパムメールであるかどうかが判定される。
【0083】
上記不正アクセス戻りコードがセットされている場合は(S2のNo)、不正アクセスから中継サーバ100を保護するため、送信元と中継サーバ100との間のネットワーク通信が強制的に切断される(S9)。つまり、送信元と中継サーバ100との間で行われていたSMTPのセッションが中断する。これにより、電子メールの中継処理が終了する。なお、この時点では、電子メールのエンベローブ部のみが受信され、そのデータ部(メッセージや添付ファイルが含まれている部分)は受信されない。なお、受信されたエンベローブ部は、リジェクトボックス120に一時的に格納される。もちろん、リジェクトボックス120に格納せずに完全に消去してもよい。
【0084】
一方、正当アクセス戻りコードがセットされている場合は、正当アクセスであると判定される(S2のYes)。この場合、ステップS3の処理が実行される。
【0085】
ステップS3では、キーの設定が有効かどうかが判定される。具体的には、キー設定画面33(図3参照)においてキーが有効に設定されたかどうかにより判定される。キー設定画面33でキーの設定が有効或いは無効に設定されると、設定フラグがCPUのフラグレジスタにセットされる。ステップS3では、この設定フラグに基づいてキーの設定が有効かどうかが判定される。
【0086】
ステップS3において、キーの設定が無効であると判定されると(S3のNo)、後述の中継許可判定処理を行わずに、送信されてきた電子メールがMTA106(図2参照)によって通常の受信モードで中継される(S4)。この場合、キーが無効に設定されているため、サブアドレス112は電子メールのアドレスとして認識されない。したがって、ステップS4では、メインアドレス111宛の電子メールのみがMTA106によって受信されて、メールサーバ150のMTA154(図1参照)へ転送される。
【0087】
ステップS3において、キーの設定が有効であると判定されると(S3のYes)、続いて、S5において、電子メールの中継を許可するかどうかを判定するための中継許可判定処理(図9参照)が実行される。
【0088】
中継許可判定処理は、図9に示されるように、まず、ステップS31において、電子メールの送信先アドレスに登録されたキー113が含まれているかどうかが判定される。かかる判定は、送信先アドレスに含まれている「−」以降の文字列を抽出し、抽出された文字列とプロファイルボックス110に登録されているキー113とを照合することによって行われる。照合の結果、一致すればキー113が含まれていると判定され、不一致であればキー113が含まれていないと判定される。
【0089】
ステップS31において、キー113が送信先アドレスに含まれていないと判定されると(S31のNo)、続いて、電子メールの受信モードが上記第2モードであるかどうかが判定される(S32)。上述の受信モード設定画面36(図6参照)において、ユーザが電子メールの受信モードを上記第1受信モードから上記第2受信モードに設定すると、設定フラグがCPUのフラグレジスタにセットされる。ステップS32では、この設定フラグに基づいて電子メールの受信モードの設定状態が判別される。
【0090】
ステップS32で、第2受信モードに設定されていると判定された場合は(S32のYes)、次のステップS33において、電子メールの送信元アドレスがホワイトリスト115に登録されているかどうかが判定される。かかる判定は、送信元アドレスとホワイトリスト115とを照合することにより行われる。ここで、送信元アドレスがホワイトリスト115に登録されていないと判定されると(S33のNo)、次のステップS34で、電子メールの中継を拒否する指示する戻りコード(中継拒否戻りコード)がCPUのレジスタにセットされる。これにより、一連の中継許可判定処理が終了する。なお、ステップS32において、第2受信モードに設定されていないと判定された場合(S32のYes)、そして、ステップS33において、送信元アドレスがホワイトリスト115に登録されていると判定された場合(S33のYes)は、後述するステップS37に進む。
【0091】
一方、ステップS31において、キー113が送信先アドレスに含まれていると判定されると(S31のYes)、続いて、そのキー113がホワイトキー113Cであるかどうかが判定される(S35)。かかる判定は、当該キー113とプロファイルボックス110に登録されたホワイトキー113Cとを照合することにより可能である。ここで、送信先アドレスに含まれるキー113がホワイトキー113Cであると判定されると(S35のYes)、ホワイトリストに送信元アドレスを登録する処理(アドレス登録処理)がアドレス登録部102によって実行される(S36)。その後、次のステップS37で、電子メールの中継を許可する指示する戻りコード(中継許可戻りコード)がCPUのレジスタにセットされる。また、ステップS35において、キー113がホワイトキー113Cでないと判定された場合は(S35のNo)、アドレス登録処理を行うことなく、中継許可戻りコードがセットされる(S37)。これにより、一連の中継許可判定処理が終了する。なお、アドレス登録処理については後述する。
【0092】
図7のステップS5の中継許可判定処理が終了すると、次のステップS6では、ステップ37またはS34(図9参照)でセットされた戻りコードに基づいて、送信元から送られてくる電子メールの中継を許可するかどうかが判定される。上記中継許可戻りコードがセットされている場合は、ステップS7に進み、中継を許可された電子メール(許可メール)を中継する処理(許可メール中継処理)が実行される。また、上記中継拒否戻りコードがセットされている場合は、ステップS8に進み、電子メールのデータ部を受信せずに送信元へエラー通知を送信する処理(エラー通知処理、図11参照)が実行される。なお、ステップS7及びステップS8の処理の後に、一連の中継処理が終了する。
【0093】
上記許可メール中継処理は、図10に示されるように、まず、電子メールのエンベローブ部に続いてデータ部が受信される(S51)。データ部が受信されると、つまり、電子メールの全データが受信されると、続いて、エンベローブ部の「Rcpt To」に記載された送信先アドレスからハイフン「−」とキー113が除去される(S52)。言い換えれば、エンベローブ部の「Rcpt To」の記載内容が、元の送信先アドレスからハイフン「−」及びキー113が除去された新たなアドレスに書き換えられる。なお、データ部には、例えばディスプレイ表示などに使用されるヘッダー情報が含まれており、このヘッダー情報にも送信先及び送信元のアドレスが含まれているが、ステップS52では、当該ヘッダー情報のアドレスは書き換えられない。
【0094】
そして、送信先アドレスが書き換えられた電子メールがメールサーバ150(図1参照)へ転送される(S53)。なお、メールサーバ150へ転送された電子メールは、エンベローブ部の情報を基にして、MTA154によってユーザIDに対応するメールボックス156に格納される。
【0095】
上記エラー通知処理は、図11に示されるように、まず、電子メールの受信が中断される(S41)。つまり、ステップS6で電子メールの中継を拒否すると判定されると、直ぐに、電子メールの受信が中断される。上述したように、中継許可判定処理は、データ部よりも先に受信されるエンベローブ部に基づいて行われる。そのため、電子メールのデータ部を受信する前に電子メールの受信を中断させることができる。これにより、スパムメールが送信されてきた場合でも、電子メールデータを全て受信しないため、中継サーバ100の負担が軽減する。
【0096】
次に、プロファイル110(図2参照)に応答メッセージ114が登録されているかどうかが判定される(S42)。ステップS42において応答メッセージ114が登録されていると判定された場合は(S42のYes)、当該応答メッセージ114がプロファイル110から読み出される。そして、応答メッセージ114が書き込まれた電子メールが自動的に生成され、該電子メールが自動的に送信元へ返信される(S43)。なお、本実施形態では、電子メールの送信の際に、送信元アドレスのドメイン名に「jp」が含まれているかどうかが判定され、「jp」が含まれていると判定された場合は、入力窓78に記載された日本文のメッセージが電子メールに書き込まれ、「jp」が含まれていないと判定された場合は、入力窓79に記載された英文のメッセージが電子メールに書き込まれる。
【0097】
一方、ステップS42において応答メッセージ114が登録されていないと判定された場合は(S42のNo)、続いて、公開キー113Dが登録されているかどうかが判定される(S44)。公開キー113Dが登録されている場合は、MTA106で予め用意されている応答コード、或いはSMTPで定められたエラーコードに公開キー113Dが付加されたサブアドレス112が埋め込まれる(S45)。そして、上記サブアドレス112が埋め込まれた上記応答コードまたは上記エラーコードが送信元へ返信される(S46)。なお、公開キー113Dに代えて、例えば月次キー113Aの登録の有無を判定し、登録されている場合に月次キー113Aが付加されたサブアドレス112を含む上記応答コードまたは上記エラーコードを送信元へ返信するようにしてもかまわない。公開キー113Dが登録されていない場合は(S44のNo)、サブアドレス112を埋め込むことなく、上記応答コードまたは上記エラーコードが送信元へ返信される(S46)。
【0098】
このような応答メッセージ114、或いはサブアドレス112を含む応答コードまたは上記エラーコードを受けとった送信元では、所望する宛先の有効なメールアドレスを知ることができる。この場合、送信元において、電子メールを上記サブアドレス112宛へ再送する処理が行われることが期待できる。一方、電子メールの送信元がスパムメールなどを自動的に配信する配信ロボットである場合は、当該配信ロボットが宛先を上記サブアドレス112に変更することはないと考えられる。つまり、配送ロボットから上記サブアドレス112宛に電子メールが再送されることはない。
【0099】
このように、本実施形態において上述の中継処理が行われるため、メインアドレス111を変更或いは無効にしなくても、受信を望む送信元からのアドレスを確実に受信し、受信を望まない送信元からの悪質なスパムメールを確実に遮断することができる。
【0100】
ここで、図12を参照して、上記アドレス登録処理について説明する。このアドレス登録処理は、MTA106からの指令を受けてアドレス登録部102によって実行される。同図に示されるように、まず、電子メールの送信元アドレスがプロファイル110内のホワイトリスト115に登録されているかどうかが判定される(S51)。かかる判定処理は、上記送信先アドレスとホワイトリスト115に登録されている全てのアドレスとを照合することにより行われる。送信元アドレスがホワイトリスト115に登録されている場合は(S51のYes)、アドレス登録処理が終了する。一方、送信元アドレスがホワイトリスト115に登録されていない場合は(S51のNo)、ステップS52で電子メールのエンベローブ部から送信元アドレスが抽出され、抽出された送信元アドレスがホワイトリスト115に適したデータに変換され(S53)、その後、ホワイトリスト115に書き込む処理が行われる(S54)。
【0101】
このように、ホワイトリスト115にアドレスが自動的に登録されるため、CSS10のユーザは、手作業による煩わしいアドレス登録作業を行うことを要しない。
【0102】
なお、上述した実施形態では、CSS10において、中継サーバ100とメールサーバ150とが独立したデバイスで構成されているが、例えば、メールサーバ150に中継サーバ100が含まれた構成、つまり、メールサーバ150と中継サーバ100とが同一のサーバ装置で実現された構成を採用してもかまわない。もちろん、上記実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲でその実施形態を適宜変更することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、中継サーバ100を含むCSS10の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、中継サーバ100の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、キー設定画面33の構成を示す画面図である。
【図4】図4は、ブラックリスト画面34の構成を示す画面図である。
【図5】図5は、ホワイトリスト画面35の構成を示す画面図である。
【図6】図6は、受信モード設定画面36の構成を示す画面図である。
【図7】図7は、MTA106で実行される中継処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【図8】図8は、MTA106で実行されるアクセスチェック処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【図9】図9は、MTA106で実行される中継許可判定処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【図10】図10は、MTA106で実行される許可メール中継処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【図11】図11は、MTA106で実行されるエラー通知処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【図12】図12は、アドレス登録部102で実行されるアドレス登録処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0104】
10・・・CSS
12・・・インターネット
20・・・クライアント端末
33・・・キー設定画面
34・・・ブラックリスト画面
35・・・ホワイトリスト画面
36・・・受信モード設定画面
40・・・メニューペイン
41・・・編集ペイン
43,44,45,46・・・リンクボタン
100・・・中継サーバ
101・・・主制御部
102・・・アドレス登録部
103・・・キー変更部
104・・・設定画面管理部
106・・・MTA
110・・・プロファイルボックス
111・・・メインアドレス
112・・・サブアドレス
113・・・キー
114・・・応答メッセージ
115・・・ホワイトリスト
116・・・ブラックリスト
120・・・リジェクトボックス
150・・・メールサーバ
200・・・メールサーバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メールに含まれるアドレス情報に基づいて該電子メールを中継する電子メール中継装置であって、
ユーザごとに設定されたメインアドレス、該メインアドレスに所定の付加情報が付加されてなるサブアドレス、及び上記付加情報が予め登録された第1記憶手段と、
上記メインアドレス宛の第1電子メール、及び上記サブアドレス宛の第2電子メールを受信する受信手段と、
上記受信手段による電子メールの受信の際に、該電子メールの送信先アドレスに基づいて該電子メールが上記第1電子メールであるか上記第2電子メールであるかを判定する第1判定手段と、
上記第1判定手段によって上記第1電子メールであると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスに基づいて受信を許可するか否かを判定する第2判定手段と、
上記第2判定手段によって許可された場合に上記受信手段による上記第1電子メールの受信を継続し、上記第2判定手段によって拒否された場合に上記受信手段による上記第1電子メールの受信を中断する受信制限手段とを具備する電子メール中継装置。
【請求項2】
上記受信手段は、上記受信制限手段による制限なく上記第1電子メール及び上記第2電子メールの双方を受信する第1受信モードと、上記受信制限手段によって上記第1電子メールの受信を制限し上記第2電子メールを制限なく受信する第2受信モードとを有する請求項1に記載の電子メール中継装置。
【請求項3】
上記第1判定手段は、電子メールの送信先アドレスに上記付加情報が含まれているか否かによって判定する請求項1または2に記載の電子メール中継装置。
【請求項4】
所定のアドレスリストが記憶された第2記憶手段を更に備え、
上記第2判定手段は、上記第1電子メールの送信元アドレスが上記アドレスリストに含まれている場合に該第1電子メールの受信を許可する請求項1から3のいずれかに記載の電子メール中継装置。
【請求項5】
上記第1受信モードにおいて上記受信手段によって受信された上記第2電子メールの送信元アドレスを上記アドレスリストに登録するアドレス登録手段を更に備える請求項4に記載の電子メール中継装置。
【請求項6】
上記第1記憶手段は、複数の付加情報を少なくとも第1類と第2類とに分類して登録するものであり、
上記アドレス登録手段は、上記第1類もしくは上記第2類のいずれか一方に属する付加情報を含むサブアドレス宛の第2電子メールが上記受信手段によって受信された場合に限って該第2電子メールの送信元アドレスを上記アドレスリストに登録するものである請求項5に記載の電子メール中継装置。
【請求項7】
上記第1記憶手段に登録された上記付加情報を所定のルールに基づいて変更する付加情報変更手段を更に備える請求項1から6のいずれかに記載の電子メール中継装置。
【請求項8】
上記付加情報変更手段は、予め定められた期間が経過した場合に上記第1記憶手段に登録された上記付加情報を変更するものである請求項7に記載の電子メール中継装置。
【請求項9】
上記付加情報変更手段は、当該装置に接続された情報端末から所定の情報が入力された場合に上記第1記憶手段に登録された上記付加情報を変更するものである請求項7に記載の電子メール中継装置。
【請求項10】
上記第2判定手段によって上記第1電子メールの受信を拒否すると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスへ上記第1記憶手段に登録された上記付加情報とともに受信拒否に関するメッセージを返信する返信手段を更に備える請求項1から9のいずれかに記載の電子メール中継装置。
【請求項11】
上記サブアドレスは、上記メインアドレスのユーザIDの末尾に上記付加情報が付加されてなるものである請求項1から10のいずれかに記載の電子メール中継装置。
【請求項12】
上記アドレス情報は、電子メールのエンベローブ部に記載された情報である請求項1から11のいずれかに記載の電子メール中継装置。
【請求項13】
電子メールに含まれるアドレス情報に基づいて該電子メールを中継する電子メール中継装置に適用される電子メール中継方法であって、
予めユーザごとに登録されたメインアドレス宛の第1電子メール、及び該メインアドレスに所定の付加情報が付加されてなるサブアドレス宛の第2電子メールを受信する受信ステップと、
上記受信ステップによる電子メールの受信の際に、該電子メールの送信先アドレスに基づいて該電子メールが上記第1電子メールであるか上記第2電子メールであるかを判定する第1判定ステップと、
上記第1判定ステップによって上記第1電子メールであると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスに基づいて受信を許可するか否かを判定する第2判定ステップと、
上記第2判定ステップによって許可された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を継続し、上記第2判定手段によって拒否された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を中断する受信制限ステップとを具備する電子メール中継方法。
【請求項14】
電子メールに含まれるアドレス情報に基づいて該電子メールを管理する電子メール中継装置に適用されるプログラムであって、
予めユーザごとに登録されたメインアドレス宛の第1電子メール、及び該メインアドレスに所定の付加情報が付加されてなるサブアドレス宛の第2電子メールを受信する受信ステップと、
上記受信ステップによる電子メールの受信の際に、該電子メールの送信先アドレスに基づいて該電子メールが上記第1電子メールであるか上記第2電子メールであるかを判定する第1判定ステップと、
上記第1判定ステップによって上記第1電子メールであると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスに基づいて受信を許可するか否かを判定する第2判定ステップと、
上記第2判定ステップによって許可された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を継続し、上記第2判定手段によって拒否された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を中断する受信制限ステップとを上記電子メール中継装置に実行させるためのプログラム。
【請求項1】
電子メールに含まれるアドレス情報に基づいて該電子メールを中継する電子メール中継装置であって、
ユーザごとに設定されたメインアドレス、該メインアドレスに所定の付加情報が付加されてなるサブアドレス、及び上記付加情報が予め登録された第1記憶手段と、
上記メインアドレス宛の第1電子メール、及び上記サブアドレス宛の第2電子メールを受信する受信手段と、
上記受信手段による電子メールの受信の際に、該電子メールの送信先アドレスに基づいて該電子メールが上記第1電子メールであるか上記第2電子メールであるかを判定する第1判定手段と、
上記第1判定手段によって上記第1電子メールであると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスに基づいて受信を許可するか否かを判定する第2判定手段と、
上記第2判定手段によって許可された場合に上記受信手段による上記第1電子メールの受信を継続し、上記第2判定手段によって拒否された場合に上記受信手段による上記第1電子メールの受信を中断する受信制限手段とを具備する電子メール中継装置。
【請求項2】
上記受信手段は、上記受信制限手段による制限なく上記第1電子メール及び上記第2電子メールの双方を受信する第1受信モードと、上記受信制限手段によって上記第1電子メールの受信を制限し上記第2電子メールを制限なく受信する第2受信モードとを有する請求項1に記載の電子メール中継装置。
【請求項3】
上記第1判定手段は、電子メールの送信先アドレスに上記付加情報が含まれているか否かによって判定する請求項1または2に記載の電子メール中継装置。
【請求項4】
所定のアドレスリストが記憶された第2記憶手段を更に備え、
上記第2判定手段は、上記第1電子メールの送信元アドレスが上記アドレスリストに含まれている場合に該第1電子メールの受信を許可する請求項1から3のいずれかに記載の電子メール中継装置。
【請求項5】
上記第1受信モードにおいて上記受信手段によって受信された上記第2電子メールの送信元アドレスを上記アドレスリストに登録するアドレス登録手段を更に備える請求項4に記載の電子メール中継装置。
【請求項6】
上記第1記憶手段は、複数の付加情報を少なくとも第1類と第2類とに分類して登録するものであり、
上記アドレス登録手段は、上記第1類もしくは上記第2類のいずれか一方に属する付加情報を含むサブアドレス宛の第2電子メールが上記受信手段によって受信された場合に限って該第2電子メールの送信元アドレスを上記アドレスリストに登録するものである請求項5に記載の電子メール中継装置。
【請求項7】
上記第1記憶手段に登録された上記付加情報を所定のルールに基づいて変更する付加情報変更手段を更に備える請求項1から6のいずれかに記載の電子メール中継装置。
【請求項8】
上記付加情報変更手段は、予め定められた期間が経過した場合に上記第1記憶手段に登録された上記付加情報を変更するものである請求項7に記載の電子メール中継装置。
【請求項9】
上記付加情報変更手段は、当該装置に接続された情報端末から所定の情報が入力された場合に上記第1記憶手段に登録された上記付加情報を変更するものである請求項7に記載の電子メール中継装置。
【請求項10】
上記第2判定手段によって上記第1電子メールの受信を拒否すると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスへ上記第1記憶手段に登録された上記付加情報とともに受信拒否に関するメッセージを返信する返信手段を更に備える請求項1から9のいずれかに記載の電子メール中継装置。
【請求項11】
上記サブアドレスは、上記メインアドレスのユーザIDの末尾に上記付加情報が付加されてなるものである請求項1から10のいずれかに記載の電子メール中継装置。
【請求項12】
上記アドレス情報は、電子メールのエンベローブ部に記載された情報である請求項1から11のいずれかに記載の電子メール中継装置。
【請求項13】
電子メールに含まれるアドレス情報に基づいて該電子メールを中継する電子メール中継装置に適用される電子メール中継方法であって、
予めユーザごとに登録されたメインアドレス宛の第1電子メール、及び該メインアドレスに所定の付加情報が付加されてなるサブアドレス宛の第2電子メールを受信する受信ステップと、
上記受信ステップによる電子メールの受信の際に、該電子メールの送信先アドレスに基づいて該電子メールが上記第1電子メールであるか上記第2電子メールであるかを判定する第1判定ステップと、
上記第1判定ステップによって上記第1電子メールであると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスに基づいて受信を許可するか否かを判定する第2判定ステップと、
上記第2判定ステップによって許可された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を継続し、上記第2判定手段によって拒否された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を中断する受信制限ステップとを具備する電子メール中継方法。
【請求項14】
電子メールに含まれるアドレス情報に基づいて該電子メールを管理する電子メール中継装置に適用されるプログラムであって、
予めユーザごとに登録されたメインアドレス宛の第1電子メール、及び該メインアドレスに所定の付加情報が付加されてなるサブアドレス宛の第2電子メールを受信する受信ステップと、
上記受信ステップによる電子メールの受信の際に、該電子メールの送信先アドレスに基づいて該電子メールが上記第1電子メールであるか上記第2電子メールであるかを判定する第1判定ステップと、
上記第1判定ステップによって上記第1電子メールであると判定された場合に、該第1電子メールの送信元アドレスに基づいて受信を許可するか否かを判定する第2判定ステップと、
上記第2判定ステップによって許可された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を継続し、上記第2判定手段によって拒否された場合に上記受信ステップによる上記第1電子メールの受信を中断する受信制限ステップとを上記電子メール中継装置に実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−199261(P2008−199261A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31737(P2007−31737)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(501082152)株式会社エアー (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(501082152)株式会社エアー (2)
【Fターム(参考)】
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