説明

電子レンジ加熱用スープ包装体及びその製造方法

【課題】一回の電子レンジ加熱であっても、スープとソーセージやソーセージ様食肉加工品とを同時に喫食に適した状態とすることができ、且つ、ソーセージやソーセージ様食肉加工品は、丸ごとの状態のものであっても電子レンジ加熱による破裂が抑制され、スープの具として或いはスープから取り分け別途副食材としても食することが可能な電子レンジ加熱用スープ包装体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とが容器の内部に収容され、密封されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ加熱用スープ包装体およびその製造方法に係り、特に、水や別途小包装された具、調味材などを改めて添加する必要がなく、電子レンジ加熱によって喫食可能な調理済み状態となる具入り又は具なしのスープと食肉加工品とが容器に収容された電子レンジ加熱用スープ包装体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子レンジを用いマイクロ波照射により加熱して喫食可能に調理する電子レンジ加熱用の容器入り食品は、短時間の内に調理でき簡便性に優れることから多種多様なものが製造され、広く利用されている。汁物、吸い物などを含めたスープ類については、農水省告示第1821号に定義されるような粉末状、顆粒状、又は固形状に乾燥させた「乾燥スープ」がより一般的であるが、味やコクの面では必ずしも満足のいくものではなく、具の種類に制約があること、また、熱い状態の具入りスープを単に冷却、冷凍すると具が柔らかくなり過ぎたり、冷凍に長時間要しスープの味が低下することなどから、具を取り出したスープと具とを別に冷却後、再び混合し包材中に密封、冷凍する冷凍具入りスープの製造方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、加熱してから冷凍した魚貝鳥獣肉類、野菜類などの具と、粉末状、顆粒状、ペースト状のスープ或いは濃縮スープを直火式或いは電子レンジ加熱用の容器に入れ、冷凍保存するインスタント食品の製造法(例えば、特許文献2参照)、醤油などをベースに果実果汁、野菜類、アミノ酸等を加えた調味液に天然糊料、ゼラチンを加え、pH調整を行い流通経路の状況に応じこの強度を調整したものをアルミ箔、電子レンジ使用可能プラスチック成型容器等に流し込み、冷却凝固後、肉、魚貝類、野菜類等を盛り付けたのち密封シールを施す耐熱性容器を用いた食品の包装法(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
【0003】
スープの具として使用されることもある各種ソーセージは、代表的な食肉加工品であり、ソーセージ品質表示基準(農水省告示第1650号、改正告示第1821号)では、概括的には「家畜、家禽若しくは家兎の肉を塩漬し又は塩漬しないで、ひき肉したもの(原料畜肉類)に、家畜、家禽若しくは家兎の臓器若しくは可食部分を塩漬し又は塩漬しないで、ひき肉し又はすりつぶしたもの(原料臓器類)又は魚肉若しくは鯨肉を塩漬し又は塩漬しないで、ひき肉し又はすりつぶしたもの(原料魚肉類:原材料に占める重量割合15%未満)を加え又は加えないで、調味料及び香辛料で調味し、結着補強剤、酸化防止剤、保存料等を加え又は加えないで練り合わせたもの(ソーセージエマルジョン)をケーシング等に充填した後、燻煙し又は燻煙しないで加熱し又は乾燥したもの」と定義されている。また、原材料に占める原料魚肉類の重量割合が15%以上50%未満のものは「混合ソーセージ」と定義されている(混合ソーセージ品質表示基準:農水省告示第1651号、改正告示第1821号)。このように定義されるソーセージ、混合ソーセージは、いずれも基本的に、畜産動物の腸、胃又は食道等の天然ケーシングや、コラーゲン又はセルローズフィルム、合成フィルムなどの人工ケーシングにソーセージエマルジョンが充填され、加熱又は乾燥したものである。この他、ケーシングに充填することなくコラーゲン含有物やアルギン酸、ペクチンなど各種皮膜形成材で被覆したものや、非加熱、非乾燥の生のものなど、ソーセージや混合ソーセージの範疇から外れるようなソーセージ様食肉加工品もある(例えば、特許文献4〜特許文献8等参照)。
【0004】
【特許文献1】特開昭61−224970号公報
【特許文献2】特開昭54−67043号公報
【特許文献3】特開昭61−227744号公報
【特許文献4】特公昭48−10545号公報
【特許文献5】特開昭56−131375号公報
【特許文献6】特開平11−341944号公報
【特許文献7】特開平2−195860号公報
【特許文献8】特開平4−58872号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ソーセージは、薄めにスライスしない限り、一本丸ごとの状態のみならず表面に切れ目を入れたり、数切れにカットした程度では、加熱調理を施す際、特に電子レンジによる加熱では破裂する場合がある。また、ケーシングを取り除いた皮なしソーセージや、特許文献4〜特許文献7のような、ケーシングに充填することなく皮膜形成材で被覆、又は非加熱、非乾燥などのソーセージ様食肉加工品においても、同様に破裂する場合がある。このようなソーセージやソーセージ様食肉加工品は、一般的な調理ではスープの具として用られることがあるが、特許文献1〜特許文献3のような電子レンジ加熱用スープにおいては、破裂しないよう薄めにスライスしたものではソーセージ又はソーセージ様食肉加工品自体の好ましい食感、旨味が実質的に得られないことから、スープの具材としても使用されることはなかった。
【0006】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、一回の電子レンジ加熱であっても、スープとソーセージやソーセージ様食肉加工品とを同時に喫食に適した状態とすることができ、且つ、ソーセージやソーセージ様食肉加工品は、丸ごとの状態のものであっても電子レンジ加熱による破裂が抑制され、スープの具として或いはスープから取り分け別途副食材としても喫食可能な電子レンジ加熱用スープ包装体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による電子レンジ加熱用スープ包装体は、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とが容器の内部に収容され、密封されていることを特徴とする。このような電子レンジ加熱用スープ包装体において、スープは、電子レンジ未加熱状態では少なくとも冷蔵保存温度において具(具及びうきみ)を除く部分がゲル状であることが好ましく、また、ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品が、ゲル状に固化したスープの上面側に載置されていることが好適であり、ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品が、ゲル状に固化したスープに包埋されるように容器内に収容されていても良く、さらに、ソーセージ様食肉加工品が、非加熱、非乾燥であることが好ましく、さらにまた、ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品のケーシングが、畜産動物などの腸、胃又は食道等に由来する天然のケーシングであることが好適である。
【0008】
上記のような電子レンジ加熱用スープ包装体においては、スープが、具を除く100重量部に対して0.2重量部以上、30重量部未満のゼラチンを添加し調製されたものであることが好ましく、また、スープが、具を除く100重量部に対して0.5重量部以上、3重量部以下の塩分を含有することが好適であり、さらに、スープが、コラーゲンを添加し調製されたものであっても良い。そして、容器は本体容器と蓋とからなり;本体容器は開口部を備える有底形状に形成されており;蓋は、開口部を封鎖していることが好ましく、この場合に、本体容器は、マイクロ波を透過し液体非透過性且つ耐熱性の材料からなり;蓋は、電子レンジ加熱時に開孔を生じるように形成された自動開孔(積層)樹脂フィルムを含む材料からなることが好適であり、さらには、容器は本体容器と外装容器とからなり;本体容器は、マイクロ波を透過し液体非透過性且つ耐熱性の材料によって開口部を備える有底形状に形成され、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とが収容され;外装容器は、電子レンジ加熱時に開孔を生じるように形成された自動開孔(積層)樹脂フィルムを含む材料によって袋体状に形成され、本体容器が挿入されて密封されていても良い。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明による電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法は、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とを容器の内部に収容し、密封することを特徴とする。このような電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法において、スープは、電子レンジ未加熱状態では少なくとも冷蔵保存温度において具を除く部分がゲル状を呈するように調製することが好ましく、また、ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品を、ゲル状に固化したスープの上面側に載置することが好適であり、ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品を、具を除く部分が液状(ゾル状)となるように加温したスープと共に容器内に投入し、ゲル状に固化したスープに一部又は全部が包埋されるように容器内に収容することもでき、さらに、ソーセージ様食肉加工品は、非加熱、非乾燥であることが好適であり、さらにまた、ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品のケーシングには、天然ケーシングを用いることが好ましい。
【0010】
以上のような電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法では、スープは、ゼラチンを添加し調製することが好ましく、また、スープは、具を除く100重量部に対して0.2重量部以上、30重量部未満のゼラチンを添加し調製することが良く、さらに、スープは、具を除く100重量部に対して0.5重量部以上、3重量部以下の塩分を含有するように塩を添加し調製することが好適であり、さらにまた、スープは、コラーゲンを添加し調製することができる。そして、容器として本体容器と蓋とを用い;本体容器は開口部を備える有底形状に形成し;開口部を蓋によって封鎖することが好ましく、この場合には、本体容器は、マイクロ波を透過し液体非透過性且つ耐熱性の材料からなり;蓋は、電子レンジ加熱時に開孔を生じるように形成された自動開孔樹脂フィルムを含む材料からなることが好適であり、また、容器として、本体容器と外装容器とを用い;マイクロ波を透過し液体非透過性且つ耐熱性の材料によって開口部を有する有底形状に形成された本体容器に、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とを収容し;電子レンジ加熱時に開孔を生じるように形成された自動開孔樹脂フィルムを含む材料によって袋体状に形成された外装容器に、本体容器を挿入して密封することもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子レンジ加熱用スープ包装体及び電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法によれば、一回の電子レンジ加熱であっても、スープとソーセージやソーセージ様食肉加工品とを同時に喫食に適した状態とすることができる。また、ソーセージやソーセージ様食肉加工品は丸ごとの状態のものであっても、電子レンジ加熱による温度上昇の部位偏差を小さくすることから、破裂を抑制することができ、スープの具として或いはスープから取り分け別途副食材としても喫食可能に提供できる。また、電子レンジ加熱時に、破裂が抑制されたソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品からは、適度に脂肪分、エキス分、塩分などが滲み出した滲出液がスープに混入することとなり、予めスープの脂質や塩分等の配合量を低減させたり、無添加とすることも可能である。非加熱、非乾燥のソーセージ様食肉加工品を用いる場合には、滲出液中の脂肪分、エキス分、塩分の含量が高くなり、ソーセージを用いる場合に比して、スープの脂質、塩分配合量をより低減して調製することができる。また、このような非加熱、非乾燥のソーセージ様食肉加工品は、食品衛生上、特に塩分含量が高めに調製され一般的な加熱調理を施した場合では味覚的にも、喫食者への健康面に対しても好ましくないことがあるが、本発明の包装体に用いた場合では、電子レンジ加熱後には脂質含量が低減されると共に塩分含量を適度な状態として提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明による電子レンジ加熱用スープ包装体及び電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0013】
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態による電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法は、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とを容器の内部に収容し、密封する。本実施形態の製造方法によって得られる電子レンジ加熱用スープ包装体は、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とが容器の内部に収容され、密封されている。本実施形態におけるスープとしては、汁物、吸い物などを含めたスープ類であれば如何なるスープであっても良く、特に限定されない。それぞれ適宜、適切な材料を用い、調理、調製すれば良く、また、野菜類、穀類、茸類、魚介類、家畜類、家禽、家兎、乳、乳製品から1以上選ばれた材料によって調製された具を含む具入りスープとすることもできる。ここで、具とは、農水省告示第1821号(「乾燥スープの品質表示基準」)に定義されるような、「具」の他、「うきみ」などを含むものとする。そして、それぞれ、例えば、洋風、中華風、和風など如何なる風味、味付けが成されていても良い。具体的には、例えば、コンソメスープ、ポタージュスープ、オニオンスープ、パンプキンスープ、ポテトスープ、トマトスープ、キムチスープ、豆スープ、モヤシスープ、ホタテスープ、鰹スープ、昆布スープ、ワカメスープ、鱶鰭スープ、ビーフスープ、鶏がらスープ、豚骨スープ、ビーフスープ、クリームスープ、卵スープ、ミネストローネ、ボルシチ、トムヤンクンなどを挙げることができる。
【0014】
このようなスープは、スープの液状部分を熱可逆的に固化するゲル化剤を添加し、電子レンジ未加熱状態では少なくとも冷蔵保存温度において具を除く部分がゲル状を呈するように調製することもできる。本実施形態の電子レンジ加熱用スープ包装体は、冷蔵又は冷凍で流通可能であるが、冷蔵温度で流通運搬される場合に、液状(ゾル状を含む)に調製されたスープと共にソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品が運搬時の振動などにつれて容器内で移動攪拌され、スープに泡が生じたり、具やソーセージ、ソーセージ様食肉加工品に身崩れ等が発生することがある点では、電子レンジ未加熱状態では、スープは冷蔵温度(10℃以下)でゲル状となるように調製されていることが好ましく、40℃以下の温度でゲル状を維持するよう調製されていることがより好ましい。ゲル化剤としては、スープの具を除く部分を熱可逆的なゲル状に固化可能であれば、如何なるゲル化剤であっても良く、特に限定されない。例えば、ゼラチン、寒天、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドガム、キサンタンガム、ペクチン、ファーセレラン、カラギーナン、トラガントガム、アラビアガム、カラヤガムから1以上選ばれたゲル化剤が好適に使用できる。通常の調理において自然に生じる煮凝りに似た性状のゲル状となる点では、ゼラチンを主体とするゲル化剤を用いることが好ましい。また、この場合に使用するゼラチンとしては、例えば、家畜、家禽、家兎のような畜産動物や、魚介類のような水産生物など、如何なる生物における如何なる組織から得られたゼラチンであっても良く、特に限定されない。これら複数の生物由来の組織から得られた複数種のゼラチンを混合して使用することもでき、さらに、加水分解や酵素分解されたゼラチンの他、誘導体化されたゼラチンであっても良い。また、例えば、スープのダシ、具などの原料に選ばれた食材や、ソーセージ又はソーセージ様食肉加工品の原料に選ばれた食肉材と同一の生物種由来のゼラチン、又はこれらのゼラチンを混合して用いることもでき、味覚的には好ましい。
【0015】
上述のようなゲル化剤を用いる場合、スープ中の配合量としては、使用するスープの種類、具の有無や種類、選定したゲル化剤の種類などに応じて適宜決定すれば良く、特に限定されない。例えば、ゼラチンをゲル化剤として用いる場合のスープ中の配合量としては、スープの具(具やうきみ)を除いた100重量部に対して、0.2重量部以上、30重量部未満添加することが好ましい。0.5重量部以上、25重量部以下がより好ましく、1重量部以上、20重量部以下がさらに好ましい。0.2重量部未満ではゲル化されない場合があり、30重量部を超えると電子レンジで加熱する際にソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品の破裂を抑制できない場合がある。スープをゆるいゲル状に調製するには、ゼラチン添加量を2重量部以下とすることが好ましく、一方、電子レンジ加熱後、とろみ感の強いスープに調製するには7重量部以上添加すれば良く、味覚的に好ましい添加量は20重量部以下である。なお、スープとして、ゲル化剤を添加することなく、スープ原料に由来するゼラチンなどでゲル状に固化した自然の煮凝りを用いる、又は煮凝りを添加することもできる。また、このようなゲル化剤を配合した場合、電子レンジ加熱後に具以外の部分が液状(ゾル状)となったスープには、ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品からの滲出液が加わり40℃以下に放冷された状態であっても液状を保つことがある点では、より好ましい。
【0016】
また、スープは、具を除く100重量部に対して0.5重量部以上、3重量部以下の塩分を含有するように塩(塩原料)を添加、調整することが好ましい。塩分含量を0.5重量部以上に調整することによって、電子レンジ加熱時に、ソーセージ、ソーセージ様食肉加工品が破裂し難くなる場合がある。3重量部を超えると味覚的には好ましくない。添加する場合の塩としては、食品に適用可能な塩であれば如何なる塩であっても良く、例えば、食塩、並塩、天日製塩などの原塩、粉砕塩、焼塩の外、にがり添加塩や塩化カリウム添加塩、酢酸塩添加塩などの加工塩から一以上選ばれたものが好適に使用でき、スープの種類に応じて適宜決定すれば良い。
【0017】
さらに、本実施形態におけるスープとしては、コラーゲンを添加し調製することもできる。スープに添加する場合のコラーゲンとしては、例えば、家畜、家禽、家兎のような畜産動物や、魚類のような水産脊索動物をはじめ、貝類や烏賊、蛸等の軟体動物、クラゲ類のような刺胞動物、雲丹、ナマコ類などの棘皮動物、海綿動物等のような水産生物など、如何なる生物における如何なる組織から調製されたコラーゲンであっても使用できる。なお、熱変性や加水分解などにより変性されたコラーゲンペプチドとも呼ばれるゼラチン(ゼラチンペプチド)以外であれば、3重螺旋の立体構造を有するか否かに関わりなく、また、例えばN末端、C末端のテロペプチド領域を酵素処理等によって除去したアテロコラーゲンなど、如何なる分子構造のコラーゲンであっても良い。スープに添加されたコラーゲンの一部は、電子レンジ加熱によって水溶性のゼラチンに変性するが、ヒドロキシプロリンに富むアミノ酸組成を有する特徴は変わりなく、電子レンジ加熱した後コラーゲン添加スープを喫食し、消化器系において消化、吸収された場合に、ヒドロキシプロリン自体は喫食者の体内で主にコラーゲン蛋白の合成に利用されることとなる点では、スープへのコラーゲンの添加が好ましい。このようなコラーゲンをスープに添加する場合の配合量としては、スープの種類やゲル化剤添加量などに応じて適宜決定することができ、特に限定されない。例えば、スープにゲル化剤を添加しない場合のコラーゲン配合量は、スープの具を除いた100重量部に対して、0.01重量部以上、30重量部以下添加することが好ましく、0.05重量部以上、20重量部以下がより好ましい。30重量部を超えると電子レンジ加熱後、スープのとろみが強くなり過ぎることがある。また例えば、スープにゲル化剤を添加する場合のコラーゲン配合量は、スープの具を除いた100重量部に対して、0.01重量部以上、20重量部以下添加することが好ましく、0.05重量部以上、10重量部以下がより好ましい。20重量部を超えると電子レンジ加熱後、スープのとろみが強くなり過ぎることがある。
【0018】
本実施形態において使用するソーセージとしては、如何なるソーセージであっても良く、特に限定されない。例えば、〔背景技術〕において説明したソーセージ品質表示基準(農水省告示第1650号、改正告示第1821号)に定義されるクックドソーセージ、加圧加熱ソーセージ、セミドライソーセージ、ウィンナーソーセージ、フランクフルトソーセージ、リオナソーセージ、レバーソーセージ、レバーペースト等が好適に使用できる。また、例えば、混合ソーセージ品質表示基準(農水省告示第1651号、改正告示第1821号)に定義されるような混合ソーセージ、加圧加熱混合ソーセージであっても良い。さらに、上述のようなソーセージ、混合ソーセージの範疇外となるソーセージ様食肉加工品も使用できる。本実施形態におけるソーセージ様食肉加工品としては、例えば、ソーセージや混合ソーセージにおける定義の内、ケーシングに充填されない点で範疇外となるソーセージ様食肉加工品や、ソーセージエマルジョンをケーシングに充填後に非加熱、非乾燥の点で範疇外となるソーセージ様食肉加工品など、如何なる点で範疇外であっても、また複数の点で範疇外となるようなソーセージ様食肉加工品であっても良い。特許文献4〜特許文献8に開示されたような、コラーゲン含有液や多糖類、穀類等を含む各種皮膜形成材によって被覆したソーセージ様食肉加工品や、被覆の前又は後に燻煙処理のみを施した非加熱、非乾燥のソーセージ様食肉加工品なども使用できる。そして、上述のようなソーセージとソーセージ様食肉加工品とを採り混ぜて使用することも可能である。
【0019】
このようなソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品をスープと共に容器に収容して密封した本実施形態の電子レンジ加熱用スープ包装体では、密封された容器を一部又は全部開封して電子レンジ加熱し、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とを短時間で同時に喫食に適した加熱状態とすることができる。また、電子レンジ加熱によって、ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品から、脂肪分、エキス分、塩分などを含み滲み出した滲出液がスープに混入することとなる。したがって、スープは、脂質や塩分などの配合量を低減、或いは無添加として調製したものを使用することも可能である。電子レンジ加熱時における滲出液の量、滲出液中の脂肪分、肉エキス分、塩分などの量が多いことがある点では、魚肉類原料を使用しないソーセージ又はソーセージ様食肉加工品がより好ましく、また、同様の理由から、ソーセージやソーセージ様食肉加工品のケーシングには、コラーゲンフィルム又はセルロースフィルム(セルローズフィルム)、合成フィルムなどの人工ケーシングよりも、牛、豚、羊、山羊などの畜産動物の腸、胃又は食道等由来の天然ケーシングに充填されたソーセージ又はソーセージ様食肉加工品が好ましい。さらに、例えば、燻煙されずに燻液を混合しただけの完全非加熱、非乾燥のソーセージ様食肉加工品、或いは、燻煙された後は非加熱、非乾燥のソーセージ様食肉加工品などのような非加熱、非乾燥のソーセージ様食肉加工品では、調製時における加熱又は乾燥による脂質、エキス分のロスがなく、また、食品衛生上、加熱又は乾燥したソーセージやソーセージ様食肉加工品に比して、高い塩分濃度として調製される。本実施形態の電子レンジ加熱用スープ包装体にこのような非加熱、非乾燥のソーセージ様食肉加工品を用いた場合には、電子レンジ加熱時の滲出液にも脂肪分や肉エキス分などと共に塩分がより多量に含まれ、滲出液はスープに混入移行するため、電子レンジ加熱後のソーセージ様食肉加工品は適度な塩分濃度となっている点でも好ましい。
【0020】
本実施形態においては、このようなソーセージやソーセージ様食肉加工品は、スライス又はカットしたり、表面に切れ目を入れるなどの手を加えない丸ごとの状態であっても使用することができる。また、例えば、数切れにカットした状態、又は表面に切れ目を入れた状態、又はスライスした状態のものも使用でき、これら複数の状態のものを混ぜ合わせても良いが、食感、味覚的には、スライスした状態のものを80重量%以上、又は単独で使用することは好ましくない。以上のようなソーセージ又はソーセージ様食肉加工食品はスープと共に容器に入っており、電子レンジ加熱された際には、前述のように主にスープ中の塩分、水分から生じる水蒸気によって、ソーセージやソーセージ様加工食品個々における温度上昇の部位偏差、すなわち、最高温度部位と最低温度部位との偏差を小さく、また70℃を超えるような比較的高温度域における温度上昇を緩慢にすることから、丸ごとの状態であっても破裂を抑制することができるものと推定される。さらに、スープにゲル化剤が添加され、ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品を、ゲル状に固化したスープの上面側に載置する場合や、ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品を、具を除く部分が液状(ゾル状)となるように加温したスープと共に容器内に投入し、冷後ゲル状に固化したスープに一部又は全部が包埋されるように容器内に収容する場合には、電子レンジ加熱する際に、ゲル状のスープ及び液状となったスープから発生する蒸気によってソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品が均等に加熱されることから、さらに破裂が抑制される場合がある。このように、ソーセージやソーセージ様食肉加工品を丸ごとの状態であっても破裂を抑えられることから、電子レンジ加熱後に、スープの具として或いはスープから取り分け別途副食材としても喫食可能に提供することが可能である。
【0021】
以上のようなスープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品との使用量比としては、スープ、ソーセージやソーセージ様食肉加工品の種類や形態により適宜決定することができ、特に限定されない。スープの具を除いた100重量部に対して、ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品5重量部以上とすることが好ましく、15重量部以上がより好ましく、30重量部以上がさらに好ましい。5重量部未満では、電子レンジ加熱時にソーセージやソーセージ様食肉加工品の滲出液によるスープの風味向上が充分得られない場合がある。また、スープの具を除いた100重量部に対して、ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品1000重量部以下とすることが好ましく、500重量部以下がより好ましく、300重量部以下がさらに好ましい。1000重量部を超えると電子レンジ加熱時にソーセージやソーセージ様食肉加工品の破裂を充分抑制できない場合がある。
【0022】
また、容器としては、上述のようなスープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とを内部に収容でき、密封可能であれば、如何なる容器であっても使用できる。本実施形態では電子レンジ加熱に際して容器の一部又は全部を開封するものであり、例えば、(1)袋体状の容器を用い、容器の内部にスープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とを直接収容して密封したもの、また、(2)例えばトレー状、カップ状、椀状、丼状のような開口部を備える有底形状の本体容器と袋体状の外装用容器を用い、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とを収容した本体容器を外装用容器内に挿入して密封したもの、また、(3)開口部を備える有底形状の本体容器と蓋を用い、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品を本体容器の内部に収容し、本体容器開口部を蓋によって封鎖して密封したもの、また、(4)開口部を備える有底形状の本体容器と樹脂フィルムを用い、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品を本体容器の内部に収容し、本体容器開口部に樹脂フィルムを溶着しスープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品を密着状態で覆うように真空包装して密封したもの等を挙げることができる。
【0023】
各容器の材質としては、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とを衛生的に包装可能であり、電子レンジ加熱可能であれば、如何なる材質のものであっても良い。例えば、上述の(1)における袋体状の容器の場合、ガスバリア性を有する耐熱性の樹脂フィルムを用いることができる。(2)における本体容器の場合、マイクロ波を透過し液体非透過性且つ耐熱性の材質のものが、また、袋体状の外装用容器の場合、ガスバリア性を有する耐熱性の樹脂フィルムを用いることができる。(3)における本体容器の場合、マイクロ波を透過し液体非透過性且つ耐熱性の材質のものが、また、蓋にはガスバリア性を有するあらゆる材質のものを用いることができ、蓋の一部を開封したまま電子レンジ加熱できる点ではガスバリア性の樹脂フィルムが好適に使用できる。(4)における本体容器の場合、マイクロ波を透過し液体非透過性且つ耐熱性の材質のものが、また、樹脂フィルムには液体非透過性且つ熱接着性を有する材質のものを用いることができ、本包装体内のスープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品を長期間に亘り保存可能であり、樹脂フィルムの一部を開封したまま電子レンジ加熱できる点では、ガスバリア性且つ熱接着性且つ耐熱性を有する積層樹脂フィルムが好適に使用できる。
【0024】
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態による電子レンジ加熱用スープ包装体及び電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法は、第1の実施形態とは、容器に関連する部分のみが異なりその他は同様である。同様な部分についての重複説明は省略する。
【0025】
本第2の実施形態の電子レンジ加熱用スープ包装体は、電子レンジ加熱に際して、容器の一部又は全部を開封することなく包装体(容器)をそのまま電子レンジ内に挿入することができるものである。本第2の実施形態の容器としては、第1の実施形態において説明したスープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とを内部に収容でき、電子レンジ加熱時には自動的に開封されるように密封可能であれば、如何なる容器であっても使用できる。例えば、(2−1)袋体状の容器を用い、容器の内部にスープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とを直接収容して密封したもの、また、(2−2)例えばトレー状、カップ状、椀状、丼状のような開口部を備える有底形状の本体容器と袋体状の外装用容器を用い、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とを収容した本体容器を外装用容器内に挿入して密封したもの、また、(2−3)開口部を備える有底形状の本体容器と蓋を用い、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品を本体容器の内部に収容し、本体容器開口部を蓋によって封鎖して密封したもの等を挙げることができる。
【0026】
各容器の材質や密封の形態としては、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とを衛生的に包装可能であり、電子レンジ加熱時には自動的に開封されるように密封することができれば、如何なる材質のものであっても、如何なる密封形態であっても良い。例えば、上述の(2−1)における袋体状の容器の場合、ガスバリア性を有する耐熱性の樹脂フィルムを用い、熱接着によって袋体開口部を閉鎖密封する密封部の一部に、電子レンジ加熱時に袋体内圧及び/又は温度の上昇により開封されるような、例えば低温度熱接着部、低圧熱接着部、小面積化熱接着部、低融点接着剤塗布部などを設け密封することができる。また、ガスバリア性を有する耐熱性の樹脂フィルムに小孔(蒸気孔)を設け、電子レンジ加熱時に袋体内圧及び/又は温度の上昇により自動的に剥離するような、例えば低融点接着剤塗布シールを貼着したり、ガスバリア性を有する耐熱性の樹脂フィルムからなるシールを密封部を熱接着する温度より低温度で熱接着したり、密封部を熱接着する場合より低圧で熱接着したような自動開孔樹脂フィルムを用い、袋体開口部を熱接着によって閉鎖密封することができる。また、例えば、破線状又は直線状の切れ目を設け、この切れ目を含む周辺部分に、剥離剤及び/又は低融点の熱接着剤を塗布した延伸樹脂フィルムと非延伸樹脂フィルムを貼着又は熱接着したような、電子レンジ加熱時に袋体内圧及び/又は温度の上昇により自動的に開孔を生じる自動開孔(積層)樹脂フィルムを用い、袋体開口部を熱接着によって閉鎖密封することができる。
【0027】
また、例えば(2−2)における本体容器の場合、マイクロ波を透過し液体非透過性且つ耐熱性の材質のものを用いることができ、袋体状の外装用容器の場合、(2−1)における袋体状の容器の場合と同様の材質、密封の形態とすることができる。また、例えば(2−3)における本体容器の場合、マイクロ波を透過し液体非透過性且つ耐熱性の材質のものを用いることができ、蓋を開口部に熱接着し易い点では、液体非透過性且つ熱接着性且つ耐熱性を有する樹脂が好適に使用できる。蓋には、ガスバリア性を有する耐熱性の樹脂フィルムを用い、熱接着によって本体容器開口部を閉鎖密封する密封部の一部に、電子レンジ加熱時に包装体内圧及び/又は温度の上昇により自動開封されるような、例えば低温度熱接着部、低圧熱接着部、小面積化熱接着部、低融点接着剤塗布部などを設け密封することができる。また、ガスバリア性を有する耐熱性の樹脂フィルムに小孔(蒸気孔)を設け、電子レンジ加熱時に包装体内圧及び/又は温度の上昇により自動的に剥離するような、例えば低融点接着剤塗布シールを貼着したり、ガスバリア性を有する耐熱性の樹脂フィルムからなるシールを密封部を熱接着する温度より低温度で熱接着したり、密封部を熱接着する場合より低圧で熱接着したような自動開孔樹脂フィルムを用い、本体容器開口部を熱接着によって閉鎖密封することができる。また、例えば、破線状又は直線状の切れ目を設け、この切れ目を含む周辺部分に、剥離剤及び/又は低融点の熱接着剤を塗布した延伸樹脂フィルムと非延伸樹脂フィルムを貼着又は熱接着したような、電子レンジ加熱時に包装体内圧及び/又は温度の上昇により自動的に開孔を生じる自動開孔(積層)樹脂フィルムを用い、本体容器開口部を熱接着によって閉鎖密封することができる。電子レンジ加熱時、包装体内部が大気圧以上の加圧状態となることがあり、容器内に収容されたソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品の破裂がさらに抑制される場合がある点では、自動開孔(積層)樹脂フィルムを用い、(2−1)〜(2−3)の包装体とすることが好ましく、シンプルで見栄えが良い点では、開口部を備える有底形状の本体容器と自動開孔(積層)樹脂フィルムを含む材料からなる蓋を用い、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品を本体容器の内部に収容し、本体容器開口部を蓋によって封鎖して密封した(2−3)包装体がより好ましい。
【実施例】
【0028】
以下、本発明による電子レンジ加熱用スープ包装体及び電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法について、実施例、試験例を示して具体的に説明するが、これによって本発明を限定するものではない。
【0029】
〔実施例1〕
第1の実施形態の製造方法に準じて電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。ただし、スープとして、ゲル化剤としてのゼラチンを4重量%添加したコンソメスープ(塩分無添加、具なし)を調製した。ソーセージ様食肉加工品として、豚肉を原料としたソーセージエマルジョンを羊腸ケーシングに充填、非加熱、非乾燥のものを調製した(25g/1本)。調製直後液状(ゾル状)のコンソメスープ70gをトレー状の本体容器に投入し、室温(20℃〜25℃)に放冷ゲル状に固化した後、非加熱、非乾燥のソーセージ様食肉加工品3本を、固化したスープ上に載置し、本体容器開口部を蓋によって閉鎖密封した。本体容器としては、マイクロ波を透過し、ガスバリア性且つ耐熱性を有する熱接着性樹脂(ポリプロピレン)によってトレー状に形成したものを用い、蓋としてガスバリア性、耐熱性を有する樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート)を用い、本体容器開口部のフランジ部に熱接着によって閉鎖(密封)して電子レンジ加熱用スープ包装体を得た。
【0030】
〔実施例2〕
スープに食塩を添加し塩分濃度を0.5重量%とした以外は、実施例1と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例3〕
スープに食塩を添加し塩分濃度を1重量%とした以外は、実施例1と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例4〕
スープに食塩を添加し塩分濃度を2重量%とした以外は、実施例1と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例5〕
スープに食塩を添加し塩分濃度を3重量%とした以外は、実施例1と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
【0031】
〔実施例6〕
スープのゼラチン添加量を1重量%とし、スープに食塩を添加し塩分濃度を0.75重量%とした以外は、実施例1と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
【0032】
〔実施例7〕
スープのゼラチン添加量を2重量%とした以外は、実施例6と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例8〕
スープのゼラチン添加量を3重量%とした以外は、実施例6と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例9〕
スープのゼラチン添加量を4重量%とした以外は、実施例6と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例10〕
スープのゼラチン添加量を5重量%とした以外は、実施例6と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例11〕
スープのゼラチン添加量を6重量%とした以外は、実施例6と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例12〕
スープのゼラチン添加量を7重量%とした以外は、実施例6と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例13〕
スープのゼラチン添加量を8重量%とした以外は、実施例6と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例14〕
スープのゼラチン添加量を9重量%とした以外は、実施例6と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例15〕
スープのゼラチン添加量を10重量%とした以外は、実施例6と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例16〕
スープのゼラチン添加量を20重量%とした以外は、実施例6と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例17〕
スープのゼラチン添加量を30重量%とした以外は、実施例6と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例18〕
スープのゼラチン添加量を40重量%とした以外は、実施例6と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
〔実施例19〕
スープのゼラチン添加量を50重量%とした以外は、実施例6と同様にして電子レンジ加熱用スープ包装体を調製した。
【0033】
〔試験例1〕
実施例1〜実施例5の電子レンジ加熱用スープ包装体について、それぞれ蓋の一部を開封し、600Wの電子レンジを使用して2分30秒間の加熱を行った。電子レンジ加熱直後における各ソーセージ様食肉加工品について、最も温度が上昇している部位の温度(最高昇温部位温度)と、最も温度上昇していない部位の温度(最低昇温部位温度)を測定した。また、各ソーセージ様食肉加工品について破裂の有無を確認した。なお、各実施例毎に3包装体(ソーセージ各9本)を用いて試験を行った。この結果は、図1及び表1に示すとおりである。ソーセージのみを電子レンジ加熱した場合には、同様のソーセージ様食肉加工品では4割〜7割が破裂することを予め確認しているが、スープと共に加熱することで、3割程度まで破裂頻度が減り(実施例1)、スープ塩分0.5重量%(実施例2)では1割となり顕著に破裂が抑制されることが判明した。
【0034】
【表1】

【0035】
〔試験例2〕
実施例6〜実施例19の電子レンジ加熱用スープ包装体について、それぞれ蓋の一部を開封し、600Wの電子レンジを使用して2分30秒間の加熱を行った。電子レンジ加熱前後における各スープ及びソーセージ様食肉加工品について、性状、破裂の有無を確認した。実施例6〜実施例16(ゼラチン濃度:1重量%〜20重量%)の電子レンジ加熱用スープ包装体においては、各ソーセージ様食肉加工品の破裂を認めなかったが、実施例17〜実施例19(ゼラチン濃度:30重量%〜50重量%)では、破裂を充分抑制できないことが確認された。実施例6及び実施例7(ゼラチン濃度:1重量%〜2重量%)におけるスープは電子レンジ未加熱の状態でゲルがゆるく、また、実施例12〜実施例16(ゼラチン濃度:7重量%〜20重量%)におけるスープは、電子レンジ加熱後にとろみが強いことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のスープ包装体を電子レンジ加熱する際における状態変化の一例として、スープ包装体容器内に収容されたソーセージ様食肉加工品の場合の昇温状態を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とが容器の内部に収容され、密封されていることを特徴とする電子レンジ加熱用スープ包装体。
【請求項2】
前記スープは、電子レンジ未加熱状態では少なくとも冷蔵保存温度において具を除く部分がゲル状であることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱用スープ包装体。
【請求項3】
前記ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品が、ゲル状に固化したスープの上面側に載置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子レンジ加熱用スープ包装体。
【請求項4】
前記ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品が、ゲル状に固化したスープに包埋されるように容器内に収容されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子レンジ加熱用スープ包装体。
【請求項5】
前記ソーセージ様食肉加工品が、非加熱、非乾燥であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体。
【請求項6】
前記ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品のケーシングが、天然のケーシングであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体。
【請求項7】
前記スープが、ゼラチンを添加し調製されたものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体。
【請求項8】
前記スープが、具を除く100重量部に対して0.2重量部以上、30重量部未満のゼラチンを添加し調製されたものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体。
【請求項9】
前記スープが、具を除く100重量部に対して0.5重量部以上、3重量部以下の塩分を含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体。
【請求項10】
前記スープが、コラーゲンを添加し調製されたものであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体。
【請求項11】
前記容器は本体容器と蓋とからなり、
前記本体容器は開口部を備える有底形状に形成されており、
前記蓋は開口部を封鎖していることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体。
【請求項12】
前記本体容器は、マイクロ波を透過し液体非透過性且つ耐熱性の材料からなり、
前記蓋は、電子レンジ加熱時に開孔を生じるように形成された自動開孔樹脂フィルムを含む材料からなることを特徴とする請求項11に記載の電子レンジ加熱用スープ包装体。
【請求項13】
前記容器は本体容器と外装容器とからなり、
前記本体容器は、マイクロ波を透過し液体非透過性且つ耐熱性の材料によって開口部を備える有底形状に形成され、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とが収容され、
前記外装容器は、電子レンジ加熱時に開孔を生じるように形成された自動開孔樹脂フィルムを含む材料によって袋体状に形成され、本体容器が挿入されて密封されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体。
【請求項14】
スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とを容器の内部に収容し、密封することを特徴とする電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法。
【請求項15】
前記スープは、電子レンジ未加熱状態では少なくとも冷蔵保存温度において具を除く部分がゲル状を呈するように調製することを特徴とする請求項14に記載の電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法。
【請求項16】
前記ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品を、ゲル状に固化したスープの上面側に載置することを特徴とする請求項14又は15に記載の電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法。
【請求項17】
前記ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品を、具を除く部分が液状となるように加温したスープと共に容器内に投入し、ゲル状に固化したスープに包埋されるように容器内に収容することを特徴とする請求項14又は15に記載の電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法。
【請求項18】
前記ソーセージ様食肉加工品は、非加熱、非乾燥であることを特徴とする請求項14乃至17のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法。
【請求項19】
前記ソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品のケーシングには、天然ケーシングを用いることを特徴とする請求項14乃至18のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法。
【請求項20】
前記スープは、ゼラチンを添加し調製することを特徴とする請求項14乃至19のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法。
【請求項21】
前記スープは、具を除く100重量部に対して0.2重量部以上、30重量部未満のゼラチンを添加し調製することを特徴とする請求項14乃至20のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法。
【請求項22】
前記スープは、具を除く100重量部に対して0.5重量部以上、3重量部以下の塩分を含有するように塩を添加し調製することを特徴とする請求項14乃至21のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法。
【請求項23】
前記スープは、コラーゲンを添加し調製することを特徴とする請求項14乃至22のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法。
【請求項24】
前記容器として本体容器と蓋とを用い、
前記本体容器は開口部を備える有底形状に形成し、
開口部を蓋によって封鎖することを特徴とする請求項14乃至23のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法。
【請求項25】
前記本体容器は、マイクロ波を透過し液体非透過性且つ耐熱性の材料からなり、
前記蓋は、電子レンジ加熱時に開孔を生じるように形成された自動開孔樹脂フィルムを含む材料からなることを特徴とする請求項24に記載の電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法。
【請求項26】
前記容器として、本体容器と外装容器とを用い、
マイクロ波を透過し液体非透過性且つ耐熱性の材料によって開口部を有する有底形状に形成された前記本体容器に、スープとソーセージ及び/又はソーセージ様食肉加工品とを収容し、
電子レンジ加熱時に開孔を生じるように形成された自動開孔樹脂フィルムを含む材料によって袋体状に形成された外装容器に、本体容器を挿入して密封することを特徴とする請求項14乃至23のいずれかに記載の電子レンジ加熱用スープ包装体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−20455(P2007−20455A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206198(P2005−206198)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000118497)伊藤ハム株式会社 (57)
【Fターム(参考)】