説明

電子レンジ加熱調理用容器

【課題】電子レンジを用いて、容易に食品の上下両面に同時に焦げ目をつけることができる電子レンジ加熱調理用容器を提供する。
【解決手段】底部と、該底部より立ち上がる側部とからなる容器本体と、蓋とを有し、前記底部と前記蓋のそれぞれの内面にマイクロ波の照射により発熱する発熱体を設けた紙製の容器であって、食品を前記容器の中に収納したときに、該食品に前記底部と前記蓋の前記発熱体が接触することを特徴とする。さらに、前記蓋が蓋本体と該蓋本体に連設されたフラップとを有し、前記側部で囲われた前記容器の内方に前記蓋本体を挿入したときに、前記フラップが前記側部に接触して、前記容器の中に収納した前記食品に前記蓋本体が接触した位置で維持可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ加熱調理用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、マイクロ波を吸収して発熱するシート状の発熱体は、開発された当初は電子レンジでのポップコーンの発泡調理などに利用され、その後も、各種食品の加熱調理に利用されてきた。例えば、シート状の発熱体に千鳥状に破線状の切れ目を設け、これを筒状にして、冷凍の魚をこれに入れて、電子レンジで加熱して、魚に発熱体による焼き目を付けて、解凍調理するものがあった。
【0003】
また、容器の底部に発熱体が取り付けられた電子レンジ加熱調理用容器があり、その内部に焼きおにぎりやお好み焼き、ピザなどの被加熱物を収容し、これを電子レンジにて加熱すると、電子レンジから照射されたマイクロ波により、発熱体の金属薄膜層で渦電流が発生し、そのジュール熱によって発熱体が発熱し、この発熱によって被加熱物に焦げ目が付き、出来立てのようなクリスピーな食感を付与することができる電子レンジ加熱調理用容器がある。(特許文献1)
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−289692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子レンジ加熱調理用容器としては、上記の様に容器の底部に発熱体を設置したものがあったが、食品の上下両面に焦げ目をつけるものは無かった。例えば、冷えた米飯から、容易に温かいおこげのご飯を電子レンジで作ることは出来なかった。
【0006】
このように、冷えた米飯から、容易に温かいおこげの付いたご飯を電子レンジで作ることが出来れば、中華スープなどを用いて中華おこげを作ったり、混ぜご飯の素を用いたおこげの釜飯を作ることが出来る。
【0007】
本発明は、電子レンジを用いて、容易に食品の上下両面に同時に焦げ目をつけることができる電子レンジ加熱調理用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、請求項1の発明は、底部と、該底部より立ち上がる側部とからなる容器本体と、蓋とを有し、前記底部と前記蓋のそれぞれの内面にマイクロ波の照射により発熱する発熱体を設けた紙製の容器であって、食品を前記容器の中に収納したときに、該食品に前記底部と前記蓋の前記発熱体が接触することを特徴とする電子レンジ加熱調理用容器である。
【0009】
本発明の電子レンジ調理用容器は、以上のような構成であって、中に収納した食品に底部と蓋の発熱体が接触するので、電子レンジを用いて、食品の上下面に同時に焦げ目をつけることが出来る。
【0010】
本発明の請求項2の発明は、前記蓋が蓋本体と該蓋本体に連設されたフラップとを有し、前記側部で囲われた前記容器の内方に前記蓋本体を挿入したときに、前記フラップが前記側部に接触して、前記容器の中に収納した前記食品に前記蓋本体が接触した位置で維持可能であることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱調理用容器である。
【0011】
本発明の電子レンジ調理用容器は、更に、蓋がフラップを有し、フラップが容器の側面に接触して、容器の中に収納した食品に蓋が接触した位置で維持可能としたので、食品の上面の凹凸をならして、密着されるので、効率的に焦げ目をつけることが出来る。
【0012】
本発明の請求項3の発明は、前記容器が前記底部と前記側部からなる前記容器本体と、該容器本体と別体の前記蓋からなり、前記容器本体は、方形の前記底部と、該底部の4辺に延設される4つの前記側部と、隣接する2つの前記側部の間にそれぞれ、折込片が前記2つの側部をつなぐように設けられていて、前記蓋は前記側部で囲われた前記容器の内方に挿入可能で、略相似形の前記蓋本体と該蓋本体の少なくとも対向する2辺に前記フラップが設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子レンジ加熱調理用容器である。
【0013】
本発明の電子レンジ調理用容器は、上記構造にすることによって、容器本体が折畳可能となり、使用時まで、折り畳んで保管や輸送が出来るので、便利である。また、蓋本体に設けられたフラップで、容器の内方に挿入されたとき、対向する少なくとも2つの側面に接触して維持されることになり、蓋の位置が安定する。
【0014】
本発明の請求項4の発明は、前記容器が前記底部と前記側部からなる前記容器本体と、ひとつの前記側部の端縁に接続して設けられた屈曲自在部を介して接続する前記蓋とからなり、前記容器本体は、方形の前記底部と、該底部の4辺に延設される4つの前記側部と、隣接する2つの前記側部の間にそれぞれ、折込片が前記2つの側部をつなぐように設けられていて、前記蓋は前記側部で囲われた前記容器本体の内方に挿入可能で、前記容器本体と略相似形の蓋本体と、前記屈曲自在部の設けられていない前記蓋本体の辺に、前記フラップが設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子レンジ加熱調理用容器である。
【0015】
本発明の電子レンジ調理用容器は、上記構造にすることによって、容器が折畳可能となり、使用時まで、折り畳んで保管や輸送が出来るので、便利である。また、屈曲自在部を屈曲させることによって、蓋本体を収納した食品に接触する位置にすることができ、フラップと協働して、収納した食品に接触する位置に、蓋本体を維持することができて、蓋の位置が安定する。
【0016】
本発明の請求項5の発明は、前記フラップの端縁につまみが設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の電子レンジ加熱調理用容器である。
【0017】
本発明の電子レンジ加熱調理用容器は、フラップの端縁につまみが設けられているので、電子レンジで調理後、つまみを持つことによって、容易に開けることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電子レンジ加熱調理用容器は、電子レンジを用いて、容易に食品の上下両面に同時に焦げ目をつけることができる。これを利用して、冷えた米飯から、温かいおこげの付いたご飯を電子レンジで作ることが出来、中華スープなどを用いて中華おこげを作ったり、混ぜご飯の素を用いておこげある釜飯を作ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の展開図である。(A)は容器本体の展開図である。(B)は蓋の展開図である。
【図2】(A)本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の容器本体を折畳んだ状態を示す説明図である。(B)本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の容器本体を起した状態を示す説明図である。(C)本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の蓋を内面が上を向いた状態を示す説明図である。(D)本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の容器本体に蓋を被せた状態を示す説明図である。
【図3】本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の断面を模式的に表す説明図である。
【図4】本発明の電子レンジ加熱調理用容器の他の例の展開図である。
【図5】本発明の電子レンジ加熱調理用容器の他の例を折畳んだ状態を示す説明図である。
【図6】本発明の電子レンジ加熱調理用容器の他の例の断面を模式的に表す説明図である。
【図7】本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例に用いる発熱体を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。
図1は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の容器の内面側から見た展開図であり、(A)は容器本体の展開図、(B)は蓋の展開図である。
図2(A)は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の容器本体を折畳んだ状態を示す説明図である。(B)は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の容器本体を起した状態を示す説明図、(C)は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の蓋を内面が下を向いた状態を示す説明図、(D)は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の容器本体に蓋を被せた状態を示す説明図である。
図3は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の断面を模式的に表す説明図である。
【0021】
本例の電子レンジ加熱調理用容器は、図1に示すように、容器本体1と蓋2からなる容器の前記容器本体1の底部3の内面、および、前記蓋2の内面にマイクロ波を吸収し発熱する発熱体4、4を設けている。
【0022】
容器本体1は、方形の底部3と、底部3の4辺に延設される4つの側面5、6、7、8と、隣接する2つの前記側面の間にそれぞれ、折込片9、10、11、12が前記2つの側面をつなぐように設けられていて、それぞれの間に折罫(図中、折罫は一点破線、あるいは、二点破線で記載)が設けられている。
【0023】
折込片9、10、11、12は、斜めの折罫mによって、折込片9aと折込片9b、折込片10aと折込片10b、折込片11aと折込片11b、折込片12aと折込片12bに分かれている。
【0024】
前記蓋2は、前記側面で囲われた前記容器の内方に挿入可能な略相似形の蓋本体13と、蓋本体13の4辺にフラップ14、15、16、17が設けられていて、フラップ14とフラップ16の端縁には、それぞれつまみ18、18が設けられている。そして、それぞれの間に折罫が設けられている。
【0025】
図2は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例を斜視した説明図である。
図2(A)に示すように、容器本体1は折畳めるようになっている。図1の側面6と底部3の間の罫線、側面5と折込片9の間の罫線、側面7と折込片10の間の罫線を折り、反対側も、側面8と底部3の間の罫線、側面5と折込片12の間の罫線、側面7と折込片11の間の罫線を折る。
【0026】
次に、側面5と底部3の間の罫線、側面6と折込片9の間の罫線、側面8と折込片12の間の罫線を折り、折込片9bを側面6に接着させ、折込片12bを側面8に接着する。反対側の同様に、側面7底部3の間の罫線、側面6と折込片10の間の罫線、側面8と折込片11の間の罫線を折り、折込片10bを側面6に接着させ、折込片11bを側面8に接着する。これによって、折り畳まれた容器本体1が得られる。
【0027】
図2(B)は、容器本体1の側面5、6、7、8を起した状態を示す説明図であり、容器本体1は、方形の底部3と底部3より立ち上がって側部を形成した4つの側面5、6、7、8からなっている。また、底部3には、発熱体4が設けられている。
【0028】
そして、側面8には、折込片11aと折込片12aが見えている。折込片11および折込片12をそれぞれに設けられた折罫mで山折りして、折込片11bと折込片12bをそれぞれ、側面8に接着していて、折込片11aと折込片12aが外側に出ている。側面6の外面は、図では見えていないが、折込片9bと折込片10bが、側面6に接着している同様な構造で、折込片9aと折込片10aが、外側になっている。
【0029】
側面8に、折込片11bと折込片12bが接着されていて、側面6に、折込片9aと折込片10aが接着されているので、側面5と側面7を持って開くと、側面6と側面8が起き上がってくるので、側面6と側面8を持って起こすことが出来る。そして、側面5と側面7のそれぞれの上端の両端に形成されている切り欠きに、側面6と側面8の上端の両端を掛けるようにすれば、開口が安定される。
【0030】
図2(C)は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の蓋2の内面が上を向いた状態を示している。蓋2の内面には、発熱体4が設けられていて、図1で説明したように、容器の内方に挿入可能な略相似形の蓋本体13と、蓋本体13の4辺にフラップ14、15、16、17が設けられていて、フラップ14とフラップ16の端縁には、それぞれつまみ18、18が設けられている。そして、それぞれの間に折罫が設けられている。
【0031】
図2(D)は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の容器本体1に蓋2をした状態を示す説明図である。図2(C)の蓋2を、裏返して、容器本体1の側面5、6、7、8で囲われた容器本体1の内方に蓋2が挿入されている。
【0032】
このとき、フラップ14、15(16、17)が、罫線によって上方に折り曲げられ、側面6、5に接触している。このため、蓋本体13は上方へ押し上げられることなく、その位置で維持されている。また、つまみ18がフラップ14の端縁に設けられている。これによって、蓋2を取り去るときこのつまみ18を持って、蓋2を摘み上げることができる。
【0033】
図3は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の一例の断面を模式的に表す説明図である。電子レンジ加熱調理用容器は、底部3より側面6及び側面8が立ち上がって側部が形成され、この容器の内部に食品19が入れられている。食品19は、容器本体1の底部3の上に接触して置かれ、食品19の上には蓋2があり、蓋本体13の内面に設けられた発熱体4が上から食品19に接している。
【0034】
蓋本体13の左右にはフラップ16とフラップ14がありそれぞれ、側面8と側面6に圧接されている。これにより、蓋本体13が上に持ち上がらないようになっている。図3では記載されていないが、蓋2のフラップ15、17も同様にそれぞれ側面5と側面7に圧接されていて、これによっても。蓋本体13が上に持ち上がらないようになっている。
【0035】
以上、本例の電子レンジ加熱調理用容器を用いることによって、電子レンジを用いて、食品の上下面に同時に焦げ目をつけることができる。そして、蓋がフラップを有しているので、フラップが容器の側面内側に接触して、容器の中に収納した食品に蓋が接触した位置で維持でき、食品の上面の凹凸をならして、密着することができ、効率的に焦げ目をつけることができる。
【0036】
そして、容器本体が折畳可能で、使用時まで、折り畳んで保管や輸送ができて便利である。また、フラップにつまみが設けられているので、電子レンジで調理後、つまみを持つことによって、容易に開けることができる。
【0037】
次に、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の他の例について説明する。図4は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の他の例の展開図、図5は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の他の例を折畳んだ状態を示す説明図、図6は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の他の例の断面を模式的に表す説明図である。
【0038】
本発明の電子レンジ加熱調理用容器の他の例は、図4に示すように、容器本体21と蓋22が、屈曲自在部24を介して連設されている。容器本体21には、底部23と、底部23の4辺に連設される側面25、26、27、28が設けられている。
【0039】
側面25、26、27、28の隣接する2つの側面の間には、それぞれ、折込片29、30、31、32が前記2つの側面をつなぐように設けられていて、それぞれの間に折罫(図中、折罫は一点破線、あるいは、二点破線で記載)が設けられている。
【0040】
折込片29、30、31、32は、斜めの折罫mによって、それぞれ、折込片29aと折込片29b、折込片30aと折込片30b、折込片31aと折込片31b、折込片32aと折込片32bに分かれている。
【0041】
側面27の図の下方には、網点で示される屈曲自在部24が連設されていて、屈曲自在部24を介して、蓋22が連設されている。屈曲自在部24と側面27との境目、屈曲自在部24と蓋22との境目には、それぞれ、折罫が設けられ、この2つの折罫の間にも、1本以上の折罫が設けられていて、容易に屈曲できるようになっている。
【0042】
蓋22には、容器本体21の内方に挿入可能な、容器本体21と略相似形の蓋本体33とその3辺にフラップ35、36、37が設けられていて、屈曲自在部24と対向する位置のフラップ36の端縁にはつまみ18が設けられている。そして、容器本体21の底部23と、蓋本体33のそれぞれの内面には、発熱体4が設けられている。
【0043】
図5は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の他の例を折畳んだ状態を示す説明図である。本例の電子レンジ加熱調理用容器は、図5のように折り畳めるようになっている。
【0044】
図4の展開図のブランクを用いて、側面26と底部23の間の罫線、側面25と折込片29の間の罫線、側面27と折込片30の間の罫線を折り、反対側も、側面28と底部2
3の間の罫線、側面25と折込片32の間の罫線、側面27と折込片31の間の罫線を折る。
【0045】
次に、側面25と底部23の間の罫線、側面26と折込片29の間の罫線、側面28と折込片32の間の罫線を折り、折込片29bを側面26に接着させ、折込片32bを側面28に接着する。反対側の同様に、側面27底部23の間の罫線、側面26と折込片30の間の罫線、側面28と折込片31の間の罫線を折り、折込片30bを側面26に接着させ、折込片31bを側面28に接着する。これによって、図5の折り畳まれた本例の電子レンジ加熱調理用容器が得られる。
【0046】
図6は、本発明の電子レンジ加熱調理用容器の他の例の断面を模式的に表す説明図である。電子レンジ加熱調理用容器は、底部23より側面25及び側面27が立ち上がって側部が形成され、この容器の内部に食品19が入れられている。食品19は、底部23の上に接触して置かれ、食品19の上には蓋2があり、蓋本体33の内面に設けられた発熱体4が上から、食品19に接している。
【0047】
蓋本体33の右にはフラップ36があり、側面25に接している。また、蓋本体33の左は屈曲自在部24が、側面27の先端より立ち上がり、折れ曲がって、側面27の内側面に接している。これによっても蓋本体33が上に持ち上がらないようになっている。また、フラップ36の先端につまみ18が延設されていて、調理後、蓋本体33を持ち上げやすくしてある。
【0048】
本例の電子レンジ加熱調理用容器は、このように中に食品を入れて、電子レンジを用いて調理して、食品の上下面に同時に焦げ目をつけることができる。そして、蓋がフラップを有しているので、フラップが容器の側面内側に接触して、容器の中に収納した食品に蓋が接触した位置で維持でき、食品の上面の凹凸をならして、密着することができ、効率的に焦げ目をつけることができる。
【0049】
そして、容器本体が折畳可能で、使用時まで、折り畳んで保管や輸送ができて便利である。また、フラップにつまみが設けられているので、電子レンジで調理後、つまみを持つことによって、容易に開けることができる。
【0050】
本発明の電子レンジ加熱調理用容器の構造材料には、マイクロ波を反射せず、あまり吸収もせず、ほとんど透過する材料が好ましい。その様な材料としては、剛性を有する紙や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンや、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの樹脂が挙げられる。
【0051】
構造材料として紙を用いる場合は、紙基材単体又は他の紙層を接着性樹脂層を介して積層、或いは耐油性を付与するために紙基材の片面に耐油性層を積層した積層材料、紙基材に耐油剤を内添した材料を順次積層した積層材料などが使用できる。
【0052】
使用する紙としては、坪量200〜500g/mのバージン紙、カード紙、カップ原紙、コートボール紙などの板紙が使用できる。紙基材に積層する他の紙層としては、晒しクラフト紙、上質紙などが使用でき、接着性樹脂層としては、低密度ポリエチレン樹脂を使用しても良い。
【0053】
積層する耐油性層にはポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂が好ましく用いることが出来、その厚さは適宜選定できるが、通常15〜30μmである。また、耐油剤としてはフッ素系耐油剤が使用できる。
【0054】
具体的使用する紙としては、バージン紙は、北越製紙株式会社のNEWタフアイボリー(登録商標)や、富士製紙株式会社のSIEなど、カード紙は、三菱製紙株式会社のパールカード(登録商標)(坪量260〜450g/m)など、カップ原紙は、王子特殊紙のJFカップ原紙(坪量200〜450g/m)など、コートボール紙は、王子製紙株式会社のサンコート(登録商標)(坪量200〜450g/m)などがあげられる。また、フッ素系耐油剤としては、旭硝子株式会社のアサヒガード(登録商標)E60などが使用できる。
【0055】
マイクロ波を吸収し発熱する発熱体は、電子レンジ加熱調理用容器の構造材料と一体として設けても良いし、別にシート状に構成した発熱体を貼着して設けても良い。発熱体は、マイクロ波を照射することによって、少なくとも摂氏100度以上の温度に発熱する必要がある。摂氏170度以上、250度以下の発熱温度があることが好ましい。
【0056】
その様なものとしては、金属薄膜層がある。金属薄膜層にマイクロ波を照射すると渦電流が発生し、この渦電流によりジュール熱が発生して発熱する。ジュール熱は抵抗に比例するので、金属薄膜層の厚さを充分薄くすれば電気抵抗が大きくなり、高い温度が得られる。
【0057】
その例としては、耐熱プラスチックフィルムに金属を蒸着し、金属薄膜層を設けたものがある。その金属としては、アルミニウムやニッケル、金、銀、亜鉛、白金などが使用できる。金属薄膜層の厚さとしては、2から10nm程度の厚さが好適に用いられる。
【0058】
耐熱プラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルイミドなどが使用できる。これらの耐熱プラスチックの5から25μm程度のフィルムが用いられる。未延伸でも良いが、二軸延伸フィルムを用いたほうが耐熱性が高く好ましい。また、耐熱プラスチックフィルムに蒸着した金属薄膜層の面に紙層あるいは耐熱性のある発泡樹脂層などを設けても良い。
【0059】
図7は本発明に用いられる発熱体40の一例である。耐熱プラスチックフィルム41として12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いて、その片面に金属薄膜層42としてアルミニウムを真空蒸着によって6nmの厚さになるように設け、その金属薄膜層42の面に接着剤43を塗布してドライラミネート法により、坪量50g/mの紙44を積層してある。紙としては、ペーハーがほぼ中性の中性紙が、金属薄膜層を侵さないので好ましい。このようにして作られた発熱体を、本発明の電子レンジ加熱調理用容器に貼着して用いることができる。
【符号の説明】
【0060】
1、21・・・容器本体
2、22・・・蓋
3、23・・・底部
4・・・発熱体
5、6、7、8、25、26、27、28・・・側面
9、9a、9b、10、10a、10b、11、11a、11b、12、12a、12b、29、29a、29b、30、30a、30b、31、31a、31b、32、32a、32b・・・折込片
13、33・・・蓋本体
14、15、16、17、35、36、37・・・フラップ
18・・・つまみ
19・・・食品
24・・・屈曲自在部
40・・・発熱体
41・・・耐熱プラスチックフィルム
42・・・金属薄膜層
43・・・接着剤
44・・・紙
m・・・斜めの折罫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、該底部より立ち上がる側部とからなる容器本体と、蓋とを有し、前記底部と前記蓋のそれぞれの内面にマイクロ波の照射により発熱する発熱体を設けた紙製の容器であって、食品を前記容器の中に収納したときに、該食品に前記底部と前記蓋の前記発熱体が接触することを特徴とする電子レンジ加熱調理用容器。
【請求項2】
前記蓋が蓋本体と該蓋本体に連設されたフラップとを有し、前記側部で囲われた前記容器の内方に前記蓋本体を挿入したときに、前記フラップが前記側部に接触して、前記容器の中に収納した前記食品に前記蓋本体が接触した位置で維持可能であることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱調理用容器。
【請求項3】
前記容器が前記底部と前記側部からなる前記容器本体と、該容器本体と別体の前記蓋からなり、前記容器本体は、方形の前記底部と、該底部の4辺に延設される4つの前記側部と、隣接する2つの前記側部の間にそれぞれ、折込片が前記2つの側部をつなぐように設けられていて、前記蓋は前記側部で囲われた前記容器の内方に挿入可能で、略相似形の前記蓋本体と該蓋本体の少なくとも対向する2辺に前記フラップが設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子レンジ加熱調理用容器。
【請求項4】
前記容器が前記底部と前記側部からなる前記容器本体と、ひとつの前記側部の端縁に接続して設けられた屈曲自在部を介して接続する前記蓋とからなり、前記容器本体は、方形の前記底部と、該底部の4辺に延設される4つの前記側部と、隣接する2つの前記側部の間にそれぞれ、折込片が前記2つの側部をつなぐように設けられていて、前記蓋は前記側部で囲われた前記容器本体の内方に挿入可能で、前記容器本体と略相似形の蓋本体と、前記屈曲自在部の設けられていない前記蓋本体の辺に、前記フラップが設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子レンジ加熱調理用容器。
【請求項5】
前記フラップの端縁につまみが設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の電子レンジ加熱調理用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−230791(P2011−230791A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101891(P2010−101891)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】