説明

電子レンジ用包装容器の開封方法

【課題】食品等が充填された包装容器を電子レンジで加熱しても、加熱により上昇した内圧を逃圧することにより、包装容器が破裂し内容物が飛び散ったりする不具合を防止できる電子レンジ用包装容器を提供する。
【解決手段】開口部周縁31にフランジ部3を有し複数の層を積層して形成された容器本体1と、この容器本体1の開口部を塞ぎ、フランジ部3でヒートシールされるフィルム状の蓋材5とを備えた電子レンジ用包装容器Aであって、フランジ部3でヒートシールされるヒートシール部4と、フランジ部3であってヒートシール部4の内縁41より容器本体1の内方に設けられた環状の切り込み部2と、この環状の切り込み部2とヒートシール部4の内縁41との距離が環状の切り込み部2の一部2aにおいて環状の切り込み部2の他部2bより小さい易剥離部6とを備え、加熱による内圧の上昇により、易剥離部6が剥離をして蒸気排出口を形成する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等が充填された包装容器を、食品等を取り出さずに包装容器に入れたまま電子レンジで加熱でき、加熱に伴う内圧の上昇による包装容器の破裂を防止できる電子レンジ用包装容器および電子レンジ用包装容器の開封方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等が充填された包装容器を電子レンジで加熱する際には、加熱による内圧の上昇を抑えるため、予め手作業で包装容器の蓋材の一部を開封して通蒸口を形成しておき、蒸気を外部に排出することにより内圧の上昇を抑えて(逃圧)包装容器の破裂を防止していた。
【0003】
しかしながら、蓋材の開封を手作業で行う場合、形成された通蒸口の大きさにバラツキが生じ、通蒸口が大きすぎると食品の水分の損失量が多くなって食味が悪くなったり、通蒸口が小さすぎたり、開封し忘れたりすると十分な逃圧ができないため内圧が上昇して包装容器が破裂し、内容物が飛び散ったりする不具合が生ずることもあった。
【0004】
また、他の従来例として容器本体のフランジ部に環状の切り込み部を設け、この環状の切り込み部とヒートシール部内縁とを離間させることにより内圧の上昇時の蓋材の剥離に対する耐圧性を持たせる包装容器もあるが(特許文献1)、この包装容器を電子レンジで加熱した場合、包装容器が破裂するか、又は、破裂を起こさない場合であっても蓋材の開封時に高温高圧の蒸気が噴き出すため火傷などを起こす可能性もある。
【特許文献1】特公平5−67509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、食品等が充填された包装容器を電子レンジで加熱しても、加熱により上昇した内圧を所定の部位から逃圧することにより、包装容器が破裂し内容物が飛び散る不具合や、火傷をしたりすることを防止できる電子レンジ用包装容器および電子レンジ用包装容器の開封方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る手段は、開口部周縁にフランジ部を有し、内容物を収納すると共に、複数の層を積層して形成された容器本体と、この容器本体の開口部を塞ぎ、前記フランジ部でヒートシールされるフィルム状の蓋材とを備えた電子レンジ用包装容器であって、前記フランジ部でヒートシールされるヒートシール部と、前記フランジ部であって前記ヒートシール部の内縁より前記容器本体の内方に設けられた環状の切り込み部と、この環状の切り込み部と前記ヒート-シール部の内縁との距離が前記環状の切り込み部の一部において前記環状の切り込み部の他部より小さい易剥離部と、を備え、前記電子レンジ用包装容器の内圧の上昇により、前記易剥離部が剥離をして蒸気排出口を形成するように、前記易剥離部の剥離力を前記ヒートシール部の剥離力より小とする電子レンジ用包装容器である。
【0007】
請求項2に係る手段は、開口部周縁にフランジ部を有し、内容物を収納すると共に、複数の層を積層して形成された容器本体と、この容器本体の開口部を塞ぎ、前記フランジ部でヒートシールされるフィルム状の蓋材とを備えた電子レンジ用包装容器であって、前記フランジ部でヒートシールされるヒートシール部と、前記フランジ部であって前記ヒートシール部の内縁より前記容器本体の内方に設けられた環状の切り込み部と、この環状の切り込み部と前記ヒートシール部の内縁との距離が前記環状の切り込み部の一部において前記環状の切り込み部の他部より小さい易剥離部と、を備え、前記電子レンジ用包装容器の内圧の上昇により、前記易剥離部が剥離をして蒸気排出口を形成するように、前記易剥離部の剥離力を前記ヒートシール部の剥離力より小とし、電子レンジでの加熱により前記易剥離部が剥離をして前記蒸気排出口を形成した後、前記ヒートシール部を前記蓋材側に残して、前記蓋材を前記容器本体から剥離させる電子レンジ用包装容器の開封方法である。
【0008】
請求項3に係る手段は、開口部周縁にフランジ部を有し、内容物を収納する容器本体と、この容器本体の開口部を塞ぎ、前記フランジ部でヒートシールされる複数の層を積層して形成されたフィルム状の蓋材とを備えた電子レンジ用包装容器であって、前記フランジ部でヒートシールされるヒートシール部と、前記蓋材であって前記ヒートシール部の内縁より前記蓋材の内方に設けられた環状の切り込み部と、この環状の切り込み部と前記ヒートシール部の内縁との距離が前記環状の切り込み部の一部において前記環状の切り込み部の他部より小さい易剥離部と、を備え、前記電子レンジ用包装容器の内圧の上昇により、前記易剥離部が剥離をして蒸気排出口を形成するように、前記易剥離部の剥離力を前記ヒートシール部の剥離力より小とする電子レンジ用包装容器である。
【0009】
請求項4に係る手段は、開口部周縁にフランジ部を有し、内容物を収納する容器本体と、この容器本体の開口部を塞ぎ、前記フランジ部でヒートシールされる複数の層を積層して形成されたフィルム状の蓋材とを備えた電子レンジ用包装容器であって、前記フランジ部でヒートシールされるヒートシール部と、前記蓋材であって前記ヒートシール部の内縁より前記蓋材の内方に設けられた環状の切り込み部と、この環状の切り込み部と前記ヒートシール部の内縁との距離が前記環状の切り込み部の一部において前記環状の切り込み部の他部より小さい易剥離部と、を備え、前記電子レンジ用包装容器の内圧の上昇により、前記易剥離部が剥離をして蒸気排出口を形成するように、前記易剥離部の剥離力を前記ヒートシール部の剥離力より小とし、
電子レンジでの加熱により前記易剥離部が剥離をして前記蒸気排出口を形成した後、前記ヒートシール部を前記容器本体側に残して、前記蓋材を前記容器本体から剥離させる電子レンジ用包装容器の開封方法である。
【0010】
請求項5に係る手段は、請求項1または請求項3に記載の電子レンジ用包装容器であって、環状の切り込み部の一部におけるフランジ部と蓋材との剥離力が1N/15mm〜18N/15mmである電子レンジ用包装容器である。
【0011】
請求項6に係る手段は、請求項1または請求項3または請求項5に記載の電子レンジ用包装容器であって、環状の切り込み部の一部におけるフランジ部と蓋材との剥離力が環状の切り込み部の他部におけるフランジ部と蓋材との剥離力の60%以下である電子レンジ用包装容器である。
【0012】
請求項7に係る手段は、請求項1または請求項3または請求項5または請求項6に記載の電子レンジ用包装容器であって、環状の切り込み部の一部における容器本体または蓋材の外表面に蒸気排出口である旨の表示を設けた電子レンジ用包装容器である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、容器本体のフランジ部であってヒートシール部の内縁より容器本体の内方に設けられた環状の切り込み部と、この環状の切り込み部とヒートシール部の内縁との距離が環状の切り込み部の一部において環状の切り込み部の他部より小さい易剥離部が設けられ、かつ、易剥離部の剥離力をヒートシール部の剥離力よりも小としてあるため、電子レンジでの加熱による内圧の上昇により易剥離部が剥離して蒸気を排出することができ、内圧の上昇により包装容器が破裂して内容物が飛び散ることを防止できる。また、フランジ部の全周に渡って環状の切り込み部を形成したため開封時に蓋材と容器本体との切り離しを容易かつ確実に行うことができ、環状の切り込み部に沿って綺麗に蓋材を剥がすことができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、容器本体のフランジ部であってヒートシール部の内縁より容器本体の内方に設けられた環状の切り込み部と、この環状の切り込み部とヒートシール部の内縁との距離が環状の切り込み部の一部において環状の切り込み部の他部より小さい易剥離部が設けられ、かつ、易剥離部の剥離力をヒートシール部の剥離力よりも小としてあるため、電子レンジでの加熱による内圧の上昇により易剥離部が剥離して蒸気を排出することができ、蓋材の開封時に高温高圧の蒸気の噴出を防止することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、蓋材であってヒートシール部の内縁より蓋材の内方に設けられた環状の切り込み部と、この環状の切り込み部とヒートシール部の内縁との距離が環状の切り込み部の一部において環状の切り込み部の他部より小さい易剥離部が設けられ、かつ、易剥離部の剥離力をヒートシール部の剥離力よりも小としてあるため、電子レンジでの加熱による内圧の上昇により易剥離部が剥離して蒸気を排出することができ、内圧の上昇により包装容器が破裂して内容物が飛び散ることを防止できる。また、蓋材の容器本体側の面に環状の切り込み部を形成したため開封時に蓋材と容器本体との切り離しを容易かつ確実に行うことができ、環状の切り込み部に沿って綺麗に蓋材を剥がすことができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、蓋材であってヒートシール部の内縁より蓋材の内方に設けられた環状の切り込み部と、この環状の切り込み部とヒートシール部の内縁との距離が環状の切り込み部の一部において環状の切り込み部の他部より小さい易剥離部が設けられ、かつ、易剥離部の剥離力をヒートシール部の剥離力よりも小としてあるため、電子レンジでの加熱による内圧の上昇により易剥離部が剥離して蒸気を排出することができ、蓋材の開封時に高温高圧の蒸気の噴出を防止することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1または請求項3の効果に加え、易剥離部の剥離力が1N/15mm〜18N/15mmの範囲としたため、電子レンジでの加熱による内圧の上昇に対し確実に易剥離部が剥離して蒸気の排出を起こし、包装容器が破裂して内容物が飛び散ることを防止できると共に、運搬時等通常の取り扱いにあっては容器からの内容物の漏出を起こすことはない。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1または請求項3または請求項5の効果に加え、環状の切り込み部の一部におけるフランジ部と蓋材との剥離力が環状の切り込み部の他部におけるフランジ部と蓋材との剥離力の60%以下にして両者の剥離力の差を大きくしたため、環状の切り込み部の他部では剥離は起きず、常に環状の切り込み部の一部である易剥離部において剥離を起こして蒸気を排出することができ、蒸気排出口の面積のバラツキが低減され、水分の損失バラツキが抑えられて食感、食味の品質を一定の水準に保つことができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1または請求項3または請求項5または請求項6の効果に加え、環状の切り込み部の一部である易剥離部における容器本体または蓋材の外表面に蒸気排出口である旨の表示を設けることにより、当該部分が蒸気の排出によって高温となっていることを調理者に知らしめることができ、蒸気排出口を避けて包装容器を掴むことができるため、火傷を未然に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施の形態を、図1〜図6に基づき説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施例の一部破断平面図であり、Aは電子レンジ用包装容器を示している。この電子レンジ用包装容器Aは、開口部周縁31にフランジ部3を有し内容物(図示せず)を収納すると共に複数の層を積層して形成された容器本体1と、この容器本体1の開口部を塞ぎフランジ部3のヒートシール部4でヒートシールされるフィルム状の蓋材5を備えている。また、フランジ部3はヒートシール部4の内縁41より容器本体1の内方に設けられた環状の切り込み部2を有している。
【0022】
前述の容器本体1は複数の層、例えば図3(a)に示したように断面が三層構造になっており容器本体1の内側からシーラント層11、易剥離層12(ヒートシール部4の剥離力よりも弱い剥離力である易剥離層12)、基材13の順で積層された多層構造となっている。この多層構造は例えば共押出キャスト法、熱ラミネート法、ドライラミネート法、共押出ラミネート法等により形成された多層シートを真空成形や圧空成形等により容器状に熱成形して作製する。
【0023】
シーラント層11は、蓋材5とヒートシールされる層であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンーα―オレフィン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、あるいはこれらの樹脂の混合物が用いられる。
【0024】
易剥離層12は、電子レンジによる加熱時に剥離して逃圧をしたり、開封時には蓋材5を容器本体1から剥がすものであり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンーα―オレフィン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂あるいはこれらの混合物が用いられる。
【0025】
基材13は容器本体1の構体をなすものであり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンーα―オレフィン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などの材料が用いられる。
【0026】
なお、前述したシーラント層11、易剥離層12、基材13の各材料は所定の剥離力が得られるように、それぞれの群の中から選択して用いられる。
【0027】
図1及び図2に示したような環状の切り込み部2は、例えば刃物の刃先を押し当てたり、レーザー加工や超音波加工等により環状に切れ目を入れて形成される。この環状の切り込み部2はフランジ部3の円周方向に沿ってヒートシール部4の内側に環状に設けられるが、環状の切り込み部2とヒートシール部4の内縁41との距離が環状の切り込み部2の一部2aにおいて環状の切り込み部2の他部2bより小さくなる易剥離部6としてある。なお、環状の切り込み部2の深さは図3に示したように易剥離層12まで達することが望ましいが、逃圧時に易剥離層12の剥離を引き起こさせ、開封時に蓋材5と容器本体1とを容易に切り離すことができれば浅くても構わない。また、図1および図2においては環状の切り込み部2の一部2aをヒートシール部4に近づける構成としたが、図6に示したようにヒートシール部4の一部4aを容器本体1の内側に張り出させて環状の切り込み部2に近づける構成としてもよい。
【0028】
前述の蓋材5は、容器本体1のシーラント層11とのヒートシールを容易に行わせるため、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンーα―オレフィン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体等の材料が用いられる。
【0029】
ところで、図3(a)に示したように、環状の切り込み部2の一部2aとヒートシール部4の内縁41との距離をLaとし、図3(b)に示したように、環状の切り込み部2の他部2bとヒートシール部4の内縁41との距離をLbとした場合、環状の切り込み部2とヒートシール部4の内縁41との距離が環状の切り込み部2の一部2aにおいて環状の切り込み部2の他部2bより小さくなる構成(La<Lb)としたのは、環状の切り込み部2の一部2aを環状の切り込み部2の他部2bよりも剥離しやすい易剥離部6とするためである。すなわち、図4(a)、(b)に示したように電子レンジによる内容物の加熱により内圧が上昇したときに蓋材5は膨らんでヒートシール部4の内縁41の位置Paに応力が集中するが、位置Qaにかかる力は応力が集中する位置Paと位置Qaの距離に依存し、この距離が近いほど位置Qaからの剥離が起こりやすく(図4(a))、逆に位置Paと位置Qaの距離が遠いほど位置Qaからの剥離が起こり難くなる(図4(b))。そして、易剥離部6の剥離力をヒートシール部4の剥離力より小となるように容器本体1の多層構造を構成している。これは電子レンジ用包装容器Aの内圧の上昇により、易剥離部6から剥離をして蒸気排出口を形成するためであり、この蒸気排出口により容器本体1内と外部が相通することにより加熱された蒸気の排出が行われる。
【0030】
なお、上述では蓋材5と容器本体1との剥離を専ら易剥離層12の内部で破断して蓋材5と容器本体1の分離を起こす凝集剥離について説明したが、易剥離層12を設けずにシーラント層11と基材13の二層構造とし、この二層間において剥離を起こす層間剥離であってもよく、あるいは凝集剥離と層間剥離の複合的な剥離であっても構わない。凝集剥離を起こさせる例としてはイージーピール材料を易剥離層12に使用するものであり、層間剥離を起こさせる例としてはポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂のように接着性の悪い樹脂同士を隣接して積層したり、層間に剥離性のインキを塗布して積層したり、ホットメルトのような熱可塑性の接着剤を用いて隣接する層を接着する方法などがある。
【0031】
易剥離部6である環状の切り込み部2の一部2aにおけるフランジ部3と蓋材5との剥離力は1N/15mm〜18N/15mmの範囲であるのが好ましい。18N/15mm以下であれば内圧の上昇に伴う剥離を確実に起こさせるためであり、1N/15mm以上としたのは運搬時等通常の取り扱いにおいて、例えば電子レンジ用包装容器Aの移送時に内容物の流動による力で剥離を起こしたり、外部から加えられる力により剥離を起こしたりして内容物が漏出するのを防ぐためである。この剥離力は前述の通り、環状の切り込み部2の一部2aのヒートシール部4側への張り出し寸法を調整することで所定の剥離力を得ることがきる。なお、上述の剥離力は、JIS K 6854−1(接着剤−はく離接着強さ試験方法−第1部:90度はく離)に従い、引張速度300mm/分で測定される値である。
【0032】
更に、環状の切り込み部2の一部2aにおけるフランジ部3と蓋材5との剥離力が環状の切り込み部2の他部2bにおけるフランジ部3と蓋材5との剥離力の60%以下であるのが好ましい。環状の切り込み部2の一部2aと環状の切り込み部2の他部2bとの剥離力の差を大きくすることで電子レンジで電子レンジ用包装容器Aを加熱して内圧が上昇した際に常に易剥離部6である環状の切り込み部2の一部2aにおいて剥離を生じさせるためであり、環状の切り込み部2の他部2bにおいて剥離が生ずることはない。
【0033】
なお、電子レンジによる加熱の終了後に蓋材5を容器本体1から切り離して開封する場合は、図5に示したように応力の集中する位置Pbと剥離を生ずる位置Qbの距離が近いため位置Pbに加えられた力が位置Qbに伝わり易く容易に蓋材5を容器本体1から剥がして開封することが可能となる。また、環状の切り込み部2をフランジ部3の全周に渡って環状に形成したため開封時に蓋材5と容器本体1との切り離しを容易かつ確実にでき、この環状の切り込み部2に沿って綺麗に蓋材を剥がすことができる。
【0034】
また、後述する実施例1〜3においては蓋材5の外径を容器本体1のフランジ部3の外径よりも大きくして掴み代を設ける構成としたが、蓋材5の開封に支障がなければ、両者の外径は同じであっても構わない。
【0035】
次に、上述した本発明の第一の実施の形態である実施例1を以下に示す。この実施例1は図1〜図5に示したように、容器本体1を三層構造としてシーラント層11、易剥離層12および基材13を設けるものであり、易剥離層12の凝集剥離により容器本体1と蓋材5を剥離する例である。
【0036】
(実施例1)
[容器本体]
基材 :ポリプロピレン系樹脂(厚さ730μm)
易剥離層 :三井デュポンポリケミカル社製CMPS VX−94を70質量部と、ポリプロピレン樹脂を20質量部と、エチレン−α−オレフィン共重合体を10質量部と、を混合したブレンド樹脂(厚さ20μm)
シーラント層:ポリプロピレン樹脂(厚さ50μm)
上述の基材13、易剥離層12およびシーラント層11を共押出キャスト法により各層の厚さが上記の値となるようにシート状に成形し、更に圧空形成法により内径70mm、深さ50mm、フランジ幅8mmの円形の容器本体1を作製した。また、フランジ部3の内縁31から1mm外側のフランジ部3に深さ75μm、幅0.5mmの環状の切り込み部2(環状の切り込み部2の他部2b)を設け、易剥離部6としてフランジ部3の外側に向かって 幅15mm、張り出し寸法4mmの環状の切り込み部2(環状の切り込み部2の一部2a)を設けた。
[蓋材]:二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ12μm)と二軸延伸ポリアミドフィルム(厚さ15μm)と無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ50μm)とを上記の厚さとなるようにドライラミネート法により積層した。
[ヒートシール]
容器本体1を蓋材5で覆い、シ−ル温度180℃、圧力0.4MPa、シール時間2秒の条件でフランジ部の外縁から2mmの幅でヒートシールした。
[剥離試験結果]
剥離力を測定したところ易剥離部6である環状の切り込み部2の一部2aでは12N/15mm(La=0.5mm)であり、環状の切り込み部2の他部2bでは37N/15mm(Lb=4.5mm)であった。
[実用試験結果]
容器本体1にコンソメスープ120gを入れて蓋材5で覆い上記のヒートシール条件でヒートシールを行った後、出力600Wの電子レンジで加熱をしたところ、加熱70秒後に易剥離部6である環状の切り込み部2の一部2aのみが剥離し、破裂音や内容物の漏れ出しもなく良好に逃圧することができた。
【0037】
(比較例1)
フランジ部に易剥離部6である環状の切り込み部2の一部2aを設けない以外は実施例1と同様な構成とし同様な条件で比較用の包装容器を作製したところ、容器本体1と蓋材5との剥離力は38N/15mm(Lb=4.5mm)であり、容器本体1に120gのコンソメスープを入れた同様な試験では、加熱95秒後に破裂音を伴いながらヒートシール部4の全周に対する約1/3が剥離し、内容物の吹き出しを生じた。
【0038】
以上のように実施例1では、フランジ部3に易剥離部6を形成することで、電子レンジにより加熱された電子レンジ用包装容器A中の内圧が上昇しても易剥離部6の剥離により容器本体1内部と外部が相通して蒸気が抜けるため、逃圧が確実に行われ、破裂音の発生や内容物の漏出を起こさずに内容物を調理することができる。
【0039】
次に、本発明の第二の実施の形態を図7に基づき説明する。この実施の形態は、図7(a)に示したように、実施例1と異なり容器本体1に易剥離層12を設けずシーラント層11と基材13の二層構造とし、シーラント層11と基材13との層間14において剥離を起こす層間剥離により蒸気排出口を形成して逃圧を行う例である。以下に本発明の第二の実施の形態である実施例2について示す。
【0040】
(実施例2)
[容器本体]
基材 :ポリプロピレン樹脂65質量部とエチレン−α−オレフィン共重合体20質量部と低密度ポリエチレン樹脂15質量部とを混合したブレンド樹脂(厚さ750μm)
シーラント層 :高密度ポリエチレン(厚さ50μm)
上記の基材13とシーラント層11を共押出キャスト法により各層の厚さが上記の値となるようにシート状に成形し、更に圧空形成法により内径70mm、深さ50mm、フランジ幅8mmの円形の電子レンジ用包装容器Aを作製した。また、図7(b)に示した構成と同じようにフランジ部3の内縁31から1mm外側のフランジ部3に深さ60μm、幅0.5mmの環状の切り込み部2(環状の切り込み部2の他部2b)を設け、易剥離部6にはフランジ部3の外側に向かって 幅15mm、張り出し寸法4mmの環状の切り込み部2(環状の切り込み部2の一部2a)を設けた。
[蓋材]:二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ12μm)と二軸延伸ポリアミドフィルム(厚さ15μm)と直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(厚さ50μm)とを順にドライラミネート法により積層した。
[ヒートシール]
容器本体1を蓋材5で覆い、シ−ル温度170℃、圧力0.4MPa、シール時間2秒の条件でフランジ部3の外縁から2mmの幅でヒートシールした。
[剥離試験結果]
剥離力を測定したところ易剥離部6である環状の切り込み部2の一部2aでは7N/15mm(La=0.5mm)であり、環状の切り込み部2の他部2bでは41N/15mm(Lb=4.5mm)であった。
[実用試験結果]
容器本体1にコンソメスープ120gを入れて蓋材5で覆い上記のヒートシール条件でヒートシールを行った後、出力600Wの電子レンジで電子レンジ用包装容器Aの加熱をしたところ、加熱75秒後に易剥離部6である環状の切り込み部2の一部2aのみが剥離し、破裂音や内容物の漏れ出しもなく良好に逃圧することができた。
【0041】
以上のように実施例2では、フランジ部3に易剥離部6を形成することで、電子レンジにより加熱された電子レンジ用包装容器A中の内圧が上昇しても易剥離部6の基材13とシーラント11との層間14において層間剥離により容器本体1内部と外部が相通して蒸気が抜けるため、逃圧が確実に行われ、破裂音の発生や内容物の漏出を起こさずに内容物を調理することができる。
【0042】
次に、本発明の第三の実施の形態を図8〜図9に基づき説明する。この実施の形態は、内圧の上昇による剥離を容器本体1側ではなく蓋材5側で行わせるもので、図8に示したように蓋材5を多層構造とする。Bは電子レンジ用包装容器であり、この電子レンジ用包装容器Bは、開口部周縁31にフランジ部3を有し内容物(図示せず)を収納する容器本体1と、この容器本体1の開口部を塞ぎフランジ部3でヒートシールされる複数の層を積層して形成されたフィルム状の蓋材5を備えている。また、蓋材5は、図9に示したように、蓋材5であってヒートシール部4の内縁41より蓋材5の内方に設けられた環状の切り込み部8を有し、この環状の切り込み部8とヒートシール部4の内縁41との距離が環状の切り込み部8の一部8aにおいて環状の切り込み部8の他部8bより小さい易剥離部7を形成している。そして、実施例1の容器本体1の易剥離部6の場合と同様に易剥離部7の剥離力をヒートシール部4の剥離力より小とし電子レンジ用包装容器Bの内圧の上昇により、易剥離部7から剥離をして蒸気排出口を形成し、この蒸気排出口により容器本体1内と外部が相通することにより加熱された蒸気の排出が行われる。前述の蓋材5は例えば図8に示したように断面が三層構造になっており容器本体1側からシーラント層51、易剥離層52(ヒートシール部4の剥離力よりも弱い剥離力である易剥離層52)、基材53の順で積層された多層構造となっている。なお、蓋材5における構成材料、作用効果等は実施例1の容器本体1の場合と同じであるため詳細な説明は省略する。以下に本発明の第三の実施の形態である実施例3について示す。
【0043】
(実施例3)
[容器本体]
基材 :ポリプロピレン樹脂(厚さ800μm)
上記の基材13をシート状に形成し、更に圧空形成法により内径70mm、深さ50mm、フランジ幅10mmの円形の容器本体1を作製した。
[蓋材]
基材 :二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ12μm)と二軸延伸ポリアミドフィルム(厚さ15μm)を積層したフィルムを基材53とした。
易剥離層 :三井デュポンポリケミカル社製CMPS VX−94を70質量部と、ポリプロピレン樹脂を20質量部と、エチレン−α−オレフィン共重合体を10質量部とを混合したブレンド樹脂(厚さ20μm)
シーラント層:ポリプロピレン樹脂(厚さ30μm)
上述の易剥離層52とシーラント層51とを共押出キャスト法により作製し、基材53を積層してドライラミネート法により蓋材5を形成した。また、蓋材5のヒートシール面側に直径74mm、深さ40μmの環状の切り込み部8(環状の切り込み部8の他部8b)を設け、易剥離部7には外側に向かって 幅15mm、張り出し寸法4mmの環状の切り込み部8(環状の切り込み部8の一部8a)を設けた。
[ヒートシール]
容器本体1を蓋材5で覆い、容器本体1の中心を蓋材5の環状の切り込み部8の中心に合わせ、シ−ル温度180℃、圧力0.4MPa、シール時間2秒の条件でフランジ部3の外縁から2mmの幅でヒートシールした。
[剥離試験結果]
剥離力を測定したところ易剥離部7である環状の切り込み部8の一部8aでは15N/15mm(環状の切り込み部8の一部8aとヒートシール部4の内縁41との距離La=1.0mm)であり、環状の切り込み部8の他部8bでは38N/15mm(環状の切り込み部8の他部8bとヒートシール部4の内縁41との距離Lb=5.0mm)であった。
[実用試験結果]
容器本体1にコンソメスープ120gを入れて蓋材5で覆い上記のヒートシール条件でヒートシールを行った後、出力600Wの電子レンジで電子レンジ用包装容器Bを加熱をしたところ、加熱75秒後に易剥離部7である環状の切り込み部8の一部8aのみが剥離し、破裂音や内容物の漏れ出しもなく良好に逃圧することができた。
【0044】
(比較例2)
蓋材5に易剥離部7である環状の切り込み部8の一部8aを設けない以外は実施例3と同様な構成および同様な条件で比較用の包装容器を作製したところ、容器本体1と蓋材5との剥離力は38N/15mm(環状の切り込み8とヒートシール部4の内縁41との距離Lb=5.0mm)であり、容器本体1に120gのコンソメスープを入れた同様な試験では、加熱100秒後に破裂音を伴いながらヒートシール部4の全周に対する約1/3が剥離し、内容物の吹き出しを生じた。
【0045】
以上のように実施例3では蓋材5に易剥離部7を形成することにより電子レンジにより加熱された電子レンジ用包装容器B中の内圧が上昇しても易剥離部7を介して蒸気が外部に抜けるため、逃圧が確実に行われ、破裂音の発生や内容物の漏出を起こさずに内容物の調理を行うことできる。
【0046】
なお、易剥離部7である環状の切り込み部8の一部8aの剥離力や環状の切り込み部8の他部8bの剥離力は実施例1および実施例2と同様にヒートシール部4の内縁41と環状の切り込み部8の距離を変えることにより所定の値に調整することができる。
【0047】
ところで、本発明において容器本体1や蓋材5を多層構造とする場合には構成する層中に例えばガスバリア性を有するガスバリア層を設けることもできる。このガスバリア層はエチレンビニルアルコール共重合体系樹脂、ポリメタキシリレンアジパミド系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などが用いられるが、酸素や水蒸気を透過させないため内容物が酸化したり吸湿したりすることもなく、内容物の蒸気も通さないため風味等の劣化を防止でき、長期に渡って品質を維持することができる。
【0048】
また、易剥離部6である環状の切り込み部2の一部2aおよび易剥離部7である環状の切り込み部8の一部8aの形状はヒートシール部4の内縁41との距離を調整できるものであればよく、例えば、図10(a)に示したような半円状や図10(b)に示したようなV字状の形状の張り出し形状としてもよい。
【0049】
更に、実施例1〜3では容器本体1の開口部の形状を円形とした例について説明したが、開口部周縁31にフランジ部3を有する容器本体1であればよく、開口部の形状は楕円形状や四角形等の多角形などであっても構わない。
【0050】
また更に、図11に示したように易剥離部6である環状の切り込み部2の一部2aの外側に一または二以上の補助切り込み部21、21、・・(フランジ部3に設ける場合)を、あるいは易剥離部7である環状の切り込み部8の一部8aの外側に一または二以上の補助切り込み部81、81、・・(蓋材5に設ける場合)を設けてもよい。この補助切り込み部21、81を設けることにより、容器本体1と蓋材5とがずれてヒートシールされた場合であってもヒートシール部4に近い補助切り込み部21あるいは81から剥離が開始するため、加熱により上昇した内圧の逃圧を確実に行うことができる。
【0051】
また更に、本発明にあっては上述のように内容物の加熱により上昇した内圧の逃圧を常に環状の切り込み部2の一部2aである易剥離部6あるいは環状の切り込み部8の一部8aである易剥離部7を介して行わせるため、図12に示したように環状の切り込み部2の一部2aにおける容器本体1または蓋材5の外表面(図12においては蓋材5の外表面)に蒸気排出口である旨の表示9(例えば「蒸気排出口・高温注意」)を設けることで、調理者は易剥離部6、7を避けて電子レンジ用包装容器A、Bを掴むことができ、火傷等を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す一部破断平面図である。
【図2】図1の容器本体のフランジ部の拡大平面図である。
【図3】図1のフランジ部近傍の垂直断面図であり、図3(a)は図2のA−A線で切断した断面図、図3(b)は図2のB−B線で切断した断面図を示している。
【図4】図1の加熱時におけるフランジ部近傍の垂直断面図であり、図4(a)は図2のA−A線で切断した断面図、図4(b)は図2のB−B線で切断した断面図を示している。
【図5】図1の開封時におけるフランジ部近傍の垂直断面図である。
【図6】本発明の第一の実施の形態の他の例を示す一部破断平面図である。
【図7】本発明の第二の実施の形態を示す図であり、図7(a)はフランジ部近傍の垂直断面図、図7(b)は一部破断平面図である。
【図8】本発明の第三の実施の形態を示すフランジ部近傍の垂直断面図である。
【図9】図8の蓋材の容器本体側の平面図である。
【図10】本発明の環状の切り込み部の一部の種々の形状を説明するための図であり、図10(a)は環状の切り込み部の一部の形状を半円状にしたものであり、図10(b)は環状の切り込み部の一部の形状をV字状にしたものである。
【図11】本発明の環状の切り込み部の一部の外側に補助切り込み部を設けた構成の図である。
【図12】本発明の電子レンジ用包装容器の斜視図であり、易剥離部の外表面に蒸気排出口である旨の注意書きを表示した図である。
【符号の説明】
【0053】
A、B 電子レンジ用包装容器
1 容器本体
2 環状の切り込み部
3 フランジ部
4 ヒートシール部
5 蓋材
6 易剥離部
7 易剥離部
8 環状の切り込み部
9 表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部周縁にフランジ部を有し、内容物を収納すると共に、複数の層を積層して形成された容器本体と、この容器本体の開口部を塞ぎ、前記フランジ部でヒートシールされるフィルム状の蓋材とを備えた電子レンジ用包装容器であって、
前記フランジ部でヒートシールされるヒートシール部と、
前記フランジ部であって前記ヒートシール部の内縁より前記容器本体の内方に設けられた環状の切り込み部と、
この環状の切り込み部と前記ヒートシール部の内縁との距離が前記環状の切り込み部の一部において前記環状の切り込み部の他部より小さい易剥離部と、を備え、
前記電子レンジ用包装容器の内圧の上昇により、前記易剥離部が剥離をして蒸気排出口を形成するように、前記易剥離部の剥離力を前記ヒートシール部の剥離力より小とすることを特徴とする電子レンジ用包装容器。
【請求項2】
開口部周縁にフランジ部を有し、内容物を収納すると共に、複数の層を積層して形成された容器本体と、この容器本体の開口部を塞ぎ、前記フランジ部でヒートシールされるフィルム状の蓋材とを備えた電子レンジ用包装容器であって、
前記フランジ部でヒートシールされるヒートシール部と、
前記フランジ部であって前記ヒートシール部の内縁より前記容器本体の内方に設けられた環状の切り込み部と、
この環状の切り込み部と前記ヒートシール部の内縁との距離が前記環状の切り込み部の一部において前記環状の切り込み部の他部より小さい易剥離部と、を備え、
前記電子レンジ用包装容器の内圧の上昇により、前記易剥離部が剥離をして蒸気排出口を形成するように、前記易剥離部の剥離力を前記ヒートシール部の剥離力より小とし、
電子レンジでの加熱により前記易剥離部が剥離をして前記蒸気排出口を形成し、前記蒸気排出口を形成した後、前記ヒートシール部を前記蓋材側に残して、前記蓋材を前記容器本体から剥離させることを特徴とする電子レンジ用包装容器の開封方法。
【請求項3】
開口部周縁にフランジ部を有し、内容物を収納する容器本体と、この容器本体の開口部を塞ぎ、前記フランジ部でヒートシールされる複数の層を積層して形成されたフィルム状の蓋材とを備えた電子レンジ用包装容器であって、
前記フランジ部でヒートシールされるヒートシール部と、
前記蓋材であって前記ヒートシール部の内縁より前記蓋材の内方に設けられた環状の切り込み部と、
この環状の切り込み部と前記ヒートシール部の内縁との距離が前記環状の切り込み部の一部において前記環状の切り込み部の他部より小さい易剥離部と、を備え、
前記電子レンジ用包装容器の内圧の上昇により、前記易剥離部が剥離をして蒸気排出口を形成するように、前記易剥離部の剥離力を前記ヒートシール部の剥離力より小とすることを特徴とする電子レンジ用包装容器。
【請求項4】
開口部周縁にフランジ部を有し、内容物を収納する容器本体と、この容器本体の開口部を塞ぎ、前記フランジ部でヒートシールされる複数の層を積層して形成されたフィルム状の蓋材とを備えた電子レンジ用包装容器であって、
前記フランジ部でヒートシールされるヒートシール部と、
前記蓋材であって前記ヒートシール部の内縁より前記蓋材の内方に設けられた環状の切り込み部と、
この環状の切り込み部と前記ヒートシール部の内縁との距離が前記環状の切り込み部の一部において前記環状の切り込み部の他部より小さい易剥離部と、を備え、
前記電子レンジ用包装容器の内圧の上昇により、前記易剥離部が剥離をして蒸気排出口を形成するように、前記易剥離部の剥離力を前記ヒートシール部の剥離力より小とし、
電子レンジでの加熱により前記易剥離部が剥離をして前記蒸気排出口を形成し、前記蒸気排出口を形成した後、前記ヒートシール部を前記容器本体側に残して、前記蓋材を前記容器本体から剥離させることを特徴とする電子レンジ用包装容器の開封方法。
【請求項5】
環状の切り込み部の一部におけるフランジ部と蓋材との剥離力が1N/15mm〜18N/15mmであることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の電子レンジ用包装容器。
【請求項6】
環状の切り込み部の一部におけるフランジ部と蓋材との剥離力が環状の切り込み部の他部におけるフランジ部と蓋材との剥離力の60%以下であることを特徴とする請求項1または請求項3または請求項5に記載の電子レンジ用包装容器。
【請求項7】
環状の切り込み部の一部における容器本体または蓋材の外表面に蒸気排出口である旨の表示を設けたことを特徴とする請求項1または請求項3または請求項5または請求項6に記載の電子レンジ用包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−204134(P2007−204134A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−27912(P2006−27912)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000106151)株式会社サンエー化研 (13)
【Fターム(参考)】