説明

電子内視鏡の配線接続部

【課題】板面上に半田付けランドが形成された配線基板が信号ケーブルに対して垂直の向きに配置されていても、信号ケーブルの信号線を容易かつ強固に半田付け接続することができる電子内視鏡の配線接続部を提供すること。
【解決手段】側面部分に第2の半田付けランド17が形成された電気絶縁性のブロック体16を配線基板7の板面から信号ケーブル8側に向かって突出する状態に配置して、配線基板7上の半田付けランド14とブロック体16側面の第2の半田付けランド17とを半田付け20により接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電子内視鏡の配線接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
挿入部先端に固体撮像素子が内蔵された電子内視鏡においては一般に、図8に示されるように、挿入部91内に挿通配置された信号ケーブル92の信号線93を半田付けにより接続固着するための半田付けランド94が、固体撮像素子95の背面側に配置された平板状の配線基板96の板面部分に設けられている。
【0003】
そして近年は、電子内視鏡の先端硬質部を短くコンパクトに構成するため等の理由から、配線基板96は挿入部91の先端部分の軸線に対して垂直の向きに配置され、その結果、配線基板96が信号線93に対して略垂直の向きになっている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−107124
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図9は、上述のような従来の電子内視鏡の配線基板96に対する信号線93の接続部分を示しており、半田付けランド94が信号線93に対して略垂直の向きになるので、信号線93の最先端部分93aを半田付けランド94に沿うようにL字状に折り曲げて、その折り曲げ部分を半田付けランド94に半田付けしている。
【0005】
しかし、配線基板96の板面上には半田付けランド94と並んで各種電子部品97等も配置されているので、従来の構成では半田付けランド94の面積が狭くならざるを得ず、相当の熟練者でないと十分な半田付け強度が得られない。また、半田付けランド94に隣接する電子部品97を半田コテで熱破壊してしまうおそれもある。
【0006】
そこで本発明は、板面上に半田付けランドが形成された配線基板が信号ケーブルに対して垂直の向きに配置されていても、信号ケーブルの信号線を容易かつ強固に半田付け接続することができる電子内視鏡の配線接続部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の電子内視鏡の配線接続部は、内視鏡挿入部の先端に固体撮像素子が内蔵されて、固体撮像素子の背面側に配置された平板状の配線基板に、内視鏡挿入部内に挿通配置された信号ケーブルの信号線を接続するための半田付けランドが形成され、配線基板が信号ケーブルの先端部分の軸線方向に対して略垂直の向きに配置された電子内視鏡の配線接続部において、側面部分に第2の半田付けランドが形成された電気絶縁性のブロック体を配線基板の板面から信号ケーブル側に向かって突出する状態に配置して、配線基板上の半田付けランドとブロック体側面の第2の半田付けランドとを半田付けにより接続したものである。
【0008】
なお、第2の半田付けランドが、信号ケーブルの先端部分の軸線と略平行の向きに配置されているとよく、第2の半田付けランドが、半田付けランドより広い面積に形成されているとよい。
【0009】
また、信号線の先端部分がL字状に曲げて形成されて半田付けランドと第2の半田付けランドとにまたがって半田付け接続されていてもよく、信号線の先端部分が真っ直ぐに形成されて第2の半田付けランドに半田付け接続されていてもよい。
【0010】
また、ブロック体の側面部分に段差面が形成されていて、その段差面に沿って第2の半田付けランドが階段状に形成されていてもよく、その場合には、信号線の先端部分がL字状に曲げて形成されて、階段状に形成された第2の半田付けランドに沿って半田付け接続されていてもよい。
【0011】
また、半田付けランドが配線基板の板面上に互いの間隔をあけて複数配列されると共に、第2の半田付けランドが半田付けランドと等間隔でブロック体に複数配列されていてもよく、その場合には、第2の半田付けランドが、半田付けランドと位置を合わせて半田付けランドと同幅に形成されて、半田付けランドと半田付け接続されていてもよい。
【0012】
また、配線基板の板面上に一つ又は複数の電子部品が取り付けられると共に、電子部品のどれにも面していない方向のブロック体の側面に第2の半田付けランドが配置されていてもよく、その場合に、配線基板の板面からのブロック体の高さが、それに隣接して配線基板の板面上に配置されている電子部品より高く形成されていてもよい。
【0013】
また、ブロック体が配線基板の縁部付近にその縁部に沿う向きに配置されていてもよく、その場合に、ブロック体が配線基板の縁部に対して隙間をあけて配置されていて、その隙間部分において半田付けランドと第2の半田付けランドとが半田付け接続されていてもよい。
【0014】
また、第2の半田付けランドが配線基板の外側に向けてブロック体に配置されていてもよく、ブロック体が互いに独立して複数設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、側面部分に第2の半田付けランドが形成された電気絶縁性のブロック体を配線基板の板面から信号ケーブル側に向かって突出する状態に配置して、配線基板上の半田付けランドとブロック体側面の第2の半田付けランドとを半田付け接続したことにより、板面上に半田付けランドが形成された配線基板が信号ケーブルに対して垂直の向きに配置されていても、信号ケーブルの信号線を第2の半田付けランドに容易かつ強固に半田付け接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
内視鏡挿入部の先端に固体撮像素子が内蔵されて、固体撮像素子の背面側に配置された平板状の配線基板に、内視鏡挿入部内に挿通配置された信号ケーブルの信号線を接続するための半田付けランドが形成され、配線基板が信号ケーブルの先端部分の軸線方向に対して略垂直の向きに配置された電子内視鏡の配線接続部において、側面部分に第2の半田付けランドが形成された電気絶縁性のブロック体を配線基板の板面から信号ケーブル側に向かって突出する状態に配置して、配線基板上の半田付けランドとブロック体側面の第2の半田付けランドとを半田付けにより接続する。
【実施例】
【0017】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図3は電子内視鏡の全体構成を示しており、可撓性の内視鏡挿入部1の先端には固体撮像素子3等を内蔵する先端部本体2が連結され、内視鏡挿入部1の基端に連結された操作部4から延出する連結可撓管5の先端に、図示されていないビデオプロセッサに接続されるコネクタ部6が取り付けられている。
【0018】
固体撮像素子3の背面位置に配置された配線基板7には、内視鏡挿入部1内に全長にわたって挿通配置された信号ケーブル8の信号線80が接続されており、連結可撓管5内を通ってコネクタ部6内まで引き通されている信号ケーブル8の他端側は信号コネクタ9に接続されている。
【0019】
図4は内視鏡挿入部1の先端部分を示しており、先端部本体2の先端面に配置された観察窓11の奥に対物光学系12が配置されて、その対物光学系12による被写体の投影位置に固体撮像素子3の撮像面が配置されている。
【0020】
固体撮像素子3は先端部本体2の軸線方向に対して垂直の向きに配置されていて、固体撮像素子3の背面側に配置された配線基板7も、固体撮像素子3と平行に、先端部本体2の軸線方向に対して垂直の向きに配置されている。
【0021】
その結果、配線基板7は信号ケーブル8の先端部分の軸線方向に対して略垂直の向きに向いている。80は、信号ケーブル8の先端から配線基板7に向かって延出する信号線、13は、固体撮像素子3から配線基板7に向かって延出配置された複数のリードである。
【0022】
図1と図2は、そのような配線基板7に対する信号ケーブル8の信号線80の接続構造を示す分解斜視図と側面拡大断面図であり、電気絶縁性の板材により長方形又は正方形状に形成された配線基板7の後方向きの面の上縁部と下縁部とには各々、一定の幅に形成された複数の半田付けランド14が一定の間隔に並んで形成されている。
【0023】
また、第2の半田付けランド17が形成された電気絶縁性のブロック体16が、配線基板7の板面から信号ケーブル8側に向かって突出する状態に配線基板7の板面上に接着等により固着されている。15は、配線基板7の板面上に配置されたコンデンサ、抵抗器等の電子部品である。
【0024】
ブロック体16は二つ平行に設けられており、配線基板7の上下両縁部付近にその縁部に沿う向きに各々独立して配置されていて、配線基板7の外方に面する方向の各ブロック体16の側面部分には段差面16a,16b,16cが形成され、その段差面16a,16b,16cに沿って第2の半田付けランド17が階段状に形成されている。したがって、その段差面16a,16b,16cの中の立設面16a,16cでは第2の半田付けランド17が信号ケーブル8の先端部分の軸線と平行方向に向いている。
【0025】
第2の半田付けランド17は、半田付けランド14と同幅に形成されて半田付けランド14と等間隔で各ブロック体16に複数ずつ並んで形成され、半田付けランド14とぴったり位置を合わせて配置されて各々が半田付けランド14と半田付け20により接続されている。
【0026】
ブロック体16は配線基板7の縁部に対して僅かに隙間Aをあけて配置されていて、その隙間A部分において半田付けランド14と第2の半田付けランド17とが半田付け20により接続されており、強固な半田付けを行うための十分な半田付け代が確保されている。
【0027】
信号ケーブル8から延出する信号線80の先端部分81は、階段状に形成された第2の半田付けランド17に密着するようにL字状に折り曲げられて第2の半田付けランド17に沿って半田付け21により接続されている。
【0028】
したがって、その半田付け21に利用される第2の半田付けランド17の面積を半田付けランド14より広く十分に確保して、誰が作業しても十分な半田付け強度を得られるようにすることができる。なお、図1には信号線80が一本しか図示されていないが、各ブロック体16の各第2の半田付けランド17に対して各々信号線80が接続される。
【0029】
このような構成により、各第2の半田付けランド17は配線基板7の外側方向に向けて配置されてどの電子部品15にも面していない。したがって、半田コテが電子部品15に触れることなく信号線80を第2の半田付けランド17に半田付けすることができる。ブロック体16の配線基板7の板面からの高さを隣接する電子部品15より高く構成することにより、その効果が一層高まる。
【0030】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば図5に示される第2の実施例のように、信号線80の先端部分81を真っ直ぐに形成してそれを第2の半田付けランド17に半田付け接続しても差し支えない。この場合でも、半田付け21部分に加わるのは剪断力なので、剥離力が作用する従来の構成に比べて格段に優れた耐久性がある。
【0031】
また、図6に示される第3の実施例のように、ブロック体16を段差面のない直方体状に形成してその側面部分に第2の半田付けランド17を配置し、L字状に曲げられた信号線80の先端部分81を半田付けランド14と第2の半田付けランド17にまたがって半田付け22で接続してもよい。
【0032】
この場合には、信号線80の先端部分81を第2の半田付けランド17に接続する半田付け22により、半田付けランド14と第2の半田付けランド17が接続されるようにすることもできる。
【0033】
そして、そのように構成する場合にも、図7に示される第4の実施例のように、信号線80の先端部分81を真っ直ぐに形成しても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施例の電子内視鏡の配線接続部の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例の電子内視鏡の配線接続部の側面拡大断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例の電子内視鏡の全体構成図である。
【図4】本発明の第1の実施例の電子内視鏡の挿入部先端の側面断面図である。
【図5】本発明の第2の実施例の電子内視鏡の配線接続部の分解斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施例の電子内視鏡の配線接続部の分解斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施例の電子内視鏡の配線接続部の分解斜視図である。
【図8】従来の電子内視鏡の挿入部先端の側面断面図である。
【図9】従来の電子内視鏡の配線接続部の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 内視鏡挿入部
2 先端部本体
3 固体撮像素子
7 配線基板
8 信号ケーブル
14 半田付けランド
15 電子部品
16 ブロック体
16a,16b,16c 段差面
17 第2の半田付けランド
20,21,22 半田付け
80 信号線
81 先端部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡挿入部の先端に固体撮像素子が内蔵されて、上記固体撮像素子の背面側に配置された平板状の配線基板に、上記内視鏡挿入部内に挿通配置された信号ケーブルの信号線を接続するための半田付けランドが形成され、上記配線基板が上記信号ケーブルの先端部分の軸線方向に対して略垂直の向きに配置された電子内視鏡の配線接続部において、
側面部分に第2の半田付けランドが形成された電気絶縁性のブロック体を上記配線基板の板面から上記信号ケーブル側に向かって突出する状態に配置して、上記配線基板上の半田付けランドと上記ブロック体側面の第2の半田付けランドとを半田付けにより接続したことを特徴とする電子内視鏡の配線接続部。
【請求項2】
上記第2の半田付けランドが、上記信号ケーブルの先端部分の軸線と略平行の向きに配置されている請求項1記載の電子内視鏡の配線接続部。
【請求項3】
上記第2の半田付けランドが、上記半田付けランドより広い面積に形成されている請求項1又は2記載の電子内視鏡の配線接続部。
【請求項4】
上記信号線の先端部分がL字状に曲げて形成されて上記半田付けランドと上記第2の半田付けランドとにまたがって半田付け接続されている請求項1ないし3のいずれかの項に記載の電子内視鏡の配線接続部。
【請求項5】
上記信号線の先端部分が真っ直ぐに形成されて上記第2の半田付けランドに半田付け接続されている請求項1ないし3のいずれかの項に記載の電子内視鏡の配線接続部。
【請求項6】
上記ブロック体の側面部分に段差面が形成されていて、その段差面に沿って上記第2の半田付けランドが階段状に形成されている請求項1ないし5のいずれかの項に記載の電子内視鏡の配線接続部。
【請求項7】
上記信号線の先端部分がL字状に曲げて形成されて、階段状に形成された上記第2の半田付けランドに沿って半田付け接続されている請求項6記載の電子内視鏡の配線接続部。
【請求項8】
上記半田付けランドが上記配線基板の板面上に互いの間隔をあけて複数配列されると共に、上記第2の半田付けランドが上記半田付けランドと等間隔で上記ブロック体に複数配列されている請求項1ないし7のいずれかの項に記載の電子内視鏡の配線接続部。
【請求項9】
上記第2の半田付けランドが、上記半田付けランドと位置を合わせて上記半田付けランドと同幅に形成されて、上記半田付けランドと半田付け接続されている請求項8記載の電子内視鏡の配線接続部。
【請求項10】
上記配線基板の板面上に一つ又は複数の電子部品が取り付けられると共に、上記電子部品のどれにも面していない方向の上記ブロック体の側面に上記第2の半田付けランドが配置されている請求項1ないし9のいずれかの項に記載の電子内視鏡の配線接続部。
【請求項11】
上記配線基板の板面からの上記ブロック体の高さが、それに隣接して上記配線基板の板面上に配置されている電子部品より高く形成されている請求項10記載の電子内視鏡の配線接続部。
【請求項12】
上記ブロック体が上記配線基板の縁部付近にその縁部に沿う向きに配置されている請求項1ないし11のいずれかの項に記載の電子内視鏡の配線接続部。
【請求項13】
上記ブロック体が上記配線基板の縁部に対して隙間をあけて配置されていて、その隙間部分において上記半田付けランドと上記第2の半田付けランドとが半田付け接続されている請求項12記載の電子内視鏡の配線接続部。
【請求項14】
上記第2の半田付けランドが上記配線基板の外側に向けて上記ブロック体に配置されている請求項12又は13記載の電子内視鏡の配線接続部。
【請求項15】
上記ブロック体が互いに独立して複数設けられている請求項12ないし14のいずれかの項に記載の電子内視鏡の配線接続部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−314582(P2006−314582A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140845(P2005−140845)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】