説明

電子内視鏡装置

【課題】撮像と表示との同期を確保することができる。
【解決手段】撮像素子114はスコープ先端部110に設置され、撮像クロックに基づいて画像を撮像する。画像プロセッサ部120は、撮像素子114が撮像した画像の画像処理を行い、表示クロックに基づいて当該画像をモニタに表示させる。スコープケーブル部130は、スコープ先端部110と画像プロセッサ部120との間のデータの転送を行う。クロック発振器111は、源発振クロックを生成する。第1逓倍分周回路112は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周し、撮像クロックの周波数よりも低い周波数かつ垂直同期信号の周波数の自然数倍の周波数である伝送クロックを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体技術の進歩により、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサといった固体撮像素子の高画素化が進んでいる。この傾向は電子内視鏡装置においても例外ではなく、電子内視鏡装置が備える固体撮像素子の高画素化が進んでいる。しかし、固体撮像素子の高画素化に伴い、画像処理に必要となるクロック信号の周波数も高くなってきており、種々の問題を引き起こしている。例えば、電子内視鏡装置の構造は、固体撮像素子が搭載されるスコープの先端部と、画像処理を行う画像プロセッサとの間が離れているため、固体撮像素子と画像プロセッサ間の伝送路上での信号劣化が発生しやすい構造になっている。また、クロック信号の周波数が高くなると、固体撮像素子と画像プロセッサ間の伝送路上での信号劣化の影響がさらに大きくなる。また、高周波信号が固体撮像素子と画像プロセッサ間の伝送路を流れることによる電磁波の漏洩もより顕著になる。
【0003】
このような問題を解決する方法として、特許文献1に記載の電子内視鏡装置が提案されている。図8は、従来知られている電子内視鏡装置の構成を示したブロック図である。図示する例は、電子スコープ900の出力段に波形平滑回路916を挿入することで、電子スコープ900とプロセッサ装置950の間で放出される高周波ノイズを抑制するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−275956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、電子スコープ(内視鏡スコープ)とモニタ(画像処理プロセッサ)との同期という観点について記載されていない。内視鏡スコープには、観察対象や用途にあわせて種々の画角の撮像素子が搭載されるため、内視鏡スコープごとに動作周波数や画角が異なる。よって、内視鏡スコープが撮像した動画像をモニタに表示するためには、モニタの同期信号にあわせた周波数変換が必要である。なお、内視鏡スコープは、撮像クロックに基づいたタイミングで動画像を撮像し、モニタは、表示クロックに基づいたタイミングで動画像を表示する。
【0006】
しかし、周波数変換を行う際に、撮像クロックと表示クロックとの関係次第では、電子スコープが1フレームの画像を撮像する周期と、モニタが1フレームの画像を表示する周期とが微妙に異なるため、両者の位相が徐々にずれていくという問題が発生する。そして、位相のずれが蓄積し、両者の位相のずれが1フレームの周期を超過すると「追い越し」や「コマ落ち」といった現象につながる。
【0007】
図9は、撮像クロックを基準とした1フレームの周期と、表示クロックを基準とした1フレームの周期との関係を示した模式図である。図示するように、撮像クロックと表示クロックとの周波数は異なっているため、撮像クロックを基準とした1フレームの周期と、表示クロックを基準とした1フレームの周期とは僅かにずれる。1フレームでは僅かなずれであるが、図示するように、時間が経過すると共にずれが蓄積される。そして、ずれか1フレームの周期を超過すると「追い越し」や「コマ落ち」といった現象につながる。
【0008】
一方、モニタ側でも高精細化に伴う高速化が進んでおり、モニタへの信号の入力には厳密なタイミング規定を満足する必要がある。仮に、撮像と表示とで1フレーム周期を完全にあわせることができたとしても、テレビジョン規格に準拠していない内視鏡スコープ側のクロックを基準に同期信号を生成した場合は、モニタにおいて正常な表示ができない可能性がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、撮像と表示との同期を確保することができる電子内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、スコープ先端部に設置され、撮像クロックに基づいて画像を撮像する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した前記画像の画像処理を行い、表示クロックに基づいて当該画像をモニタに表示させる画像プロセッサ部と、前記スコープ先端部と前記画像プロセッサ部との間のデータの転送を行うスコープケーブル部と、源発振クロックを生成するクロック発振器と、前記源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周し、前記撮像クロックの周波数よりも低い周波数かつ前記垂直同期信号の周波数の自然数倍の周波数である伝送クロックを生成する逓倍分周回路と、を備えることを特徴とする電子内視鏡装置である。
【0011】
また、本発明は、前記伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して必要な周波数を生成する第2の逓倍分周回路を備え、前記撮像クロックまたは前記表示クロックは、前記源発振クロックから生成されることを特徴とする電子内視鏡装置である。
【0012】
また、本発明の電子内視鏡装置において、前記クロック発振器は前記スコープ先端部に設置され、前記逓倍分周回路は前記スコープ先端部に設置され、前記撮像クロックと前記伝送クロックとを生成し、前記第2の逓倍分周回路は前記画像プロセッサ部に設置され、前記表示クロックを生成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の電子内視鏡装置において、前記逓倍分周回路は、前記源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して前記撮像クロックを生成し、前記第2の逓倍分周回路は、前記伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して前記表示クロックを生成することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記表示クロックから前記画像の表示用の表示垂直同期信号を生成する表示同期信号生成部を備え、前記スコープケーブル部は、前記伝送クロックと前記表示垂直同期信号とを前記画像プロセッサ部から前記スコープ先端部に伝送することを特徴とする電子内視鏡装置である。
【0015】
また、本発明は、前記表示垂直同期信号の生成タイミングより、前記スコープケーブル部の伝送遅延時間と前記画像プロセッサ部での処理時間とを合わせた時間以上先行して、前記撮像クロックから前記画像の撮像用の撮像垂直同期信号を生成する撮像同期信号生成部を備えることを特徴とする電子内視鏡装置である。
【0016】
また、本発明は、前記撮像クロックから前記画像の撮像用の撮像垂直同期信号を生成する撮像同期信号生成部を備え、前記スコープケーブル部は、前記伝送クロックと前記撮像垂直同期信号とを前記スコープ先端部から前記画像プロセッサ部に伝送することを特徴とする電子内視鏡装置である。
【0017】
また、本発明は、前記撮像垂直同期信号の生成タイミングより、前記スコープケーブル部の伝送遅延時間と前記画像プロセッサ部での処理時間とを合わせた時間以上遅らせて、前記表示クロックから前記画像の表示用の表示垂直同期信号を生成する表示同期信号生成部を備えることを特徴とする電子内視鏡装置である。
【0018】
また、本発明の電子内視鏡装置において、前記クロック発振器は前記画像プロセッサ部に設置され、前記逓倍分周回路は前記画像プロセッサ部に設置され、前記表示クロックと前記伝送クロックとを生成し、前記第2の逓倍分周回路は前記スコープ先端部に設置され、前記撮像クロックを生成することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の電子内視鏡装置において、前記逓倍分周回路は、前記源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して前記表示クロックを生成し、前記第2の逓倍分周回路は、前記伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して前記撮像クロックを生成することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記表示クロックから前記画像の表示用の表示垂直同期信号を生成する表示同期信号生成部を備え、前記スコープケーブル部は、前記伝送クロックと前記表示垂直同期信号とを前記画像プロセッサ部から前記スコープ先端部に伝送することを特徴とする電子内視鏡装置である。
【0021】
また、本発明は、前記表示垂直同期信号の生成タイミングより、前記スコープケーブル部の伝送遅延時間と前記画像プロセッサ部での処理時間とを合わせた時間以上先行して、前記撮像クロックから前記画像の撮像用の撮像垂直同期信号を生成する撮像同期信号生成部を備えることを特徴とする電子内視鏡装置である。
【0022】
また、本発明は、前記撮像クロックから前記画像の撮像用の撮像垂直同期信号を生成する撮像同期信号生成部を備え、前記スコープケーブル部は、前記伝送クロックと前記撮像垂直同期信号とを前記スコープ先端部から前記画像プロセッサ部に伝送することを特徴とする電子内視鏡装置である。
【0023】
また、本発明は、前記撮像垂直同期信号の生成タイミングより、前記スコープケーブル部の伝送遅延時間と前記画像プロセッサ部での処理時間とを合わせた時間以上遅らせて、前記表示クロックから前記画像の表示用の表示垂直同期信号を生成する表示同期信号生成部を備えることを特徴とする電子内視鏡装置である。
【0024】
また、本発明の電子内視鏡装置において、前記撮像垂直同期信号と前記表示垂直同期信号とは同一周波数となるように生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、撮像素子は、スコープ先端部に設置され、撮像クロックに基づいて画像を撮像する。また、画像プロセッサ部は、撮像素子が撮像した画像の画像処理を行い、表示クロックに基づいて当該画像をモニタに表示させる。また、スコープケーブル部は、スコープ先端部と画像プロセッサ部との間のデータの転送を行う。また、クロック発振器は、源発振クロックを生成する。また、逓倍分周回路は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周し、撮像クロックの周波数よりも低い周波数かつ垂直同期信号の周波数の自然数倍の周波数である伝送クロックを生成する。これにより、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周し、撮像クロックの周波数よりも低い周波数かつ垂直同期信号の周波数の自然数倍の周波数である伝送クロックを用いて動作することができるため、撮像と表示との同期を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態における電子内視鏡装置の構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における電子内視鏡装置の構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施形態における電子内視鏡装置の構成を示したブロック図である。
【図4】本発明の第4の実施形態における電子内視鏡装置の構成を示したブロック図である。
【図5】変形例である電子内視鏡装置の構成を示したブロック図である。
【図6】変形例である電子内視鏡装置の構成を示したブロック図である。
【図7】変形例である電子内視鏡装置の構成を示したブロック図である。
【図8】従来知られている電子内視鏡装置の構成を示したブロック図である。
【図9】撮像クロックを基準とした1フレームの周期と、表示クロックを基準とした1フレームの周期との関係を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における電子内視鏡装置の構成を示したブロック図である。図示する例では、電子内視鏡装置1は、スコープ先端部110と、画像プロセッサ部120と、スコープケーブル部130と、モニタ140とを備える。スコープ先端部110は、生体内に挿入され体内画像を撮像する。画像プロセッサ部120は、スコープ先端部110から伝送された画像信号をモニタ140に表示する形式に変換する画像処理などを実行し、モニタ140に表示させる。スコープケーブル部130は、スコープ先端部110で撮像した画像信号を生体外の画像プロセッサ部120まで伝送するなど、スコープ先端部110と画像プロセッサ部120との間のデータ伝送を行う。モニタ140は、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、画像(動画像)を表示する。
【0028】
スコープ先端部110は、クロック発振器111と、第1逓倍分周回路112(逓倍分周回路)と、TG113(タイミングジェネレータ、撮像同期信号生成部)と、撮像素子114と、データ送信回路115とを備える。
【0029】
クロック発振器111は、例えば水晶などの振動子であり、源発振クロックを生成する。第1逓倍分周回路112は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して、撮像素子114やTG113を駆動するための撮像クロックと、データ送信回路115に対して供給する送信クロックと、画像プロセッサ部120に対して送信する伝送クロックとを生成する。なお、(自然数/自然数)は予め定められていてもよく、任意に設定することができるようにしてもよい。第1逓倍分周回路112が生成した伝送クロックは、スコープケーブル部130を介して画像プロセッサ部120に対して送信される。
【0030】
TG113には画像プロセッサ部120から送信される表示垂直同期信号が入力される。また、TG113は、入力された表示垂直同期信号と完全に一致する周期で、表示垂直同期信号の生成タイミングよりもスコープケーブル部130の伝送遅延時間と画像プロセッサ部120での処理時間とを合わせた時間以上先行したタイミングで、第1逓倍分周回路112が生成した撮像クロックから、撮像素子114を駆動するための撮像垂直同期信号を含む各種制御信号を生成する。これにより、遅延を考慮した上で、撮像と表示の同期を確保することができる。
【0031】
撮像素子114は、第1逓倍分周回路112が生成した撮像クロックで動作し、TG113が生成した撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで、入射した光に応じた画像信号を出力する(1フレームの画像を撮像する)。データ送信回路115は、第1逓倍分周回路112が生成した送信クロックを用いて、撮像素子114が出力した画像信号の形式を、スコープケーブル部130を伝送可能な形式に変換する。例えば、画素値が多ビットのパラレル形式で表現されている形式からシリアル形式に変換し、8b10b変換を施し、差動形式に変換するなどの公知の方法で行う。そして、データ送信回路115は、スコープケーブル部130を介して、変換した画像信号を画像プロセッサ部120に対して送信する。
【0032】
画像プロセッサ部120は、第2逓倍分周回路121(第2の逓倍分周回路)と、SSG122(シンクシグナルジェネレータ、表示同期信号生成部)と、データ受信回路123と、表示タイミング調整回路124と、画像処理回路125とを備える。
【0033】
第2逓倍分周回路121は、スコープ先端部110から送信された伝送クロックを受信する。そして、第2逓倍分周回路121は、受信した伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周し、スコープ先端部110から送信される画像信号を受信するために必要な周波数の受信クロックを生成し、データ受信回路123と表示タイミング調整回路124とに対して出力する。また、第2逓倍分周回路121は、スコープ先端部110から送信された伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周し、スコープ先端部110から送信される画像信号に基づいた画像をモニタ140に表示するために必要な周波数の表示クロックを生成し、SSG122と、表示タイミング調整回路124と、画像処理回路125とに対して出力する。なお、(自然数/自然数)は予め定められていてもよく、任意に設定することができるようにしてもよい。また、第1逓倍分周回路112と第2逓倍分周回路121とにおける逓倍および/または分周の各倍率(自然数/自然数)は、それぞれ同じ値であっても、異なる値であってもよい。
【0034】
SSG122は、第2逓倍分周回路121から入力された表示クロックから、画像信号に基づいた画像をモニタ140に表示させるタイミングを示す表示垂直同期信号と、各種タイミング信号生成とを生成し、表示タイミング調整回路124と画像処理回路125とに対して出力する。また、SSG122が生成した表示垂直同期信号は、スコープケーブル部130を介してスコープ先端部110に送信される。スコープ先端部110に送信された表示垂直同期信号は、TG113に入力される。
【0035】
データ受信回路123は受信クロックで動作し、スコープ先端部110からスコープケーブル部130を介して送信された画像信号を受信し、受信した画像信号を表示タイミング調整回路124に対して出力する。表示タイミング調整回路124は、データ受信回路123から入力された画像信号を、第2逓倍分周回路121が生成した表示クロックの周波数に乗せ換えて、画像処理回路125に対して出力する。画像処理回路125は、表示クロックで動作し、入力された画像信号に対して画像処理を施し、SSG122が生成した表示垂直同期信号に基づいたタイミングで、画像信号に基づいた画像(1フレームの画像)をモニタ140に表示させる。
【0036】
次に、本実施形態における電子内視鏡装置1の動作について説明する。本実施形態では、スコープ先端部110で源発振クロックを生成し、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して、撮像クロックと、伝送クロックとを生成する。また、スコープ先端部110では、画像プロセッサ部120から送信される表示垂直同期信号と同期するように、撮像クロックから撮像垂直同期信号を生成し、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像する。また、スコープ先端部110は、生成した伝送クロックを画像プロセッサ部120に対して送信する。
【0037】
一方、画像プロセッサ部120では、送信された伝送クロックから表示垂直同期信号を生成し、表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を表示する。また、画像プロセッサ部120は、生成した表示垂直同期信号をスコープ先端部110に対して送信する。
【0038】
これにより、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号とは、スコープ先端部110で生成した源発振クロックを元に生成されている。従って、撮像と表示とで1フレーム周期を完全に合わせることができる。また、TG113は、画像プロセッサ部120から受信した表示垂直同期信号と同期するように撮像垂直同期信号を生成する。そして、撮像素子114は撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで画像を撮像し、画像処理回路125は表示垂直同期信号に基づいたタイミングで画像をモニタ140に表示させるため、撮像と表示との同期を確保することができる。電子内視鏡装置1は、この仕組みにより撮像周期と表示周期を一致させることができる。
【0039】
次に、本実施形態の動作を実現するために必要な設定について説明する。
(設定1)送信クロックと受信クロックとの関係
送信クロックの周波数と受信クロックの周波数とが完全に一致するように、第1逓倍分周回路112は送信クロックを生成し、第2逓倍分周回路121は受信クロックを生成する。第1逓倍分周回路112は、源発振クロックから送信クロックを生成し、第2逓倍分周回路121は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周した伝送クロックから受信クロックを生成するため、完全に周波数が一致するクロックとして生成する事が可能である。なお、受信クロックに関しては、スコープ先端部110から送信された画像信号が8b10b変換等を施された符号であれば、公知の技術により画像信号からからリカバリー生成する事も可能である。
【0040】
(設定2)撮像垂直同期信号と撮像クロックとの関係
撮像素子114の画素数は必ずしもモニタ140の画素数と一致していないので、撮像クロックの周波数と表示クロックの周波数は異なっていても構わない。しかし、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号とは位相が異なるだけで周期は完全に一致している必要がある。また、撮像垂直同期信号のエッジのタイミングには必ず撮像クロックのエッジのタイミングが存在するように、撮像クロックの周波数を決定する。すなわち、撮像垂直同期信号と完全に一致したタイミングで、撮像素子114が画像を撮像することができるように、撮像クロックの周波数を決定する。
【0041】
(設定3)表示垂直同期信号と表示クロックとの関係
表示垂直同期信号のエッジのタイミングには必ず表示クロックのエッジのタイミングが存在するように、表示クロックの周波数を決定する。すなわち、表示垂直同期信号と完全に一致したタイミングで、画像処理回路125が画像をモニタ140に表示させることができるように、表示クロックの周波数を決定する。
【0042】
(設定4)撮像クロック周波数の決め方
例えば、モニタ140がHDTVである場合、表示垂直同期信号の周期は59.94Hzでなければならない。また、この場合、表示クロックは74.1758MHzであるか、これを逓倍した周波数となる。一方、表示垂直同期信号の周期が59.95Hzであるため撮像垂直同期信号の周期も59.95Hzとなるが、撮像クロックの周波数は撮像素子114の縦、横の画素数に応じて様々な周波数が選択される事になる。なお、撮像クロックの周波数を選定する際、撮像クロックを整数逓倍して撮像垂直同期信号を生成することができ、かつ、撮像クロックを整数逓倍および/または整数分周することで、表示クロックを生成できる周波数を選択する必要がある。また、撮像クロックの周波数は、無効期間も含めた撮像素子の垂直ライン数の整数倍になる周波数を選択する必要がある。
【0043】
(設定5)伝送クロック周波数の決め方
近年、撮像素子114の画素数は増大しており、これに伴い撮像クロックの周波数は向上している。一方、伝送クロックは、長いスコープケーブル部130を伝送可能な周波数に留める必要がある。伝送クロックは、撮像クロックを整数逓倍したり整数分周したりして撮像クロックよりも低い伝送可能な周波数を選定するが、この際、撮像垂直同期信号および表示垂直同期信号の整数倍になる周波数を選定する。また、この伝送クロックからモニタ表示に必要な精度の表示クロックを生成できなければならないため、結果的には、例えば、モニタ140がHDTVの場合、表示クロック周波数である74.1758MHzを整数逓倍および/または整数分周して生成可能な周波数を伝送クロックの周波数とする必要がある。また、これらの設定条件を満たす事が可能な周波数の源発振クロックを生成できるクロック発振器111を選択する必要がある。
【0044】
(設定6)撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号との関係
撮像垂直同期信号に基づいて撮像素子114を駆動するが、撮像素子114から画像信号が出力されるまで若干の遅延が生じる。また、スコープケーブル部130の送信においても遅延が生じる。また、画像信号がスコープ先端部110から画像プロセッサ部120に到達した後も、画像プロセッサ部120内での処理により遅延が生じる。例えば、Bayer形式の画像を補間して三板化したり、輝度・色差形式に変換したり、フィルタリングや拡大縮小処理などを施すなどし、モニタ140へ表示可能な形式に変換されるまでに遅延が生じる。従って、撮像垂直同期信号を、表示垂直同期信号よりも上述の遅延時間の合計値以上先行した位相で生成させることにより、撮像素子114が撮像した画像を最速のタイミングでモニタ140に対して表示させることができる。また、タイミング調整のために、画像信号を一時記憶させるために必要なメモリの容量を最小限に留める事ができる。
【0045】
上述したとおり、本実施形態によれば、スコープ先端部110のクロック発振器111は源発振クロックを出力する。また、第1逓倍分周回路112は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して撮像クロックと伝送クロックとを生成する。また、伝送クロックは、画像プロセッサ部120の第2逓倍分周回路121に対して送信される。また、TG113は、画像プロセッサ部120から表示垂直同期信号を受信し、表示垂直同期信号と同期した撮像垂直同期信号を撮像クロックから生成する。また、撮像素子114は、撮像クロックで動作し、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像し、画像信号を出力する。
【0046】
一方、画像プロセッサ部120の第2逓倍分周回路121は、スコープ先端部110から送信された伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して表示クロックを生成する。また、SSG122は、表示クロックから表示垂直同期信号を生成する。また、SSG122が生成した表示垂直同期信号は、スコープ先端部110のTG113に対して送信される。また、画像処理回路125は、SSG122が生成した表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させる。
【0047】
これにより、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号とは、スコープ先端部110で生成した源発振クロックを元に生成されている。従って、撮像と表示とで1フレーム周期を完全に合わせることができる。また、撮像素子114は、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像し、画像処理回路125は、表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させることができるため、電子内視鏡装置1は、撮像と表示との同期を確保することができる。
【0048】
従って、電子内視鏡装置1は、撮像素子114の処理が高速化した場合においても、スコープ先端部110が画像を撮像する周期と、画像プロセッサ部120がモニタ140に画像を表示させる周期との同期を確保することができる。また、これにより、電子内視鏡装置1は、「追い越し」や「コマ落ち」といった現象を抑えることができる。なお、ここでは説明を簡単にするために、撮像素子のデータ(RAW)に対する補正処理や、色変換処理、フィルタ処理などの一般的な画像処理を施すタイミング制御については省略して記載してある。
【0049】
また、本実施形態では、撮像素子114としてCMOSセンサを想定しており、撮像素子114と、第1逓倍分周回路112と、TG113と、データ送信回路115と、水晶発振子を除くクロック発振器111とを同一チップ上に構成して、スコープ先端部110へ実装する部品点数を既存の電子内視鏡装置と同等に留める事が可能である。そして、本実施形態の電子内視鏡装置1は、上述したとおり、伝送クロックの周波数を抑える事が可能であり、電磁ノイズの発生も抑制できる。
【0050】
なお、本実施形態の電子内視鏡装置1は、種々の変更を行うことが可能である。例えば、本実施形態では、画像プロセッサ部120からスコープ先端部110に対して表示垂直同期信号を独立して送信する構成としたが、これに限らず、表示垂直同期信号を電源線に重畳して送信する構成としてもよい。また、本実施形態では、スコープ先端部110から画像プロセッサ部120に対して伝送クロックを独立して送信する構成としたが、これに限らず、伝送クロックを画像信号に重畳して送信する構成としてもよい。また、撮像素子114としてCMOSセンサを用いたが、これに限らず、CCDを用いるようにしてもよい。また、スコープ先端部110と画像プロセッサ部120とを独立した構造としたが、これに限らず、スコープ先端部110と画像プロセッサ部120とを一体構造としてもよい。
【0051】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態との差分を中心に説明を行い、第1の実施形態と同一の部分は説明を省略する。図2は、本実施形態における電子内視鏡装置2の構成を示したブロック図である。図示する例では、電子内視鏡装置2は、スコープ先端部210と、画像プロセッサ部220と、スコープケーブル部130と、モニタ140とを備える。
【0052】
スコープ先端部210は、クロック発振器111と、第1逓倍分周回路112と、TG213と、撮像素子114と、データ送信回路115とを備える。画像プロセッサ部220は、第2逓倍分周回路121と、SSG222と、データ受信回路123と、表示タイミング調整回路124と、画像処理回路125とを備える。
【0053】
本実施形態における電子内視鏡装置2と第1の実施形態における電子内視鏡装置1とで異なる点は、スコープ先端部210が備えるTG213の構成と、画像プロセッサ部220が備えるSSG222の構成、及びスコープケーブル部130内の垂直同期信号の伝送方向のみである。その他の構成は、第1の実施形態における各部の構成と同様の構成である。
【0054】
TG213は、第1逓倍分周回路112から入力される撮像クロックから、撮像素子114を駆動するための撮像垂直同期信号を含む各種制御信号を生成する。なお、本実施形態におけるTG213は、外部から表示垂直同期信号の入力を受けることなく、自身で開始タイミングを決定して撮像垂直同期信号を生成する。また、TG213が生成した表示垂直同期信号は、スコープケーブル部130を介して画像プロセッサ部220に送信される。画像プロセッサ部220に送信された撮像垂直同期信号は、SSG222に入力される。
【0055】
SSG222にはスコープ先端部210から送信される撮像垂直同期信号が入力される。また、SSG222は、入力された撮像垂直同期信号と完全に一致する周期で、撮像垂直同期信号の生成タイミングよりもスコープケーブル部130の伝送遅延時間と画像プロセッサ部120での処理時間とを合わせた時間以上遅れたタイミングで、第2逓倍分周回路121が生成した表示クロックから、画像信号に基づいた画像をモニタ140に表示させるタイミングを示す表示垂直同期信号を含む各種制御信号を生成する。これにより、遅延を考慮した上で、撮像と表示の同期を確保することができる。なお、SSG222が生成した表示垂直同期信号は、第1の実施形態とは異なり、スコープ先端部210に送信される事はない。
【0056】
次に、本実施形態における電子内視鏡装置2の動作について説明する。本実施形態では、スコープ先端部210で源発振クロックを生成し、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して、撮像クロックと、伝送クロックとを生成する。また、スコープ先端部210では、撮像クロックから撮像垂直同期信号を生成し、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像する。また、スコープ先端部210は、生成した伝送クロックと、撮像垂直同期信号とを画像プロセッサ部220に対して送信する。
【0057】
一方、画像プロセッサ部220では、スコープ先端部210から送信された撮像垂直同期信号と同期するように、送信された伝送クロックから表示垂直同期信号を生成し、表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を表示する。
【0058】
これにより、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号とは、スコープ先端部210で生成した源発振クロックを元に生成されている。従って、撮像と表示とで1フレーム周期を完全にあわせることができる。また、SSG222は、スコープ先端部210から受信した撮像垂直同期信号と同期するように表示垂直同期信号を生成する。そして、撮像素子114は撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで画像を撮像し、画像処理回路125は表示垂直同期信号に基づいたタイミングで画像をモニタ140に表示させるため、撮像と表示との同期を確保することができる。電子内視鏡装置2は、この仕組みにより撮像周期と表示周期を一致させることができる。
【0059】
次に、本実施形態の動作を実現するために必要な設定について説明する。
設定1〜設定5は、第1の実施形態における設定1〜設定5と同様の設定である。
【0060】
(設定6)撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号との関係
撮像垂直同期信号に基づいて撮像素子114を駆動するが、撮像素子114から画像信号が出力されるまで若干の遅延が生じる。また、スコープケーブル部130の送信においても遅延が生じる。また、画像信号がスコープ先端部210から画像プロセッサ部220に到達した後も、画像プロセッサ部220内での処理により遅延が生じる。例えば、Bayer形式の画像を補間して三板化したり、輝度・色差形式に変換したり、フィルタリングや拡大縮小処理などを施すなどし、モニタ140へ表示可能な形式に変換されるまでに遅延が生じる。従って、表示垂直同期信号を、撮像垂直同期信号よりも上述の遅延時間の合計値以上遅らせた位相で生成させることにより、撮像素子114が撮像した画像を最速のタイミングでモニタ140に対して表示させることができる。また、タイミング調整のために、画像信号を一時記憶させるために必要なメモリの容量を最小限に留める事ができる。
【0061】
上述したとおり、本実施形態によれば、スコープ先端部210のクロック発振器111は源発振クロックを出力する。また、第1逓倍分周回路112は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して撮像クロックと伝送クロックとを生成する。また、伝送クロックは、画像プロセッサ部220の第2逓倍分周回路121に対して送信される。また、TG213は撮像垂直同期信号を撮像クロックから生成する。また、撮像垂直同期信号は、画像プロセッサ部220のSSG222に対して送信される。また、撮像素子114は、撮像クロックで動作し、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像し、画像信号を出力する。
【0062】
一方、画像プロセッサ部220の第2逓倍分周回路121は、スコープ先端部210から送信された伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して表示クロックを生成する。また、SSG222は、スコープ先端部210から撮像垂直同期信号を受信し、撮像垂直同期信号と同期した表示垂直同期信号を表示クロックから生成する。また、画像処理回路125は、SSG222が生成した表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させる。
【0063】
これにより、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号とは、スコープ先端部210で生成した源発振クロックを元に生成されている。従って、撮像と表示とで1フレーム周期を完全にあわせることができる。また、撮像素子114は、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像し、画像処理回路125は、表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させることができるため、電子内視鏡装置2は、撮像と表示との同期を確保することができる。
【0064】
従って、電子内視鏡装置2は、撮像素子114の処理が高速化した場合においても、スコープ先端部210が画像を撮像する周期と、画像プロセッサ部220がモニタ140に画像を表示させる周期との同期を確保することができる。また、これにより、電子内視鏡装置2は、「追い越し」や「コマ落ち」といった現象を抑えることができる。なお、ここでは説明を簡単にするために、撮像素子のデータ(RAW)に対する補正処理や、色変換処理、フィルタ処理などの一般的な画像処理を施すタイミング制御については省略して記載してある。
【0065】
また、本実施形態では、撮像素子114としてCMOSセンサを想定しており、撮像素子114と、第1逓倍分周回路112と、TG213と、データ送信回路115と、水晶発振子を除くクロック発振器111とを同一チップ上に構成して、スコープ先端部210へ実装する部品点数を既存の電子内視鏡装置と同等に留める事が可能である。そして、本実施形態の電子内視鏡装置2は、上述したとおり、伝送クロックの周波数を抑える事が可能であり、電磁ノイズの発生も抑制できる。
【0066】
なお、本実施形態の電子内視鏡装置2は、種々の変更を行うことが可能である。例えば、本実施形態では、スコープ先端部210から画像プロセッサ部220に対して、撮像垂直同期信号と伝送クロックとを独立して伝送する構成としたが、これに限らず、撮像垂直同期信号と伝送クロックとを画像信号に重畳して送信する構成としてもよい。また、撮像素子114としてCMOSセンサを用いたが、これに限らずCCDを用いるようにしてもよい。また、スコープ先端部210と画像プロセッサ部220とを独立した構造としたが、これに限らず、スコープ先端部210と画像プロセッサ部220とを一体構造としてもよい。
【0067】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態との差分を中心に説明を行い、第1の実施形態と同一の部分は説明を省略する。図3は、本実施形態における電子内視鏡装置3の構成を示したブロック図である。図示する例では、電子内視鏡装置3は、スコープ先端部310と、画像プロセッサ部320と、スコープケーブル部130と、モニタ140とを備える。
【0068】
スコープ先端部310は、第2逓倍分周回路312と、TG113と、撮像素子114と、データ送信回路115とを備える。画像プロセッサ部320は、クロック発振器311と、第1逓倍分周回路321と、SSG122と、データ受信回路123と、表示タイミング調整回路124と、画像処理回路125とを備える。
【0069】
本実施形態における電子内視鏡装置3と第1の実施形態における電子内視鏡装置1とで異なる点は、スコープ先端部310はクロック発振器を備えておらず、第1逓倍分周回路112の代わりに第2逓倍分周回路312を備えている点と、画像プロセッサ部320は、クロック発振器311を備え、第2逓倍分周回路121の代わりに第1逓倍分周回路321を備えている点である。その他の構成は、第1の実施形態における各部の構成と同様の構成である。
【0070】
画像プロセッサ部320が備えるクロック発振器311は、例えば水晶などの振動子であり、源発振クロックを生成する。第1逓倍分周回路321は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して、スコープ先端部310から送信される画像信号を受信するために必要な周波数の受信クロックを生成し、データ受信回路123と表示タイミング調整回路124とに対して出力する。また、第1逓倍分周回路321は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周し、スコープ先端部310から送信される画像信号に基づいた画像をモニタ140に表示するために必要な周波数の表示クロックを生成し、SSG122と、表示タイミング調整回路124と、画像処理回路125とに対して出力する。また、第1逓倍分周回路321は、スコープ先端部310に対して送信する伝送クロックを生成する。第1逓倍分周回路321が生成した伝送クロックは、スコープケーブル部130を介してスコープ先端部310に対して送信される。
【0071】
スコープ先端部310が備える第2逓倍分周回路312は、画像プロセッサ部320から送信された伝送クロックを受信する。そして、第2逓倍分周回路312は、受信した伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周し、撮像素子114やTG113を駆動するための撮像クロックと、データ送信回路115に対して供給する送信クロックとを生成する。
【0072】
次に、本実施形態における電子内視鏡装置3の動作について説明する。本実施形態では、画像プロセッサ部320で源発振クロックを生成し、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して、表示クロックと、伝送クロックとを生成する。また、画像プロセッサ部320では、表示クロックから表示垂直同期信号を生成し、表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させる。また、画像プロセッサ部320は、生成した伝送クロックと、表示垂直同期信号とを画像プロセッサ部320に対して送信する。
【0073】
一方、スコープ先端部310では、画像プロセッサ部320から送信された表示垂直同期信号と同期するように、送信された伝送クロックから撮像垂直同期信号を生成し、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を表示する。
【0074】
これにより、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号とは、画像プロセッサ部320で生成した源発振クロックを元に生成されている。従って、撮像と表示とで1フレーム周期を完全にあわせることができる。また、TG113は、画像プロセッサ部320から受信した表示垂直同期信号と同期するように撮像垂直同期信号を生成する。そして、撮像素子114は撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで画像を撮像し、画像処理回路125は表示垂直同期信号に基づいたタイミングで画像をモニタ140に表示させるため、撮像と表示との同期を確保することができる。電子内視鏡装置3は、この仕組みにより撮像周期と表示周期を一致させることができる。
【0075】
次に、本実施形態の動作を実現するために必要な設定について説明する。本実施形態における設定1〜設定6は、第1の実施形態における設定1〜設定6と同様の設定である。なお、第1の実施形態と異なる点は、本実施形態では、伝送クロックは画像プロセッサ部320の第一逓倍分周回路321にて表示クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して生成され、スコープ先端部310へ送信される点である。
【0076】
上述したとおり、本実施形態によれば、スコープ先端部310の第2逓倍分周回路312は、画像プロセッサ部320から送信された伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して撮像クロックを生成する。また、TG113は、画像プロセッサ部320から表示垂直同期信号を受信し、表示垂直同期信号と同期した撮像垂直同期信号を撮像クロックから生成する。また、撮像素子114は、撮像クロックで動作し、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像し、画像データを出力する。
【0077】
一方、画像プロセッサ部320のクロック発振器311は源発振クロックを出力する。また、第1逓倍分周回路321は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して表示クロックと伝送クロックとを生成する。また、伝送クロックは、スコープ先端部310の第2逓倍分周回路312に対して送信される。また、SSG122は、表示クロックから表示垂直同期信号を生成する。また、SSG122が生成した表示垂直同期信号は、スコープ先端部310のTG113に対して送信される。また、画像処理回路125は、SSG122が生成した表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させる。
【0078】
これにより、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号とは、画像プロセッサ部320で生成した源発振クロックを元に生成されている。従って、撮像と表示とで1フレーム周期を完全にあわせることができる。また、撮像素子114は、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像し、画像処理回路125は、表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させることができるため、電子内視鏡装置3は、撮像と表示との同期を確保することができる。
【0079】
従って、電子内視鏡装置3は、撮像素子114の処理が高速化した場合においても、スコープ先端部310が画像を撮像する周期と、画像プロセッサ部320がモニタ140に画像を表示させる周期との同期を確保することができる。また、これにより、電子内視鏡装置3は、「追い越し」や「コマ落ち」といった現象を抑えることができる。なお、ここでは説明を簡単にするために、撮像素子のデータ(RAW)に対する補正処理や、色変換処理、フィルタ処理などの一般的な画像処理を施すタイミング制御については省略して記載してある。
【0080】
また、本実施形態では、撮像素子114としてCMOSセンサを想定しており、撮像素子114と、第2逓倍分周回路312と、TG113と、データ送信回路115とを同一チップ上に構成して、スコープ先端部310へ実装する部品点数を既存の電子内視鏡装置と同等に留める事が可能である。そして、本実施形態の電子内視鏡装置3は、上述したとおり、伝送クロックの周波数を抑える事が可能であり、電磁ノイズの発生も抑制できる。
【0081】
なお、本実施形態の電子内視鏡装置3は、種々の変更を行うことが可能である。例えば、本実施形態では、画像プロセッサ部320からスコープ先端部310に対して表示垂直同期信号と伝送クロックとを独立して送信する構成としたが、これに限らず、表示垂直同期信号と伝送クロックとを電源線に重畳して送信する構成としてもよい。また、撮像素子114としてCMOSセンサを用いたが、これに限らず、CCDを用いるようにしてもよい。また、スコープ先端部310と画像プロセッサ部320とを独立した構造としたが、これに限らず、スコープ先端部310と画像プロセッサ部320とを一体構造としてもよい。
【0082】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態との差分を中心に説明を行い、第1の実施形態と同一の部分は説明を省略する。図4は、本実施形態における電子内視鏡装置4の構成を示したブロック図である。図示する例では、電子内視鏡装置4は、スコープ先端部410と、画像プロセッサ部420と、スコープケーブル部130と、モニタ140とを備える。
【0083】
スコープ先端部410は、第2逓倍分周回路312と、TG213と、撮像素子114と、データ重畳送信回路415とを備える。画像プロセッサ部420は、クロック発振器311と、第1逓倍分周回路321と、SSG122と、データ受信分離回路423と、同期化フレームメモリ424と、画像処理回路125とを備える。
【0084】
本実施形態における電子内視鏡装置4と第1の実施形態における電子内視鏡装置1とで異なる点は、スコープ先端部410はクロック発振器を備えておらず、第1逓倍分周回路112の代わりに第2逓倍分周回路312を備え、データ送信回路115の代わりにデータ重畳送信回路415を備えている点と、画像プロセッサ部420は、クロック発振器311を備え、第2逓倍分周回路121の代わりに第1逓倍分周回路321を備え、データ受信回路123の代わりにデータ受信分離回路423を備え、表示タイミング調整回路124の代わりに同期化フレームメモリ424を備えている点、及びスコープケーブル部130内の垂直同期信号の伝送方向が逆であり、且つ画像信号に重畳して伝送される点である。その他の構成は、第1の実施形態における各部の構成と同様の構成である。
【0085】
画像プロセッサ部420が備えるクロック発振器311は、例えば水晶などの振動子であり、源発振クロックを生成する。第1逓倍分周回路321は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して、スコープ先端部310から送信される画像信号を受信するために必要な周波数の受信クロックを生成し、データ受信分離回路423と同期化フレームメモリ424とに対して出力する。また、第1逓倍分周回路321は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周し、スコープ先端部410から送信される画像信号に基づいた画像をモニタ140に表示するために必要な周波数の表示クロックを生成し、SSG122と、同期化フレームメモリ424と、画像処理回路125とに対して出力する。また、第1逓倍分周回路321は、スコープ先端部410に対して送信する伝送クロックを生成する。第1逓倍分周回路321が生成した伝送クロックは、スコープケーブル部130を介してスコープ先端部410に対して送信される。
【0086】
SSG122は、第1逓倍分周回路321から入力された表示クロックから、画像信号に基づいた画像をモニタ140に表示させるタイミングを示す表示垂直同期信号と、各種タイミング信号生成とを生成し、同期化フレームメモリ424と画像処理回路125とに対して出力する。なお、SSG122が生成した表示垂直同期信号は、スコープ先端部410へ伝送される事はない。
【0087】
データ受信分離回路423は、重畳信号を受信し、差動形式から通常形式(シングルエンド)に変換した後、特定パターンの同期信号を判定して撮像垂直同期信号として分離すると共に、画像信号の先頭を判別して、8b10bの逆変換およびシリアル形式からパラレル形式への変換を行い、受信クロックを用いて、変換後の画像信号を同期化フレームメモリの第1ポートから書き込む。同期化フレームメモリ424は、画像信号を記憶する。画像処理回路125は、SSG122が生成した表示垂直同期信号に基づいたタイミングで、表示クロックを用いて同期化フレームメモリ424の第2ポートから画像信号を読み出す。そして、画像処理回路125は、読み出した画像信号に対して画像処理を施し、SSG112が生成した表示垂直同期信号に基づいたタイミングで、画像信号に基づいた画像(1フレームの画像)をモニタ140に表示させる。
【0088】
スコープ先端部410が備える第2逓倍分周回路312は、画像プロセッサ部420から伝送された伝送クロックを受信する。そして、第2逓倍分周回路312は、受信した伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周し、撮像素子114やTG213を駆動するための撮像クロックと、データ重畳送信回路415に対して供給する送信クロックとを生成する。TG213は、第2逓倍分周回路312から入力される撮像クロックから、撮像素子114を駆動するための撮像垂直同期信号を含む各種制御信号を生成する。なお、本実施形態におけるTG213は、外部から表示垂直同期信号の入力を受けることなく、自身で開始タイミングを決定して撮像垂直同期信号を生成する。
【0089】
データ重畳送信回路415は、TG213が生成した撮像垂直同期信号を、撮像素子114が出力した画像信号に重畳させ、重畳信号を生成する。また、データ重畳送信回路415は、重畳信号を画像プロセッサ部420に対して伝送可能な形式に変換し、スコープケーブル部130を介して伝送する。なお、撮像垂直同期信号を重畳し、伝送可能な形式に変換する方法としては、例えば、撮像素子114が出力する、画素値が多ビットのパラレル形式で表現されている形式の画像信号をシリアル形式に変換し、8b10b変換を施す。一方、撮像垂直同期信号を、8b10b変換後には現れない特定の符号パターンに変換し、撮像信号の垂直帰線期間に相当する無効期間のデータに置換し、その後、差動形式に変換する方法がある。
【0090】
次に、本実施形態における電子内視鏡装置4の動作について説明する。本実施形態では、画像プロセッサ部420で源発振クロックを生成し、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して、表示クロックと、伝送クロックとを生成する。また、画像プロセッサ部420では、表示クロックから表示垂直同期信号を生成し、表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させる。また、画像プロセッサ部420は、生成した伝送クロックを画像プロセッサ部420に対して送信する。一方、スコープ先端部410では、送信された伝送クロックから撮像垂直同期信号を生成し、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を表示する。
【0091】
これにより、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号とは、画像プロセッサ部420で生成した源発振クロックを元に生成されている。従って、撮像と表示とで1フレーム周期を完全にあわせることができる。また、TG213とSSG122とは、周期が一致するように、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号とを生成する。そして、撮像素子114は撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで画像を撮像し、画像処理回路125は表示垂直同期信号に基づいたタイミングで画像をモニタ140に表示させるため、撮像と表示との同期を確保することができる。電子内視鏡装置4は、この仕組みにより撮像周期と表示周期を一致させることができる。なお、本実施形態では、撮像の開始タイミングと、表示の開始タイミングとは必ずしも一致しないが、同期化フレームメモリが一時的に画像信号を記憶することで、このタイミングのずれを吸収している。
【0092】
次に、本実施形態の動作を実現するために必要な設定について説明する。
設定1,設定3〜設定5は、第1の実施形態における設定1,設定3〜設定5と同様の設定である。
【0093】
(設定2)撮像垂直同期信号と撮像クロックの関係
本実施形態では、画像プロセッサ部420は同期化フレームメモリ424を備えているため、撮像と表示のフレームレートが異なる事によって生じる表示追い越し(フレームの重複表示やフレーム落ち表示)を許容するのであれば、本設定が無くても画像信号に基づいた画像をモニタ140に表示させることが可能である。なお、表示追い越しを防止するためには、第1の実施形態と同様の設定が必要である。
【0094】
(設定6)撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号の関係
本実施形態においては、撮像側のタイミングと表示側のタイミングを同期化フレームメモリ424で乗り換えるため、設定6は必要無い。但し、撮像と表示のフレームレートが異なる事によって生じる表示追い越しを防止するために、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号とは同一の周期になるように設定する事が望ましい。
【0095】
上述したとおり、本実施形態によれば、スコープ先端部410の第2逓倍分周回路312は、画像プロセッサ部420から送信された伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して撮像クロックを生成する。また、TG213は、撮像クロックから撮像垂直同期信号を生成する。また、撮像素子114は、撮像クロックで動作し、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像し、画像データを出力する。
【0096】
一方、画像プロセッサ部420のクロック発振器311は源発振クロックを出力する。また、第1逓倍分周回路321は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して表示クロックと伝送クロックとを生成する。また、伝送クロックは、スコープ先端部410の第2逓倍分周回路312に対して送信される。また、SSG122は、表示クロックから表示垂直同期信号を生成する。また、画像処理回路125は、SSG122が生成した表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させる。
【0097】
これにより、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号とは、画像プロセッサ部420で生成した源発振クロックを元に生成されている。従って、撮像と表示とで1フレーム周期を完全にあわせることができる。また、撮像素子114は、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像し、画像処理回路125は、表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させることができるため、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号との周期を一致させることで、電子内視鏡装置4は、撮像と表示との同期を確保することができる。
【0098】
従って、電子内視鏡装置4は、撮像素子114の処理が高速化した場合においても、スコープ先端部410が画像を撮像する周期と、画像プロセッサ部420がモニタ140に画像を表示させる周期との同期を確保することができる。また、これにより、電子内視鏡装置4は、「追い越し」や「コマ落ち」といった現象を抑えることができる。なお、ここでは説明を簡単にするために、撮像素子のデータ(RAW)に対する補正処理や、色変換処理、フィルタ処理などの一般的な画像処理を施すタイミング制御については省略して記載してある。
【0099】
なお、本実施形態においては、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号を同一の周期に設定しても、位相を一定の関係に保つ仕組みを有していない。従って、画像を撮像してから画像を表示するまでの遅延時間は、電源投入のタイミングやスコープの交換タイミングによって変わってしまう。しかし、電子内視鏡装置4は、表示垂直同期信号を定常的に出力動作し続けるため、動作中にスコープ先端部410を交換しても、画像の撮像とモニタ140への表示との同期が乱れる事は無い。
【0100】
また、本実施形態では、撮像素子114としてCMOSセンサを想定しており、撮像素子114と、第2逓倍分周回路312と、TG213と、データ重畳送信回路415とを同一チップ上に構成して、スコープ先端部410へ実装する部品点数を既存の電子内視鏡装置と同等に留める事が可能である。そして、本実施形態の電子内視鏡装置4は、上述したとおり、伝送クロックの周波数を抑える事が可能であり、電磁ノイズの発生も抑制できる。
【0101】
また、本実施形態は種々の変更が可能である。例えば、本実施形態では、画像プロセッサ部420からスコープ先端部410に対して、伝送クロックを独立して伝送する構成としたが、電源線に重畳して画像プロセッサ部420からスコープ先端部410に対して伝送する構成としてもよい。また、撮像垂直同期信号を画像信号に重畳してスコープ先端部410から画像プロセッサ部420に対して伝送する構成としたが、垂直同期信号と画像信号とを独立して伝送するようにしてもよい。また、撮像素子114としてCMOSセンサを用いたが、これに限らずCCDを用いるようにしてもよい。また、スコープ先端部410と画像プロセッサ部420とを別構造としたが、これに限らず、スコープ先端部410と画像プロセッサ部420とを一体構造としてもよい。
【0102】
以上、この発明の第1の実施形態から第4の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0103】
例えば、第4の実施形態における画像プロセッサ部420が備えるSSG122を、第2の実施形態における画像プロセッサ部220が備えるSSG222に変更してもよい。図5は、第4の実施形態における電子内視鏡装置4の変形例である電子内視鏡装置5の構成を示したブロック図である。図示する例では、電子内視鏡装置5は、スコープ先端部410と、画像プロセッサ部520と、スコープケーブル部130と、モニタ140とを備える。画像プロセッサ部520は、クロック発振器311と、第1逓倍分周回路321と、SSG222と、データ受信分離回路423と、表示タイミング調整回路124と、画像処理回路125とを備える。
【0104】
SSG222と表示タイミング調整回路124との構成は、第2の実施形態における各部の構成と同様である。また、データ受信分離回路423が分離した撮像垂直同期信号は、SSG222に対して出力される。なお、電子内視鏡装置5が備える他の構成は、電子内視鏡装置4が備える構成と同様である。
【0105】
この場合、SSG222は、データ受信分離回路423から入力された撮像垂直同期信号と完全に一致する周期で、撮像垂直同期信号の生成タイミングよりもスコープケーブル部130の伝送遅延時間と画像プロセッサ部520での処理時間とを合わせた時間以上遅れたタイミングで、第1逓倍分周回路321が生成した表示クロックから、画像信号に基づいた画像をモニタ140に表示させるタイミングを示す表示垂直同期信号を含む各種制御信号を生成する。これにより、遅延を考慮した上で、撮像と表示の同期を確保することができる。また、これにより、同期化フレームメモリ424を第1の実施形態などに示した小規模な表示タイミング調整回路124に変更し、設定6の条件を加えた構成とすることができる。
【0106】
上述したとおり、この構成によれば、スコープ先端部410の第2逓倍分周回路312は、画像プロセッサ部520から送信された伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して撮像クロックを生成する。また、TG213は、撮像クロックから撮像垂直同期信号を生成する。また、撮像素子114は、撮像クロックで動作し、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像し、画像データを出力する。
【0107】
一方、データ受信分離回路423は、受信した重畳信号から撮像垂直同期信号を分離し、分離した撮像垂直同期信号をSSG222に対して出力する。また、画像プロセッサ部520のクロック発振器311は源発振クロックを出力する。また、第1逓倍分周回路321は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して表示クロックと伝送クロックとを生成する。また、伝送クロックは、スコープ先端部410の第2逓倍分周回路312に対して送信される。また、SSG222は、データ受信分離回路423から入力された撮像垂直同期信号と完全に一致する周期で、撮像垂直同期信号の生成タイミングよりもスコープケーブル部130の伝送遅延時間と画像プロセッサ部520での処理時間とを合わせた時間以上遅れたタイミングで、第1逓倍分周回路321が生成した表示クロックから、画像信号に基づいた画像をモニタ140に表示させるタイミングを示す表示垂直同期信号を含む各種制御信号を生成する。これにより、遅延を考慮した上で、撮像と表示の同期を確保することができる。また、画像処理回路125は、SSG222が生成した表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させる。
【0108】
これにより、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号とは、画像プロセッサ部520で生成した源発振クロックを元に生成されている。従って、撮像と表示とで1フレーム周期を完全にあわせることができる。また、撮像素子114は、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像し、画像処理回路125は、表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させることができるため、電子内視鏡装置5は、撮像と表示との同期を確保することができる。
【0109】
従って、電子内視鏡装置5は、撮像素子114の処理が高速化した場合においても、スコープ先端部410が画像を撮像する周期と、画像プロセッサ部520がモニタ140に画像を表示させる周期との同期を確保することができる。また、これにより、電子内視鏡装置5は、「追い越し」や「コマ落ち」といった現象を抑えることができる。なお、ここでは説明を簡単にするために、撮像素子のデータ(RAW)に対する補正処理や、色変換処理、フィルタ処理などの一般的な画像処理を施すタイミング制御については省略して記載してある。
【0110】
また、第2の実施形態における画像プロセッサ部220の構成を、第4の実施形態における画像プロセッサ部420と同様に、表示タイミング調整部124の代わりに同期化フレームメモリ424を備える構成としてもよい。図6は、第2の実施形態における電子内視鏡装置2の変形例である電子内視鏡装置6の構成を示したブロック図である。図示する例では、電子内視鏡装置6は、スコープ先端部210と、画像プロセッサ部620と、スコープケーブル部130と、モニタ140とを備える。画像プロセッサ部620は、第2逓倍分周回路121と、SSG122と、データ受信回路123と、同期化フレームメモリ424と、画像処理回路125とを備える。
【0111】
同期化フレームメモリ424とSSG122との構成は、第4の実施形態における各部の構成と同様である。また、スコープ先端部210から送信される撮像垂直同期信号は、同期化フレームメモリ424に対して入力される。なお、電子内視鏡装置6が備える他の構成は、電子内視鏡装置2が備える構成と同様である。
【0112】
この構成により、スコープ先端部210のクロック発振器111は源発振クロックを出力する。また、第1逓倍分周回路112は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して撮像クロックと伝送クロックとを生成する。また、伝送クロックは、画像プロセッサ部620の第2逓倍分周回路121に対して送信される。また、TG213は撮像垂直同期信号を撮像クロックから生成する。また、撮像垂直同期信号は、画像プロセッサ部620の同期化フレームメモリ424に対して送信される。また、撮像素子114は、撮像クロックで動作し、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像し、画像データを出力する。
【0113】
一方、画像プロセッサ部620の第2逓倍分周回路121は、スコープ先端部210から送信された伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して表示クロックを生成する。また、SSG122は、表示クロックから表示垂直同期信号を生成する。また、画像処理回路125は、SSG122が生成した表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させる。
【0114】
これにより、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号とは、スコープ先端部210で生成した源発振クロックを元に生成されている。従って、撮像と表示とで1フレーム周期を完全にあわせることができる。また、撮像素子114は、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像し、画像処理回路125は、表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させることができるため、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号との周期を一致させることで、電子内視鏡装置6は、撮像と表示との同期を確保することができる。
【0115】
従って、電子内視鏡装置6は、撮像素子114の処理が高速化した場合においても、スコープ先端部210が画像を撮像する周期と、画像プロセッサ部620がモニタ140に画像を表示させる周期との同期を確保することができる。また、これにより、電子内視鏡装置6は、「追い越し」や「コマ落ち」といった現象を抑えることができる。なお、ここでは説明を簡単にするために、撮像素子のデータ(RAW)に対する補正処理や、色変換処理、フィルタ処理などの一般的な画像処理を施すタイミング制御については省略して記載してある。
【0116】
なお、本実施形態においては、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号を同一の周期に設定しても、位相を一定の関係に保つ仕組みを有していない。従って、画像を撮像してから画像を表示するまでの遅延時間は、電源投入のタイミングやスコープの交換タイミングによって変わってしまう。しかし、電子内視鏡装置6は、表示垂直同期信号を定常的に出力動作し続けるため、動作中にスコープ先端部210を交換しても、画像の撮像とモニタ140への表示との同期が乱れる事は無い。
【0117】
また、図6に示した電子内視鏡装置6の画像プロセッサ部620が、位相比較器と、表示クロック発振器と、第3逓倍分周回路とを備える構成としてもよい。図7は、電子内視鏡装置6の変形例である電子内視鏡装置7の構成を示したブロック図である。図示する例では、電子内視鏡装置7は、スコープ先端部210と、画像プロセッサ部720と、スコープケーブル部130と、モニタ140とを備える。画像プロセッサ部720は、第2逓倍分周回路121と、SSG122と、データ受信回路123と、同期化フレームメモリ424と、画像処理回路125と、表示クロック発振器701と、位相比較器702と、第3逓倍分周回路703とを備える。
【0118】
表示クロック発振器701は、例えば水晶などの振動子であり、クロックを生成する。位相比較器702には、スコープ先端部210から送信される撮像垂直同期信号が入力される。位相比較器702は、入力された撮像垂直同期信号の位相と、表示クロック発振器701が出力するクロックの位相とを比較する。そして、位相比較器702は、表示クロック発振器701が出力したクロックの位相と、撮像垂直同期信号の位相とが一致するように、表示クロック発振器701の発振を制御する。すなわち、位相比較器702は、表示クロック発振器701が出力する撮像クロックの周波数を制御する。
【0119】
第3逓倍分周回路703は、表示クロック発振器701が出力するクロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して、スコープ先端部310から送信される画像信号に基づいた画像をモニタ140に表示するために必要な周波数の表示クロックを生成し、SSG122と、同期化フレームメモリ424と、画像処理回路125とに対して出力する。なお、電子内視鏡装置7が備える他の構成は、電子内視鏡装置6が備える構成と同様である。
【0120】
この構成により、スコープ先端部210のクロック発振器111は源発振クロックを出力する。また、第1逓倍分周回路112は、源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して撮像クロックと伝送クロックとを生成する。また、伝送クロックは、画像プロセッサ部720の第2逓倍分周回路121に対して送信される。また、TG213は撮像垂直同期信号を撮像クロックから生成する。また、撮像垂直同期信号は、画像プロセッサ部720の同期化フレームメモリ424に対して送信される。また、撮像素子114は、撮像クロックで動作し、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像し、画像データを出力する。
【0121】
一方、画像プロセッサ部720の表示クロック発振器701は、位相比較器702の制御により、撮像垂直同期信号の位相と一致する位相のクロックを出力する。また、第3逓倍分周回路703は、表示クロック発振器701が出力するクロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して表示クロックを生成する。また、SSG122は、第3逓倍分周回路703が生成した表示クロックから表示垂直同期信号を生成する。また、画像処理回路125は、SSG122が生成した表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させる。
【0122】
これにより、表示クロック発振器701が出力するクロックは、撮像垂直同期信号と位相とが一致している。また、撮像垂直同期信号は、表示クロック発振器701が出力するクロックを元に生成している。従って、撮像と表示とで1フレーム周期を完全にあわせることができる。また、撮像素子114は、撮像垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像を撮像し、画像処理回路125は、表示垂直同期信号に基づいたタイミングで1フレームの画像をモニタ140に表示させることができるため、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号との周期を一致させることで、電子内視鏡装置7は、撮像と表示との同期を確保することができる。
【0123】
従って、電子内視鏡装置7は、撮像素子114の処理が高速化した場合においても、スコープ先端部210が画像を撮像する周期と、画像プロセッサ部720がモニタ140に画像を表示させる周期との同期を確保することができる。また、これにより、電子内視鏡装置7は、「追い越し」や「コマ落ち」といった現象を抑えることができる。なお、ここでは説明を簡単にするために、撮像素子のデータ(RAW)に対する補正処理や、色変換処理、フィルタ処理などの一般的な画像処理を施すタイミング制御については省略して記載してある。
【0124】
なお、この構成においては、撮像垂直同期信号と表示垂直同期信号を同一の周期に設定しても、位相を一定の関係に保つ仕組みを有していない。従って、画像を撮像してから画像を表示するまでの遅延時間は、電源投入のタイミングやスコープの交換タイミングによって変わってしまう。しかし、電子内視鏡装置7は、表示垂直同期信号を定常的に出力動作し続けるため、動作中にスコープ先端部210を交換しても、画像の撮像とモニタ140への表示との同期が乱れる事は無い。さらに、この構成では、スコープ先端部210と画像プロセッサ部720とがそれぞれクロック発振器111と表示クロック発振器701とを備えているため、スコープ先端部210と画像プロセッサ部720とを分離した場合においても、画像プロセッサ部720はモニタ140に画像を表示させ続けることができるなど、それぞれ動作を継続することができる。
【符号の説明】
【0125】
1,2,3,4,5,6,7・・・電子内視鏡装置、110,210,310,410・・・スコープ先端部、111,311・・・クロック発振器、112,321・・・第1逓倍分周回路、113,213・・・TG、114・・・撮像素子、115・・・データ送信回路、120,220,320,420,520,620,720・・・画像プロセッサ部、121,312・・・第2逓倍分周回路、122,222・・・SSG、123・・・データ受信回路、124・・・表示タイミング調整回路、125・・・画像処理回路、130・・・スコープケーブル部、140・・・モニタ、415・・・データ重畳送信回路、423・・・データ受信分離回路、424・・・同期化フレームメモリ、701・・・表示クロック発振器、702・・・位相比較器、703・・・第3逓倍分周回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スコープ先端部に設置され、撮像クロックに基づいて画像を撮像する撮像素子と、
前記撮像素子が撮像した前記画像の画像処理を行い、表示クロックに基づいて当該画像をモニタに表示させる画像プロセッサ部と、
前記スコープ先端部と前記画像プロセッサ部との間のデータの転送を行うスコープケーブル部と、
源発振クロックを生成するクロック発振器と、
前記源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周し、前記撮像クロックの周波数よりも低い周波数かつ前記垂直同期信号の周波数の自然数倍の周波数である伝送クロックを生成する逓倍分周回路と、
を備えることを特徴とする電子内視鏡装置。
【請求項2】
前記伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して必要な周波数を生成する第2の逓倍分周回路を備え、
前記撮像クロックまたは前記表示クロックは、前記源発振クロックから生成される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡装置。
【請求項3】
前記クロック発振器は前記スコープ先端部に設置され、
前記逓倍分周回路は前記スコープ先端部に設置され、前記撮像クロックと前記伝送クロックとを生成し、
前記第2の逓倍分周回路は前記画像プロセッサ部に設置され、前記表示クロックを生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の電子内視鏡装置。
【請求項4】
前記逓倍分周回路は、前記源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して前記撮像クロックを生成し、
前記第2の逓倍分周回路は、前記伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して前記表示クロックを生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の電子内視鏡装置。
【請求項5】
前記表示クロックから前記画像の表示用の表示垂直同期信号を生成する表示同期信号生成部を備え、
前記スコープケーブル部は、前記伝送クロックと前記表示垂直同期信号とを前記画像プロセッサ部から前記スコープ先端部に伝送する
ことを特徴とする請求項3に記載の電子内視鏡装置。
【請求項6】
前記表示垂直同期信号の生成タイミングより、前記スコープケーブル部の伝送遅延時間と前記画像プロセッサ部での処理時間とを合わせた時間以上先行して、前記撮像クロックから前記画像の撮像用の撮像垂直同期信号を生成する撮像同期信号生成部
を備えることを特徴とする請求項5に記載の電子内視鏡装置。
【請求項7】
前記撮像クロックから前記画像の撮像用の撮像垂直同期信号を生成する撮像同期信号生成部を備え、
前記スコープケーブル部は、前記伝送クロックと前記撮像垂直同期信号とを前記スコープ先端部から前記画像プロセッサ部に伝送する
ことを特徴とする請求項3に記載の電子内視鏡装置。
【請求項8】
前記撮像垂直同期信号の生成タイミングより、前記スコープケーブル部の伝送遅延時間と前記画像プロセッサ部での処理時間とを合わせた時間以上遅らせて、前記表示クロックから前記画像の表示用の表示垂直同期信号を生成する表示同期信号生成部
を備えることを特徴とする請求項7に記載の電子内視鏡装置。
【請求項9】
前記クロック発振器は前記画像プロセッサ部に設置され、
前記逓倍分周回路は前記画像プロセッサ部に設置され、前記表示クロックと前記伝送クロックとを生成し、
前記第2の逓倍分周回路は前記スコープ先端部に設置され、前記撮像クロックを生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の電子内視鏡装置。
【請求項10】
前記逓倍分周回路は、前記源発振クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して前記表示クロックを生成し、
前記第2の逓倍分周回路は、前記伝送クロックを(自然数/自然数)倍に逓倍および/または分周して前記撮像クロックを生成する
ことを特徴とする請求項9に記載の電子内視鏡装置。
【請求項11】
前記表示クロックから前記画像の表示用の表示垂直同期信号を生成する表示同期信号生成部を備え、
前記スコープケーブル部は、前記伝送クロックと前記表示垂直同期信号とを前記画像プロセッサ部から前記スコープ先端部に伝送する
ことを特徴とする請求項9に記載の電子内視鏡装置。
【請求項12】
前記表示垂直同期信号の生成タイミングより、前記スコープケーブル部の伝送遅延時間と前記画像プロセッサ部での処理時間とを合わせた時間以上先行して、前記撮像クロックから前記画像の撮像用の撮像垂直同期信号を生成する撮像同期信号生成部
を備えることを特徴とする請求項11に記載の電子内視鏡装置。
【請求項13】
前記撮像クロックから前記画像の撮像用の撮像垂直同期信号を生成する撮像同期信号生成部を備え、
前記スコープケーブル部は、前記伝送クロックと前記撮像垂直同期信号とを前記スコープ先端部から前記画像プロセッサ部に伝送する
ことを特徴とする請求項9に記載の電子内視鏡装置。
【請求項14】
前記撮像垂直同期信号の生成タイミングより、前記スコープケーブル部の伝送遅延時間と前記画像プロセッサ部での処理時間とを合わせた時間以上遅らせて、前記表示クロックから前記画像の表示用の表示垂直同期信号を生成する表示同期信号生成部
を備えることを特徴とする請求項13に記載の電子内視鏡装置。
【請求項15】
前記撮像垂直同期信号と前記表示垂直同期信号とは同一周波数となるように生成する
ことを特徴とする請求項7または請求項13に記載の電子内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−452(P2013−452A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136409(P2011−136409)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】