説明

電子写真感光体、その製造方法および電子写真装置

【課題】環境条件の変動による感光体の表面帯電位の変動を抑制し、画像品質への影響を少なくして、より安定した画像品質が得られる電子写真感光体、その製造方法およびそれを搭載した電子写真装置の提供。
【解決手段】導電性基体上に浸漬塗布法による下引き層と感光層とをこの順に備える電子写真感光体において、下引き層が少なくとも顔料と結着樹脂とを含有し、顔料成分と樹脂成分の合計重量に対する顔料成分の重量比率が40重量%以上75重量%未満であって、かつ、下引き層表面の樹脂偏析層の膜厚が25nm以下である電子写真感光体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体(以下、単に感光体と略すこともある)、その製造方法および電子写真装置に関し、特に、低温低湿環境、高温高湿環境などにおける画像品質を改良した電子写真感光体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した画像形成方法はオフィス用複写機、プリンター、プロッターおよびこれらの機能を複合させたディジタル画像複合機などのほか、近年、個人向けの小型プリンター、ファクス送受信機などの電子写真装置にも広く適用されている。これらの電子写真装置に搭載される電子写真感光体としては、カールソンの発明(特許文献1)以来、多くの感光体が開発されており、特に最近は有機材料を使用するものが一般的となっている。
【0003】
このような感光体としては、アルミニウムなどの導電性支持体上に陽極酸化皮膜、樹脂膜などの下引き層と、フタロシアニン顔料、アゾ顔料などの光導電性を有する電荷発生剤を含む電荷発生層と、π電子共役系と結合したアミン、ヒドラゾンなどの電荷のホッピング伝導に関与する結合構造を有する分子からなる電荷輸送剤を含む電荷輸送層および保護層等を積層してなる機能分離型感光体が一般的である。また、下引き層上に電荷発生および電荷輸送の機能を併せ持つ単層感光層と、必要に応じてさらに保護層を積層してなる単層型感光体も知られている。
【0004】
前記各層の形成方法としては、電荷発生や光散乱などの機能を有する前記電荷発生剤や電荷輸送の役割を担う前記電荷輸送剤を、それぞれ別々に、または併せて層形成用樹脂(バインダー樹脂)を溶媒に溶解させた樹脂溶液に溶解または分散させることにより、機能別に調製して得られる感光層用塗料に、導電性支持基体を浸漬して必要な感光層を塗布形成する方法が量産性に優れるため一般的である。
【0005】
近年の電子写真装置は、発振波長が450〜780nm程度の半導体レーザーあるいは発光ダイオードを露光用光源として用いて画像および文字などのディジタル信号を光信号に変換し、表面帯電させた感光体上に照射することによって感光体表面に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーによって可視化(現像)する所謂反転現像プロセスが主流である。
【0006】
前記フタロシアニン顔料は他の電荷発生剤と比較して、特に半導体レーザーの発振波長領域での吸光度が大きくかつ優れた電荷発生能力を有するため、感光層用の電荷発生剤として広く検討されてきている。実際に電荷発生能力に関して優れた特性を示すフタロシアニン顔料に関する報告も多い。そのようなフタロシアニン顔料として、たとえば、中心金属として銅、アルミニウム、インジウム、バナジウム、チタニウムなどを有する各種金属フタロシアニン等が知られている。
【0007】
感光体表面を帯電させる方法としては、スコロトロン部材から感光体表面へのコロナ放電などのように、帯電部材と感光体とが非接触である帯電方式と、導電性ゴムローラーや導電性繊維からなるブラシなどを用いる場合のように、帯電部材と感光体とを接触させる帯電方式とがある。後者の接触帯電方式は、前者の非接触帯電方式と比較して大気中での放電距離が短いために、オゾンの発生が少なく、電源電圧も低いのでコンパクトにでき、また、放電によって生じる帯電部材への汚れの沈着がほとんどないことにより、メンテナンスフリーであって、しかも感光体の表面帯電位の均一性が比較的容易に得られること等を特長としている。従って、前記反転現像方式と前記接触帯電方式とを合わせれば、コンパクトで低コスト、低環境汚染の電子写真装置の実現が比較的容易なため、特に中型〜小型装置ではこの方式が主流となっている。
【0008】
ところで、上記した反転現像プロセスにおいては、暗部電位が画像上の白地に対応し、明部電位が黒地に対応するため、導電性基体上に著しい凹凸などの構造上の欠陥、あるい
は不純物の析出などの材質の不均一性に関与する欠陥などが存在すると、これらが白地上の黒点、地かぶりなどの画像欠陥となって現れ易いという問題がある。
【0009】
このような反転現像プロセスにおける問題を改善するために、導電性基体と感光層との間に下引き層を設けることが一般的に行われている。下引き層としては、一般にアルミニウムの陽極酸化皮膜、ベーマイト皮膜のような無機膜の他、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリウレタン、ポリアミドなどの樹脂膜が用いられている。これらの樹脂膜には、さらに、基体からの過剰な露光光の反射を抑制することにより干渉縞による画像不具合を防止したり、下引き層の電気抵抗値を適正に調整するなどの目的で、酸化チタンや酸化亜鉛などの顔料粒子(金属酸化物粒子)を含有させることが好ましい。
【0010】
白地上の黒点、地かぶりなどの画像欠陥を引き起こすもう一つの要因としては、下引き層中および感光層塗布液中の顔料粒子の不均一さ、即ち、顔料粒子の粉砕や分散が不充分であることにより生じる粗大な一次粒子や、微細な一次粒子が過度に凝集して形成される二次粒子がある。こうした粗大な粒子が塗布液中に存在すると、これらが塗布の際、膜中にも取りこまれて電荷の経路となり、感光層表面への電荷の微小リークが生じ、下地である導電性基体表面の凹凸欠陥によるものと同様の画像障害を引き起こす。このような下引き層に含有される顔料粒子に起因する画像障害等の問題点は、下引き層中の顔料と樹脂の含有比率に関係することも多く、この含有比率を特定することにより、前記画像障害等の問題点を抑制することに関する発明も多く知られている(特許文献2〜7)。
【特許文献1】米国特許第2297691号明細書
【特許文献2】特開昭59−93453号公報
【特許文献3】特開昭63−298251号公報
【特許文献4】特開平2−181158号公報
【特許文献5】特開平8−44096号公報
【特許文献6】特開平9−90661号公報
【特許文献7】特開平11−194520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述のように下引き層中の顔料と樹脂の含有比率を特定することにより、下引き層内における顔料分散状態における不均一性に起因して発生する画像障害上の問題点を解消することができて感光体の電気的特性は改善はされるが、その改善の程度は、必ずしも充分とは言えなかった。
【0012】
本発明は、以上説明した下引き層にかかる画像障害上の問題点をさらに別の観点から検討してなされたものであり、本発明の目的は、浸漬塗布法によって導電性基体上に下引き層を介して感光層が積層される層構成を備える電子写真感光体において、環境条件の変動による感光体の表面帯電位の変動を抑制し、画像品質への影響を少なくして、より安定した画像品質が得られる電子写真感光体、その製造方法およびそれを搭載した電子写真装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
特許請求の範囲の請求項1記載の本発明によれば、導電性基体上に浸漬塗布法による下引き層と感光層とをこの順に備える電子写真感光体において、前記下引き層が少なくとも顔料と結着樹脂とを含有し、前記顔料成分と前記樹脂成分の合計重量に対する前記顔料成分の重量比率が40重量%以上75重量%未満であって、かつ、前記下引き層表面の樹脂偏析層の膜厚が25nm以下である電子写真感光体とすることにより、前記目的は達成される。
【0014】
特許請求の範囲の請求項2記載の本発明によれば、樹脂偏析層の膜厚が12nm以下である特許請求の範囲の請求項1記載の電子写真感光体とすることが好ましい。
【0015】
特許請求の範囲の請求項3記載の本発明によれば、感光層が電荷発生層と電荷輸送層とを含む積層感光層または単層感光層である特許請求の範囲の請求項1または2記載の電子写真感光体とすることが望ましい。
【0016】
特許請求の範囲の請求項4記載の本発明によれば、同請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子写真感光体の樹脂偏析層の膜厚をX線光電子分光法の深さ方向分析によって測定する電子写真感光体の樹脂偏析層の膜厚測定方法とすることが好ましい。
【0017】
特許請求の範囲の請求項5記載の本発明によれば、樹脂偏析層の膜厚を、該樹脂偏析層の膜厚測定と同一の測定手法および測定条件によって測定したシリコンウエハ上の酸化膜膜厚に換算して測定する特許請求の範囲の請求項4記載の電子写真感光体の樹脂偏析層の膜厚測定方法とすることが好適である。
【0018】
特許請求の範囲の請求項6記載の本発明によれば、同請求項4または5記載の膜厚測定方法により樹脂偏析層の膜厚を測定することにより、樹脂偏析層の膜厚を25nm以下に管理する電子写真感光体の製造方法とすることが望ましい。
【0019】
特許請求の範囲の請求項7記載の本発明によれば、同請求項4または5記載の膜厚測定方法により樹脂偏析層の膜厚を測定することにより、樹脂偏析層の膜厚を25nm以下になるように、少なくとも浸漬塗布終了から乾燥開始までのワーク待機時間と、塗布装置が設置されているクリーンブース内の作業環境温度とのいずれかまたは両方を管理する電子写真感光体の製造方法とすることが望ましい。
【0020】
特許請求の範囲の請求項8記載の本発明によれば、同請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子写真感光体を搭載する電子写真装置とすることができる。
【0021】
導電性基体上に形成された積層感光層を備える電子写真感光体の電気特性は、電荷発生層において発生したキャリア対(電子正孔対)が他層を経由して感光層表面および導電性基体へそれぞれ効率よく移動できることにより良し悪しが決まる側面を有しているので、積層感光層の各層間の界面における、異なる層に属する顔料同士の接触状態により強い影響を受ける。特に、キャリアの注入特性に大きい影響を及ぼすと思われる。この点に関して、浸漬塗布法によって形成される下引き層塗布膜について、本発明者らが、前述の異なる層に属する顔料同士の接触状態について、鋭意検討したところ、顔料を含む塗布液面から基体を引上げた直後の塗布膜面近傍では未乾燥状態のため、塗布膜内で塗布液の対流が生じ、その結果、前記塗布膜表面が、顔料成分の少なく導電性の小さい樹脂偏析層により一様に覆われることが分かった。しかもこの樹脂偏析層の厚さによって、前記電気特性が影響を強く受けることを見つけた。このことは、前述の、異なる層に属する顔料同士の接触状態が、特にキャリアの注入特性に大きい影響を及ぼすという推測の正しいことを裏付けていると思われる。その結果、前記樹脂偏析層の厚さと電気特性との関係を後述のように詳しく調べ、さまざまな環境においても良好な画像品質を得るには、少なくとも特に低温低湿環境においても良好なキャリアの注入特性を示すように、前記本発明にかかる前記樹脂偏析層の膜厚を25nm以下にする必要があることを見つけ出したのである。以下、本発明において説明する前記樹脂偏析層の膜厚とは、特に断わらない限り、シリコンウエハ上に形成されたシリコン酸化膜膜厚に対する換算膜厚とする。
【0022】
さらに本発明によれば、前記樹脂偏析層膜厚を25nm以下に保つためには、乾燥後の下引き層中に含まれる顔料比率が全固形分に対して40重量%(以下、重量%はwt%と略す)以上であることが少なくとも必要である。前記樹脂偏析層膜厚が下引き層中の顔料比率40wt%以上において特に薄く、好ましい電気特性の感光体が得られることの理由は必ずしも明らかではないが、塗布液中での顔料比率が高い方が塗布液中で対流が生じた場合であっても顔料の分布が均一であり、導電性基体に塗料が付着する際も顔料分布が均一な塗布膜が得られる結果であると推察される。
【0023】
これまでにも前記特許文献2〜7などによって下引き層中の樹脂と顔料との比率に言及した発明は多く公開されているが、いずれの文献にも下引き層表面に析出した樹脂偏析層の膜厚と感光体の電気特性あるいは画像特性との関係を示す記載および示唆する記述は見当たらない。
【0024】
一方、塗布液における顔料粒子の長期分散安定性を確保する観点、特に低温低湿環境において発生し易く、顔料の凝集物への電界集中から生じる微小リークによるものと推定される白紙上の地かぶりの防止および乾燥後の膜の強度を十分に保つという観点からは、前記下引き層中の顔料比率が高すぎることは好ましくなく、75wt%未満とすることが必要である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、浸漬塗布法によって導電性基体上に下引き層を介して感光層が積層される層構成を備える電子写真感光体において、環境条件の変動による感光体の表面帯電位の変動を抑制し、画像品質への影響を少なくして、より安定した画像品質が得られる電子写真感光体、その製造方法およびそれを搭載した電子写真装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の電子写真感光体、その製造方法および電子写真装置にかかる実施例について詳細に説明する。さらに、本発明にかかる樹脂偏析層の膜厚の測定方法についても説明する。本発明は、以下説明する実施の形態に限定されるものではない。
【0027】
導電性基体としては、各種金属、たとえば円筒状アルミニウムや導電性プラスチック製フィルムなどを用いることができる。ガラスやアクリル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどの成型体、シート材などに導電性電極を付与したものも用いることができる。
【0028】
下引き層としては、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ナイロン、メラミン、セルロースなどの絶縁性高分子またはポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリアニリンなどの導電性高分子等の結着樹脂に、二酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物顔料粒子を含有せしめたものを用いることができる。塗布、乾燥後の下引き層において、顔料比率が全固形分重量に対して40wt%以上75wt%未満となるように、塗布液中での金属酸化物顔料粒子と結着樹脂との比率を調整することが望ましい。下引き層形成用塗布液における顔料の分散安定性の観点からは、とりわけ好ましい下引き層の組成は顔料比率40wt%以上70wt%以下である。以上述べた組成物を適宜配合して塗布液を作成し、さらに媒体攪拌ミル、ペイントシェーカーなどの分散処理装置を用いて塗布液を処理することにより、顔料粒子の粒径を所望の大きさに調整し、塗工に用いる。
【0029】
電荷発生層としては、光導電性物質としての各種有機顔料を樹脂バインダーと共に用いることができる。特に種々の結晶形態を有する無金属フタロシアニンおよび中心金属として銅、アルミニウム、インジウム、バナジウム、チタニウムなどを有する各種フタロシアニン、各種ビスアゾ、トリスアゾ顔料が好適である。これらの有機顔料は粒子径50〜800nm、好ましくは150〜300nmに調整され、樹脂バインダー中に分散された状態で用いられる。電荷発生層の性能は樹脂バインダーによっても影響を受ける。このような樹脂バインダーとしては各種のポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂などのなかから適切なものを選択することができる。電荷発生層の膜厚としては0.1〜5μm、好ましくは0.2〜0.5μmが好適である。
【0030】
良好な有機顔料の分散状態と均一な電荷発生層を形成するためには塗布液溶媒の選択も重要である。良好な電荷発生機能を得るには、塩化メチレン、1,2−ジクロルエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフランなどエーテル系炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、エチルセロソルブなどのエステル類などを用いることができる。塗布、乾燥後の電荷発生層において、結着樹脂比率が30重量%から70重量%となるように、塗布液中での電荷発生剤(有機顔料)と結着樹脂比率を調整することが望ましい。以上述べた組成物を適宜配合して塗布液を作成し、さらに媒体攪拌ミル、ペイントシェーカーなどの分散処理装置を用いて前記塗布液を処理することにより、有機顔料粒子の粒径を所望の大きさに調整し、塗工に用いる。
【0031】
電荷輸送層は電荷輸送剤単体または、電荷輸送剤を結着樹脂と共に適切な溶媒に溶解させた塗布液を作成し、これを浸漬法、アプリケーターによる方法等を用いて電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成する。電荷輸送剤は複写機、プリンター、ファクス送受信機などにおける感光体の帯電方式に応じて適宜正孔輸送性を有する物質または電子輸送性を有する物質を用いる。これらの物質は公知の物質(例えば、Borsenberger,P.M.and Weiss D.S. eds.“Organic Photoreceptors for Imaging Systems”Marcel Dekker Inc.1993の中に例示されている)の中から適切なものを選んで用いることができる。正孔輸送材としては各種ヒドラゾン、スチリル、ジアミン、ブタジエン、インドール化合物あるいはこれらの混合物、電子輸送材としては各種ベンゾキノン誘導体、フェナントレンキノン誘導体、スチルベンキノン誘導体、アゾキノン誘導体がある。
【0032】
電荷輸送材とともに電荷輸送層を形成する結着樹脂としては、膜強度、耐摩耗性の観点から、ポリカーボネート系高分子材料が広く用いられている。これらのポリカーボネート系高分子材料としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールC型、ビスフェノールZ型などがあり、また、これらを構成するモノマー単位を含む共重合体を用いてもよい。かかるポリカーボネート高分子の最適分子量範囲は10000〜100000である。この他には、ポリエチレン、ポリフェニレンエーテル、アクリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、セルロース樹脂およびこれらの共重合体を用いることもできる。電荷輸送層の膜厚は感光体の帯電特性、耐摩耗性などを考慮すれば、3〜50μmの範囲となるよう形成することが好ましい。また、表面の平滑性を得るため、シリコーンオイルを適宜添加してもよい。必要に応じて電荷輸送層上に表面保護層を設けてもよい。このようにして、本発明にかかる電子写真感光体が作成できる。さらに、この本発明にかかる電子写真感光体をプリンタ等の電子写真装置に搭載することにより、本発明の電子写真装置とすることもできる。
【0033】
本発明における下引き層上の樹脂偏析層膜厚の測定は次のように行う。下引き層を基体に塗布後、乾燥したものを適当な大きさに切断し、市販のX線光電子分光装置、たとえば島津製作所製ESCA−1000や英VG Scientific社製ESCA Lab−5などの予備排気室に導入する。その際、必要であれば試料表面と試料台との間の導通を金属箔などを用いて確保する。予備排気室を十分に排気し、試料からの残留溶剤など揮発成分を取り除いた後、分析室に導入する。次いでMgKα線を用いて表面のwide scanを行い、C1sの位置を概略確認した後にその近傍でnarrow scanを行い、C1sの光電子放出強度を得る。X線源の加速電圧としては10kV、エミッション電流としては20mA程度が適切である。
【0034】
次に適当な時間間隔で、希ガスによるエッチングとnarrow scanによるスペクトル採取を繰り返す。エッチングに用いるガスとしては、Ar、Kr、Xeなどの希ガスが適当であり、このいずれかを加速電圧2kV、エミッション電流20mA程度でサンプル表面に放射し、スパッタエッチングを行う。試料表面におけるX線スポット径が直径1mm程度であるとすると、エッチング領域としては深さ方向分解能を確保するために直径2〜3mm以上を確保することが好ましい。このようなエッチング範囲の調整は、放射されるイオン線に対して、偏向電場を印加するなどしてイオン線の広がりを調整したり、適当な領域を走査させたりすることによって行われる。エッチングに要する時間のみの合計として少なくとも1000秒以上の間欠エッチングを行い、この間のnarrow scanスペクトルを収集する。これらのスペクトルから、C1s光電子強度の深さ方向への変化をエッチング時間またはエッチングした膜厚に対してプロットしたデータを得る。このようなプロットを、着目している元素の深さ方向プロファイルと呼ぶことにする。また、深さ方向の元素分布分解能2nm以下を確保するためには、X線光電子分光法と希ガスイオンビームによる試料表面のエッチングを伴う深さ方向分析が必須である。イオンビームによるエッチングを行う際には、エッチングによって生じる新たな表面の平坦性を確保し、深さ方向分解能を向上させるために試料を適当な回転数で回転させても良い。
【0035】
なお、エッチング前のC1sスペクトルと、エッチング後のC1sスペクトルとで、スペクトルの形状が著しく異なる場合、エッチング前のスペクトルは、下引き層成膜後に膜表面に吸着したコンタミネーション成分に由来し、樹脂偏析層に由来するものではないと考えられるので、このような異常スペクトルは解析から除外する。
【0036】
このような分析を行った直後または直前に熱酸化などによりシリコンウエハ表面に形成された酸化膜のSi2pおよびO1s光電子放出強度について同様の深さ方向分析を行う。分析に用いる酸化膜の膜厚は予めエリプソメトリーなどの方法で調査しておく。
【0037】
該酸化膜の膜厚として、1000Å程度の膜厚があれば、エッチング中にエミッション電流などの揺らぎが起こり、エッチングレートが変動するようなことがあっても、十分に平均化された速度を求めることができる。前記分析にて行ったエッチングと同じ条件で酸化膜表面からエッチングを進めていき、この酸化膜由来のO1sの検出強度が半減するか、あるいは、シリコンウエハの純粋なSi2pの深さ方向強度プロファイルと前記酸化膜に由来するO1sの深さ方向プロファイルが交差する点までの時間を計測し、酸化膜厚とエッチング所要時間との関係を、前記エッチング条件でのエッチング速度と定義する。確認のため、エッチングによって酸化膜に生じた孔の深さを精密な表面粗さ計や原子間力顕微鏡などで計測しておくことが好ましい。
【0038】
このエッチング速度を用いて、前記分析にて横軸にとったエッチング時間をシリコン酸化膜換算膜厚に換算する。このような方法で求めた換算膜厚を用いる理由は、下引き層が通常数μm以上のオーダーで成膜されるため、シリコン酸化膜のエッチングレート測定方法をそのまま適用するには測定時間がかかりすぎることと、感光体に用いる導電性基体の表面は通常粗面化加工されており、SiO2/Si界面のようなエッチング終点を示す明確な界面が得られないからである。
【0039】
さらには、スパッタエッチングによって下引き層表面に生じた孔の深さの実測値からスパッタ速度を求めようとする場合でも、下引き層に用いられる樹脂と顔料の希ガスイオンに対するスパッタ効率が異なるため、スパッタエッチングによって生じた孔の底面にも凹凸を生じてしまい、孔の深さの計測を困難にしている。
【0040】
以下、本発明にかかる電子写真感光体であって、導電性基体上に下引き層とその上に積層される電荷発生層と電荷輸送層からなる感光層を積層する場合について、下引き層中の全固形分重量に対する顔料粒子の重量比率を種々変えた場合の各種感光体を作成し、それぞれの下引き層における前述の樹脂偏析層膜厚をシリコン酸化膜換算にて測定し、さらにこれらの感光体を低温低湿環境でプリンターに搭載し、画像を採取して画像の濃度変化と地かぶりについて評価した。
【0041】
(実験例1)
パラ−ビニルフェノール樹脂(丸善石油化学製マルカリンカーMH−2(登録商標))0.30kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン2020(登録商標))0.30kgをテトラヒドロフラン7.5kg、ブタノール1.5kgからなる混合溶媒に溶解させた後、アナターゼ型酸化チタン微粒子(富士チタン工業株式会社TAF−500T)0.4kgを加え、ディゾルバーにて少なくとも30分攪拌し、均一なスラリーとした。
【0042】
このスラリーを、原料循環用リザーバータンクおよび出力3kWのローター駆動用モーターを具備し、ビーズ径0.8μmのジルコニアビーズをベッセル容量に対して嵩充填率90v/v%で充填したアニュラータイプのビーズミルを用いて、処理液流量800ml/分、ローター駆動用モーターのネット負荷を1.5kWとして処理開始からの積算投入電力が10kWhとなるまで原料循環用リザーバータンクとビーズミルとの間で循環処理を行った。
【0043】
ビーズミルと原料循環用リザーバータンクは処理液のミル出口における温度が20℃以下となるよう強制冷却された。ここで、ローター駆動用モーターのネット負荷とは、モーターの空転時の負荷を実液処理時の負荷から差し引いた電力である。ビーズミル処理済みのスラリーを有効孔径10μmのフィルターにて濾過し、下引き層塗布液とした。
【0044】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布液温度は15℃、塗布装置が設置されているクリーンブース内の作業環境温度を25℃に制御した。浸漬塗布終了から乾燥開始までのワーク待機時間は30秒であった。乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥することによって得られた下引き層の乾燥後膜厚は5μmであった。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて25.0nmであった。
【0045】
分析条件は次の通りとした。X線源として、MgKα線を用い、線源の加速電圧は10kV、エミッション電流は20mAとした。エッチング用のイオン源としてArガスを用い、これを加速電圧2kV、エミッション電流20mAにてサンプル表面に照射した。光電子スペクトルの測定と、10秒間のArイオンの放出とを交互に行い、光電子スペクトルの取りこみ中はArイオンの取りこみは行わないこととした。なお、エッチングの進行に伴ってC1s光電子強度が連続的に減少していく傾向がある試料最表面近傍ほど深さ方向分解能が必要でない、C1s光電子強度がほぼ一定となる深さ領域においては、180秒程度までArイオンエッチング時間を延長しても良い。
【0046】
前記Arイオンエッチング条件によるエッチング速度を次のように見積もり、エッチング時間を膜厚に換算することとした。Si<111>面に熱酸化によって形成され、予めエリプソメトリーにより膜厚が1000Åであることが確認されたSiO2膜について、前記X線光電子分析条件およびエッチング条件にて、下引き層試料と同様の深さ方向分析を行った。エッチングはSiO2に含まれる酸素の1s軌道に由来する光電子(O1s光電子)がほぼ検出されなくなるまで行い、エッチング速度の計算に用いるエッチング時間としては、エッチング開始から前記O1s光電子検出強度が膜中の平均的な強度に対して半減するまでの時間をとった。前記酸化膜膜厚(1000Å)を前記O1s光電子強度を半減させるのに要したエッチング時間で除した値を前記エッチング条件でのエッチング速度として定義した。以下、本実施例における樹脂偏析層膜厚は、以下に述べる定義および前記エッチング速度を用いてArイオンによるエッチング時間から換算されたものである。
【0047】
前記樹脂偏析層膜厚の算出は以下のように行った。試料の最表面における炭素1s軌道より放出される光電子(C1s光電子)の強度、即ち、単位時間あたりにX線光電子分光装置の検出器において検出される電子の個数を計測し、これをICmaxとした。次に、試料表面のエッチングを、前記シリコンウエハ上の酸化膜換算膜厚にて少なくとも50nm以上の深さにわたって行うと、前記C1s光電子検出強度がほぼ一定値を取る深さ領域が現われる。このような深さ領域において、試料の深さ方向に少なくとも3点以上の異なる深さでのC1s光電子強度を計測してこれらの平均値を求め、ICavとした。次に強度ICdを下記数式(1)を用いて算出し、C1s光電子検出強度(単位:counts/s,cpsと略称されることもある)を縦軸に、エッチング深さ(単位:nm)を横軸にとったグラフ、即ち、C1sの深さ方向プロファイル上で、ICdを与えるエッチング深さを樹脂偏析層膜厚として定義した。
【0048】
【数1】

【0049】
(実験例2)
固形分の配合を、次のように変更する以外は、実験例1と同様にして下引き層塗布液を作成した。パラ−ビニルフェノール樹脂(丸善石油化学製マルカリンカーMH−2(登録商標))0.225kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン2020(登録商標))0.225kg、アナターゼ型酸化チタン微粒子(富士チタン工業株式会社TAF−500T)0.55kg。
【0050】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例1と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて12.0nmであった。
【0051】
(実験例3)
固形分の配合を、次のように変更する以外は、実験例1と同様にして下引き層塗布液を作成した。パラ−ビニルフェノール樹脂(丸善石油化学製マルカリンカーMH−2(登録商標))0.15kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン2020(登録商標))0.15kg、アナターゼ型酸化チタン微粒子(富士チタン工業株式会社TAF−500T)0.70kg。
【0052】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例1と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて4.0nmであった。
【0053】
(比較実験例1)
固形分の配合を、次のように変更する以外は、実験例1と同様にして下引き層塗布液を作成した。パラ−ビニルフェノール樹脂(丸善石油化学製マルカリンカーMH−2(登録商標))0.40kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン2020(登録商標))0.40kg、アナターゼ型酸化チタン微粒子(富士チタン工業株式会社TAF−500T)0.20kg。
【0054】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例1と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて35.0nmであった。
【0055】
(比較実験例2)
固形分の配合を、次のように変更する以外は、実験例1と同様にして下引き層塗布液を作成した。パラ−ビニルフェノール樹脂(丸善石油化学製マルカリンカーMH−2(登録商標))0.35kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン2020(登録商標))0.35kg、アナターゼ型酸化チタン微粒子(富士チタン工業株式会社TAF−500T)0.30kg。
【0056】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例1と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて28.0nmであった。
【0057】
(比較実験例3)
固形分の配合を、次のように変更する以外は、実験例1と同様にして下引き層塗布液を作成した。パラ−ビニルフェノール樹脂(丸善石油化学製マルカリンカーMH−2(登録商標))0.125kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン2020(登録商標))0.125kg、アナターゼ型酸化チタン微粒子(富士チタン工業株式会社TAF−500T)0.75kg。
【0058】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例1と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて3.5nmであった。
【0059】
(実験例4)
共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社 CM4000)0.30kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン2021)0.30kgをジクロロメタン4.0kg、メタノール3.5kg、ブタノール1.5kgからなる混合溶媒に溶解させた後、アナターゼ型酸化チタン微粒子(富士チタン工業株式会社TAF−500T)0.40kgを加え、ディゾルバーにて少なくとも30分攪拌し、均一なスラリーとした。
【0060】
前記スラリーを原料循環用リザーバータンクおよび出力3kWのローター駆動用モーターを具備し、ビーズ径0.8μmのジルコニアビーズをベッセル容量に対して嵩充填率90v/v%で充填したアニュラータイプのビーズミルを用いて、処理液流量800ml/分、ローター駆動用モーターのネット負荷1.0kWにて処理開始からの積算投入電力が10kWhとなるまで前記原料循環用リザーバータンクとビーズミルとの間で循環処理を行った。
【0061】
ビーズミルと原料循環用リザーバータンクは処理液のミル出口における温度が20℃以下となるよう強制冷却された。ここで、ローター駆動用モーターのネット負荷とは、モーターの空転時の負荷を実液処理時の負荷から差し引いた電力である。
ビーズミル処理済みのスラリーを有効孔径10μmのフィルターにて濾過し、下引き層塗布液とした。
【0062】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥することによって得られた下引き層の乾燥後膜厚は5μmであった。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて23.5nmであった。
【0063】
(実験例5)
固形分の配合を、次のように変更する以外は、実験例4と同様にして下引き層塗布液を作成した。共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社 CM4000)0.225kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン2021)0.225kg、アナターゼ型酸化チタン微粒子(富士チタン工業株式会社TAF−500T)0.55kg。
【0064】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例4と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて9.0nmであった。
【0065】
(実験例6)
固形分の配合を、次のように変更する以外は、実験例4と同様にして下引き層塗布液を作成した。共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社 CM4000)0.15kg、メラミン樹脂(三井化学ユーバン2021)0.15kg、アナターゼ型酸化チタン微粒子(富士チタン工業株式会社TAF−500T)0.70kg。
【0066】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例4と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて2.0nmであった。
【0067】
(比較実験例4)
固形分の配合を、次のように変更する以外は、実験例4と同様にして下引き層塗布液を作成した。共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社 CM4000)0.40kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン2021)0.40kg、アナターゼ型酸化チタン微粒子(富士チタン工業株式会社TAF−500T)0.20kg。
【0068】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例4と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて32.0nmであった。
【0069】
(比較実験例5)
固形分の配合を、次のように変更する以外は、実験例4と同様にして下引き層塗布液を作成した。共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社 CM4000)0.35kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン2021)0.35kg、アナターゼ型酸化チタン微粒子(富士チタン工業株式会社TAF−500T)0.30kg。
【0070】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例4と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて29.0nmであった。
【0071】
(比較実験例6)
固形分の配合を、次のように変更する以外は、実験例4と同様にして下引き層塗布液を作成した。共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社 CM4000)0.125kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン2021)0.125kg、アナターゼ型酸化チタン微粒子(富士チタン工業株式会社TAF−500T)0.75kg。
【0072】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例4と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて1.5nmであった。
【0073】
(実験例7)
共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社 CM8000)0.30kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン20SB)0.30kgをジクロロメタン4.0kg、メタノール3.5kg、ブタノール1.5kgからなる混合溶媒に溶解させた後、ルチル型酸化チタン微粒子(石原産業株式会社TTO−55S)0.40kgを加え、ディゾルバーにて少なくとも30分攪拌し、均一なスラリーとした。
【0074】
前記スラリーを原料循環用リザーバータンクおよび出力3kWのローター駆動用モーターを具備し、ビーズ径0.8μmのジルコニアビーズをベッセル容量に対して嵩充填率90v/v%で充填したアニュラータイプのビーズミルを用いて、処理液流量800ml/分、ローター駆動用モーターのネット負荷1.0kWにて処理開始からの積算投入電力が10kWhとなるまで前記原料循環用リザーバータンクとビーズミルとの間で循環処理を行った。
【0075】
ビーズミルと原料循環用リザーバータンクは処理液のミル出口における温度が20℃以下となるよう強制冷却された。ここで、ローター駆動用モーターのネット負荷とは、モーターの空転時の負荷を実液処理時の負荷から差し引いた電力である。ビーズミル処理済みのスラリーを有効孔径10μmのフィルターにて濾過し、下引き層塗布液とした。このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥することによって得られた下引き層の乾燥後膜厚は5μmであった。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて22.0nmであった。
【0076】
(実験例8)
固形分の配合を次のように変更する以外は、実験例7と同様にして下引き層塗布液を作成した。共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社 CM8000)0.225kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン20SB)0.225kg、ルチル型酸化チタン微粒子(石原産業株式会社TTO−55S)0.55kg。
【0077】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例7と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて7.5nmであった。
【0078】
(実験例9)
固形分の配合を次のように変更する以外は、実験例7と同様にして下引き層塗布液を作成した。共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社 CM8000)0.15kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン20SB)0.15kg、ルチル型酸化チタン微粒子(石原産業株式会社TTO−55S)0.70kg。
【0079】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例7と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて1.5nmであった。
【0080】
(比較実験例7)
固形分の配合を次のように変更する以外は、実験例7と同様にして下引き層塗布液を作成した。共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社 CM8000)0.40kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン20SB)0.40kg、ルチル型酸化チタン微粒子(石原産業株式会社TTO−55S)0.20kg。
【0081】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例7と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて33.0nmであった。
【0082】
(比較実験例8)
固形分の配合を次のように変更する以外は、実験例7と同様にして下引き層塗布液を作成した。共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社 CM8000)0.35kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン20SB)0.35kg、ルチル型酸化チタン微粒子(石原産業株式会社TTO−55S)0.30kg。
【0083】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例7と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて27.0nmであった。
【0084】
(比較実験例9)
固形分の配合を次のように変更する以外は、実験例7と同様にして下引き層塗布液を作成した。共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社 CM8000)0.125kg、メラミン樹脂(三井化学 ユーバン20SB)0.125kg、ルチル型酸化チタン微粒子(石原産業株式会社TTO−55S)0.75kg。
【0085】
このようにして作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。塗布速度を調整し、乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥後に得られる下引き層の膜厚が、実験例7と同じ5μmとなるようにした。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて1.5nmであった。
【0086】
(比較実験例10)
浸漬塗布終了から乾燥開始までのワーク待機時間を30分とするほかは実験例1と同様にして膜厚5μmの下引き層を作成した。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて32.0nmであった。
【0087】
(比較実験例11)
浸漬塗布終了から乾燥開始までのワーク待機時間を30分とするほかは実験例2と同様にして膜厚5μmの下引き層を作成した。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて29.0nmであった。
【0088】
(比較実験例12)
浸漬塗布終了から乾燥開始までのワーク待機時間を30分とするほかは実験例3と同様にして膜厚5μmの下引き層を作成した。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて27.0nmであった。
【0089】
(比較実験例13)
塗布装置が設置されているクリーンブース内の作業環境温度を18℃に制御するほかは実験例1と同様にして膜厚5μmの下引き層を作成した。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて30.0nmであった。
【0090】
(比較実験例14)
塗布装置が設置されているクリーンブース内の作業環境温度を18℃に制御するほかは実験例1と同様にして膜厚5μmの下引き層を作成した。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて28.5nmであった。
【0091】
(比較実験例15)
塗布装置が設置されているクリーンブース内の作業環境温度を18℃に制御するほかは実験例1と同様にして膜厚5μmの下引き層を作成した。この下引き層上の樹脂偏析層膜厚をX線光電子分光法による深さ方向分析によって求めたところ、シリコン酸化膜膜厚換算にて26.5nmであった。
【0092】
(電荷発生層作成例1)
次にポリビニルブチラール樹脂0.05kgをテトラヒドロフラン3.00kgとシクロヘキサノン0.80kgの混合溶媒に溶解し、これにHillerらによって調べられた相IIに属する結晶型を有するチタニルフタロシアニン(W.Hiller et.al. Z.Kristallogr. 159 pp173(1982))0.20kgを加えたスラリーをディゾルバーにて少なくとも30分攪拌し、均一なスラリーとした。
【0093】
前記スラリーを原料循環用リザーバータンクおよび出力3kWのローター駆動用モーターを具備し、ビーズ径0.5μmのジルコニアビーズをベッセル容量に対して95v/v%の嵩充填率で充填したアニュラータイプのビーズミルを用いて、処理液流量600ml/分、ローター駆動用モーターのネット負荷0.25kWにて処理開始からの積算投入電力が2.5kWhとなるまでビーズミルと原料循環用リザーバータンクとの間で循環処理を行い、ミルベースとした。
【0094】
ここで、ローター駆動用モーターのネット負荷とは、モーターの空転時の負荷を実液処理時の負荷から差し引いた電力である。ビーズミルと原料循環用リザーバータンクはミルベースのミル出口における温度が20℃以下となるよう強制冷却された。
【0095】
次に前記ミルベースをテトラヒドロフラン6.00kgとポリビニルブチラール0.50kgとから成る希釈液で希釈した液を再度前記ビーズミルを用いて、処理液流量600ml/分、ローター駆動用モーターのネット負荷0.1kWの条件で1パスだけ処理した。希釈後、ビーズミル1パス処理済みのミルベースを有効孔径10μmのフィルターにて濾過し、電荷発生層塗布液とした。
【実施例】
【0096】
実験例1にて作成した下引き層塗布液を用い、浸漬塗布によって円筒状Al基体上に下引き層を成膜した。乾燥温度150℃、乾燥時間15分の条件で乾燥することによって得られた下引き層の乾燥後膜厚は5μmであった。さらに、電荷発生層作成例1で得られた電荷発生層塗布液を用いて、前記下引き層つきの基体上に電荷発生層を成膜した。乾燥温度80℃、乾燥時間15分の条件で乾燥することによって得られた電荷発生層の乾燥後膜厚は0.1〜0.5μmであった。
【0097】
この電荷発生層上に電荷輸送剤として次の構造式で示されるスチルベン化合物9wt%、結着樹脂としてポリカーボネート樹脂(出光興産製 タフゼットB−500)11wt%、溶剤としてテトラヒドロフラン80wt%から成る電荷輸送層塗布液を浸漬塗工し、温度90℃で60分乾燥して18μmの電荷輸送層を形成し、実施例1の電子写真感光体を作成した。
【0098】
【化1】

【0099】
上記実施例1において作成した実験例1による下引き層をそれぞれ、前記各実験例2〜9および前記各比較実験例1〜15にて作成した下引き層に変えて用いる他は実施例1と同様にして作成した感光体をそれぞれの実験例番号および比較実験例番号に対応させて実施例2〜9および比較例1〜15とする。前記実施例1〜9および比較例1〜15において作成した感光体を、市販の接触帯電方式のプリンターに取りつけた。次に、このプリンターを気温10℃、相対湿度20%の低温低湿環境下に一昼夜放置したのち、環境を変えずにA4用紙10000枚のハーフトーン画像を連続採取した。
【0100】
画像データの評価を次のように行った。前記各実施例および前記各比較例にて作成した感光体を用いた場合について、1枚目と10000枚目の印字結果について、Gretag−Macbeth社製反射濃度計RD912を用いて用紙上の任意の5箇所についてハーフトーン濃度を計測し、それぞれの平均値を算出した。これらの平均値の差を求め、さらにこれを1枚目の濃度平均値で除して得られる濃度の変動率ΔCを算出した。この変動率ΔCが小さいものほど連続印字中の濃度変動が少なく、良好な耐低温低湿環境特性を有する感光体である。この変動率ΔCにより、前記各感光体の低温低湿特性を評価した。さらに、前記濃度変動に加えて、地かぶりを調べた。地かぶりは下引き層中の顔料の凝集が顕著な場合に出現しやすく、顔料凝集物に対する電界集中による微小なリークの結果生じると考えられる、初期印字における白紙上の地かぶりの有無を調べた。それらの結果を表1にまとめて示す。この表1から、前記各感光体の下引き層における膜固形分における顔料比率および樹脂偏析層膜厚と、耐低温低湿環境特性(ΔC)および地かぶり特性との関係を評価した。
【0101】
【表1】

【0102】
表1によれば、下引き層上に形成される樹脂偏析層膜厚が25nm以下であり、かつ、前記下引き層における膜固形分重量に占める顔料重量の割合が40wt%以上75wt%未満の場合に、前記ΔCがすべて0.1以下となり、良好な環境特性が得られる。かつ、地かぶり状況も良好であることが分かる。
【0103】
一方、比較例1、2、4、5、7、8のように、膜固形分重量に占める顔料重量の割合が40wt%未満の場合、ΔCがすべて0.1より大となり、低温低湿環境における連続印刷中における濃度変化が大きく画像品質の安定性に問題がある。また、比較例10〜15のように、膜固形分重量に占める顔料重量の割合がの割合が40wt%以上75wt%未満であっても、浸漬塗布終了から乾燥開始までのワーク待機時間を実験例1〜3に記載の30秒から比較実験例10〜12に記載のように30分にそれぞれ長くする、または比較実験例13〜15に記載のように、塗布装置が設置されているクリーンブース内の作業環境温度を25℃から18℃に変更すると、いずれも樹脂偏析層膜厚が25nm以上になってしまい、前述と同様にΔCがすべて0.1より大となり、低温低湿環境における連続印刷中における濃度変化が大きく問題がある。このことから、電子写真感光体にかかる下引き層中の顔料粒子の重量比率だけでなく、前記樹脂偏析層の膜厚を25nm以下にするような製造方法とすることが重要である。前記樹脂偏析層の膜厚を25nm以下にすることに関係する製造条件および方法は、前記2例以外にも、下引き層の樹脂材料、顔料の量、溶剤の蒸発速度、下引き層の膜厚等種々ある。また、溶剤等への浸漬により、樹脂偏析層膜厚を直接減少させてもよい。どのような製造条件、方法が最適かについて、すべてを完全には把握していない場合でも、画像品質に直接影響する樹脂偏析層の膜厚を測定して25nm以下となるように製造条件、方法等を管理すれば良いのである。またさらに、比較例3、6、9のように、膜固形分に占める顔料の重量比率が75wt%以上になると、樹脂偏析層膜厚は25nmより薄くて良いが、下引き層中の顔料の分散不良による地かぶりが生じているので好ましくないことがわかる。
【0104】
表1による評価においては、本発明にかかる感光体として、実施例1〜9で説明した仕様の下引き層と感光層とを備える感光体の場合について説明したが、下引き層を中間層その他の同様の層と言い換えた場合、導電性基体と感光層との間に顔料を樹脂層中に分散させた層を備える電子写真感光体についても同様に本発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体上に浸漬塗布法による下引き層と感光層とをこの順に備える電子写真感光体において、前記下引き層が少なくとも顔料と結着樹脂とを含有し、前記顔料成分と樹脂成分の合計重量に対する顔料成分の重量比率が40重量%以上75重量%未満であって、かつ、前記下引き層表面の樹脂偏析層の膜厚が25nm以下であることを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】
樹脂偏析層の膜厚が12nm以下であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
【請求項3】
感光層が電荷発生層と電荷輸送層とを含む積層感光層または単層感光層であることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子写真感光体の樹脂偏析層の膜厚をX線光電子分光法の深さ方向分析によって測定することを特徴とする電子写真感光体の樹脂偏析層の膜厚測定方法。
【請求項5】
樹脂偏析層の膜厚を、該樹脂偏析層の膜厚測定と同一の測定手法および測定条件によって測定したシリコンウエハ上の酸化膜膜厚に換算して測定することを特徴とする請求項4記載の電子写真感光体の樹脂偏析層の膜厚測定方法。
【請求項6】
請求項4または5記載の膜厚測定方法により樹脂偏析層の膜厚を測定することにより、樹脂偏析層の膜厚を25nm以下に管理することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【請求項7】
請求項4または5記載の膜厚測定方法により樹脂偏析層の膜厚を測定することにより、樹脂偏析層の膜厚を25nm以下になるように、少なくとも浸漬塗布終了から乾燥開始までのワーク待機時間と、塗布装置が設置されているクリーンブース内の作業環境温度とのいずれかまたは両方を管理することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子写真感光体を搭載することを特徴とする電子写真装置。

【公開番号】特開2006−47819(P2006−47819A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230615(P2004−230615)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(399045008)富士電機画像デバイス株式会社 (12)
【Fターム(参考)】