説明

電子写真用転写シート

【課題】 写真印画紙ライクの風合いと高画質を有し、印画前又は印画後のトナー受容層の光による変色等の品位が損なわれることがなく、さらに保管時のブロッキング等の問題のない保存性を有する電子写真用転写シートを提供する。
【解決手段】 不透明支持体と、少なくともその一面上にトナー受容層を有する電子写真用転写シートにおいて、前記トナー受容層中に、紫外線吸収剤をトナー受容層の1乃至20質量%、且つ離型性材料をトナー受容層の0.1乃至10質量%含有させたことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真用転写シートに関するものである。更に詳しくは、写真印画紙ライクの風合いと、高画質、および高画像保存性を有する電子写真用転写シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真法によりカラー画像を形成する方法としては、潜像担持体に、色分解光を照射して色別に潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像を、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)等の各色のトナーにより逐次現像して色別にトナー像を形成する現像工程と、形成されたトナー像を色別に形成する度に被転写体に重ね合わせて転写する転写工程と、前記被転写体に転写されたトナー像を加熱圧着する定着工程と、からなる画像形成方法がある。また別の方法としては、潜像形成工程と、色別のトナー像を潜像担持体に形成する現像工程と、形成されたトナー像を中間転写体に転写する第1の転写工程と、前記中間転写体に転写されたトナー像を被転写体に転写する第2の転写工程と、定着工程と、からなる画像形成方法もある。
【0003】
これら画像形成方法で使用されるトナーは、通常、着色剤として各種の染料又は顔料をバインダー樹脂中に分散含有させることにより構成される。前記着色剤の粒子径は、数〜数十μmである。トナーの受容体としての転写シートは、普通紙や、一般の印刷用紙等のコート紙のような紙基材が使用される。カラー画像は前記紙基材の表面に複数層重ね合わされた前記トナーが加熱定着されることにより形成される。前記カラー画像は、例えば、特開昭63−92965号公報(特許文献1)によれば、10〜100μm程度の凹凸を有するトナー層が形成されてなる。したがって前記トナー層表面の凹凸により、前記カラー画像の光沢にムラが生じてしまう。すなわち、前記カラー画像に入射する照明光が、凹凸の激しい前記カラー画像の表面で乱反射するため、肉眼で前記カラー画像を観察すると、該カラー画像の光沢性が不十分になる。
【0004】
前記の問題点を改善するために、特開昭63−92965号公報(特許文献1)によれば、基材表面に熱可塑性透明樹脂層(トナー受容層)を設け、トナー像を熱ロール定着器により前記熱可塑性透明樹脂層に埋め込む方法が開示されている。また、特開平5−127413号公報(特許文献2)によれば、ガラス転移温度が40〜70℃であり、テトラヒドロフランに可溶な架橋樹脂からなる透明樹脂層(トナー受容層)を有する画像転写シート表面にトナー像をのせ、これをベルト状定着器で前記透明樹脂層に埋め込む方法が開示されている。さらに特開平5−216322号公報(特許文献3)及び特開平6−11982号公報(特許文献4)によれば、熱可塑性樹脂が塗設されている画像転写シートの表面にトナー像を転写し、ベルト状定着器により前記トナー像を前記熱可塑性樹脂層(トナー受容層)に埋め込む方法が開示されている。
【0005】
また前記ベルト状の定着器を使用しないでも、光沢ムラのないグロスマッチングが得られる転写シートも提唱されている。例えば、特開平10−221877号公報(特許文献5)によれば、転写シート表面の透明樹脂(熱可塑性樹脂)の平均分子量(Mwa)とカラートナーの結着樹脂の平均分子量(Mwb)との間にMwa−Mwb≧10000の関係を有し、且つ、前記透明樹脂のトナーの定着温度における前記カラートナーの結着樹脂との溶融傾斜角を40°以下に調整した電子写真用転写シートが提案されている。また、特開平11−160905号公報(特許文献6)によれば、転写シート表面の透明受像層(トナー受容層)の数平均分子量(Mn)が5000〜20000の範囲であり、且つ、前記透明樹脂層のガラス転移温度が30〜85℃の範囲である電子写真用転写シートが提唱されている。
【0006】
これら各公報に記載の技術によれば、トナー像を転写シート表面に定着する際に、前記トナー像は熱ロールにより加圧されながら加熱溶融されて定着される。このように定着されて形成されたカラー画像では、前記トナー像が前記転写シート表面の透明樹脂層(トナー受容層)中に埋め込まれるので、前記カラー画像の表面凹凸は小さくなる。このため、前記カラー画像表面に入射した光の乱反射が軽減され、光沢ムラのないグロスマッチング性の高い高品位のカラー画像(画像光沢の均一性ともいう)を得ることが可能である。
【0007】
一方、透明樹脂からなるトナー受容層は、透過する光による影響を受けやすく、印画前の転写シートや印画後の白紙部又は淡色部の黄変等によりその品位が損なわれてしまうという問題がある。このため、画像の耐光性を改善する目的でトナー受容層に紫外線吸収剤を含有させることが提案されている(特開平7−199515号公報(特許文献7)、特開2004−012575号公報(特許文献8)、特開2005−115239号公報(特許文献9))。これらのうち、支持体が透明フィルムの場合は、光は支持体中を透過するため、トナー受容層自体に大きな影響を及ぼすことはないが、高白色度を有する不透明支持体の場合は、所謂「照り返し」によりトナー受容層自体が黄変する問題がある。このトナー受容層自体の黄変を改善するために、トナー画像に悪影響を及ぼさない紫外線吸収剤を添加すると、保管時に転写シート同士が付着するブロッキング現象が発生するため、満足なものは得られていなかった。
【0008】
【特許文献1】特開昭63−92965号公報
【特許文献2】特開平5−127413号公報
【特許文献3】特開平5−216322号公報
【特許文献4】特開平6−11982号公報
【特許文献5】特開平10−221877号公報
【特許文献6】特開平11−160905号公報
【特許文献7】特開平7−199515号公報
【特許文献8】特開2004−012575号公報
【特許文献9】特開2005−115239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は電子写真用転写シートにおいて、写真印画紙ライクの風合いと、高画質を有し、印画前又は印画後のトナー受容層の光による変色等の品位が損なわれることがなく、さらに保管時のブロッキング等の問題の無い保存性を有する電子写真用転写シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電子写真用転写シートは、不透明支持体(以下、「支持体」とも称す)と、少なくともその一面上にトナー受容層を有する電子写真用転写シートにおいて、前記トナー受容層中に、紫外線吸収剤をトナー受容層の1乃至20質量%、且つ離型性材料をトナー受容層の0.1乃至10質量%含有させたことを特徴とするものである。また、離型性材料はパラフィンワックス、カルナバワックスから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、さらに紫外線吸収剤は常温で液体であることがより好ましい。
【0011】
なかでも、紫外線吸収剤としては2−(2'−ヒドロキシ−3'−ドデシル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(2”−エチルヘキシル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、5−tert−ブチル−3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゼン−プロピオン酸オクチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸−2−エチルヘキシルエステルから選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
【0012】
トナー受容層樹脂としては、ポリエステル樹脂またはアクリル−スチレン樹脂から選ばれる少なくとも1種が好ましく、また不透明支持体はポリオレフィン樹脂ラミネート紙が好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電子写真用転写シートは、写真印画紙ライクの風合いと、高画質画像が得られ、印画前又は印画後のトナー受容層の光による変色等の品位が損なわれることがなく、さらに保管時のブロッキングが生じることのない保存性を有する電子写真用転写シートが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明に係る電子写真用転写シートの受容層に含有される紫外線吸収剤としては、特に限定されるものではないが、例えば次のようなものが挙げられる。フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3'−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5'−メチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−ドデシル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−ウンデシル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−トリデシル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−テトラデシル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(2”−エチルヘキシル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(2”−エチルヘプチル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(2”−エチルオクチル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(2”−プロピルオクチル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(2”−プロピルヘプチル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(2”−プロピルヘキシル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(1”−エチルヘキシル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(1”−エチルヘプチル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(1”−エチルオクチル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(1”−プロピルオクチル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(1”−プロピルヘプチル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(1”−プロピルヘキシル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、5−tert−ブチル−3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゼン−プロピオン酸オクチル、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル−)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸−2−エチルヘキシルエステル等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル、2−(3,5−ジ−tert−ブチル)マロン酸−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)エステル等のヒンダードアミン系紫外線吸収剤等が挙げられる。勿論、これらに限られるものではなく、また必要に応じて二種以上を併用することもできる。
【0016】
これらの紫外線吸収剤のうちでも常温(即ち、5〜40℃程度)で液体のものは、紫外線に対する吸収効率が高く、受容層樹脂との相溶性も高く、さらに液体であるため、長期保存中の昇華−再結晶による粉吹きや溶出が起こりにくいため好ましく用いられる。具体例としては、例えば2−(2'−ヒドロキシ−3'−ドデシル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(2”−エチルヘキシル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、5−tert−ブチル−3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゼン−プロピオン酸オクチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸−2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。勿論これらに限定されるものではなく、また二種以上を併用することもできる。なお、紫外線吸収剤の配合量については、トナー受容層の1乃至20質量%含有させるものである。より好ましくはトナー受容層の2乃至10質量%である。配合量がトナー受容層の1質量%未満の場合、十分な画像保存性が得られない。また配合量が20質量%を超える場合は、定着時に画像の乱れが生じるおそれがある。ブロッキングについても著しく悪化するおそれがあるため好ましくない。
【0017】
本発明では、トナー受容層中に離型性材料を添加するものである。離型性材料としては、ロウ類およびワックス類が挙げられ、具体的には、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油系ワックス等が挙げられる。またこれら天然ワックスのほかに、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の高級脂肪酸アミド、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックスも使用できる。さらに側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子が挙げられる。
なかでも、パラフィンワックスやカルナバワックスはブロッキング防止効果が優れているため好ましく用いられる。
【0018】
離型性材料の配合量については、特に限定するものではないが、例えば、トナー受容層の0.1乃至10質量%、好ましくは0.2乃至5質量%含有させる。配合量が0.1質量%未満の場合、十分なブロッキング防止効果が得られないことがあり、10質量%を超えてもそれ以上の性能向上効果は飽和する。また紫外線吸収剤に対して1質量%乃至100質量%程度、好ましくは5質量%乃至50質量%程度の範囲で調整される。配合量が紫外線吸収剤の1質量%未満の場合、十分なブロッキング防止効果が得られないことがあり、また100質量%を超えるとそれ以上の性能の向上は飽和し、コスト面で不利となる。
なお、離型性材料のうち、シリコーン系のものについては、トナーの転写不良や、トナー埋め込み性低下を引き起こすおそれがあるため好ましくない。
【0019】
受容層中には、酸化防止剤を併用することも可能である。係る酸化防止剤の具体例としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(3−メチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物等が挙げられる。
【0020】
本発明に係る電子写真用転写シートの不透明支持体としては例えば、上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、コート紙、アート紙、グラシン紙等の紙基材が挙げられる。またポリオレフィン樹脂等の合成樹脂フィルム等樹脂ラミネート紙、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等を主成分とした延伸フィルムや、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂を主成分とする単層延伸フィルム又は多層構造フィルム(合成紙)等、およびこれらのフィルム同士、又はこれらのフィルムと他のフィルム又は紙基材等とを積層貼着させた複合フィルム等も使用可能である。本発明で使用されるシート状の支持体としては、20〜300μmの厚さを有するものが好ましい。また紙基材を用いた場合、トナー受容層を設ける面の裏面に、粒子平均長径が0.1〜100μmかつアスペクト比(層状化合物の粒子平均長径/厚さの比)が100〜5000である膨潤性無機層状化合物と、接着剤とを主成分とする塗工層を設けた支持体を用いてもよい。
【0021】
なかでもポリオレフィン樹脂ラミネート紙を支持体に用いた場合は、支持体自身の光による変色が起こりにくいため、好ましい。また、ポリオレフィン樹脂ラミネート紙を支持体に用いることにより支持体が湿度変化の影響を受けにくいため、画像の長期保存にとっても好ましい。
【0022】
ポリオレフィン樹脂による被覆層は、単層構造であってもよいし、2層以上からなる積層構造であってもよい。
【0023】
前記ポリオレフィン樹脂としては、170〜345℃で溶融押出することのできるものの中から適宜選択して用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のα−オレフィンの単独重合体及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、溶融押出の適性及びコスト面でポリエチレンが好ましい。
【0024】
本発明においては、前記ポリオレフィン樹脂を1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、ポリエチレンを用いたポリオレフィン樹脂ラミネート紙の芯材層として紙基材を用いた場合、トナーを加熱定着させるプロセスにおいて、同様にポリエチレン層が軟化して、紙基材中の水分によって生じるポリエチレン層と紙基材との間に膨らみ(ブリスター)や熱マケの発生することがある。一方、高密度ポリエチレンを1種単独で使用した場合、上記問題は解消できるものの、押出ラミネート時の被覆層が不均一となり、前記被覆層及び前記紙基材との接着性のバラツキが大きくなるため製品として使用に堪えなくなることがある。このため、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンの両者を適当にブレンドして併用すると、上記の問題を解消し得る点で有利である。
【0025】
前記ポリエチレンとしては、密度が0.940〜0.970g/cm3である高密度ポリエチレン(HDPE)、0.910〜0.930g/cm3である低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)等のいずれでもよいが、転写シートの剛性を重視する場合には、ポリプロピレン、前記高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)等の混合物を用いるのが好ましい。前記ポリエチレンのメルトインデックスとしては、1.0〜30g/10分程度が好ましい。
【0026】
前記高密度ポリエチレン(HDPE)と前記低密度ポリエチレン(LDPE)とを併用する場合、前記低密度ポリエチレンが10質量%未満であると、押出により形成される被覆層が不均一で正常なラミネートが不可能となることがあり、高密度ポリエチレンが10質量%未満であると、充分な耐熱性が得られないことがあり、両者のブレンド比率としては、前記低密度ポリエチレンが10〜90質量%、前記高密度ポリエチレンが90〜10質量%であることが好ましい。
【0027】
前記ポリオレフィン樹脂による被覆層は、加熱溶融したポリオレフィン樹脂を前記紙基材のトナー受容層を設ける面側に、通常ラミネート法、逐次ラミネート法、又はフィートブロックタイプ、マルチマニホールドタイプ、マルチスロットタイプ等の単層若しくは多層押出ダイ、ラミネーター等による押出ラミネート法により被覆することにより好適に形成される。具体的には、前記押出ラミネート法により、加熱溶融した前記ポリオレフィン樹脂をフィルム状にしてから直ちに紙基材の、トナー受容層を設ける面側を圧着後、冷却することにより、前記ポリオレフィン樹脂による被覆層がラミネートされる。なお前記単層若しくは多層押出用ダイの形状としては、特に制限されるものではないが、一般に、Tダイ、コートハンガーダイ等が好適に挙げられる。
【0028】
本発明においては、前記ポリオレフィン樹脂を前記紙基材のトナー受容層を設ける面側を被覆する前に、前記紙基材表面を、コロナ放電処理、火炎処理、グロー放電処理、又はプラズマ処理等の活性化処理を施すことが好ましい。
【0029】
前記ポリオレフィン樹脂による被覆層の厚みとしては、該被覆層が単層に形成される場合には、通常5〜60μm程度であり、好ましくは10〜40μmである。前記厚みが、5μm未満であると、電子写真用転写シートの耐水性が不十分となることがあり、60μmより厚いと、それ以上の性能の向上は飽和し、コスト面で不利となる。
【0030】
白色度を向上させるために、本発明のポリオレフィン層に白色顔料を含有させることが好ましい。白色顔料の例としては、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、リトポン、アルミナ白、酸化亜鉛、シリカ、三酸化アンチモン、燐酸チタン等が挙げられる。これらを単独で或いは混合して用いることができる。白色顔料としては、二酸化チタンが隠蔽力が大きいので特に好ましい。二酸化チタンはルチル型であっても、アナターゼ型でも良く、それらを単独或いは混合して使用してもよい。
【0031】
本発明において、電子写真用転写シートのトナー受容層としては、公知のトナー受容層が適用できる。トナー受容層を形成する樹脂としては、電子写真感光体または中間転写体から移行するトナーの転写性が良好、かつトナー受容性の良い樹脂が使用される。このようなトナー受容層用樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー樹脂等を用いることができる。なかでも、ポリエステル樹脂およびスチレン−アクリル樹脂はトナー転写性、トナー埋め込み性が優れるため好ましく用いられる。また必要に応じて、前記トナー受容層中に蛍光染料、可塑剤、顔料等の1種以上を添加してもよい。これらの添加剤はトナー受容層の形成成分と混合して塗工してもよく、トナー受容層とは別の被覆層としてトナー受容層の上及び/又は下に塗工してもよい。
【0032】
トナー受容層の固形分塗工量は、好ましくは1〜30g/m2程度であり、より好ましくは3〜25g/m2である。トナー受容層の塗工量が1g/m2未満ではトナー受容層が支持体表面を完全に覆うことができず、画質の低下を招いたり、定着時の加熱により定着ロールとトナー受容層が接着してしまう融着トラブルが発生することがある。一方、塗工量が30g/m2を超えると、効果が飽和し、不経済であるばかりで無く、トナー受容層塗膜の強度が不足したり、トナー受容層の厚みが増大することより記録物の曲げひび割れの発生が著しくなり、画像品位の低下を招くため、好ましくない。
【0033】
本発明においては、トナー受容層の白紙光沢向上やトナー受容層のひび割れ防止のために、支持体とトナー受容層との間に中間層を設けることが可能である。中間層としては、熱可塑性樹脂層、顔料下塗り層が挙げられる。
【0034】
前記熱可塑性樹脂層としては、トナー受容層で用いられる材料と同様のもので、目的により熱的物性が異なるものが選択される。また、エチレンーアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンーポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂等やその水性分散体、変性または非変性のポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の水溶性高分子化合物が1種または、2種以上を併用して用いられる。
【0035】
前記顔料下塗り層として、例えば、顔料と接着剤とを主成分とする。前記顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、構造性カオリン、デラミカオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミノ珪酸マグネシウム、微粒子状珪酸カルシウム、微粒子状炭酸マグネシウム、微粒子状軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物材料からなる顔料や、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、並びにこれらの微小中空粒子や貫通孔型の有機材料からなる顔料等が挙げられる。本発明では前記顔料の中から1種類あるいは2種類以上を適宜組合せて用いることができる。
【0036】
顔料下塗り層に使用される接着剤の具体例としては、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、メチルビニルエーテル等のビニル系重合体や共重合体類、スチレン−ブタジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン樹脂系等の合成ゴムラテックス、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。ここで、各化合物における「(メタ)アクリル」なる表現はメタアクリルおよびアクリルの双方を意味する。前記高分子化合物の中から、転写シートに要求される品質に応じて、前記接着剤として1種又は2種以上を組合せて適宜選択して使用することができる。
【0037】
前記接着剤の配合割合は、前記顔料100質量部に対して5〜50質量部の範囲であることが好ましく、5〜20質量部の範囲であることがより好ましい。前記配合割合が5質量部未満の場合、前記配合割合で支持体に塗工された塗工層表面に更にトナー受容層を塗工する際に、前記支持体の表面が前記トナー受容層用塗工液に含まれる溶媒によって侵される場合があり、良好な白紙光沢度を得ることが困難になることがある。一方、前記配合割合が50質量部を超えた場合、中間層を塗工する際に、泡が発生して前記塗工層の表面にザラツキが発生する場合があり、良好な白紙光沢度を得ることが困難になることがある。
【0038】
顔料下塗り層用塗布液には、前記顔料及び前記接着剤の他に、各種助剤を必要に応じて添加することも可能である。かかる各種助剤としては、例えば界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、柔軟剤、光沢付与剤、分散剤、流動変性剤、導電防止剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤、耐水化剤、可塑剤、滑剤、防腐剤、香料等が挙げられる。
【0039】
中間層の塗工量は、本発明の転写シートの使用目的に応じて適宜に選択される。一般的には、支持体表面の凹凸を完全に覆う程度の量が望ましいため、前記塗工量は乾燥質量で、1〜30g/m2であり、2〜20g/m2であることが好ましい。
【0040】
中間層は、支持体の片面或いは両面に形成される。前記中間層は、1層以上の多層構造とすることも可能である。なお前記支持体の両面に塗工層を形成する場合、支持体の表面と裏面で塗工される塗布液の組成と塗工量とは、同一でも、異なっていてもよい。
【0041】
また、前記支持体表面に形成される中間層が多層構造である場合、各層毎に塗工される塗布液の組成と塗工量とは同一でも、異なっていてもよい。さらに前記塗布液の組成または前記塗工量は所望の品質に応じて適宜調整される。
【0042】
前記中間層を設けた支持体は、通常の乾燥工程や表面処理工程等において平滑化処理することも可能である。
【0043】
前記中間層を設けた支持体に平滑化処理を施す際には、通常のスーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトカレンダ等の平滑化処理装置を用いて行われる。前記平滑化処理はオンマシンやオフマシンで適宜施されてもよく、加圧装置の形態、加圧ニップの数、加温等も通常の平滑化処理装置に応じて適宜調節される。なお、支持体表面に予め顔料と接着剤とからなる塗工層が設けられた市販の用紙を用いることも出来る。
【0044】
本発明において、任意的な中間層を構成する材料として、各種の無機、有機の顔料、ワックス類、金属石鹸等が含有させることが可能であり、さらに必要に応じ紫外線吸収剤、蛍光染料、撥油剤、消泡剤、粘度調節剤等の各種添加剤が、所望の効果を損なわない範囲で使用可能である。
【0045】
上記中間層、バリア層、トナー受容層等の塗工層を塗工方式で形成する方法としては、エアーナイフコーター、バリバーブレードコーター、ピュアブレードコーター、ロッドブレードコーター、ショートドウェルコーター、カーテンコーター、ダイコーター、グラビアコーター、ロールコーター、スプレーコーター、ディップコーター、バーコーター、コンマコーター、オフセットロールコーター、リバースロールコーター、リップコーター、スライドビードコーター、チャンプレックスコーター、ブラシコーター、ツーロールあるいはメータリングブレード式のサイズプレスコーター、ビルブレードコーター、ショートドウェルコーター、ゲートロールコーター等を適宜用いることができる。乾燥が必要な場合は、従来の方法で行うことができる。また放射線による硬化が必要な場合には、紫外線照射装置、電子線照射装置等の放射線照射装置を適宜使用し、硬化することができる。
【0046】
本発明の電子写真用転写シートは、帯電を防止する目的、カールを矯正する目的、印画時のプリンター内での重送を防止する目的等で、電子写真用転写シートの裏面に、裏面層を設けることができる。もちろん裏面層形成時にスーパーカレンダ処理を施すことも可能である。
【0047】
裏面層を設けることにより、電子写真用転写シートをプリンターまたは複写機に供給し、プリンターまたは複写機内を走行させ、プリンターまたは複写機から送り出す操作をスムースに行うことが出来る。裏面層には、必要に応じて滑剤、離型剤、帯電防止剤、有機及び/又は無機顔料等の1種或いは2種以上が含まれていることが好ましい。裏面層の固形分塗工量は0.3〜10g/m2の範囲が好ましく、更に好ましくは1〜5g/m2である。
【0048】
本発明の電子写真用転写シートにおける含有水分率は、開封時に3.0〜6.5%の範囲になることにより、印画物が低湿環境や高湿環境で保管されても光沢度低下が発生しにくいため好ましく、4.0〜6.0%であることがより好ましく、4.5〜5.5%の範囲となるように調整されることが特に好ましい。
【0049】
本発明における支持体として、紙基材を用いることが好ましい。この紙基材に使用するパルプは特に限定されるものではないが、例えば、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、LBSP(広葉樹晒亜硫酸パルプ)、NBSP(針葉樹晒亜硫酸パルプ)等のケミカルパルプを使用することができる。いわゆるECFパルプやTCFパルプのような塩素フリーパルプが好ましく使用できる。またリンターパルプのような非木材パルプ、古紙パルプ、GP(グランドパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)等の高収率パルプも、地合の悪化程度を考慮し、かつ塗工後の白色度が低くなり過ぎない程度に色再現性を考慮して、単独あるいは2種以上混合して使用することができる。塗工後の白色度を高くするために、紙基材に前記のパルプを適宜選択して使用するか、パルプの漂白工程を強化したパルプの使用や、パルプスラリー中への蛍光染料を添加してもよい。
【0050】
本発明に使用する紙基材は、密度を上げ、表面平滑性を制御し、塗工適性を良くするため、また塗工後の不透明度、白色度の調整等のために填料を含有させることが出来る。ここで使用できる填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム類、カオリン、焼成クレー、パイロフィライト、セリサイト、タルク等のケイ酸類、二酸化チタン等の無機顔料、および尿素樹脂、スチレン等の密実型、中空型または貫通孔型の有機顔料を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0051】
本発明の紙基材に使用するサイズ剤等の各種薬品は、内添または外添により使用することができる。サイズ剤の種類は、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤等の公知のサイズ剤を挙げることができ、さらに硫酸バンド、カチオン化澱粉等の適当な定着剤を組み合せても使用できる。プリント後の用紙保存性の観点から、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤等の中性サイズ剤が好ましい。
【0052】
さらに、本発明の電子写真用転写シートは、支持体の裏面側に粘着層、剥離層、剥離シート基材を順次積層した構成にしてもよい。この構成において、粘着層と剥離層の間で剥離可能であり、いわゆるシールタイプまたは、ラベルタイプの電子写真用転写シートとすることも出来る。
また、支持体裏面側に磁性、難燃、耐熱、耐水、耐油、防滑等の加工を施すことにより、各種の用途適性を付加することも可能である。
【実施例】
【0053】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、勿論本発明はこれに限定されるものではない。なお実施例中の「部」及び「%」はすべて「質量部」及び「質量%」を示す。
【0054】
実施例1
(不透明支持体の作成)
180g/m2の上質紙の両面にコロナ放電処理を行った後、溶融押出機を用いて、一方の面に、二酸化チタンを含有させた密度0.923g/cm3の低密度ポリエチレン、もう一方の面に密度0.967g/cm3の高密度ポリエチレン70質量%と、密度0.923g/cm3の低密度ポリエチレン30質量%の比率で混合したものを、それぞれ厚みが30μmとなるように塗布を行い、支持体を作成した。
【0055】
(トナー受容層用塗料の調製)
ポリエステル樹脂(商品名:バイロン200、東洋紡社製)100部、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール5部、パラフィンワックス(HNP−51、日本精蝋社性)の3%シクロヘキサン溶液16部をトルエン/メチルエチルケトン=1/1(質量比)の混合溶媒200部に溶解し、混合撹拌してトナー受容層用塗料を得た。
【0056】
(電子写真用転写シートの作成)
支持体の低密度ポリエチレン層を形成した面に、トナー受容層用塗料を乾燥後の塗工量が20g/m2となるように、バーコーターを用いて塗工乾燥して電子写真用転写シートを得た。
【0057】
実施例2
実施例1のトナー受容層用塗料の調製において、2-(2’-ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールの添加量を2部にした以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
【0058】
実施例3
実施例1のトナー受容層用塗料の調製において、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールの添加量を10部にした以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
【0059】
実施例4
実施例1のトナー受容層用塗料の調製において、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール5部の代わりに2−[2’−ヒドロキシ−4’−(2”−エチルヘキシル)オキシフェニル]ベンゾトリアゾール5部を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
【0060】
実施例5
実施例1のトナー受容層用塗料の調製において、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール5部の代わりに5−tert−ブチル−3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゼン−プロピオン酸オクチル5部を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
【0061】
実施例6
実施例1のトナー受容層用塗料の調製において、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール5部の代わりに2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸−2−エチルヘキシルエステル5部を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
【0062】
実施例7
実施例1のトナー受容層用塗料の調製において、ポリエステル樹脂(商品名:バイロン200、東洋紡社製)100部の代わりにスチレン−アクリル樹脂(商品名:S1030、東亜合成社製)100部を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
【0063】
実施例8
実施例1のトナー受容層用塗料の調製において、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール5部の代わりに2−(2’−ヒドロキシー3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール5部を使用した以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
【0064】
実施例9
実施例1の電子写真用転写シートの作成において、支持体として、市販コート紙157g/m2品(OKトップコートN、王子製紙社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
【0065】
実施例10
実施例1のトナー受容層用塗料の調製において、2−(2‘−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5‘−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール5部の代わりに2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン5部を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
【0066】
実施例11
実施例1のトナー受容層用塗料の調製において、パラフィンワックス(HNP−51、日本精蝋社性)の3%シクロヘキサン溶液17部の代わりにカルナバワックス1部を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
【0067】
比較例1
実施例1のトナー受容層用塗料の調製において、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
【0068】
比較例2
実施例1のトナー受容層用塗料の調製において、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを0.5部添加した以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
【0069】
比較例3
実施例1のトナー受容層用塗料の調製において、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを25部添加した以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
【0070】
比較例4
実施例1のトナー受容層用塗料の調製において、パラフィンワックスを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、電子写真用転写シートを得た。
【0071】
評価
上記の各実施例及び比較例で得られた電子写真用転写シートについて、それぞれ下記の方法により評価を行い、得られた結果を表1に示す。
【0072】
〔画像品質の評価〕
リコー社製カラーレーザープリンターIPSiO CX9000およびIPSiO CX2500にて印画試験を行い、画像品質を評価した。なお画像としては、ISO/JIS−SCID JIS X 9201−1995 N3画像及び電子写真学会テストチャート No.5−1 1995画像を用い、A4サイズのシートに印画し、次の基準で評価した。
○ 写真印画紙ライクで均一な画像
△ 若干、画像に乱れがあるが、実用レベル
× 画像に乱れが見られ、実用上問題あり
【0073】
〔定着後の受容層表面の粉吹き評価〕
画像品質の評価方法と同様にして得られた印画物を50℃ドライの条件に24時間放置した後に、受容層表面の粉吹き状態を目視で評価した。
○ 受容層表面に粉吹きが見られない。
△ 受容層表面に粉吹きがわずかに見られる。
× 受容層表面に粉吹きが多く見られる。
【0074】
〔ブロッキング評価〕
作成した各電子写真用転写シートについて、5枚重ねて200g/cm2の加圧下、30℃環境で1日放置後の各シート同士の接着度合でブロッキングを評価した。
○ 受容層と裏面が全く接着していない。
△ 受容層と裏面が若干接着しているが、剥離後受容層表面に異常は見られない。
× 電子写真用転写シート同士が接着しており、はがすと受容層表面の光沢ムラが見られる。
【0075】
〔光による変色度合の評価〕
(1)作成した各電子写真用転写シートについて、リコー社製カラーレーザープリンターIPSiO CX9000を用い、0%白色画像で定着処理を行い、評価サンプルを得た。
(2)JIS−P8150に準じて、色調を分光白色度測色計(スガ試験機)を用いてC光源2°視野でキセノン光照射前の色調(L*a*b*)を測定した。
(3)スーパーキセノンウェザーメーター(スガ試験機社製)を用いて、JIS−K7101に準じて、照射エネルギー68W/m2、ブラックパネル温度63℃、槽内湿度40%RHで30時間キセノン光照射を行った。
(4)JIS−P8150に準じて、色調を分光白色度測色計(スガ試験機)を用いてC光源2°視野でキセノン光照射後の色調(L*a*b*)を測定し、照射前の色調との差(ΔE)をもとめて光による変色の度合の評価を行った。また、目視による変色評価も行った。
○ 受容層表面の変色が殆ど見られない。
△ 受容層表面がわずかに変色していた。
× 受容層表面が著しく着色していた。
【0076】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る電子写真用転写シートは、写真印画紙ライクの風合いと高画質画像が得られ、印画前又は印画後のトナー受容層の光による変色等がなく、保管時にもブロッキングが生じることのない保存性を有するものであり、実用的に価値の高いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透明支持体と、少なくともその一面上にトナー受容層を有する電子写真用転写シートにおいて、前記トナー受容層中に、紫外線吸収剤をトナー受容層の1乃至20質量%、且つ離型性材料をトナー受容層の0.1乃至10質量%含有させたことを特徴とする電子写真用転写シート。
【請求項2】
離型性材料がパラフィンワックス、カルナバワックスから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の電子写真用転写シート。
【請求項3】
紫外線吸収剤が常温で液体である請求項1または2記載の電子写真用転写シート。
【請求項4】
紫外線吸収剤が2−(2'−ヒドロキシ−3'−ドデシル−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−4'−(2”−エチルヘキシル)オキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、5−tert−ブチル−3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゼン−プロピオン酸オクチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸−2−エチルヘキシルエステルから選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の電子写真用転写シート。
【請求項5】
トナー受容層用樹脂がポリエステル樹脂またはスチレン−アクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真用転写シート。
【請求項6】
不透明支持体がポリオレフィン樹脂ラミネート紙である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真用転写シート。

【公開番号】特開2007−41303(P2007−41303A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225542(P2005−225542)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】