説明

電子写真装置用ブレード

【課題】表面に収縮ムラに起因する凹み模様等の欠陥のないブレード部材を備えた、優れた品質を有する、生産効率の高い、電子写真装置用ブレードを提供する。
【解決手段】ポリウレタン樹脂で形成されたブレード部材を有する電子写真装置用ブレードにおいて、前記ポリウレタン樹脂が、下記の(A)〜(E)を少なくとも含有するポリウレタン原料組成物を用いて製造されたものであることを特徴とする電子写真装置用ブレード。
(A)ポリイソシアネート
(B)数平均分子量が2000〜4000のポリオール
(C)分子量200以下の鎖延長剤
(D)(B)ポリオールの数平均分子量より小さく、(C)鎖延長剤の分子量より大きい数平均分子量を有するポリオール
(E)ウレタン硬化用触媒

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置で用いられる電子写真装置用ブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真装置では、記録用紙に現像剤像の転写を行ったあとに感光体上に残存するトナーを除去するためのクリーニングブレードや現像器内で現像スリーブ上に担持されたトナーを摩擦帯電させながらトナー薄膜を形成する現像ブレードなどの、各種のブレードが設けられている。これらのブレードは、通常、支持体に弾性部材から形成されたブレード部材が接合された構成を有している。
【0003】
クリーニングブレードは、電子写真装置等にクリーニングブレードを取り付けるための金属製のホルダー等の支持部材の片端部に、弾性部材から調製されたブレード部材を一体化して製造される。ブレード部材としては、耐摩耗性や永久歪みなどにすぐれていることから、通常、ポリウレタン樹脂から形成されたものが用いられる。
【0004】
上記ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート、ポリオール、鎖延長剤および触媒を用い、プレポリマー法、セミワンショット法、ワンショット法等の方法により製造される。
【0005】
例えば、プレポリマー法によりブレード部材を製造する場合は、ポリイソシアネートとポリオールを用いてプレポリマーを調製し、このプレポリマーに鎖延長剤および触媒を添加したのち、これを成形用の金型に注入して硬化させて製造される。金型に注入してから硬化、脱型するまでの時間、すなわち硬化時間は、製造効率に大きく影響する。硬化時間が長ければ、金型数を増やさなければならず、膨大な投資が必要となる。このため、硬化時間を短縮しようと様々な検討がなされている。
【0006】
従来から汎用されているトリエチレンジアミンやジメチルイミダゾール等のウレタン化を促進する触媒を使用し、触媒量を増量して硬化時間を短縮しようとすると、触媒の増量につれて、混合直後から硬化反応が速くなり液の粘度が高くなるため、金型内に液がゆきわたらず、流れ不足になってしまう。また、注型機のミキシングチャンバー内で硬化しウレタンカスが液に混入した状態で注型され、成型品に異物が混入してしまうという問題が発生する。
【0007】
そこで、これらの問題を解決するために、液温が所定の温度に達するまではほとんど活性を示さず、液温が所定温度よりも高くなると硬化反応が急激に進行する、感温性の高いイソシアヌレート化触媒がよく用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
しかし、イソシアヌレート化触媒を使用すると、金型への流れ性は改善されるものの、硬化の際に、数平均分子量1500〜3000のポリオールと分子量300以下の鎖延長剤とを組み合わせて用いると、あまりにも分子量が異なるため、反応が不均一になりやすい。また、ある温度以上で反応が急激に進行するため、反応が不均一になりやすく、その結果、成型品が歪んだり、収縮のムラに起因する表面模様が発生するといった問題があった。
【0009】
【特許文献1】特開平08-281837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、金型への流れ性のよいポリウレタン原料組成物を用いて形成される、表面に収縮ムラに起因する凹み模様等の欠陥のないブレード部材を備えた、優れた品質を有する、生産効率の高い、電子写真装置用ブレードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決した本発明の電子写真用ブレードは、ポリウレタン樹脂で形成されたブレード部材を有する電子写真装置用ブレードにおいて、前記ポリウレタン樹脂が、下記の(A)〜(E)を少なくとも含有するポリウレタン原料組成物を用いて製造されたものであることを特徴とする。
(A)ポリイソシアネート
(B)数平均分子量が2000〜4000のポリオール
(C)分子量200以下の鎖延長剤
(D)(B)ポリオールの数平均分子量より小さく、(C)鎖延長剤の分子量より大きい数平均分子量を有するポリオール
(E)ウレタン硬化用触媒
さらに、前記ポリウレタン原料組成物に含有される(D)ポリオールの質量に対する(B)ポリオールの質量の比率(D)/(B)は0.02〜0.25であり、かつ、(B)ポリオールと(D)ポリオールを合わせたポリオールの数平均分子量は1500〜3000であることが好ましい。
さらに、前記ポリウレタン原料組成物の下記式(1)から計算されるイソシアネート基濃度(mmol/g)は、1.80〜2.63であることが好ましい。
NCO=1000×Fn×Wiso/(Mniso×Wall) (1)
(式中、NCOはイソシアネート基濃度(mmol/g)を、Fnは(A)ポリイソシアネート一分子当たりのイソシアネート基数を、Wisoは(A)ポリイソシアネートの仕込み量(g)を、Mnisoは(A)ポリイソシアネートの数平均分子量を、Wallは(A)〜(E)の合計質量(g)を表す。)
さらに、前記(E)ウレタン硬化用触媒は、イソシアヌレート化触媒またはアロファネート化触媒を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、硬化時間が短く金型への流れ性のよいポリウレタン原料組成物を用いることにより、表面に収縮ムラに起因する凹み模様等の欠陥のないブレード部材を備えた、優れた品質を有する、生産効率の高い、電子写真装置用ブレードを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明を詳述する。
本発明は、ポリウレタン樹脂で形成されたブレード部材を有する電子写真装置用ブレードにおいて、前記ポリウレタン組成物が、下記の(A)〜(E)を少なくとも含有するポリウレタン原料組成物を用いて製造されたものであることを特徴とする。
(A)ポリイソシアネート
(B)数平均分子量が2000〜4000のポリオール
(C)分子量200以下の鎖延長剤
(D)(B)ポリオールの数平均分子量より小さく、(C)鎖延長剤の分子量より大きい数平均分子量を有するポリオール
(E)ウレタン硬化用触媒
【0014】
本発明に係る電子写真装置用ブレードは、複写機、レーザービームプリンタ、エルイーディープリンタ(LEDプリンタ)、電子写真製版システムなどの電子写真技術を応用した電子写真装置のクリーニングブレード、現像ブレード等として用いられるブレードであり、上記ポリウレタン原料組成物を用いて製造されたポリウレタン樹脂から形成されたブレード部材と、支持部材とが接合された構成を有している。支持部材およびブレード部材等の形状は、特に限定されず、使用目的に適した形状とすればよい。
【0015】
また、支持部材を構成する材料についても、特に限定されず、金属、樹脂、より具体的には、鋼板、ステンレス鋼板、亜鉛メッキクロメート皮膜鋼板、クロムフリー鋼板等の金属材料、6−ナイロン、6,6−ナイロン等の樹脂材料から作製することができる。支持部材とブレード部材との接合方法は、特に限定されず、公知の方法のなかから適したものを選択すればよい。具体的には、例えば、フェノール樹脂等の接着剤を用いて接着する方法等を挙げることができる。
【0016】
上記ポリウレタン原料組成物に配合される(A)ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、カルボジイミド変性MDI、ポリメチレンフェニルポリイソシアネート(PAPI)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PDI)、リジンジイソシアネートメチルエステル(LDI)、ジメリルジイソシアネート(DDI)等があげられる。これらのなかでも、4,4′−MDIを用いることが好ましい。また、ポリイソシアネートとして、これらのポリイソシアネートと(B)ポリオールとを予め反応して得られるプレポリマーを用いてもよい。
【0017】
上記ポリウレタン原料組成物に配合される(B)ポリオールの具体例としてはポリエチレンアジペートエステルポリオール、ポリブチレンアジペートエステルポリオール、ポリヘキシレンアジペートエステルポリオール、ポリエチレン−プロピレンアジペートエステルポリオール、ポリエチレン−ブチレンアジペートエステルポリオール、ポリエチレン−ネオペンチレンアジペートエステルポリオールなどのアジペート系ポリエステルなどがあげられる。また、カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンエステルなどのポリカプロラクトン系ポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルがあげられる。また、ポリカーボネートジオールを用いてもよい。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
上記ポリウレタン原料組成物に配合される(B)ポリオールは、数平均分子量が2000〜4000のポリオールである。(B)ポリオールとして数平均分子量が2000未満のポリオールを用いると、ポリオール全体の数平均分子量が小さくなるため、得られるポリウレタン樹脂の物性が低くなる傾向があり好ましくない。また、数平均分子量が4000を超える場合は、使用する(D)ポリオールとの分子量の差が大きく、凹み模様を抑制する効果が小さくなるため好ましくない。
【0019】
上記ポリウレタン原料組成物に配合される(C)鎖延長剤としては、例えば、グリコールが使用される。このようなグリコールとしては、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール(DPG)、1,4−ブタンジオール(1,4BD)、ヘキサンジオール(HD)、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール(テレフタリルアルコール)、トリエチレングリコール等が挙げられる。また、上記グリコールの他に、その他の多価アルコールを使用することができる。このような多価アルコールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
【0020】
(C)鎖延長剤の分子量は、200以下であるものを用いる。(C)鎖延長剤の分子量が200を超えると、ハードセグメントの凝集が少なくなり、物性が低下するためである。
【0021】
上記ポリウレタン原料組成物は、(B)ポリオールの数平均分子量より小さく、上記(C)鎖延長剤の分子量より大きい数平均分子量を有する(D)ポリオールを含有する。上記(B)ポリオールと上記(C)鎖延長剤の間の数平均分子量をもつ(D)ポリオールを導入することにより、収縮ムラからくる凹み模様の発生のない成型品を得ることができる。
【0022】
この(D)ポリオールが含まれない場合には、(C)分子量200以下の鎖延長剤と(B)数平均分子量2000〜4000のポリオールというあまりにも分子量の差が大きいものを(A)ポリイソシアネートと反応させるため、反応が不均一になりやすい。反応時間の短縮のためにイソシアヌレート化触媒を使用すると、感温性が高く反応が急激に進行するため、さらに反応が不均一になりやすい。そのため、収縮ムラからくる凹み模様が発生してしまう。しかしながら、上記(B)ポリオールの数平均分子量より小さく上記(C)鎖延長剤の分子量より大きい数平均分子量を有する(D)ポリオールを導入すると、分子量の差が多段階的になるため、感温性触媒を使用し反応が急激な場合でも、収縮ムラからくる凹み模様をなくすことができるようになったと推察される。
【0023】
上記(D)ポリオールとしては、ポリエチレンアジペートエステルポリオール、ポリブチレンアジペートエステルポリオール、ポリヘキシレンアジペートエステルポリオール、ポリエチレン−プロピレンアジペートエステルポリオール、ポリエチレン−ブチレンアジペートエステルポリオール、ポリエチレン−ネオペンチレンアジペートエステルポリオールなどのポリエステルが挙げられる。これらのポリオールは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルを用いることができる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0024】
ポリウレタン原料組成物に含有される(D)ポリオールの質量に対する(B)ポリオールの質量の比率(D)/(B)は0.02〜0.25であることが好ましい。0.02以上とすると、(D)ポリオールにより(C)鎖延長剤と(B)ポリオールとの間の分子量の差を効果的に段階的にできるため収縮ムラに起因する凹み模様を抑制する効果が向上する。一方、0.25以下とすると、(B)ポリオールに比べて数平均分子量が小さい(D)ポリオールの比率が好適であるため、得られるポリウレタン樹脂の物性が高くなる傾向がみられる。
【0025】
また、上記(B)ポリオールと上記(D)ポリオールを合わせたポリオール全体での数平均分子量は1500から3000であることが好ましい。すなわち、1500以上であると、得られるポリウレタン樹脂の物性が向上し、また3000以下とすると、プレポリマーの粘度が低くなり金型への流れ性が高くなる。
【0026】
上記ポリウレタン原料組成物に配合される(E)ウレタン硬化用触媒としては、イソシアヌレート化触媒、アロファネート化触媒、ウレタン化触媒などがあるが、イソシアヌレート化触媒またはアロファネート化触媒を含むものが好ましく、両者を含むものも好ましく用いることができる。
【0027】
イソシアヌレート化触媒としては、例えば、N−エチルピペリジン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−エチルモルフォリン等の第3級アミンなどが挙げられる。
【0028】
イソシアヌレート化、アロファネート化両方を促進する触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや有機弱酸塩、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや有機弱酸塩、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリン酸、吉草酸、オクチル酸、ミリスチン酸、ナフテン酸等のカルボン酸のアルカリ金属塩の中の1種類、またはその混合物が挙げられる。このなかでは、成型後にブルームして他のパーツに影響を及ぼすことのないカルボン酸の金属塩が好ましい。
【0029】
また、ウレタン化触媒を併用しても良い。ウレタン化触媒としては、一般に用いられるポリウレタン硬化用の触媒を使用することができ、例えば三級アミン触媒が挙げられる。ジメチルエタノールアミンなどのアミノアルコール、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、N,N,N',N'-テトラメチル−1,3−ブタンジアミンなどのテトラアルキルジアミン、トリエチレンジアミン、ピペラジン系、トリアジン系などが例示できる。また、通常、ウレタンに用いられる金属触媒でもよく、ジブチル錫ジラウレートなどを例示することができる。
【0030】
ポリウレタン原料組成物における(E)ウレタン硬化用触媒の配合量は、3〜1000ppmである。3ppm以上であれば、硬化を促進する効果が得られ、1000ppm以下であれば、金型への流れ性を損なわずに硬化を促進する効果がみられるためである。
【0031】
本発明に係る電子写真装置用ブレードの製造方法は、特に限定されず、公知の方法の中から適したものを選択すればよい。例えば、クリーニングブレードを製造する場合には、クリーニングブレード用金型内に支持部材を配置した後、上記ポリウレタン原料組成物をキャビティに注入し、加熱して硬化させることにより、板状のブレード部材と支持部材とが一体化したクリーニングブレードを得ることができる。また、上記ポリウレタン原料組成物からポリウレタン樹脂シートを別途成型しこれから短冊状にカットしてブレード部材を調製し、接着剤を塗布または貼着した支持部材の上にブレード部材の接着部を重ね合わせ加熱加圧して接着する方法を取ることもできる。
【実施例】
【0032】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0033】
(実施例1)
(熱硬化性ポリウレタン原料組成物の調製)
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)296.6g、数平均分子量2400のポリエチレンアジペート(PEA)666.4gを80℃で3時間反応させ、NCO%が7.62%のプレポリマーを得た。また、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)34.2g、トリメチロールプロパン(TMP)18.4g、数平均分子量500のポリエチレンアジペート(PEA)37.0gの混合物に、P15(酢酸カリウムのエチレングリコール(EG)溶液、エアープロダクツジャパン社製;商品名)0.10g、トリエチレンジアミン(TEDA)0.53gを加え、ウレタン硬化用触媒を含有する混合物を準備した。
上記プレポリマーと上記ウレタン硬化用触媒を含有する混合物とを、成形を行うときに混合し、ポリウレタン原料組成物を調製した。このポリウレタン原料組成物における(D)ポリオールに該当する数平均分子量2400のポリエチレンアジペート(PEA)と(B)ポリオールに該当する数平均分子量500のポリエチレンアジペート(PEA)の質量の比率(D)/(B)の値は0.06であり、これらを合わせたポリオールの数平均分子量は2000であった。また、前記式(1)から計算されたイソシアネート基濃度は、2.25mmol/gであった。
【0034】
(クリーニングブレードの成形)
あらかじめ支持部材としてホルダーを用意し、このホルダーの片端部にフェノール系接着剤を塗布した。上型と下型で構成されるクリーニングブレード用成形型にこのホルダーを接着剤を塗布した片端部がキャビティ内に突出した状態で配置し、上記ポリウレタン原料組成物をキャビティ内に注入した。これを130℃の加熱温度で、加熱時間を変えて反応硬化させ、ついで硬化物を脱型してクリーニングブレードを得た。
【0035】
成形型への流れ性、硬化時間、得られたクリーニングブレードのブレード部材の凹み模様について下記方法で評価した。得られた結果を表1に示した。
(型への流れ性)
1分で反応硬化させて成形したクリーニングブレードを、目視で観察し、流れ不良による未充填部位の有無を検査し、次の基準で型への流れ性を評価した。
○:未充填部位が見られなかった
×:未充填部位が認められた
【0036】
(硬化時間)
脱型時にブレード部材が変形することなく脱型できるようになった加熱時間を求め硬化時間とした。
【0037】
(凹み模様)
1分で反応硬化させて成型した100個のクリーニングブレードについて目視で外観を観察しブレード部材に凹み模様の発生の見られたクリーニングブレードの数を求め、次の基準で評価した。
○:凹み模様の認められたものの数が0個であった
△:凹み模様の認められたものの数が1〜30個であった
×:凹み模様の認められたものの数が31個以上であった
【0038】
(硬度)
1分で反応硬化させて成型したクリーニングブレードを、更に、室温で1日放置し、得られたクリーニングブレードのブレード部材の硬度(IRHD)をウォーレス(H.W.WALLACE)社製ウォーレス微小硬度計を用い、JIS K 6253に基いて測定した。
【0039】
(実施例2)
(B)ポリオールとして数平均分子量2000のPEAを用い、このPEAの仕込み量および4,4’−MDI、(D)ポリオールであるPEA、ウレタン硬化用触媒であるP15の仕込み量を表1に示す仕込み量とした以外は実施例1と同様にしてクリーニングブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0040】
(実施例3)
(B)ポリオールとして数平均分子量4000のPEAを用い、このPEAの仕込み量並びに4,4’−MDI、鎖延長剤である1,4−BDおよびTMP、(D)ポリオールであるPEA、ウレタン硬化用触媒であるP15の仕込み量を表1に示す仕込み量とした以外は実施例1と同様にしてクリーニングブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0041】
(実施例4)
(D)ポリオールとして数平均分子量200のPEAを用い、このPEAの仕込み量および(B)ポリオールであるPEA、ウレタン硬化用触媒であるP15の仕込み量を表1に示す仕込み量とした以外は実施例1と同様にしてクリーニングブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0042】
(実施例5)
(D)ポリオールとして数平均分子量1200のPEAを用い、このPEAの仕込み量および(B)ポリオールであるPEA、ウレタン硬化用触媒であるP15の仕込み量を表1に示す仕込み量とした以外は実施例1と同様にしてクリーニングブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0043】
(実施例6)
(B)ポリオールであるPEAおよび(D)ポリオールであるPEAの仕込み量を表1に示す仕込み量として(B)および(D)ポリオールを合わせたポリオール全体の数平均分子量が1600になるようにし、4,4’−MDIおよびウレタン硬化用触媒であるP15の仕込み量を表1に示す仕込み量とした以外は実施例1と同様にしてクリーニングブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0044】
(実施例7、8)
4,4’−MDI、(B)ポリオールであるPEA、(D)ポリオールであるPEA、鎖延長剤である1,4−BD、TMPおよびウレタン硬化用触媒であるP15の仕込み量を表1に示す仕込み量とした以外は実施例1と同様にしてクリーニングブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0045】
(比較例1)
(B)ポリオールとして数平均分子量5000のPEAを用い、このPEAの仕込み量および(D)ポリオールであるPEAおよびウレタン硬化用触媒であるP15の仕込み量を表2に示す仕込み量とした以外は実施例1と同様にしてクリーニングブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0046】
(比較例2)
(B)ポリオールとして数平均分子量1800のPEAを用い、このPEAの仕込み量、並びに(D)ポリオールであるPEA、4,4’−MDI、鎖延長剤である1,4−BD、TMPおよびウレタン硬化用触媒であるP15の仕込み量を表2に示す仕込み量とした以外は実施例1と同様にしてクリーニングブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0047】
(比較例3)
(B)ポリオールとして数平均分子量2000のPEAを用い、このPEAの仕込み量、およびウレタン硬化用触媒であるP15の仕込み量を表2に示す仕込み量とし、(D)ポリオールを使用しなかった以外は実施例1と同様にしてクリーニングブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0048】
(比較例4)
(E)ウレタン硬化用触媒を用いなかった以外は実施例1と同様にしてクリーニングブレードを作製し、評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
表1からわかるように、実施例1〜8においては、型への流れ性は問題なく、硬化時間は2分以内、凹み模様の発生がないことがわかる。これに対し、表2の比較例1および2は(B)ポリオールの数平均分子量が本発明における数平均分子量の範囲外にあり、また、比較例3では、(D)ポリオールを用いていないため、凹み模様が発生し、比較例4では、ウレタン硬化用触媒を用いなかったため、硬化時間が10分と長くなっており、生産効率が悪いことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン樹脂で形成されたブレード部材を有する電子写真装置用ブレードにおいて、
前記ポリウレタン樹脂が、下記の(A)〜(E)を少なくとも含有するポリウレタン原料組成物を用いて製造されたものであることを特徴とする電子写真装置用ブレード。
(A)ポリイソシアネート
(B)数平均分子量が2000〜4000のポリオール
(C)分子量200以下の鎖延長剤
(D)(B)ポリオールの数平均分子量より小さく、(C)鎖延長剤の分子量より大きい数平均分子量を有するポリオール
(E)ウレタン硬化用触媒
【請求項2】
前記ポリウレタン原料組成物に含有される(D)ポリオールの質量に対する(B)ポリオールの質量の比率(D)/(B)が0.02〜0.25であり、かつ、(B)ポリオールと(D)ポリオールを合わせたポリオールの数平均分子量が1500〜3000であることを特徴とする請求項1記載の電子写真装置用ブレード。
【請求項3】
前記ポリウレタン原料組成物の下記式(1)から計算されるイソシアネート基濃度(mmol/g)が1.80〜2.63であることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真装置用ブレード。
NCO=1000×Fn×Wiso/(Mniso×Wall) (1)
(式中、NCOはイソシアネート基濃度(mmol/g)を、Fnは(A)ポリイソシアネート一分子当たりのイソシアネート基数を、Wisoは(A)ポリイソシアネートの仕込み量(g)を、Mnisoは(A)ポリイソシアネートの数平均分子量を、Wallは(A)〜(E)の合計質量(g)を表す。)
【請求項4】
前記(E)ウレタン硬化用触媒が、イソシアヌレート化触媒またはアロファネート化触媒を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真装置用ブレード。

【公開番号】特開2006−290934(P2006−290934A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109747(P2005−109747)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】