説明

電子写真記録用積層シート

【課題】
画質に優れるとともに、光沢性が高く、かつ搬送性に優れた電子写真記録用積層シートを提供する。
【解決手段】
基材の少なくとも片面に熱可塑性樹脂からなる2以上の樹脂層を設けた電子写真記録用積層シートであって、前記2以上の樹脂層のうち最外の樹脂層にポリメチルペンテンを含有し、前記2以上の樹脂層の少なくとも1層に熱可塑性エラストマーを含有する。特に、前記2以上の樹脂層のうち、最外層を除く少なくとも1層に融点130℃以下の樹脂を含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、基材表面に熱可塑性樹脂からなる層が積層された、電子写真方式による記録に適した電子写真記録用積層シートに関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、電子写真法により良質なカラー画像を形成する方法として、カラートナー像を転写体あるいは記録媒体と呼ばれるシート状物の上に定着する際に、当該カラートナー像を熱ロールにより加圧することにより、加熱、溶融して転写体表面に埋め込むように定着して、表面の凹凸の少ないカラー画像を形成する方法が知られている。
例えば特許文献1では、定着後のカラートナー像の厚みに対応した層厚の透明樹脂層を転写体の表面に存在させて、カラートナー像を透明樹脂層中に埋め込むように定着してカラー画像を形成することが記載されており、さらに、樹脂層上にカラートナーを付着させ、加熱、溶融、固着してカラー画像を形成する際に、熱源を内蔵する部材下に移動するベルト状搬送体により、転写体の表面の透明樹脂層上に付着したカラートナーを加熱して透明樹脂層中に溶融させ、次いで冷却して固着させ、さらに転写体をベルト状搬送体から分離してカラー画像を形成する方法が示されている。
【0003】
また、このようなトナーを埋め込むようにして画像を形成する方法に対応する転写体としては、例えば特許文献2に、基材の少なくともトナー像を転写する面に下塗り層と上塗り層の二層からなる熱可塑性の透明樹脂層を有し、トナー、下塗り層、上塗り層の軟化点の関係を規定した記録媒体が示されている。
【0004】
また、特許文献3には熱可塑性合成樹脂を積層したシートの耐熱性を向上させることを目的として、支持体の片面あるいは両面に熱可塑性樹脂層を形成した積層シートであって、少なくとも一方の面の熱可塑性樹脂層は、支持体に接してシングルサイト系触媒で合成された直鎖状低密度ポリエチレンからなる層、最外層に融点200℃以上の熱可塑性樹脂層及び該最外層と接する層に変性ポリオレフィン又はアイオノマーの少なくとも1種類からなる層を形成した積層シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−216322号公報
【特許文献2】特開平11−231562号公報
【特許文献3】特開2005−342997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記の特許文献1、2に開示されている電子写真記録用シートにおいては、表面に樹脂層を設けた転写体を用いるため、電子写真方式の画像形成装置内で定着部等の熱ロールに接触することにより、表面の熱可塑性樹脂が軟化し、そこに熱ロール等の面調が写されて、表面性や光沢性が悪化し美麗性が損なわれる。また、潜像トナーを記録シートに転写して熱融着により固定する際、記録シートを約200℃程度の高温の熱ロール間に通すために、熱可塑性樹脂が融着することが原因と考えられる、複写機やプリンターの故障や走行トラブルが発生する。
【0007】
この問題を解決するために、特許文献3においては融点が200℃以上の熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリメチルペンテンを最外層に使用している。しかし、耐熱性を満足しても、印字高速化の要求などから転写体をより短時間で熱ロールと加圧ロールとのニップ部を通過させようとする場合には、カラートナー像の樹脂層中への埋め込みが不十分で、表面に凹凸が形成されやす問題があった。
【0008】
そこで本発明の目的は、基材の表面に樹脂層を存在させ、この樹脂層上にカラートナーを定着してカラー画像を形成する方法において、画像に凹凸がなく画質に優れるとともに、光沢性が高く、かつ搬送性に優れた電子写真記録用積層シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
樹脂の融点または軟化点にのみ着目した場合は、たとえそれぞれが低くても、転写体が熱ロールと加圧ロールのニップ部を短時間で通過する間に、カラートナーを十分に埋め込むことができる程に軟化し得るとは限らず、結果的に表面に凹凸のあるカラー画像が形成されやすい。本発明者等は、熱可塑性樹脂層に熱可塑性エラストマー(TPE)を配合して、これを軟質化することでトナー埋め込み性を向上できることを見出した。
【0010】
従って、上記課題は、基材の少なくとも片面に熱可塑性樹脂からなる2以上の樹脂層を設けた電子写真記録用積層シートであって、前記2以上の樹脂層のうち最外の樹脂層にポリメチルペンテンを含有し、前記2以上の樹脂層の少なくとも1層に熱可塑性エラストマーを含有することを特徴とする電子写真記録用積層シートにより達成される。
また、前記2以上の樹脂層のうち、、最外層を除く少なくとも1層に融点130℃以下の樹脂を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複写機またはプリンター等を用いて電子写真法により画像を形成する際、特に、基材上に設けた樹脂層中にトナーを埋め込み画像を形成する装置に用いた場合でも、装置内の熱定着部等と貼り付いてブロッキングが起こったり、画像形成の前後で光沢が損なわれることがない電子写真記録用積層シートを得ることができる。また、樹脂層中へのトナーの埋め込み性が良好で、表面に凹凸のない優れた面感の画像を得ることができ、銀塩のカラー画像に近い光沢性を有するカラー画像を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の電子写真記録用積層シートは、基材の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂からなる樹脂層を2層以上設けて製造される。
(基材)
本発明に使用される基材としては、上質紙、再生紙、コート紙(塗工紙)等の紙基材、合成紙、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム等のフィルム基材を挙げることができる。特に、銀塩写真調の面感を与えることからコート紙、特にキャストコート紙であることが好ましい。上質紙、あるいはコート紙の原紙の原料としては、特にパルプの種類等に制限はなくLBKP、NBKP、メカニカルパルプ等の木材繊維を主体に、必要に応じてコットンリンター、ケナフ、麻、竹等の非木材繊維、オレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、ガラス、ロックウール等の無機繊維が使用可能である。また、酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ等の無機填料や、有機微粒子(有機顔料)を基材中に含有することができる。さらに、必要に応じて内添、外添工程にて定着剤、顔料、染料、サイズ剤、紙力向上剤等を添加して、従来公知の紙の製造方法に従い製造される。
【0013】
コート紙は、一般に原紙上にバインダーと有機又は無機顔料とを主体として含有する塗工層を設けたものであり、各種方式による印刷用紙や記録用紙として広く用いられている。コート紙の製造方法も公知であり、通常使用されている種類の材料及び装置が適宜使用される。例えば、バインダーとしてはポリビニルアルコール、スチレン重合体、スチレン−ブタジエン系共重合体、スチレン−アクリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などやその誘導体等を挙げることができる。顔料はカオリン、焼成クレー、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ等が挙げられる。これらのバインダー、顔料、その他必要に応じて各種の添加剤を水系で分散させ塗工液を調製し、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、ダイコーター等を用いて、原紙の表面に塗工することにより塗工層を設ける。
【0014】
なお、カラー画像の反射光を豊富にしてより光沢性に優れるカラー画像を得るために、前記の不透明基材と樹脂層との間に、例えばCaO、BaO、SrO、ZnO、TiO2、BaSO4等の白色顔料を分散含有させた層を設けてもよい。より光沢性の高い電子写真記録用積層シートを得るためには、コート紙やキャスト紙など、より高い光沢性を持った基材を用いることが好ましい。
【0015】
(熱可塑性樹脂からなる樹脂層)
本発明において最外層を形成する樹脂層は、カラートナーを加熱、溶融、定着する際に、電子写真記録用積層シートが画像形成装置内の熱定着部や搬送体に貼り付き、ブロッキングを起こすことを防止する機能を有する。従って、最外層にはポリメチルペンテンを含有する。ポリメチルペンテンは、4 -メチルペンテン−1を主原料とする、結晶性のオレフィン系ポリマーであり、融点が220〜240℃の耐熱性とともに加熱ロールとの剥離性に優れた樹脂であり、好ましい。最外の樹脂層の耐熱性が低いとブロッキングが発生しやすくなり、画像が荒れて光沢性も低下する。
【0016】
本発明において最外層を除く少なくとも1層を形成する樹脂は、カラートナーを加熱、溶融、定着する際にトナーを埋め込ませるための柔軟性を付与する機能を有する。従って、最外層以外の樹脂層には、カラートナーが十分に埋め込まれるように、前述したポリメチルペンテンより低い融点の樹脂が含まれることが好ましい。
【0017】
また、本発明においては、、最外層を除く少なくとも1層に融点130℃以下の熱可塑性樹脂、より好ましくは125℃以下である熱可塑性樹脂を含有させることが好ましい。この融点が130℃以下の樹脂、より好ましくは125℃以下である。また、樹脂は、融点130℃以下の熱可塑性樹脂は最外の樹脂層と接する樹脂層に含有することが好適である。
【0018】
融点が130℃以下の熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート)、ポリウレタン、エポキシ樹脂等、ラミネート加工可能な樹脂を挙げることができるが、特にラミネート加工性、コストの面からポリエチレンを用いることが好ましい。
【0019】
(熱可塑性エラストマー)
本発明ではさらに、上述した熱可塑性樹脂層に熱可塑性エラストマー(TPE)を配合することでより高いトナー埋め込み性を付与することが可能となる。熱可塑性エラストマー(TPE)とは、プラスチックとゴムの中間の性質を持っており、常温ではゴムのように軟らかく、プラスチックのように射出成形などの溶融成形が可能な素材である。使用可能な熱可塑性エラストマー(TPE)としては、例えば、スチレン系(SBC)、オレフィン系(TPO)、塩ビ系(TPVC)、ウレタン系(TPU)、エステル系(TPEE)、アミド系(TPAE)等があげられるが、これに制限されるものではない。配合する樹脂への相溶性、付与する柔軟性を考慮して適宜選択すればよい。特に熱可塑性樹脂と相溶性が高い水添スチレンブタジエンラバーを用いることが好ましい。
【0020】
熱可塑性エラストマーの特異な性質は,軟らかいゴム成分からなるソフトセグメント(軟質相)と硬い樹脂成分からなるハードセグメント(硬質相)に分離している構造に由来する。ソフトセグメントが軟らかく組成変形する性質を示し,ハードセグメントが加硫ゴムの架橋点のように塑性変形を阻止(拘束)する。この二つの働きによって,加硫ゴムと同様のゴム弾性を示す。
【0021】
本発明において、熱可塑性エラストマーは前述した熱可塑性樹脂からなる2以上の樹脂層のいずれかに含有するが、トナーの埋め込み性が高いという点で、最外の樹脂層と接する樹脂層に含有することが好ましい。
【0022】
最外層及び、または内層に配合する熱可塑性エラストマー(TPE)の配合量は、所望の機能を発揮できれば特に制限されないが配合する樹脂層の質量に対して5質量%以上、50質量%以下、より好ましくは10質量%以上、30質量%以下である。配合量が少ない場合、カラートナー像が加熱、溶融、定着されたとき、樹脂層中に十分に埋め込まれず凹凸の多いカラー画像が形成される。また過大にしてもカラートナー埋め込みの効果は頭打ちとなり、コスト的に不利となる。さらに、最外層に過剰に配合した場合、軟化した最外層の樹脂が直接定着部と接して貼り付きやすくなり、画像が荒れて光沢性が低下する可能性がある。
【0023】
(樹脂層の形成方法)
上述した熱可塑性樹脂からなる2以上の樹脂層は、通常、熱可塑性樹脂を基材上に押し出しラミネートまたは共押し出しラミネートして形成することができる。また、所望の性能が確保できるならば、公知のあらゆる塗工方式を用いて、樹脂層を形成しても良い。
【0024】
(樹脂層の厚さ)
前記樹脂層の最外層の層厚は、所望の機能を発揮できれば特に制限されないが1〜15μm厚、好ましくは3〜10μm厚程度であればよい。樹脂層の外層の層厚が過大ではカラートナー像が加熱、溶融、定着されたとき、樹脂層中に十分に埋め込まれにくくなり、凹凸の多いカラー画像が形成される。一方、最外層の層厚が過小では基材と最外層との間の樹脂層が十分に被覆されず、カラートナーを加熱、溶融、定着した際に、軟化した最外層以外の樹脂が直接定着部と接して貼り付きやすくなり、画像が荒れて光沢性が低下する可能性がある。
【0025】
また、最外層を除く樹脂層は、所望の機能を発揮できれば特に制限されないが15μm以上、150μm以下、より好ましくは20μm以上、100μm以下である。厚みが過小ではカラートナー像が加熱、溶融、定着されたとき、樹脂層中に十分に埋め込まれず、凹凸の多いカラー画像が形成される。また過大にしてもカラートナー埋め込みの効果は頭打ちとなり、コスト的に不利となる。基材上に積層される熱可塑性樹脂層の全体の厚さは、片面16〜165μm、好ましくは23〜110μmの範囲にあることが好ましい。
【0026】
樹脂層全体の厚さが薄すぎる場合、押出しラミネーション法や共押出しラミネーション法による各層の積層が困難となる。また、厚すぎると製造コストが高くなり、しかも静電気が発生しやすくなるので、その必要がある場合には導電剤の使用などの対応が好ましい。
【0027】
(他面の構成)
また、熱可塑性樹脂からなる2以上の樹脂層は基材の片面あるいは両面に設けてもよいが、画像形成装置内で熱ロール等に接しトナー定着面となる側に存在させることが必須である。コスト面からすれば、基材、最外の樹脂層に接する樹脂層、および最外の樹脂層を順次積層した構造が最も経済的であり、単純な構造ながら十分な効果を得ることができるが、基材と最外の樹脂層の間に、上記した種類の熱可塑性樹脂等からなる2以上の層を適宜設けることもできる。熱可塑性樹脂からなる2以上の樹脂層を片面に設ける場合、反対側の面には用途により、何も設けない、粘着剤を塗布する、その他機能を有する樹脂を単独あるいは複数の層として設けるなど適宜選択できる。熱可塑性樹脂からなる2以上の樹脂層を設ける場合は両面とも全く同じ積層構造としてもよいし、求める品質性能に応じ、構成、厚み、積層順序、製造方法等を適宜調整することができる。記録面に対して裏側の面には何も設けないか、積層シートの両面とも全く同じ構成で樹脂層を積層することが好ましい。
【0028】
(添加物)
また、所望の効果に影響を与えない範囲で、樹脂層には種々の添加剤を添加したり、樹脂層の表面に塗工剤を塗工したりすることができる。例えば、カラートナーとの密着性を良好にすることを目的とした層や、表面の電気特性を付与することを目的とした層(具体的には、帯電防止剤等を含有する層)を、ラミネートや公知の塗工処理により最外の樹脂層の表面に設けてもよい。さらに、耐ブロッキング剤(アクリルビーズ、ガラスビーズ、シリカ等)、トナー定着剤、不透明性、筆記性等を持たせる目的で酸化チタン、炭酸カルシウム等の白色無機顔料、接着性向上剤など、一般的に使用される添加剤や塗工剤を使用することができる。
【実施例】
【0029】
以下に、本願発明を実施例に基づいて説明するが、本願発明はこれらに限定されるものではない。なお、得られた実施例及び比較例において、光沢度、トナー埋め込み性、装置の定着部との貼り付き性は、以下のようにして評価を行い、結果を表2に示した。なお、融点はJIS K 7121、硬さ(ShoreA)はASTM D2240に準じて測定した。
【0030】
<光沢度>
白紙部の75°光沢度をJIS P−8142に準じて測定した。
<トナー埋め込み性>
電子写真記録用積層シートの樹脂が存在する側をトナー定着面とし、リコー製SPC810でトナーを付着させた後、トナー定着面にトナーとの剥離性が良好な厚さ75μmのPETフィルムとを重ね合わせ、熱ロールの温度および速度条件を変更して通した後、得られた画像のトナー埋め込みの具合を目視で評価した。
◎:トナーは十分に埋め込まれており、画像部と非画像部に凹凸は見られない
○:トナーは埋め込まれており、画像部と非画像部に凹凸はほとんど見られない
×:トナーは十分に埋め込まれておらず、画像部と非画像部に凹凸が見られる
【0031】
<画質>
電子写真記録用積層シートの樹脂が存在する側をトナー定着面とし、リコー製SPC810でトナーを付着させた後、トナー定着面にトナーとの剥離性が良好な厚さ75μmのPETフィルムとを重ね合わせ、150℃、3kg/cmで熱圧処理した際の、画像(文字)のつぶれ具合の変化を目視で評価した。
○:文字のつぶれはなく、画質が良好である。
×:文字のつぶれがみられ、画質は悪化している。
【0032】
<貼り付き性>
白紙状態の電子写真記録用積層シートの樹脂が存在する面と厚さ10μmのアルミ製フィルムの光沢面とを重ね合わせ、さらにアルミ製フィルムの非光沢面上に厚さ75μmのPETフィルムを重ね合わせ、温度140℃の熱ロールに速度6mm/secで通した後、室温となるまで放置し、電子写真記録用積層シートの樹脂が存在する面とアルミ製フィルムの光沢面とを剥離した際の貼り付き性について評価した。
○:貼り付きはみられない
△:やや貼り付くが、シート表面は破壊されない
×:貼り付きがみられ剥離できない、または剥離するとシートが破壊される
【0033】
[実施例1]
内層として低密度ポリエチレン(以下LDPE:融点55℃)と熱可塑性エラストマー(以下TPE)として水添スチレンブタジエンラバー(以下HSBR:硬さ41度)を質量比で7:3となるように混合し溶融したものと、外層としてポリメチルペンテン(融点230℃)の溶融物とが、基材である坪量155g/mのキャスト紙のキャストコート面に、LDPE及びHSBR混合溶融物が基材側に位置して積層されるように、Tダイを用いて押出温度300℃にて共押出しラミネーションを行い、電子写真記録用積層シートを製造した。
即ち、この電子写真記録用積層シートは、ポリメチルペンテン層/LDPE+HSBR(質量比で7:3)層/キャスト紙という積層構成を有する。なお、このときポリメチルペンテン層及びLDPE+HSBR層の厚さは、それぞれ5μm、25μmであった。
【0034】
[実施例2〜7、比較例1]
実施例1において、樹脂の種類、融点、TPE配合比、層厚を表1に示すとおりとした他は実施例1と同様にして電子写真記録用積層シートを製造した。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
本発明に相当する実施例1〜4の電子写真記録用積層シートは画質に優れるとともに、トナー埋め込み性が良好で、かつ搬送性に優れていた。
【0038】
一方、熱可塑性エラストマーを含有しない比較例1〜3においては、熱ロールの温度を120℃とした場合のトナー埋め込み性が劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも片面に熱可塑性樹脂からなる2以上の樹脂層を設けた電子写真記録用積層シートであって、前記2以上の樹脂層のうち最外の樹脂層にポリメチルペンテンを含有し、前記2以上の樹脂層の少なくとも1層に熱可塑性エラストマーを含有することを特徴とする電子写真記録用積層シート。
【請求項2】
前記2以上の樹脂層のうち、最外層を除く少なくとも1層に融点130℃以下の樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真記録用積層シート。

【公開番号】特開2010−237439(P2010−237439A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85286(P2009−85286)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】