説明

電子制御ユニット及びその製造方法

【課題】同一電子基板上に高密度電子部品と大気圧センサとを実装し、高密度電子部品に対しては防湿コーティング処理を施し、大気圧センサには防湿材が混入しないようにして作業能率と品質向上を図り、且つ電子基板が大型化しないように配置された電子制御ユニットを得る。
【解決手段】大気圧センサを搭載した電子基板が筐体に収納され当該筐体に外気通気孔を設けた電子制御ユニットであって、電子基板に形成された第一面と第二面を接続ピン群用のコネクタハウジング部に近い側と遠い側とに2分することによって形成された第二領域と第一領域、この第一領域の第一面及び/又は第二面に搭載した実装部品、複数の接続ピン群を矯正整列させるロケータを備え、第一領域は防湿材によってコーティング処理されると共に大気圧センサが配置された第二領域はコーティング処理されていないものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大気圧センサが搭載された電子基板を筐体に収納し、外気と連通した通気孔を設けた電子制御ユニット及びその製造方法の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車載エンジン制御装置において、エンジン制御を行なう上で必要とされる大気圧を測定するために、大気圧センサをエンジン制御装置に内蔵し、しかもエンジン制御装置をエンジンルームに設置するために防水構造とすることが行われている。
例えば特許文献1のエンジン制御装置によれば、エンジンルームへ配置されるエンジン制御コントロールユニットにおいて、当該コントロールユニットは油や水等の各種液がコントロールユニット内部へ進入しない空気のみを通すフィルタを備えた構造を備え、当該コントロールユニット内部に大気圧センサを内蔵していることを特徴とするセンサ内蔵防水型エンジン制御装置が開示されており、防水型コントロールユニットに内蔵された大気圧センサは、空気導入孔の近くに配置され、防水型コントロールユニットの空気導入孔の取り入れ口は、少なくとも2個以上の複数個を備えることによって、各種液体の進入によるコントロールユニットへの影響をより低減し、且つ圧力検出の応答性をより向上することができるものとなっている。
【0003】
又、特許文献2の大気圧センサが組み付けられた電子制御装置によれば、筐体外部のコネクタ装着部に大気圧センサを設けることによって、電子基板を収納した筐体を密閉化して大気導入フィルタを不要にした電子制御装置が開示されている。
又、この特許文献2で示された従来例によれば、電子制御装置は大気圧センサと電子部品を同一基板に実装して筐体内に収容し、当該筐体の開口部には筐体内部への異物の侵入を防ぎ、大気圧センサや電子部品等を水や埃から守りながら筐体内への大気の導入のための大気導入フィルタが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−100635号公報
【特許文献2】特開2007−290526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によるエンジン制御装置は、ベースと環状フレームとカバーによる3ピース構造の密閉筐体に複数の電子基板が収納され、一方の小基板に大気圧センサを搭載し、電子部品を搭載した大基板に対して接続するように構成されている。
この特許文献1の実施例では、複数の基板とそれぞれの基板の組立作業と相互の接続作業が必要となって大型高価になる問題点があると共に、空気導入孔に対して防水フィルタを備えていても高湿度大気が筐体に浸入することによって電子基板に搭載された高密度実装部品の電極間にマイグレーション(導電性の結晶体)やウイスカ(導電性のヒゲ)が発生する危険性がある。これを防止するために電子基板に防湿コーティングを施そうとすると、大気圧センサに設けられた通気孔に防湿材が侵入しないように目張り処理を行う必要があり、作業性が悪化する。又、コーティング処理後の目張り除去を忘れた場合には大気圧センサが機能しなくなり品質が低下する。
【0006】
一方、特許文献2による電子制御装置は、扁平中空5面体のケースの開口面から1枚の電子基板を挿入して、一対のコネクタによって開口面を封鎖するようにした1ピース構造
の密閉筐体において、電子基板には電子部品のみを搭載し、大気圧センサは筐体外部のコネクタに内蔵するようになっている。
この特許文献2の実施例では、多数のコネクタピンが密集したコネクタ内に大気圧センサを取り付ける必要があるため、作業効率が悪化する。又、大気圧センサをコネクタ内に配置しても外部からの浸水を防止して通気を確保する必要があり、従来例と比較して構造が複雑となるために品質低下が懸念される。
【0007】
この発明の第一の目的は、同一電子基板上に高密度電子部品と大気圧センサとを実装し、しかも高密度電子部品に対しては防湿コーティング処理を施し、大気圧センサには防湿材が混入しないようにして作業能率と品質向上を図った電子制御ユニットを提供することである。
この発明の第二の目的は、大気圧センサを搭載したことによって電子基板が大型化しないように配置された電子制御ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による電子制御ユニットは、
大気圧センサを搭載した電子基板が筐体に収納され、当該筐体に外気通気孔を設けた電子制御ユニットであって、前記電子基板の端縁には複数の接続ピン群が挿入された複数のコネクタハウジングが設けられると共に、前記電子基板は前記コネクタハウジングが搭載される第一面と、当該第一面の反対面である第二面を有し、当該第一面と第二面はそれぞれ第一領域と第二領域に区分されており、前記第一領域には、第一面側及び第二面側のいずれか一方又は双方に半田付け接続される表面実装部品を搭載し、当該表面実装部品は防湿材によってコーティングされ、前記第二領域には、前記複数の接続ピン群の各接続ピンがロケータを介して第一面から第二面に貫通挿入されて、第二面側で半田付け接続が行われ、前記ロケータは前記複数の接続ピン群が貫通する接続ピン貫通孔を有し、当該ロケータは前記複数の接続ピンの先端部を矯正整列させ、整列された接続ピンが前記電子基板の第二領域に設けられたスルーホールメッキ穴に挿入されるようになっており、前記大気圧センサに設けられた素子通気孔は、前記電子基板の第二領域であって、前記複数の接続ピン群のスペースにより形成された群間位置又は側端位置に設けられ、前記電子基板の第一、第二面の第二領域は高密度部品が実装されず前記防湿材によるコーティング処理を必要としない領域として区分されているものである。
【0009】
この発明による電子制御ユニットの製造方法は、
大気圧センサを搭載した電子基板を備え、当該電子基板を収納するための筐体に外気通気孔を設けた電子制御ユニットの製造方法であって、前記筐体の一部に設けられた複数のコネクタハウジングに対して、複数の接続ピン群を予め挿入しておく部品組立工程と、前記電子基板の第一面、又は第一面と第二面の各第一領域に、第一面側の表面実装部品又は第二面側の表面実装部品を搭載してリフロー半田を行う半田工程と、前記表面実装部品に対して防湿材を溶剤で希釈した溶液に浸漬するか、スプレー噴霧を行って加熱又は常温乾燥させる防湿処理工程と、前記電子基板の端縁位置である第二領域において、ロケータを介して前記複数の接続ピン群を第一面から第二面に貫通挿入し、第二面側で半田付け接続を行う後付半田工程を備え、前記大気圧センサに設けられた素子通気孔は、前記電子基板の第二領域であって、前記ロケータの群間位置又は側端位置に設けられ、前記電子基板の第一、第二面の第二領域は高密度部品が実装されず前記防湿材によるコーティング処理を必要としない領域として区分されているものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明による電子制御ユニットは、筐体に収納される電子基板を第一、第二領域に分割し、第一領域には実装部品が搭載されて防湿コーティングが行われ、防湿コーティングを行わない第二領域にはコネクタハウジングに挿入された接続ピン群と、当該複数の接続
ピン群の群間位置又は側端位置に大気圧センサが設けられている。
従って、大気圧センサを第一領域に搭載していないので、防湿コーティング処理を行う前後に大気圧センサに設けられた検出素子に通ずる素子通気孔のマスキングテープの着脱を行う必要がなく、作業性が向上するのと、マスキングテープ貼り付け不良による大気圧センサ検出部への防湿材浸入による検出性能低下や、マスキングテープの剥がし忘れによる品質低下の懸念がなくなるため、品質も向上する効果がある。又、多数のコネクタ接続ピンが複数グループに分割されているので、コネクタの着脱に無理な挿抜力が作用せず、複数のコネクタハウジングの群間位置又は側端位置に発生するスペースを利用して大気圧センサを搭載したので、装置の大型化が防止される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1における電子制御ユニットを示す側断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1における電子制御ユニットを示す平面図である。
【図3】図1の中で使用されているロケータを示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図4】この発明の実施の形態1における電子制御ユニットの一部分を拡大して示す断面図である。
【図5】図1の中で使用されている表面実装部品である大気圧センサを示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図6】この発明の各実施の形態における電子制御ユニットの組立、製造工程を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2における電子制御ユニットを示す側断面図である。
【図8】この発明の実施の形態2における電子制御ユニットを示す平面図である。
【図9】図7の中で使用されているロケータを示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図10】図7の中で使用されている、リード部品である大気圧センサを示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図11】この発明の実施の形態3における電子制御ユニットの一部を示す平面図である。
【図12】この発明の実施の形態3における電子制御ユニットを示す側面図である。
【図13】この発明の実施の形態4における電子制御ユニットを示す側面図である。
【図14】図この発明の実施の形態4における電子制御ユニットの一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、この発明の各実施の形態を説明する。
なお、各図間において、同一符号は同一あるいは相当部分を示す。
【0013】
実施の形態1.
以下、この発明の実施形態1について図1、図2に基づき、図3〜図5を引用しながら説明する。
図1、図2において、電子制御ユニット100は、ベース110とカバー120よりなる筐体100Aと、この筐体100A内に一端縁部を後記接続ピン導入用のコネクタハウジング部121A、121Bに対向させて収納した電子基板130、この電子基板に搭載した大気圧センサ140などにより構成されている。
ベース110は、電子基板130に搭載された発熱部品134(図4)の発生熱を伝熱放散するため、例えばアルミダイキャスト、或いは板金による高熱伝導性の素材で構成されていて、図示しない取付足を介して例えば車両に取り付け固定されるようになっている。又、ベース110には、ベース110の中央部分より大気圧センサ140に接近した位置に、例えば直径2mm以上の外気通気孔116が設けられ、この外気通気孔116は、水や油の通過を阻止する通気性(通気可能な)の防水フィルタ115によって封鎖されている。なお、この防水フィルタ115は、一般に撥水フィルタとして市販されていて、例えば直径6mm、膜厚100μm、粒子孔径1μmのフィルタを樹脂製のガイドプレートに熱溶着したものを、ベース110に対してシリコンボンドで接着して固定するようになっている。
【0014】
カバー120は、例えば樹脂成形品が採用され、カバー120の端面(図1、図2の左側)には、接続ピン導入用の第一、第二のコネクタハウジング121A、121Bが一体成形され、この一対のコネクタハウジングには、第一、第二の接続ピン群122A、122Bが圧入固定されている。
第一、第二の接続ピン群122A、122Bは、直角に折り曲げられ、その一端は、図示しない相手コネクタに装着された接続ピン群と個々に接触接続し、他端は電子基板130の端部である後述の第二領域に半田接続されるようになっている。
【0015】
電子基板130は、カバー120と対向する第一面130Aと、ベース110と対向する第二面130Bを備え、この第一面130Aと第二面130Bは、図1に示すようにコネクタハウジング部121A、121Bに近い側と遠い側とに2分(区分)することによって第二領域と第一領域とが形成されている。
【0016】
電子基板130の第一領域では、第一面130A側の高密度部品である表面実装部品131Aと第二面130B側の表面実装部品131Bが半田付け接続されて、これ等の表面実装部品は、高温使用環境で液化流動しない軟質ポリマ樹脂を用いた防湿材132A、132Bによってコーティングされている。なお、表面実装部品は第一面側にだけ設けられることもあり、この場合にはコーティング処理も第一面側にだけ施せばよい。
【0017】
電子基板130の一端縁部(図1において左側)である第二領域には、第一、第二の接続ピン群122A、122Bが第一面130Aから第二面130Bに貫通して、第二面側で半田付け接続が行われるようになっている。
電子基板130には、カバー120と対向する第一面130A側の空間Aと、ベース110と対向する第二面130B側の空間Bを連結する基板通気孔133が設けられ、この基板通気孔133は、電子基板130の第二領域に設けられるか、又は第一領域で大気圧センサ140に接近した位置に設けられるが、第一領域に設ける場合には、防湿コーティングによる目詰まり防止のため電子基板130の厚さよりも大きな径で防湿材のコーティング処理によって封鎖されない大きさの通気孔となっている。なお、基板通気孔133の大きさの一例として厚みが1.0mmから1.6mmの電子基板130に対し、基板通気孔の直径を2.0mm以上とするのが適切である。
なお、基板通気孔133を、第二領域で大気圧センサ140に接近した位置に設ける場合は、防湿コーティング処理(後述の防湿処理工程参照)で電子基板を垂直にどぶ漬けする際、コーティング液の液面変動の影響を受けない位置に設けられる。
【0018】
大気圧センサ140は、電子基板130の第一面130Aの第二領域であって、図2に示すように第一接続ピン群122Aと、第二接続ピン122Bとの間である群間位置152Aに設けられていて、この領域、すなわち電子基板130の第一、第二面の第二領域は、高密度部品が実装されず、したがって第一領域のように防湿材によるコーティング処理を必要としない領域として区分されている(大気圧センサ140の構成については、後述の図5参照)。
【0019】
第一、第二の接続ピン群122A、122Bの先端には、図3で示すガイド部材(以下「ロケータ」という)150が設けられ、ロケータ150によって多数の接続ピンの位置を矯正整列してから電子基板130の第二領域に設けられた多数のスルーホールメッキ穴
130Cに挿入するようになっている。
【0020】
図2、図3(a)、図3(b)において、ロケータ150は、第一部分151Aと第二部分151Bと群間部分152Aと側端部分152Bによって構成されていて、第一部分151Aには第一の接続ピン群122Aが挿入される多数の接続ピン貫通孔153Aが設けられ、第二部分151Bには第二の接続ピン群122Bが挿入される多数の接続ピン貫通孔153Bが設けられている。
なお、ロケータ150の第一部分151Aと第二部分151Bとは、電子基板130の第一面に対して隣接対向するようになっているが、第一部分151Aと第二部分151Bとを相互に連結して一体化するための群間部分152Aは、大気圧センサ140を迂回するために少なくとも一部分が電子基板130の第一面との隙間を大きくした隔開部分とし、当該隔開部分は複数の直交面を組み合わせた跨線橋状の立体構造となっている。
したがって、大気圧センサ140は、この隔開部分により形成された第一面部分のスペースに搭載されている。
又、ロケータ150の側端部分152Bは、カバー120の内面に設けられた図示しない係合部と係合して、ロケータ150全体の組付け位置を矯正するようになっている。
【0021】
以上のとおり、ロケータ150は、電子基板130と隣接対向することによって接続ピンの挿入が容易となる一方で、群間部分152A、又は側端部分152Bを電子基板の第一面130Aから跨線橋状に隔開して大気圧センサの配置を可能にすることができる特徴がある。
【0022】
電子基板130を収納した筐体100Aは、輪郭外周部を防水シール材112によって密封固定したベース110とカバー120によって構成されている。
ベース110とカバー120の取付け構造を示す図4において、ベース110とカバー120の4隅は、固定ねじ113によって固定するようになっているが、ベース110は環状突起111を備え、この環状突起111はカバー120側に設けられた環状凹部120Aと嵌合し、この環状凹部120Aには防水シール材112が塗布されている。
【0023】
又、電子基板130に搭載された発熱部品134は、電子基板130の両面に設けられた面状パターンとこれを連結する多数のスルーホールメッキ穴と伝熱ボンド114を介してベース110へ伝熱して熱放散するようになっている。
【0024】
図5(a)、図5(b)において、表面実装部品である大気圧センサ140は、樹脂製の収納パッケージ140Aに内蔵された圧電素子である検出素子143と、電源端子と信号端子が接続された表面接続端子141A、141Bを備え、収納パッケージ140Aには、外気と検出素子143を連通させる素子通気孔142A、142Bが設けられている。
なお、大気圧センサ140の表面接続端子141A、141Bは、図10で後述するリード端子であってもよく、大気圧センサ140の取付け位置はロケータ150の側端位置であってもよい。
【0025】
次に、上述した電子制御ユニット100の製造法について説明する。
以下、図6に示すフローチャートにより電子制御ユニット100の組立、製造工程を説明する。
図6において、
(1)工程600は、組立作業の開始ステップである。
(2)部品組立工程601
(2-1)続く工程601Aでは、ベース110に対して防水フィルタ115を接着固定する

(2-2)続く工程601Bでは、カバー120の第一、第二のコネクタハウジング121A
、121Bに対して、第一、第二の接続ピン群122A、122Bを圧入固定し、ロケータ150を装着する。
(3)電子基板の第一面に対する半田工程610A
(3-1)続く工程602Aは、電子基板の第一面130Aに対する表面実装用リフロー半
田工程610Aの開始工程で、第一面130Aを上面としてリフロー半田ラインに設置する。
(3-2)続く工程603Aでは、電子基板の第一面130Aに対してメタルマスクをセッ
トし、半田接続部にクリーム半田を塗布する。
(3-3)続く工程604Aでは、電子基板の第一面130Aに対して表面実装部品131
A、大気圧センサ140、発熱部品134を搭載する。
(3-4)続く工程605Aでは、工程603Aで塗布されたクリーム半田を加熱溶融させ
てリフロー半田を行ってからブロア冷却を行う。(半田工程610Aが完了する)
【0026】
(4)電子基板の第二面に対する半田工程610B
(電子基板130の第二面に対して表面実装部品を半田付けする場合は、第一面130Aの半田工程610Aと同様にリフロー半田が行われる。但し、第二面130Bに対してリフロー半田を行わない電子基板の場合には、工程ブロック610Bは省略されるようになっている)
(4-1)工程602Bでは、電子基板130を表裏反転して設置する。
(4-2)工程603Bでは、第二面の半田印刷を行う。
(4-3)工程604Bでは、表面実装部品131Bを搭載する。
(4-4)工程605Bでは、加熱、冷却が行われる。
(5)防湿処理工程611
(5-1)続く工程611では、表面実装部品が半田付け実装された電子基板130の第一
領域は、防湿材と希釈材とを混合した防湿材溶液を充填した浸漬槽に対して両面をどぶ漬け(浸漬)する。但し、片面実装の場合は防湿材溶液をスプレー噴霧することによって塗布することも可能である。
なお、防湿材としては、軟質ポリマ樹脂であるシリコーン樹脂と石油系溶剤を一次希釈材として混合し、常温環境25℃において7〜14Paの粘度を有する混合液を原料として使用するのが適しており、防湿材溶液は混合液に対して二次希釈材としてノルマルヘキサンを混合し、溶液としての比重が所定値となるように管理されている。
(5-2)塗布された防湿材溶液は、加熱乾燥又は常温自然乾燥することによって一次希釈
材と二次希釈材が気化し、残されたシリコーン樹脂によってコーティング膜が生成される。
(6)後付半田工程612
(6-1)続く工程606は、電子基板130の第一面130Aに実装される第一、第二の
接続ピン群122A、122Bを第二面130B側で半田付けするための後付半田工程612の開始工程であって、電子基板130の第一面130Aを上面として噴流半田ラインに設置する。
(6-2)続く工程607では、工程601Bによってカバー120と一体化されてロケー
タ150が装着された第一、第二の接続ピン群122A、122Bを、電子基板130の第一面130Aに対して挿入する。
(6-3)続く工程608では、電子基板130の第二面130B側から溶融半田を噴流接
触させて、第一、第二の接続ピン群122A、122Bの先端部と電子基板130の接続ランドを半田接続してから、ブロア冷却を行う。(後付半田工程612が完了する)
【0027】
(7)全体組立工程613
続く工程613では、カバー120と一体化された電子基板の第二面130Bを上面
として治具に設置し、図4で示されたとおりカバー120の外周端面に設けられた環状凹部120Aに防水シール材112を塗布し、発熱部品134の裏側に伝熱ボンド114を塗布してから固定ねじ113によってカバー120とベース110を一体化する。なお、工程601Aで防水フィルタ115を取り付ける替わりにこの工程613において防水フィルタ115を取り付けるようにしてもよい。
(8)調整、検査工程614
続く工程614では、第一、第二の接続ピン群122A、122Bに相手コネクタを接続して電子制御ユニット100に通電し、その性能検査、初期調整、外観検査を行なう。
良好に検査、調整が行なわれると作業終了工程609へ移行し、検査不良であった場合には図示しない分析処理工程へ移行するようになっている。
(9)作業終了工程609
【0028】
なお、図1で示された電子制御ユニット100の筐体100Aは、ベース110とカバー120とによって構成された2ピース構造のものとなっているが、カバー120を輪郭外周部と天井壁面部に分割する3ピース構造のものにしておいて、検査良品確定後に天井壁面部を封鎖固定するような構成にすることも可能である。この場合には、検査不良となった後の分析処理工程で、針状プローブを用いて各部の導通状態の点検を行うことができる特徴がある。
【0029】
次に、実施の形態1における電子制御ユニットの要点と効果について説明する。
以上の説明で明らかなとおり、この発明の実施形態1による電子制御ユニット100は、大気圧センサ140を搭載した電子基板130が筐体100Aに収納され、当該筐体に外気通気孔116を設けた電子制御ユニットであって、電子基板130の一端縁部には、複数の接続ピン群122A、122Bが挿入された複数のコネクタハウジング121A、121Bが設けられると共に、電子基板130はコネクタハウジングが搭載される第一面130Aと、当該第一面の反対面である第二面130Bを備え、当該第一面と第二面はそれぞれ第一領域と第二領域に区分されている。
【0030】
第一領域には、第一面側の表面実装部品131A又は第二面側の表面実装部品131Bの一方又は双方が半田付け接続されて、当該表面実装部品は高温使用環境で液化流動しない軟質ポリマ樹脂を用いた防湿材132A、132Bによってコーティングされており、第二領域には、複数の接続ピン群の各接続ピン122A、122Bがロケータ150を介して第一面130Aから第二面130Bに貫通挿入されて、第二面130B側で半田付け接続が行われる。
【0031】
ロケータ150は、複数の接続ピン群が貫通する接続ピン貫通孔153A、153Bを備え、当該ロケータは、複数の接続ピンの先端部を矯正整列して、整列された接続ピンが電子基板の第二領域に設けられたスルーホールメッキ穴130Cに挿入されるようになっており、大気圧センサ140に設けられた素子通気孔142A、142Bは、電子基板の第二領域であって、複数の接続ピン群の群間位置152A(又は側端位置)に設けられ、電子基板の第一面130A、第二面130Bの第二領域は、高密度部品が実装されず防湿材によるコーティング処理を必要としない領域として区分されている。
【0032】
大気圧センサ140は、収納パッケージ140Aに内蔵された検出素子143と、電源端子と信号端子が接続された表面接続端子又はリード端子である接続端子141A、141Bを備え、収納パッケージ140Aには、外気と検出素子143を連通させる素子通気孔142A、142Bが設けられていると共に、ロケータ150は、複数の接続ピン群に対応した分割部分を相互に連結する群間部分152Aと、ロケータの両端に位置する側端部分152Bを有している。
群間部分152A、又は側端部分152Bの少なくとも一つの部分は、大気圧センサ1
40を迂回するために電子基板130の第一面との隙間を大きくした隔開部分を有している。
【0033】
以上のとおり、この発明の請求項2に関連して、複数の接続ピン群122A、122Bの各接続ピンは、ロケータ150によって矯正整列されて電子基板130に搭載され、当該ロケータ150の分割部分を連結する群間部分152A又は側端部分152Bは大気圧センサ140を迂回する構造となっている。
従って、ロケータ150は、電子基板130と隣接対向することによって接続ピンの挿入が容易となる一方で、群間部分152A又は側端部分152Bを電子基板の第一面130Aから隔開して大気圧センサ140の配置を可能にすることができる特徴がある。
【0034】
電子基板130を収納した筐体100Aは、輪郭外周部を防水シール材112によって密封固定したベース110とカバー120によって構成されており、ベース110は電子基板130に搭載された発熱部品134の発生熱を伝熱放散するための高熱伝導素材によって構成されていると共に、当該ベース110には外気通気孔116が設けられている。
【0035】
外気通気孔116は、ベース110の中央部分よりは大気圧センサ140に接近した位置に設けられると共に、当該外気通気孔116は通気可能であるが液体の浸入を防止する防水フィルタ115によって封鎖されており、電子基板130にはカバー120と対向する第一面130A側の空間Aと、ベース110と対向する第二面130B側の空間Bを連結する基板通気孔133が設けられている。
【0036】
当該基板通気孔133は、電子基板130の第二領域に設けられるか、又は第一領域で大気圧センサ140に接近した位置に設ける場合には、電子基板130の厚さよりも大きな径で防湿材132A、132Bのコーティング処理によって封鎖されない大きさの通気孔となっている(段落番号0017参照)。
【0037】
以上のとおり、この発明の請求項5に関連して、電子基板130を収納する筐体100Aは、カバー120と外気通気孔116を有するベース110によって構成され、当該外気通気孔116は、防水フィルタ115で封鎖されていると共に、電子基板130には基板通気孔133が設けられている。
従って、ベース110と電子基板130の第二面130Bによって構成された空間部Bが、電子基板130に搭載された発熱部品の発生熱によって高温となり、運転停止によってやがて外気で冷却される温度サイクルに対応して、外気通気孔によって呼吸作用が行われると共に、大気圧センサの環境は基板通気孔133を介して大気圧状態が確保される特徴がある。
【0038】
次に、実施の形態1における製造法の要点と効果について説明する。
大気圧センサ140を搭載した電子基板130を備え、当該電子基板を収納するための筐体100Aに外気通気孔116を設けた電子制御ユニット100の製造方法であって、
筐体100Aの一部に設けられた複数のコネクタハウジング121A、121Bに対して、複数の接続ピン群122A、122Bを予め挿入しておく部品組立工程601と、
電子基板130の第一面130A、又は第一面と第二面130Bの各第一領域に、第一面側の表面実装部品131A又は第二面側の表面実装部品131Bを搭載してリフロー半田を行う半田工程610A、610Bと、表面実装部品に対して防湿材132A、132Bを溶剤で希釈した溶液に浸漬するか、スプレー噴霧を行って加熱又は常温乾燥させる防湿処理工程611と、電子基板130の端縁位置である第二領域において、ロケータ150を介して複数の接続ピン群を第一面130Aから第二面130Bに貫通挿入し、第二面130B側で半田付け接続を行う後付半田工程612とを備え、大気圧センサ140に設けられた素子通気孔142A、142Bは、電子基板130の第二領域であって、ロケータ150の群間位置152A又は側端位置152Bに設けられ、電子基板130の第一、第二面130A、130Bの第二領域は高密度部品が実装されず防湿材によるコーティング処理を必要としない領域として区分されている。
【0039】
以上のとおり、この発明による電子制御ユニットの製造方法は、筐体100Aに収納される電子基板130を第一、第二領域に分割し、第一領域には高密度表面実装部品が搭載されて防湿コーティングが行われ、防湿コーティングを行わない第二領域には複数のコネクタハウジングに挿入された複数の接続ピン群と、当該複数の接続ピン群の群間位置152A又は側端位置152Bに大気圧センサ140を設けるようになっている。
従って、大気圧センサ140を第一領域に搭載していないので、防湿コーティング処理を行う前後に大気圧センサ140に設けられた検出素子143に通ずる素子通気孔142A、142Bのマスキングテープの着脱を行う必要がなく、作業性が向上する効果がある。又、複数のコネクタハウジングの群間位置152A又は側端位置152Bに発生するスペースを利用して大気圧センサ140を搭載したので、装置の大型化が防止される効果がある。
【0040】
第一、第二面の表面実装部品131A、131Bが半田付け実装された電子基板130の第一領域は、防湿材と希釈材とを混合した防湿材溶液を充填した浸漬槽に対して両面をどぶ漬けされるか、又は片面に対して防湿材溶液をスプレー噴霧することによって防湿材が塗布され、希釈材は塗布された防湿材溶液が加熱乾燥又は常温自然乾燥することによって気化し、残された防湿材によってコーティング膜が生成される。
【0041】
防湿コーティング膜となる防湿材132A、132Bは、希釈材が気化した後で、高温使用環境において液化流出しないことを限度とする軟質ポリマ樹脂であって、皮膜によって被膜部材の防湿を行う電気的絶縁物が使用されるようになっている。
【0042】
以上のとおり、この発明の請求項9に関連して、電子基板130の第一領域は、高温環境で液化流出しない軟質ポリマ樹脂を用いて防湿のための塗膜処理が施されている。
従って、外気通気孔116から流入する高湿度大気によって高密度電子部品の電極間に発生するマイグレーションやウイスカの発生を防止すると共に、防湿材132A、132Bの乾燥硬化によって半田付け部に過大なストレスが発生せず、しかも液化流動によって大気圧センサ140の素子通気孔142A、142Bに防湿材が侵入しない特徴がある。
【0043】
大気圧センサ140は、検出素子143に接続された表面接続端子141A、141Bと収納パッケージ140Aに設けられた素子通気孔142A、142Bを備え、当該大気圧センサ140は、電子基板130の第一面130Aに実装される表面実装部品131Aの実装とリフロー半田と同一工程で実装とリフロー半田が行われるが、防湿コーティング処理工程では防湿材溶液に対する浸漬又はスプレー処理が行われないようになっている。
【0044】
以上のとおり、この発明の請求項10に関連して、大気圧センサ140は、表面実装部品となっており、電子基板の第一面130Aに対する表面実装部品の実装、半田付けと同一工程で実装、半田付けが行われ、コーティング処理は除外されるようになっている。
従って、大気圧センサ140は、単独の実装、半田工程を必要とせず、コーティング処理だけを除外すればよいので、組み立て工程が複雑にならない特徴がある。
なお、第一、第二の接続ピン群122A、122Bが挿入される電子基板130の第二領域は、コーティング処理を行ってはならない領域であるため、大気圧センサ140のための特別処理は不要となるものである。
【0045】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2について、図7、図8に基づき図9、図10を引用しな
がら、図1、図5で説明した実施の形態1との相違点を中心として説明する。
なお、各図において、実施の形態1における100番台の符号を200番台の符号に置き換えたものは、同一部分又は相当部分を示している。
【0046】
図7、図8において、電子制御ユニット200は、ベース210とカバー220によりなる筐体200Aと、この筐体内に一端縁部を接続ピン導入用のコネクタハウジング部221A、221B、221Cに対向させて収納した電子基板230、この電子基板に搭載した大気圧センサ240などにより構成されている。
例えば樹脂成形品であるカバー220には、例えば直径2mm以上の外気通気孔226が設けられ、この外気通気孔226は、水や油の通過を阻止する通気性の防水フィルタ225によって封鎖されている。なお、この防水フィルタ225は、樹脂製のガイドプレートを介してカバー220に対してシリコンボンドで接着して固定するようになっている。
【0047】
カバー220の端面(図7、図8の左側)には、第一、第二、第三のコネクタハウジング221A、221B、221Cが一体成形され、これらのコネクタハウジングには第一、第二、第三の接続ピン群222A、222B、222Cが圧入固定されている。
第一、第二、第三の接続ピン群222A、222B、222Cは、直角に折り曲げられ、その一端は図示しない相手コネクタに装着された接続ピン群と個々に接触接続し、他端は電子基板230の端縁である第二領域に半田接続されるようになっている。
電子基板230は、カバー220と対向する第一面230Aと、ベース210と対向する第二面230Bを備え、この第一面230Aと第二面230Bは、図7に示すようにそれぞれ第一領域と第二領域に区分されている。
【0048】
電子基板230の一端縁である第一領域には、第一面側の表面実装部品231Aと第二面側の表面実装部品231Bが半田付け接続されて、これ等の表面実装部品は、高温使用環境で液化流動しない軟質ポリマ樹脂を用いた防湿材232A、232Bによってコーティングされている。なお、表面実装部品は、第一面側にだけ設けられることもあり、この場合にはコーティング処理も第一面側にだけ施せばよい。
【0049】
電子基板230の他端縁である第二領域には、第一、第二、第三の接続ピン群222A、222B、222Cが、第一面230Aから第二面230Bに貫通して第二面230B側で半田付け接続が行われるようになっている。
【0050】
大気圧センサ240は、電子基板230の第一面230Aの第二領域であって、第一、第三の接続ピン群222A、222Cの一方側端位置に設けられていて、電子基板230の第一、第二面230A、230Bの第二領域は、高密度部品が実装されず防湿材によるコーティング処理を必要としない領域として区分されている。
電子基板230には、カバー220と対向する第一面230A側の空間Aと、ベース210と対向する第二面230B側の空間Bとを連結する基板通気孔233が設けられ、この基板通気孔233は、電子基板230の第二領域に設けられるか、又は第一領域で大気圧センサ240に接近した位置に設ける場合には、基板の厚さよりも大きな径で防湿材のコーティング処理によって封鎖されない大きさの通気孔となっている。
【0051】
第一、第二、第三の接続ピン群222A、222B、222Cの先端には、図9で示すロケータ250が設けられ、ロケータ250によって多数の接続ピンの位置を矯正整列してから電子基板230の第二領域に設けられた多数のスルーホールメッキ穴230Cに挿入するようになっている。
図9(a)、図9(b)において、ロケータ250は、第一部分251Aと第二部分251Bと第三部分251Cと群間部分252Aと側端部分252Bによって構成されていて、第一部分251Aには第一の接続ピン群222Aが挿入される多数の接続ピン貫通孔253Aが設けられ、第二部分251Bには第二の接続ピン群222Bが挿入される多数の接続ピン貫通孔253Bが設けられ、第三部分251Cには第三の接続ピン群222Cが挿入される多数の接続ピン貫通孔253Cが設けられている。
【0052】
ロケータ250の第一部分251Aと第二部分251Bと第三部分251Cとは、電子基板230の第一面230Aに対して隣接対向するようになっているが、側端部分252Bは、図9のように、大気圧センサ240を迂回するために少なくとも一部分が電子基板230の第一面230Aから隔開して構成されている。なお、図8では、下方の側端部分
252Bに大気圧センサ240が配置されている。又、ロケータ250の側端部分252Bは、カバー220の内面に設けられた図示しない係合部と係合して、ロケータ250全体の組付け位置を矯正するようになっている。
【0053】
ベース210とカバー220の取付構造は、図4において前述したベース110とカバー120取付け構造と同じであり、この図4を援用しながら説明する。
カバー220は4隅の固定ねじ213によって固定するようになっている。すなわち、ベース210の図示しない環状突起(図4の111)がカバー220側に設けられた図示しない環状凹部(図4の120A)と嵌合し、この環状凹部には防水シール材(図4の112)が塗布されるようになっている。又、電子基板230に搭載された図示しない発熱部品(図4の134)は、電子基板230の両面に設けられた平面状パターンとこれを連結する多数のスルーホールメッキ穴130Cと図示しない伝熱ボンドを介してベース210へ伝熱して熱放散するようになっている。
【0054】
図10(a)、図10(b)において、リード部品である大気圧センサ240は、樹脂製の収納パッケージ240Aに内蔵された検出素子243と、電源端子と信号端子が接続されたリード端子241A、241Bを備え、収納パッケージ240Aには、外気と検出素子243を連通させる素子通気孔242A、242Bが設けられている。なお、大気圧センサ240のリード端子241A、241Bは、図5で前述したような表面接続端子であってもよい。
【0055】
次に、上述した電子制御ユニット200の製造法について、図6のフローチャートを援用しながら実施の形態1との相違点を中心にして説明する。
図6において、
(1)工程600は組立作業の開始ステップである。
(2)部品組立工程601、
(2-1)続く工程601Aでは、カバー220に対して防水フィルタ225を接着固定する。
(2-2)続く工程601Bでは、カバー220の第一、第二、第三のコネクタハウジング
221A、221B、221Cに対して、第一、第二、第三の接続ピン群222A、222B、222Cを圧入固定し、ロケータ250を装着する。
(3)電子基板の第一面に対する半田工程610A
(3-1)続く工程602Aは、電子基板の第一面230Aに対する表面実装用リフロー半
田工程610Aの開始工程であって、電子基板の第一面230Aを上面としてリフロー半田ラインに設置する。
(3-2)続く工程603Aでは、電子基板の第一面230Aに対してメタルマスクをセッ
トし、半田接続部にクリーム半田を塗布する。
(3-3)続く工程604Aでは、電子基板の第一面230Aに対して、表面実装部品23
1Aや図示しない発熱部品を搭載する。
(3-4)続く工程605Aでは、工程603Aで塗布されたクリーム半田を加熱溶融させ
てリフロー半田を行ってからブロア冷却を行う。(第一面に対する半田工程610Aが完了する)
(4)電子基板の第二面に対する半田工程610B
(電子基板の第二面230Bに対して表面実装部品を半田付けする場合の工程)
(4-1)工程602Bでは電子基板230を表裏反転して設置する。
(4-2)工程603Bでは第二面の半田印刷を行う。
(4-3)工程604Bでは表面実装部品231Bを搭載する。
(4-4)工程605Bでは加熱、冷却が行われる。
但し、第二面に対してリフロー半田を行わない電子基板の場合には、工程ブロック610Bは省略されるようになっている。
(5)防湿処理工程611
表面実装部品が半田付け実装された電子基板230の第一領域は、図1のものと同様に防湿材と希釈材とを混合した防湿材溶液を充填した浸漬槽に対して両面をどぶ漬けされる。
【0056】
(6)後付半田工程612、
(6-1)続く工程606は、電子基板230の第一面230Aに実装される第一、第二、
第三の接続ピン群222A、222B、222Cを第二面側で半田付けするための後付半田工程612の開始工程であって、電子基板の第一面230Aを上面として噴流半田ラインに設置する。
(6-2)続く工程607では、大気圧センサ240のリード端子241A、241Bを電
子基板230の第一面230Aに対して挿入すると共に、工程601Bによってカバー220と一体化されてロケータ250が装着された第一、第二、第三の接続ピン群222A、222B、222Cを、電子基板230の第一面230Aに対して挿入する。
(6-3)続く工程608では、電子基板230の第二面側から溶融半田を噴流接触させて
、第一、第二、第三の接続ピン群222A、222B、222Cの先端部と、大気圧センサ240のリード端子241A、241Bの先端部とを電子基板230の接続ランドに対して半田接続してから、ブロア冷却を行う。(後付半田工程612が完了する)。
(7)全体組み立て工程613
続く工程613は、カバー220と一体化された電子基板の第二面230Bを上面として治具に設置し、図4で示されたとおりカバー220の外周端面に設けられた環状凹部に防水シール材112を塗布し、発熱部品の裏側に伝熱ボンドを塗布してから固定ねじ213によってカバー220とベース210を一体化する。
(8)調整、検査工程614
続く工程614は、第一、第二、第三の接続ピン群222A、222B、222Cに相手コネクタを接続して電子制御ユニット200に通電し、その性能検査、初期調整、外観検査を行なう。
良好に検査、調整が行なわれると作業終了工程609へ移行し、検査不良であった場合には図示しない分析処理工程へ移行するようになっている。
この工程614において性能検査を行うときに、防水フィルタ225の外部から吸気又は給気を行って、電子制御ユニット200内部を減圧又は加圧し、大気圧センサ240の良否判定と初期校正を行ったり、ベース210とケース220の輪郭外周部における防水処理が正常に機能しているかどうかを大気圧センサ240の検出出力によって判定するようになっている。
【0057】
図7で示された電子制御ユニット200の筐体200Aは、ベース210とカバー220とによって構成された2ピース構造のものとなっているが、カバー220を輪郭外周部と天井壁面部に分割する3ピース構造のものにしておいて、検査良品確定後に天井壁面部を封鎖固定するような構成にすることも可能である。
【0058】
次に、実施の形態2における電子制御ユニットの要点と効果について説明する。
以上の説明で明らかなとおり、この発明の実施形態2による電子制御ユニット200は
、大気圧センサ240を搭載した電子基板230が筐体200Aに収納され、当該筐体に外気通気孔226を設けた電子制御ユニットであって、電子基板230の一端縁部には、複数の接続ピン群222A、222B、222Cが挿入された複数のコネクタハウジング221A、221B、221Cが設けられると共に、電子基板230はコネクタハウジングが搭載される第一面230Aと、当該第一面の反対面である第二面230Bを備え、当該第一面と第二面はそれぞれ第一領域と第二領域に区分されている。
【0059】
第一領域には、第一面側の表面実装部品231A又は第二面側の表面実装部品231Bの一方又は双方が半田付け接続されて、当該表面実装部品は高温使用環境で液化流動しない軟質ポリマ樹脂を用いた防湿材232A、232Bによってコーティングされており、第二領域には、複数の接続ピン群の各接続ピンがロケータ250を介して第一面230Aから第二面230Bに貫通挿入されて、第二面側で半田付け接続が行われる。
【0060】
ロケータ250は、複数の接続ピン群が貫通する接続ピン貫通孔253A、253B、253Cを備え、当該ロケータは複数の接続ピンの先端部を矯正整列して、整列された接続ピンが電子基板の第二領域に設けられたスルーホールメッキ穴230Cに挿入されるようになっており、大気圧センサ240に設けられた素子通気孔242A、242Bは、電子基板の第二領域であって、複数の接続ピン群の側端位置252Bに設けられ、電子基板の第一面230A、第二面230Bの第二領域は高密度部品が実装されず防湿材によるコーティング処理を必要としない領域として区分されている。
【0061】
電子基板230を収納した筐体200Aは、輪郭外周部を防水シール材112によって密封固定したベース210とカバー220によって構成されており、カバー220には、当該カバーの中心位置よりも大気圧センサ240に接近した位置に外気通気孔226が設けられると共に、当該外気通気孔は通気可能であるが液体の浸入を防止する防水フィルタ225によって封鎖されており、電子基板230にはカバー220と対向する第一面230A側の空間Aと、ベース210と対向する第二面230B側の空間Bを連結する基板通気孔233が設けられ、当該基板通気孔233は電子基板230の第二領域に設けられるか、又は第一領域に設ける場合には、基板の厚さよりも大きな径で防湿材のコーティング処理によって封鎖されない大きさの通気孔となっている。
【0062】
以上のとおり、この発明の請求項6に関連して、電子基板を収納する筐体200Aは、ベース210と外気通気孔226を有するカバー220によって構成され、当該外気通気孔は防水フィルタ225で封鎖されていると共に、電子基板230には基板通気孔233が設けられている。
従って、電子基板の第一面230Aに設けられた大気圧センサ240の気圧環境は、外気の気圧環境に接近し、正確に大気圧を測定することができる特徴がある。
又、ベース210と電子基板の第二面230Bによって構成された空間部Bは、基板通気孔233と外気通気孔226を介して外気と連通し、電子基板230に搭載された発熱部品の発生熱に伴う温度サイクルに対応して、共通の防水フィルタ225と外気通気孔226によって呼吸作用を行うことができる特徴がある。
【0063】
次に、実施の形態2における製造法の要点と効果について説明する。
大気圧センサ240を搭載した電子基板230を備え、当該電子基板を収納するための筐体200Aに外気通気孔226を設けた電子制御ユニット200の製造方法であって、筐体200Aの一部に設けられた複数のコネクタハウジング221A、221B、221Cに対して、複数の接続ピン群222A、222B、222Cを予め挿入しておく部品組立工程601と、電子基板230の第一面230A、又は第一面と第二面230Bの各第一領域に、第一面側の表面実装部品231A又は第二面側の表面実装部品231Bを搭載してリフロー半田を行う半田工程610A、610Bと、表面実装部品に対して防湿材2
32A、232Bを溶剤で希釈した溶液に浸漬するか、スプレー噴霧を行って加熱又は常温乾燥させる防湿処理工程611と、電子基板230の端縁位置である第二領域において、ロケータ250を介して複数の接続ピン群を第一面230Aから第二面230Bに貫通挿入し、第二面230B側で半田付け接続を行う後付半田工程612とを備え、大気圧センサ240に設けられた素子通気孔242A、242Bは、電子基板230の第二領域であって、ロケータ250の群間位置252A又は側端位置252Bに設けられ、電子基板230の第一、第二面230A、230Bの第二領域は、高密度部品が実装されず防湿材によるコーティング処理を必要としない領域として区分されている。
【0064】
検出素子243に接続されたリード端子241A、241Bと収納パッケージに設けられた素子通気孔242A、242Bを備えた大気圧センサ240の場合、当該大気圧センサ240は、電子基板230の第一面230Aに実装される複数の接続ピン群222A、222B、222Cの挿入、半田付けと同一工程で電子基板230に挿入と半田付けが行われ、防湿コーティング処理工程611では、防湿材溶液に対する浸漬又はスプレー処理が行われないようになっている。すなわち、大気圧センサ240は、リード部品となっている場合、電子基板の第一面230Aに対する複数の接続ピン群の実装、半田付けと同一工程で実装、半田が行われ、コーティング処理は除外されるようになっている。
【0065】
以上のとおり、この発明の請求項11に関連して、大気圧センサ240は、リード部品となっており、電子基板の第一面230Aに対する複数の接続ピン群の実装、半田付けと同一工程で実装、半田が行われ、コーティング処理は除外されるようになっている。
従って、大気圧センサ240は、単独の実装、半田工程を必要とせず、コーティング処理だけを除外すればよいので、組み立て工程が複雑にならない特徴がある。
なお、複数の接続ピン群が挿入される電子基板230の第二領域は、コーティング処理を行ってはならない領域であるため、大気圧センサ240のための特別処理は不要となるものである。
【0066】
電子基板230を収納した筐体200Aは、輪郭外周部を防水シール材112によって密封固定したベース210とカバー220によって構成されており、電子制御ユニット200の外気通気孔226には、防水フィルタ215が設けられ当該電子制御ユニットの組立最終工程の直前工程となる全体組立工程613では、電子基板230を組付けたカバー220とベース210の輪郭外周部には防水シール材が塗布されて固定ねじ213によって一体化され、全体組立工程613に続く調整、検査工程614では、外気通気孔226に対して減圧又は加圧ポンプを配管接続し、大気圧センサ240の出力信号を監視することによって、当該大気圧センサ240の検出大気圧が正常であるかどうか、又はカバー220とベース210との間の防水シールが確実に行われているかどうかを点検するようになっている。
【0067】
以上のとおり、この発明の請求項12に関連して、電子制御ユニットは、ベース210とカバー220間に設けられた防水シール材112と外気通気孔226に対する防水フィルタ225とを備え、組立最終工程である調整、検査工程613では、電子制御ユニット内の減圧又は加圧を行いながら大気圧センサの出力信号を監視するようになっている。
従って、大気圧センサ240が、正常に動作しているかどうかの点検と防水シール機構が正常に機能しているかどうかを、製品に内蔵した大気圧センサ240を用いて手軽に点検することができる特徴がある。
【0068】
実施の形態3.
以下、この発明の実施形態3について図11、図12に基づき、図1〜図5を引用しながら、図1、図7のものとの相違点を中心にして説明する。
なお、各図において100番台、200番台の符号を300番台の符号に置き換えたもの
は、同一部分又は相当部分を示している。
【0069】
図11、図12において、電子制御ユニット300は、ベース310とカバー320よりなる筐体300Aと、この筐体内に一端縁部を接続ピン導入用のコネクタハウジング部321A、321Bに対向させて収納した電子基板330、この電子基板に搭載した大気圧センサ340などにより構成されている。
例えば樹脂成形品であるカバー320の端面には、第一、第二のコネクタハウジング321A、321Bが一体成形されており、この第一、第二のコネクタハウジングの中間部には例えば直径2mm以上の外気通気孔326が設けられ、この外気通気孔326は水や油の通過を阻止する通気性の防水フィルタ325によって封鎖されている。
なお、この防水フィルタ325は、樹脂製のガイドプレートを介してカバー320に対してシリコンボンドで接着して固定するようになっている。
【0070】
第一、第二のコネクタハウジング321A、321Bには、第一、第二の接続ピン群322A、322Bが圧入固定されていて、直角に折り曲げられている第一、第二の接続ピン群322A、322Bの一端は、図示しない相手コネクタに装着された接続ピン群と個々に接触接続し、他端は電子基板330の端部である第二領域に半田接続されるようになっている。
電子基板330は、前述した実施の形態1、2と同様に、カバー320と対向する第一面330Aと、ベース310と対向する第二面330Bを備え、この第一面と第二面はそれぞれ第一領域と第二領域に区分されている。
電子基板330の第一領域には、第一面側の表面実装部品331Aと第二面側の表面実装部品331Bが半田付け接続されて、これ等の表面実装部品は、高温使用環境で液化流動しない軟質ポリマ樹脂を用いた防湿材332A、332Bによってコーティングされている。
なお、表面実装部品は、第一面側330Aにだけ設けられることもあり、この場合にはコーティング処理も第一面側にだけ施せばよい。
【0071】
電子基板330の端縁である第二領域には、第一、第二の接続ピン群322A、322Bが第一面330Aから第二面330Bに貫通して、第二面330B側で半田付け接続が行われるようになっている。
大気圧センサ340は、表面接続端子を採用し且つロケータの強度維持のため、第一領域と第二領域間に跨って配置されている。すなわち、大気圧センサ340の一部分は、電子基板330の第一面330Aの第二領域であって、第一、第二の接続ピン群322A、322Bの群間位置に設けられていて、電子基板330の第一面330A、第二面330Bの第二領域は、高密度部品が実装されず防湿材によるコーティング処理を必要としない領域として区分されている。
電子基板330には、カバー320と対向する第一面330A側の空間Aと、ベース310と対向する第二面330B側の空間Bを連結する基板通気孔333が設けられ、この基板通気孔333は、電子基板330の第二領域に設けられるか、又は第一領域で大気圧センサ340に接近した位置に設ける場合には、基板の厚さよりも大きな径で防湿材のコーティング処理によって封鎖されない大きさの通気孔となっている(段落番号0017参照)。
なお、第一、第二の接続ピン群322A、322Bの先端には、ロケータ350が設けられ、ロケータ350によって多数の接続ピンの位置を矯正整列してから電子基板330の第二領域に設けられた多数のスルーホールメッキ穴に挿入するようになっている。
【0072】
ロケータ350は、第一部分351Aと第二部分351Bと群間部分352Aと側端部分352Bによって構成されていて、第一部分351Aには第一の接続ピン群322Aが挿入される多数の接続ピン貫通孔353Aが設けられ、第二部分351Bには第二の接続
ピン群322Bが挿入される多数の接続ピン貫通孔353Bが設けられている。
なお、ロケータ350の第一部分351Aと第二部分351Bとは、電子基板330の第一面330Aに対して隣接対向するようになっているが、第一部分351Aと第二部分351Bとを相互に連結して一体化するための群間部分352A又は側端部分352Bの端縁部は、その一部が切り欠かれ、大気圧センサ340を迂回するために切開部分である切欠部分Kを備えている。なお、この群間部分352Aは、図3の群間部分152Aや図9の側端部分252Bと異なり、複数の直交面を組み合わせた立体構造となっていない。
又、ロケータ350の側端部分352Bは、カバー320の内面に設けられた図示しない係合部と係合して、ロケータ350全体の組付け位置を矯正するようになっている。
【0073】
ベース310とカバー320の取付け構造は、図4において前述したベース110とカバー120の取付け構造と同じであり、この図4を援用しながら説明する。
カバー320は4隅の固定ねじ313によってベース310に固定するようになっている。すなわち、ベース310は図示しない環状突起(図4の111)がカバー320側に設けられた図示しない環状凹部(図4の120A)と嵌合し、この環状凹部には防水シール材(図4の112)が塗布されるようになっている。
【0074】
又、電子基板330に搭載された図示しない発熱部品は、電子基板330の両面に設けられた平面状パターンとこれを連結する多数のスルーホールメッキ穴と図示しない伝熱ボンドを介してベース310へ伝熱して熱放散するようになっている。
大気圧センサ340は、樹脂製の収納パッケージ340Aに内蔵された検出素子343と、電源端子と信号端子が接続された表面接続端子341A、341Bを備え、収納パッケージ340Aには、外気と検出素子343を連通させる素子通気孔342A、342Bが設けられている。
【0075】
素子通気孔342A、342Bが設けられた収納パッケージ340Aの端面は、電子基板330と直交する面であって、電子基板330の第一領域からは遠い側の端面となっている。
従って、電子基板330に防湿処理を施すときには、電子基板330の第一領域を防湿材溶液に浸漬し、素子通気孔342A、342Bが設けられた大気圧センサ340の端面に至らない浸漬深さとしておくことにより、素子通気孔342A、342Bに防湿材が浸入するおそれがなく、大気圧センサ340の一部が防湿材溶液に浸漬されてもよいようになっている。但し、大気圧センサ340の一部が第一領域にあって、防湿材溶液に浸漬される場合には、大気圧センサ340は表面実装形の接続端子にしておく必要がある。
なお、大気圧センサ340の取付け位置は、ロケータ350の側端部の切欠部分Kの位置であってもよい。
【0076】
次に、上述した電子制御ユニット300の製造法について、図6のフローチャートを援用しながら相違点を中心にして説明する。
図6において、
(1)工程600は、組立作業の開始ステップである。
(2)部品組立工程601
(2-1)続く工程601Aでは、カバー320に対して防水フィルタ325を接着固定す
る。
(2-2)続く工程601Bで、はカバー320の第一、第二のコネクタハウジング321
A、321Bに対して、第一、第二の接続ピン群322A、322Bを圧入固定し、ロケータ350を装着する。
(3)電子基板の第一面に対する半田工程610A
(3-1)続く工程602Aは、電子基板の第一面330Aに対する表面実装用リフロー半
田工程610Aの開始工程であって、電子基板の第一面330Aを上面としてリフロー半
田ラインに設置する。
(3-2)続く工程603Aでは、電子基板の第一面330Aに対してメタルマスクをセッ
トし、半田接続部にクリーム半田を塗布する。
(3-3)続く工程604Aは、電子基板の第一面330Aに対して表面実装部品331A
や図示しない発熱部品を搭載するステップであり、表面接続端子341A、341Bを持つ大気圧センサ340もこの工程604Aで搭載される。
(3-4)続く工程605Aでは、工程603Aで塗布されたクリーム半田を加熱溶融させ
てリフロー半田を行ってからブロア冷却を行う。(第一面に対する半田工程610Aが完了する)。
【0077】
(4)電子基板の第二面に対する表面実装部品の半田工程(第一面の半田工程610Aと同様にリフロー半田が行われる。)
(4-1)工程602Bでは電子基板330を表裏反転して設置する。
(4-2)工程603Bでは第二面の半田印刷を行う。
(4-3)工程604Bでは表面実装部品331Bを搭載する。
(4-4)工程605Bでは加熱・冷却が行われる。
但し、第二面に対してリフロー半田を行わない電子基板の場合には、工程ブロック610Bは省略されるようになっている。
(5)防湿処理工程611
表面実装部品が半田付け実装された電子基板330の第一領域は、図1のものと同様に防湿材と希釈材とを混合した防湿材溶液を充填した浸漬槽に対して両面をどぶ漬けされる。
(6)後付半田工程612
(6-1)続く工程606は、電子基板330の第一面に実装される第一、第二の接続ピン
群322A、322Bを第二面側で半田付けするための後付半田工程612の開始工程であって、電子基板330の第一面を上面として噴流半田ラインに設置する。
(6-2)続く工程607では、工程601Bによってカバー320と一体化されてロケー
タ350が装着された第一、第二の接続ピン群322A、322Bを、電子基板330の第一面に対して挿入する。
(6-3)続く工程608は、電子基板330の第二面側から溶融半田を噴流接触させて、
第一、第二の接続ピン群322A、322Bの先端部を電子基板330の接続ランドに対して半田接続してから、ブロア冷却を行う。(後付半田工程612が完了する)
(7)全体組み立て工程613
続く工程613は、カバー320と一体化された電子基板の第二面330Bを上面として治具に設置し、図4で示されたとおりカバー320の外周端面に設けられた環状凹部に防水シール材112を塗布し、発熱部品の裏側に伝熱ボンドを塗布してから固定ねじによってカバー320とベース310を一体化するステップである。
(8)調整、検査工程614
続く工程614では、第一、第二の接続ピン群322A、322Bに相手コネクタを接続して電子制御ユニット300に通電し、その性能検査、初期調整、外観検査を行なうステップであり、良好に検査、調整が行なわれると作業終了工程609へ移行し、検査不良であった場合には図示しない分析処理工程へ移行するようになっている。
【0078】
図11、図12で示された電子制御ユニット300の筐体300Aは、ベース310とカバー320とによって構成された2ピース構造のものとなっているが、カバー320を輪郭外周部と天井壁面部に分割する3ピース構造のものにしておいて、検査良品確定後に天井壁面部を封鎖固定するような構成にすることも可能である。
【0079】
又、外気通気孔326と防水フィルタ325は、図1、図7のものと同様にベース310やカバー320の天井面に設けることも可能であり、望ましくは複数箇所に外気通気孔326と防水フィルタ325を設けることによって、一方の通気孔に目詰まりが発生しても、他方の通気孔によって大気圧の検出を可能にすることができる。
しかし、たとえ複数の通気孔を設けていても、目詰まりを回避できないような異常な泥水を被ったような場合には大気圧の検出が行えなくなる状態が発生する。
このような場合であっても、大気圧センサ340の作動状態を示す高度計を備えておけば、高度計の表示が異常であることによって保守点検を促すことが可能となる。
【0080】
なお、電子制御ユニット300が車載エンジン制御装置である場合、大気圧センサ340によって検出された大気圧によって車載エンジンの制御が行われるものであると共に、当該検出された大気圧によって車両の現在高度が車内表示しておくことが望ましい。
これにより、車両の登坂走行又は降坂走行によって車両の現在高度が変化した場合に、高度計の表示に変化がなければ、防水フィルタ325の目詰まり又は泥雪の付着による外気通気孔の通気不良が発生していると判断し、保守点検を促すことができる。
【0081】
次に、実施の形態3における電子制御ユニットの要点と効果について説明する。
以上の説明で明らかなとおり、この発明の実施形態3による電子制御ユニット300は、大気圧センサ340を搭載した電子基板330が筐体に収納され、当該筐体に外気通気孔326を設けた電子制御ユニットであって、電子基板330の一端縁部には複数の接続ピン群322A、322Bが挿入された複数のコネクタハウジング321A、321Bが設けられると共に、電子基板330はコネクタハウジングが搭載される第一面330Aと、当該第一面の反対面である第二面330Bを備え、当該第一面330Aと第二面330Bはそれぞれ第一領域と第二領域に区分されている。
【0082】
第一領域には、第一面側の表面実装部品331A又は第二面側の表面実装部品331Bの一方又は双方が半田付け接続されて、当該表面実装部品は高温使用環境で液化流動しない軟質ポリマ樹脂を用いた防湿材332A、332Bによってコーティングされており、第二領域には、複数の接続ピン群の各接続ピンがロケータ350を介して第一面330Aから第二面330Bに貫通挿入されて、第二面330B側で半田付け接続が行われ、ロケータ350は、複数の接続ピン群が貫通する接続ピン貫通孔352A、353Bを備え、当該ロケータは複数の接続ピンの先端部を矯正整列して、整列された接続ピンが電子基板330の第二領域に設けられたスルーホールメッキ穴に挿入されるようになっている。
【0083】
大気圧センサ340に設けられた素子通気孔342A、342Bは、電子基板330の第二領域であって、複数の接続ピン群の群間位置352A(又は側端位置352B)に設けられ、電子基板の第一面330A、第二面330Bの第二領域は、高密度部品が実装されず防湿材によるコーティング処理を必要としない領域として区分されている。
【0084】
大気圧センサ340は、収納パッケージ340Aに内蔵された検出素子343と、電源端子と信号端子が接続された表面接続端子341A、341Bを備え、収納パッケージ340Aには外気と検出素子343を連通させる素子通気孔342A、342Bが設けられていると共に、素子通気孔342A、342Bが設けられた収納パッケージ340Aの端面は、電子基板330と直交する面であって、電子基板330の第一領域からは遠い側の端面となっている。
【0085】
以上のとおり、この発明の請求項3に関連して、大気圧センサ340に設けられた素子通気孔340A、340Bは、電子基板330と直交する端面であって、電子基板330の第一領域からは遠い側の大気圧センサ340の端面に設けられている。
従って、大気圧センサ340の一部に対して防湿材が塗布されても、素子通気孔342A、342Bが塞がれないようにすることができる特徴がある。
又、ロケータの群間部分352A又は側端部分352Bに設けられた迂回部分は、複雑
な立体構造を避けて単なる切欠部分Kを有する平面部分とし、ロケータ350を作るための金型構造を単純化することができる特徴がある。
【0086】
電子制御ユニット300は、車載エンジン制御装置であって、大気圧センサ340によって検出された大気圧によって車載エンジンの制御が行われるものであると共に、当該検出された大気圧によって車両の現在高度が車内表示されるようになっている。
以上のとおり、この発明の請求項7に関連して、電子制御ユニット300は、車載エンジン制御装置であって、大気圧センサ340によって検出された大気圧に基づいて車載エンジンの制御が行われると共に、車両の現在高度が表示されるようになっている。
従って、車両の登坂走行又は降坂走行によって車両の現在高度が変化した場合に、高度計の表示に変化がなければ、防水フィルタ325の目詰まり又は泥雪の付着による外気通気孔の通気不良が発生していると判断し、保守点検を促すことができる特徴がある。
【0087】
実施の形態4.
以下、この発明の実施形態4について図13、図14に基づき、図1〜図5を引用しながら、図1、図7、図11のものとの相違点を中心にして説明する。
なお、各図において100番台、200番台、300番台の符号を400番台の符号に置き換えたものは、同一部分又は相当部分を示している。
なお、図13、図14の中で使用される大気圧センサ440は、図10のものと同じリード端子方式の構造のものである。
【0088】
図13、図14において、電子制御ユニット400は、ベース410とカバー420よりなる筐体400Aと、この筐体内に収納した電子基板430、この電子基板に搭載した大気圧センサ440などにより構成されている。
例えば樹脂成形品であるカバー420の端面には、接続ピン導入用の第一、第二コネクタハウジング421A、421Bが一体成形されている。
第一、第二のコネクタハウジング421A、421Bには、第一、第二の接続ピン群422A、422Bが圧入固定されていて、直角に折り曲げられている第一、第二の接続ピン群422A、422Bの一端は、図示しない相手コネクタに装着された接続ピン群と個々に接触接続し、他端は図1、図7と同様に、電子基板430の一端縁部である第二領域に半田接続されるようになっている。
【0089】
電子基板430は、図1、図7、図11と同様に、カバー420と対向する第一面430Aと、ベース410と対向する第二面430Bを備え、この第一面と第二面はそれぞれ第一領域と第二領域に区分されている。
電子基板430の第一領域には、第一面側の表面実装部品431Aと第二面側の表面実装部品431Bが半田付け接続されて、これ等の表面実装部品は、高温使用環境で液化流動しない軟質ポリマ樹脂を用いた防湿材432A、432Bによってコーティングされている。なお、表面実装部品は、第一面430A側にだけ設けられることもあり、この場合にはコーティング処理も第一面側にだけ施せばよい。
【0090】
電子基板430の端縁である第二領域には、第一、第二の接続ピン群422A、422Bが第一面430Aから第二面430Bに貫通して、第二面側で半田付け接続が行われるようになっている。
なお、第一、第二の接続ピン群422A、422Bの先端には、ロケータ450が設けられ、このロケータ450によって多数の接続ピンの位置を矯正整列してから電子基板430の第二領域に設けられた多数のスルーホールメッキ穴に挿入するようになっている。
ロケータ450は、第一部分451Aと第二部分451Bと両者を相互に連結する群間部分452Aと側端部分452Bによって構成されていて、第一部分451Aには第一の接続ピン群422Aが挿入される多数の接続ピン貫通孔453Aが設けられ、第二部分4
51Bには第二の接続ピン群422Bが挿入される多数の接続ピン貫通孔453Bが設けられ、群間部分452A又は側端部分452Bには、大気圧センサ440のリード端子441A、441Bが貫通するリード端子挿入孔454が設けられている。
したがって、大気圧センサ440は、図13では電子基板430の第一面の第二領域であって、群間位置452Aに設けられている。
電子基板430の第一面430A、第二面430Bの第二領域は、高密度部品が実装されず防湿材によるコーティング処理を必要としない領域として区分されている。
【0091】
電子基板430には、カバー420と対向する第一面側の空間Aと、ベース410と対向する第二面側の空間を連結する基板通気孔433が設けられ、この基板通気孔433は電子基板430の第二領域に設けられるか、又は第一領域で大気圧センサ440に接近した位置に設ける場合には、基板の厚さよりも大きな径で防湿材のコーティング処理によって封鎖されない大きさの通気孔となっている(段落番号0017参照)。
【0092】
カバー420の天井面には、外気通気孔426と防水フィルタ425が設けられているが、この防水フィルタ425と大気圧センサ440は一体化することも可能であり、これが一体化されている場合には、カバー420の天井面にはフィルタ取付孔が設けられ、弾性パッキン又はシールボンドなどによる弾性シールによって大気圧センサと一体化された防止フィルタを固定するようになっている。
【0093】
ベース410とカバー420の取付け構造は、図4において前述したベース110とカバー120取付け構造と同じであり、この図4を援用しながら説明する。
カバー420は、4隅の固定ねじ413によってベース410に固定するようになっている。すなわち、ベース410は図示しない環状突起(図4の111)がカバー420側に設けられた図示しない環状凹部(図4の120A)と嵌合し、この環状凹部には防水シール材(図4の112)が塗布されるようになっている。
又、電子基板430に搭載された図示しない発熱部品は、電子基板430の両面に設けられた平面状パターンとこれを連結する多数のスルーホールメッキ穴と図示しない伝熱ボンドを介してベース410へ伝熱して熱放散するようになっている。
【0094】
次に、上述した電子制御ユニット400の製造法について、図6のフローチャートを援用しながら製法の相違点を中心にして説明する。
図6において、
(1)工程600は組立作業の開始ステップである。
(2)部品組立工程601、
(2-1)続く工程601Aでは、カバー420に対して防水フィルタ425を接着固定す
る。
(2-2)続く工程601Bは、カバー420の第一、第二のコネクタハウジング421A
、421Bに対して、第一、第二の接続ピン群422A、422Bを圧入固定し、大気圧センサ440とロケータ450を装着する。
(3)電子基板の第一面に対する半田工程610A
(3-1)続く工程602Aは、電子基板の第一面430Aに対する表面実装用リフロー半
田工程610Aの開始工程であって、電子基板の第一面430Aを上面としてリフロー半田ラインに設置する。
(3-2)続く工程603Aでは、電子基板の第一面430Aに対してメタルマスクをセッ
トし、半田接続部にクリーム半田を塗布する。
(3-3)続く工程604Aは、電子基板の第一面430Aに対して、表面実装部品431
Aや図示しない発熱部品を搭載する。
(3-4)続く工程605Aでは、工程603Aで塗布されたクリーム半田を加熱溶融させ
てリフロー半田を行ってからブロア冷却を行う。(第一平面に対する半田工程610Aが
完了する)。
(4)電子基板の第二面に対する半田工程610B
(電子基板の第二面430Bに対して表面実装部品を半田付けする場合の工程で、電
子基板の第二面430Bに対して表面実装部品を半田付けする場合は、第一面430Aの
半田工程610Aと同様に第二面430Bの半田工程610Bによってリフロー半田が行われる)。
(4-1)工程602Bでは、電子基板430を表裏反転して設置する。
(4-2)工程603Bでは第二面の半田印刷を行う。
(4-3)工程604Bでは表面実装部品431Bを搭載する。
(4-4)工程605Bでは加熱、冷却が行われる。
但し、第二面430Bに対してリフロー半田を行わない電子基板の場合には、工程ブロック610Bは省略されるようになっている。
(5)防湿処理工程611
表面実装部品が半田付け実装された電子基板430の第一領域は、図1のものと同様に防湿材と希釈材とを混合した防湿材溶液を充填した浸漬槽に対して両面をどぶ漬けされる。
【0095】
(6)後付半田工程612
(6-1)続く工程606は、電子基板430の第一面に実装された第一、第二の接続ピン
群322A、322Bと大気圧センサ440のリード端子441A、441Bを第二面側で半田付けするための後付半田工程612の開始工程であって、電子基板430の第一面を上面として噴流半田ラインに設置する。
(6-2)続く工程607では、工程601Bによってカバー420と一体化されてロケー
タ450が装着された第一、第二の接続ピン群422A、422Bを、電子基板430の第一面に対して挿入する。
このとき、大気圧センサ440のリード端子441A、441Bも電子基板430の第一面に設けられたスルーホールメッキ孔に挿入される。
(6-3)続く工程608は、電子基板の第二面430B側から溶融半田を噴流接触させて
、第一、第二の接続ピン群422A、422Bの先端部とリード端子441A、441Bの先端部を電子基板430の接続ランドに対して半田接続してから、ブロア冷却を行う。(後付半田工程612が完了する)。
(7)全組み立て工程613
続く工程613は、カバー420と一体化された電子基板430の第二面を上面として治具に設置し、図4で示されたとおりカバー420の外周端面に設けられた環状凹部に防水シール材112を塗布し、発熱部品の裏側に伝熱ボンドを塗布してから固定ねじによってカバー420とベース410を一体化する。
(8)調整、検査工程614
続く工程614では、第一、第二の接続ピン群422A、422Bに相手コネクタを接続して電子制御ユニット400に通電し、その性能検査、初期調整、外観検査を行なうステップであり、良好に検査、調整が行なわれると作業終了工程609へ移行し、検査不良であった場合には図示しない分析処理工程へ移行するようになっている。
【0096】
図13、図14で示された電子制御ユニット400の筐体400Aは、ベース410とカバー420とによって構成された2ピース構造のものとなっているが、カバー420を輪郭外周部と天井壁面部に分割する3ピース構造のものにしておいて、検査良品確定後に天井壁面部を封鎖固定するような構成にすることも可能である。
【0097】
以上の説明では電子制御ユニット100、200、300、400は、防水構造のものとして説明したが、電子制御ユニットを例えば車両の車室内に設置するような場合には、カバーとベース間に設けられた防水シール材112(図4参照)は不要であると共に、外
気通気孔116、226、326、426に設けられた防水フィルタ115、225、325、425も不要である。しかし、外気通気孔を介して筐体内に流入する高湿度大気によって、高密度部品のマイグレーションやウイスカの発生を防止するために防湿処理を施す必要がある。
又、電子基板を収納する筐体は、ベースとカバーによる2ピース構造であったり、環状フレームとカバーとベースによる3ピース構造であったり、扁平中空の6面体ケースの開口端から電子基板を挿入するような1ピース構造のものであってもよい。
【0098】
次に、実施の形態4における電子制御ユニットの要点と効果について説明する。
以上の説明で明らかなとおり、この発明の実施形態4による電子制御ユニット400は、大気圧センサ440を搭載した電子基板430が筐体400Aに収納され、当該筐体に外気通気孔426を設けた電子制御ユニットであって、電子基板430の一端縁部には複数の接続ピン群422A、422Bが挿入された複数のコネクタハウジング421A、421Bが設けられると共に、電子基板430はコネクタハウジングが搭載される第一面430Aと、当該第一面の反対面である第二面430Bを備え、当該第一面と第二面はそれぞれ第一領域と第二領域に区分されている。
【0099】
第一領域には、第一面側の表面実装部品431A又は第二面側の表面実装部品431Bの一方又は双方が半田付け接続されて、当該表面実装部品は高温使用環境で液化流動しない軟質ポリマ樹脂を用いた防湿材432A、432Bによってコーティングされており、第二領域には、複数の接続ピン群の各接続ピンがロケータ450を介して第一面430Aから第二面430Bに貫通挿入されて、第二面430B側で半田付け接続が行われ、ロケータ450は複数の接続ピン群が貫通する接続ピン貫通孔453A、453Bを備え、当該ロケータは複数の接続ピンの先端部を矯正整列して、整列された接続ピンが電子基板の第二領域に設けられたスルーホールメッキ穴に挿入されるようになっている。
【0100】
大気圧センサ440に設けられた素子通気孔442A、442Bは、電子基板430の第二領域であって、複数の接続ピン群の群間位置452A(又は側端位置452B)に設
けられ、電子基板の第一面430A、第二面430Bの第二領域は、高密度部品が実装されず防湿材によるコーティング処理を必要としない領域として区分されている。
【0101】
大気圧センサ440は、収納パッケージ440Aに内蔵された検出素子443と、電源端子と信号端子が接続されたリード端子441A、441Bを備え、収納パッケージ440Aには外気と検出素子443を連通させる素子通気孔442A、442Bが設けられていると共に、ロケータ450は、複数の接続ピン群に対応した分割部分を相互に連結する群間部分452Aと、ロケータ450の両端に位置する側端部分452Bを有し、群間部分452A又は側端部分452Bの少なくとも一つの部分は、大気圧センサ440のリード端子441A、441Bが貫通して、電子基板430の第二領域に設けられたスルーホールメッキ穴に挿入されるリード端子挿入孔454が設けられている。
【0102】
以上のとおり、この発明の請求項4に関連して、大気圧センサ440は、リード端子441A、441Bを有し、ロケータの群間部分452A又は側端部分452Bに設けられたリード端子挿入孔454を貫通して電子基板のスルーホールメッキ穴に挿入されるようになっている。
従って、単純な金型によって製造できる扁平板状の単純な形状のロケータ450を用いて、遊休スペースに大気圧センサを配置することができる特徴がある。
【符号の説明】
【0103】
100 200 300 400 電子制御ユニット
100A、200A、300A、400A 筐体
110 210 310 410 ベース
111 環状突起
112 防水シール材
113 213 313 413 固定ねじ
114 伝熱ボンド
115 225 325 425 防水フィルタ
116 226 326 426 外気通気孔
120 220 320 420 カバー
120A カバーの環状凹部
121A、221A、321A、421A 第一のコネクタハウジング
121B、221B、321B、421B 第二のコネクタハウジング
221C 第三コネクタハウジング
122A、222A、322A、422A 第一の接続ピン群
122B、222B、322B、422B 第二の接続ピン群
222C 第三の接続ピン群
130 230 330 430 電子基板
130A、230A、330A、430A 電子基板の第一面
130B、230B、330B、430B 電子基板の第二面
131A、231A、331A、431A 表面実装部品(第一面)
131B、231B、331B、431B 表面実装部品(第二面)
132A、232A、332A、432A 防湿材
132B、232B、332B、432B 防湿材
133 233 333 433 基板通気孔
134 発熱部品
140 240 340 440 大気圧センサ
140A、240A、340A、440A 収納パッケージ
141A、141B 接続端子(表面接続端子)
241A、241B 接続端子(リード端子)
341A、341B 表面接続端子
441A、441B リード端子
142A、242A、342A、442A 素子通気孔
142B、242B、342B、442B 素子通気孔
143 243 343 443 検出素子
150 250 350 450 ロケータ
151A、251A、351A、451A 第一部分ロケータ
151B、251B、351B、451B 第二部分ロケータ
251C 第三部分ロケータ
152A、252A、352A、452A ロケータ群間部分
152B、252B、352B、452B ロケータ側端部分
153A、253A、353A、453A 接続ピン貫通孔
153B、253B、353B、453B 接続ピン貫通孔
253C 接続ピン貫通孔
454 リード端子挿入孔
601 部品組立工程
610A 半田工程(第一面)
611B 半田工程(第二面)
611 防湿処理工程
612 後付半田工程
613 全体組立工程
614 調整、検査工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧センサを搭載した電子基板が筐体に収納され、当該筐体に外気通気孔を設けた電子制御ユニットであって、前記電子基板の端縁には複数の接続ピン群が挿入された複数のコネクタハウジングが設けられると共に、前記電子基板は前記コネクタハウジングが搭載される第一面と、当該第一面の反対面である第二面を有し、当該第一面と第二面はそれぞれ第一領域と第二領域に区分されており、前記第一領域には、第一面側及び第二面側のいずれか一方又は双方に半田付け接続される表面実装部品を搭載し、当該表面実装部品は防湿材によってコーティングされ、前記第二領域には、前記複数の接続ピン群の各接続ピンがロケータを介して第一面から第二面に貫通挿入されて、第二面側で半田付け接続が行われ、前記ロケータは前記複数の接続ピン群が貫通する接続ピン貫通孔を有し、当該ロケータは前記複数の接続ピンの先端部を矯正整列させ、整列された接続ピンが前記電子基板の第二領域に設けられたスルーホールメッキ穴に挿入されるようになっており、前記大気圧センサに設けられた素子通気孔は、前記電子基板の第二領域であって、前記複数の接続ピン群間のスペースにより形成された群間位置又は側端位置に設けられ、前記電子基板の第一、第二面の第二領域は高密度部品が実装されず前記防湿材によるコーティング処理を必要としない領域として区分されていることを特徴とする電子制御ユニット。
【請求項2】
前記大気圧センサは、収納パッケージに内蔵された検出素子と、電源端子と信号端子が接続された表面接続端子又はリード端子である接続端子を備え、前記収納パッケージには外気と前記検出素子を連通させる素子通気孔が設けられていると共に、前記ロケータは、前記複数の接続ピン群に対応した分割部分を相互に連結する群間部分と、ロケータの両端に位置する側端部分を有し、前記群間部分又は側端部分の少なくとも一つの部分に、前記大気圧センサを迂回するために前記電子基板の第一面との隙間を大きくした隔開部分、又は前記一つの部分の端縁部を切り欠き形成した切欠部分を設け、当該位置に前記大気圧センサを配置したことを特徴とする請求項1に記載の電子制御ユニット。
【請求項3】
前記大気圧センサは、収納パッケージに内蔵された検出素子と、電源端子と信号端子が接続された表面接続端子を備え、前記収納パッケージには外気と前記検出素子を連通させる素子通気孔が設けられていると共に、前記素子通気孔が設けられた前記収納パッケージの端面は、前記電子基板と直交する面であって前記電子基板の第一領域からは遠い側の端面であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子制御ユニット。
【請求項4】
前記大気圧センサは、収納パッケージに内蔵された検出素子と、電源端子と信号端子が接続されたリード端子を備え、前記収納パッケージには外気と前記検出素子を連通させる素子通気孔が設けられていると共に、前記ロケータは、前記複数の接続ピン群に対応した分割部分を相互に連結する群間部分と、ロケータの両端に位置する側端部分を有し、前記群間部分又は側端部分の少なくとも一つの部分に前記大気圧センサを配置するとともに当該部分に、前記大気圧センサの前記リード端子が貫通して前記電子基板の第二領域に設けられたスルーホールメッキ穴に挿入されるリード端子挿入孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子制御ユニット。
【請求項5】
前記電子基板を収納した筐体は、輪郭外周部を防水シール材によって密封固定したベースとカバーによって構成され、前記ベースは前記電子基板に搭載された発熱部品の発生熱を伝熱放散するための高熱伝導素材によって構成されていると共に、当該ベースには前記外気通気孔が設けられ、前記外気通気孔は前記ベースの中央部分よりは前記大気圧センサに接近した位置に設けられると共に、当該外気通気孔は通気可能であるが液体の浸入を防止する防水フィルタによって封鎖され、前記電子基板には前記カバーと対向する第一面側の空間と前記ベースと対向する第二面側の空間を連結する基板通気孔が設けられ、
当該基板通気孔は前記電子基板の第二領域に設けられるか、又は第一領域で前記大気圧セ
ンサに接近した位置に設ける場合には、前記電子基板の厚さよりも大きな径で前記防湿材のコーティング処理によって封鎖されない大きさの通気孔であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子制御ユニット。
【請求項6】
前記電子基板を収納した筐体は、輪郭外周部を防水シール材によって密封固定したベースとカバーによって構成され、前記カバーには、当該カバーの中心位置よりも前記大気圧センサに接近した位置に前記外気通気孔が設けられると共に、当該外気通気孔は通気可能であるが液体の浸入を防止する防水フィルタによって封鎖され、前記電子基板には前記カバーと対向する第一面側の空間と、前記ベースと対向する第二面側の空間を連結する基板通気孔が設けられ、当該基板通気孔は前記電子基板の第二領域に設けられるか、又は第一領域に設ける場合には、前記電子基板の厚さよりも大きな径で前記防湿材のコーティング処理によって封鎖されない大きさの通気孔であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子制御ユニット。
【請求項7】
前記電子制御ユニットは車載エンジン制御装置であって、前記大気圧センサによって検出された大気圧によって車載エンジンの制御が行われるものであると共に、当該検出された大気圧によって車両の現在高度が車内表示されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の電子制御ユニット。
【請求項8】
大気圧センサを搭載した電子基板を備え、当該電子基板を収納するための筐体に外気通気孔を設けた電子制御ユニットの製造方法であって、前記筐体の一部に設けられた複数のコネクタハウジングに対して、複数の接続ピン群を予め挿入しておく部品組立工程と、前記電子基板の第一面、又は第一面と第二面の各第一領域に、第一面側の表面実装部品又は第二面側の表面実装部品を搭載してリフロー半田を行う半田工程と、前記表面実装部品に対して防湿材を溶剤で希釈した溶液に浸漬するか、スプレー噴霧を行って加熱又は常温乾燥させる防湿処理工程と、前記電子基板の端縁位置である第二領域において、ロケータを介して前記複数の接続ピン群を第一面から第二面に貫通挿入し、第二面側で半田付け接続を行う後付半田工程を備え、前記大気圧センサに設けられた素子通気孔は、前記電子基板の第二領域であって、前記ロケータの群間位置又は側端位置に設けられ、前記電子基板の第一、第二面の第二領域は高密度部品が実装されず前記防湿材によるコーティング処理を必要としない領域として区分されていることを特徴とする電子制御ユニットの製造方法。
【請求項9】
前記第一、第二の表面実装部品が半田付け実装された電子基板の第一領域は、防湿材と希釈材とを混合した防湿材溶液を充填した浸漬槽に対して両面をどぶ漬されるか、又は片面に対して前記防湿材溶液をスプレー噴霧することによって防湿材が塗布され、前記希釈材は塗布された前記防湿材溶液が加熱乾燥又は常温自然乾燥することによって気化し、残された防湿材によってコーティング膜が生成され、前記防湿コーティング膜となる防湿材は、前記希釈材が気化した後で、高温使用環境において液化流出しないことを限度とする軟質ポリマ樹脂であって、皮膜によって被膜部材の防湿を行う電気的絶縁物が使用されることを特徴とする請求項8に記載の電子制御ユニットの製造方法。
【請求項10】
前記大気圧センサは収納パッケージに内蔵された検出素子と、当該検出素子に接続された表面接続端子と、収納パッケージに設けられた素子通気孔を有し、
当該大気圧センサの実装とリフロー半田は、前記電子基板の第一面に実装される表面実装部品の実装とリフロー半田工程と同一工程で行われ、
前記防湿コーティング処理工程では防湿材溶液に対する浸漬又はスプレー処理が行われないことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の電子制御ユニットの製造方法。
【請求項11】
前記大気圧センサは収納パッケージに内蔵された検出素子と、当該検出素子に接続されたリード端子と、収納パッケージに設けられた素子通気孔を有し、
当該大気圧センサのリード端子挿入と半田付けは、前記電子基板の第一面に実装される前記複数の接続ピン群の挿入、半田工程と同一工程で行われ、
前記防湿コーティング処理工程では防湿材溶液に対する浸漬又はスプレー処理が行われないことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の電子制御ユニットの製造方法。
【請求項12】
前記電子基板を収納した筐体は、輪郭外周部を防水シール材によって密封固定したベースとカバーによって構成されており、前記電子制御ユニットの前記外気通気孔には防水フィルタが設けられ、当該電子制御ユニットの組立最終工程の直前工程となる全体組立工程では、前記電子基板を組付けた前記カバーとベースの輪郭外周部には防水シール材が塗布されて一体化され、前記全体組立工程に続く調整、検査工程では、前記外気通気孔に対して減圧又は加圧ポンプを配管接続し、前記大気圧センサの出力信号を監視することによって、当該大気圧センサの検出大気圧が正常であるかどうか、又は前記カバーとベースとの間の防水シールが確実に行われているかどうかを点検することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の電子制御ユニットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−148364(P2011−148364A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10155(P2010−10155)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】