説明

電子医療器械のロック装置、載置台及び移動架台

【課題】移動架台に載置されるベッドサイドモニタ等の医療器械を確実に固定できると共に容易に且つ安全に着脱すること。
【解決手段】ロック凹部が、載置台の上面に上方に開口して形成され、上方から電子器械の一部(固定プレート30)が挿入されることにより電子器械の水平方向の移動を規制する。このロック凹部内に固定用爪部材120の爪部121が出没自在に突出して配設され、電子器械を上面に載置した際に、ロック凹部内に挿入された電子器械に固定された固定プレートに係合し、電子器械の抜脱方向への移動を規制する。また、開閉機構部140が、解除レバ190の操作により、固定用爪部材120を可動して、爪部121を、ロック凹部内に突出して電子器械の固定プレート30の係止片32と係合する係合位置から後退させて係合解除位置に変位させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者毎に設置されるベッドサイドモニタ等の電子医療器械を固定するロック装置、載置台及び移動架台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院において、例えば、集中治療室などで治療を受けている患者或いは入院中の患者の容態を監視するために、患者毎に設置されるベッドサイドモニタが用いられている。ベッドサイドモニタは、患者に取り付けた電極及びセンサ等に接続され、接続された電極及びセンサ等によって取得される、心電図や呼吸、血圧、体温、血中酸素飽和度(Sp02)等の様々な生体情報の表示、記録する。また、ベッドサイドモニタは、患者に取り付けた電極及びセンサ等から取得した測定値の異常を検出して、セントラルモニタなどに通知する等の機能も有する。
【0003】
ベットサイドモニタは、手術室から病棟へ又は病室から手術室へ、患者と共に移動する場合があるため、移動自在な移動架台としてのトロリに脱着自在に取り付けて使用されている。
【0004】
一般的に、ベッドサイドモニタのトロリへの取り付けは、ベッドサイドモニタをネジ止めによって取り付けられるトロリや、例えば、特許文献1に記載の載置台を用いたトロリが知られている。
【0005】
特許文献1では、キャスタを備えた台車の天板に固定される脱着機構付き載置台が開示されており、この載置台は、載置される電子装置を水平方向に位置決めする拘束穴付きの載置板の裏面に、スライド可能に載置板にガイドされるロックスライダを有する。
【0006】
ロックスライダには、スライドすることによって、拘束穴に内嵌して載置板に載置された電子装置の基底部に形成されたロック溝に侵入して、当該電子装置を固定するロック爪部が設けられている。ロックスライダには、当該ロックスライダの裏面に対して離接可能に枢着されており、下方への押圧操作に対抗するばねで付勢されたロックレバが設けられている。このロックレバの押圧操作によって、ロックスライダは、載置台に対してロック状態の位置或いは非ロック状態(ロック解除状態)の位置で固定される。
【0007】
すなわち、この載置台では、電子装置を載置板に載置して、ロックレバを下方へ押圧すると、ロックスライダのスライド操作が可能な状態となる。次いで、ロックスライダを基端側へ押して、ロック爪をロック溝の基端側周辺部に係合させた状態でロックレバの下方へ押圧を解除すると、ロックスライダは載置板にロック状態で固定される。これにより電子装置は、載置台に固定される。電子装置を載置台から取り外す場合は、逆の操作を行うことによって行う。
【特許文献1】特開2001−217558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の移動架台へのベッドサイドモニタの取り付け構造では、ベッドサイドモニタは、トロリと別に単体で持ち運びすることが多く、特に緊急の場合、ネジ止めによる固定はその取り外し作業に手間がかかるという問題がある。
【0009】
また、特許文献1の載置台の構成では、モニタの取り付けの際に、スライダ移動可能にするためのロックレバの押圧操作、載置板への電子機器の載置、ロックスライダによるロック爪の係合操作、ロック爪と電子装置のロック溝部との係合、係合状態を維持するためのロックレバの操作等、煩雑な操作が必要となる。また、特許文献1では、脱着の際も同様の煩雑な操作が必要となるという問題がある。さらに、特許文献1では、脱着操作におけるロックレバ操作を忘れた場合、電子装置が脱落する恐れがあるため、その操作には十分気を掛けて行う必要が生じ、一層手間がかかる。
【0010】
このため、緊急時においても、トロリに対して、ベッドサイドモニタを確実に固定できるとともに、簡単に着脱できるロック装置が望まれている。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、移動架台に載置されるベッドサイドモニタ等の医療器械を確実に固定できると共に容易に且つ安全に着脱できる電子医療器械のロック装置、載置台及び移動架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のロック装置は、載置台に載置される電子器械を脱着自在に保持するロック装置であって、前記載置台の上面に上方に開口して形成され、上方から前記電子器械の一部が挿入されることにより前記電子器械の水平方向の移動を規制する凹部と、前記凹部内に出没自在に突出して配設され、前記電子器械を前記上面に載置した際に、前記凹部内に挿入された前記電子器械の一部に係合し、前記電子器械の抜脱方向への移動を規制する爪部を備える固定用爪部材と、解除レバの操作により、前記固定用爪部材を可動して、前記爪部を、前記凹部内に突出して前記電子器械の一部と係合する係合位置から後退させて係合解除位置に変位させる可動機構部とを有し、前記可動機構部は、前記係合解除位置に変位させた前記爪部を、前記凹部内の前記係合位置側に徐々に変位させ、当該爪部を前記係合解除位置で所定期間保持した後で前記係合位置に復帰させる復帰手段を備える構成を採る。
【0013】
また、本発明の載置台は、上記構成のロック装置を備える構成を採る。さらに、本発明の移動架台は、上記構成の載置台を天板とし、脚部の底面にキャスタが設けられた構成を採る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、移動架台等に載置されるベッドサイドモニタ等の医療器械を確実に固定できると共に容易に且つ安全に着脱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係るロック装置を備えるトロリの要部を示す図であり、図1は載置台と、ロック装置を介して載置台本体に取り付けられる電子器械とを上側から見た図、図2は、同載置台と同電子器械とを下側から見た図である。また、図3及び図4は、本発明の一実施の形態に係るロック装置を介して電子器械が載置台に固定された状態を示す背面図及び側面図である。
【0017】
図1〜図4に示す載置台10は、矩形板状をなし、上面に電子医療器械(以下、「電子器械」という)20が載置される。ここでは、載置台10は、脚部下端に取り付けられたキャスタ(図示省略)により移動自在なトロリ(移動架台)15の天板として用いられるものとする。
【0018】
この載置台10の上面には上方に開口する凹状をなし、載置される電子器械20の一部(固定プレート30)が挿入されるロック凹部12が形成されている。
【0019】
このロック凹部12の周壁部分における対向する部位に、可動することによって、挿入される電子器械の一部を着脱自在に保持するロック装置100の爪部121が配置されている。このロック装置100の爪部121の保持によって電子器械20は載置台10に対して着脱自在に固定される(図3及び図4参照)。
【0020】
なお、ロック凹部12に挿入される電子器械20の一部(固定プレート30)は、ここでは、電子器械本体22の底部に取り付けられた平板状の固定プレート30であり、離間する両端部に水平方向に突出する係止片32を備えている。
【0021】
ロック装置100は載置台10に組み込まれている。具体的には、ロック装置100に、電子器械20を載置する上面の周囲から周壁部が垂下してなる箱状の載置台本体11を被せるとともに、載置台本体11の上面に形成されたロック凹部12の開口から爪部121を露出させることによって載置台10を形成している。
【0022】
図5及び図6は、本発明の一実施の形態に係るロック装置のロック状態時(常態時)における要部構成を示す斜視図、図6は、同ロック装置の正面図である。
【0023】
図5及び図6に示すロック装置100は、ロック凹部12と、底板部110と、底板部110に開閉自在に取り付けられ、閉じた際に固定プレート30の両端部を挟持する爪部121と、爪部121を閉じた方向に付勢する爪保持用付勢部材130と、固定解除レバ(以下「解除レバ」という)190の操作により爪部121を開方向に移動させる開閉機構部(可動機構部)140とを有する。
【0024】
底板部110は、金属板を加工してなる平面視矩形状の底板本体111で、固定用爪部材120、爪保持用付勢部材130及び開閉機構部140を支持している。
【0025】
底板本体111の上面には、略中央部分に配置された固定用爪部材120及び開閉機構部140の両側方の部位に、載置台本体11の上面との間のスペーサとして機能するボス119が立設されている。このボス119に挿入されるネジ等の止着部材を介して、底板本体111は、当該底板本体111を上方から被覆する載置台本体11に止着されている。なお、図5及び図6では、底板本体111を上方から被覆する載置台本体11は便宜上省略している。
【0026】
また、底板本体111は、載置台10の底面部分を形成しており、互いに平行な2辺部(ここでは、互いに平行で且つ前後方向に離間する前辺部と後辺部)から立ち上がり、載置台10の前面及び後面を形成する前面部116及び後面部117を有する。
【0027】
この底板本体111には、略中央部分の後方に一対の爪支持部112が左右方向に離間して立設されている。これら爪支持部112により、爪部121をそれぞれ有する一対の固定用爪部材120が、前後方向の軸112aを中心に回転自在に支持されている。
【0028】
爪支持部112は、爪部121を、ロック凹部12に挿入される固定プレート30の係止片32に対して、係脱方向に移動自在に支持する。
【0029】
言い換えれば、固定用爪部材120は、枢着された爪支持部112を介して回動することによって、一対の爪部121を互いに離間する方向(ここでは左右方向)に移動させる。これにより、爪部121は、ロック凹部12内に突出して固定プレート30の係止片32に係合する係合位置から、凹部12内から後退して、係止片32と係合しない係合解除位置に変位する。
【0030】
一対の固定用爪部材120は、底板本体111から略垂直上方に延出され、先端に爪部121を有する挟持アーム部123と、挟持アーム部123の基端から直交する方向に延出され、基端部側に設けられた軸着部124aで爪支持部112に枢着される可動アーム部(可動部)124とを備える。
【0031】
一対の固定用爪部材120は、それぞれ挟持アーム部123と可動アーム部124とで正面視L字状(図6参照)に形成されている。
【0032】
これら一対の固定用爪部材120は、それぞれ上方に延びる挟持アーム部123を互いに対向して配置するとともに、可動アーム部124を、それぞれの挟持アーム部123の基端から、互いに向かい合う方向に突出するように配置している。
【0033】
また、一対の固定用爪部材120は、爪保持用付勢部材130によって付勢されている。これにより、常態時では、それぞれの挟持アーム部123は、略鉛直方向に立設した状態で互いに略平行に位置し、可動アーム部124はそれぞれ水平方向に位置する。
【0034】
挟持アーム部123は、ロック凹部12における周壁部分の両側部に形成された開口に挿入され、その先端部分で、爪部121とともに、ロック凹部12における周壁部分の両側壁部を構成する。なお、挟持アーム部123の先端部分の外面には、常態時、つまり、鉛直方向に立設した状態時においてロック凹部12の側方に形成された可動領域となる開口を閉塞するフランジ123a(図5参照)が設けられている。
【0035】
挟持アーム部123の先端の爪部121は、固定プレート30との係合方向、つまり、他方の挟持アーム部123の爪部121と互いに対向する方向に突出している。
【0036】
爪部121は、突出方向に向かって下るように傾斜する上面と、係止片32に係合する下面とを有し、下面は挟持アーム部123の内側面と直交している。
【0037】
このように構成された一対の挟持アーム部123が基端部側を中心に回動すると、先端の爪部121は、水平方向で互いに離間する方向に移動する。
【0038】
挟持アーム部123の先端に設けられた爪部121は、互いに対向する方向に突出している。このため、電子器械20の底部に取り付けられた固定プレートの縁部(係止片32)に係合することにより当該固定プレート30を挟持して、固定プレート30の上方への移動を規制する。
【0039】
可動アーム部124は、挟持アーム部123の基端部から当該挟持アーム部123に対して直交し、可動アーム部124の基端部近傍で爪支持部112に枢着されている。
【0040】
可動アーム部124は、上述したように一対の固定用爪部材120において互いに対向する方向に向かって延出されており、基端部側の軸着部124aを中心に上方向に回動する。これにより、挟持アーム部123の先端の爪部121を互いに離間する方向に移動させる。
【0041】
可動アーム部124には、下方に突出して係止爪128が形成され、この係止爪128に爪保持用付勢部材130の一端部が係止されている。
【0042】
爪保持用付勢部材130は、ここでは、一対の固定用爪部材120において、それぞれの側方に配置されたコイルバネにより構成され、その他端部は、底板部110の側辺部から立設された爪片113に係止されている。
【0043】
爪保持用付勢部材130は、配設方向、ここでは横方向に伸縮するものであり、先端が上方に移動する固定用爪部材120の可動アーム部124を下方に付勢する。これにより、可動アーム部124の先端部126は、下方に配置されたプランジャ(移動体)150の肩部160の上面を常に押圧した状態となっている。
【0044】
この爪保持用付勢部材130によって、可動アーム部124が水平に位置する常態時において、可動アーム部124から立設する挟持アーム部123は、鉛直方向に立設した状態、つまり、爪部121により載置台10に載置される電子器械20をロックした状態を保持するように付勢されている。
【0045】
可動アーム部124の下部には、当該可動アーム部124の先端部126を上方に移動させる開閉機構部140のプランジャ150が配置されている。
【0046】
開閉機構部140のプランジャ150の移動によって、挟持アーム部123の爪部121は互いに離間方向に移動して、ロック開状態となる。
【0047】
開閉機構部140は、移動することにより可動アーム部124の先端部126を上下動させるプランジャ150と、移動するプランジャ150を爪部121のロック状態位置に位置するように付勢するリリーススプリング(非ロック状態解除用付勢部材)170と、プランジャ150をロック状態位置に付勢する付勢力を減衰させる減衰部180(ダンパ部)とを有する。なお、リリーススプリング170及び減衰部180は、ロック凹部12内の係止片32との係合位置から後退した係合解除位置に変位させた爪部121を、係合位置側に徐々に変位させ、爪部121を係合解除位置で所定期間保持した後でロック凹部12内の前記係合位置に復帰させる復帰手段を構成する。
【0048】
ここでは、プランジャ150は、平板状をなし、底板本体111の中央部分に、且つ、可動アーム部124の下方に配置され、底板本体111上で底板本体111に対して、前方向に移動自在に設けられている。
【0049】
具体的には、プランジャ150には、底板本体111の中央部分上に、当該底板本体111の前後方向に沿って配設された案内軸部154が挿通され、この案内軸部154に沿ってプランジャ150は前後方向に移動に移動自在に配置されている。つまり、プランジャ150は、後方の第1位置から前方の第2位置にスライド移動自在に配置されている。
【0050】
案内軸部154は、底板本体111の前後辺部からそれぞれ対向して立設された前面部116及び後面部117間に、底板本体111において幅方向の中心に直交するように架設されている。
【0051】
この案内軸部154には、前面部116とプランジャ150の前面部116との間に、リリーススプリング170が外装されている。
【0052】
このリリーススプリング170によって、案内軸部154に沿って移動するプランジャ150は、図5に示す位置、つまり、爪部121が固定プレートを挟持する位置(ロック位置)に位置するように付勢されている。
【0053】
また、プランジャ150の下方に位置する底板本体111の部位には、前後方向に延びるスリット(開口部)114が形成されている。プランジャ150は、スリット114を介して、底板本体111の下面側に配置された解除レバ190に接合されている。
【0054】
ここでは、解除レバ190は、略直方体形状をなし、上面部分にスリット114に遊嵌される接続部192が突出して設けられている。この接続部192はスリット114内に挿通され、プランジャ150の下面にネジ止めされている。これにより解除レバ190はスリット114に案内されて、プランジャ150とともに前後方向に移動自在となっており、解除レバ190の前後方向への移動によりプランジャ150も追従して移動する構成となっている。
【0055】
ここで、プランジャ150について詳細に説明する。
【0056】
プランジャ150は、案内軸部154が遊びのある状態で前後方向に挿通された可動本体152と、可動本体152の両側部にそれぞれ設けられ、一対の可動アーム部124の先端部126がそれぞれ摺動する上面を有する一対の肩部(移動体)160とを有する。
【0057】
可動本体152は、ここでは平板状に形成されており、前面の開口縁部では、案内軸部154に外装されたリリーススプリング170が当接する。このリリーススプリング170によって可動本体152は、後方に付勢されている。
【0058】
図7及び図8は、肩部160と可動アーム部124との関係を説明するための模式図である。図7はロック状態位置に位置するプランジャ150の要部構成を示し、図8はロック開位置(ロック解除位置)に位置するプランジャ150の要部構成を示す。なお、肩部160は可動本体152を中心に左右対称であるため、ここでは一方の肩部について説明して、他方の肩部については説明を省略する。
【0059】
図5、図7及び図8に示すように、肩部160は、底板本体111の前後方向(プランジャ150の移動方向に相当)で高低の異なる低上面部162及び高上面部164と、これら低上面部162及び高上面部164の間を連続した面で連絡する傾斜面部166と、を備える。
【0060】
肩部160は案内軸部154に沿って延在しており、その上面には、前側から順に低上面部162、傾斜面部166、高上面部164が配置されている。
【0061】
肩部160では、移動方向にプランジャ150の状態時からの移動により、低上面部162、傾斜面部166及び高上面部164を、これらを押圧する可動アーム部124の先端部126が摺動する。
【0062】
低上面部162は水平面であり、可動アーム部124の先端部126により押圧された状態では、可動アーム部124を介して爪部121はロック状態(ロック閉状態)に保持される。また、高上面部164は、水平面であり、当接する可動アーム部124の先端部126により押圧された状態では、可動アーム部124を介して爪部121はロック解除状態(ロック開状態)に保持される。
【0063】
すなわち、図7に示すように、低上面部162上に可動アーム部124の先端部126が位置する場合、可動アーム部124は、略水平に配置され、可動アーム部124から略垂直に立設する挟持アーム部123は、鉛直方向、つまり、上下方向に沿って配置される。これにより挟持アーム部123の先端の爪部121は、ロック状態位置に配置されることとなる。
【0064】
また、図8に示すように高上面部164に、可動アーム部124の先端部126が位置する場合、可動アーム部124は傾斜して、その先端部126は、基端側の軸部より高い位置に配置された状態となる。これにより、可動アーム部124から略垂直に立設する挟持アーム部123は、可動アーム部124の先端部126側とは逆側に傾いた状態となり、挟持アーム部123の先端の爪部121は傾倒し、ロック開状態位置に配置される。
【0065】
つまり、プランジャ150の移動(矢印A方向への移動)により、肩部160の上面を押圧する可動アーム部124の先端部126は、肩部160の上面を摺動する。ここでは、プランジャ150が前方向に移動することにより、可動アーム部124の先端部126は、低上面部162から傾斜面部166を摺動して上り、高上面部164に移動する。
【0066】
このように可動アーム部124の先端部126が低上面部162(図7参照)から傾斜面部166を摺動し、高上面部164(図8参照)に移動すると、一対の挟持アーム部123は、鉛直方向に立設した状態から、基端部側を支点に互いに離間する方向に移動する。これにより爪部121は、ロック位置である常態位置(係合位置)からロック開位置(爪部121が互いに離間する方向に移動した係合解除位置)に変位する。
【0067】
このように構成された肩部160では、高上面部164及び低上面部162の高さレベルを変更することによって、爪部121の開閉度合いを変更することができる。
【0068】
また、これら高上面部164及び低上面部162との間の傾斜面部166の傾斜度合いを変更することによって、爪部121の閉状態(ロック状態)から開状態(ロック解除状態)または、開状態から閉状態への段階的な開き度合いを変更できる。つまり、傾斜面部166の傾斜を急な傾斜とすれば、プランジャ150を移動させた際に、閉状態から開状態に急激に変化するように動作させることができる。また、傾斜面部166の傾斜を緩い傾斜とすれば、プランジャ150を移動させた際に、閉状態から開状態に徐々に変化するように動作させることができる。
【0069】
これら肩部160の前面には、移動方向(ここでは前方)に向かって平板状のガイド部156がそれぞれ突出して設けられている。
【0070】
これらガイド部156の上面には、外側の辺部に沿って前後方向に延在するラック157が配設されている。
【0071】
ラック157は、肩部160の前側に配置された減衰部180のギア182に歯合しており、プランジャ150の移動に伴いギア182と歯合しながら移動する。
【0072】
減衰部180は、底板本体111において、プランジャ150の前方で、且つ、ガイド部156の側方に、それぞれ対向するように立設された減衰支持部118に固定されている。
【0073】
減衰部180は、前側に位置(ロック解除位置)するプランジャ150を後方のロック状態位置に付勢するリリーススプリング170の付勢力を減衰するものであり、ここではロータリダンパを用いている。
【0074】
ロータリダンパは、20〜25℃の室内での使用を想定し、オイルの粘性抵抗によりラック157に歯合するギアの回転力を減衰させて、付勢力を20〜30%程度減衰させている。なお、減衰部180における抵抗としてガス、バネ等を用いて、リリーススプリング170の付勢力を減衰させるようにしても良い。
【0075】
本実施の形態では、ロータリダンパは、底板本体111上に、プランジャ150を挟み左右に2つ配置して、リリーススプリング170の付勢力に対する減衰力を調整している。なお、ロータリダンパ等の減衰部180は、付勢力を所定度合いで減衰させるものであれば、いくつ設けられてもよい。
【0076】
これら減衰部180は、リリーススプリング170の付勢力(プランジャ150の前側への移動に抗する方向の付勢力)により前方に位置するプランジャ150が後方に移動する際に、その付勢力を減衰して、プランジャ150の移動を緩慢にさせる。すなわち、減衰部180は、リリーススプリングの付勢力による付勢力を減衰して、肩部160を有するプランジャ150を前(第2位置)側から後(第1位置)側(矢印Aとは逆方向)に徐徐に移動させる。
【0077】
このように構成されたロック装置100の動作を説明する。
【0078】
ロック装置100では、常態時において、図5及び図6に示すように、固定用爪部材120の爪部121は、爪保持用付勢部材130により互いに接近する方向に付勢され、鉛直方向に立設した状態で保持される。
【0079】
この状態において、ロック装置100を備える載置台10に電子器械20を載置する場合、電子器械20に固定された固定プレート30をロック凹部12内に上方(ここでは鉛直上方)から挿入する(図1及び図2参照)。
【0080】
固定プレート30をロック凹部12に挿入すると、固定用爪部材120の先端の爪部121では、その傾斜する上面が、固定プレート30の縁部によって下方に押圧される。この押圧より挟持アーム部123は爪保持用付勢部材130に抗する方向に傾動され、爪部121が互いに離間する方向に移動する。
【0081】
そして、固定プレート30の縁部が爪部121より下方に位置する、つまり爪部121の下面の位置に至ると、爪部121は、傾斜する上面で当接する固定プレート30の縁部との接触状態が解除される。これにより、固定用爪部材120(詳細には挟持アーム部123)は爪保持用付勢部材130により常態位置であるロック位置に復帰し、爪部121は、固定用プレート30の係止片と係合してロック状態となる。このとき、爪部121は、爪保持用付勢部材130により付勢されつつ、常態位置に復帰するため、復帰時に係止片と接触して接触音を発生させる。これによりユーザに対して、爪部121と係止片との係合状態を認識させて、図3及び図4に示すように電子器械20を載置台10に載置させることができる。
【0082】
次に、載置台10にロック状態で載置された電子器械20を取り外す場合について説明する。
【0083】
図5及び図6に示す載置台10において、解除レバ190を解除方向、ここでは載置台10の前方(矢印A方向)に移動させる(図4の矢印Aと同方向)。ここでは、解除レバ190を把持するユーザが、解除レバ190を載置台10の前方に引っ張ることで解除レバ190を前側に移動させるものとする。
【0084】
すると、解除レバ190の移動に伴い、当該解除レバ190に接合されたプランジャ150は、底板本体111上をスリット114及び挿通された案内軸部154に沿って、リリーススプリング170の付勢力に抗して前側に移動する。
【0085】
プランジャ150自体の移動に伴い、肩部160の上面では、低上面部162上に位置する可動アーム部124の先端部126は、傾斜面部166側に摺動する。そして、先端部126は傾斜面部166を上がることで上方に変位しつつ、高上面部164側に向かって移動する。
【0086】
可動アーム部124の先端部126が上方に移動すると、この移動に伴い、軸着部124aを支点に可動アーム部124の基端部から垂直に立設する挟持アーム部123は、爪保持用付勢部材130の付勢力に抗して傾動する。これにより挟持アーム部123の先端の爪部121は、ロック凹部12の側方に移動する。ここでは、一対の固定用爪部材120において挟持アーム部123がそれぞれ互いに離間する方向に傾動する。これにより、ロック凹部12の両側部分にそれぞれ配置された一対の爪部121は、互いに離間する方向(係止片32との係合状態から退避する方向)に移動する。
【0087】
すなわち、プランジャ150は、後方位置から前側位置に移動する際に、肩部160を介して、固定用爪部材120の爪部121を互いに離間する方向に移動させる。
【0088】
そして、プランジャ150が前側位置、つまり解除位置に位置した際には、可動アーム部124の先端部126は、高上面部164上に位置する。このように可動アーム部124の先端部126が高上面部164上に位置する間、同じ高さで保持され、爪部121はロック凹部12の側方にあるロック位置から退避した位置に配置された状態となる。
【0089】
図9は、本発明の一実施の形態に係るロック装置のロック解除状態時における要部構成を示す斜視図であり、図10は、本発明の一実施の形態に係るロック装置のロック解除状態時における要部構成を示す正面図である。
【0090】
図9及び図10に示すように、プランジャ150を前側位置に移動させることによって、爪部121はロック開状態となり、ロック凹部12から固定プレート30を上方に抜脱自在な状態となる。
【0091】
このとき、解除レバ190の解除方向への移動を解除する、つまり、解除レバ190に対するユーザの前側への引っ張り力を解放する。
【0092】
すると、解除レバ190及びプランジャ150は、リリーススプリング170の付勢力によって、元の位置、つまり、後方に位置するロック状態位置に移動(矢印B方向への移動)を開始する。その際、減衰部180によりリリーススプリング170の付勢力は減衰されるため、プランジャ150は、前方のロック開位置から後方のロック状態位置に、緩慢に移動する。
【0093】
これに追従して可動アーム部124の先端部126は、肩部160の高上面部164を、傾斜面部166側に向かって緩慢に摺動する。これにより、先端部126を高上面部164上に位置させる時間が確保され、挟持アーム部123は、傾動後の状態、つまり、ロック開状態で保持される。
【0094】
この間、固定プレート30では、爪部121との係合状態が解除された状態となるため、固定プレート30を備える電子器械20をロック凹部12内から容易に且つ安全に上方に抜脱することができる。つまり、係合状態解除時において、ユーザは、解除レバ190を解除位置に位置させるように握持することなく、両手で電子器械20を載置台10から取り外すことができる。
【0095】
この間もプランジャ150は、リリーススプリング170の付勢力によって後方に付勢されており、電子器械20の抜脱後、プランジャ150の肩部160上面を摺動する可動アーム部124の先端部126は、高上面部164から傾斜面部166上に移動して低上面部162に至る。
【0096】
これにより、挟持アーム部123は、傾動後の状態から常態に復帰し、当該挟持アーム部の先端部に設けられた爪部121は、ロック状態位置に配置する。
【0097】
本実施の形態の載置台10に載置される電子器械20を脱着自在に保持するロック装置100では、ロック凹部12が、載置台10の上面に上方に開口して形成され、上方から電子器械20の一部(固定プレート30)が挿入されることにより電子器械20の水平方向の移動を規制する。固定用爪部材120の爪部121が、ロック凹部12内に出没自在に突出して配設され、電子器械20を上面に載置した際に、ロック凹部12内に挿入された電子器械20の一部(固定プレート30)に係合し、電子器械20の抜脱方向への移動を規制する。また、開閉機構部(可動機構部)140が、解除レバ190の操作により、固定用爪部材120を可動して、爪部121を、ロック凹部12内に突出して電子器械20の一部(固定プレート30)と係合する係合位置から後退させて係合解除位置に変位させる。
【0098】
この開閉機構部140は、係合解除位置に変位させた爪部121を、ロック凹部12内の係合位置側に徐々に変位させ、当該爪部121を係合解除位置で所定期間保持した後で係合位置に復帰させる復帰手段(リリーススプリング170、ダンパ180)を備える。また、固定用爪部材120は、ロック凹部12の下方で、上下方向に移動自在に配置され、上下に変位して爪部121をロック凹部12内に出没させる可動アーム部124の先端部126を有し、開閉機構部140は、先端部126を上下動して爪部121を変位させる。
【0099】
更に、固定用爪部材120は、載置台10の底部となる底板部110に基端部側で回動自在に枢着され、底板部の上方に配置される先端部側に、ロック凹部12内に突出する爪部121が形成された挟持アーム部(アーム部)123を有する。先端部126は、挟持アーム部123の基端部側に、当該挟持アーム部123の先端方向に対して交差する方向で突出して設けられ、当該先端部126が上方に移動することで挟持アーム部123を傾動させて爪部121をロック凹部12内から後退させる。
【0100】
開閉機構部140は、先端部126の下方で、底板部110の底板本体111上を水平方向に第1位置から第2位置(前後方向)にスライド移動自在に設けられるとともに、スライド移動に伴い先端部126が摺動する表面を備える肩部(移動体)160を有する。肩部160は、底板部110の底板本体111に移動方向に沿って形成されたスリット(開口部)114を介して底板部110下面に配置された解除レバ190に連結されるとともに、表面は高さの異なる低上面部162、高上面部164を斜面部166で連絡して形成され、肩部160が後方(第1位置)に位置する場合、先端部126は低上面部(低い面)162上に位置して、爪部121はロック凹部12内の係合位置に配置され、肩部160が前方(第2位置)に位置する場合、先端部126は高上面部(高い面)164上に位置して、爪部121はロック凹部12内から後退した係合解除位置に位置する。
【0101】
このように本実施の形態のロック装置100を備える載置台10では、解除レバ190を前方に引いてプランジャ150をロック解除位置に移動させるだけで、電子器械20のロック及びロック解除を行うことができる。
【0102】
本実施の形態では、載置台10の底部を構成する底板本体111の下面に配置された解除レバ190は、矩形平板状の載置台10の一側面部(ここでは前側面部)近傍で、前後方向に移動自在に取り付けられている。これによりユーザは、解除レバ190を前側に引いて爪部121をロック開状態にする際に、手の平を載置台10の一側面に当接させた状態で指を解除レバ190の後面に掛止して行うことができる。よって、ユーザは、解除レバ190を、リリーススプリング170の付勢力に抗して一側面部に近接するロック解除位置まで片手で容易に移動させることができる。
【0103】
このように本実施の形態のロック装置100によれば、当該ロック装置100を備える載置台10及びトロリ15に取り付けられるベッドサイドモニタ等の医療器械を確実に固定できると共に容易に且つ安全に着脱できる。
【0104】
また、電子器械20の固定を解除する解除レバ190を移動させることによって、電子器械20を取り外した場合、時間の経過とともに、リリーススプリング170によってプランジャ150は常態位置である後方位置に移動して、爪部121は常態位置、つまり、ロック位置に戻り、電子器械20を再び固定できるようになる。よって、固定プレート30に対する爪部121のロック状態を解除した後で、電子器械20の脱着を忘れた場合でも、当該電子器械20は再びロックされることとなり安全な状態となる。
【0105】
なお、本実施の形態のロック装置100では、プランジャ150に接合される解除レバ190を、底板本体111の下面側で前後方向に移動させることによって、プランジャ150を移動して爪部121をロック開状態、つまり、ロック解除状態にするようにしたが、これに限らない。例えば、解除レバ190を後方又は左右方向等の水平方向に移動させた際に、プランジャ150を上述のようにリリーススプリング170の付勢力に抗して移動させて、爪部121をロック開状態にする構成としてもよい。
【0106】
また、底板本体111の下面に配置された解除レバ190を下方に引っ張ることで、底板本体111上のプランジャ150をリリーススプリング170の付勢力に抗して移動させて、可動アーム部124の先端部126を上方に移動して、挟持アーム部を傾動させるようにしてもよい。
【0107】
また、本実施の形態のロック装置100は、載置台10に載置される電子器械20を医療用モニタとしたが、これに限らず、脱着自在に載置するものであれば、どのような機器をロックしてもよい。
【0108】
また、本実施の形態のロック装置100では、固定用爪部材120の可動アーム部124は、爪保持用付勢部材130によって、下方に付勢される構成としたが、これに限らず、先端部126に錘を付けることで自重によって、下方に付勢されるように構成してもよい。
【0109】
なお、ロック装置100では、一対の固定用爪部材120を設けた構成としたが、これに限らず、上記構成のロック装置100において、一方の固定用爪部材のみ上述した開閉機構部140によって可動させる構成としてよい。また、ロック凹部12の周壁部分のうち、四方の周壁部分に、上述した先端に爪部121が設けられた固定用爪部材120を配置してもよい。この場合、プランジャ150の移動によって、ロック凹部12の周壁部分の四方に配置された挟持アーム部123の先端における爪部121の全てが放射方向に移動する構成にすると好適である。
【0110】
また、本実施の形態のロック装置100では、一対の爪部121を開閉させるプランジャ150を、載置台10の前後方向への移動により行う構成としたが、これに限らず、可動アーム部124の先端部126を上方に移動させるものであれば、どのように構成されてもよい。
【0111】
例えば、本実施の形態のロック装置100において、プランジャ150を、底板本体111に鉛直方向の軸を中心に回転するように取り付けることによって、可動アーム部124の先端部126を上下方向に移動させる構成としてもよい。
【0112】
一例としては、プランジャ150を、一対の爪部間の中央部分で鉛直方向に延在する軸心を中心に回転する回転体とする構成が挙げられる。この構成を以下で変形例として説明する。
【0113】
<変形例>
具体的には、一対の爪部間の中央部分で鉛直方向に軸部を配置し、この軸部に、当該軸部を中心に回転自在な円柱状又は円筒状に形成した可動本体を挿通させる。
【0114】
可動本体の外周に、当該外周に沿って、上面が可動アーム部124の先端部126に押圧される肩部を設けるとともに、可動本体の下部には、可動本体に連結され、軸部を中心に可動本体を回転自在に操作する解除レバに相当する回転操作レバを取り付ける。この場合、回転操作レバは、底板本体111の下面に、鉛直軸を中心に回転自在に取り付けられ、回転して底板本体111上面の可動本体を回転させる。この回転操作レバと可動本体との接合は、回転操作レバの軸心を軸部の軸心と同じにして、底板本体111において、回転操作レバと可動本体との間の部位に、軸周りに延在する円弧状のスリットを形成し、このスリットに遊嵌される接続部を介して両者を接合する構成が考えられる。
【0115】
なお、軸部と軸部が挿通される可動本体とを接合し、軸部を底板本体111の下方に突出させて、この突出端に回転操作レバを取り付けた構成としてもよい。この場合、底板本体111を挟み可動本体と回転操作レバとを接続する接続部を設ける必要が無くなり、接続部が遊嵌される円弧状のスリットも必要が無くなる。よって、構成を簡単にすることができる。
【0116】
また、可動本体の外周に設けられる肩部の上面は、軸部を中心に、可動本体の外周に沿って高さの異なる水平面である低上面部及び高上面部と、これら低上面部及び高上面部とを連絡する傾斜面とを備えた構成とする。これら低上面部、高上面部及び傾斜面は、本実施の形態の低上面部162、高上面部164及び傾斜面部166と比較して形状のみ異なり同様の機能を有する。
【0117】
ここでは、肩部は、押圧される一対の固定用爪部材120における可動アーム部124の先端部126のそれぞれが摺動する一対の低上面部、傾斜面及び高上面部を有し、一対の低上面部、高上面部及び傾斜面は、軸心を中心に点対称で配設された構成とする。
【0118】
プランジャは、常態時において、可動アーム部124の先端部126を低上面部上に位置させており、回動動作によって可動アーム部124の先端部126を、傾斜面上を螺旋状に上らせて、高上面部まで移動させる。なお、このプランジャは、解除用付勢部材によって常態位置側に付勢されており、この解除用付勢部材は、本実施の形態の構成と同様に、上述の減衰部によってその付勢力は減衰される。
【0119】
したがって、解除用付勢部材に抗するように回転操作レバを撚ると、低上面部上に位置する可動アーム部124の先端部126は、傾斜面部を螺旋状に上っていき、高上面部側に移動する。
【0120】
この可動アーム部124の先端部126は、肩部の上面を摺動することによって、上方に移動し、可動アーム部124の基端部から垂直に立設する挟持アーム部は傾動する。可動アーム部124の先端部126が高上面部上に位置すると、挟持アーム部の先端の爪部121はロック凹部12におけるロック状態の位置から退避して、ロック解除位置に位置する。
【0121】
回転操作レバに対する撚りを解除すると、ロック装置100と同様に、解除用付勢部材の付勢力により回転体としてのプランジャは、減衰部により減衰されつつ、常態位置に向かって移動する。これにより爪部121も常態位置に復帰して、プランジャ150と同様の作用効果を得ることができる。
【0122】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記各装置の構成および各装置の使用時の動作についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の一実施の形態に係るロック装置を備えるトロリの要部を示す図
【図2】本発明の一実施の形態に係るロック装置を備えるトロリの要部を示す図
【図3】本発明の一実施の形態に係るロック装置を介して電子器械が載置台に固定された状態を示す背面図
【図4】本発明の一実施の形態に係るロック装置を介して電子器械が載置台に固定された状態を示す側面図
【図5】本発明の一実施の形態に係るロック装置のロック状態時における要部構成を示す斜視図
【図6】本発明の一実施の形態に係るロック装置のロック状態時における要部構成を示す正面図
【図7】肩部と可動アーム部との関係を説明するための模式図
【図8】肩部と可動アーム部との関係を説明するための模式図
【図9】本発明の一実施の形態に係るロック装置のロック解除状態時における要部構成を示す斜視図
【図10】本発明の一実施の形態に係るロック装置のロック解除状態時における要部構成を示す正面図
【符号の説明】
【0124】
10 載置台
11 載置台本体
12 ロック凹部
15 トロリ
20 電子器械
30 固定プレート
32 係止片
100 ロック装置
110 底板部
120 固定用爪部材
121 爪部
123 挟持アーム部
124 可動アーム部
126 先端部
130 爪保持用付勢部材
140 開閉機構部
150 プランジャ
154 案内軸部
160 肩部
162 低上面部
164 高上面部
166 傾斜面部
170 リリーススプリング
180 減衰部
190 解除レバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台に載置される電子器械を脱着自在に保持するロック装置であって、
前記載置台の上面に上方に開口して形成され、上方から前記電子器械の一部が挿入されることにより前記電子器械の水平方向の移動を規制する凹部と、
前記凹部内に出没自在に突出して配設され、前記電子器械を前記上面に載置した際に、前記凹部内に挿入された前記電子器械の一部に係合し、前記電子器械の抜脱方向への移動を規制する爪部を備える固定用爪部材と、
解除レバの操作により、前記固定用爪部材を可動して、前記爪部を、前記凹部内に突出して前記電子器械の一部と係合する係合位置から後退させて係合解除位置に変位させる可動機構部とを有し、
前記可動機構部は、前記係合解除位置に変位させた前記爪部を、前記凹部内の前記係合位置側に徐々に変位させ、当該爪部を前記係合解除位置で所定期間保持した後で前記係合位置に復帰させる復帰手段を備えるロック装置。
【請求項2】
前記爪部は、爪付勢部材によって、前記係合解除位置側から前記凹部の内方に付勢され、前記係合位置に位置している請求項1記載のロック装置。
【請求項3】
前記復帰手段は、前記爪部を前記係合解除位置から前記係合位置に移動させるように付勢する付勢部材と、前記付勢部材の付勢力による付勢力を減衰して、前記爪部を前記係合位置に徐徐に移動させる減衰部と、
を備える請求項1記載のロック装置。
【請求項4】
前記固定用爪部材は、前記凹部の下方で、上下方向に移動自在に配置され、上下に変位して前記爪部を前記凹部内に出没させる可動部を有し、
前記可動機構部は、前記可動部を上下動して前記爪部を変位させる請求項1記載のロック装置。
【請求項5】
前記固定用爪部材は、載置台の底部となる底板部に基端部側で回動自在に枢着され、前記底板部の上方に配置される先端部側に、前記凹部内に突出する前記爪部が形成されたアーム部を有し、
前記可動部は、前記アーム部の基端部側に、当該アーム部の先端方向に対して交差する方向で突出して設けられ、当該可動部が上方に移動することで前記アーム部を傾動させて前記爪部を前記凹部内から後退させ、
前記可動機構部は、前記可動部の下方で、前記底板部上を水平方向に第1位置から第2位置にスライド移動自在に設けられるとともに、スライド移動に伴い前記可動部が摺動する表面を備える移動体を有し、
前記移動体は、前記底板部に移動方向に沿って形成された開口部を介して前記底板部下面に配置された解除レバに連結されるとともに、前記表面は高さの異なる面を斜面で連絡して形成され、
前記移動体が前記第1位置に位置する場合、前記可動部は低い面上に位置して、前記爪部は前記凹部内の前記係合位置に配置され、前記移動体が前記第2位置に位置する場合、前記可動部は高い面上に位置して、前記爪部は前記凹部内から後退した前記係合解除位置に位置する請求項4記載のロック装置。
【請求項6】
前記復帰手段は、前記移動体を前記第1位置から前記第2位置に移動させるように付勢する付勢部材と、前記付勢部材の付勢力による付勢力を減衰して、前記移動体を前記第2位置から前記第1位置に徐徐に移動させる減衰部とを備える請求項5記載のロック装置。
【請求項7】
請求項1記載のロック装置を備える載置台。
【請求項8】
請求項7記載の載置台を天板とし、脚部の底面にキャスタが設けられた移動架台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−49105(P2009−49105A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212338(P2007−212338)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(000112602)フクダ電子株式会社 (196)
【Fターム(参考)】