説明

電子回路ユニット及び電子機器装置

【課題】収容棚の収容部に対して電子回路ユニットのユニット筐体を挿抜可能に収容してなる電子機器装置において、収容棚に対する電子回路ユニットの活線挿抜の発生を防ぐ。
【解決手段】ユニット筐体31を収容部11に収容した状態でユニット側端子部32が収容部11の棚側端子部12に接続される電子機器装置で、電子回路の導通/非導通状態を切り換える切換スイッチ35を備え、これが電子回路を導通させる導通位置と、電子回路を非導通とする非導通位置との間で移動可能とされた電子回路ユニット30に対し、切換スイッチの導通位置への操作を規制し、ユニット筐体の挿抜作業を許容する第一規制位置と、ユニット筐体の挿抜作業を規制し、かつ、切換スイッチの切り換え操作を許容する第二規制位置との間で移動可能とされた切換規制部材36を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子回路ユニット及びこれを備える電子機器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器装置には、例えば特許文献1のように、シェルフ(収容棚)の各収容部に対して複数の電子機器(電子回路ユニット)を挿抜可能に収容するように構成されたものがある。この電子機器装置では、電子機器が収容部に収容された状態で、電子機器のコネクタ(ユニット側端子部)がシェルフのコネクタ(棚側端子部)に接続されることで、電子機器内及びシェルフ内の電子回路が互いに接続された状態となる。
さらに、この種の電子機器装置には、互いに接続された電子機器及びシェルフの電子回路を手動で導通/非導通状態に切り換える切換スイッチを備えたものがある。この構成では、電子機器及びシェルフの電子回路を切換スイッチで導通状態に切り換えることで、この電子回路に電流が流れるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−363133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切換スイッチを備える上記従来の電子機器装置では、切換スイッチにより電子回路を非導通状態に切り換えた状態で、電子機器をシェルフに対して挿抜する必要がある。すなわち、電子回路を導通状態としたままで電子機器の挿抜作業を行うと、電子機器及びシェルフのコネクタ間での放電を伴う挿抜作業(活線挿抜)となり、その結果として、コネクタが損傷したり、電子回路を構成する電子機器及びシェルフの電気電子部品に電気的なストレスがかかる等の不具合が生じてしまう。
なお、従来の電子機器装置では、切換スイッチの近くに注意書きを記載する等して、活線挿抜を防ぐ試みをしているが、確実性に欠けるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、活線挿抜の発生を防いでシェルフや電子機器の電子回路の保護が図ることが可能な電子回路ユニット、及び、電子機器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明の電子回路ユニットは、内部に電子回路を有すると共に収容棚の収容部に対して一方向に挿抜可能に収容されるユニット筐体と、当該ユニット筐体を前記収容部に収容した状態で前記収容部内の棚側端子部に接続されるユニット側端子部と、前記棚側端子部と前記ユニット側端子部とが接続されることで互いに電気接続される前記収容棚内及び前記ユニット筐体内の電子回路の導通/非導通状態を切り換える切換スイッチと、を備える電子回路ユニットであって、前記切換スイッチは、前記電子回路を導通状態とする導通位置と、前記電子回路を非導通状態する非導通位置との間で移動可能とされ、前記切換スイッチの前記非導通位置から前記導通位置への切り換え操作を規制すると共に、前記収容部に対する前記ユニット筐体の挿抜作業を許容する第一規制位置と、前記ユニット筐体の挿抜作業を規制すると共に、前記切換スイッチの切り換え操作を許容する第二規制位置との間で移動可能とされた切換規制部材を備え、当該切換規制部材が前記第二規制位置に配され、かつ、前記切換スイッチが前記導通位置に配されている状態では、前記切換スイッチが、前記切換規制部材の前記第二規制位置から前記第一規制位置への移動を規制することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の電子機器装置は、前記電子回路ユニットと、当該電子回路ユニットを収容可能な収容部、及び、当該収容部内に設けられて前記ユニット筐体を前記収容部に収容した状態で前記電子回路ユニットの前記ユニット側端子部に接続される棚側端子部を有する収容棚と、を備えることを特徴とする。
【0008】
これら電子回路ユニット及び電子機器装置によれば、切換規制部材の位置に応じて、切換スイッチによる収容棚及び電子回路ユニットの電子回路の導通状態への切り換え操作、及び、収容棚に対するユニット筐体の挿抜作業のいずれか一方のみを許容し、他方を阻止することができる。特に、切換スイッチが導通位置に配されている状態では、切換規制部材を第二規制位置から第一規制位置に移動できないようになっているため、電子回路を導通状態としたままでの電子回路ユニットの挿抜作業(活線挿抜)を防止して、収容棚及び電子回路ユニットの端子部や電子回路を保護することができる。
【0009】
そして、前記電子回路ユニットにおいて、前記切換規制部材は、前記一方向に直交する方向に移動することで、前記一方向に沿う前記ユニット筐体の外面に対して出没可能とされた突起部を有し、当該突起部は、前記切換規制部材を前記第二規制位置に配した状態で前記ユニット筐体の外面から突出するとよい。
【0010】
また、前記電子機器装置において、これに備える電子回路ユニットの切換規制部材が前記突起部を有する場合、前記収容部には、その内面から窪んで、前記収容部に収容された前記ユニット筐体の外面から突出した前記突起部を挿入する係合凹部が形成されているとよい。
【0011】
上述したように切換規制部材が突起部を有する構成では、ユニット筐体が収容部の外側に抜出された状態において、突起部がユニット筐体の外面から突出していると、ユニット筐体を収容部に挿入しようとしても、突起部が収容部の開口周縁をなす収容棚の外面に当接して、ユニット筐体の挿入を阻害することができる。すなわち、切換規制部材が第二規制位置に配されて、切換スイッチにより電子回路が通電状態では、ユニット筐体の挿入作業を確実に阻止することができる。
【0012】
また、切換規制部材が突起部を有している構成では、ユニット筐体が収容部に収容された状態で突起部をユニット筐体の外面から突出させて収容部の係合凹部内に挿入することで、突起部が係合凹部に係合するため、ユニット筐体の抜出を阻害することができる。すなわち、切換規制部材が第二規制位置に配されて、切換スイッチにより電子回路が通電状態では、ユニット筐体の抜出作業も確実に阻止することができる。
以上のことから、切換規制部材が突起部を有している構成では、電子回路ユニットの活線挿抜を確実に防止することができる。
なお、上記構成において、収容部に対するユニット筐体の挿抜作業を可能とするためには、切換規制部材を第一規制位置に配して切換スイッチによる電子回路の通電状態への切り換えを規制し、突起部をユニット筐体内に没入させればよい。
【0013】
さらに、前記電子回路ユニットは、前記突起部を前記ユニット筐体の内部から外側に突出させる前記ユニット筐体の挿通孔の少なくとも一部を覆って前記突起部の突出を規制する被覆位置と、前記挿通孔を覆わずに前記突起部の突出を許容する退避位置との間で移動可能となるように、前記ユニット筐体に取り付けられる突出規制部材を備えることが好ましい。
【0014】
この構成では、突出規制部材を被覆位置に配しておくことで、切換規制部材の突起部がユニット筐体内に没入状態に保持され、不意にユニット筐体外に突出することを防止できる。
【0015】
また、前記突出規制部材を有する前記電子回路ユニットは、前記突出規制部材を前記退避位置側から前記被覆位置に向けて付勢する付勢手段と、前記付勢手段の付勢力に抗って前記突出規制部材を前記退避位置に配した状態で、前記収容部に収容された前記ユニット筐体を前記突出規制部材と共に前記収容棚に固定する固定具と、を備えることがより好ましい。
【0016】
この構成では、突起部をユニット筐体内部に没入させた状態で、ユニット筐体を収容部に収容して棚側端子部とユニット側端子部とを接続状態とした後であっても、固定具によりユニット筐体を収容棚に固定していなければ、付勢手段の付勢力によって突出規制部材が被覆位置に配されることになる。この状態では、突起部を突出させることができない、すなわち、切換規制部材を第一規制位置から第二規制位置に移動できないため、切換スイッチによる電子回路の導通状態への切り換え操作が阻止されることになる。
【0017】
一方、ユニット筐体が固定具によって収容棚に固定された状態では、突起部を突出させることができる、すなわち、切換規制部材を第一規制位置から第二規制位置に移動させることができる。したがって、切換スイッチによって電子回路を導通状態に切り換えることができる。
以上のように、この構成では、収容部に収容されたユニット筐体が収容棚に固定されない限り、電子回路を導通状態に切り換えることができないため、電子回路を導通状態としたままでの電子回路ユニットの抜出作業をより確実に防止することができる。
【0018】
さらに、前記電子回路ユニットの前記突起部には、その突出方向に向かうにしたがって前記退避位置から前記被覆位置に向かう方向に傾斜する傾斜面が形成され、当該傾斜面は、前記突出規制部材が前記退避位置に配されると共に前記突起部が突出した状態で、前記被覆位置に配された前記突出規制部材のうち前記挿通孔を覆う被覆部分に対向するとさらによい。
【0019】
この構成では、切換スイッチが非導通位置に配されていれば、突出規制部材を退避位置から被覆位置に移動させるだけで、第二規制位置に配された切換規制部材を自動的に第一規制位置に移動させることができる。すなわち、突起部がユニット筐体の外面から突出している場合には、突出規制部材を被覆位置に移動させることで、突出規制部材の被覆部分が突起部の傾斜面に押し付けられるため、この押付力によって切換規制部材が第二規制位置から第一規制位置に移動することになる。
したがって、切換スイッチが非導通位置に配されていれば、突出規制部材を退避位置から被覆位置に移動させるだけで、突起部が自動的に係合凹部から抜けてユニット筐体内に没入されるため、ユニット筐体を収容部から抜出することができる。言い換えれば、ユニット筐体の抜出作業を簡便に行うことが可能となる。
【0020】
そして、突起部に傾斜面が形成されていることに加え、電子回路ユニットが前述した付勢手段及び固定具を備えている場合には、切換スイッチが非導通位置に配されていれば、固定具によるユニット筐体の固定状態を解除するだけで、第二規制位置に配された切換規制部材を付勢手段の付勢力によって自動的に第一規制位置に移動させることが可能となる。具体的に説明すれば、固定具によるユニット筐体の固定状態を解除した際には、付勢手段の付勢力によって突出規制部材が退避位置から被覆位置に移動しようとする。この移動の際、突起部がユニット筐体の外面から突出していれば、突出規制部材の被覆部分が突起部の傾斜面に押し付けられるため、この押付力によって切換規制部材が第二規制位置から第一規制位置に移動することになる。
したがって、電子回路ユニットが前述した付勢手段及び固定具を備えている場合には、固定具によるユニット筐体の固定状態を解除するだけで、突起部が自動的に係合凹部から抜けてユニット筐体内に没入されるため、ユニット筐体を収容部から抜出することができる。言い換えれば、ユニット筐体の抜出作業をさらに簡便に行うことが可能となる。
【0021】
なお、切換スイッチが導通位置に配されている状態では、固定具によるユニット筐体の固定状態を解除しても、切換規制部材の第二規制位置から第一規制位置への移動が切換スイッチによって規制されることで突起部が突出状態に保持されるため、付勢部材の付勢力によって突出規制部材の被覆部分が突起部の傾斜面に押し付けられても、切換規制部材が第二規制位置から第一規制位置に移動することはない。
【0022】
また、前記電子回路ユニットにおいて、前記突起部に前記傾斜面が形成されている場合、前記突起部には、当該突起部の出没方向に平行し、かつ、前記ユニット筐体の挿入方向に垂直に向く垂直面が形成され、当該垂直面は、前記傾斜面よりも前記挿入方向前方側に位置しているとよい。
【0023】
この構成では、突起部がユニット筐体の外面から突出している状態において、ユニット筐体を収容部に挿入しようとする際に、突起部の垂直面が収容部の開口周縁をなす収容棚の外面に当接するため、傾斜面が収容棚の外面に当接することを防止できる。したがって、傾斜面が収容棚の外面に当接することで切換規制部材が不意に第二規制位置から第一規制位置に移動してしまうことを防止できる。
【0024】
また、傾斜面が収容棚の外面に当接することは無いため、突起部が収容棚の外面に押し当てられても切換規制部材を第二規制位置から第一規制位置に移動させようとする力も生じない。したがって、切換規制部材が第二規制位置に配され、かつ、切換スイッチが切換規制部材の第一規制位置への移動を規制する導通位置に配されていたとしても、突起部を収容棚の外面に押し当てる力が切換スイッチに伝わることを防ぎ、その結果として、切換スイッチの保護を図ることができる。
【0025】
さらに、前記電子回路ユニットにおいては、前記退避位置から前記被覆位置に向かう前記突出規制部材の移動方向が、前記ユニット筐体を前記収容部から抜出する方向に一致し、前記突出規制部材には、前記ユニット筐体の挿抜作業時に当該ユニット筐体を把持する把持部が形成されているとよい。
この構成では、作業者が把持部を掴んでユニット筐体を収容部から抜き出す作業を行うだけで、突出規制部材を退避位置から被覆位置に移動させることが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、収容棚に対する電子回路ユニットの活線挿抜の発生を防いで、収容棚及び電子回路ユニットの端子部や電子回路の保護を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態である電子機器装置を示す斜視図である。
【図2】図1の電子機器装置において、電子回路ユニットを収容部に収容する途中の状態を示す概略平断面図である。
【図3】図2の電子機器装置において、筐体側ガイドレールとユニット側ガイドレールとの係合状態を示す拡大断面図である。
【図4】図2に示す電子回路ユニットのうち、非導通位置に配された切換スイッチ、第一規制位置に配された切換規制部材、及び、被覆位置に配された突出規制部材の周辺を示す拡大斜視図である。
【図5】図2の電子機器装置において、非導通位置に配された切換スイッチ、第一規制位置に配された切換規制部材、及び、被覆位置に配された突出規制部材を示す拡大断面図である。
【図6】図2,4,5に示す電子回路ユニットをユニット筐体の外側面から見た拡大側面図である。
【図7】図2,5の電子機器装置において、電子回路ユニットを収容部に収容し・収容棚に固定した状態を示す概略平断面図である。
【図8】図7に示す電子回路ユニットをユニット筐体の外側面から見た拡大側面図である。
【図9】図7の電子機器装置において、切換規制部材を第二規制位置に配した状態を示す概略平断面図である。
【図10】図9に示す電子回路ユニットのうち、導通位置に配された切換スイッチ、第二規制位置に配された切換規制部材、及び、退避位置に配された突出規制部材の周辺を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1,2に示すように、この実施形態に係る電子機器装置1は、例えば複数の電子回路ユニット30を備える電子機器装置として使用するものであり、前面10aに開口する収容部11を備える収容棚10と、収容部11に収容される複数の電子回路ユニット30とを備えて構成されている。なお、各電子回路ユニット30は、収容棚10の収容部11に対して一方向(図示例のAB方向、挿抜方向とも呼ぶ)に挿抜可能とされている。なお、この実施形態における電子回路ユニット30の挿抜方向は、収容棚10の前面10aに直交する方向に設定されている。
【0029】
収容棚10の収容部11は、複数の電子回路ユニット30を収容棚10の高さ方向(図1においては紙面の上下方向)に並べて収容できるように縦長に形成されている。また、電子回路ユニット30の挿抜方向(AB方向)に延びて互いに対向する収容部11の一対の内側面11b間の寸法(収容部11の幅寸法)は、後述する電子回路ユニット30の幅寸法と略同等あるいはこの幅寸法よりも若干大きく設定されている。
そして、収容部11には、各内側面(内面)11bから窪む凹部15が形成されている。なお、各凹部15は、収容棚10の前面10aから電子回路ユニット30の挿入方向(A方向)に所定の間隔をあけた位置に形成されている。これにより、収容棚10の前面10aから離れた位置における収容部11の幅寸法が、収容棚10の前面10a近傍における収容部11の幅寸法よりも大きく設定されている。
【0030】
収容部11の各内側面11bに平行する各凹部15の底面15bには、A方向に沿って直線状に延びる棚側ガイドレール13が複数設けられており、これらは収容棚10の高さ方向(図1における上下方向)に一定の間隔をあけて配列されている。また、収容部11の相対する一対の凹部15の底面15bに設けられた一対の棚側ガイドレール13A,13Bは、互いにほぼ同一高さに位置している。
そして、一方の棚側ガイドレール13Aが、収容部11の開口側に位置する凹部15の一端との間に間隔をあけて配されていることで、これら凹部15と一方の棚側ガイドレール13Aとによって内側面(内面)11bから窪む係合凹部16が画成されている。
【0031】
なお、各棚側ガイドレール13は、図2,3に示すように、板材に屈曲加工を施すことで断面視略コ字状に形成され、凹部15の底面15bから垂直に離間する方向に開口してAB方向に延びる軌道溝14を有するように形成されている。また、軌道溝14は、AB方向に沿う棚側ガイドレール13の長手方向全体にわたって形成されており、その長手方向の両端が棚側ガイドレール13の両端にも開口している。なお、図2における棚側ガイドレール13(13A)は、図3のP−P断面で見たものに相当している。
さらに、図1,2に示すように、電子回路ユニット30の挿入方向(A方向)に面する収容部11の内端面11aには、電子回路ユニット30に電気接続するための棚側端子部12が複数設けられ、これら複数の棚側端子部12は、収容棚10の高さ方向に配列されている。
【0032】
電子回路ユニット30は、図1〜6に示すように、概略直方体状に形成されて収容部11内に収容されるユニット筐体31と、ユニット筐体31の挿入方向(A方向)の先端側に配置されるユニット側端子部32と、収容部11に収容された状態において収容部11の内側面11bや凹部15の底面15bに対面するユニット筐体31の外側面(外面)31bに設けられたユニット側ガイドレール33とを備えている。
ユニット側端子部32は、ユニット筐体31を収容部11に収容した状態(図7参照)で棚側端子部12に電気接続されるものである。なお、図示例では、ユニット側端子部32が端子ピン34を有する雄型端子部となっており、棚側端子部12が端子ピン34を差し込む雌型端子部となっているが、これに限ることは無い。
【0033】
ユニット側ガイドレール33は、ユニット筐体31の挿抜方向に沿って直線状に延びるように形成されている。
このユニット側ガイドレール33は、ユニット筐体31の収容の際、及び、収容後の状態において棚側ガイドレール13に係合するように構成されている。具体的に説明すれば、ユニット側ガイドレール33は、板材に屈曲加工を施すことで、断面コ字状に形成されている(図3参照)。そして、ユニット側ガイドレール33は、棚側ガイドレール13の軌道溝14内に挿入されることで棚側ガイドレール13に係合し、この挿入状態においては、ユニット側ガイドレール33を軌道溝14の長手方向に沿って摺動させることができる。
【0034】
このユニット側ガイドレール33は、互いに反対側に向くユニット筐体31の一対の外側面31bに設けられている。そして、電子回路ユニット30を収容部11に収容した状態においては、一対の棚側ガイドレール13に、これら一対のユニット側ガイドレール33が各々係合する。これによって、電子回路ユニット30が、収容部11内の所定の高さ位置に支持されると共に、収容部11に対してAB方向のみに移動可能となる。
【0035】
また、電子回路ユニット30は、ユニット筐体31内の電子回路やこれに接続される収容棚10内の電子回路の導通/非導通状態を切り換える切換スイッチ35を備えている。
この切換スイッチ35は、前記電子回路を導通状態とする導通位置G(図10参照)と、前記電子回路を非導通状態とする非導通位置H(図4参照)との間でスライドするように移動可能とされている。なお、本実施形態における切換スイッチ35の移動方向は、収容棚や電子回路ユニットの高さ方向(EF方向)に設定されている。
このように構成される切換スイッチ35は、ユニット筐体31の内部に配され、ユニット筐体31に形成された開口部41を介して、収容部11からユニット筐体31を抜出する方向(B方向)の先端側に面するユニット筐体31の前端面(外面)31aから外部に露出している。これにより、作業者は切換スイッチ35を摘んで導通位置Gと非導通位置Hとの間で移動させることができる。
【0036】
さらに、電子回路ユニット30は、ユニット筐体31にその幅方向(CD方向)に移動可能に取り付けられ、上記切換スイッチ35の非導通位置Hから導通位置Gへの切り換え操作を規制したり、収容部11に対するユニット筐体31の挿抜作業を規制したりする切換規制部材36を備えている。この切換規制部材36は、主に折り曲げ加工を施した板材によって構成され、ユニット筐体31内に配されている。
平板状に形成された切換規制部材36の摺動板部51には、その厚さ方向に貫通してCD方向に延びる長孔51aが形成されている。そして、前端面31aと反対側に向くユニット筐体31の内面に突出して形成された係合突起42を、前述の長孔51aに挿通させることで、切換規制部材36がCD方向に移動可能となっている。なお、図示例では、ユニット筐体31の係合突起42が開口部41の上方に形成されており、これによって摺動板部51が開口部41の周縁のうち上側に配されている。
【0037】
さらに、切換規制部材36は、その移動方向の一端側(D方向側)に操作レバー52及び規制部53を形成し、さらに、他端側(C方向側)に突起部54を形成して構成されている。
操作レバー52は、平板状に形成されると共に前述した摺動板部51の下側に配されており、摺動板部51に対して折り曲げられることで、ユニット筐体31の開口部41からユニット筐体31の外部に突出している。したがって、作業者はこの操作レバー52を摘んで切換規制部材36をCD方向に移動させることができる。
【0038】
規制部53は、操作レバー52のさらに下側に配されており、板材の折り曲げ加工によって下方(F方向)に面する下端面53aと、切換規制部材36の移動方向の一端側(D方向)に面する側端面53bとを有している。
この規制部53は、切換スイッチ35が非導通位置Hに配されている状態において、切換スイッチ35の導通位置Gへの切り換え操作を阻止する位置(第一規制位置I)と、切換スイッチ35の導通位置Gへの切り換え操作を許容する位置(第二規制位置J)との間で移動可能となっている。
【0039】
具体的に説明すれば、図4に示すように、切換規制部材36が第一規制位置Iに配された状態では、規制部53が、非導通位置Hに配された切換スイッチ35に対して、切換スイッチ35の導通位置Gへの移動方向(E方向)前方側に位置する。このため、切換スイッチ35を導通位置Gに移動させようとしても、切換スイッチ35が規制部53の下端面53aに当接するため、切換スイッチ35を導通位置Gに移動させることはできない。
一方、図10に示すように、切換規制部材36が第二規制位置Jに配された状態では、規制部53が導通位置Gと非導通位置Hとの間で移動する切換スイッチ35の軌道から外れて位置するため、切換スイッチ35を導通位置Gと非導通位置Hとの間で移動させることができる。
【0040】
なお、図10に示すように、切換規制部材36を第二規制位置Jに配し、かつ、切換スイッチ35を導通位置Gに配した状態では、切換スイッチ35が、規制部53の第一規制位置Iへの移動方向(D方向)前方側に位置する。このため、切換規制部材を第一規制位置Iに移動させようとしても、規制部53の側端面53bが切換スイッチ35に当接するため、切換規制部材を第一規制位置Iに移動させることはできない。言い換えれば、図10に示す状態においては、切換スイッチ35が、切換規制部材36の第二規制位置Jから第一規制位置Iへの移動を規制する。
【0041】
図5や図9に示すように、切換規制部材36の他端側に形成される突起部54は、切換規制部材36をCD方向に移動させることで、ユニット筐体31の外側面31bに形成された挿通孔43を通じ、ユニット筐体31の外側面31bに対して出没可能となっている。そして、この突起部54は、切換規制部材36を第一規制位置Iに配した状態でユニット筐体31内部に没入し、切換規制部材36を第二規制位置Jに配した状態でユニット筐体31の外側面31bから突出する。そして、ユニット筐体31が収容部11に収容された状態でユニット筐体31の外側面31bから突起部54を突出させた場合、突起部54は収容部11の係合凹部16に挿入される(図9参照)。
【0042】
この突起部54が図9のようにユニット筐体31の外側面31bから突出している状態では、ユニット筐体31の実質的な幅寸法が、収容棚10の前面10a近傍における収容部11の幅寸法よりも大きくなるため、収容部11に対するユニット筐体31の挿抜作業が阻止されることになる。
具体的に説明すれば、例えば、ユニット筐体31が収容部11の外側に抜出された状態で突起部54がユニット筐体31の外側面31bから突出していると、ユニット筐体31を収容部11に挿入しようとしても、突起部54が収容部11の開口周縁をなす収容棚10の前面10aに当接するため、ユニット筐体31の挿入が阻害されることになる。また、図9に示すように、ユニット筐体31が収容部11に収容された状態で突起部54がユニット筐体31の外側面31bから突出していると、この突起部54が係合凹部16に挿入されて係合するため、ユニット筐体31の抜出が阻害されることになる。
【0043】
一方、突起部54が図5のようにユニット筐体31の外側面31bに対して没入している状態では、ユニット筐体31の幅寸法が、収容棚10の前面10a近傍における収容部11の幅寸法よりも小さくなるため、ユニット筐体31の挿抜作業が許容されることになる。
以上のことから、本実施形態の構成では、切換規制部材36が第一規制位置Iに配された状態において、切換スイッチ35の導通位置Gへの切り換え操作が規制され、かつ、ユニット筐体31の挿抜作業が許容される。一方、切換規制部材36が第二規制位置Jに配された状態においては、切換スイッチ35の切り換え操作が許容され、かつ、ユニット筐体31の挿抜作業が規制される。
【0044】
さらに、前述の突起部54は、図4,5に示すように、切換規制部材36を主に構成する板材に厚板状に形成された二つのブロックを固定して構成されている。この突起部54は、厚板状に形成された平面視矩形状の矩形ブロック56と、厚板状に形成された平面視台形状の台形ブロック55とを下側から順番に重ねて構成されている。なお、図示例では、台形ブロック55の一部が、切換規制部材36を主に構成する板材によって構成されているが、これに限ることは無い。
【0045】
ユニット筐体31の挿入方向(A方向)先端側に面する台形ブロック55の側面には、突起部54が突出する方向(C方向)に向かうにしたがってユニット筐体31の抜出方向(B方向)に傾斜する傾斜面55aが形成されている。
一方、ユニット筐体31の挿入方向(A方向)先端側に面する矩形ブロック56の側面は、突起部54の出没方向(C方向)に平行し、ユニット筐体31の挿抜方向(AB方向)に直交する垂直面56aとなっている。
そして、突起部54の垂直面56aは傾斜面55aよりもユニット筐体31の挿入方向(A方向)前方側に位置している。
【0046】
さらに、電子回路ユニット30は、図2,4〜6に示すように、ユニット筐体31に対してAB方向に移動可能に取り付けられ、収容部11に対するユニット筐体31の挿抜作業時に把持する一対の把持部材37,38を備えている。
各把持部材37,38は、主に折り曲げ加工を施した板材によって構成され、ユニット側ガイドレール33を設けたユニット筐体31の外側面31bに配される平板状の本体板部61,71と、本体板部61,71のうちユニット筐体31の抜出方向(B方向)の一端部に設けられる把持部62,72とを有している。
【0047】
把持部62,72は、収容部11に対するユニット筐体31の抜出作業時に、ユニット筐体31を把持するためのものである。この把持部62,72は、ユニット筐体31の高さ方向に延びる帯板状に形成され、板材の折り曲げ加工によって本体板部61,71に対して垂直に屈曲している。ここで、本体板部61,71に対する把持部62,72の屈曲方向は、本体板部61,71を配したユニット筐体31の外側面31bから左右に離間する方向に設定されている。このため、一対の把持部材37,38の把持部62,72はユニット筐体31の前端面31a上には位置せず、ユニット筐体31の前端面31aの幅方向両端の外側に配されている。
【0048】
さらに、各把持部材37,38には、把持部62,72の長手方向の両端に接続された取付板部63,73が一対形成されている。一対の取付板部63,73は、それぞれ把持部62,72に対して段差状に折り曲げ加工されることで、把持部62,72よりもユニット筐体31の挿入方向(A方向)にずれて位置している。
各取付板部63,73は、ユニット筐体31の幅方向に延びる帯板状に形成され、その長手方向の一端部64,74は、ユニット筐体31の前端面31aに対向するように配されている。この取付板部63,73の一端部64,74には、A方向に突出する棒状の軸部66,76が設けられており、この軸部66,76は、ユニット筐体31の前端面31aから内部に挿通されている。そして、軸部66,76は一対の取付板部63,73にそれぞれ設けられているため、各把持部材37,38はユニット筐体31に対する一対の軸部66,76の挿通方向、すなわち、AB方向に移動可能とされている。なお、各軸部66,76の突出方向先端にはフランジ67,77が形成されているため、各軸部66,76がユニット筐体31から抜け落ちることは無い。
【0049】
さらに、各軸部66,76のうちユニット筐体31の前端面31aと取付板部63,73との間の部分には、コイルスプリング(付勢手段)39が取り付けられている。このコイルスプリング39は、取付板部63,73の一端部64,74がユニット筐体31の前端面31aから離間するように、把持部材37,38をユニット筐体31の抜出方向(B方向)に付勢している。
なお、各把持部材37,38のAB方向の移動長さは、把持部材37,38がユニット筐体31に対して如何に移動しようとも把持部62,72がユニット筐体31の前端面31aよりもB方向にずれて位置するように、上述した軸部66,76の長さによって定められている(図5〜7等参照)。
【0050】
一方、各取付板部63,73の長手方向の他端部65,75は、把持部62,72と同様にユニット筐体31の前端面31aの幅方向端部の外側に配されており、ユニット筐体31を収容部11に収容した状態で、把持部62,72と共に収容棚10の前面10aに対向するようになっている。
そして、各取付板部63,73の他端部65,75には、その厚さ方向に貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔に固定用ネジ(固定具)40が挿通されている。固定用ネジ40は、収容棚10の前面10aに形成されたネジ孔17に螺着させることで、収容部11に収容されたユニット筐体31を把持部材37,38と共に収容棚10に固定する役割を果たす。なお、固定用ネジ40には、これが他端部65,75の貫通孔から抜け落ちることを防ぐ抜け止め用のワッシャ40Aが取り付けられており、これによって、固定用ネジ40は、その軸線を中心に回転可能とされた状態で取付板部63,73に取り付けられている。
【0051】
上述した把持部材37,38の構成については、図4〜6に記載されている一方の把持部材37を主に参照して説明しているが、他方の把持部材38も一方の把持部材37と同様の構成を有している。すなわち、他方の把持部材38は一方の把持部材37と同様に一対の取付板部73を有し、他方の把持部材38の一対の取付板部73にも、軸部76、コイルスプリング39及び固定用ネジ40が一つずつ設けられている。
【0052】
そして、一方の把持部材37は、切換規制部材36の突起部54の突出を規制するための突出規制部材として機能する(以下、一方の把持部材37を突出規制部材37とも呼ぶ)。すなわち、図4〜6に示すように、突出規制部材37をなす本体板部61は、ユニット筐体31の挿通孔43を覆う位置に配されており、この本体板部61にはその厚さ方向に貫通するスライド孔68が形成されている。
このスライド孔68は、突出規制部材37のAB方向への移動に関わらず、傾斜面55aを除く突起部54の他の部分を外方に臨ませるように形成されている。言い換えれば、スライド孔68の周縁部分には、突出規制部材37の移動に伴って、ユニット筐体31内に配された突起部54の傾斜面55aを覆うように位置する被覆位置Kと、傾斜面55aを外方に臨ませる退避位置L(図7,8参照)との間で移動する突起部54の被覆部分69が形成されている。
【0053】
この被覆部分69は、図9に示すように、突出規制部材37が退避位置Lに配されると共に突起部54が外部に突出した状態で、突起部54の傾斜面55aに対してAB方向に対向するようなっている。したがって、この状態から突出規制部材37を被覆位置Kに移動させると、被覆部分69が傾斜面55aに押し付けられるため、この押付力によって切換規制部材36が第二規制位置Jから第一規制位置Iに自動的に移動することになる。
【0054】
次に、上記構成の電子機器装置1において、電子回路ユニット30を収容棚10の収容部11に対して挿抜する際の作用について説明する。
例えば、電子回路ユニット30のユニット筐体31を収容棚10の収容部11に収容する場合には、図2〜6に示すように、予め、切換スイッチ35を非導通位置Hに配置し、切換規制部材36を第一規制位置Iに配して突起部54をユニット筐体31内に没入させておく。この状態においては、突出規制部材37がコイルスプリング39の付勢力によって被覆位置Kに配されている。
【0055】
次いで、図7,8に示すように、ユニット筐体31を収容部11に収容して棚側端子部12とユニット側端子部32とを接続する。さらに、固定用ネジ40を収容部11の前面10aのネジ孔17に螺着させることで、突出規制部材37がコイルスプリング39の付勢力に抗って被覆位置Kから退避位置Lに移動する。この状態においては、切換規制部材36の突起部54全体がユニット筐体31の外部に臨むことになり、ユニット筐体31の外側面31bに対して出没可能となる。
【0056】
そして、図9に示すように、切換規制部材36を第一規制位置Iから第二規制位置Jに移動させることで、突起部54がユニット筐体31の外側面31bから突出し、収容部11の係合凹部16に挿入される。この状態においては、図10に示すように、切換スイッチ35を導通位置Gに移動させることが可能となる。
なお、図10に示すように、切換スイッチ35が導通位置Gに配されている状態では、規制部53の移動が切換スイッチ35によって規制されて、切換規制部材36を第一規制位置Iに戻すことができないため、例え固定用ネジ40を収容棚10のネジ孔17から取り外しても突起部54がユニット筐体31内に入り込むことが無い。すなわち、収容棚10及び電子回路ユニット30の電子回路が導通状態となっている間は、ユニット筐体31を収容部11から抜き出すことはできない。
【0057】
一方、図9や図10に示す状態からユニット筐体31を収容部11から抜き出す場合には、はじめに、切換スイッチ35を非導通位置Hに配した上で、切換規制部材36を第二規制位置Jから第一規制位置Iに移動させる。これにより、突起部54がユニット筐体31内に没入することになる。そして、この状態では、切換規制部材36の規制部53によって切換スイッチ35の導通位置Gへの移動が規制されている。また、上述した切換規制部材36の移動の前後あるいは同時に、固定用ネジ40を収容棚10のネジ孔17から取り外す。
このように固定用ネジ40が取り外され、かつ、切換スイッチ35が非導通位置Hに配された状態では、コイルスプリング39の付勢力によって突出規制部材37が退避位置Lから被覆位置Kに移動しようとする。この際には、コイルスプリング39の付勢力によって突出規制部材37の被覆部分69が突起部54の傾斜面55aに押し付けられるため、この押付力によって切換規制部材36が自動的に第二規制位置Jから第一規制位置Iに移動することになる。
【0058】
以上説明したように、上記実施形態による電子回路ユニット30及びこれを備える電子機器装置1によれば、切換規制部材36の位置に応じて、切換スイッチ35による収容棚10及び電子回路ユニット30の電子回路の導通状態への切り換え操作、及び、収容棚10に対するユニット筐体31の挿抜作業のいずれか一方のみを許容し、他方を阻止することができる。特に、切換スイッチ35が導通位置Gに配されている状態では、切換規制部材36を第二規制位置Jから第一規制位置Iに移動できないようになっているため、電子回路を導通状態としたままでの電子回路ユニット30の挿抜作業(活線挿抜)を防止して、収容棚10及び電子回路ユニット30の端子部12,32や電子回路を保護することができる。
【0059】
具体的に説明すれば、例えば、ユニット筐体31が収容部11の外側に抜出された状態において、突起部54がユニット筐体31の外側面31bから突出していると、ユニット筐体31を収容部11に挿入しようとしても、突起部54が収容部11の開口周縁をなす収容棚10の前面10aに当接して、ユニット筐体31の挿入を阻害することができる。すなわち、切換規制部材36が第二規制位置Jに配されて、切換スイッチ35により電子回路が通電状態では、ユニット筐体31の挿入作業を確実に阻止することができる。
【0060】
一方、ユニット筐体31が収容部11に収容された状態で突起部54をユニット筐体31の外側面31bから突出させて収容部11の係合凹部16内に挿入しておくと、突起部54が係合凹部16に係合するため、ユニット筐体31の抜出を阻害することができる。すなわち、切換規制部材36が第二規制位置Jに配されて、切換スイッチ35により電子回路が通電状態では、ユニット筐体31の抜出作業を確実に阻止することができる。
【0061】
また、本実施形態の構成では、被覆位置Kと退避位置Lとの間で移動可能とされた突出規制部材37を備えているため、この突出規制部材37を被覆位置Kに配しておくことで、切換規制部材36の突起部54がユニット筐体31内に没入状態に保持され、不意にユニット筐体31外に突出することを防止できる。
そして、本実施形態の電子回路ユニット30は、コイルスプリング39及び固定用ネジ40を備えているため、突起部54をユニット筐体31内部に没入させた状態で、ユニット筐体31を収容部11に収容して棚側端子部12とユニット側端子部32とを接続状態とした後であっても、固定用ネジ40によりユニット筐体31を収容棚10に固定していなければ、コイルスプリング39の付勢力によって上述した突出規制部材37が被覆位置Kに配されることになる。この状態では、突起部54を突出させることができない、すなわち、切換規制部材36を第一規制位置Iから第二規制位置Jに移動できないため、切換スイッチ35による電子回路の導通状態への切り換え操作を阻止することができる。
【0062】
一方、ユニット筐体31が固定用ネジ40によって収容棚10に固定された状態では、突起部54を突出させることができる、すなわち、切換規制部材36を第一規制位置Iから第二規制位置Jに移動させることができる。したがって、切換スイッチ35によって電子回路を導通状態に切り換えることができる。
以上のように、電子回路ユニット30がコイルスプリング39及び固定用ネジ40を備えることで、収容部11に収容されたユニット筐体31が収容棚10に固定されない限り、電子回路を導通状態に切り換えることができないため、電子回路を導通状態としたままでの電子回路ユニット30の抜出作業をより確実に防止することができる。
【0063】
さらに、本実施形態の電子回路ユニット30がコイルスプリング39を備えていることで、切換スイッチ35が非導通位置Hに配されていれば、図9に示す状態から固定用ネジ40を収容棚10のネジ孔17から取り外すだけで、第二規制位置Jに配された切換規制部材36をコイルスプリング39の付勢力によって自動的に第一規制位置Iに移動させることができるため、ユニット筐体31の抜出作業を簡便に行うことが可能となる。
【0064】
また、突起部54には、その傾斜面55aよりもユニット筐体31の挿入方向(A方向)前方側に垂直面56aが形成されているため、突起部54がユニット筐体31の外部に突出した状態でユニット筐体31を収容部11に挿入しようとする際には、突起部54の垂直面56aが収容棚10の前面10aに当接し、傾斜面55aが収容棚10の前面10aに当接することを防止できる。したがって、傾斜面55aが収容棚10の前面10aに当接することで切換規制部材36が不意に第二規制位置Jから第一規制位置Iに移動してしまうことも防止できる。
さらに、傾斜面55aが収容棚10の前面10aに当接することは無いため、突起部54が収容棚10の前面10aに押し当てられても切換規制部材36を第二規制位置Jから第一規制位置Iに移動させようとする力も生じない。したがって、切換規制部材36が第二規制位置Jに配され、かつ、切換スイッチ35が切換規制部材36の第一規制位置Iへの移動を規制する導通位置Gに配されていたとしても、突起部54を収容棚10の前面10aに押し当てる力が切換スイッチ35に伝わることを防ぎ、その結果として、切換スイッチ35の保護を図ることができる。
【0065】
さらに、本実施形態の電子回路ユニット30では、退避位置Lから被覆位置Kに向かう突出規制部材37や他方の把持部材38の移動方向がユニット筐体31を収容部11から抜出する方向(B方向)に一致しているため、コイルスプリング39の付勢力に頼らなくても、作業者が把持部62,72を掴んでユニット筐体31を収容部11から抜き出す作業を行うだけで、突出規制部材37を退避位置Lから被覆位置Kに移動させることが可能である。
また、一対の把持部材37,38の把持部62,72がユニット筐体31の前端面31a上に配されていないため、切換スイッチ35や、ユニット筐体31内部の熱を外部に逃がすための通気口44(図1等参照)、あるいは、電子回路ユニット30の動作状態を確認するための表示部品等のように、ユニット筐体31の前端面31a側に設ける各種要素の配置自由度が向上する。
【0066】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、突起部54は、個別に形成された矩形ブロック56及び台形ブロック55を互いに固定することで構成されているが、例えばこれら矩形ブロック56及び台形ブロック55を一体に形成して構成されてもよい。また、矩形ブロック56や台形ブロック55は厚板状に形成されることに限らず、それぞれの強度を確保できれば、例えば薄板状に形成されても構わない。なお、ユニット筐体31の挿通孔43や突出規制部材37のスライド孔68の大きさは、矩形ブロック56や台形ブロック55の厚みに対応づけて適宜設定すればよい。
【0067】
また、突起部54には垂直面56aが形成されるとしたが、例えば傾斜面55aのみが形成されてもよい。この構成では、切換スイッチ35が導通位置Gに配されている状態で固定用ネジ40によるユニット筐体31の固定状態を解除しても、切換規制部材36の第一規制位置Iから第二規制位置Jへの移動が切換スイッチ35によって規制されることで突起部54が突出状態に保持されるため、コイルスプリング39の付勢力によって突出規制部材37の被覆部分69が突起部54の傾斜面55aに押し付けられても、切換規制部材36が第二規制位置Jから第一規制位置Iに移動することはない。
【0068】
さらに、突出規制部材37のスライド孔68は、突出規制部材37が被覆位置Kに配された状態で、ユニット筐体31の挿通孔43やユニット筐体31内に配された突起部54の一部のみを覆うように形成されているが、例えばこれら挿通孔43や突起部54の全体を覆うように形成されてもよい。
また、突出規制部材37にはスライド孔68が形成されるとしたが、突出規制部材37は、少なくともユニット筐体31の挿通孔43の一部を覆って突起部54の突出を規制する被覆位置Kと、挿通孔43を覆わずに突起部54の突出を許容する退避位置Lとの間で移動可能となっていればよい。すなわち、突出規制部材37は、これが被覆位置Kに配された状態で挿通孔43を覆い、退避位置Lに配された状態で挿通孔43を覆わない被覆部分69を有していればよいため、特にスライド孔68を形成しなくても構わない。
【0069】
さらに、切換スイッチ35、切換規制部材36、突出規制部材37の各移動方向は、上記実施形態のものに限ることはない。
例えば、切換規制部材36の移動方向は、少なくとも切換スイッチ35の非導通位置Hから導通位置Gへの切り換え操作を規制し、かつ、収容部11に対するユニット筐体31の挿抜作業を許容する第一規制位置Iと、ユニット筐体31の挿抜作業を規制し、かつ、切換スイッチ35の切り換え操作を許容する第二規制位置Jとの間で移動可能となるように、切換スイッチ35の移動方向に対応づけて設定されればよい。
また、突出規制部材37の移動方向は、少なくとも突起部54の突出を規制する被覆位置Kと、突起部54の突出を許容する退避位置Lとの間で移動可能となるように、切換規制部材36の移動方向に対応づけて設定されればよい。
【0070】
さらに、突起部54の傾斜面55aは、突起部54が突出する方向(C方向)に向かうにしたがってユニット筐体31の抜出方向(B方向)に傾斜するように形成されることに限らず、少なくとも突起部54の突出方向に向かうにしたがって突出規制部材37が退避位置Lから被覆位置Kに向かう方向に傾斜していればよい。
【0071】
また、上記実施形態の電子回路ユニット30には、突出規制部材37を退避位置L側から被覆位置Kに向けて付勢するコイルスプリング39が設けられているが、このコイルスプリング39は設けなくても構わない。このような構成でも、把持部62,72を把持してユニット筐体31を収容部11から抜出する際には、ユニット筐体31を抜出する力で突出規制部材37を退避位置Lから被覆位置Kに移動させることができるため、突起部54に傾斜面55aが形成されていれば、ユニット筐体31を収容部11から引き抜く力で、切換規制部材36を第二規制位置Jから第一規制位置Iに移動させることはできる。すなわち、ユニット筐体31の抜出作業を簡便に行うことができる。
さらに、上記実施形態の電子回路ユニット30には、これを収容棚10に固定する固定用ネジ40が設けられているが、切換規制部材36の突起部54を利用すれば電子回路ユニット30の抜き出しを防止することができるため、固定用ネジ40は特に設けなくてもよい。
【0072】
また、上記実施形態においては、複数の電子回路ユニット30が収容棚10の高さ方向に並べて収容部11に収容されることを前提として説明したが、例えば収容棚10の幅方向に並べて収容される場合もある。したがって、各電子回路ユニット30は、上記実施形態のように、収容棚10の収容部11に対して横置き状態で収容されることに限らず、例えば縦置き状態で収容されてもよい。
さらに、電子機器装置1は、電子回路ユニット30を複数備えるとしたが、一つだけ備えていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 電子機器装置
10 収容棚
11 収容部
11b 内側面(内面)
12 棚側端子部
16 係合凹部
30 電子回路ユニット
31 ユニット筐体
31a 前端面(外面)
31b 外側面(外面)
32 ユニット側端子部
43 挿通孔
35 切換スイッチ
G 導通位置
H 非導通位置
36 切換規制部材
54 突起部
55a 傾斜面
56a 垂直面
I 第一規制位置
J 第二規制位置
37 一方の把持部材(突出規制部材)
62 把持部
69 被覆部分
K 被覆位置
L 退避位置
38 他方の把持部材
72 把持部
39 コイルスプリング(付勢手段)
40 固定用ネジ(固定具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電子回路を有すると共に収容棚の収容部に対して一方向に挿抜可能に収容されるユニット筐体と、当該ユニット筐体を前記収容部に収容した状態で前記収容部内の棚側端子部に接続されるユニット側端子部と、前記棚側端子部と前記ユニット側端子部とが接続されることで互いに電気接続される前記収容棚内及び前記ユニット筐体内の電子回路の導通/非導通状態を切り換える切換スイッチと、を備える電子回路ユニットであって、
前記切換スイッチは、前記電子回路を導通状態とする導通位置と、前記電子回路を非導通状態する非導通位置との間で移動可能とされ、
前記切換スイッチの前記非導通位置から前記導通位置への切り換え操作を規制すると共に、前記収容部に対する前記ユニット筐体の挿抜作業を許容する第一規制位置と、前記ユニット筐体の挿抜作業を規制すると共に、前記切換スイッチの切り換え操作を許容する第二規制位置との間で移動可能とされた切換規制部材を備え、
当該切換規制部材が前記第二規制位置に配され、かつ、前記切換スイッチが前記導通位置に配されている状態では、前記切換スイッチが、前記切換規制部材の前記第二規制位置から前記第一規制位置への移動を規制することを特徴とする電子回路ユニット。
【請求項2】
前記切換規制部材は、前記一方向に直交する方向に移動することで、前記一方向に沿う前記ユニット筐体の外面に対して出没可能とされた突起部を有し、
当該突起部は、前記切換規制部材を前記第二規制位置に配した状態で前記ユニット筐体の外面から突出することを特徴とする請求項1に記載の電子回路ユニット。
【請求項3】
前記突起部を前記ユニット筐体の内部から外側に突出させる前記ユニット筐体の挿通孔の少なくとも一部を覆って前記突起部の突出を規制する被覆位置と、前記挿通孔を覆わずに前記突起部の突出を許容する退避位置との間で移動可能となるように、前記ユニット筐体に取り付けられる突出規制部材を備えることを特徴とする請求項2に記載の電子回路ユニット。
【請求項4】
前記突出規制部材を前記退避位置側から前記被覆位置に向けて付勢する付勢手段と、
前記付勢手段の付勢力に抗って前記突出規制部材を前記退避位置に配した状態で、前記収容部に収容された前記ユニット筐体を前記突出規制部材と共に前記収容棚に固定する固定具と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の電子回路ユニット。
【請求項5】
前記突起部には、その突出方向に向かうにしたがって前記退避位置から前記被覆位置に向かう方向に傾斜する傾斜面が形成され、
当該傾斜面は、前記突出規制部材が前記退避位置に配されると共に前記突起部が突出した状態で、前記被覆位置に配された前記突出規制部材のうち前記挿通孔を覆う被覆部分に対向することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電子回路ユニット。
【請求項6】
前記突起部には、当該突起部の出没方向に平行し、かつ、前記ユニット筐体の挿入方向に垂直に向く垂直面が形成され、
当該垂直面は、前記傾斜面よりも前記挿入方向前方側に位置することを特徴とする請求項5に記載の電子回路ユニット。
【請求項7】
前記退避位置から前記被覆位置に向かう前記突出規制部材の移動方向が、前記ユニット筐体を前記収容部から抜出する方向に一致し、
前記突出規制部材には、前記ユニット筐体の挿抜作業時に当該ユニット筐体を把持する把持部が形成されていることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の電子回路ユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電子回路ユニットと、
当該電子回路ユニットを収容可能な収容部、及び、当該収容部内に設けられて前記ユニット筐体を前記収容部に収容した状態で前記電子回路ユニットの前記ユニット側端子部に接続される棚側端子部を有する収容棚と、を備えることを特徴とする電子機器装置。
【請求項9】
請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の電子回路ユニットと、
当該電子回路ユニットを収容可能な収容部、及び、当該収容部内に設けられて前記ユニット筐体を前記収容部に収容した状態で前記電子回路ユニットの前記ユニット側端子部に接続される棚側端子部を有する収容棚と、を備え、
前記収容部には、その内面から窪んで、前記収容部に収容された前記ユニット筐体の外面から突出した前記突起部を挿入する係合凹部が形成されていることを特徴とする電子機器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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