説明

電子映像カメラ

【課題】撮影レンズ部、ストロボ発光部、バッテリ部、信号処理回路基板、画像表示部などの各要素を好適に配置することにより、小型化に適した、携帯性及び操作性に優れた電子映像カメラを提供する。
【解決手段】カメラボデイ1とカメラボディ2をヒンジ部4により折り畳み可能な構造とし、カメラボディ1にシャッターボタン9とバッテリー部10を配置し、カメラボディ2に撮像レンズ部5を配置し、該カメラボディ1とカメラボディ2を折り畳んだ状態では撮像レンズ5は内側に折り畳まれて保護される、展開した状態では良好な重量バランスや凸上のグリップにより操作性に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体やメモリーカードなどの半導体記録媒体に画像記録する小型で携帯性に優れたビデオカメラや電子スチルカメラなどの電子映像カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子映像カメラは、撮影レンズを通して得られた被写体像を固体撮像素子で光電変換する撮像部と、その光電変換した信号を記録媒体に記録する信号にする信号処理部と、記録媒体を含む記録部と、ファインダー機能と共に記録した画像を再生表示する画像表示部とからなり、これらの要素ユニットを含むカメラボディの形態は次の二つの例のようになっており、図4及び図5に、電子映像カメラの従来例を示す。
【0003】
図4は、撮影レンズ部30と固体撮像素子回路部31がカメラボディ32横に配置されている例であり、この両者が図示されていないメインフレームに固定され、更に、信号処理回路基板33、記録媒体34の収納部35及び同接続回路部36、バッテリー部37、コンデンサー38A と発光部38b を含むストロボ回路基板部38、カメラボディ32の背面に表示部を持つ液晶画像表示部39などが固定された後、このメインフレームにカメラボディ32を取り付ける方式であり、カメラボディは横長に大きくなる。
【0004】
図5は、上記と同様に撮影レンズ部30と固体撮像素子回路部31を横に配置したものであるが、撮影レンズ部30がカメラボデイ32より突出しないように奥行きのある板状にしたものであり、図示しないメインフレームに前記撮影レンズ30や固体撮像素子回路31、信号処理回路基板33、記録媒体収納部35及び同接続回路部36、バッテリー部37、ストロボコンデンサー38A 、発光部38b を含むストロボ回路基板部38を固定した後、カメラボディ32を取り付ける。更に、このカメラボディ32の上面に折りたたみ式の液晶画像表示部39を設置する。この方式では、カメラボディは厚くなる。
【0005】
また、この二つの従来例では信号処理回路基板部の面積をとる必要から1枚当たりの基板を大きくしたり、または基板の枚数を増やしてコネクター接続の積層構造にしなければならない。また、撮影レンズやバッテリーなどの内容物に基板が当たるのを避けるために基板の一部を切り欠いたりしなければならない。このようにすることで、カメラボディ外形が全体的に大きくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のコンパクトカメラタイプの電子映像カメラにおいては、回路基板面積を出来るだけ大きくするために撮影レンズを横端に配置するなど、基板を切り欠く量を小さくしている。しかし、限界があり基板はやはり大きくなる。また、ストロボ回路基板や記録媒体接続回路部その他などを積層に多数構成しなければならず、カメラは縦、横、厚み方向にも大きくなり、携帯性、操作性も悪化させている。
【0007】
更に、奥行き方向に長い板状のカメラ形態においては、撮影レンズ部は突出さないでカメラボディ内に収まるが、上記と同様に基板面積を広くとる必要からカメラボディは大きくなり、且つ、液晶画像表示部はカメラボディ上面に設けられているのでカメラ全体の厚みは更に厚いものになり、撮影及び再生時は画像表示部を立てて見るのでカメラホールド性が悪く、シャッターボタンその他操作部などの配置が人間工学的にも無理があり、操作性、携帯性、重量バランスに欠けるものとなっている。
【0008】
本発明の目的は、撮影レンズ部やストロボ発光部、信号処理回路基板、画像表示部などの各要素の実装効率の良い、小型化に適し、携帯性及び操作性に優れた電子映像カメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、二つのボディを有する電子映像カメラであって、
該電子映像カメラは、シャッター部とバッテリ部を有するボディAと、撮像レンズ部を有するボディBとを有し、前記ボディAと前記ボディBはヒンジ部により折り畳み可能に結合され、前記ボディAとボディBを折り畳んだ状態では、前記ボディBの前記撮像レンズ部を備える面が内側になるよう折り畳まれ、前記ボディAとボディBを展開した状態では、前記ボディAにおける前記バッテリ部は該展開されたボディAの端部に配置されることを特徴とする電子映像カメラに関する。
【0010】
また、好ましくは前記ボディAは液晶画像表示部を有し、前記前記ボディAとボディBを折り畳んだ状態では、前記ボディAの液晶画像表示部を備える面が外側となり、前記ボディBの前記撮像レンズ部を備える面が内側となるように折り畳まれ、前記ボディAとボディBを展開した状態では、前記ボディAの液晶画像表示部を備える面と、前記ボディBの前記撮像レンズ部を備える面が略反対の方向を向くこと特徴とする電子映像カメラに関する。
【0011】
また、好ましくはストロボ発光部を有し、前記撮像レンズ部が前記ボディBの前記ヒンジ部と異なる端部近傍に配置され、ストロボ発光部が前記ボディBのヒンジ部近傍または前記ボディAに配置されていることを特徴とする電子映像カメラに関する。
【0012】
また、好ましくは前記ボディBは記録媒体収納部を備え、該記録媒体収納部は該ボディBの幅方向の側面に配置されていることを特徴とする電子映像カメラに関する。
【0013】
また、好ましくは前記ボディAは凸状のグリップ部を有し、かつ、前記ボディBは前記ボディAとボディBを折り畳んだ場合に前記凸状のグリップ部と嵌合する凹部を有することを特徴とする電子映像カメラに関する。
また、好ましくは前記ボディAとボディBを展開した状態において、高さ方向の一方に前記撮影レンズ部および前記ストロボ発光部が配置され、他方に前記バッテリ部および前記記録媒体収納部が配置されたことを特徴とする電子映像カメラ。
【0014】
また、好ましくは前記ボディAは液晶画像表示部、液晶画像表示回路基板、コントロール基板、ストロボ発光部、ストロボ回路基板、ストロボコンデンサーおよびバッテリ部を備え、前記ボディBは撮影レンズ部、信号処理回路基板、記録媒体収納部を備えることを特徴とする電子映像カメラに関する。
【発明の効果】
【0015】
本発発明の構成によれば、以下に述べる効果の1または2以上を得ることができる。即ち、折り畳んだ状態では撮影レンズ部、ストロボ発光部と液晶画像表示部は内側に折り畳まれて保護され、携帯性に優れたており、展開した状態ではホールドが良く構えることができ、操作性に優れている。特に、シャッターボタンを有するカメラボディに凸状のグリップ部を、撮影レンズ部のあるカメラボディに凹状のグリップ部を有する場合、指が自然にかかり、カメラホールド性が非常に優れたものになる。また、ストロボ発光部や撮影レンズに指がかかることを防止できる。
【0016】
また、シャッターボタンなど操作系があるカメラボディには液晶画像表示部やストロボ発光部、バッテリー部などが配設されるのみであるから基板を切り欠くことが殆どなく、基板有効実装面積が広くとれ、結果的に効率よく小さく構成できる。
【0017】
また、バッテリーや液晶表示部など比較的重量のある要素部分を内蔵するこのカメラボディを持つため重量バランス的にも良好であり、特に、凸状グリップを有する場合には特に操作性と重量バランスが良好となる。もう一方のカメラボディには、撮影レンズ部や記録媒体収納部、信号処理回路部などが配設されるので同様に殆ど基板を切り欠くことなく基板有効実装面積を広くとれ、結果的に効率よく小さく構成できる。
【0018】
また、各要素部をカメラボディに殆どフレームを用いずに直接固定でき、また、小さな箱状になるので強度的にも強くなり且つ、事前組立もやりやすいのでコスト的にも有利となる。
【0019】
また、撮影レンズ部とストロボ発光部はカメラボディを閉じた状態では互いに向かい合う形になり、撮影レンズ面やストロボ発光面を保護する形態となる。
【0020】
また、カメラボディを展開したときには両者の間隔は離れ合うので、赤目対策上非常に有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の電子映像カメラの実施例を示し、カメラボディを180°展開したカメラ正面斜め方向から見た概略構成図であり、撮影レンズ5はカメラボディ2に、ストロボ発光部6はカメラボディ1に配設されている。図2は図1のカメラボディを折り畳んだ時の構成概略図であり、カメラボディ1と2を折り畳み格納し、携帯時のコンパクトな形態を示したものである。図3は本発明の電子映像カメラの他の実施例の概略構成図であり、撮影レンズ部5とストロボ発光部6はカメラボディ2に配設構成されたものである。図において同じ部位は同じ符号で示し、カメラボディは幅>高さ>厚さの関係を持つ箱形形状である。
【0022】
図において、1は折りたたみ構造の電子映像カメラの片方のカメラボディA、2はもう一方のカメラボディBであり、3はカメラボディ1と2が折り畳められた状態を示し、4はカメラボディ1と2を結合及び180°開閉展開を可能とするヒンジ部である。5は撮影レンズ部であり、6はストロボ発光部であり、7はカメラボディ1に配設された凸状のグリップ部、8はカメラボディ2に配設された凹状のグリップ部であり、カメラボディ1と2が折り畳められた3の状態ではグリップ部7と8がはまり込むように構成される。カメラボディ1と2の180°展開時は図示されていない展開時固定ロック部によって固定され、カメラホールドが確実にできるようになる。9はカメラボディ1の上部に配設されたシャッターボタンであり、10はグリップ部7の中に収納されるバッテリーであり、11はカメラボディ2の中に収納される記録媒体であり、12と12A はカメラボディ1と2を折り畳み込んだ状態で結合固定するロック部である。カメラボディ1にはファインダー機能及び記録した画像を再生して見る液晶画像表示部13や、同画像表示回路基板14及びストロボ回路基板15、ストロボ発光部6、ストロボコンデンサ16などがバッテリー10の収納されている上部に配設されている。 ヒンジ部4を通じてカメラボディ1と電気的にも接続されているカメラボディ2には、記録媒体11を収納する記録媒体収納部17と信号処理回路基板18が配設され、この信号処理回路基板18には記録媒体11の信号処理回路部と撮影レンズ部5と接続された固体撮像素子回路部が同じ基板上に構成されている。
【0023】
以上説明したように本発明の構成によれば、幅>高さ>厚さの関係を持つ箱形で非常に小型で携帯性に優れたカメラになり、カメラを180°展開した場合は銀塩コンパクトカメラのように構えることができ、更にシャッターボタンがあるカメラボディには凸状のグリップ部が、撮影レンズ部のあるカメラボディには凹状のグリップ部が形成されるので、指が自然にかかり、カメラホールド性が非常に優れたものになり、またストロボ発光部や撮影レンズに指がかかることを防止できる。
【0024】
更に、シャッターボタンなど操作系があるカメラボディには液晶画像表示部やストロボ発光部、バッテリー部などが配設されるのみであるから基板を切り欠くことが殆どなく、基板有効実装面積が広くとれ、結果的に効率よく小さく構成できる。また、バッテリーや液晶表示部など比較的重量のある要素部分を内蔵するこのカメラボディを手のひらで凸状グリップを用いてホールドするので重量バランス的にも良好となる。もう一方のカメラボディには、撮影レンズ部や記録媒体収納部、信号処理回路部などが配設されるので同様に殆ど基板を切り欠くことなく基板有効実装面積を広くとれ、結果的に効率よく小さく構成できる。
【0025】
いずれの場合も各要素部をカメラボディに殆どフレームを用いずに直接固定でき、また、小さな箱状になるので強度的にも強くなり且つ、事前組立もやりやすいのでコスト的にも有利となる。
【0026】
また、第1の実施例では、撮影レンズ部とストロボ発光部はカメラボディを閉じた状態では互いに向かい合う形になり、撮影レンズ面やストロボ発光面を保護する形態となる。180°に展開したときには両者の間隔は離れ合うので赤目対策上非常に有利となる。第2の実施例では、一方のカメラボディに撮影レンズ部とストロボ発光部を配設し、撮影に必要な各要素を集約した構成としたものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、携帯性や操作性に優れた電子映像カメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の電子映像カメラの実施例の構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1の電子映像カメラを折り畳んだ状態を示す概略構成図である。
【図3】本発明の電子映像カメラの他の構成を示す概略斜視図である。
【図4】電子映像カメラの従来例の構成を示す概略斜視図である。
【図5】電子映像カメラの他の従来例の構成を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 カメラボディA
2 カメラボディB
3 折り畳み状態のカメラボディ
4 ヒンジ部
5 撮影レンズ部
6 ストロボ発光部
7 凸状グリップ部
8 凹状グリップ部
9 シャッターボタン
10 バッテリー
11 記録媒体
1212a 結合固定ロック部
13 液晶画像表示部
14 液晶画像表示回路基板
15 ストロボ回路基板
16 ストロボコンデンサー
17 記録媒体収納部
18 信号処理回路基板
30 撮影レンズ部
31 固体撮像素子回路部
32 カメラボディ
33 信号処理回路部
34 記録媒体
35 記録媒体収納部
36 記録媒体接続回路部
37 バッテリー部
38 ストロボ回路基板部
38a ストロボコンデサー
38b 発光部
39 液晶画像表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つのボディを有する電子映像カメラであって、
該電子映像カメラは、シャッター部とバッテリ部を有するボディAと、撮像レンズ部を有するボディBとを有し、前記ボディAと前記ボディBはヒンジ部により折り畳み可能に結合され、
前記ボディAとボディBを折り畳んだ状態では、前記ボディBの前記撮像レンズ部を備える面が内側になるよう折り畳まれ、
前記ボディAとボディBを展開した状態では、前記ボディAにおける前記バッテリ部は該展開されたボディAの端部に配置されることを特徴とする電子映像カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子映像カメラであって、
前記ボディAは液晶画像表示部を有し、
前記前記ボディAとボディBを折り畳んだ状態では、前記ボディAの液晶画像表示部を備える面が外側となり、前記ボディBの前記撮像レンズ部を備える面が内側となるように折り畳まれ、
前記ボディAとボディBを展開した状態では、前記ボディAの液晶画像表示部を備える面と、前記ボディBの前記撮像レンズ部を備える面が略反対の方向を向くこと特徴とする電子映像カメラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子映像カメラであって、
更にストロボ発光部を有し、
前記撮像レンズ部が前記ボディBの前記ヒンジ部と異なる端部近傍に配置され、
ストロボ発光部が前記ボディBのヒンジ部近傍または前記ボディAに配置されていることを特徴とする電子映像カメラ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子映像カメラであって、
前記ボディBは記録媒体収納部を備え、該記録媒体収納部は該ボディBの幅方向の側面に配置されていることを特徴とする電子映像カメラ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子映像カメラであって、
前記ボディAは凸状のグリップ部を有し、かつ、前記ボディBは前記ボディAとボディBを折り畳んだ場合に前記凸状のグリップ部と嵌合する凹部を有することを特徴とする電子映像カメラ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項の記載の電子映像カメラであって、
前記ボディAとボディBを展開した状態において、高さ方向の一方に前記撮影レンズ部および前記ストロボ発光部が配置され、他方に前記バッテリ部および前記記録媒体収納部が配置されたことを特徴とする電子映像カメラ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子映像カメラであって、
前記ボディAは液晶画像表示部、液晶画像表示回路基板、コントロール基板、ストロボ発光部、ストロボ回路基板、ストロボコンデンサーおよびバッテリ部を備え、
前記ボディBは撮影レンズ部、信号処理回路基板、記録媒体収納部を備えることを特徴とする電子映像カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2004−328789(P2004−328789A)
【公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183075(P2004−183075)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【分割の表示】特願平9−289702の分割
【原出願日】平成9年10月22日(1997.10.22)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】