説明

電子時計

【課題】走行距離に応じた自己記録の管理を行えるようにすること。
【解決手段】入力装置105から走行距離を設定し計時開始操作を行うことによって走行時間の計時動作を開始し、走行終了後、入力装置105から計時終了を指示する。計時した走行時間は、前記設定した走行距離に対応付けてRAM103に記憶される。今回の走行時間と、RAM103に記憶されたデータ中の前記設定距離と同一走行距離に対応付けられた過去の走行時間とを比較して、その評価を表示装置104に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計、特にストップウォッチ機能を有する電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ある時間間隔を測定するためにストップウオッチが利用されている。
例えば特許文献1記載の発明では、スタート・ストップ間の計測時間情報を得る計時手段、計時手段によって計測した計測時間報を複数記憶可能な記憶手段、前記記憶手段に記憶されている複数の計測時間情報のうち最高、最低もしくは平均の計測時間情報を得る演算手段、前記演算手段で得られた計測時間情報を表示する表示手段を備えている。
かかる構成により、マラソン等の走行に要した時間を計測することが可能であり又、記憶手段に記憶した今までの走行時間データを表示させることによって最も速いタイムや最も遅いタイム等を知ることができる。
【0003】
しかしながら、マラソンを走る人はいつも同じ距離を走るわけではなく、マラソン大会であれば10km、ハーフマラソン、フルマラソン等、様々な距離の大会に出場する。その際、前記特許文献1記載のストップウォッチでは、短い距離と長い距離の記録が区別されず、短い距離を走ったときの記録が最高記録として表示されてしまう。
これでは、マラソン等の同一距離を走った際のストップウォッチの記録が、過去の記録と比べどうであったか(早い、遅い)を知ることができないため、走行距離に応じた自己記録の管理ができないという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−222189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、走行距離に応じた自己記録の管理を行えるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、走行距離を設定する走行距離設定手段と、時間を計測する計時手段と、前記計時手段の計時開始及び計時終了を指示する計時指示手段と、前記走行距離設定手段が設定した走行距離と、前記計時指示手段の指示に応答して前記計時手段が計時した走行時間とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記計時指示手段による指示に応答して前記計時手段が計時した今回の走行時間と、前記記憶手段に記憶され前記走行距離設定手段によって設定された設定距離に対応する過去の走行時間とを比較して、その評価を報知する報知手段とを備えて成ることを特徴とする電子時計が提供される。
報知手段は、計時指示手段による指示に応答して計時手段が計時した今回の走行時間と、記憶手段に記憶され走行距離設定手段によって設定された設定距離に対応する過去の走行時間とを比較して、その評価を報知する。
【0007】
ここで、前記報知手段は、前記今回の走行時間が前記過去の全ての走行時間よりも短い場合、前記今回の走行時間がベストタイムである旨表示するように構成してもよい。
また、前記報知手段は、前記今回及び過去の走行時間における今回の走行時間の順位を表示するように構成してもよい。
また、前記記憶手段には複数種類の走行距離が記憶されて成り、前記走行距離設定手段は、前記記憶手段に記憶した複数種類の走行距離の中から選択することによって走行距離を設定するように構成してもよい。
【0008】
また、前記走行距離設定手段は、距離を入力することによって走行距離を設定するように構成してもよい。
また、前記計時手段による計時開始指示に応答して前記計時手段が計時開始した後、前記計時手段による計時時間が前記記憶手段に記憶され前記走行距離設定手段によって設定された設定距離に対応する過去のベストタイムの半分になったとき又はベストタイムと同じになったとき、前記報知手段が報知するように構成してもよい。
【0009】
また、更に、前記記憶手段にラップタイムの記憶を指示するラップタイム指示手段を有し、前記記憶手段には走行距離と走行時間とを対応付けて記憶すると共に、これらに対応付けて前記ラップタイム指示手段によって指示された時点のラップタイムを対応付けて記憶し、前記計時手段による計時開始指示に応答して前記計時手段が計時開始した後、前記計時手段による計時時間が、前記記憶手段に記憶され前記走行距離設定手段によって設定された設定距離に対応する過去のベストタイムのラップタイムになったとき、前記報知手段が報知するように構成してもよい。
【0010】
また、前記記憶手段に記憶されたベストタイムを所定距離毎の複数の時間に区分し、前記計時手段による計時開始指示に応答して前記計時手段が計時開始した後、前記計時手段による計時時間が、前記区分した各時間になったとき、前記報知手段が報知するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電子時計によれば、走行距離に応じた自己記録の管理を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る電子時計について説明する。尚、各図において、同一部分には同一符号を付している。
図1は、本発明の実施の形態に係る電子時計のブロック図である。
図1において、電子時計は、後述するように電子時計を構成する各電子回路要素の制御や計時動作等を行うCPU101、CPU101が実行するプログラム等を記憶する読み出し専用メモリ(ROM)102、計測したデータや設定したデータ等を記憶するランダムアクセスメモリ103、表示装置104、入力装置105、報音装置106、発振素子107を備えている。
【0013】
CPU101は発振素子107とともに構成する発振回路が発生する所定周波数の信号(計時の基準となる時計信号)を計数して計時動作を行い、CPU101及び発振素子107は計時手段を構成する。
入力装置105は、走行距離の設定操作、計時開始や計時終了の指示、ラップタイムの記憶指示等を行い、CPU101とともに走行距離設定手段、計時指示手段、ラップタイム指示手段を構成する。
走行距離設定手段は、記憶手段に記憶した複数種類の走行距離の中から選択することによって走行距離を設定することができる。また走行距離設定手段は、距離を入力することによって走行距離を設定することができる。
【0014】
ROM102及びRAM103は記憶手段を構成している。記憶手段には、走行距離設定手段が設定した走行距離と、計時指示手段の指示に応答して計時手段が計時した走行時間とを対応付けて記憶することができる。また記憶手段には、複数種類の走行距離を記憶することができる。また記憶手段には、走行距離と走行時間とを対応付けて記憶すると共に、これらに対応付けて前記ラップタイム指示手段によって指示された時点のラップタイムを対応付けて記憶することができる。
【0015】
表示装置104及び報音装置106は、CPU101とともに報知手段を構成する。報知手段は、計時指示手段による指示に応答して計時手段が計時した今回の走行時間と、記憶手段に記憶され走行距離設定手段によって設定された設定距離に対応する過去の走行時間とを比較して、その評価を報知する。また、報知手段は、今回の走行時間が過去の走行時間よりも短い場合、今回の走行時間がベストタイムである旨表示する。また、報知手段は、今回までの走行時間における今回の走行時間の順位を表示する。
【0016】
また、報知手段は、計時手段による計時開始指示に応答して計時手段が計時開始した後、計時手段による計時時間が、記憶手段に記憶され走行距離設定手段によって設定された設定距離に対応する過去のベストタイムの半分になったとき又はベストタイムと同じになったとき報知することができる。また、報知手段は、計時手段による計時開始指示に応答して計時手段が計時開始した後、計時手段による計時時間が記憶手段に記憶され走行距離設定手段によって設定された設定距離に対応する過去のベストタイムのラップタイムになったとき報知することができる。また、報知手段は、記憶手段に記憶されたベストタイムを所定距離毎の複数の時間に区分し、計時手段による計時開始指示に応答して前記計時手段が計時開始した後、計時手段による計時時間が、区分した各時間になったとき報知することができる。
【0017】
図2はRAM103に記憶されたデータテーブルを示す図で、同図(a)は、走行カテゴリ、当該走行カテゴリの過去の走行時間、同一走行カテゴリにおける記録の順番を対応付けたデータテーブルである。走行カテゴリは、同図(c)に示すようにA、B、C、Dの4種類が有り、走行カテゴリA、B、C、Dは、各々、フルマラソン(42.195km)、ハーフマラソン(21.098km)、10kmマラソン、5kmマラソンを表している。また、同図(b)は、同図(a)の各走行カテゴリにおけるベストタイムのラップ毎の時間を表すデータテーブルである。
【0018】
図3は、本実施の形態に係る電子時計の動作を示すフローチャートであり、CPU101がROM102に記憶したプログラムを実行することによって行う処理である。
図5及び図6は、本実施の形態に係る電子時計の動作を示す説明図で、操作ボタンA、B、C、Dは入力装置105を構成している。
以下、図1〜図3、図5及び図6を参照して、本実施の形態に係る電子時計の動作を説明する。
入力装置105の操作ボタンAを操作することによってストップウオッチモードへ移行する(ステップS301;図5(a)、図6(a))。
【0019】
次に、操作ボタンBを操作することによって走行距離の設定モードへ移行する(ステップS302)。この状態で、操作ボタンAを操作することによって、ROM103に予め記憶されている複数種類の走行距離のいずれかを選択して(図5(b)〜(d))、あるいは、距離を入力することによって走行距離を設定する(同図(e))。
走行距離設定後、操作ボタンCを操作してストップウオッチ機能をスタートさせて計時動作を開始させ、同時に走行を開始する(ステップS303;図6(b))。
【0020】
ストップウオッチの計測時間が、RAM103に記憶した複数種類の走行距離に対応付けた走行時間のベストタイムのうち、設定距離と同じ走行距離に対応するベストタイムになったとき(ステップS304)、その旨を表す文字「BEST」を表示装置104に点滅表示し、同時に報音装置106から報知する(ステップS305、S306;図6(e))。
入力装置105によるストップウオッチストップ命令が入力されて計時停止指示がなされると(ステップS307)、ストップウオッチを停止して計時動作を終了する(ステップS308)。
【0021】
前記設定した走行距離に対応付けて、前記計時した時間をRAM103に記憶する(ステップS309)。
次に、同じ走行距離の過去データと比較して、今回の走行時間が何番目の時間かを算出し(ステップS310)、計測した走行時間と順位を点滅表示する(ステップS311)。このとき、今回の走行時間がベストタイムのときは、走行時間とともにベストタイムである旨表す文字「BEST」を表示する(図6(f))。また、今回の走行時間がベストタイムでない場合、今回も含めた過去の走行時間における順位を走行時間とともに表示する(図6(g))。
【0022】
一方、処理ステップS307において、入力装置105によるストップウオッチストップ命令が入力されていない場合には処理ステップS304に戻る。また、処理ステップS304において、設定距離と同じ走行距離に対応するベストタイムになっていない場合は、文字「BEST」を表示することなく、処理ステップS307に移行する。
【0023】
図4は、本実施の他の形態に係る電子時計の動作を示すフローチャートであり、CPU101がROM102に記憶したプログラムを実行することによって行う処理である。尚、本他の実施の形態においても図1及び図2の構成は同一である。
以下、図1、図2、図4〜図6を参照して、本他の実施の形態に係る電子時計の動作を説明する。
入力装置105の操作ボタンAを操作することによってストップウオッチモードへ移行する(ステップS401;図5(a)、図6(a))。
【0024】
操作ボタンBを操作することによって走行距離の設定モードへ移行する(ステップS402)。この状態で、操作ボタンAを操作することによって、ROM103に予め記憶されている複数種類の走行距離のいずれかを選択して(図5(b)〜(d))、あるいは、距離を入力することによって走行距離を設定する(同図(e))。
次に、設定した走行距離のベストタイムにおけるラップ(LAP)数Nを設定した後(ステップS403)、操作ボタンCを操作してストップウオッチ機能をスタートさせて計時動作を開始させ、同時に走行を開始する(ステップS404;図6(b))。
計時動作を開始した後、所望時点のラップタイムを得る場合には入力装置105を操作してラップタイムを得る(図6(c))。
【0025】
次に、入力装置105の操作ボタンCによるストップウオッチストップ命令が入力されて計時停止指示がなされると(ステップS405)、ストップウオッチを停止して計時動作を終了する(ステップS414)。
前記設定した走行距離に対応付けて、前記計時した時間をRAM103に記憶する(ステップS415)。
次に、同じ走行距離の過去データと比較して、今回の走行時間が何番目の時間かを算出し(ステップS416)、計測した走行時間と順位を点滅表示する(ステップS417;図6(g))。
【0026】
一方、処理ステップS405において入力装置105によるストップウオッチストップ命令が入力されていない場合には、ストップウオッチの計測時間が、RAM103に記憶したベストタイム時のn番目のラップタイム(LAP−n)になった場合(ステップS406)、n番目のラップである旨を示すために文字「LAP−n」を点滅表示し(ステップS407;図6(d))、報音装置106からアラーム音を鳴らして報知する(ステップS408)。
【0027】
次に、ラップ数nに1加算し、nが初期設定したラップ数Nになると(ステップS410)、ストップウオッチの計測時間が、RAM103に記憶した複数種類の走行距離に対応付けた走行時間のベストタイムのうち、設定距離と同じ走行距離に対応するベストタイムである場合(ステップS411)、その旨を表す文字「BEST」を表示装置104に点滅表示し、同時にアラーム音によって報知する(ステップS412、S413;図6(e))。
【0028】
処理ステップS410においてnが初期設定したラップ数Nにならない場合、及び、処理ステップS411において設定距離と同じ走行距離に対応するベストタイムでない場合には、処理ステップS405に戻る。また、処理ステップS406において、ストップウオッチの計測時間が、RAM103に記憶したベストタイム時のn番目のラップタイム(LAP−n)にならない場合には処理ステップS410に移行する。
【0029】
以上述べたように本発明の実施の形態に係る電子時計では、ストップウォッチをスタートさせる前に、これから走行する距離を選択、或いは入力し、走行終了後に、今回の走行記録が、同じ距離を走った過去の記録に対し、早かったか、遅かったかを表示する。また、ある距離にセットして走行を開始したとき(ストップウォッチをスタートさせたとき)、ストップウォッチの時間がその距離のベストタイムの半分を経過したとき、ベストタイムと同じになったとき、報音するようにしている。また、ベストタイムを記録したときの途中に取ったLAP情報を記憶していて、スタート後、そのLAPタイムになったとき報音する。更に、ベストタイムを切りの良い距離ごとに分割し、その時間になったら報音するようにしている。
このように、走行距離と走行時間を対応付けて管理しているため、走行距離に応じた自己記録の管理を行うことが可能になる等の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
アナログ、デジタルを問わず、ストップウオッチ機能を有する電子時計に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子時計のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるデータテーブルを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る電子時計の処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る電子時計の処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る電子時計の動作説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る電子時計の動作説明図である。
【符号の説明】
【0032】
101・・・CPU
102・・・ROM
103・・・103
104・・・表示装置
105・・・入力装置
106・・・報音装置
107・・・発振素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行距離を設定する走行距離設定手段と、
時間を計測する計時手段と、
前記計時手段の計時開始及び計時終了を指示する計時指示手段と、
前記走行距離設定手段が設定した走行距離と、前記計時指示手段の指示に応答して前記計時手段が計時した走行時間とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記計時指示手段による指示に応答して前記計時手段が計時した今回の走行時間と、前記記憶手段に記憶され前記走行距離設定手段によって設定された設定距離に対応する過去の走行時間とを比較して、その評価を報知する報知手段とを備えて成ることを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記報知手段は、前記今回の走行時間が前記過去の全ての走行時間よりも短い場合、前記今回の走行時間がベストタイムである旨表示することを特徴とする請求項1記載の電子時計。
【請求項3】
前記報知手段は、今回までの走行時間における今回の走行時間の順位を表示することを特徴とする請求項1又は2記載の電子時計。
【請求項4】
前記記憶手段には複数種類の走行距離が記憶されて成り、
前記走行距離設定手段は、前記記憶手段に記憶した複数種類の走行距離の中から選択することによって走行距離を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の電子時計。
【請求項5】
前記走行距離設定手段は、距離を入力することによって走行距離を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の電子時計。
【請求項6】
前記計時手段による計時開始指示に応答して前記計時手段が計時開始した後、前記計時手段による計時時間が前記記憶手段に記憶され前記走行距離設定手段によって設定された設定距離に対応する過去のベストタイムの半分になったとき又はベストタイムと同じになったとき、前記報知手段が報知することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の電子時計。
【請求項7】
更に、前記記憶手段にラップタイムの記憶を指示するラップタイム指示手段を有し、
前記記憶手段には走行距離と走行時間とを対応付けて記憶すると共に、これらに対応付けて前記ラップタイム指示手段によって指示された時点のラップタイムを対応付けて記憶し、
前記計時手段による計時開始指示に応答して前記計時手段が計時開始した後、前記計時手段による計時時間が、前記記憶手段に記憶され前記走行距離設定手段によって設定された設定距離に対応する過去のベストタイムのラップタイムになったとき、前記報知手段が報知することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の電子時計。
【請求項8】
前記記憶手段に記憶されたベストタイムを所定距離毎の複数の時間に区分し、
前記計時手段による計時開始指示に応答して前記計時手段が計時開始した後、前記計時手段による計時時間が、前記区分した各時間になったとき、前記報知手段が報知することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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