説明

電子時計

【課題】 文字板がすっきりしたデザインで、液晶表示部による表示情報を文字板に鮮明に発光表示させて見ることができる電子時計を提供する。
【解決手段】 半透過型の文字板10と、この文字板10の上側を回転して時刻を指示する指針16と、文字板10の下側に配置されて情報表示領域17aに情報をネガ表示する液晶表示パネル17と、液晶表示パネル17の下面を照明する照明装置20とを備えた。従って、非点灯時に文字板10を通して液晶表示パネル17が見えないため、文字板10全体がすっきりしたデザインとなる。また、点灯時には照明装置18から照明光が液晶表示パネル17を透過し、この透過した光が半透過型の文字板10に照射されて情報として鮮明に発光表示されるので、この発光表示された情報を鮮明に見ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子腕時計などの電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子腕時計においては、特許文献1に記載されているように、半透光反射板の下に拡散フィルタを配置し、且つこの拡散フィルタの下に遮光プレートを配置することにより、文字板を構成し、この文字板の下側にLED表示素子からなる発光表示部を設け、この発光表示部で表示情報として発光された光が文字板の遮光プレートに設けられた開口部および拡散フィルタを通して半透光反射板に照射されることにより、この照射された光が情報として半透光反射板の上方から見えるように構成されたものが知られている。
【特許文献1】特開平08−122468
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の電子腕時計では、発光表示部で表示情報として発光された光が半透光反射板に照射される際、発光表示部で発光された光が遮光プレートの開口部を通して拡散フィルタに照射されて拡散され、この拡散された光が半透光反射板に照射されて表示情報として表示されるため、半透光反射板に現れた表示情報がぼやけしまい、表示情報が鮮明に見えないという問題がある。
【0004】
この発明が解決しようとする課題は、文字板がすっきりしたデザインで、液晶表示部による表示情報を文字板に鮮明に発光表示させて見ることができる電子時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、半透過型の文字板と、この文字板の上側を回転して時刻を指示する指針と、前記文字板の下側に配置されて情報表示領域に情報をネガ表示する液晶表示部と、この液晶表示部の下面を照明する照明装置と、を備えていることを特徴とする電子時計である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記液晶表示部が、透明な電極基板間に液晶を封入した液晶セルと、この液晶セルの上面に設けられた上側偏光板と、前記液晶セルの下面に設けられた下側偏光板とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電子時計である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記文字板の下面に、透過軸と直交する光振動面を持つ直線偏光を反射する反射型偏光板が配置されており、前記液晶表示部は、透明な電極基板間に液晶を封入した液晶セルと、この液晶セルの下面に設けられて前記情報をネガ表示するための下側偏光板とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電子時計である。
【0008】
請求項4に記載の発明は、光透過型の文字板と、この文字板の上側を回転して時刻を指示する指針と、前記文字板の下面に設けられた第1偏光板と、この第1偏光板の下側に配置されて情報表示領域に情報をネガ表示する液晶表示部と、この液晶表示部と前記第1偏光板との間に配置され、前記液晶表示部の前記情報表示領域に対応する光透過部を有する前記第1偏光板と逆位相の第2偏光板と、前記液晶表示部の下面を照明する照明装置と、を備えていることを特徴とする電子時計である。
【0009】
請求項5に記載の発明は、前記液晶表示部が、透明な電極基板間に液晶を封入した液晶セルと、この液晶セルの下面に設けられて前記情報をネガ表示するための下側偏光板とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の電子時計である。
【0010】
請求項6に記載の発明は、前記第1偏光板が、透過軸と直交する光振動面を持つ直線偏光を反射する第1反射型偏光板であり、前記第2偏光板は、透過軸と直交する光振動面を持つ直線偏光を反射する前記第1反射型偏光板と逆位相の第2反射型偏光板であり、前記液晶表示部は、透明な電極基板間に液晶を封入した液晶セルと、この液晶セルの下面に設けられて前記情報をネガ表示するための下側偏光板とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の電子時計である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、非点灯時には文字板を通してその下側の液晶表示部が見えないので、文字板全体がすっきりしたデザインとなり、また点灯時には液晶表示部を透過した表示情報の光が文字板に照射されることにより、液晶表示部による表示情報を文字板に鮮明に発光表示させることができるので、この発光表示された情報を鮮明に見ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、図1〜図7を参照して、この発明を適用した電子腕時計の実施形態1について説明する。
この電子腕時計は、図1および図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の上側開口部には、時計ガラス2がパッキン2aを介して取り付けられている。この腕時計ケース1の下面には、図2に示すように、裏蓋3が防水リング3aを介して取り付けられており、この腕時計ケース1の3時側と9時側との各側面には、押釦スイッチSWが設けられている。
【0013】
また、この腕時計ケース1の内部には、図1および図2に示すように、時計モジュール4が設けられている。この時計モジュール4は、図2に示すように、上部ハウジング5と下部ハウジング6とを備えている。この上部ハウジング5と下部ハウジング6とは、その両者の間に回路基板7が配置され、下部ハウジング6の下面に配置された地板8のフック部8aが上部ハウジング5の側面に係止されることにより、相互に取り付けられている。
【0014】
また、上部ハウジング5の上面には、図2に示すように、上から順に、文字板10とソーラーパネル11とが設けられている。この文字板10は、図2に示すように、その上面における外周縁が見切部材12によって押え付けられている。ソーラーパネル11は、外部光を受光して発電するものであり、図2に示すように、接続部材13によって回路基板7と電気的に接続されている。
【0015】
この上部ハウジング5内には、時計ムーブメント(図示せず)が設けられている。この時計ムーブメントは、図1および図2に示すように、その指針軸14が文字板10およびソーラーパネル11の中心部に設けられた貫通孔15を通して文字板10の上方に突出し、この突出した上部に秒針、分針、時針などの指針16が取り付けられ、この指針16が文字板10の上方を運針して時刻を指示するように構成されている。
【0016】
また、この上部ハウジング5内には、図1および図2に示すように、液晶表示パネル17がソーラーパネル11の6時側の一部分に対応して設けられている。この液晶表示パネル17は、図2に示すように、インターコネクタ18によって回路基板7と電気的に接続された状態で回路基板7上に支持されている。この液晶表示パネル17に対応する回路基板7上には、液晶表示パネル17の下面側を照明するための照明装置20が設けられている。
【0017】
また、下部ハウジング6の6時側に位置する内部には、図2に示すように、釦型の電池21が回路基板7と電気的に接続された状態で設けられている。また、この下部ハウジング6と上部ハウジング5との両者に跨る12時側に位置する内部には、図2に示すように、標準時刻電波を受信するアンテナ22が回路基板7と電気的に接続された状態で設けられている。
【0018】
ところで、文字板10は、半透過型のものであり、図3および図4に示すように、全体がほぼ円形状に形成され、その周縁部上に時字10aが円周に沿って等間隔で設けられた構成になっている。この文字板10の下側に配置されたソーラーパネル11は、図3および図5に示すように、発電領域11aが放射状に分割形成されている。このソーラーパネル11には、光を透過する光透過部である開口部23が、液晶表示パネル17の後述する情報表示領域17aに対応して設けられている。
【0019】
このソーラーパネル11の下側に配置された液晶表示パネル17は、図3に示すように、透明な電極基板25間に液晶(図示せず)を封入した液晶セル24と、この液晶セル24の上面に設けられた上側偏光板26と、液晶セル24の下面に設けられた下側偏光板27とを備え、図6に示すように、情報表示領域17a内に情報をセグメント形状でネガ表示(つまり表示情報を光透過状態で表示)するように構成されている。
【0020】
この場合、情報表示領域17aは、図6に示すように、ほぼ2つの領域に分割され、各領域に情報を表示するための「日」の字形状のセグメントが2つずつ並んで設けられている。これにより、ソーラーパネル11の開口部23は、図5(a)および図5(b)に示すように、液晶表示パネル17の情報表示領域17aに対応して2つに分割形成されている。
【0021】
この液晶表示パネル17の下側に配置された照明装置20は、図3および図7に示すように、発光ダイオード(LED)や豆ランプなどの発光素子28と、導光板29とを備え、発光素子28からの光を導光板29の側面から採り込み、この採り込んだ光を導光板29内で導きながら、その上面から放出して、液晶表示パネル17の下面全体をほぼ均等に照明するように構成されている。
【0022】
このような電子腕時計によれば、図1および図2に示すように、照明装置20を点灯しない通常の状態では、指針16が文字板10の上方を運針することにより、この指針16によって時刻を指示することができるが、半透過型の文字板10を通して、その下側の液晶表示パネル17が見えないため、文字板10が液晶表示パネル17によってデザインの影響を受けることがなく、文字板10全体がすっきりしたデザインとなる。
【0023】
また、この電子腕時計では、照明装置20を点灯させて液晶表示パネル17を駆動すると、この液晶表示パネル17によって日付や曜日を文字板10の6時側に表示することができる。すなわち、照明装置20によって液晶表示パネル17の下面側が照明されると、その照明光が液晶表示パネル17でセグメント表示された表示部分を透過し、この透過した光がソーラーパネル11の開口部23を透過することにより、液晶表示パネル17を透過した光を半透過型の文字板10に直接照射することができる。
【0024】
このため、この電子腕時計では、液晶表示パネル17によるネガ表示の情報を文字板10に鮮明に発光表示させることができ、これにより発光表示された情報を文字板10の上方から鮮明に見ることができる。このときには、液晶表示パネル17による表示情報のみが文字板10に発光表示されるので、これによっても文字板10全体がすっきりしたデザインとなる。
【0025】
この場合、液晶表示パネル17は、透明な電極基板25間に液晶を封入した液晶セル24と、この液晶セル24の上面に設けられた上側偏光板26と、液晶セル24の下面に設けられた下側偏光板27とを備えた構成であるから、照明装置20で照明されると、その照明光を下側偏光板27、液晶セル24、および上側偏光板26で表示情報として選択して透過させることができ、この透過した表示情報としての光を半透過型の文字板10に確実に照射させることができるので、情報を文字板10に鮮明に発光表示させることができる。
【0026】
また、ソーラーパネル11は、光透過部である開口部23が液晶表示パネル17の情報表示領域17aに対応して設けられた構成であるから、液晶表示パネル17の全体を大きく形成しても、その液晶表示パネル17の大きさによってソーラーパネル11の開口部23が大きくならず、開口部23を最小限に小さく形成することができる。このため、ソーラーパネル11は、発電領域11aを十分に広く形成することができ、これにより発電性能を十分に確保することができる。
【0027】
(実施形態2)
次に、図8および図9を参照して、この発明を適用した電子腕時計の実施形態2について説明する。なお、図1〜図7に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、文字板10の下面に反射型偏光板30を設け、これに伴って液晶表示パネル17の液晶セル24の下面のみに下側偏光板31を設けた構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0028】
この反射型偏光板30は、透過軸と直交する光振動面を持つ直線偏光を反射する偏光板(例えば、DBEF(登録商標))であり、図9に示すように、全体が文字板10とほぼ同じ大きさに形成されていると共に、その中心部に指針軸14が挿入する貫通孔15が設けられ、図8に示すように、文字板10とソーラーパネル11との間に配置されている。
【0029】
また、この反射型偏光板30は、ソーラーパネル11の開口部23を介して液晶表示パネル17の情報表示領域17aに対応しているため、液晶表示パネル17の上側偏光板の役目も兼ねている。このため、液晶表示パネル17は、図8に示すように、液晶セル24の下面のみに、情報をネガ表示(つまり情報表示を透過状態で表示)するための下側偏光板31を設けた構成になっている。
【0030】
このような電子腕時計によれば、照明装置20を点灯しない通常の状態では、実施形態1と同様、半透過型の文字板10を通して、その下側の液晶表示パネル17が見えないため、文字板10全体がすっきりしたデザインになるほか、文字板10の下面に設けられた反射型偏光板30が透過軸と直交する光振動面を持つ直線偏光を反射するので、通常の状態で文字板10全体が金属調に見えることになり、これにより高級感のあるものを得ることができる。
【0031】
また、この電子腕時計では、照明装置20を点灯して液晶表示パネル17を駆動すると、照明装置20の照明光が液晶表示パネル17でセグメント表示された表示部分を透過し、この透過した光がソーラーパネル11の開口部23および反射型偏光板30を透過して半透過型の文字板10に照射されるので、液晶表示パネル17による表示情報を、金属調に見える文字板10に鮮明に発光表示させることができ、これにより発光表示された情報を文字板10の上方から鮮明に見ることができると共に、液晶表示パネル17による表示情報のみが文字板10に発光表示されるので、これによっても文字板10全体がすっきりしたデザインとなる。
【0032】
なお、上記実施形態1、2では、ソーラーパネル11に開口部23を設けた場合について述べたが、これに限らず、図10に示す第1変形例のように構成しても良い。すなわち、このソーラーパネル32は、透明な樹脂からなるベース部材32aの一面(図10では上面)に、液晶表示パネル17の情報表示領域17aに対応する箇所を除いて、発電層32bを設け、この発電層32bが設けられていない箇所に光透過部である窓部33を設けた構成になっている。
【0033】
このようにソーラーパネル32を構成しても、照明装置20で液晶表示パネル17が照明されて、その照明光が液晶表示パネル17を透過すると、その透過した光がソーラーパネル32の窓部33を通して文字板10に照射されるので、実施形態1、2と同様、液晶表示パネル17による表示情報を文字板10に鮮明に発光表示させることができ、これにより発光表示された情報を文字板10の上方から鮮明に見ることができる。
【0034】
(実施形態3)
次に、図11および図12を参照して、この発明を適用した腕時計の実施形態3について説明する。この場合にも、図1〜図7に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、図11に示すように、光透過型の文字板35を用い、この文字板35の下面に第1偏光板36を設け、この第1偏光板36の下面にこれと逆位相の第2偏光板37を設け、これに伴って液晶表示パネル17の液晶セル24の下面のみに下側偏光板38を設けた構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0035】
すなわち、この文字板35は、透明な材料からなる光透過型のものであり、図12(a)に示すように、実施形態1と同じ形状に形成されている。第1偏光板36は、図12(b)に示すように、文字板35と同じ大きさに形成されていると共に、その中心部に指針軸14が挿入する貫通孔15が設けられ、文字板35の下面に設けられている。
【0036】
また、第2偏光板37は、第1偏光板36と逆位相の偏光板であり、図12(c)に示すように、第1偏光板36と同じ大きさに形成されていると共に、その中心部に指針軸14が挿入する貫通孔15が設けられているほか、液晶表示パネル17の情報表示領域17aに対応する箇所に光透過部である開口部37aが設けられている。
【0037】
これにより、文字板35は、外部光が上方から透過して第1偏光板36に照射されると、この第1偏光板36で直線偏光成分の光のみが透過し、この透過した直線偏光成分の光が逆位相の第2偏光板37で吸収されることにより、文字板35のほぼ全体が黒色に見えるように構成されている。
【0038】
また、第1偏光板36は、図11に示すように、第2偏光板37の開口部37aを介して液晶表示パネル17の情報表示領域17aに対応しているため、液晶表示パネル17の上側偏光板の役目も兼ねている。このため、液晶表示パネル17は、図11に示すように、液晶セル24の下面のみに、情報をネガ表示(つまり情報表示を透過状態で表示)するための下側偏光板38を設けた構成になっている。
【0039】
このような電子腕時計によれば、照明装置20を点灯しない通常の状態では、外部光が文字板35を透過して第1偏光板36に照射されると、この第1偏光板36で直線偏光成分の光が透過し、この透過した直線偏光成分の光が逆位相の第2偏光板37で吸収されることにより、文字板35のほぼ全体が黒色に見える。このとき、第2偏光板37の開口部37aを通して液晶表示パネル17に照射された直線偏光成分の光は、液晶セル24の下面に設けられた下側偏光板38で吸収されることにより、文字板35の全体が黒色に見えるほか、実施形態1と同様、液晶表示パネル17が見えないため、文字板35全体がすっきりしたデザインとなる。
【0040】
また、この電子腕時計では、照明装置20を点灯させて液晶表示パネル17を駆動すると、液晶表示パネル17の下面に照射された照明光が液晶表示パネル17でセグメント表示された表示部分を透過し、この透過した光が第2偏光板37の開口部37aを透過して第1偏光板36に照射され、この照射された光の直線偏光が光透過型の文字板35に照射されるので、液晶表示パネル17による表示情報を、黒色に見える文字板35に鮮明に発光表示することができ、これにより発光表示された情報を文字板35の上方から鮮明に見ることができると共に、液晶表示パネル17による表示情報のみが文字板35に発光表示されるので、これによっても文字板35全体がすっきりしたデザインとなる。
【0041】
(実施形態4)
次に、図13および図14を参照して、この発明を適用した電子腕時計の実施形態4について説明する。この場合には、図11および図12に示された実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、図13に示すように、光透過型の文字板35の下面に第1反射型偏光板40を設け、この第1反射偏光板40の下面にこれと逆位相の第2反射型偏光板41を設けた構成であり、これ以外は実施形態3とほぼ同じ構成になっている。
【0042】
この場合にも、文字板35は、透明な材料からなる光透過型のものであり、図14(a)に示すように、実施形態1と同じ形状に形状されている。第1反射型偏光板40は、透過軸と直交する光振動面を持つ直線偏光を反射する偏光板(例えば、DBEF(登録商標))であり、図14(b)に示すように、文字板35と同じ大きさに形成されていると共に、その中心部に指針軸14が挿入する貫通孔15が設けられ、文字板35の下面に設けられている。
【0043】
第2反射型偏光板41は、第1反射型偏光板40と同様、透過軸と直交する光振動面を持つ直線偏光を反射する第1反射型偏光板40と逆位相の偏光板(例えば、DBEF(登録商標))であり、図14(c)に示すように、第1反射方偏光板40と同じ大きさに形成されていると共に、その中心部に指針軸14が挿入する貫通孔15が設けられているほか、液晶表示パネル17の情報表示領域17aに対応する箇所に光透過部である開口部41aが設けられている。
【0044】
これにより、文字板35は、外部光が上方から透過して第1反射型偏光板40に照射されると、この第1反射型偏光板40が透過軸と直交する光振動面を持つ直線偏光を反射するので、文字板35の全体が金属調に見るように構成されている。また、この第1反射型偏光板40は、第2反射型偏光板41の開口部41aを介して液晶表示パネル17の情報表示領域17aに対応しているため、液晶表示パネル17の上側偏光板の役目も兼ねている。このため、液晶表示パネル17は、図13に示すように、液晶セル24の下面のみに、情報をネガ表示(つまり情報表示を透過状態で表示)するための下側偏光板38を設けた構成になっている。
【0045】
このような電子腕時計では、照明装置20を点灯しない通常の状態では、外部光が文字板35を透過して第1反射型偏光板40に照射されると、この第1反射型偏光板40が透過軸と直交する光振動面を持つ直線偏光を反射するので、文字板35の全体が金属調に見えることなり、これにより高級感のあるものを得ることができる。
【0046】
このとき、第1反射型偏光板40を透過した光が逆位相の第2反射型偏光板41に照射されると、この第2反射型偏光板41で吸収される。また、第2反射型偏光板41の開口部41aを通して液晶表示パネル17に照射された直線偏光成分の光は、液晶セル24の下面に設けられた下側偏光板38で吸収されることにより、実施形態1と同様、液晶表示パネル17が見えないため、文字板35の全体がすっきりしたデザインとなる。
【0047】
また、この電子腕時計では、照明装置20を点灯させて液晶表示パネル17を駆動すると、液晶表示パネル17の下面に照射された照明光が液晶表示パネル17でセグメント表示された表示部分を透過し、この透過した光が第2反射型の偏光板41の開口部41aを透過して第1反射型偏光板40に照射されるので、この照射された直線偏光成分の光を第1反射型偏光板40で光透過型の文字板35に照射させることができる。
【0048】
このため、この電子腕時計においても、液晶表示パネル17による表示情報を、金属調に見える文字板35に鮮明に発光表示することができ、これにより発光表示された情報を文字板35の上方から鮮明に見ることができると共に、液晶表示パネル17による表示情報のみが文字板35に発光表示されるので、これによっても文字板35全体がすっきりしたデザインとなる。
【0049】
なお、上記実施形態3、4では、第2偏光板37または第2反射型偏光板41の下側に液晶表示パネル17を配置した場合について述べたが、これに限らず、例えば第2偏光板37または第2反射型偏光板41と液晶表示パネル17との間に、実施形態1、2およびその第1変形例と同様、ソーラーパネル11、32を配置した構成でも良い。この場合にも、ソーラーパネル11、32は、液晶表示パネル17の情報表示領域17aに対応する開口部23または窓部33を設けた構成であれば良い。
【0050】
また、上記実施形態1〜4およびその各変形例では、液晶表示パネル17がその情報表示領域17aにおける「日」の字形状の各セグメント表示を光が透過する構成である場合について説明したが、これに限らず、例えば図15に示す第2変形例のように、「日」の字形状の各セグメント表示部分を除いて、情報表示領域17aにクロムなど金属蒸着や黒色印刷などによるマスク部45を設けた構成でも良い。
【0051】
このように構成すれば、マスク部45によって「日」の字形状の各セグメント表示部分以外から光が漏れるのを確実に防ぐことができ、これにより液晶表示パネル17を透過する光を確実に絞り込んで規制することができるので、より一層、情報を鮮明に発光表示させることができる。
【0052】
また、上記実施形態1〜4およびその各変形例では、液晶表示パネル17がその情報表示領域17aに「日」の字形状の各セグメント表示部分を設けた構成である場合について述べたが、これに限らず、例えば表示領域内に情報をドット状に表示する液晶表示パネルを用いても良い。この場合にも、液晶表示パネルは、情報表示を透過状態で表示するネガ表示であれば良い。
【0053】
さらに、上記実施形態1〜4およびその各変形例では、照明装置18が、発光素子28と、導光板29とを備えた構成である場合について述べたが、これに限らず、例えば、図16(a)および図16(b)に示す第3変形例のように、EL(エレクトロルミネッセンス)発光素子などの平面発光型の照明装置46を用いても良い。
【0054】
なおまた、上記実施形態1〜4およびその各変形例では、電子腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも電子腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の電子時計に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明を電子腕時計に適用した実施形態1の拡大正面図である。
【図2】図1のA−A矢視における拡大断面図である。
【図3】図2において文字板、ソーラーパネル、液晶表示パネル、照明装置の対応関係を示した要部の拡大断面図である。
【図4】図3の文字板を示した拡大正面図である。
【図5】図3のソーラーパネルを示し、(a)はその拡大正面図、(b)はそのソーラーパネルの開口部に液晶表示パネルが対応した状態を示した拡大正面図である。
【図6】図3の液晶表示パネルを示した拡大正面図である。
【図7】図3の照明装置を示した拡大正面図である。
【図8】この発明を電子腕時計に適用した実施形態2において要部を示した拡大断面図である。
【図9】図8の文字板および第1反射型偏光板を示し、(a)はその文字板を示した拡大正面図、(b)はその第1反射型偏光板を示した拡大正面図である。
【図10】実施形態1、2のソーラーパネルの第1変形例を示した要部の拡大断面図である。
【図11】この発明を電子腕時計に適用した実施形態3において要部を示した拡大断面図である。
【図12】図11の文字板、第1、第2の各偏光板を示し、(a)はその文字板を示した拡大正面図、(b)はその第1偏光板を示した拡大正面図、(c)はその第2偏光板を示した拡大正面図である。
【図13】この発明を電子腕時計に適用した実施形態4において要部を示した拡大断面図である。
【図14】図13の文字板、第1、第2の各反射型偏光板を示し、(a)はその文字板を示した拡大正面図、(b)はその第1反射型偏光板を示した拡大正面図、(c)はその第2反射型偏光板を示した拡大正面図である。
【図15】実施形態1〜4において液晶表示パネルの第2変形例を示した拡大正面図である。
【図16】実施形態1〜4において照明装置の第3変形例を示し、(a)はその拡大正面図、(b)はその拡大側面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 腕時計ケース
4 時計モジュール
10、35 文字板
11、32 ソーラーパネル
17 液晶表示パネル
17a 情報表示領域
20、46 照明装置
23、37a、41a 開口部
24 液晶セル
25 透明な電極基板
26 上側偏光板
27、31、38 下側偏光板
28 発光素子
29 導光板
30 反射型偏光板
33 窓部
36 第1偏光板
37 第2偏光板
40 第1反射型偏光板
41 第2反射型偏光板
45 マスク部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透過型の文字板と、
この文字板の上側を回転して時刻を指示する指針と、
前記文字板の下側に配置されて情報表示領域に情報をネガ表示する液晶表示部と、
この液晶表示部の下面を照明する照明装置と、
を備えていることを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記液晶表示部は、透明な電極基板間に液晶を封入した液晶セルと、この液晶セルの上面に設けられた上側偏光板と、前記液晶セルの下面に設けられた下側偏光板とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記文字板の下面には、透過軸と直交する光振動面を持つ直線偏光を反射する反射型偏光板が配置されており、
前記液晶表示部は、透明な電極基板間に液晶を封入した液晶セルと、この液晶セルの下面に設けられて前記情報をネガ表示するための下側偏光板とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項4】
光透過型の文字板と、
この文字板の上側を回転して時刻を指示する指針と、
前記文字板の下面に設けられた第1偏光板と、
この第1偏光板の下側に配置されて情報表示領域に情報をネガ表示する液晶表示部と、
この液晶表示部と前記第1偏光板との間に配置され、前記液晶表示部の前記情報表示領域に対応する光透過部を有する前記第1偏光板と逆位相の第2偏光板と、
前記液晶表示部の下面を照明する照明装置と、
を備えていることを特徴とする電子時計。
【請求項5】
前記液晶表示部は、透明な電極基板間に液晶を封入した液晶セルと、この液晶セルの下面に設けられて前記情報をネガ表示するための下側偏光板とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の電子時計。
【請求項6】
前記第1偏光板は、透過軸と直交する光振動面を持つ直線偏光を反射する第1反射型偏光板であり、
前記第2偏光板は、透過軸と直交する光振動面を持つ直線偏光を反射する前記第1反射型偏光板と逆位相の第2反射型偏光板であり、
前記液晶表示部は、透明な電極基板間に液晶を封入した液晶セルと、この液晶セルの下面に設けられて前記情報をネガ表示するための下側偏光板とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の電子時計。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−38805(P2010−38805A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203858(P2008−203858)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】